説明

係合構造

【課題】製造工程において確認作業を簡易化し、品質を向上させることができる係合構造を提供する。
【解決手段】先端に係合爪部52が設けられた弾性片53を有する合成樹脂からなる支持体5(第1の部材)と、係合爪部52に係合する被係合部41を有する表示板(第2の部材)4とを有し、係合爪部52を被係合部41に係合することにより支持体5と表示板4を結合する係合構造において、係合爪部52を被係合部41に係合した際、係合爪部52の先端側から表示板を目視可能なスリット部54を係合爪部52に設けたことにより、表示板4に対して面直の状態となる係合爪部52の先端側からスリット部54を通じて係合爪部の係合状態を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂からなる第1の部材と任意の第2の部材とを、第1の部材に設けた係合爪部を介して結合する係合構造に関するもので、例えば車両用表示装置に組み込まれる部品を結合するのに好適な係合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の係合構造として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。当該文献に記載の係合構造は、車両用表示装置において、所要部品を収容するケース体(第1の部材)と、所定の表示意匠が形成された表示板(第2の部材)とを結合するものである。ケース体は合成樹脂からなり、先端に係合爪部が設けられた弾性片を有している。表示板は合成樹脂からなる平板に印刷により表示意匠を施してなり、係合爪部に対応する外周部の部分領域には係合爪部に係合する被係合部を有している。そしてこれらケース体と表示板とは、ケース体の係合爪部を表示板の被係合部に係合することにより互いに結合される。
【特許文献1】特開2002−107183号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような係合構造にあっては、製造工程において係合部が確実に表示板に係合しているか否かを確認する必要があるが、表示板に対して面直の状態となる係合爪部の先端側から係合部の係合状態を確認しづらく、表示装置を斜めにしたり、横にしたりして目視確認しなければならず、製造工程を煩雑にしてしまうといった問題があった。またこの確認作業を怠ると、過酷な環境下で使用される車両用表示装置にあっては、表示板が振動してビビリ音が発生したり、振動に伴う部品の削れ等が発生し、品質を低下させてしまうおそれがあるという問題があった。
【0004】
本発明は前述した問題点に着目し、製造工程において確認作業を簡易化し、品質を向上させることができる係合構造を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するため、先端に係合爪部が設けられた弾性片を有する合成樹脂からなる第1の部材と、前記係合爪部に係合する被係合部を有する第2の部材とを有し、前記係合爪部を前記被係合部に係合することにより前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する係合構造において、前記係合爪部を前記被係合部に係合した際、前記係合爪部の先端側から前記第2の部材を目視可能なスリット部を前記係合爪部に設けたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記スリット部が前記係合爪部だけに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、製造工程において確認作業を簡易化し、品質を向上させることができる係合構造を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2は本発明の一実施形態として、本発明による係合構造を車両用の表示装置に適用した例を示し、図1は表示装置の要部断面図、図2は係合爪部周辺を図1中、矢印A方向から見たときの平面図である。
【0009】
図1において、本実施形態による表示装置は、裏カバー1と表カバー2,3との間に、例えば図示しないアナログ式計器の表示板4と、この表示板4を支持する支持体5と、この支持体を図示省略した箇所で支持すると共にアナログ式計器を電気的に作動させる回路基板6とでなる表示器7を収納固定してなる。
【0010】
表示板4は、合成樹脂からなる平板基材に印刷により表示意匠(図示しない)を施してなり、後述する係合爪部に対応する外周部の部分領域に、前記係合爪部が係合する被係合部41を有している。
【0011】
支持体5は、合成樹脂からなり、表示板4を受ける受部51と、この受部51に表示板4を載置した際に表示板4の被係合部41に係合する係合爪部52が先端に設けられた弾性片53とを有し、このように構成された支持体5と表示板4とは、支持体5の係合爪部52を表示板4の被係合部41に係合することにより互いに結合され、支持体5の表示板4の支持を可能とするものである。
【0012】
支持体5への表示板4の装着は、まず表示板4の角部を係合爪部52の先端側に位置合わせし、次に表示板4を面直方向(図1中矢印A方向)に移動させると前記面直方向に対して傾斜する傾斜面をなす係合爪部52の外壁部が外側(図1中、右側)に押されて弾性片53が弾性変形し、さらに表示板4を面直方向に移動させて受部51上に表示板4を載置すると、表示板4の角部が係合爪部52を通り越すため、撓んでいた弾性片53がその弾性変形力によって元の位置に復帰し、係合爪部52の表示板4との対向面が表示板4の被係合部41に係合する。
【0013】
ここで、係合爪部52には、その略中央にスリット部54が形成されており、係合爪部52を被係合部41に係合し、図2に示すように、係合爪部52の先端側(図1中矢印A方向)から係合部分を見たとき、スリット部54を通じて表示板4を目視することができるようになっている。
【0014】
またスリット部54は、係合爪部52だけに設けられ、弾性片53には設けられていない。
【0015】
以上のように本実施形態では、先端に係合爪部52が設けられた弾性片53を有する合成樹脂からなる支持体5(第1の部材)と、係合爪部52に係合する被係合部41を有する表示板(第2の部材)4とを有し、係合爪部52を被係合部41に係合することにより支持体5と表示板4を結合する係合構造において、係合爪部52を被係合部41に係合した際、係合爪部52の先端側から表示板を目視可能なスリット部54を係合爪部52に設けたことにより、表示板4に対して面直の状態となる係合爪部52の先端側からスリット部54を通じて係合爪部の係合状態を確認することができるので、確認作業を簡易化することができ、また確認漏れの発生を抑えて品質を向上させることができる。
【0016】
また本実施形態では、スリット部54が係合爪部52だけに設けられているものであり、これにより、弾性片53の強度低下を抑えることができる。
【0017】
なお本実施形態では、本発明による係合構造を車両用の表示装置における支持体5と表示板4との結合構造に適用したが、本発明の適用対象は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置の要部断面図。
【図2】同実施形態における係合爪部周辺を図1中、矢印A方向から見たときの平面図。
【符号の説明】
【0019】
1 裏カバー
2,3 表カバー
4 表示板
5 支持体
6 回路基板
7 表示器
41 被係合部
51 受部
52 係合爪部
53 弾性片
54 スリット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に係合爪部が設けられた弾性片を有する合成樹脂からなる第1の部材と、前記係合爪部に係合する被係合部を有する第2の部材とを有し、前記係合爪部を前記被係合部に係合することにより前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する係合構造において、
前記係合爪部を前記被係合部に係合した際、前記係合爪部の先端側から前記第2の部材を目視可能なスリット部を前記係合爪部に設けたことを特徴とする係合構造。
【請求項2】
前記スリット部が前記係合爪部だけに設けられていることを特徴とする請求項1記載の係合構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−275025(P2008−275025A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117182(P2007−117182)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】