説明

便座

【課題】軽量化が図れる便座を提供する。
【解決手段】便座4は、合成樹脂よりなる便座外郭体1と、便座外郭体1の内部の中空部2とを備える。中空部2内には大気圧よりも高い圧力の高圧ガスが封入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
便座の外郭を構成する便座外郭体は、特許文献1に示されるように、人体の着座面を有する断面逆U字状をした合成樹脂製の外郭本体部の下開口部に、便器に対面する合成樹脂製の基台部を溶着した構造となっている。
【0003】
便座外郭体の内部は中空部となっており、この中空部内に位置するように外郭本体部の内面にヒータを取付け、着座面を加熱するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−342036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような内部が中空部となった合成樹脂製の便座外郭体は、肉厚を厚く(例えば2.5mm以上)形成すると共に、中空部にリブを立て込んで着座面にかかる人体の荷重を支持している。
【0006】
このように便座外郭体の肉厚が厚く、中空部にリブを立て込むため、便座の重量が重くなり、便座の開閉軸や、便座を回動するためのモータに大きな負担がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、軽量化が図れる便座を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便座は、合成樹脂よりなる便座外郭体と、便座外郭体の内部の中空部とを備え、中空部内に大気圧よりも高い圧力の高圧ガスが封入されていることを特徴とする。
【0009】
また、中空部内にヒータを設け、封入される高圧ガスが不活性ガスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、内部の中空部に封入された大気圧よりも高い圧力の高圧ガスで便座外郭体の着座面にかかる人体の荷重の支持を負担でき、この結果、便座外郭体の肉厚を薄くして便座の軽量化が図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の便座を示し、図2のX−X線の断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】図2のX−X線の他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
便座4の外郭を構成する便座外郭体1は、図1に示されるように、断面逆U字状をした合成樹脂製の外郭本体部5の下開口部に、便器に対面する合成樹脂製の基台部6を超音波溶着や振動溶着等で溶着することで形成してある。
【0014】
断面逆U字状の外郭本体部5の上面部は人体の臀部を支持するための着座面7となっている。
【0015】
この便座外郭体1は内部に中空部2を有している。この便座外郭体1の内部の中空部2に大気圧よりも高い圧力の圧縮空気などの高圧ガスが封入されて便座4が構成される。
【0016】
従来の便座においては、便座外郭体1の着座面7にかかる人体の荷重は、便座外郭体1単独で支えられる。
【0017】
これに対し、本実施形態では、便座外郭体1の着座面7にかかる人体の荷重が、便座外郭体1と、便座外郭体1の内部の中空部2に封入した高圧ガスの圧力とで支えられる。
【0018】
したがって、本実施形態の便座外郭体1を構成する外郭本体部5、基台部6は、いずれも従来の便座外郭体1を構成する外郭本体部5、基台部6よりも肉厚が薄く形成しても着座面7にかかる人体の荷重を支えることが可能となる。
【0019】
また、外郭本体部5、基台部6にリブを立て込まなくても、着座面7にかかる人体の荷重を支えることが可能となる。
【0020】
なお、便座外郭体1の中空部2内に封入した大気圧よりも高い高圧ガスの圧力は、便座外郭体1の肉厚との関係で決定されるので、特に限定はない。つまり、封入される高圧ガスの圧力と、便座外郭体1の肉厚との関係は、便座外郭体1の着座面7にかかる人体の荷重は、便座外郭体1単独で支えられるという条件を満たす範囲で任意に設定できる。
【0021】
例えば、便座外郭体1の肉厚を0.2〜2.0mmで設定し、封入されるガス圧の圧力を大気圧よりも高圧で且つ5MPa以下の範囲で設定する。ここで、封入されるガス圧5MPa以下とするのは、不活性ガスは5MPa以下は高圧ガス保安法における高圧ガスとしての規制の対象にならないので、ガス圧5MPa以下とする。
【0022】
このように、本実施形態は、便座外郭体1を構成する外郭本体部5、基台部6の肉厚を薄くし、リブを設けなくても着座面7にかかる人体の荷重を支えることが可能となるので、便座4全体の重量を従来の便座よりも軽量化することができる。
【0023】
便座4の重量が軽くなると、取扱いがし易く、便座4の回転軸にかかる負担を軽減することができる。
【0024】
また、便座4をモータで回転するタイプのものにおいては、モータにかかる負担を軽減することができる。
【0025】
次に、本発明の他の実施形態を図3に基づいて説明する。
【0026】
本実施形態の便座4は、便座外郭体1内の中空部2にヒータ3が設けてある。具体的にはヒータ3は、着座面7に対応する外郭本体部5の内面部に取着されていて、ヒータ3に通電して加熱することで、着座面7を加温するようになっている。
【0027】
ここで、前述のように便座外郭体1の肉厚が薄くできるので、着座面7をヒータ3で加温するに当り、ヒータ3の加熱能力が従来よりも低くても、着座面7を従来と同等に加温することが可能となる。
【0028】
そして、本実施形態では、ヒータ3を設けた中空部2内に、大気圧よりも高い圧力の高圧ガスとして、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガスが封入される。このように中空部2内に封入する高圧ガスとして不活性ガスを用いることで、不活性ガスによりヒータ3の酸化防止を図ることができる。
【0029】
なお前述の各実施形態は、内部に中空部2を有する便座外郭体1を外郭本体部5と基台部6を溶着することで形成した例を示したが、内部に中空部2を有する便座外郭体1を合成樹脂で一体に成形してもよい。
【0030】
すなわち、本実施形態はガスアシスト成形などによって内部に大気圧よりも高圧のガスを充填させた後、ノズル部を樹脂で塞ぐことにより一工程で内部が中空部2となった外郭本体部5を形成することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 便座外郭体
2 中空部
3 ヒータ
4 便座


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂よりなる便座外郭体と、便座外郭体の内部の中空部とを備え、中空部内に大気圧よりも高い圧力の高圧ガスが封入されていることを特徴とする便座。
【請求項2】
中空部内にヒータを設け、封入される高圧ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項1記載の便座。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−223351(P2012−223351A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93304(P2011−93304)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】