説明

保守装置、保守方法及びプログラム

【課題】予め保守作業計画を登録することなく、保守作業に起因する警報を判定する。
【解決手段】保守装置1は、設備装置からメッセージを受信する受信部と、保守作業範囲情報記憶部と、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除する保守作業範囲特定機能部と、異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定する判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守装置、保守方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおける保守作業実行時の警報を監視する方法が特許文献1に記載されている。通信ネットワークを構成する装置は、異常を検知すると警報を発生するため、通信ネットワークの保守作業時には、この保守作業によって影響を受ける影響範囲にある装置から警報が発生する。このため、保守作業により警報が発生したのか、実際の故障等により警報が発生したのかを判別することが困難であった。特許文献1に記載された方法では、監視者が保守作業計画、作業の開始日時・作業の終了日時等を入力し、入力された情報に基づいて保守作業時に発生される警報をシミュレーションにより求める。そして、シミュレーションによって求めた警報と保守作業時に発生した警報とを比較して、実際に発生した警報を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−223293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、予め保守作業計画を登録する必要があり、登録漏れ、作業の開始日時及び作業の終了日時の誤登録、或いは、保守作業の遅延等が生じた場合には、保守作業に起因する警報を正確に判別することができない、という問題がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め保守作業計画を登録することなく、保守作業に起因する警報を判定することができる保守装置、保守方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、設備装置からメッセージを受信する受信部と、保守作業範囲情報記憶部と、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除する保守作業範囲特定機能部と、異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定する判定部と、を備えることを特徴とする保守装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の保守装置において、前記受信部により受信されたメッセージを記憶するメッセージ記憶部を備え、前記保守作業範囲特定機能部は、前記開始時コマンドの開始を通知する応答メッセージである開始時メッセージの送信時刻より前に当該開始時コマンドの送信先の設備装置から警報が送信されていない場合に、当該設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部に登録することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の保守装置において、設備装置毎に、当該設備装置の保守作業をした場合に影響を受ける他の前記設備装置である影響波及装置を記憶する情報記憶部と、を備え、前記保守作業範囲特定機能部は、前記開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置と当該設備装置の影響波及装置とを前記保守作業範囲情報記憶部に登録し、前記終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置と当該設備装置の影響波及装置とを前記保守作業範囲情報記憶部から削除することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の保守装置において、前記受信部により受信されたメッセージのうち、前記保守作業に起因する警報以外のメッセージを出力する出力部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、保守装置が、設備装置からメッセージを受信するステップと、前記保守装置が、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除するステップと、前記保守装置が、異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定するステップと、を有することを特徴とする保守方法である。
【0011】
また、本発明の一態様は、設備装置からメッセージを受信するステップと、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除するステップと、異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除する。そして、警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定する。これにより、予め保守作業計画を登録することなく、保守作業に起因する警報を判定することができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態による保守管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態による設備装置が送信するメッセージの種別を示す概略図である。
【図3】第1の実施形態によるメッセージのデータ構造を示す概略図である。
【図4】第1の実施形態によるコマンド応答メッセージのデータ構造を示す概略図である。
【図5】第1の実施形態による保守装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態による保守作業範囲特定機能部が保持する閉塞コマンドリストのデータ構造を示す概略図である。
【図7】第1の実施形態によるネットワークトポロジ情報記憶部が記憶するネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
【図8】第1の実施形態による保守作業範囲情報記憶部に記憶される保守作業範囲情報のデータ構造を示す概略図である。
【図9】第1の実施形態による保守作業時間帯を示す概略図である。
【図10】第1の実施形態による閉塞状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施形態による保守作業範囲特定機能処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第1の実施形態による閉塞開始受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施形態による閉塞開始結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第1の実施形態による閉塞解除受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】第1の実施形態による閉塞解除結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第1の実施形態によるフィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施形態による保守作業時間帯を示す概略図である。
【図18】第2の実施形態による閉塞開始受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施形態による閉塞開始結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】保守作業範囲特定機能部が保持する閉塞コマンドリストの他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態による保守管理システムの構成を示すブロック図である。
保守管理システムは、保守装置1と、保守端末2と、複数の設備装置3とを含んで構成され、設備装置3の保守作業を管理するためのシステムである。保守装置1と、保守端末2と、設備装置3とは、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークにより接続されている。
保守装置1は、設備装置3の保守作業を管理するサーバ装置である。保守装置1は、設備装置3の保守作業時に、設備装置3から受信したメッセージが、保守作業に起因する警報なのか、実際に発生した異常に起因する警報なのかを判定し、保守作業に起因する警報以外のメッセージを保守端末2に転送する。また、保守装置1は、保守端末2から保守作業コマンドを受信すると、受信した保守作業コマンドを設備装置3に送信する。保守作業コマンドは、保守作業を行うためのコマンドである。
【0016】
保守端末2は、保守作業を行う作業者が操作する端末であり、保守作業コマンドを保守装置1に送信する。また、保守端末2は、保守装置1からメッセージを受信すると、受信したメッセージの内容を保守端末2の画面等に出力する。
設備装置3は、保守作業の対象となる装置である。設備装置3は、ルータやSIP(Session Initiation Protocol)サーバ等のネットワークを構成する装置である。設備装置3は、各種のメッセージを保守装置1に送信する。
【0017】
図2は、本実施形態による設備装置3が送信するメッセージの種別を示す概略図である。
メッセージは、自律メッセージとコマンド応答メッセージとに分類される。
自律メッセージは、設備装置3が自らの稼動状況に応じて保守装置1に送信するメッセージである。自律メッセージは、警報と通知との2種類のメッセージに分類される。
通知は、設備装置3における通常の稼動状況を保守装置1に通知するメッセージである。
【0018】
警報は、設備装置3や設備装置3に接続された通信ケーブルなどの異常(例えば、リンク断や装置故障等)や注意すべく稼動状況を保守装置1に通知する緊急性の高いメッセージである。警報は、警報元メッセージと警報波及メッセージとに分類される。警報元メッセージは、設備装置3が自装置の異常を検知した場合に送信する警報である。警報波及メッセージは、他の装置の異常により影響を受けた設備装置3が送信する警報である。
警報には、ネットワークやそれに接続される各種の装置の故障や異常が原因で通知される警報(以下、故障メッセージとする)と、保守作業に起因する警報(以下、保守作業関連メッセージとする)とがある。保守作業関連メッセージは、ネットワークやそれに接続される各種の装置の故障や異常が原因で通知される警報ではなく、ネットワークや装置の点検などの保守作業や、装置の増設や交換などの設備工事に伴い通知される警報である。しかしながら、設備装置3は、実際に異常が発生したのか保守作業を実施しているのかを判定することができないため、故障メッセージと保守作業関連メッセージとを区別して送信することはできない。
【0019】
コマンド応答メッセージは、保守端末2から保守装置1を介して設備装置3へ投入したコマンドに対する応答として、設備装置3が保守装置1へ送信するメッセージである。保守作業コマンドとしては、例えば、設備装置3を停止させるための閉塞開始コマンドと、閉塞開始コマンドの命令を解除する閉塞解除コマンドとがある。閉塞開始コマンドに対応するコマンド応答メッセージは、閉塞開始受付メッセージと、閉塞開始結果メッセージである。閉塞開始受付メッセージは、閉塞開始コマンドの処理を開始したことを通知するメッセージである。閉塞開始結果メッセージは、閉塞開始コマンドの処理結果を通知するメッセージである。また、閉塞解除コマンドに対応するコマンド応答メッセージは、閉塞解除受付メッセージと、閉塞解除結果メッセージである。閉塞解除受付メッセージは、閉塞解除コマンドの処理を開始したことを通知するメッセージである。閉塞解除結果メッセージは、閉塞解除コマンドの処理結果を通知するメッセージである。
【0020】
図3は、本実施形態によるメッセージのデータ構造を示す概略図である。
メッセージは、メッセージ種別と、各種別の独自領域との項目を有する。メッセージ種別は、各メッセージの種別(警報、通知、コマンド応答等)を識別するための識別子である。各種別の独自領域は、各種別に応じたデータ領域である。
【0021】
図4は、本実施形態によるコマンド応答メッセージのデータ構造を示す概略図である。
コマンド応答メッセージは、メッセージ種別と、コマンドIDと、実施状況と、実施結果と、送信元装置と、送信時刻との項目を有する。コマンドIDと、実施状況と、実施結果と、送信元装置と、送信時刻とが各種別の独自領域である。メッセージ種別にはコマンド応答を示す値が格納される。コマンドIDは、対応するコマンドのID(識別子)である。実施状況は、コマンドの実施状況(開始或いは終了)を示す。実施結果は、コマンドの実施結果(なし、正常、或いは、異常)を示す。送信元装置は、コマンド応答メッセージの送信元の設備装置3のID(識別子)及び名称である。送信時刻は、コマンド応答メッセージの送信時刻である。
【0022】
図5は、本実施形態による保守装置1の機能構成を示すブロック図である。
保守装置1は、判定装置10を含んで構成される。判定装置10は、設備装置3から受信したメッセージが保守作業関連メッセージであるか否かを判定し、保守作業関連メッセージ以外のメッセージを保守端末2に転送する。判定装置10は、閉塞状態判定機能部101と、保守作業範囲特定機能部102と、フィルタリング部103と、メッセージ記憶部104と、ネットワークトポロジ情報記憶部105と、保守作業範囲情報記憶部106と、受信部107とを含んで構成される。
【0023】
受信部107は、設備装置3から保守装置1宛に送信された全てのメッセージを受信し、受信したメッセージを閉塞状態判定機能部101に出力する。また、受信部107は、受信したメッセージをメッセージ記憶部104に書き込む。
閉塞状態判定機能部101は、入力されたメッセージのメッセージ種別に基づいて、コマンド応答メッセージを抽出し、抽出したコマンド応答メッセージを保守作業範囲特定機能部102に出力する。また、閉塞状態判定機能部101は、入力された全てのメッセージをフィルタリング部103に出力する。
【0024】
メッセージ記憶部104は、設備装置3から受信した全てのメッセージを記憶する。或いは、メッセージ記憶部104は、受信した最新の所定数のメッセージ又は直近の所定時間内に受信したメッセージを記憶してもよい。すなわち、メッセージ記憶部104は、古いメッセージから順に削除してもよい。
ネットワークトポロジ情報記憶部105は、ある設備装置3の保守作業をした場合に、この保守作業によって影響を受ける範囲(影響を受ける他の設備装置3)を記憶する。
【0025】
保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージとネットワークトポロジ情報記憶部105が記憶するネットワークトポロジ情報とメッセージ記憶部104に記憶された警報とに基づいて、保守作業範囲情報を特定し、特定した保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106に書き込んで保存する。保守作業範囲情報は、保守作業の対象である設備装置3(以下、保守作業元装置とする)と、保守作業により影響を受ける設備装置3(以下、保守作業波及装置とする)と、保守作業開始時刻とを含む。ここでは、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻とする。具体的には、保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞開始受付メッセージである場合に、設備装置3が閉塞開始受付メッセージを送信した時刻より前に、閉塞開始受付メッセージの送信元装置が警報を送信していないか否かを判定する。すなわち、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始受付メッセージの送信時刻より前に送信元装置から送信された警報がメッセージ記憶部104に記憶されているか否かを判定する。そして、送信元装置から警報が送信されていない場合に、保守作業範囲特定機能部102は、この閉塞開始コマンドが保守作業のためのものであると判定し、この閉塞開始受付メッセージの送信元装置を保守作業元装置とし、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻とする。また、保守作業範囲特定機能部102は、ネットワークトポロジ情報記憶部105が記憶するネットワークトポロジ情報を参照し、保守作業元装置の影響波及装置を保守作業波及装置とする。一方、送信元装置から警報が送信されている場合には、保守作業範囲特定機能部102は、この閉塞開始コマンドが実際に発生した異常の対応のものであると判定し、保守作業範囲情報を特定しない。
【0026】
保守作業範囲情報記憶部106は、保守作業範囲情報を記憶する。
フィルタリング部103は、保守作業範囲情報記憶部106に記憶されている保守作業範囲情報に基づいて、閉塞状態判定機能部101から入力されたメッセージが保守作業関連メッセージであるか否かを判定する。具体的には、フィルタリング部103は、保守作業範囲情報の保守作業開始時刻以降に保守作業範囲情報の設備装置3から送信された警報を保守作業関連メッセージと判定する。そして、フィルタリング部103は、保守作業関連メッセージ以外のメッセージを保守端末2に転送する。
【0027】
図6は、本実施形態による保守作業範囲特定機能部102が保持する閉塞コマンドリストのデータ構造を示す概略図である。
閉塞コマンドリストは、保守作業の開始時に設備装置3に対して送信される閉塞開始コマンドと、保守作業の終了時に設備装置3に対して送信される閉塞解除コマンドとを特定するためのリストである。閉塞コマンドリストは、閉塞コマンドIDと、種別との項目を有する。閉塞コマンドIDには、閉塞開始コマンドの閉塞コマンドIDと閉塞解除コマンドの閉塞コマンドIDとが格納される。種別は、閉塞コマンドの種別(開始又は解除)を示す。図示する例では、閉塞コマンドID「001」が閉塞開始コマンドであり、閉塞コマンドID「002」が閉塞解除コマンドである。
【0028】
図7は、本実施形態によるネットワークトポロジ情報記憶部105が記憶するネットワークトポロジ情報のデータ構造を示す概略図である。
図示するように、ネットワークトポロジ情報は、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、影響元装置と、影響波及装置との各項目の列を有している。このテーブルの各行は影響元装置毎に存在する。影響元装置は、設備装置3のID(識別子)及び名称である。影響波及装置は、影響元装置を保守作業を行うために閉塞したときに、その影響を受けて実際には故障はしていないにも関わらず警報を送信する他の設備装置3のID及び名称である。影響波及装置には、1又は複数の設備装置3が設定される。図示する例では、影響元装置「A」の保守作業をした場合には、影響波及装置「B」及び「C」が影響を受ける。また、影響元装置「B」の保守作業をした場合には、影響波及装置「D」が影響を受ける。
【0029】
図8は、本実施形態による保守作業範囲情報記憶部106に記憶される保守作業範囲情報のデータ構造を示す概略図である。
図示するように、保守作業範囲情報は、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、保守作業元装置と、保守作業波及装置と、保守作業開始時刻との各項目の列を有している。保守作業元装置は、保守作業を行っている設備装置3のID及び名称である。保守作業波及装置は、保守作業により影響を受ける設備装置3のID及び名称である。保守作業波及装置には、1又は複数の設備装置3が設定される。保守作業開始時刻は、保守作業を開始した時刻である。図示する保守作業範囲情報は、保守作業元装置「A」の保守作業を保守作業開始時刻「2011年01月01日00時00分00秒」に開始し、この保守作業により影響を受ける保守作業波及装置は「B」と「C」であることを表す。
【0030】
図9は、本実施形態による保守作業時間帯を示す概略図である。
保守作業時間帯(フィルタリング対象範囲)は、保守作業を行っていると仮定する期間である。判定装置10は、保守作業時間帯に保守作業範囲情報の設備装置3から送信された警報を保守作業関連メッセージと判定する。本実施形態による保守作業時間帯(フィルタリング対象範囲)は、設備装置3が閉塞開始コマンドに対応する処理を開始した時刻(閉塞開始受付メッセージの送信時刻)から、設備装置3が閉塞解除コマンドに対応する処理を終了した時刻(閉塞解除結果メッセージの送信時刻)までの間である。
【0031】
次に、図10を参照して、本実施形態による閉塞状態判定機能部101における閉塞状態判定処理について説明する。図10は、本実施形態による閉塞状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
閉塞状態判定機能部101は、保守作業を行う作業者から閉塞状態判定機能の停止コマンドが入力されるまで次に示すステップS102〜S104までの処理を行う(ステップS101)。
まず、閉塞状態判定機能部101は、受信部107からメッセージを受信し、受信したメッセージをフィルタリング部103に転送する(ステップS102)。次に、閉塞状態判定機能部101は、ステップS102において受信したメッセージのメッセージ種別がコマンド応答であるか否かを判定する(ステップS103)。メッセージ種別がコマンド応答でない場合(ステップS103:No)には、ステップS102へ戻る。一方、閉塞状態判定機能部101は、メッセージ種別がコマンド応答である場合(ステップS103:Yes)には、このメッセージを保守作業範囲特定機能部102に出力する(ステップS104)。
【0032】
次に、図11を参照して、本実施形態による保守作業範囲特定機能部102における保守作業範囲特定機能処理について説明する。図11は、本実施形態による保守作業範囲特定機能処理の手順を示すフローチャートである。
保守作業範囲特定機能部102は、作業者から保守作業範囲特定機能の停止コマンドが入力されるまで次に示すステップS202〜S211までの処理を行う(ステップS201)。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞状態判定機能部101からコマンド応答メッセージを受信する(ステップS202)。次に、保守作業範囲特定機能部102は、受信したコマンド応答メッセージと閉塞コマンドリストとを比較する(ステップS203)。そして、保守作業範囲特定機能部102は、比較の結果、受信したコマンド応答メッセージが閉塞開始受付メッセージであるか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、保守作業範囲特定機能部102は、条件「閉塞コマンドIDが閉塞コマンドリストに存在し、かつ、種別が「開始」であり、かつ、実施状況が「開始」である」に合致するコマンド応答メッセージを閉塞開始受付メッセージであると判定する。保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞開始受付メッセージである場合(ステップS204:Yes)には、閉塞開始受付メッセージの場合の処理を行う(ステップS205)。閉塞開始受付メッセージの場合の処理の詳細については後述する。
【0033】
一方、保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞開始受付メッセージでない場合(ステップS204:No)には、受信したコマンド応答メッセージが閉塞開始結果メッセージであるか否かを判定する(ステップS206)。具体的には、保守作業範囲特定機能部102は、条件「閉塞コマンドIDが閉塞コマンドリストに存在し、かつ、種別が「開始」であり、かつ、実施状況が「終了」である」に合致するコマンド応答メッセージを閉塞開始結果メッセージであると判定する。保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞開始結果メッセージである場合(ステップS206:Yes)には、閉塞開始結果メッセージの場合の処理を行う(ステップS207)。閉塞開始結果メッセージの場合の処理の詳細については後述する。
【0034】
一方、保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞開始結果メッセージでない場合(ステップS206:No)には、受信したコマンド応答メッセージが閉塞解除受付メッセージであるか否かを判定する(ステップS208)。具体的には、保守作業範囲特定機能部102は、条件「閉塞コマンドIDが閉塞コマンドリストに存在し、かつ、種別が「解除」であり、かつ、実施状況が「開始」である」に合致するコマンド応答メッセージを閉塞解除受付メッセージであると判定する。保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞解除受付メッセージである場合(ステップS208:Yes)には、閉塞解除受付メッセージの場合の処理を行う(ステップS209)。閉塞解除受付メッセージの場合の処理の詳細については後述する。
【0035】
一方、保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞解除受付メッセージでない場合(ステップS208:No)には、受信したコマンド応答メッセージが閉塞解除結果メッセージであるか否かを判定する(ステップS210)。具体的には、保守作業範囲特定機能部102は、条件「閉塞コマンドIDが閉塞コマンドリストに存在し、かつ、種別が「解除」であり、かつ、実施状況が「終了」である」に合致するコマンド応答メッセージを閉塞解除結果メッセージであると判定する。保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞解除結果メッセージである場合(ステップS210:Yes)には、閉塞解除結果メッセージの場合の処理を行う(ステップS211)。閉塞解除結果メッセージの場合の処理の詳細については後述する。一方、保守作業範囲特定機能部102は、コマンド応答メッセージが閉塞解除結果メッセージでない場合(ステップS210:No)には、ステップS202へ戻る。
【0036】
図12は、本実施形態による閉塞開始受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS205に示す処理の詳細である。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、メッセージ記憶部104に記憶されたメッセージに基づいて、閉塞開始受付メッセージの送信時刻の前、一定期間以内に、当閉塞開始受付メッセージの送信元の設備装置3から警報が送信されていないか否かを判定する(ステップS301)。すなわち、保守作業範囲特定機能部102は、「閉塞開始受付メッセージの送信時刻より所定時間前」から「閉塞開始受付メッセージの送信時刻」までの間に、閉塞開始受付メッセージの送信元装置から送信された警報がメッセージ記憶部104に記憶されているか否かを判定する。送信元装置において警報が発生している場合(ステップS301:No)には、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置において警報が発生していない場合(ステップS301:Yes)には、閉塞開始受付メッセージの送信元装置が、ネットワークトポロジ情報記憶部105に記憶されているネットワークトポロジ情報の影響元装置に登録されているか否かを判定する(ステップS302)。保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が影響元装置に登録されている場合(ステップS302:Yes)には、送信元装置を保守作業元装置とし、送信元装置に対応する影響波及装置を保守作業波及装置とし、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻として保守作業範囲情報を特定し、特定した保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106に書き込む(ステップS303)。一方、保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が影響元装置に登録されていない場合(ステップS302:No)には、保守作業波及装置はないと判定し、閉塞開始受付メッセージの送信元装置を保守作業元装置とし、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻として保守作業範囲情報を特定し、特定した保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106に書き込む(ステップS304)。
【0037】
図13は、本実施形態による閉塞開始結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS207に示す処理の詳細である。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始結果メッセージの実施結果が「正常」かを判定する(ステップS401)。「正常」である場合(ステップS401:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、「正常」でない場合(ステップS401:No)、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始結果メッセージの送信元装置が、保守作業範囲情報記憶部106に記憶されている保守作業範囲情報の保守作業元装置と一致するか否かを判定する(ステップS402)。送信元装置が保守作業元装置と一致しない場合(ステップS402:No)には、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が保守作業元装置と一致する場合(ステップS402:Yes)には、この閉塞開始コマンドが異常終了したと判定する。そして、保守作業範囲特定機能部102は、この閉塞開始結果メッセージの送信元装置が影響元装置である保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106から削除する(ステップS403)。
【0038】
図14は、本実施形態による閉塞解除受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS209に示す処理の詳細である。
保守作業範囲特定機能部102は、閉塞解除受付メッセージを受信した場合には、処理を行わない(ステップS501)。
【0039】
図15は、本実施形態による閉塞解除結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS211に示す処理の詳細である。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始結果メッセージの実施結果が「正常」かを判定する(ステップS601)。「正常」でない場合(ステップS601:No)、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、「正常」である場合(ステップS601:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞解除結果メッセージの送信元装置が、保守作業範囲情報記憶部106に記憶されている保守作業範囲情報の保守作業元装置と一致するか否かを判定する(ステップS602)。送信元装置が保守作業元装置と一致しない場合(ステップS602:No)、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、送信元装置が保守作業元装置と一致する場合(ステップS602:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞解除結果メッセージの送信元の設備装置3に対する保守作業が終了したと判定し、この設備装置3を保守作業元装置とする保守作業範囲情報を保守作業範囲記憶部106から削除する(ステップS603)。
【0040】
次に、図16を参照して、本実施形態によるフィルタリング部103におけるフィルタリング処理について説明する。図16は、本実施形態によるフィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。
フィルタリング部103は、作業者からフィルタリングの停止コマンドが入力されるまで次に示すステップS702〜S705までの処理を行う(ステップS701)。
まず、フィルタリング部103は、閉塞状態判定機能部101から入力されたメッセージの種別に基づいて、警報を抽出する(ステップS702)。このとき、フィルタリング部103は、警報以外のメッセージ(例えば、コマンド応答メッセージや通知)については、当該メッセージを保守端末2に出力する処理を行うようにしてもよい。次に、フィルタリング部103は、抽出した警報における送信元装置が保守作業範囲(保守作業元装置又は保守作業波及装置)であり、かつ、警報の送信時刻が保守作業開始時刻より遅いか否かを判定する(ステップS703)。フィルタリング部103は、送信元装置が保守作業範囲であり、かつ、警報送信時刻が保守作業開始時刻より遅い場合(ステップS703:Yes)には、この警報が保守作業関連メッセージであると判定し、保守端末2に出力しない(ステップS705)。一方、フィルタリング部103は、送信元装置が保守作業範囲でない、或いは、警報送信時刻が保守作業開始時刻より早い場合(ステップS703:No)には、この警報が故障メッセージであると判定し、保守端末2に出力する(ステップS704)。
【0041】
このように、本実施形態によれば、保守装置1は、受信した閉塞開始受付メッセージの送信時刻より前に、この閉塞開始受付メッセージの送信元装置から警報が送信されていない場合に、送信元装置と当該送信元装置の影響波及装置と送信時刻とを保守作業範囲情報として特定する。そして、保守装置1は、特定した保守作業範囲情報に登録された設備装置3から保守作業範囲情報の保守作業開始時刻以降に送信された警報を保守作業関連メッセージと判定する。これにより、事前に保守作業の計画を入力することなく、保守作業関連メッセージを判別することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態による保守装置1について説明する。
図17は、本実施形態による保守作業時間帯を示す概略図である。本実施形態における保守作業時間帯(フィルタリング対象範囲)は、閉塞開始結果メッセージの送信時刻から閉塞解除結果メッセージの送信時刻までである。
本実施形態における保守作業範囲特定機能部102は、設備装置3が閉塞開始コマンドに対応する処理を終了した時刻から、設備装置3が閉塞解除コマンドに対応する処理を終了した時刻までを保守作業時間帯(フィルタリング対象範囲)とする。他の構成は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0043】
図18は、本実施形態による閉塞開始受付メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS205に対応する。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、メッセージ記憶部104に記憶されたメッセージに基づいて、閉塞開始受付メッセージの送信時刻の前、一定期間以内に、当閉塞開始受付メッセージの送信元の設備装置3から警報が送信されていないか否かを判定する(ステップS801)。すなわち、保守作業範囲特定機能部102は、「閉塞開始受付メッセージの送信時刻より所定時間前」から「閉塞開始受付メッセージの送信時刻」までの間に、閉塞開始受付メッセージの送信元装置から送信された警報がメッセージ記憶部104に記憶されているか否かを判定する。送信元装置において警報が発生している場合(ステップS801:No)には、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。一方、送信元装置において警報が発生していない場合(ステップS801:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、この閉塞開始コマンドが保守作業のために送信されたものと判定し、閉塞開始受付メッセージの内容をメモリ上に一時的に保持する(ステップS802)。
【0044】
図19は、本実施形態による閉塞開始結果メッセージの場合の処理の手順を示すフローチャートである。本図に示す処理は、図11に示す保守作業範囲特定機能処理のステップS207に対応する。
まず、保守作業範囲特定機能部102は、受信した閉塞開始結果メッセージに対応する閉塞開始受付メッセージがメモリ上に一時的に保持されているか否かを判定する(ステップS901)。すなわち、保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が閉塞開始結果メッセージの送信元装置と同一である閉塞開始受付メッセージがメモリ上に保持されているか否かを判定する。対応する閉塞開始受付メッセージがメモリ上に保持されていない場合(ステップS901:No)、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。
【0045】
一方、対応する開始メッセージがメモリ上に保持されている場合(ステップS901:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、この閉塞開始結果メッセージに対応する閉塞開始受付メッセージをメモリ上から削除する(ステップS902)。そして、保守作業範囲特定機能部102は、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始結果メッセージの実施結果が「正常」かを判定する(ステップS903)。「正常」でない場合(ステップS903:No)には、保守作業範囲特定機能部102は、この処理を終了して保守作業範囲特定機能処理へ戻る。
【0046】
一方、「正常」である場合(ステップS903:Yes)、保守作業範囲特定機能部102は、閉塞開始結果メッセージの送信元装置が、ネットワークトポロジ情報記憶部105に記憶されているネットワークトポロジ情報の影響元装置に登録されているか否かを判定する(ステップS904)。保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が影響元装置に登録されている場合(ステップS904:Yes)には、送信元装置を保守作業元装置とし、送信元装置に対応する影響波及装置を保守作業波及装置とし、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻として保守作業範囲情報を特定し、特定した保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106に書き込む(ステップS906)。一方、保守作業範囲特定機能部102は、送信元装置が影響元装置に登録されていない場合(ステップS904:No)には、保守作業波及装置はないと判定し、閉塞開始受付メッセージの送信元装置を保守作業元装置とし、閉塞開始受付メッセージの送信時刻を保守作業開始時刻として保守作業範囲情報を特定し、特定した保守作業範囲情報を保守作業範囲情報記憶部106に書き込む(ステップS905)。
【0047】
閉塞解除受付メッセージの場合の処理及び閉塞解除結果メッセージの場合の処理は、図14及び図15に示す処理と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、閉塞開始結果メッセージの送信時刻から閉塞解除結果メッセージの送信時刻までの期間を保守作業時間帯(フィルタリング対象範囲)としたため、閉塞開始コマンドにより設備装置3が停止した後、すなわち実際に保守作業を開始した後からメッセージをフィルタリングする。これにより、より正確に保守作業関連メッセージを判別することができる。
【0049】
また、図10から図16、図18、図19に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、保守作業関連メッセージをフィルタリングする処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0050】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、閉塞開始コマンドを保守作業の開始時に設備装置3に対して送信されるコマンドとし、閉塞解除コマンドを保守作業の終了時に前記設備装置に対して送信されるコマンドとしたが、保守作業の開始或いは終了を契機に投入されるコマンドであれば他のコマンドであってもよい。
また、設備装置3毎に異なるコマンドを用いて保守作業時間帯を特定してもよい。この場合、保守作業範囲特定機能部102は、図20に示す閉塞コマンドリストを保持し、この閉塞コマンドリストを参照して保守作業範囲情報を特定する。対応閉塞コマンドIDは、閉塞コマンドIDに対応するコマンドのIDである。例えば、閉塞コマンドID「001」(開始)の対応閉塞コマンドIDは「002」(解除)であり、閉塞コマンドID「003」(開始)の対応閉塞コマンドIDは「004」(解除)である。対応閉塞コマンドIDを保持することにより、各設備装置3に投入するコマンドが異なる場合であっても正確に保守作業範囲情報を特定することができる。
【0052】
また、本実施形態では、閉塞開始コマンドの投入時刻の前の一定期間内に、閉塞開始コマンド投入先の設備装置3に警報が発生していない場合に、保守作業範囲情報を特定しているが、例えば、メッセージ記憶部104に記憶されている最新1000件(所定件数)の警報の中に閉塞開始コマンド投入先の設備装置3の警報がない場合に、保守作業範囲情報を特定してもよい。
また、例えば、設備装置3Aの保守作業をする場合には第1の実施形態における保守作業時間帯とし、設備装置3Bの保守作業をする場合には第2の実施形態における保守作業時間帯にする等、保守作業対象となる設備装置3毎に保守作業時間帯を変更してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…保守装置 10…判定装置 101…閉塞状態判定機能部 102…保守作業範囲特定機能部 103…フィルタリング部 104…メッセージ記憶部 105…ネットワークトポロジ情報記憶部 106…保守作業範囲情報記憶部 107…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備装置からメッセージを受信する受信部と、
保守作業範囲情報記憶部と、
保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除する保守作業範囲特定機能部と、
異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定する判定部と、
を備えることを特徴とする保守装置。
【請求項2】
前記受信部により受信されたメッセージを記憶するメッセージ記憶部を備え、
前記保守作業範囲特定機能部は、前記開始時コマンドの開始を通知する応答メッセージである開始時メッセージの送信時刻より前に当該開始時コマンドの送信先の設備装置から警報が送信されていない場合に、当該設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部に登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の保守装置。
【請求項3】
設備装置毎に、当該設備装置の保守作業をした場合に影響を受ける他の前記設備装置である影響波及装置を記憶する情報記憶部と、
を備え、
前記保守作業範囲特定機能部は、前記開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置と当該設備装置の影響波及装置とを前記保守作業範囲情報記憶部に登録し、前記終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置と当該設備装置の影響波及装置とを前記保守作業範囲情報記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の保守装置。
【請求項4】
前記受信部により受信されたメッセージのうち、前記保守作業に起因する警報以外のメッセージを出力する出力部
を備えることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の保守装置。
【請求項5】
保守装置が、設備装置からメッセージを受信するステップと、
前記保守装置が、保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除するステップと、
前記保守装置が、異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定するステップと、
を有することを特徴とする保守方法。
【請求項6】
設備装置からメッセージを受信するステップと、
保守作業の開始時に投入する開始時コマンドの応答メッセージを受信したとときに、当該メッセージの送信元の設備装置を保守作業範囲情報記憶部に登録し、保守作業の終了時に投入する終了時コマンドの応答メッセージを受信したときに、当該メッセージの送信元の設備装置を前記保守作業範囲情報記憶部から削除するステップと、
異常を通知するメッセージである警報を設備装置から受信した場合に、当該警報の送信元の設備装置が前記保守作業範囲情報記憶部に記憶されている場合、当該警報を保守作業に起因すると判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−205276(P2012−205276A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70720(P2011−70720)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】