説明

信号プロセッサを有するナビゲーションシステム

【課題】複数の衛星信号を処理する信号プロセッサを開示する。
【解決手段】信号プロセッサは、複数の基準C/A(coarse acquisition)コードと複数の第1衛星信号との間の複数の相関に従って、複数の第1衛星信号から追跡情報を同期的に取得するように動作可能な複数の取得チャンネルを含んでいる。前記信号プロセッサは、前記取得チャンネルに結合され、かつ前記取得チャンネルに対して前記基準C/Aコードを生成するように動作可能な複数のコード生成器をさらに含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その発明の名称を「Satellite Navigation System with a Base-Band Signal Processor」と称し、2009年1月21日に提出された米国仮特許出願第61/205,526号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
一般的に、全地球測位システム(GPS)受信機のような衛星ナビゲーションシステムを使用することにより、様々な衛星から衛星信号を受信するとともに、衛星信号を処理することができる。衛星ナビゲーションシステムに含まれるベースバンド信号プロセッサは、使用可能な衛星信号から追跡情報を取得するとともに、追跡情報に従って対応する衛星を追跡することができる。図1は、従来のベースバンド信号プロセッサを有する衛星ナビゲーションシステム100のブロック図を例示している。図1に示されているように、衛星ナビゲーションシステム100は、様々な衛星からアンテナ102を経由して衛星信号を受信し、かつ衛星信号の周波数をRFから中間周波数に変換する無線周波数(RF)フロントエンド104を含んでいる。アナログ−デジタル変換器106は、予め決定されたサンプリング周波数で衛星信号をデジタル化するとともに、ベースバンド信号プロセッサ120内の取得モジュール130に対してデジタル衛星信号(ベースバンド信号とも呼ばれる)を生成することができる。取得モジュール130は、複数の取得チャンネルを含むことにより、ベースバンド信号から追跡情報を取得することができる。複数の追跡チャンネルを含む追跡モジュール150は、取得モジュール130から追跡情報を受信し、追跡情報に従って対応する衛星を追跡するとともに、ナビゲーション情報を出力することができる。ナビゲーションデータ計算器108および位置計算器110は、追跡モジュール150からのナビゲーション情報に従って衛星ナビゲーションシステム100の位置を計算することができる。
【0004】
ベースバンド信号プロセッサ120において、取得チャンネルおよび追跡チャンネルは、衛星信号で使用されるローカルキャリアコード(local carrier code)およびC/A(coarse acquisition)コードを生成可能な単一のコード生成器140を共有し得る。コード生成器140は、ある時間において、1つだけの取得チャンネル、または1つだけの追跡チャンネルとともに動作し得る。各取得チャンネルおよび各追跡チャンネルは、動作中、コード生成器を必要とするため、取得チャンネルおよび追跡チャンネルは、同期的に動作し得ない。さらに、衛星のセットは各取得チャンネルに対して固定されるとともに、各取得チャンネルは、固定された衛星のセットからの衛星信号出力から追跡情報を取得する。同様に、各追跡チャンネルによって追跡される衛星は、固定されるとともに、衛星ナビゲーションシステム100の動作中、調整されず、さらにシステムの効率および柔軟性を低下し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、複数の衛星信号を処理する信号プロセッサが開示される。信号プロセッサは、複数の基準(reference)C/Aコードと複数の第1衛星信号との間の複数の相関に従って、複数の第1衛星信号から追跡情報を同期的に取得するように動作可能な複数の取得チャンネルを含んでいる。前記信号プロセッサは、前記取得チャンネルに結合され、かつ前記取得チャンネルに対して前記基準C/Aコードを生成するように動作可能な複数のコード生成器をさらに含んでいる。
【0006】
主張される本発明の主題の特徴および利点は、添付の図面(同じ参照符号は同じ部分を表している)を参照しながら、以下に続く発明の詳細な説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来のベースバンド信号プロセッサを有する衛星ナビゲーションシステムを例示するブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、ベースバンド信号プロセッサを有する衛星ナビゲーションシステムを例示するブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による、取得チャンネルを例示するブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による、ベースバンド信号プロセッサによって実行される動作を例示するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による、取得チャンネルによって実行される動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態に関して詳細に参照する。本発明は、これらの実施形態と併せて説明されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図していないことが理解される。一方、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨および範囲内に含まれ得る代替物、変更物、および等価物を包含することを意図している。
【0009】
さらに、後述する本発明の詳細な記載において、多数の具体的な詳細を説明することにより、本発明についての完全な理解を提供する。しかし、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは当業者に理解される。他の例において、周知の方法、手続き、コンポーネント、および回路は、本発明の態様を不必要に曖昧にしないよう詳細に記載しない。
【0010】
一実施形態において、本発明は、ベースバンド信号プロセッサを有する衛星ナビゲーションシステムを提供する。そのような一実施形態では、ベースバンド信号プロセッサにおいて、使用可能な取得チャンネルが選択されることにより、受信した衛星信号から追跡情報を取得することができる。使用可能な追跡チャンネルが選択されることにより、取得チャンネルからの追跡情報出力に基づいて対応する衛星を追跡することができる。使用可能なコード生成器が選択されることにより、選択された取得チャンネルおよび追跡チャンネルに対して、ローカルキャリアコードおよび基準C/Aコードを生成することができる。
【0011】
各衛星は、ナビゲーションメッセージを特有なC/Aコードに変調することができる。C/Aコードは、標準的な擬似ランダムノイズコードであることが可能である。衛星は、ナビゲーションメッセージを有するC/Aコードをローカルキャリアコードに変調することができる。ナビゲーションメッセージおよびC/Aコードを伝播するローカルキャリアコードは、衛星信号としてみなすことができる。衛星は、衛星信号を地球に送信することができる。衛星は、同じローカルキャリアコードを使用することにより、ナビゲーションメッセージを伝播する。衛星信号の周波数は、ローカルキャリアコードの周波数と同じである。したがって、複数の衛星信号は、1つの衛星信号に自動的にマージすることができる。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による、信号プロセッサ、たとえばベースバンド信号プロセッサ220を有するナビゲーションシステム200のブロック図を例示している。一実施形態において、ナビゲーションシステム200は、衛星ナビゲーションシステムである。ベースバンド信号プロセッサ220は、取得モジュール230、コード生成器プール240、追跡モジュール250、および構成器260を含むことができる。取得モジュール230は、複数の取得(ACQ)チャンネルを含んでいる。追跡モジュール250は、複数の追跡チャンネルを含んでいる。
【0013】
無線周波数(RF)フロントエンド204は、衛星信号を受信するとともに、衛星信号の周波数をRFから中間周波数(IF)に変換することができる。アナログ−デジタル変換器206は、予め決定されたサンプリング周波数で衛星信号をデジタル化するとともに、ベースバンド信号プロセッサ220に対して、デジタル衛星信号(ベースバンド信号と呼ばれる)を生成することができる。
【0014】
構成器260は、取得モジュール230内の使用可能な取得(ACQ)チャンネルのセットを選択することにより、ベースバンド信号を受信することができる。さらに、構成器260は、衛星のセットを選択された各ACQチャンネルに割り当てることができる。選択された各ACQチャンネルは、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関に従って、ベースバンド信号に含まれる衛星信号から追跡情報を取得することができる。構成器260は、コード生成器プール240内の複数の使用可能なコード生成器をさらに選択することができる。選択された各コード生成器は、選択された各ACQチャンネルに割り当てることができる。
【0015】
ACQチャンネルが動作を開始した場合、ACQチャンネルは、割り当てられた衛星に関するローカルキャリアコードおよび基準C/Aコードを生成するように、対応するコード生成器に指示することができる。基準C/Aコードは、初期位相(initial phase)を有している。ACQチャンネルは、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関を計算することによって、割り当てられた衛星からの衛星信号出力がベースバンド信号に含まれているかどうかを判定することができる
【0016】
より具体的には、ACQチャンネルが、コード生成器から基準C/Aコードを受信した場合、ACQチャンネルは、基準C/Aコードの初期位相を複数の予め決定された値で複数回シフトするとともに、予め決定された値だけ初期位相からシフトされた位相を有する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関を計算することができる。
【0017】
複数の相関のうち最大値が予め決定された閾値よりも高い場合、衛星からの衛星信号出力は、ベースバンド信号に含まれていると判定することができる。ACQチャンネルは、基準C/Aコードに従って、衛星信号から追跡情報を取得することができる。追跡情報は、限定するわけはないが、識別(identification)、ドップラー周波数シフト情報、およびC/Aコード位相シフト情報を含むことができる。
【0018】
ACQチャンネルが衛星信号からの追跡情報を得た場合、構成器260は、追跡モジュール250内の使用可能な追跡チャンネルのセットを選択することによって、ACQチャンネルから追跡情報を受信することができる。一実施形態において、1つの追跡チャンネルは、ACQチャンネルから衛星信号に関する追跡情報を受信するとともに、追跡情報に従って対応する衛星を追跡するように構成することができる。別の実施形態において、安定性の向上のために、複数の追跡チャンネルは、同じ衛星信号に関する追跡情報を受信するとともに、追跡情報に従って同じ衛星を追跡することができる。構成器260はさらに、コード生成器プール240内の複数の使用可能なコード生成器を選択するとともに、選択された各コード生成器を各追跡チャンネルに割り当てることができる。
【0019】
追跡チャンネルが衛星信号に関する追跡情報を受信した場合、追跡チャンネルは、追跡情報からドップラー周波数シフト情報およびC/Aコード位相シフト情報を取得することができる。コード生成器は、ドップラー周波数シフト情報およびC/Aコード位相シフト情報に従って、C/Aコードおよびローカルキャリアコードを生成することができる。追跡チャンネルは、追跡情報、C/Aコード、およびローカルキャリアコードに従って、対応する衛星を追跡するとともに、ナビゲーション情報を得ることができる。
【0020】
さらに、ACQ/追跡チャンネルがその動作を終了した場合、対応するコード生成器は、他のACQ/追跡チャンネルに対して使用可能となる。
【0021】
衛星ナビゲーションシステム200は、ナビゲーションプロセッサ208をさらに含むことにより、追跡チャンネルからのナビゲーション情報出力に従って、衛星ナビゲーションシステム200の位置を計算することができる。
【0022】
好ましくは、独立したコード生成器は、選択された各ACQチャンネルおよび追跡チャンネルに割り当てられているため、選択されたACQチャンネルおよび追跡チャンネルは、同時に動作することができる。さらに、選択された各ACQチャンネルに割り当てられた衛星は、固定されず、かつ現在の状態に基づいて調整することができる。したがって、ベースバンド信号プロセッサ220は、効率および柔軟性の向上を実現することができる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態による、取得(ACQ)チャンネル300、たとえば図2の取得モジュール230内のACQチャンネルのうち1つのACQチャンネルのブロック図を例示している。図3は、図2と併せて説明される。
【0024】
一実施形態において、ACQチャンネル300は、予め決定された数の相関コア3310〜331Nを含むことにより、初期位相から連続してシフトされた位相を有する入力C/Aコードとベースバンド信号との間の相関を計算する。一実施形態において、C/Aコードは、周期的な信号であるとともに、C/Aコードの1周期は、1023個の小片(chip)を含むことができる。C/Aコードの初期位相は、1周期の開始であることが可能である。ACQチャンネル300は、複数の位相シフタ3351〜335Nをさらに含むことにより、予め決定された値だけ入力C/Aコードの位相をシフトする。
【0025】
ACQチャンネル300がベースバンド信号を受信した場合、ACQチャンネル300は、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関に従って、ベースバンド信号に含まれた複数の衛星信号から追跡情報を取得する。
【0026】
割り当てられた各衛星に関して、ACQチャンネル300は、初期位相を有する、衛星の基準C/Aコードを生成し、かつローカルキャリアコードを生成するように、コード生成器プール240内のコード生成器の1つである対応するコード生成器に指示することができる。ローカルキャリアコードは、各相関コアに入力することができる。さらに、初期位相を有する基準C/Aコードは、相関コア3310および位相シフタ3351に入力することができる。
【0027】
一実施形態において、第一位相シフタ3351は、C/Aコードの初期位相を第1所定値Pだけシフトするとともに、初期位相に対してPの位相シフトを有するC/Aコードを相関コア3311に出力することができる。第2位相シフタ3352は、第1位相シフタ3351からのC/Aコードの位相を、第2所定値Pだけシフトするとともに、初期位相に対して(P+P)の位相シフトを有するC/Aコードを相関コア3312に出力することができる。同様に、位相シフタ335K(2<K≦N)は、以前の位相シフタ335(K−1)からのC/Aコードの位相を、K番目の所定値Pだけシフトするとともに、初期位相に対して(P+P+・・・+P)の位相シフトを有するC/Aコードを対応する相関コア331Kに出力することができる。
【0028】
たとえば、第1位相シフタ3351は、C/Aコードの初期位相を1/Mの小片によりシフトするとともに、初期位相に対して1/Mの小片の位相シフトを有するC/Aコードを相関コア3311に出力することができる。第2位相シフタ3352は、第1位相シフタ3351からのC/Aコード出力の位相を1/Mの小片によりシフトするとともに、初期位相に対して2/Mの小片の位相シフトを有するC/Aコードを相関コア3312に出力する。同様に、位相シフタ335K(2<K≦N)は、以前の位相シフタ335(K−1)からのC/Aコード出力の位相を1/Mの小片によりシフトするとともに、初期位相に対してK/Mの小片の位相シフトを有するC/Aコードを対応する相関コア331Kに出力することができる。
【0029】
したがって、各相関コア331K(0<K≦N)は、ベースバンド信号、対応するC/Aコード、およびローカルキャリアコードを乗算することによって、(P+P+・・・+P)の位相シフトを有する対応するC/Aコードとベースバンド信号との間の相関を計算するとともに、相関結果を得ることができる。
【0030】
保存ユニット337は、相関コア3310〜331Nの相関結果を保存するために使用することができる。一実施形態において、検索ユニット339は、保存ユニット337から相関結果をフェッチするとともに、複数の相関結果から最大の相関結果を選択することができる。最大の相関結果が予め決定された閾値を超過した場合、衛星からの対応する衛星信号出力はベースバンド信号に含まれていると判定することができる。次に、ACQチャンネル300は、一実施形態において、最大の相関結果に従って、衛星信号に関する識別、ドップラー周波数シフト情報、およびC/Aコード位相シフト情報を含む追跡情報を得ることができる。最大の相関結果が予め決定された閾値を超過しなかった場合、対応する衛星はベースバンド信号に含まれていないと判定することができる。
【0031】
割り当てられた衛星のうち1つからの衛星信号出力がベースバンド信号に含まれているかどうかを判定した後、ACQチャンネル300は、割り当てられた衛星のうち次の1つからの衛星信号出力がベースバンド信号に含まれているかどうかの判定を継続する。割り当てられた衛星の全てからの衛星信号出力がベースバンド信号に含まれているかどうかを判定した後、ACQチャンネル300は、さらなる処理のために、ベースバンド信号に含まれる衛星信号から追跡情報を取得するとともに、追跡モジュール250に出力する。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態による、ベースバンド信号プロセッサ、たとえば図2のベースバンド信号プロセッサ220によって実行される動作のフローチャート400を例示している。図4は、図2と併せて説明される。
【0033】
ベースバンド信号がベースバンド信号プロセッサ220に入力された場合、ブロック402で、構成器260は、取得モジュール230内の使用可能な取得(ACQ)チャンネルのセットを選択することにより、ベースバンド信号を受信することができる。ブロック404で、構成器260は、1つ以上の衛星を各ACQチャンネルに割り当てることができる。ブロック406で、構成器260は、コード生成器プール240内の複数の使用可能なコード生成器を選択するとともに、選択された各コード生成器を選択された各ACQチャンネルに割り当てることができる。選択されたコード生成器は、選択されたACQチャンネルに対して、初期位相を有する、割り当てられた衛星の基準C/Aコードを生成することができる。
【0034】
ブロック408で、各ACQチャンネルは、基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関を計算することができる。ブロック410で、選択された各ACQチャンネルは、計算された相関に従って、割り当てられた衛星からの衛星信号出力がベースバンド信号に含まれているかどうかを判定することができる。ブロック412で、ACQチャンネルは、ベースバンド信号に含まれている衛星信号から追跡情報を取得する。追跡情報は、限定するわけではないが、衛星信号に関する識別、ドップラー周波数シフト情報、およびC/Aコードの位相シフト情報を含むことができる。
【0035】
ブロック414で、構成器260は、追跡モジュール250内の複数の使用可能な追跡チャンネルを選択することによって、ACQチャンネルによって取得された衛星信号から取得された追跡情報に従って、対応する衛星を追跡することができる。一実施形態において、1つの追跡チャンネルは、1つの衛星信号から取得された追跡情報に従って、1つの衛星を追跡することができる。別の実施形態において、安定性の向上のために、複数の追跡チャンネルは、同じ衛星信号から取得された追跡情報に従って同じ衛星を追跡することができる。ブロック416で、コード生成器プール240内の使用可能なコード生成器が選択されることによって、対応する衛星を追跡するために使用可能な追跡チャンネルに対して、衛星信号から取得された追跡情報に従って基準C/Aコードを生成することができる。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態による、ACQチャンネル、たとえば図3のACQチャンネル300によって実行される動作のフローチャート500を例示している。図5は、図3と併せて説明される。ベースバンド信号がACQチャンネル300に入力された場合、ACQチャンネル300は、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関に従って、ベースバンド信号に含まれる複数の衛星信号からの追跡情報の取得を開始することができる。
【0037】
ブロック502で、ACQチャンネル300は、割り当てられた複数の衛星から1つの衛星を選択することができる。ブロック504で、コード生成器は、初期位相を有する、選択された衛星の基準C/Aコードを生成することができる。ブロック506で、基準C/Aコードの初期位相は、複数の予め決定された値だけシフトすることができる。初期位相から予め決定された値だけシフトされた位相を有するC/Aコードは、相関コア3310〜331Nに入力することができる。一実施形態において、基準C/Aコードの初期位相は、各相関コア331K(0<K≦n)に対してK/Mの小片によりシフトすることができるとともに、K/Mの小片の位相シフトを有するC/Aコードは、対応する相関コア331Kに入力することができる。
【0038】
ブロック508で、各相関コアは、予め決定された値のうち対応する1つの値だけ初期位相からシフトされた位相を有する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関値を計算することができる。
【0039】
ブロック510で、相関コア3310〜331Nによって計算された相関値のうちの最大値を選択することができる。一実施形態において、相関コア3310〜331Nは、計算された相関値を保存ユニット337に送信することができる。検索ユニット339は、保存ユニット337から相関値をフェッチするとともに、フェッチされた値から最大値を選択することができる。ブロック512で、最大値(VMAX)が、予め決定された閾値(VPRE)を超過した場合、ブロック514で、選択された衛星からの衛星信号出力は、ベースバンド信号に含まれていると判定される。ブロック516で、ACQチャンネル300は、限定するわけではないが、衛星信号に関する識別、ドップラー周波数シフト情報、およびC/Aコードの位相シフト情報を含む追跡情報を取得することができる。ブロック512で、最大値(VMAX)が予め決定された閾値(VPRE)を超過しなかった場合、ブロック518で、選択された衛星からの衛星信号出力は、ベースバンド信号に含まれていないと判定される。ブロック520で、割り当てられた衛星の全てが選択された場合、ブロック522で、ACQチャンネル300は、さらなる動作のため、衛星信号から取得された追跡情報を出力することができる。そうでない場合、フローチャート500はブロック502に戻ることによって、割り当てられた衛星から次の衛星を選択する。
【0040】
したがって、本発明による実施形態は、ベースバンド信号プロセッサ220を有するナビゲーションシステムを提供する。ベースバンド信号プロセッサ220において、複数の取得(ACQ)チャンネルおよび複数の追跡チャンネルは、複数のコード生成器を共用することができる。ベースバンド信号プロセッサ220が複数の衛星信号を含むベースバンド信号を受信した場合、使用可能なACQチャンネルのセットが選択されることによって、ベースバンド信号を受信することができる。さらに、1つ以上の衛星は、選択された各ACQチャンネルに割り当てることができる。それに加えて、コード生成器プール内の使用可能なコード生成器を選択するとともに、選択された各ACQチャンネルに割り当てることができる。ACQチャンネルは、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードを生成するように、コード生成器に指示することができる。選択された各ACQチャンネルは、割り当てられた衛星に関する基準C/Aコードとベースバンド信号との間の相関に従って、ベースバンド信号に含まれる衛星信号から追跡情報を取得することができる。ACQチャンネルが衛星信号から追跡情報取得した場合、追跡モジュール内の使用可能な追跡チャンネルが選択が選択されることによって、ACQチャンネルから追跡情報を受信するとともに、追跡情報に従って対応する衛星を追跡することができる。
【0041】
好ましくは、独立したコード生成器が、選択された各ACQチャンネルおよび追跡チャンネルに割り当てられるため、選択されたACQチャンネルおよび追跡チャンネルは、 同時に動作することができる。さらに、選択された各ACQチャンネルに割り当てられた衛星は固定されず、かつ現在の状態に基づいて調整することができる。したがって、ベースバンド信号プロセッサ220は、効率および柔軟性の向上を実現することができる。
【0042】
本明細書において実施形態を記載したが、それらは、本発明を利用する複数の実施形態の一部に過ぎず、かつ限定ではなく例示の目的で説明される。当業者にとっては自明な他の多くの実施形態が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から実質的に逸脱せずに成され得ることが可能であることは明らかである。さらに、本発明のエレメントは、単数のものとして記載または主張され得るが、単数であることの限定が明白に記載されていない限り、複数のものが意図されている。
【符号の説明】
【0043】
200 ナビゲーションシステム
204 無線周波数フロントエンド
206 アナログ−デジタル変換器
208 ナビゲーションプロセッサ
220 ベースバンド信号プロセッサ
230 取得モジュール
240 コード生成器プール
250 追跡モジュール
260 構成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基準C/Aコードと複数の第1衛星信号との間の複数の相関に従って、前記複数の第1衛星信号から追跡情報を同期的に取得するように動作可能な複数の取得チャンネルと、
前記取得チャンネルに結合され、かつ前記取得チャンネルに対して前記基準C/Aコードを生成するように動作可能な複数の第1コード生成器と
を具備することを特徴とする信号プロセッサ。
【請求項2】
前記各取得チャンネルは、前記相関に従って複数の第2衛星信号が前記複数の第1衛星信号に含まれているかどうかを判定するとともに、
前記各取得チャンネルは、前記複数の第2衛星信号のインスタンスから追跡情報をさらに取得することを特徴とする請求項1に記載の信号プロセッサ。
【請求項3】
前記取得チャンネルに結合され、かつ複数の衛星を前記各取得チャンネルに割り当てるように動作可能な構成器をさらに具備し、
前記取得チャンネルは、前記割り当てられた衛星に関する前記基準C/Aコードを生成するように、前記複数の第1コード生成器に指示することを特徴とする請求項1に記載の信号プロセッサ。
【請求項4】
前記各取得チャンネルは、複数の位相シフタを具備し、
前記各位相シフタは、前記基準C/Aコードのうち1つの基準C/Aコードの初期位相を予め決定された値でシフトするように動作可能であり、
前記各取得チャンネルは、前記位相シフタに結合された前記複数の相関コアを具備し、
前記各相関コアは、前記相関のインスタンスを計算するように動作可能であり、
前記各相関は、前記位相シフタのうち対応する1つによってシフトされた位相を有する前記基準C/Aコードのうちの1つと前記衛星信号との間の相関であることを特徴とする請求項1に記載の信号プロセッサ。
【請求項5】
前記取得チャンネルに結合され、かつ前記複数の第一衛星信号から取得された前記追跡情報に従って、対応する衛星を同期的に追跡するように動作可能な複数の追跡チャンネルをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の信号プロセッサ。
【請求項6】
前記追跡チャンネルに結合され、かつ前記追跡チャンネルに対して、前記追跡情報に基づき、ある位相を有する前記対応する衛星のC/Aコードを生成するように動作可能な複数の第2コード生成器をさらに具備することを特徴とする請求項5に記載の信号プロセッサ。
【請求項7】
複数の基準C/Aコードと複数の第一衛星信号との間の複数の相関に従って、複数の取得チャンネルを使用して前記複数の第一衛星信号から追跡情報を同期的に取得するステップと、
前記取得チャンネルに対し、複数の第1コード生成器を使用して前記基準C/Aコードを生成するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記各取得チャンネルにより、前記相関に従って、複数の第2衛星信号が前記複数の第1衛星信号に含まれているかどうかを判定するステップと、
前記各取得チャンネルにより、前記複数の第2衛星信号のインスタンスから追跡情報を取得するステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の衛星を前記各取得チャンネルに割り当てるステップと、
前記割り当てられた衛星に関する前記基準C/Aコードを生成するように、前記複数の第1コード生成器に指示するステップと
をさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基準C/Aコードのうち1つの基準C/Aコードの初期位相を複数の予め決定された値だけシフトするステップと、
前記相関のインスタンスを計算するステップと
を具備し、
前記各相関は、前記初期位相から前記予め決定された値のうち対応する1つの値だけシフトされた位相を有する前記基準C/Aコードのうちの1つと前記衛星信号との間の相関であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の第1衛星信号から取得された前記追跡情報に従い、複数の追跡チャンネルを使用して対応する衛星を同期的に追跡するステップをさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記追跡チャンネルに対して、前記追跡情報に基づき、複数の第2コード生成器を使用して、ある位相を有する前記対応する衛星のC/Aコードを生成するステップをさらに具備することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
全地球測位システム(GPS)受信機であって、
信号プロセッサを具備し、
前記信号プロセッサは、
複数の基準C/Aコードと複数の第1衛星信号との間の相関に従って、前記複数の第1衛星信号から追跡情報を同期的に取得するように動作可能な複数の取得チャンネルと、
複数のコード生成器と、
前記生成器および前記取得チャンネルに結合された構成器と
を具備し、
前記構成器は、前記取得チャンネルに対して前記基準C/Aコードを生成するために、前記複数のコード生成器から使用可能なコード生成器の第1セットを選択するように動作可能であることを特徴とするGPS受信機。
【請求項14】
前記各取得チャンネルは、前記相関に従って、複数の第2衛星信号が前記複数の第1衛星信号に含まれているかどうかを判定するとともに、
前記各取得チャンネルは、前記複数の第2衛星信号のインスタンスから追跡情報をさらに取得することを特徴とする請求項13に記載のGPS受信機。
【請求項15】
前記構成器は、複数の衛星を前記各取得チャンネルに割り当てるとともに、
前記取得チャンネルは、前記割り当てられた衛星に関する前記基準C/Aコードを生成するように、前記コード生成器の第1セットに指示することを特徴とする請求項13に記載のGPS受信機。
【請求項16】
前記取得チャンネルが前記複数の第1衛星信号から前記追跡情報を取得する動作を終了した場合、前記コード生成器の第1セットは使用可能になることを特徴とする請求項13に記載のGPS受信機。
【請求項17】
前記各取得チャンネルは、複数の位相シフタを具備し、
前記各位相シフタは、予め決定された値で前記基準C/Aコードのうち1つの基準C/Aコードの初期位相をシフトするように動作可能であり、
前記各取得チャンネルは、前記位相シフタに結合された複数の相関コアを具備し、
前記各相関コアは、前記相関のインスタンスを計算するように動作可能であるとともに、
前記各相関は、前記位相シフタのうち対応する1つの位相シフタによってシフトされた位相を有する前記基準C/Aコードのうちの1つと前記衛星信号との間の相関であることを特徴とする請求項13に記載のGPS受信機。
【請求項18】
前記信号プロセッサは、複数の追跡チャンネルをさらに具備し、
前記複数の追跡チャンネルは、前記取得チャンネルに結合され、かつ前記複数の第1衛星信号から取得された前記追跡情報に従って、対応する衛星を同期的に追跡するように動作可能であることを特徴とする請求項13に記載のGPS受信機。
【請求項19】
前記構成器は、前記追跡チャンネルに対して、前記追跡情報に基づき、ある位相を有する前記対応する衛星のC/Aコードを生成するために、前記複数のコード生成器から使用可能なコード生成器の第2セットを選択することを特徴とする請求項18に記載のGPS受信機。
【請求項20】
前記追跡チャンネルが前記対応する衛星を追跡する動作を終了した場合、前記コード生成器の第2セットは使用可能になることを特徴とする請求項19に記載のGPS受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−169683(P2010−169683A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−10030(P2010−10030)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】