説明

便座装置

【課題】便座表面温度の均熱化を少ない部材で軽量で実現することを目的とする。
【解決手段】内部に空洞部13を形成した便座9と、前記空洞部13に配設された輻射型発熱体16とを備え、前記輻射型発熱体16上方の便座内壁面14に格子状リブ20を形成したことにより、格子状リブ20が輻射エネルギーを吸収することにより便座の表面温度を調整することが可能となるため、輻射型発熱体16と便座内面壁14との距離に応じて、格子リブ20の配設密度を調整することにより、別の部品を追加することなく便座の表面温度を均一にすることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複雑な部材を使用せずに便座表面温度を均熱化した便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の便座装置は、輻射反射板を用いて均熱化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、前記公報に記載された従来の便座装置を示すものである。図4に示すように、空洞部1の内部には便座2の便座上部3に対向して、アルミ板を鏡面仕上げした輻射反射板4と輻射型発熱体5から構成されている。
【特許文献1】特開2000−014598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、アルミ板の輻射反射板を折り曲げて均熱化を図っているので、便座が重くなるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、軽量で均熱化した便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、内部に空洞部を形成した便座と、前記空洞部に配設された輻射型発熱体とを備え、前記輻射型発熱体上方の便座内壁面に格子状リブを形成したものである。
【0007】
これによって、余分な材料を使用しないため、軽量で均熱化が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の便座装置は、便座表面温度の均熱化を少ない部材で軽量で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、内部に空洞部を形成した便座と、前記空洞部に配設された輻射型発熱体とを備え、前記輻射型発熱体上方の便座内壁面に格子状リブを形成したことにより、格子状リブが輻射エネルギーを吸収することにより便座の表面温度を調整することが可能となるため、輻射型発熱体と便座内面壁との距離に応じて、格子リブの配設密度を調整することにより、別の部品を追加することなく便座の表面温度を均一にすることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の輻射型発熱体を少なくとも便座の側方部と後方部に配設し、前記便座の後方部に比べ側方部に格子状リブを密に配設したことにより、輻射型発熱体と便座内壁面との距離が離れている後方部は格子状リブの密度を粗になり、格子状リブによる輻射エネルギーの吸収が少なく相対的に便座の表面温が上昇しやすくなり、これに対し輻射型発熱体と便座内壁面との距離が近い側方部は格子状リブの密度が密となることで、格子状リブによる輻射エネルギーの吸収が多くなり相対的に便座の表面温が上昇し難くなり、輻射型発熱体と便座内壁面との距離が異なる便座の側方部と後方部の表面温度を均一にすることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1の発明の輻射型発熱体を少なくとも便座の側方部と後方部に配設し、前記便座の後方部に比べ側方部の格子状リブの高さを高く形成したことにより、輻射型発熱体と便座内壁面との距離が離れている後方部は格子状リブの高さが低いため、格子状リブによる輻射エネルギーの吸収が少なく相対的に便座の表面温度が上昇しやすくなり、これに対し輻射型発熱体と便座内壁面との距離が近い側方部は格子状リブの高さが高いため、格子状リブによる輻射エネルギーの吸収が多くなり相対的に便座の表面温が上昇し難くなり、輻射型発熱体と便座内壁面との距離が異なる便座の側方部と後方部の表面温度を均一にすることができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における便座装置を便器に設置した状態の斜視図を示し、図2は便座の一部断面を含む平面図を示し、図3は便座の側方部の要部断面図を示すものである。
【0014】
図1に示すように、便器6上に本体7が載置固定してある。前記本体7には回動自在に便蓋8及び便座9が設けてあり、前記本体7の袖部7aには赤外線透過部が設けてあり、その内側にはトイレ空間の人体の有無を検知する赤外線センサ10が内蔵されている。
【0015】
次に図2及び図3に示すように、便座9は、合成樹脂製の上ケース11と下ケース12のそれぞれの内周縁および外周縁を接合固定することにより、内部に空洞部13を有する構造となっている。その空洞部13の内部には上ケース11の便座内壁面14に対向して、輻射型発熱体16が設けられている。輻射型発熱体16の近傍には、輻射型発熱体16と直列に電気接続したサーモスタット17及び温度ヒューズ18が設けられ、万一の不安全事態に対して温度過昇を防止するよう作用する。
【0016】
また、上ケース11の内面に設けられた凹部にはサーミスタ19がはめ込まれており、このサーミスタ19の信号に基づいて便座9の表面温度が所定の温度になるよう輻射型発熱体16への通電を制御する制御器(図示せず)が本体7に設けられている。
【0017】
上ケース11の便座内壁面14には、格子状リブ20が上ケース11と一体に成型してある。格子状リブ20は略円周方向配設した円周リブ21と略法線方向の法線リブ22から形成してあり、図2に示すように、便座9の側方部23には法線リブ22を多く配設することにより格子状リブ20の密度を密にしており、これに対し、便座の後方部24には法線リブ22を少なく配設することにより格子状リブ20の密度を粗にしている。
【0018】
図2は便座9の側方部23の断面を示すものであり輻射型発熱体16と便座内壁面14との距離が小さくなっている。これに対し図示していないが便座9の後方部24においては輻射型発熱体16と便座内壁面14との距離が大きくなっている。
【0019】
以上のように構成された便座装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0020】
まず、使用者がトイレに入室した場合、赤外線センサ10がそれを検知し、その信号により輻射型発熱体16が付勢される。これにより投入エネルギーは瞬時に輻射エネルギーに変換され、便座内壁面14の方向に放射され、便座9をほぼ瞬時に加温することができるものである。
【0021】
輻射型発熱体16から便座内壁面14への距離の近い便座9の側方部23と、輻射型発熱体16から便座内壁面14への距離の遠い便座9の後方部24に輻射エネルギーが伝わり便座9を昇温するが、便座9の側方部23の格子状リブ20を便座9の後方部24の格子状リブに比べて密に配設したことにより、格子状リブで輻射エネルギーを吸収してしまうため相対的に便座の表面温が上昇し難くなり、便座9の側方部23と後方部24の表面温度が均一となる。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては、輻射型発熱体から便座内壁面14への距離の近い便座の側方部と、輻射型発熱体から便座内壁面14への距離の遠い便座の後方部の、格子状リブの配設する密度を変えることにより、別の部品を追加することなく便座内壁面の表面温度を均熱化することができる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、便座の側方部と後方部で格子状リブの配設密度を変えることにより、格子状リブの熱容量を変え、格子状リブでの輻射エネルギーの吸収量を変えることにより便座の表面温度の均一化を図ったが、格子状リブの配設密度を変えることに限らず、格子状リブの高さあるいは厚さを変えることにより格子状リブの熱容量を変えることにより同様の作用、降下を得ることができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、便座の側方部と後方部で格子状リブの配設密度を変えたが、これに限るものではなく、便座の形状により輻射型発熱体と便座内壁面との距離が異なる部分に対応して格子状リブの配設密度や格子状リブの高さや厚みを変えることにより、便座の表面温度の均一化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、便座表面温度の均熱化を少ない部材で軽量で実現することができるので、他の暖房器具等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における便座装置の要部平面図
【図3】本発明の実施の形態1における便座装置の要部断面図
【図4】従来の便座装置の要部断面図
【符号の説明】
【0027】
9 便座
13 空洞部
14 便座内壁面
16 輻射型発熱体
20 格子状リブ
23 側方部
24 後方部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞部を形成した便座と、前記空洞部に配設された輻射型発熱体とを備え、前記輻射型発熱体上方の便座内壁面に格子状リブを形成した便座装置。
【請求項2】
輻射型発熱体を少なくとも便座の側方部と後方部に配設し、前記便座の後方部に比べ側方部に格子状リブを密に配設した請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
輻射型発熱体を少なくとも便座の側方部と後方部に配設し、前記便座の後方部に比べ側方部の格子状リブの高さを高く形成した請求項1に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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