説明

保持具

【課題】バンドの着脱を容易にしてステアリングホイールに対する電子機器の位置調整やバンドを締め付けなおすことを容易に行うことを可能とする保持具を提供する。
【解決手段】保持具1はステアリングホイールリング21に巻きつけられるバンド8が取り付けられるホイール取付部12とホイール取付部12に連なりかつリモコン装置2が取り付けられる機器固定部13とを備えている。機器固定部13のリモコン装置2が重ねられる表面13aにバンド8の余長部分Yを位置決めするバンド位置決め部24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリングホイールにカーオーディオのリモコン装置などの電子機器を取り付けるための保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下インパネと呼ぶ)には、ナビゲーション装置などのAV機器が取り付けられる。この種のAV機器を操作するためのリモコン装置などの電子機器をステアリングホイールに取り付けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ステアリングホイールに巻きつけられるバンドが固定されるホイール取付部と、このホイール取付部に取り付けられるとともに前記リモコン装置を固定する機器固定部とを備えた保持具が示されている。この種の保持具は、ステアリングホイールに巻きつけられるバンドをホイール取付部に固定した後、当該バンドの余長部分が切断された後、機器固定部がホイール取付部に取り付けられるなどして組み立てられる。そして、保持具は、機器固定部にリモコン装置が取り付けられて用いられる。
【特許文献1】特開2001−309466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した保持具は、バンドの余長部分を切断してしまうので、ステアリングホイールに対するリモコン装置の位置調整や、経年変化によって伸びたバンドを再度締め付けなおすために、ホイール取付部に着脱する際のバンドを掴む部分が非常に少なかった。このため、バンドのホイール取付部への着脱が困難で、ステアリングホイールに対する電子機器の位置調整やバンドを締め付けなおすことが非常に困難であった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、例えば、バンドのホイール取付部への着脱を容易にしてステアリングホイールに対する電子機器の位置調整やバンドを締め付けなおすことを容易に行うことを可能とする保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の保持具は、ステアリングホイールに巻きつけられるバンドが取り付けられるホイール取付部と、前記ホイール取付部に連なりかつ電子機器が取り付けられる機器固定部と、を備えた保持具において、前記機器固定部に、前記バンドの余長部分を位置決めするバンド位置決め部が設けられていることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態にかかる保持具を説明する。本発明の一実施形態にかかる保持具は、機器固定部にバンドの余長部分を位置決めするバンド位置決め部を設けることで、当該バンド位置決め部に位置決めされたバンドの余長部分を掴むことによって、当該バンドを容易にホイール取付部に着脱することができる。こうすることで、ステアリングホイールに対する電子機器の位置調整やバンドを締め付けなおすことを容易に行うことができる。
【0008】
また、バンド位置決め部を機器固定部の電子機器が重ねられる表面に設けても良い。この場合、電子機器を機器固定部に取り付けると、バンドの余長部分が機器固定部と電子機器との間に挟まれるので、美観を損なうことを防止でき、さらに、余長部分の位置ずれを防止できる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の一実施例にかかる保持具1を、図1ないし図7に基づいて説明する。図1などに示す保持具1は、電子機器としてのリモコン装置2を自動車のステアリングホイール20に取り付けるためのものである。
【0010】
リモコン装置2は、その自身の外殻を構成する装置本体3と、該装置本体3の表面3aに設けられた各種の操作部4と、当該装置本体3内に収容された各種の電子部品を備えている、リモコン装置2は、操作部4が操作されることで、自動車のインストルメントパネルに取り付けられる電子機器としてのナビゲーション装置の各種の操作を行うために用いられる。
【0011】
また、リモコン装置2の前記操作部4が設けられた表面3aの裏側の裏面3bには、図7に示すように、着脱部5が設けられている。着脱部5は、装置本体3の裏面3bに開口した孔であり、互いに連なる幅広部6と幅狭部7とを備えている。幅広部6は、勿論、装置本体3の幅方向の幅が、幅狭部7の装置本体3の幅方向の幅よりも大きく形成されている。また、幅広部6と幅狭部7とは、装置本体3の長手方向に沿って、並べられている。
【0012】
保持具1は、図1に示すように、一対のバンド8と、保持具本体9と、を備えている。バンド8は、ゴムなどの弾性変形(伸縮)自在な合成樹脂で構成され、帯状に形成されている。バンド8は、図2に示すように、その長手方向の一端部に一つの係止孔10を設け、その長手方向の中央部から他端部にかけて複数の係止孔11を設けている。これらの係止孔10,11は、勿論、バンド8を貫通しているとともに、その平面形状が矩形状に形成されている。また、係止孔11は、バンド8の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて、等間隔に設けられている。
【0013】
保持具本体9は、硬質な合成樹脂で構成され、ホイール取付部12と、機器固定部13とを一体に備えている。ホイール取付部12と、機器固定部13とは、それぞれ、平面形状が矩形状の平板状に形成されている。ホイール取付部12と機器固定部13とが互いに幅方向の一方の縁部が連なって、保持具本体9は、側方からみてく字に形成されている。
【0014】
ホイール取付部12の他方の縁部には、図3に示すように、バンド8の一端部を固定するための固定爪14が設けられている。また、固定爪14は、ホイール取付部12の長手方向の両端部に設けられている。固定爪14は、係止孔10内に侵入して、当該係止孔10内に係止することで、バンド8の一端部を固定する。
【0015】
ホイール取付部12の一方の縁部には、バンド8の中央部から他端部にかけて設けられた係止孔11のいずれかに係止する固定爪15(図5に示す)と、当該バンド8を通すための通し孔16(図4に示す)を設けている。固定爪15と通し孔16は、ホイール取付部12の長手方向の両端部に設けられている。固定爪15は、複数の係止孔11のうちいずれかに侵入して、当該係止孔11内に係止することで、バンド8の中央部から他端部までのうちの一箇所を固定する。通し孔16は、バンド8の他端部を内側に通す。
【0016】
ホイール取付部12は、係止孔10に一端部が取り付けられたバンド8がステアリングホイール20のステアリングホイールリング21に巻きつけられ、当該巻きつけられたバンド8の中央部から他端部にかけて設けられた複数の係止孔11のうちのいずれかの係止孔11に固定爪15が係止することで、ステアリングホイール20のステアリングホイールリング21に取り付けられる。
【0017】
機器固定部13には、図2に示すように、スライド用孔17と、固定具18とが設けられている。スライド用孔17は、機器固定部13の中央部に設けられている、スライド用孔17は、機器固定部13を貫通している。スライド用孔17は、機器固定部13の長手方向に沿って直線状に延在している。固定具18は、スライド用孔17内に取り付けられている。
【0018】
固定具18は、機器固定部13のホイール取付部12が立設する側の表面13aから立設した立設柱22と、当該立設柱22の機器固定部13の表面13aから最も離れた先端に設けられた拡大部23とを備えている。立設柱22即ち固定具18は、スライド用孔17の長手方向に沿ってスライド自在に、当該スライド用孔17に支持されている。拡大部23は、立設柱22の先端から機器固定部13の幅方向の両方向に延在している。
【0019】
また、機器固定部13の前述した表面13aには、バンド位置決め部24が設けられている。バンド位置決め部24は、表面13aからの凹の溝状に形成されている。バンド位置決め部24は、直線状に延在し、かつその長手方向が機器固定部13の幅方向に沿っている。また、バンド位置決め部24は、機器固定部13の長手方向の両端部に設けられ、固定爪15及び通し孔16と、機器固定部13の幅方向に並ぶ位置に配置されている。
【0020】
前述した機器固定部13は、その表面13a上にリモコン装置2を重ね、固定具18の拡大部23を着脱部5の幅広部6内を通した後、固定具18をスライドさせて、拡大部23と表面13aとの間に装置本体3を挟み込むことで、リモコン装置2が取り付けられる。
【0021】
前述した構成の保持具1は、以下のように、リモコン装置2をステアリングホイール20のステアリングホイールリング21に取り付ける。まず、図2に示すように、各バンド8の一端部の係止孔10に固定爪14を係止させて、該バンド8の一端部をホイール取付部12に取り付ける。そして、図4に示すように、ステアリングホイール20のステアリングホイールリング21にホイール取付部12を密着させて、バンド8をステアリングホイールリング21に巻きつけるとともに、当該バンド8の他端部を通し孔16内に通す。
【0022】
その後、バンド8の他端部を引っ張って、当該バンド8を密着させた状態で、複数の係止孔11のうちいずれかを固定爪15に係止させて、ホイール取付部12即ち保持具1をステアリングホイールリング21に取り付ける。その後、図6に示すように、バンド位置決め部24内にバンド8の中央部から他端部に亘る部分を重ねた後、バンド8を切断して、当該バンド8の機器固定部13の幅方向の縁からはみ出した部分を除去する。すると、バンド8の固定爪15が係止した係止孔11から当該バンド8の他端部の先端までの余長部分Yがバンド位置決め部24内に位置付けられて位置決めされる。
【0023】
そして、図7に示すように、表面13aにリモコン装置2を重ね、固定具18の拡大部23を着脱部5の幅広部6内を通す。そして、図8に示すように、固定具18をスライドさせて、拡大部23と表面13aとの間に装置本体3を挟み込むことで、図1に示すように、リモコン装置2を機器固定部13即ち保持具1に取り付ける(即ち固定する)。
【0024】
また、保持具1をステアリングホイールリング21から取り外す際には、余長部分Yを引っ張るなどして、係止孔11の固定爪15の係止を解除する。
【0025】
本実施例によれば、機器固定部13にバンド8の余長部分Yを位置決めするバンド位置決め部24を設けているので、当該バンド位置決め部24に位置決めされたバンド8の余長部分Yを掴むことによって、当該バンド8を容易にホイール取付部12に着脱することができる。このため、ステアリングホイール20に対するリモコン装置2の位置調整やバンド8を締め付けなおすことを容易に行うことができる。
【0026】
また、バンド位置決め部24を機器固定部13のリモコン装置2が重ねられる表面13aに設けているので、リモコン装置2を機器固定部13に取り付けると、バンド8の余長部分Yが機器固定部13とリモコン装置2との間に挟まれる。したがって、美観を損なうことを防止でき、さらに、余長部分Yの位置ずれを防止できる。
【0027】
前述した実施例では、リモコン装置2をステアリングホイールリング21に取り付けたが、本発明では、リモコン装置2以外の種々の電子機器をステアリングホイールリング21に取り付けても良い。また、バンド8を二本設けたが、本発明では、バンド8を何本設けても良い。さらに、本発明では、バンド8のホイール取付部12に対する取付位置を種々変更しても良い。
【0028】
前述した実施例によれば、以下の保持具1が得られる。
【0029】
(付記) ステアリングホイール20に巻きつけられるバンド8が取り付けられるホイール取付部12と、
前記ホイール取付部12に連なりかつリモコン装置2が取り付けられる機器固定部13と、
を備えた保持具1において、
前記機器固定部13に、前記バンド8の余長部分Yを位置決めするバンド位置決め部24が設けられていることを特徴とする保持具1。
【0030】
付記によれば、機器固定部13にバンド8の余長部分Yを位置決めするバンド位置決め部24を設けているので、当該バンド位置決め部24に位置決めされたバンド8の余長部分Yを掴むことによって、当該バンド8を容易にホイール取付部12に着脱することができる。このため、ステアリングホイール20に対するリモコン装置2の位置調整やバンド8を締め付けなおすことを容易に行うことができる。
【0031】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例にかかる保持具を示す斜視図である。
【図2】図1に示された保持具の保持具本体にバンドの一端部を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示されたバンドの一端部と固定爪を示す斜視図である。
【図4】図3に示されたバンドをステアリングホイールリングに巻きつけた状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示されたバンドの係止孔とホイール取付部の固定爪とを示す斜視図である。
【図6】図5に示されたバンドを機器固定部のバンド位置決め部で位置決めした状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示された機器固定部にリモコン装置を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示されたリモコン装置が取り付けられた機器固定部の背面からみた斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 保持具
2 リモコン装置(電子機器)
8 バンド
12 ホイール取付部
13 機器固定部
13a 表面
20 ステアリングホイール
24 バンド位置決め部
Y 余長部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに巻きつけられるバンドが取り付けられるホイール取付部と、
前記ホイール取付部に連なりかつ電子機器が取り付けられる機器固定部と、
を備えた保持具において、
前記機器固定部に、前記バンドの余長部分を位置決めするバンド位置決め部が設けられていることを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記バンド位置決め部が、前記機器固定部の電子機器が重ねられる表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−83576(P2009−83576A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253358(P2007−253358)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】