保護カバー
【課題】継手と、継手に接続される保温材付きの配管の継手接続部近傍とを作業性よく保温状態に囲繞できる保護カバーを提供する。
【解決手段】継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部211と、接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部212を備えるカバー部21,21が、ヒンジ22,23を介して回動自在で、カバー部21が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置にきたとき、係止爪24a,24b,24cが係止環25a,25b,25cとが係合して筒状に保持されるカバー本体部材2aと、継手囲繞筒部形成部211にそれぞれ内包された状態でカバー本体部材2aに固着され、閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する半筒状保温部材3,3とを備えるとともに、接続管囲繞筒部212の開口端部を接続管囲繞筒部の開口端部の内径が接続される保温材付き配管の保温材の外径より小径となるように先端に向かって小径化しながら薄肉化した。
【解決手段】継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部211と、接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部212を備えるカバー部21,21が、ヒンジ22,23を介して回動自在で、カバー部21が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置にきたとき、係止爪24a,24b,24cが係止環25a,25b,25cとが係合して筒状に保持されるカバー本体部材2aと、継手囲繞筒部形成部211にそれぞれ内包された状態でカバー本体部材2aに固着され、閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する半筒状保温部材3,3とを備えるとともに、接続管囲繞筒部212の開口端部を接続管囲繞筒部の開口端部の内径が接続される保温材付き配管の保温材の外径より小径となるように先端に向かって小径化しながら薄肉化した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手と接続管との接続部を囲繞する保温性能を備えた保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
深夜電力を利用した電気給湯機の一種として図14に示すような自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1は、省エネルギー、環境保護の点でその需要が期待されている。
すなわち、自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1は、ヒートポンプ11と、貯湯タンク12と、ヒートポンプ11から貯湯タンク12への熱媒体の往き配管13と、貯湯タンク12からヒートポンプ11への熱媒体の返り配管14とを備え、ヒートポンプ11において空気中の熱を利用して熱媒体を加熱し、この加熱された熱媒体を往き配管13を用いて貯湯タンク12に送り、この熱媒体の熱によって貯湯タンク12内の水を加熱したのち、熱媒体を返り配管14によってヒートポンプ11に返送し、再びヒートポンプ11で加熱するようにしている。
【0003】
ところで、ヒートポンプ11と貯湯タンク12を連結する往き配管13及び返り配管14としては、例えば、金属強化ポリエチレン管Pの周囲がポリウレタンやポリエチレンの発泡体で形成され、表面に耐候層を備えた筒状保温材Wで囲繞された保温材付き金属強化ポリエチレン管PW(例えば、積水化学工業株式会社製スーパーエスロメタックスECなど)が使用されている。
【0004】
すなわち、上記のような保温材付き金属強化ポリエチレン管PWは、長尺で曲げ加工性に優れ、狭いスペースでの収まりにもその威力を発揮するとともに、筒状保温材Wが予め設けられているので、筒状保温材Wの先端部を除去あるいは反転させて、先端部のみ金属強化ポリエチレン管Pを露出させた後、金属強化ポリエチレン管Pの露出部をヒートポンプ11や貯湯タンク12に設けられたワンタッチ継手(例えば、積水化学工業株式会社製エスロンメタッチ継手)などの継手Jに金属強化ポリエチレン管Pの先端部をそれぞれ接続すればよい。すなわち、配管の回りには後で保温材を巻くような手間がない。
ただ、上記のような保温材付き金属強化ポリエチレン管PWを配管として用いたとしても、継手J部分は、依然として外部に露出している。したがって、従来は、保温材W付きの金属強化ポリエチレン管Pを継手Jに接続後、図示していないが、継手J及び金属強化ポリエチレン管Pの部分に保温材を被せたのち、保温材の上から固定のシールを巻きつけたり、保温材の上に樹脂製成形品の保護カバー(例えば、特許文献1参照)を被せたりすることによって保温を図るようにしている。
【0005】
しかし、上記シールを保温材の上に巻き付ける方法においては、保温材を被せる工程と、シールを巻き付ける工程の2工程が必要で作業が面倒であるとともに、配管スペースが狭い場合、非常に作業性が悪いという問題がある。
一方、保護カバーを被せる方法においては、2工程が必要で作業が面倒であるとともに、
未熟な作業者の場合、保温材を入れ忘れてカバーだけを施工してしまうというおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開2008−95922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、継手と、継手に接続される保温材付きの配管の継手接続部近傍とを作業性よく保温状態に囲繞できる保護カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる保護カバーは、筒状保温材が外装されている接続管と継手との接続部を囲繞する保護カバーであって、半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなることを特徴としている。
【0009】
本発明において、ヒンジは、両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
また、カバー本体部材は、射出成形品が好ましく、ヒンジとしては、2つのカバー部を射出成形と同時に成形できる薄肉ヒンジが好ましい。
【0010】
さらに、接続管囲繞筒部は、その開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されていることが好ましい。
なお、接続管囲繞筒部の開口端側内径は、保温材の材質にもよるが、保温材付きの配管の保温材部分の外径の80%〜98%程度が好ましい。
【0011】
カバー本体部材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、紫外線吸収剤や酸化防止剤などの添加剤が添加されて耐候性が高いものが好ましい。
半筒状保温部材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂などの合成樹脂発泡体が挙げられる。
【0012】
カバー本体部材への半筒状保温部材の固着方法は、特に限定されないが、例えば、接着剤による接着、両面粘着テープを用いた粘着固定などが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる保護カバーは 以上のように、半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなるので、カバー本体部材の2つのカバー部を閉合させることによって、継手部分が継手囲繞筒部に囲繞されると同時に、2つの半筒状保温部材によって形成される保温筒部内に収容された状態となる。すなわち、継手部分の保温と保護が同時に行えるとともに、保温材の付け忘れもない。
【0014】
また、接続管囲繞筒部の開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となるので、保温材の一部が接続管囲繞筒部の先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材が接続管の軸方向へ移動することを防止できるとともに、半筒状保温部材が耐候性に優れたカバー本体部材によって外部から完全に隠蔽された状態になる。したがって、半筒状保温部材として耐候性に乏しい材質のものでも使用できる。
さらに、保温材を別途巻いたりする必要がないため、配管スペースが狭い場合にも作業性よく取り付けが可能である。
【0015】
また、ヒンジが両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられている構成とすれば、よりしっかりと接続管の保温材を把持できる。
さらに、接続管囲繞筒部の開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されている構成とすれば、よりしっかりと接続管の保温材を把持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図8は、本発明にかかる保護カバーの第1の実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1〜図3に示すように、この保護カバーAは、カバー本体部材2aと、2つの半筒状保温部材3とから構成されている。
カバー本体部材2aは、図1〜図4に示すように、耐候性を備えた熱可塑性樹脂を射出成形することによって2つのカバー部21と、ヒンジ22,23と、係止部としての係止爪24a,24b,24cと、被係止部としての係止環25a,25b,25cとを備えている。
【0018】
カバー部21は、継手囲繞筒部形成部211と接続管囲繞筒部形成部212とを備えている。
継手囲繞筒部形成部211は、略半円筒形をしている本体部211aと、本体部211aの一端縁から内側に延出する半リング状をした鍔部211bとを備え、図5及び図6に示すように、2つのカバー部21が閉合状態に配置されたとき、継手部全体を囲繞する大きさの継手囲繞筒部20aを形成するようになっている。
【0019】
接続管囲繞筒部形成部212は、図2及び図5に示すように、継手囲繞筒部形成部211の一側に連接され、先端がテーパ状に縮径した略半円筒形をしていて、図5に示すように、2つのカバー部21が閉合状態に配置されたとき、略円筒形の接続管囲繞筒部20bを形成する。
また、接続管囲繞筒部形成部212の先端部212aは、接続管囲繞筒部20bの開口端部の内径が接続される保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの保温材Wの外径より小径となるように先端に向かって小径になりながら薄肉化されている。
【0020】
ヒンジ22は、薄肉成形することによって、両継手囲繞筒部形成部211の一方の端縁同士を回動自在に連結した状態で設けられている。
ヒンジ23は、薄肉成形することによって、両接続管囲繞筒部形成部212の一方の端縁同士を回動自在に連結した状態で設けられている。
【0021】
係止爪24a,24bは、一方の継手囲繞筒部形成部211の他方の端縁部外壁面に、継手囲繞筒部形成部211の端面から継手囲繞筒部形成部211の接線方向に突出するように設けられていて、板状本体部241の先端に断面楔状をした係止鉤部242が設けられている。
係止爪24cは、一方の接続管囲繞筒部形成部212の他方の端縁部外壁面に、継手囲繞筒部形成部211の端面から継手囲繞筒部形成部211の接線方向に突出するように設けられていて、先端に断面楔状をした係止鉤部242が設けられている。
【0022】
係止環25a,25bは、他方の継手囲繞筒部形成部211の他方の端縁部外壁面の係止爪24a,24bに対応する位置に設けられ、板状本体部241の断面とほぼ同じか少し大きく、板状本体部241の長さと略同じか少し長い孔を継手囲繞筒部形成部211の外壁面との間に形成するように略コの字形をしている。
係止環25cは、他方の接続管囲繞筒部形成部212の他方の端縁部外壁面の係止爪24cに対応する位置に設けられ、板状本体部241の断面とほぼ同じか少し大きく、板状本体部241の長さと略同じか少し長い孔を接続管囲繞筒部形成部212の外壁面との間に形成するように略コの字形をしている。
【0023】
半筒状保温部材3は、合成樹脂の発泡体で形成されていて、継手囲繞筒部形成部211内に内包された状態でカバー部21に接着固定されている。
また、その内径が継手Jの最大外径とほぼ同じ、かつ、軸に平行な両端部がカバー部21の端縁から突出する大きさに形成されている。
【0024】
この保護カバーAは、以上のようになっており、図5,図6,図8に示すように、係止爪24a,24b,24cを、係止鉤部242がそれぞれ係止環25a,25b,25cの一方から他方に突き抜けるように、係止環25a,25b,25cに挿入することによって、両カバー部21が閉合状態に保持される。すなわち、2つの継手囲繞筒部形成部211によって、円筒状をした継手囲繞筒部20aが形成され、2つの接続管囲繞筒部形成部212によって、円筒状をした接続管囲繞筒部20bが形成された状態となる。
このとき、2つの半筒状保温部材3は、上記の通り、端縁から突出しているから、両端面同士が圧接状態で密着し、円筒状の保温筒30を形成した状態に保持される。
【0025】
そして、この保護カバーAは、例えば、以下のようにして、図14に示すような自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1の往き配管13と返り配管14の継手接続部を保護することができる。
すなわち、図8に示すように、往き配管(あるいは返り配管)となる保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの一方の端部の保温材Wを切除し、金属強化ポリエチレン管Pの端部を露出させたのち、ヒートポンプ11の熱媒体導入口(または排出口)に取り付けられたワンタッチ継手Jに金属強化ポリエチレン管Pの先端部を挿入し、ワンタッチ接続する。また、図示していないが、保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの一方の端部の保温材Wを切除し、金属強化ポリエチレン管Pの端部を露出させたのち、貯湯タンクの熱媒体導入口(または排出口)に取り付けられたワンタッチ継手に金属強化ポリエチレン管の先端部を挿入し、ワンタッチ接続する。
【0026】
そして、各ワンタッチ継手Jと保温材付き金属強化ポリエチレン管PWとの接続部に図7に示すように、保護カバーAを開放状態で継手J部分を2つの半筒状保温部材3の間に臨むように配置したのち、図8に示すように、保護カバーAを閉合状態とすることによって、継手Jと保温材付き金属強化ポリエチレン管PWとの接続部を保護すると同時に保温状態とすることができる。
すなわち、保護カバーAが閉合状態となると、図8に示すように、継手Jが2つの半筒状保温部材3によって形成される円筒内に半筒状保温部材3の円筒の内壁面を構成する部分が収容された状態になる。同時に保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの継手Jの隣接部が接続管囲繞筒部20b内に臨み保護カバーAに保護される。
【0027】
しかも、接続管囲繞筒部20bの先端が保温材Wの外径より小径となっているので、保温材Wの一部が接続管囲繞筒部20bの先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材Wが金属強化ポリエチレン管Pの軸方向へ移動することを防止できるとともに、半筒状保温部材3が耐候性に優れたカバー本体部材2aによって外部から完全に隠蔽された状態になる。したがって、半筒状保温部材3として耐候性に乏しい材質のものでも使用できる。
【0028】
図9〜図13は、本発明にかかる保護カバーの第2の実施の形態をあらわしている。
図9に示すように、この保護カバーBは、カバー本体部材2bの形状が異なる以外は、上記の保護カバーAと同様になっている。
【0029】
すなわち、カバー本体部材2bは、図9及び図10に示すカバー部26と、図11に示すカバー部27とを備え、図示していないが、2つのカバー部26,27が、一方の端縁同士を薄肉成形されたヒンジを介して連結されている。
また、カバー部26は、図9及び図10に示すように、継手囲繞筒部形成部261を有し、継手囲繞筒部形成部261の両側に接続管囲繞筒部形成部262が形成されている。
ている。
一方、カバー部27は、図11に示すように、継手囲繞筒部形成部271を有し、継手囲繞筒部形成部271の両側に接続管囲繞筒部形成部262と対称形状の接続管囲繞筒部形成部272が形成されている。
【0030】
継手囲繞筒部形成部261のヒンジと反対側の端縁には、1つの内側係止部263と、2つの外側係止部264と、2つのガイドバー265とが設けられている。
内側係止部263は、継手囲繞筒部形成部261の中央に位置し、継手囲繞筒部形成部261の内壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、継手囲繞筒部形成部261の外側に向かって突出する係止爪263aをその先端に備えている。
【0031】
2つの外側係止部264は、内側係止部263を両側から挟む対称位置に継手囲繞筒部形成部261の外壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、継手囲繞筒部形成部261の内側に向かって突出する係止爪264aをその先端に備えている。
2つのガイドバー265は、内側係止部263との間に外側係止部264を挟む位置に継手囲繞筒部形成部261の内壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、先端にテーパ面265aを備えている。
【0032】
一方、継手囲繞筒部形成部271のヒンジと反対側の端縁には、内側係止部263の対称位置に設けられた被係止部としての1つの内側係止溝273と、2つの外側係止部264の対称位置に設けられた被係止部としての2つの外側係止溝274と、2つのガイドバーの対称位置に設けられた2つのガイド溝275とが設けられている。
内側係止溝273は、入口側にガイド用テーパ部273aを有し、奥側に内側係止部263の係止爪263aが嵌り込む凹部273bが設けられている。
【0033】
外側係止溝274は、図示していないが、内側係止溝273と同様に入口側にガイド用テーパ部274aを有し、奥側に外側係止部の係止爪264aが嵌り込む凹部が設けられている。
ガイド溝275は、入口側にガイド用テーパ部275bを有している。
【0034】
すなわち、この保護カバーBは、一方のカバー部26を、ヒンジを中心に回動させ、図12及び図13に示すように、ガイドバー265のテーパ面265aとガイド溝275のガイド用テーパ部275bとを付き合わせ、内側係止部263と内側係止溝273、及び、外側係止部264と外側係止溝274の位置を正確に合わせた状態で、更に回動させれば、ガイドバー265によって正確な位置決め状態に保たれ、内側係止部263及び外側係止部264がそれぞれ内側係止溝273あるいは外側係止溝274内にスムーズに挿入され、係止爪263aと凹部273b及び係止爪264aと外側係止溝274の凹部がそれぞれ係合することによって、カバー本体部材2bが閉合状態に保たれるようになっている。
【0035】
この保護カバーBは、上記のようになっており、図示していないが、両ソケットタイプの継手の両側に保温材付き金属強化ポリエチレン管を接続したのち、継手囲繞筒部内に継手が収容されるように、カバー本体部材2bを閉合させるようにすれば、継手及び継手と接続管との接続部が保温された状態で、保護できるとともに、保温材の一部が接続管囲繞筒部形成部262,272によって形成される接続管囲繞筒部の先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材が金属強化ポリエチレン管の軸方向へ移動することを防止できる。
また、この保護カバーBは、閉合状態において、内側係止部263と、外側係止部264とによって、カバー部26を内外から挟むような状態となるので、カバー部26の端面同士が隙間無く突き合った状態にしっかりと保持することができ、強度的に優れたものとなる。
【0036】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、接続管囲繞筒部が、継手囲繞筒部より小径であったが、寒冷地仕様の場合、保温材の肉厚が厚いものが用いられるので、接続管囲繞筒部が継手囲繞筒部より大径になる場合がある。
上記の実施の形態では、カバー本体部材が閉合状態で円筒形をしていたが、角筒形をしていても構わない。
【0037】
また、上記の第2の実施の形態では、接続管囲繞筒部形成部には、係止部及び被係止部が設けられていなかったが、設けるようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかる保護カバーは、特に限定されないが、例えば、自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機の熱媒体配管と、ヒートポンプあるいは貯湯タンクに設けられた継手との接続部、屋内給湯配管の配管ヘッダーに設けられた継手あるいは各給湯栓と接続部などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる保護カバーの第1の実施の形態をあらわし、その開放状態の平面図である。
【図2】図1のX方向矢視図である。
【図3】図1のY方向矢視図である。
【図4】図1の保護カバーを構成するカバー本体部材の開放状態の平面図である。
【図5】図1の保護カバーを閉合した状態の図1のX方向矢視図である。
【図6】図1の保護カバーを閉合した状態の断面図である。
【図7】図1の保護カバーの取り付け方法を説明する斜視図である。
【図8】図1の保護カバーの使用状態を説明する一部切欠断面図である。
【図9】本発明にかかる保護カバーの第2の実施の形態をあらわし、そのカバー本体部材の一方のカバー部の斜視図である。
【図10】図9の保護カバーの一方のカバー部を内側から見た斜視図である。
【図11】図9の保護カバーの他方のカバー部を内側から見た斜視図である。
【図12】図9のカバー本体部材の係止部と被係止部との係合状態を説明する切欠断面斜視図である。
【図13】図9のカバー本体部材の係止部と被係止部との係合状態を説明する断面図である。
【図14】自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機を模式的に説明する説明図である。
【符号の説明】
【0040】
A,B 保護カバー
2a,2b カバー本体部材
20a 継手囲繞筒部
20b 接続管囲繞筒部
21カバー部
22,23 ヒンジ
24a,24b,24c 係止爪(係止部)
25a,25b,25c 係止環(被係止部)
211,261,271 継手囲繞筒部形成部
212,262,272 接続管囲繞筒部形成部
263 内側係止部(係止部)
264 外側係止部被係止部
273 内側係止溝(被係止部)
274 外側係止溝(被係止部)
3 半筒状保温部材
30 保温筒
PW 保温材付き金属強化ポリエチレン管(接続管)
P 金属強化ポリエチレン管
W 筒状保温材
J 継手
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手と接続管との接続部を囲繞する保温性能を備えた保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
深夜電力を利用した電気給湯機の一種として図14に示すような自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1は、省エネルギー、環境保護の点でその需要が期待されている。
すなわち、自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1は、ヒートポンプ11と、貯湯タンク12と、ヒートポンプ11から貯湯タンク12への熱媒体の往き配管13と、貯湯タンク12からヒートポンプ11への熱媒体の返り配管14とを備え、ヒートポンプ11において空気中の熱を利用して熱媒体を加熱し、この加熱された熱媒体を往き配管13を用いて貯湯タンク12に送り、この熱媒体の熱によって貯湯タンク12内の水を加熱したのち、熱媒体を返り配管14によってヒートポンプ11に返送し、再びヒートポンプ11で加熱するようにしている。
【0003】
ところで、ヒートポンプ11と貯湯タンク12を連結する往き配管13及び返り配管14としては、例えば、金属強化ポリエチレン管Pの周囲がポリウレタンやポリエチレンの発泡体で形成され、表面に耐候層を備えた筒状保温材Wで囲繞された保温材付き金属強化ポリエチレン管PW(例えば、積水化学工業株式会社製スーパーエスロメタックスECなど)が使用されている。
【0004】
すなわち、上記のような保温材付き金属強化ポリエチレン管PWは、長尺で曲げ加工性に優れ、狭いスペースでの収まりにもその威力を発揮するとともに、筒状保温材Wが予め設けられているので、筒状保温材Wの先端部を除去あるいは反転させて、先端部のみ金属強化ポリエチレン管Pを露出させた後、金属強化ポリエチレン管Pの露出部をヒートポンプ11や貯湯タンク12に設けられたワンタッチ継手(例えば、積水化学工業株式会社製エスロンメタッチ継手)などの継手Jに金属強化ポリエチレン管Pの先端部をそれぞれ接続すればよい。すなわち、配管の回りには後で保温材を巻くような手間がない。
ただ、上記のような保温材付き金属強化ポリエチレン管PWを配管として用いたとしても、継手J部分は、依然として外部に露出している。したがって、従来は、保温材W付きの金属強化ポリエチレン管Pを継手Jに接続後、図示していないが、継手J及び金属強化ポリエチレン管Pの部分に保温材を被せたのち、保温材の上から固定のシールを巻きつけたり、保温材の上に樹脂製成形品の保護カバー(例えば、特許文献1参照)を被せたりすることによって保温を図るようにしている。
【0005】
しかし、上記シールを保温材の上に巻き付ける方法においては、保温材を被せる工程と、シールを巻き付ける工程の2工程が必要で作業が面倒であるとともに、配管スペースが狭い場合、非常に作業性が悪いという問題がある。
一方、保護カバーを被せる方法においては、2工程が必要で作業が面倒であるとともに、
未熟な作業者の場合、保温材を入れ忘れてカバーだけを施工してしまうというおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開2008−95922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、継手と、継手に接続される保温材付きの配管の継手接続部近傍とを作業性よく保温状態に囲繞できる保護カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる保護カバーは、筒状保温材が外装されている接続管と継手との接続部を囲繞する保護カバーであって、半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなることを特徴としている。
【0009】
本発明において、ヒンジは、両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
また、カバー本体部材は、射出成形品が好ましく、ヒンジとしては、2つのカバー部を射出成形と同時に成形できる薄肉ヒンジが好ましい。
【0010】
さらに、接続管囲繞筒部は、その開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されていることが好ましい。
なお、接続管囲繞筒部の開口端側内径は、保温材の材質にもよるが、保温材付きの配管の保温材部分の外径の80%〜98%程度が好ましい。
【0011】
カバー本体部材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、紫外線吸収剤や酸化防止剤などの添加剤が添加されて耐候性が高いものが好ましい。
半筒状保温部材の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂などの合成樹脂発泡体が挙げられる。
【0012】
カバー本体部材への半筒状保温部材の固着方法は、特に限定されないが、例えば、接着剤による接着、両面粘着テープを用いた粘着固定などが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる保護カバーは 以上のように、半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなるので、カバー本体部材の2つのカバー部を閉合させることによって、継手部分が継手囲繞筒部に囲繞されると同時に、2つの半筒状保温部材によって形成される保温筒部内に収容された状態となる。すなわち、継手部分の保温と保護が同時に行えるとともに、保温材の付け忘れもない。
【0014】
また、接続管囲繞筒部の開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となるので、保温材の一部が接続管囲繞筒部の先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材が接続管の軸方向へ移動することを防止できるとともに、半筒状保温部材が耐候性に優れたカバー本体部材によって外部から完全に隠蔽された状態になる。したがって、半筒状保温部材として耐候性に乏しい材質のものでも使用できる。
さらに、保温材を別途巻いたりする必要がないため、配管スペースが狭い場合にも作業性よく取り付けが可能である。
【0015】
また、ヒンジが両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられている構成とすれば、よりしっかりと接続管の保温材を把持できる。
さらに、接続管囲繞筒部の開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されている構成とすれば、よりしっかりと接続管の保温材を把持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図8は、本発明にかかる保護カバーの第1の実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1〜図3に示すように、この保護カバーAは、カバー本体部材2aと、2つの半筒状保温部材3とから構成されている。
カバー本体部材2aは、図1〜図4に示すように、耐候性を備えた熱可塑性樹脂を射出成形することによって2つのカバー部21と、ヒンジ22,23と、係止部としての係止爪24a,24b,24cと、被係止部としての係止環25a,25b,25cとを備えている。
【0018】
カバー部21は、継手囲繞筒部形成部211と接続管囲繞筒部形成部212とを備えている。
継手囲繞筒部形成部211は、略半円筒形をしている本体部211aと、本体部211aの一端縁から内側に延出する半リング状をした鍔部211bとを備え、図5及び図6に示すように、2つのカバー部21が閉合状態に配置されたとき、継手部全体を囲繞する大きさの継手囲繞筒部20aを形成するようになっている。
【0019】
接続管囲繞筒部形成部212は、図2及び図5に示すように、継手囲繞筒部形成部211の一側に連接され、先端がテーパ状に縮径した略半円筒形をしていて、図5に示すように、2つのカバー部21が閉合状態に配置されたとき、略円筒形の接続管囲繞筒部20bを形成する。
また、接続管囲繞筒部形成部212の先端部212aは、接続管囲繞筒部20bの開口端部の内径が接続される保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの保温材Wの外径より小径となるように先端に向かって小径になりながら薄肉化されている。
【0020】
ヒンジ22は、薄肉成形することによって、両継手囲繞筒部形成部211の一方の端縁同士を回動自在に連結した状態で設けられている。
ヒンジ23は、薄肉成形することによって、両接続管囲繞筒部形成部212の一方の端縁同士を回動自在に連結した状態で設けられている。
【0021】
係止爪24a,24bは、一方の継手囲繞筒部形成部211の他方の端縁部外壁面に、継手囲繞筒部形成部211の端面から継手囲繞筒部形成部211の接線方向に突出するように設けられていて、板状本体部241の先端に断面楔状をした係止鉤部242が設けられている。
係止爪24cは、一方の接続管囲繞筒部形成部212の他方の端縁部外壁面に、継手囲繞筒部形成部211の端面から継手囲繞筒部形成部211の接線方向に突出するように設けられていて、先端に断面楔状をした係止鉤部242が設けられている。
【0022】
係止環25a,25bは、他方の継手囲繞筒部形成部211の他方の端縁部外壁面の係止爪24a,24bに対応する位置に設けられ、板状本体部241の断面とほぼ同じか少し大きく、板状本体部241の長さと略同じか少し長い孔を継手囲繞筒部形成部211の外壁面との間に形成するように略コの字形をしている。
係止環25cは、他方の接続管囲繞筒部形成部212の他方の端縁部外壁面の係止爪24cに対応する位置に設けられ、板状本体部241の断面とほぼ同じか少し大きく、板状本体部241の長さと略同じか少し長い孔を接続管囲繞筒部形成部212の外壁面との間に形成するように略コの字形をしている。
【0023】
半筒状保温部材3は、合成樹脂の発泡体で形成されていて、継手囲繞筒部形成部211内に内包された状態でカバー部21に接着固定されている。
また、その内径が継手Jの最大外径とほぼ同じ、かつ、軸に平行な両端部がカバー部21の端縁から突出する大きさに形成されている。
【0024】
この保護カバーAは、以上のようになっており、図5,図6,図8に示すように、係止爪24a,24b,24cを、係止鉤部242がそれぞれ係止環25a,25b,25cの一方から他方に突き抜けるように、係止環25a,25b,25cに挿入することによって、両カバー部21が閉合状態に保持される。すなわち、2つの継手囲繞筒部形成部211によって、円筒状をした継手囲繞筒部20aが形成され、2つの接続管囲繞筒部形成部212によって、円筒状をした接続管囲繞筒部20bが形成された状態となる。
このとき、2つの半筒状保温部材3は、上記の通り、端縁から突出しているから、両端面同士が圧接状態で密着し、円筒状の保温筒30を形成した状態に保持される。
【0025】
そして、この保護カバーAは、例えば、以下のようにして、図14に示すような自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機1の往き配管13と返り配管14の継手接続部を保護することができる。
すなわち、図8に示すように、往き配管(あるいは返り配管)となる保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの一方の端部の保温材Wを切除し、金属強化ポリエチレン管Pの端部を露出させたのち、ヒートポンプ11の熱媒体導入口(または排出口)に取り付けられたワンタッチ継手Jに金属強化ポリエチレン管Pの先端部を挿入し、ワンタッチ接続する。また、図示していないが、保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの一方の端部の保温材Wを切除し、金属強化ポリエチレン管Pの端部を露出させたのち、貯湯タンクの熱媒体導入口(または排出口)に取り付けられたワンタッチ継手に金属強化ポリエチレン管の先端部を挿入し、ワンタッチ接続する。
【0026】
そして、各ワンタッチ継手Jと保温材付き金属強化ポリエチレン管PWとの接続部に図7に示すように、保護カバーAを開放状態で継手J部分を2つの半筒状保温部材3の間に臨むように配置したのち、図8に示すように、保護カバーAを閉合状態とすることによって、継手Jと保温材付き金属強化ポリエチレン管PWとの接続部を保護すると同時に保温状態とすることができる。
すなわち、保護カバーAが閉合状態となると、図8に示すように、継手Jが2つの半筒状保温部材3によって形成される円筒内に半筒状保温部材3の円筒の内壁面を構成する部分が収容された状態になる。同時に保温材付き金属強化ポリエチレン管PWの継手Jの隣接部が接続管囲繞筒部20b内に臨み保護カバーAに保護される。
【0027】
しかも、接続管囲繞筒部20bの先端が保温材Wの外径より小径となっているので、保温材Wの一部が接続管囲繞筒部20bの先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材Wが金属強化ポリエチレン管Pの軸方向へ移動することを防止できるとともに、半筒状保温部材3が耐候性に優れたカバー本体部材2aによって外部から完全に隠蔽された状態になる。したがって、半筒状保温部材3として耐候性に乏しい材質のものでも使用できる。
【0028】
図9〜図13は、本発明にかかる保護カバーの第2の実施の形態をあらわしている。
図9に示すように、この保護カバーBは、カバー本体部材2bの形状が異なる以外は、上記の保護カバーAと同様になっている。
【0029】
すなわち、カバー本体部材2bは、図9及び図10に示すカバー部26と、図11に示すカバー部27とを備え、図示していないが、2つのカバー部26,27が、一方の端縁同士を薄肉成形されたヒンジを介して連結されている。
また、カバー部26は、図9及び図10に示すように、継手囲繞筒部形成部261を有し、継手囲繞筒部形成部261の両側に接続管囲繞筒部形成部262が形成されている。
ている。
一方、カバー部27は、図11に示すように、継手囲繞筒部形成部271を有し、継手囲繞筒部形成部271の両側に接続管囲繞筒部形成部262と対称形状の接続管囲繞筒部形成部272が形成されている。
【0030】
継手囲繞筒部形成部261のヒンジと反対側の端縁には、1つの内側係止部263と、2つの外側係止部264と、2つのガイドバー265とが設けられている。
内側係止部263は、継手囲繞筒部形成部261の中央に位置し、継手囲繞筒部形成部261の内壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、継手囲繞筒部形成部261の外側に向かって突出する係止爪263aをその先端に備えている。
【0031】
2つの外側係止部264は、内側係止部263を両側から挟む対称位置に継手囲繞筒部形成部261の外壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、継手囲繞筒部形成部261の内側に向かって突出する係止爪264aをその先端に備えている。
2つのガイドバー265は、内側係止部263との間に外側係止部264を挟む位置に継手囲繞筒部形成部261の内壁面側で継手囲繞筒部形成部261の端縁から外側に突出するように設けられ、先端にテーパ面265aを備えている。
【0032】
一方、継手囲繞筒部形成部271のヒンジと反対側の端縁には、内側係止部263の対称位置に設けられた被係止部としての1つの内側係止溝273と、2つの外側係止部264の対称位置に設けられた被係止部としての2つの外側係止溝274と、2つのガイドバーの対称位置に設けられた2つのガイド溝275とが設けられている。
内側係止溝273は、入口側にガイド用テーパ部273aを有し、奥側に内側係止部263の係止爪263aが嵌り込む凹部273bが設けられている。
【0033】
外側係止溝274は、図示していないが、内側係止溝273と同様に入口側にガイド用テーパ部274aを有し、奥側に外側係止部の係止爪264aが嵌り込む凹部が設けられている。
ガイド溝275は、入口側にガイド用テーパ部275bを有している。
【0034】
すなわち、この保護カバーBは、一方のカバー部26を、ヒンジを中心に回動させ、図12及び図13に示すように、ガイドバー265のテーパ面265aとガイド溝275のガイド用テーパ部275bとを付き合わせ、内側係止部263と内側係止溝273、及び、外側係止部264と外側係止溝274の位置を正確に合わせた状態で、更に回動させれば、ガイドバー265によって正確な位置決め状態に保たれ、内側係止部263及び外側係止部264がそれぞれ内側係止溝273あるいは外側係止溝274内にスムーズに挿入され、係止爪263aと凹部273b及び係止爪264aと外側係止溝274の凹部がそれぞれ係合することによって、カバー本体部材2bが閉合状態に保たれるようになっている。
【0035】
この保護カバーBは、上記のようになっており、図示していないが、両ソケットタイプの継手の両側に保温材付き金属強化ポリエチレン管を接続したのち、継手囲繞筒部内に継手が収容されるように、カバー本体部材2bを閉合させるようにすれば、継手及び継手と接続管との接続部が保温された状態で、保護できるとともに、保温材の一部が接続管囲繞筒部形成部262,272によって形成される接続管囲繞筒部の先端部内周面によって全周にわたって弾性変形した状態でしっかりと把持され、保温材が金属強化ポリエチレン管の軸方向へ移動することを防止できる。
また、この保護カバーBは、閉合状態において、内側係止部263と、外側係止部264とによって、カバー部26を内外から挟むような状態となるので、カバー部26の端面同士が隙間無く突き合った状態にしっかりと保持することができ、強度的に優れたものとなる。
【0036】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、接続管囲繞筒部が、継手囲繞筒部より小径であったが、寒冷地仕様の場合、保温材の肉厚が厚いものが用いられるので、接続管囲繞筒部が継手囲繞筒部より大径になる場合がある。
上記の実施の形態では、カバー本体部材が閉合状態で円筒形をしていたが、角筒形をしていても構わない。
【0037】
また、上記の第2の実施の形態では、接続管囲繞筒部形成部には、係止部及び被係止部が設けられていなかったが、設けるようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかる保護カバーは、特に限定されないが、例えば、自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機の熱媒体配管と、ヒートポンプあるいは貯湯タンクに設けられた継手との接続部、屋内給湯配管の配管ヘッダーに設けられた継手あるいは各給湯栓と接続部などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる保護カバーの第1の実施の形態をあらわし、その開放状態の平面図である。
【図2】図1のX方向矢視図である。
【図3】図1のY方向矢視図である。
【図4】図1の保護カバーを構成するカバー本体部材の開放状態の平面図である。
【図5】図1の保護カバーを閉合した状態の図1のX方向矢視図である。
【図6】図1の保護カバーを閉合した状態の断面図である。
【図7】図1の保護カバーの取り付け方法を説明する斜視図である。
【図8】図1の保護カバーの使用状態を説明する一部切欠断面図である。
【図9】本発明にかかる保護カバーの第2の実施の形態をあらわし、そのカバー本体部材の一方のカバー部の斜視図である。
【図10】図9の保護カバーの一方のカバー部を内側から見た斜視図である。
【図11】図9の保護カバーの他方のカバー部を内側から見た斜視図である。
【図12】図9のカバー本体部材の係止部と被係止部との係合状態を説明する切欠断面斜視図である。
【図13】図9のカバー本体部材の係止部と被係止部との係合状態を説明する断面図である。
【図14】自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機を模式的に説明する説明図である。
【符号の説明】
【0040】
A,B 保護カバー
2a,2b カバー本体部材
20a 継手囲繞筒部
20b 接続管囲繞筒部
21カバー部
22,23 ヒンジ
24a,24b,24c 係止爪(係止部)
25a,25b,25c 係止環(被係止部)
211,261,271 継手囲繞筒部形成部
212,262,272 接続管囲繞筒部形成部
263 内側係止部(係止部)
264 外側係止部被係止部
273 内側係止溝(被係止部)
274 外側係止溝(被係止部)
3 半筒状保温部材
30 保温筒
PW 保温材付き金属強化ポリエチレン管(接続管)
P 金属強化ポリエチレン管
W 筒状保温材
J 継手
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状保温材が外装されている接続管と継手との接続部を囲繞する保護カバーであって、
半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、
前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、
前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
ヒンジが両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられている請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
接続管囲繞筒部の開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されている請求項1または請求項2に記載の保護カバー。
【請求項1】
筒状保温材が外装されている接続管と継手との接続部を囲繞する保護カバーであって、
半筒状をした2つのカバー部と、2つのカバー部が端面同士を突合せて筒状となる閉合位置と開放位置とを選択可能に2つのカバー部の軸に平行な一方の端縁同士を回動自在に枢支するヒンジと、一方のカバー部の他端縁に沿って設けられた係止部と、2つのカバー部が前記閉合位置となったとき、前記係止部に係合して閉合状態を保持する他方のカバー部の他端縁に沿って設けられた被係止部とを備えるとともに、
前記2つのカバー部が、閉合状態で囲繞する継手より大径で継手部全体を囲繞する継手囲繞筒部を形成する継手囲繞筒部形成部と、この継手囲繞筒部形成部の少なくとも一側に連接され、継手に接続された接続管端部を筒状保温材とともに囲繞し、開口端側内径が筒状保温材の外径より小径となる接続管囲繞筒部を形成する接続管囲繞筒部形成部とを有するカバー本体部材と、
前記継手囲繞筒部形成部にそれぞれ内包された状態で前記カバー本体部材に固着され、カバー本体部材が閉合状態で端面同士が圧接されて保温筒を形成する2つの半筒状保温部材とからなることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
ヒンジが両カバー部の継手囲繞筒部形成部同士を接続する位置、及び、接続管囲繞筒部形成部同士を接続する位置にそれぞれ設けられている請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
接続管囲繞筒部の開口端部が徐々に縮径しながら開口端に向かって徐々に薄肉化されている請求項1または請求項2に記載の保護カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−14134(P2010−14134A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172000(P2008−172000)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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