説明

便座装置

【課題】短時間の加熱又は冷却であっても着座する人に不快感を与えることがない便座装置を提供すること。
【解決手段】便座11、便蓋12を有するとともに、前記便座11又は上記便座11に着座する人に対して送風するための送風手段1を有し、前記送風手段1は、送風源2と、前記送風源2に接続され前記送風源2から送られた風を通風する通風路3と、を具備した便座装置20であって、前記通風路3は、中空状のチューブ4から構成されていることを特徴とする便座装置20。前記通風路は、1本のチューブ4又は複数本のチューブ4の集合体から構成されていることを特徴とする便座装置20。前記通風路3は、複数本の中空状のチューブ4が並列一体化されてシート状に成形されてなることを特徴とする便座装置20。前記通風路3は、便座11内上部又は便座11表面又は便蓋12の便座11に対向する面に配置されていることを特徴とする便座装置20。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの便座装置に係り、特に、短時間の加熱又は冷却であっても着座する人に不快感を与えることがないものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの便座を暖める暖房便座装置は、その熱源としてヒータ線を使用していたものが一般であった。このような例として、アルミ箔からなる放熱板上にヒータ線を蛇行形状等で配置させた面状ヒータを便座内に配置したものが挙げられる。この面状ヒータは、便座上部の裏面に貼付けられるとともに、便座下部が超音波溶着等の方法で便座上部と接着されることになる。ヒータ線は広い用途で使用されており、安価で信頼性が高いため、暖房便座装置としても広く一般的に使用されている。
【0003】
しかしながら、上記の方法による暖房便座装置では、ヒータ線が加熱する時間と、このヒータ線による熱が便座上部を構成する樹脂を伝導する時間とが必要となるため、便座表面の温度が所定の温度となるまでにかなりの時間がかかっていた。そのため、充分な暖房効果を得るためには,トイレ内に人が居る居ないに関わらず熱源の電源を常時通電状態としておく必要があった。従って、トイレの使用時間は短いにも拘らず常時通電状態となっていることから、無駄な電力を消費していることになっていた。又、便座部分に通電をする構造となっていることから感電の危険性があるため、便座の取り外しが可能なものであっても水洗いには危険が伴う。そのため、細かい部分に入り込んだ汚れや頑固な汚れを取ることが非常に困難であった。
【0004】
このような問題に対して、温風により便座を暖める方式の暖房便座装置が種々知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−128120号
【特許文献2】特開平11−299703号公報
【特許文献3】特開2003−180565号公報
【特許文献4】特開2004−223148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜4に開示された暖房便座装置は、感電の恐れがなく水洗いが可能というものであるが、加熱の効率が充分なものではなかった。即ち、節電を図るには、トイレ内に人が入ったことを検知して暖房便座装置を起動する制御手段と組合せることになるが、人がトイレ内に入って便座に着座するまでの時間は数秒程度であり、非常に短時間である。特許文献1〜4に開示された暖房便座装置は、いずれも便座全体を暖める構成となっているが、この短時間内に便座全体を所定の温度とすることは非常に困難である。ここで、人が主に着座する位置から重点的に加熱すれば、便座全体が所定の温度となっていなくても不快感を与えることを低減できるため、短時間の加熱で済むことになるが、特許文献1〜4ではこのような考察は一切なされていなかった。上記の点から、加熱が必要な部分に対して、より効率良く加熱が可能な便座装置が望まれていた。
【0007】
又、夏場等の暑い環境下では、便座表面の温度も上昇し、着座する人が汗をかいて便座に肌が張り付いたり粘着する感触を受けたりし、不快感を与えることになる。このような場合には、便座を冷却する必要が生じるのだが、加熱する場合と同様に、短時間で便座全体を所定の温度とすることは非常に困難であり、これに対して、着座する位置を重点的に冷却するような考察は一切なされていなかった。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、短時間の加熱又は冷却であっても着座する人に不快感を与えることがない便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による便座装置は、便座、便蓋を有するとともに、前記便座又は上記便座に着座する人に対して送風するための送風手段を有し、前記送風手段は、送風源と、前記送風源に接続され前記送風源から送られた風を通風する通風路と、を具備した便座装置であって、前記通風路は、中空状のチューブから構成されていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項2による便座装置は、請求項1記載の便座装置において、前記通風路は、1本のチューブ又は複数本のチューブの集合体から構成されていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項3による便座装置は、請求項1又は請求項2記載の便座装置において、前記通風路は、複数本の中空状のチューブが並列一体化されてシート状に成形されてなることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項4による便座装置は、請求項1乃至請求項3記載の便座装置において、前記便座装置は、空気を加熱又は冷却する変温手段を備えていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項5による便座装置は、請求項1乃至請求項4記載の便座装置において、前記通風路は前記送風源に対してノズルを介して接続されていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項6による便座装置は、請求項1乃至請求項5記載の便座装置において、前記通風路には吹出し口が形成されていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項7による便座装置は、請求項1乃至請求項6記載の暖房便座装置において、前記通風路は便座内上部に配置されていることを特徴とするものである。
又、本発明の請求項8による便座装置は、請求項1乃至請求項6記載の暖房便座装置において、前記通風路は便座表面に配置されていることを特徴とする暖房便座装置。
又、本発明の請求項9による便座装置は、請求項1乃至請求項6記載の暖房便座装置において、前記通風路は便蓋の便座に対向する面に配置されていることを特徴とする暖房便座装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明による便座装置によると、通風路を配置する場所に制限がなく、且つ、温風や冷風が吹出す位置を自由に設定することができるため、必要な位置から集中して加熱又は冷却することができる。そのため、短時間の加熱又は冷却であっても着座する人に不快感を与えることがない。
【0011】
また、通風路が、複数のチューブが並列一体化され、シート状に成形されているものであれば、チューブに荷重が加わったとしても、一部のチューブが完全に扁平して必要な量の温風又は冷風を送れなくなることがない。又、配設するときや繰返しの荷重が加わったときにもチューブがよじれたり、チューブ同士が重なったりしないため、チューブに形成された吹出し口を所定の位置と方向を確実に保持することになる。従って、加熱又は冷却が必要な位置に、必要な量の温風又は冷風を安定して送ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本実施の形態による便座装置20は、以下に示すような構成になっている。まず、送風手段1は、図3に示すように、ファンからなる送風源2があり、この送風源2には、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなり、内径3mmφ、外径4mmφの6本のチューブ4が並列一体化されシート状に成形された通風路3が接続されている。通風路3を構成する複数のチューブ4の上面側(便座上部側)には幅10mmの一直線スリット状の吹出し口5が10本形成されており、又、送風源2と接続されていない側の端部は塞がれている。
【0014】
こうして得られた送風手段1を、図1及び図2に示すように配設して、便座装置20を構成する。便座11及び便蓋12が取り付けられた本体ボックス13内に送風源2が収容され、送風源2の吸気口側にはPTCヒータからなる変温手段(図示しない)が設けられる。通風路3は、本体ボックス13内から便座11内に向かって配置され、吹出し口5を上側にするようにして便座11内上部に両面テープ(図示しない)により貼付される。尚、本実施の形態では、上記のように、変温手段として空気を加熱するものを用い、温風により便座を暖める便座装置について一例として示す。
【0015】
このような構成の便座装置20とすることにより、吹出し口5を形成した部分のみより温風が吹出すこととなるため、便座11の内でも、吹出し口5に位置する部分のみを集中的に加熱することができる。便座11の内周部分(図14中の符号Dで示す部分)は、人の肌に最も触れる部分であることから、この部分が目的の温度に達すれば、着座する人が便座11に冷たさを感じ難くなる。このことから、上記のような便座装置20であれば、便座11の符号Dの部分に温風が多く吹出すように吹出し口5を形成することで、符号Dの部分から集中的に加熱できるため、短時間の加熱で十分な快適性を得ることができる。このような態様の具体的な例としては、例えば、符号Dの近傍のみに吹出し口を形成する、符号Dの近傍に吹出し口を多数形成する、符号Dの近傍の吹出し口を他の部分の吹出し口よりも大きく形成する、などが考えられる。
【0016】
又、着座する人を検知する機構(例えば、着座位置を検知する機構や着座する人の体型を検知する機構など)を有した場合では、その着座する人に最適な位置から加熱をすることもできる。即ち、例えば、それぞれ独立して通風をON−OFFできるようにして複数のチューブを送風源に接続し、これら複数のチューブにはそれぞれ異なる位置に風を吹出すように吹出し口が設けられ、着座する人の着座位置や体型に応じて通風するチューブを選択し、最適な吹出し口のみから風を吹出すように制御することが考えられる。
【0017】
又、本実施の形態では、複数本の中空状のチューブが並列一体化した構造であるため、配設する際に吹出し口5の位置がずれてしまったり、吹出し口5の向きが一本毎に異なる方向を向いてしまったりすることがない。そのため、使用用途に応じた必要な通風量を安定して確保することができる。
【0018】
又、送風源2と通風路3とを接続する方法としては、図3に示した方法以外にも、例えば、図4に示すように、送風源2と通風路3とをノズル6を介して接続することが考えられる。こちらの方が、中央部から端部のいずれのチューブ4の通風量もほぼ等しくなるという利点がある。尚、送風源2とノズル6は直接接続されることに限定されず、便座11への組付け性の効率を高めるため、送風源2とノズル6を任意の断面形状を有するダクトを介して接続することも可能である。ノズル6を介して接続する場合には、便座11を取り外して清掃することを考慮して、送風源2とノズル6とが容易に着脱可能な構造とした方が好ましい。このような構造としては、例えば、ハートカム機構を用いワンプッシュで着脱する構造や、ワンタッチで着脱可能なカプラー、スナップフィット、スライド方式による嵌合、テーパ形状にして嵌め込む構造、などが挙げられるが、ノズル6が前後左右方向にがたつかなければ何れを用いても構わない。
【0019】
又、送風源2と通風路3とをノズル6を介して接続する場合は、チューブ4の断面形状が円形であれば、図5に示すように、ノズル6との接続部においてチューブ4が2列になるように接続することが考えられる。特に、チューブ4の本数が20本を超えるような場合には、接続部におけるノズル6とチューブ4との隙間を減少させることができ、送風ロスを少なくすることため好ましい。
【0020】
又、チューブ4が2列になるように接続する場合は、チューブ4のノズル側の端部において、図6のように上列と下列の接合部分を削り、所謂すり鉢状にすることも考えられる(図6にて削った部分を4aと示す。)。これにより、風が一体化されたチューブ4の中心に向かうようになり、ノズル6とチューブ4との隙間から抜け難くなるため、送風ロスを少なくすることができる。
【0021】
チューブ4の材質は特に限定されず、前記したオレフィン系熱可塑性エラストマーの他にも、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーンゴム、塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、各種エラストマーなど種々の材料を使用することができる。このような可撓性に優れる材質であれば、配設する部分が曲面の形状であっても容易に配設することが可能であるため好ましい。又、チューブ4が独立気孔を有する多孔体で構成されていれば、変温手段により加熱された温風の熱がチューブ4内壁に逃げてしまうことを防止でき、加熱時の温度を保ったままの温風を吹出し口5より吹出させることができるため好ましい。
【0022】
チューブ4の径、肉厚も特に限定されず、柔軟性、潰れ難さ、通風量、断熱性といった特性のバランスにあわせて適宜設定すればよい。又、チューブ4の長さは、所望とする送風位置や使用形態などに応じて適宜設定すればよい。
【0023】
チューブ4の本数についても、所望とする送風位置や使用形態などに応じて適宜設定すればよい。尚、上記のように本実施の形態では複数本のチューブ4を並列一体化させてシート状としたが、吹出し口5の位置や方向が変わらないように確実に配設することができれば、チューブ4を並列一体化しなくても構わないし、一本のチューブであっても構わない。1本のチューブにより通風路3を構成する場合は、例えば、図7に示すような、中空部4bを有する筒形状のものであり、この中空部4bには、長手方向に連続した隔壁4cが存在しているチューブ4を使用しても良い。この場合、隔壁4cで区切られた中空部4bがそれぞれ通風路として機能することになる。又、図8に示すように、一部のチューブ4のみを並列一体化させても良い。
【0024】
又、チューブ4の断面形状も特に限定されない。例えば、図9及び図10に示すような複数孔の開いた角型であれば、チューブ4同士の接着強度も断面形状が円形のチューブで4は線状に近い接着面であるが、角型のチューブ4の場合は接着面が広いため、より接着強度が得られる利点がある。更に、角型のチューブ4の場合は断面が円形の場合に比べて高さが低くても同じ通風量が得られるため、便座11の厚さが薄い場合にも便座11内に配置することができる。又、一定の面積に必要な本数が少なくてすむためコストを抑えることができるという利点もある。一方、チューブ4の断面形状が円形であれば、実使用上で想定される以上の荷重が加わっても、断面形状が角型の場合よりもチューブ4が潰れ難いという利点がある。又、曲面部に通風路3を組み込む場合には、チューブ4の断面形状が円形の場合は、断面形状が四角形状の場合よりも曲げ易いため、組み込み易いという利点もある。要は使用状態に併せて断面形状を適宜に選定すれば良い。
【0025】
吹出し口5の位置は各チューブ4毎に異なっていても良いし、一直線状に形成しても良いが、図3においては、量産性の面から一直線スリット状の吹出し口5を形成している。吹出し口5の大きさに特に限定はないが、例えば、内径3mmφ、外径4mmφのチューブ4を使用し、一直線スリット状の吹出し口5を形成する場合、吹出し口5の幅が5〜15mm程度とすることが好ましい。又、吹出し口5の位置は、加熱が必要な位置に応じて任意に形成すれば良い。
【0026】
又、図3においては、送風源2と接続されていない側の端部を塞いでいるが、図8に示すように、送風源2と接続されていない側の端部の一部又は全部を塞がずに開口した状態としておき、そこを吹出し口5として機能させることも考えられる。又、端部を開口とする場合は、端部の上部を切欠き、上方へ風が吹出すようにしても良い。要は、使用用途に応じた必要な通風量が、必要な位置にて得られるようにチューブ4の任意の位置に吹出し口5を形成すれば良い。
【0027】
複数のチューブ4を並列一体化する方法であるが、本実施の形態では、予め公知の押出し成形工法により必要本数のチューブ4を用意しておき、これらを並列に並べたものを、チューブ4の幅の合計値より若干狭い枠に収め、その上にチューブ4の全体を覆うように金属板を載せ、所定の加重を加えた状態で加熱してチューブ4を軟化させてチューブ4同士を接着一体化させた。加熱条件は、常温から200℃まで約1時間のプロファイルとし、これにより必要とする接着強度を得た。
【0028】
尚、本発明において、複数のチューブを並列一体化する方法としては、前記のように加圧加熱により軟化させ接着させる方法に限定されるものではない。例えば、別の方法としては、予め成形された複数のチューブを並列に並べた後、隣接するチューブ同士を接着剤等を使用して接着することも考えられる。この方法においては、例えばチューブの材質をシリコーンゴムとした場合は、熱硬化型シリコーン接着剤が適している。
【0029】
又、別の方法としては、予め成形された複数のチューブを並列に並べた後、隣接するチューブの接触面にレーザ光線を照射し、チューブ同士を融着一体化する方法も考えられる。この場合、チューブの材質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などの融点が200℃以上の樹脂でも使用することが可能となる。
【0030】
又、別の方法としては、熱可塑性樹脂製の編み糸、あるいは各種の繊維に熱可塑性樹脂をコーティングした編み糸により、複数のチューブをすだれ形状に編み込んだ後、加熱することによりチューブと前記編み糸の熱可塑性樹脂同士を軟化接着することで隣接するチューブの間隔が保持されたシート状に成形する方法も考えられる。
【0031】
又、別の方法としては、従来公知の同時押出成形工法により所定の幅を有するベルト状のチューブを成形してシート状にする方法や、樹脂製フィルムを従来公知の熱プレス成形工法やウエルダー工法により並行した複数孔を有するシート状に成形する方法も考えられる。又、公知の射出成形工法により、平行な複数孔を有するシート状の成形品を直接製造する方法も考えられる。
【0032】
又、樹脂やエラストマーなどのシート上にチューブを並行に配置し、このシートとチューブとを一体化させる方法も考えられる。具体的な例としては、チューブと同じ材質(本実施の形態の場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマー)を使用して、熱融着によりチューブとシートとを一体化させる方法、表面に接着層を有するシートを使用して、この接着層によりチューブとシートとを一体化させる方法などが挙げられる。尚、前記ではシートという記載をしたが、勿論、布状のものやフィルム状のものを使用しても構わない。
【0033】
又、複数本のチューブ4とシートを一体化させる方法として、図11に示すように、開口した複数本のチューブ4の先に所定の間隔を存した状態で別の複数本のチューブ4を設置し、更にその先に所定の間隔を存した状態で別の複数本のチューブ4を設置し、それらをシート8によって一体化させることが考えられる。この場合、上記所定の間隔の部位が吹出し口5になる。
【0034】
変温手段としては、本実施の形態では空気を加熱するものとして、PTCヒータを使用したが、特に制限はなく、例えば、コード状ヒータ、フィルムヒータ、IH方式のヒータなどを用いてもよい。又、変温手段を送風源2の吸気口側に配置したが、送風源2の排気口側に配置しても構わない。又、送風源の中に変温手段が組込まれ、加熱と送風を同時に行うことができるものを用いても構わない。又、変温手段として、空気を加熱するものでなく、空気を冷却するものであれば、夏場等に便座が熱くなったとしても不快感を取り除くことができる。このような例として、例えば、温風や冷風を発生することのできるペルチェ素子を内蔵させたものを用いることが考えられる。
【0035】
又、本実施の形態では、吹出し口5に対応する位置において便座11の上面に孔を開けていても良い。こうすることで、吹出し口5から吹出された温風(又は冷風)が直接着座する人の臀部や腿部に当たることになるため、より確実に、着座する人は温かさ(又は涼しさ)を感じることができる。
【0036】
上記した実施の形態による便座装置20においては、通風路3を便座11内上部に貼付したが、図12に示すように、通風路3の吹出し口5が上面になるようにして、便座11の表面に貼付しても良い。便座11表面へ通風路3を配置する方法としては、貼付以外にも、送風手段1を便座11とは別部品のシート等にして、便座11と便蓋12との間において別可動で開閉が可能な構造とすることも考えられる。この場合、送風手段1を単体として着脱することが容易となるといった利点が挙げられる。
【0037】
このような構成の便座装置20とすることにより、着座する人の臀部又は腿部に直接温風(又は冷風)が吹出すことになる。そのため、便座11の温度に関係なく、且つ、加熱(又は冷却)時間をほとんど必要とせず、着座する人は温かさ(又は涼しさ)を感じることができ、非常に快適なものとなる。又、このような構成の場合、変温手段がない態様であっても、着座する人の臀部や腿部の蒸れを防止することが可能という効果を得ることができる。
【0038】
このような構成の場合、着座する人が通風路3の上に直接着座することになるため、通風路3には大きな荷重が加わることになる。そのため、送風手段1はチューブ4が並列一体化されてシート状としたものであることが非常に好ましい。このような構成の送風手段1とすることにより、チューブ4に上から荷重が加わってチューブ4が扁平しようとしても、横同士のチューブ4が一体化されているため、扁平された部分の逃げ場がなくなり、一定以上の変形が制限される。そのため、実使用上で想定される荷重が加わっても完全に潰れることはなく、所望とする通風量を確保することができる。
【0039】
ここで、チューブ4を並列一体化しない場合、着座時の通風量は、着座しない場合に比較して最大で0.6%まで減少するのに対し、本実施の形態のように、チューブ4を並列一体化した場合には、最大47%の減少に止まっていることを実験により確認している。
【0040】
又、図13に示すように、通風路3の吹出し口5が便座11側になるようにして、便蓋12の便座11に対向する面に貼付しても良い。このような構成の場合、便蓋12が閉まっている状態に便座11を加熱(又は冷却)させることになる。そのため、例えば、人の出入りを検知する検知手段、及び、この検知手段と連動して便蓋12の開閉を行う制御手段とを組合せて使用すると効果的である。即ち、トイレ内に人が居ない状態では常に便蓋12は閉まっており、人がトイレ内に入ってくると同時に便座11の加熱(又は冷却)を開始し、人が便器に近付く時間を見計らって便蓋12を開くといった一連の制御を行うことが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上、詳述したように本発明によれば、短時間の加熱又は冷却であっても着座する人に不快感を与えることがない便座装置を提供することができる。本発明による便座装置は、据付タイプの便器のみならず、例えば、内蔵バッテリーを付属させることにより、老人介護用や幼児用などの簡易便器に対しても応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、便座11内上部に通風路3が配置されている便座装置20を示す一部透視斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、図1におけるA−A’断面を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、通風路3が送風源2と直接接続された構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、通風路3が送風源2とノズル6を介して接続された構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す図で、ノズル6との接続部においてチューブ4が2列になるように接続された構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図で、チューブ4のノズル側の端部において、チューブ4の上列と下列の接合部分を削った状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、チューブ4の他の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態を示す図で、チューブ4の送風源2と接続されていない側の端部を開口とした構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図で、角型チューブ4による通風路3が送風源2とノズル6を介して接続された構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態を示す図で、図9におけるB−B’断面を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態を示す図で、所定の間隔を存した状態で別の複数本のチューブ4を設置し、それらをシート8によって一体化した構造の送風手段1を示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施の形態を示す図で、便座11表面に通風路3が配置されている便座装置20を示す一部透視斜視図である。
【図13】本発明の他の実施の形態を示す図で、便蓋12の便座11に対向する面に通風路3が配置されている便座装置20を示す一部透視斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態を示す図で、便座装置20を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 送風手段
2 送風源
3 通風路
4 チューブ
5 吹出し口
6 ノズル
11 便座
12 便蓋
13 本体ボックス
20 便座装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座、便蓋を有するとともに、前記便座又は上記便座に着座する人に対して送風するための送風手段を有し、前記送風手段は、送風源と、前記送風源に接続され前記送風源から送られた風を通風する通風路と、を具備した便座装置であって、前記通風路は、中空状のチューブから構成されていることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
請求項1記載の便座装置において、前記通風路は、1本のチューブ又は複数本のチューブの集合体から構成されていることを特徴とする便座装置。
【請求項3】
請求項1記載の便座装置において、前記通風路は、複数本の中空状のチューブが並列一体化されてシート状に成形されてなることを特徴とする便座装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項3記載の便座装置において、前記便座装置は、空気を加熱又は冷却する変温手段を備えていることを特徴とする便座装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4記載の便座装置において、前記通風路は前記送風源に対してノズルを介して接続されていることを特徴とする便座装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5記載の便座装置において、前記通風路には吹出し口が形成されていることを特徴とする便座装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6記載の便座装置において、前記通風路は便座内上部に配置されていることを特徴とする便座装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6記載の便座装置において、前記通風路は便座表面に配置されていることを特徴とする便座装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6記載の便座装置において、前記通風路は便蓋の便座に対向する面に配置されていることを特徴とする便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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