説明

信号伝送システム、信号伝送方法、送信機及び受信機

【課題】DVI信号及び制御信号を1つのネットワークケーブルを介して送信することができる信号伝送システム、信号伝送方法、送信機及び受信機を提供する。
【解決手段】送信機1が、制御信号を周波数変調し、周波数変調された制御信号をCat5ケーブル4を介して送信されるDVI信号に多重化する。そして、受信機は、多重化されたDVI信号から周波数変調された制御信号を分離し、分離された制御信号を復調する。よって、送信機1は、1本のネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を受信機2に伝送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送システム、信号伝送方法、送信機及び受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、Cat5(category 5)ケーブル、即ちLANケーブルを介して受信装置と送信装置とが接続されている遠隔システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この遠隔システムでは、送信装置は、Cat5ケーブル内の3対の信号線で映像信号(アナログRGB信号)を受信装置に送信し、残りの1対の信号線でキーボード/マウス信号等のコンソール信号を受信装置との間で送受信している。
【0003】
また、送信装置と受信装置との間を接続する1本のCat5(category 5)ケーブルを延長して、DVI(Digital Visual Interface)信号及び各種の制御信号を送信装置から受信装置に送信する遠隔システムが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−356939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DVI信号は4対の差動信号であるため、Cat5ケーブル内の全信号線(即ち4対の信号線)はDVI信号に占有されて、制御信号を伝送することができない。このため、2本のCat5ケーブルが送信装置と受信装置との間に接続され、DVI信号及び制御信号が別々の信号線を介して送信されている。
【0006】
本発明の目的は、DVI信号及び制御信号を1つのネットワークケーブルを介して送信することができる信号伝送システム、信号伝送方法、送信機及び受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、信号伝送システムの一態様は、前記送信機は、制御信号を周波数変調する第1変調手段と、前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して前記受信機に送信されるDVI信号に多重化する第1多重化手段とを有し、前記受信機は、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された制御信号を分離する第1分離手段と、前記分離された制御信号を復調する第1復調手段とを有することを特徴とする。かかる構成によれば、1つのネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を受信機に伝送することができる。
【0008】
好ましくは、前記受信機は、前記制御信号に対応する応答信号を周波数変調する第2変調手段と、前記周波数変調された応答信号を前記1つのネットワークケーブルを介して前記送信機に送信されるDVI信号に多重化する第2多重化手段とを有し、前記送信機は、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された応答信号を分離する第2分離手段と、前記分離された応答信号を復調する第2復調手段とを有することを特徴とする。かかる構成によれば、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【0009】
さらに好ましくは、前記第1多重化手段は、前記周波数変調された制御信号を前記DVI信号に含まれるクロック信号に多重化し、前記第2多重化手段は、前記周波数変調された応答信号を前記DVI信号に含まれるクロック信号に多重化することを特徴とする。かかる構成によれば、DVI信号に含まれるクロック信号を利用して、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【0010】
好ましくは、前記受信機は、前記制御信号の宛先が当該受信機以外の他の受信機である場合に、前記制御信号を当該他の受信機に中継する中継手段を有することを特徴とする。かかる構成によれば、複数の受信機がある場合でも、制御信号を所望の受信機に伝送することができる。
【0011】
好ましくは、前記制御信号は、前記受信機に接続される表示装置の故障を検出するためのコマンド、又は当該表示装置の輝度又は解像度を調整するためのコマンドを示すことを特徴とする。かかる構成によれば、送信機は、1本のネットワークケーブルを使って、DVI信号と共に表示装置の故障を検出するためのコマンド又は当該表示装置の輝度又は解像度を調整するためのコマンドを受信機に伝送することができる。
【0012】
信号伝送方法の一態様は、送信機で、制御信号を周波数変調し、前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して受信機に送信されるDVI信号に多重化し、前記受信機で、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された制御信号を分離し、前記分離された制御信号を復調することを特徴とする。かかる構成によれば、1つのネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を受信機に伝送することができる。
【0013】
好ましくは、前記受信機は、前記制御信号に対応する応答信号を周波数変調し、前記周波数変調された応答信号を前記1つのネットワークケーブルを介して前記送信機に送信されるDVI信号に多重化し、前記送信機は、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された応答信号を分離し、前記分離された応答信号を復調することを特徴とする。かかる構成によれば、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【0014】
送信機の一態様は、制御信号を周波数変調する変調手段と、前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して受信機に送信されるDVI信号に多重化する多重化手段と、前記受信機で多重化されたDVI信号から前記制御信号に対応する周波数変調された応答信号を分離する分離手段と、前記分離された応答信号を復調する復調手段とを備えることを特徴とする。かかる構成によれば、1本のネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を受信機に伝送することができる。また、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【0015】
受信機の一態様は、制御信号に対応する応答信号を周波数変調する変調手段と、前記周波数変調された応答信号を1つのネットワークケーブルを介して送信機に送信されるDVI信号に多重化する多重化手段と、前記送信機で多重化されたDVI信号から周波数変調された制御信号を分離する分離手段と、分離された制御信号を復調する復調手段とを有することを特徴とする。かかる構成によれば、1本のネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を送信機から受信することができる。また、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、DVI信号及び制御信号を1つのネットワークケーブルを介して送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る信号伝送システムの概略構成図である。
【図2】図1の信号伝送システムの概略構成の変形例を示す図である。
【図3】制御信号及び応答信号の信号規格の一例を示す図である。
【図4】図4(A)は、制御信号の送受信処理を示すフローチャートである。図4(B)は、応答信号の送受信処理を示すフローチャートである。
【図5】信号伝送システム100の制御シーケンスの一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る信号伝送システムの概略構成図である。
【図7】(A)は、送信機1の概略構成の一例を示す図である。(B)は、受信機2Aの概略構成の一例を示す図である。
【図8】(A)は、制御信号の送受信処理を示すフローチャートである。(B)は、応答信号の送受信処理を示すフローチャートである。
【図9】信号伝送システム101の制御シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、第1の実施の形態に係る信号伝送システムの概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、信号伝送システム100は、送信機1、受信機2、サーバ3、ネットワークケーブルとしてのCat5(category 5)ケーブル4、モニタ5,8、マウス6,9、及びキーボード7,10を備えている。Cat5(category 5)ケーブル4は、いわゆるSTP(Shielded Twisted Pair;シールデッド・ツイスト・ペアー)ケーブルであり、4対の信号線(合計8本の信号線)を含む。送信機1は、Cat5ケーブル4を介して受信機2に接続されている。また、送信機1はDVI(Digital Visual Interface)ケーブルを介してサーバ3及びモニタ5に接続されており、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介してサーバ3に接続されている。受信機2は、DVIケーブルを介してモニタ5に接続されている。
【0021】
信号伝送システム100では、サーバ3からの映像が送信機1から受信機2に伝送される。送信機1側のユーザは、モニタ5を見ながら、マウス6及びキーボード7を使ってサーバ3又は受信機2を操作することができる。一方、受信機2側のユーザは、モニタ8を見ながら、マウス9及びキーボード10を使ってサーバ3又は送信機1を操作することができる。
【0022】
送信機1は、トランスミッタ11,12、マイコン13、復調器14、フィルタ15、差動レシーバ16、変調器17、差動ドライバ18、及びターミネータ19を備えている。トランスミッタ11は、サーバ3から出力されるDVI(Digital Visual Interface)信号をモニタ5に送信する。変調器17は、変調手段及び第1変調手段の一例として機能する。差動ドライバ18は多重化手段及び第1多重化手段の一例として機能する。フィルタ15は、分離手段及び第2分離手段の一例として機能する。復調器14は、復調手段及び第2復調手段の一例として機能する。DVI信号は、差動信号であり、Red信号、Green信号、Blue信号及びクロック信号で構成されている。また、DVI信号の伝送路は4つのツイストペアケーブルで構成され、1ピクセル当たり24ビット(フルカラー)を転送する。
【0023】
トランスミッタ12は、サーバ3から出力されるDVI信号をCat5ケーブル4を介して受信機2に送信する。また、トランスミッタ12は、Cat5ケーブル4によるDVI信号の減衰を考慮して、DVI信号を増幅する。マイコン13は、サーバ3と受信機2との間で制御信号や応答信号を送受信する。ここで、制御信号は、シリアル信号であり、サーバ3から送信される、モニタ8の故障を検出するためのコマンド、又はモニタ8の輝度又は解像度等を調整するためのコマンドなどである。応答信号は、シリアル信号であり、制御信号に対するモニタ8からの返答を示す。また、マイコン13は、マウス6又はキーボード7から入力されたデータを信号としてサーバ5又は受信機2に送信する。
【0024】
差動レシーバ16は、応答信号が多重化されているクロック信号を受信機2から受信する。尚、クロック信号の周波数は100〜165MHzであり、応答信号の周波数は約2kHzである。応答信号は、低周波数域の変調信号としてクロック信号に多重化されている。フィルタ15は、ローパスフィルタであり、当該クロック信号から応答信号を分離する。復調器14は、分離された応答信号を復調し、復調された応答信号をマイコン13を介してサーバ3に出力する。変調器17は、サーバ3からの制御信号の周波数を変調し、差動ドライバ18に出力する。差動ドライバ18は、周波数変調された制御信号をクロック信号に多重化(周波数分割多重化)して、受信機2に送信する。ターミネータ19は、抵抗で構成され、差動ドライバ18から出力された制御信号の反射を防ぎ、信号の乱れを防止する。
【0025】
受信機2は、イコライザ21、マイコン22、変調器23、差動ドライバ24、差動ドライバ25、フィルタ26、復調器27及びターミネータ28を備えている。変調器23は、変調手段及び第2変調手段の一例として機能する。差動ドライバ24は、多重化手段及び第2多重化手段の一例として機能する。フィルタ26は、分離手段及び第1分離手段の一例として機能する。復調器27は、復調手段及び第1復調手段の一例として機能する。
【0026】
イコライザ21は、送信機1から受信したDVI信号の損失(減衰)を補償し、DVI信号をモニタ8に出力する。マイコン22は、モニタ8と送信機1との間で制御信号や応答信号を送受信する。また、マイコン13は、マウス9又はキーボード10から入力されたデータを信号としてサーバ1に送信する。変調器23は、モニタ8からの応答信号の周波数を変調し、差動ドライバ24に出力する。差動ドライバ24は、周波数変調された応答信号をクロック信号に多重化(周波数分割多重化)して、送信機1に送信する。ターミネータ28は、抵抗で構成され、差動ドライバ24から出力された応答信号の反射を防ぎ、信号の乱れを防止する。
【0027】
差動レシーバ25は、制御信号が多重化されているクロック信号を送信機1から受信する。尚、クロック信号の周波数は100〜165MHzであり、制御信号の周波数は約2kHzである。制御信号は、低周波数域の変調信号としてクロック信号に多重化されている。フィルタ26は、ローパスフィルタであり、当該クロック信号から制御信号を分離する。復調器27は、分離された制御信号を復調し、復調された制御信号をマイコン22を介してモニタ8に出力する。
【0028】
尚、図2に示すように、送信機1のマイコン13、復調器14及び変調器17は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)13Aに置き換えられてもよい。同様に、受信機2のマイコン22、復調器27及び変調器23は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)22Aに置き換えられてもよい。この場合、DSP13Aは、制御信号を変調する変調部13A−1、応答信号を復調する復調部13A−2及び制御信号や応答信号を送受信する送受信部13A−3を有する。また、DSP22Aは、応答信号を変調する変調部22A−1、制御信号を復調する復調部22A−2及び制御信号や応答信号を送受信する送受信部22A−3を有する。変調部13A−1は、変調手段及び第1変調手段の一例として機能する。復調部13A−2は、復調手段及び第2復調手段の一例として機能する。変調部22A−1は変調手段及び第2変調手段の一例として機能する。復調部22A−2は、復調手段及び第1復調手段の一例として機能する。
【0029】
図3は、制御信号及び応答信号の信号規格の一例を示す図である。
【0030】
制御信号及び応答信号の通信方式は、半二重方方向通信方式である。このため、例えば送信機1が制御信号を受信機2に送信している場合には、受信機2は応答信号を送信機2に送信できない。制御信号及び応答信号の同期方式は、調歩同期方式である。したがって、マイコン13が制御信号を送るたびに又はマイコン22が応答信号を送るたびに、制御信号又は応答信号に送信開始の信号(スタートビット)及び送信終了の信号(ストップビット)が付加される。制御信号及び応答信号の変調方式は、周波数変調方式である。上述したように、変調器17が制御信号を変調し、変調器23が応答信号を変調する。制御信号及び応答信号の伝送速度は、1200bpsである。また、制御信号及び応答信号の線路周波数は、「1(マーク)」を示すときに、1300Hzであり、「0(スペース)」を示すときに2100Hzである。
【0031】
図4(A)は、制御信号の送受信処理を示すフローチャートである。図4(B)は、応答信号の送受信処理を示すフローチャートである。
【0032】
図4(A)では、マイコン13がサーバ3から制御信号を受信する(ステップS101)。変調器17は、制御信号を周波数変調する(ステップS102)。差動ドライバ18は、周波数変調された制御信号をCat5ケーブル4を介して受信機2に送信されるクロック信号に多重化する(ステップS103)。そして、受信機2の差動レシーバ25は、周波数変調された制御信号が多重化されたクロック信号を受信する(ステップS104)。フィルタ25は、多重化されたクロック信号から周波数変調された制御信号を分離する(ステップS105)。復調器27は、分離された制御信号を復調する(ステップS106)。マイコン22は、制御信号を受信する(ステップS107)。尚、制御信号がモニタ8の輝度又は解像度を調整するコマンドである場合には、制御信号はモニタ8に出力される。
【0033】
図4(B)では、マイコン22が制御信号に対応する応答信号を変調器23に出力する(ステップS111)。変調器23は、応答信号を周波数変調する(ステップS112)。差動ドライバ24は、周波数変調された応答信号をCat5ケーブル4を介して送信機1に送信されるクロック信号に多重化する(ステップS113)。送信機1の差動レシーバ16は、周波数変調された応答信号が多重化されたクロック信号を受信する(ステップS114)。フィルタ15は、多重化されたクロック信号から周波数変調された応答信号を分離する(ステップS115)。復調器27は、分離された応答信号を復調する(ステップS116)。マイコン22は、応答信号を受信し、サーバ3に出力する(ステップS117)。
【0034】
図5は、信号伝送システム100の制御シーケンスの一例を示す図である。
【0035】
サーバ3は、モニタ8の故障を検出するコマンドとしての制御信号を送信機1を介して受信機2に送信する(S1)。受信機2は、モニタ8から故障情報を受信していない場合には、モニタ8が正常であることを示す応答信号を送信機1を介してサーバ3に返信する(S2)。尚、制御信号や応答信号には、宛先のアドレス情報が付加されている。例えば、制御信号が受信機2に送信される場合には、受信機2のアドレス情報が制御信号に付加される。
【0036】
一方、モニタ8が故障情報を受信機2に通知した後に(S3)、サーバ3が、モニタ8の故障を検出するコマンドとしての制御信号を送信機1を介して受信機2に送信する(S4)と、受信機2は、モニタ8の故障を示す応答信号を送信機1を介してサーバ3に返信する(S5)。
【0037】
また、サーバ3は、モニタ8の輝度を調整するコマンドとしての制御信号を送信機1及び受信機2を介してモニタ8に送信する(S7)。受信機2は、モニタ8の輝度を調整するコマンドとしての制御信号をモニタ8に送信した後に、モニタ8の輝度が正常であることを示す応答信号を送信機1を介してサーバ3に返信する(S8)。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態の信号伝送システムによれば、送信機1が、制御信号を周波数変調し、周波数変調された制御信号をCat5ケーブル4を介して受信機2に送信されるDVI信号に多重化する。そして、受信機は、多重化されたDVI信号から周波数変調された制御信号を分離し、分離された制御信号を復調する。よって、送信機1は、1本のネットワークケーブルを使って、DVI信号と制御信号を受信機2に伝送することができる。また、送信機1は、DVI信号の信号速度や解像度を気にすることなく、制御信号をDVI信号に多重化できる。さらに、制御信号は差動信号であるDVI信号に多重化されるので、制御信号はコモンモードノイズの影響を受けにくくなる。
【0039】
また、受信機2は、制御信号に対応する応答信号を周波数変調し、周波数変調された応答信号をCat5ケーブル4を介して送信機1に送信されるDVI信号に多重化する。そして、送信機1は、多重化されたDVI信号から周波数変調された応答信号を分離し、分離された応答信号を復調する。よって、制御信号は、送信機1から受信機2に送信され、制御信号に対応する応答信号が受信機2から送信機1に送信されるので、制御信号とこれに対応する応答信号の双方向伝送が可能になる。
【0040】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、信号伝送システム100が1台の送信機と1台の受信機を備えている。第2の実施の形態では、信号伝送システム101が1台の送信機と複数台の受信機を備えている。尚、第1の実施の形態と同一の構成要素には、同一の参照番号を付す。また、制御信号及び応答信号の信号規格は、図3の信号規格と同様である。
【0041】
図6は、第2の実施の形態に係る信号伝送システムの概略構成図である。
【0042】
信号伝送システム101は、送信機1、受信機2A〜2D及びサーバ3を備えている。送信機1はCat5ケーブルを介して受信機2Aに接続されている。また、Cat5ケーブルは受信機2Aと2Bとの間、受信機2Bと2Cとの間、及び受信機2Cと2Dとの間に接続されている。受信機2A〜2Dには、モニタ8A〜8Dがそれぞれ接続されている。本実施の形態は、受信機2A〜2Cが、DVI信号、制御信号及び応答信号を中継する点で第1の実施の形態と異なる。つまり、第1の実施の形態では、受信機2は他の受信機にDVI信号、制御信号及び応答信号を中継することはないが、本実施の形態では、受信機2A〜2Cは他の受信機にDVI信号、制御信号及び応答信号を中継する。これにより、例えば、サーバ3から出力されるDVI信号は、画像としてモニタ8A〜8Dに表示される。また、例えば、サーバ3から出力される受信機2Bへの制御信号は、受信機2Aで中継されて、受信機2Bへ送信される。
【0043】
図7(A)は、送信機1の概略構成の一例を示す図である。図7(B)は、受信機2Aの概略構成の一例を示す図である。尚、受信機2B〜2Dの構成は、受信機2Aの構成と同一なので、その説明は省略する。
【0044】
図7(A)では、送信機1は、DSP13A、フィルタ15、差動レシーバ16、差動ドライバ18、ターミネータ19、及びイコライザ31を備えている。DSP13Aは、制御信号を変調する変調部13A−1、応答信号を復調する復調部13A−2及び制御信号や応答信号を送受信する送受信部13A−3を有する。差動レシーバ16は、応答信号が多重化されているクロック信号を受信機2A〜2Dから受信する。フィルタ15は、ローパスフィルタであり、当該クロック信号から応答信号を分離する。差動ドライバ18は、変調部13A−1で周波数変調された制御信号をクロック信号に多重化(周波数分割多重化)して、受信機2A〜2Dに送信する。ターミネータ19は、抵抗で構成され、差動ドライバ18から出力された制御信号の反射を防ぎ、信号の乱れを防止する。イコライザ31は、サーバ3からのDVI信号の損失(減衰)を補償し、DVI信号を受信機2A〜2Dに出力する。
【0045】
図7(B)では、受信機2Aは、イコライザ41、レシーバ42、トラスミッタ43,44、DSP51、差動ドライバ52、フィルタ53、差動レシーバ54、ターミネータ55、差動ドライバ56、フィルタ57、差動レシーバ58及びターミネータ59を備えている。
【0046】
イコライザ41は、送信機1からDVI信号を受信し、受信したDVI信号の損失(減衰)を補償し、レシーバ42に出力する。レシーバ42は、DVI信号に対してシリアル−パラレル変換を実行し、パラレル信号に変換されたDVI信号をトラスミッタ43,44に送信する。トラスミッタ43は、パラレル信号に変換されたDVI信号に対してパラレル−シリアル変換を実行し、シリアル信号に変換されたDVI信号をモニタ8Aに出力する。トラスミッタ44は、パラレル信号に変換されたDVI信号に対してパラレル−シリアル変換を実行し、シリアル信号に変換されたDVI信号を次段の受信機(ここでは、受信機2B)に送信する。尚、レシーバ42及びトランスミッタ44はDVI信号を次段の受信機に送信するために、DVI信号を中継している。
【0047】
差動ドライバ52は、周波数変調された応答信号をクロック信号に多重化(周波数分割多重化)して、送信機1に送信する。ターミネータ55は、抵抗で構成され、差動ドライバ52から出力された制御信号の反射を防ぎ、信号の乱れを防止する。差動レシーバ54は、制御信号が多重化されているクロック信号を送信機1から受信する。フィルタ53は、ローパスフィルタであり、当該クロック信号から制御信号を分離し、制御信号をDSP51に出力する。
【0048】
DSP51は、制御信号を変調する変調部51−1、応答信号を復調する復調部51−2及び制御信号や応答信号を中継する中継部51−3を有する。変調部51−1は、変調手段及び第2変調手段の一例として機能する。復調部51−2は、復調手段及び第1復調手段の一例として機能する。
【0049】
中継部51−3は、制御信号に付加されたアドレス情報に基づいて、制御信号の宛先が受信機2Aであるか否かを判別する。制御信号の宛先が受信機2Aである場合には、制御信号の内容に応じた所定の処理を実行する。例えば、制御信号がモニタ8Aの故障を検出するコマンドである場合には、中継部51−3はモニタ8Aから故障情報を受信しているか否かを判断する。モニタ8Aから故障情報を受信している場合には、中継部51−3はモニタ8Aの故障を示す応答信号を差動ドライバ52に出力する。差動ドライバ52は、モニタ8Aの故障を示す応答信号をクロック信号に多重化して送信機1に返信する。中継部51−3はモニタ8Aから故障情報を受信していない場合には、中継部51−3はモニタ8Aが正常であることを示す応答信号を差動ドライバ52に出力する。差動ドライバ52は、モニタ8Aが正常であることを示す応答信号をクロック信号に多重化して送信機1に返信する。
【0050】
また、制御信号がモニタ8Aの輝度を調整するコマンドである場合には、中継部51−3はモニタ8Aの輝度を調整するコマンドをモニタ8Aに出力する。一方、制御信号がモニタ8Aの輝度を調整するコマンドでない場合(例えば、制御信号がモニタ8B〜8Dのいずれかの輝度を調整するコマンドである場合)には、中継部51−3は、制御信号を差動ドライバ56に出力する。即ち、中継部51−3は、制御信号を中継する。
【0051】
差動ドライバ56は、周波数変調された制御信号をクロック信号に多重化(周波数分割多重化)して、受信機2Bに送信する。ターミネータ59は、抵抗で構成され、差動ドライバ56から出力された制御信号の反射を防ぎ、信号の乱れを防止する。差動レシーバ58は、応答信号が多重化されているクロック信号を受信機2Bから受信する。フィルタ57は、ローパスフィルタであり、当該クロック信号から応答信号を分離し、応答信号をDSP51に出力する。
【0052】
図8(A)は、制御信号の送受信処理を示すフローチャートである。図8(B)は、応答信号の送受信処理を示すフローチャートである。
【0053】
図8(A)では、DSP13Aがサーバ3から制御信号を受信する(ステップS201)。変調部13A−1は、制御信号を周波数変調する(ステップS202)。差動ドライバ18は、周波数変調された制御信号をCat5ケーブル4を介して受信機2に送信されるクロック信号に多重化する(ステップS203)。そして、受信機2Aの差動レシーバ54は、周波数変調された制御信号が多重化されたクロック信号を受信する(ステップS204)。フィルタ53は、多重化されたクロック信号から周波数変調された制御信号を分離する(ステップS205)。DSP51の復調部51−2は、分離された制御信号を復調する(ステップS206)。
【0054】
中継部51−3は、制御信号に付加されたアドレス情報に基づいて、制御信号の宛先が受信機2Aであるか否かを判別する(ステップS207)。制御信号の宛先が受信機2Aである場合には(ステップS207でYES)、上述したように、制御信号の内容に応じた所定の処理を実行する(ステップS208)。一方、制御信号の宛先が受信機2Aでない場合には(ステップS207でNO)、中継部51−3がフィルタ53から受信された、周波数変調された制御信号を差動ドライバ56に出力する(ステップS209)。差動ドライバ56が、周波数変調された制御信号をCat5ケーブル4を介して受信機2Bに送信されるクロック信号に多重化する(ステップS210)。尚、受信機2B〜2Dは、受信機2Aと同様に、上記ステップS204〜S210の工程を実行する。
【0055】
図8(B)では、中継部51−3が制御信号に対応する応答信号を変調器51−1に出力する(ステップS221)。変調器51−1は、応答信号を周波数変調する(ステップS222)。一方、DSP51が周波数変調された応答信号を差動レシーバ58及びフィルタ57を介して受信した場合には、中継部51−3は、周波数変調された応答信号を差動ドライバ52に出力する(ステップS223)。
【0056】
差動ドライバ52は、周波数変調された応答信号をCat5ケーブル4を介して送信機1に送信されるクロック信号に多重化する(ステップS224)。送信機1の差動レシーバ16は、周波数変調された応答信号が多重化されたクロック信号を受信する(ステップS225)。フィルタ15は、多重化されたクロック信号から周波数変調された応答信号を分離する(ステップS226)。復調器27は、分離された応答信号を復調する(ステップS227)。マイコン22は、応答信号を受信し、サーバ3に出力する(ステップS228)。
【0057】
図9は、信号伝送システム101の制御シーケンスの一例を示す図である。
【0058】
まず、サーバ3は、モニタ8の故障を検出するコマンドとしての制御信号を送信機1を介して受信機2Aに送信する(S11)。受信機2Aは、モニタ8から故障情報を受信していない場合には、モニタ8が正常であることを示す応答信号を送信機1を介してサーバ3に返信する(S12)。尚、制御信号や応答信号には、宛先のアドレス情報が付加されている。例えば、制御信号が受信機2Aに送信される場合には、受信機2Aのアドレス情報が制御信号に付加される。
【0059】
同様に、サーバ3は、モニタ8の故障を検出するコマンドとしての制御信号を送信機1を介して受信機2B〜2Dに順番に送信する(S13、S15、S17)。受信機2B〜2Dは、モニタ8B〜8Dからそれぞれ故障情報を受信していない場合には、モニタ8B〜8Dが正常であることを示す応答信号を送信機1を介してサーバ3に返信する(S14、S16、S18)。
【0060】
例えば、モニタ8Bが故障情報を受信機2Bに通知した後に(S19)、サーバ3が、モニタ8Bの故障を検出するコマンドとしての制御信号を送信機1及び受信機2Aを介して受信機2Bに送信する(S20)と、受信機2Bは、モニタ8Bの故障を示す応答信号を送信機1及び受信機2Aを介してサーバ3に返信する(S21)。このとき、受信機2AのDSP51は、制御信号や応答信号を中継している。
【0061】
例えば、サーバ3は、モニタ8Cの輝度を調整するコマンドとしての制御信号を送信機1及び受信機2A〜2Cを介してモニタ8Cに送信する(S22)。受信機2Cは、モニタ8Cの輝度を調整するコマンドとしての制御信号をモニタ8Cに送信した後に、モニタ8Cの輝度が正常であることを示す応答信号を送信機1及び受信機2A,2Bを介してサーバ3に返信する(S23)。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態の信号伝送システムによれば、受信機は、制御信号の宛先が当該受信機以外の他の受信機である場合に、制御信号を当該他の受信機に中継する中継部51−3を有する。よって、信号伝送システムに複数の受信機がある場合でも、制御信号を所望の受信機に伝送することができる。
【0063】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 送信機
2 受信機
3 サーバ
4 Cat5ケーブル
11,12 トランスミッタ
13,22 マイコン
14,27 復調器
15,26 フィルタ
16,25 差動レシーバ
17,23 変調器
18,24 差動ドライバ
21 イコライザ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機及び受信機を有する信号伝送システムであって、
前記送信機は、
制御信号を周波数変調する第1変調手段と、
前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して前記受信機に送信されるDVI信号に多重化する第1多重化手段と
を有し、
前記受信機は、
前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された制御信号を分離する第1分離手段と、
前記分離された制御信号を復調する第1復調手段と
を有することを特徴とする信号伝送システム。
【請求項2】
前記受信機は、
前記制御信号に対応する応答信号を周波数変調する第2変調手段と、
前記周波数変調された応答信号を前記1つのネットワークケーブルを介して前記送信機に送信されるDVI信号に多重化する第2多重化手段と
を有し、
前記送信機は、
前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された応答信号を分離する第2分離手段と、
前記分離された応答信号を復調する第2復調手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の信号伝送システム。
【請求項3】
前記第1多重化手段は、前記周波数変調された制御信号を前記DVI信号に含まれるクロック信号に多重化し、前記第2多重化手段は、前記周波数変調された応答信号を前記DVI信号に含まれるクロック信号に多重化することを特徴とする請求項2に記載の信号伝送システム。
【請求項4】
前記受信機は、前記制御信号の宛先が当該受信機以外の他の受信機である場合に、前記制御信号を当該他の受信機に中継する中継手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号伝送システム
【請求項5】
前記制御信号は、前記受信機に接続される表示装置の故障を検出するためのコマンド、又は当該表示装置の輝度又は解像度を調整するためのコマンドを示すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号伝送システム。
【請求項6】
送信機で、制御信号を周波数変調し、前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して受信機に送信されるDVI信号に多重化し、
前記受信機で、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された制御信号を分離し、前記分離された制御信号を復調する
ことを特徴とする信号伝送方法。
【請求項7】
前記受信機は、前記制御信号に対応する応答信号を周波数変調し、前記周波数変調された応答信号を前記1つのネットワークケーブルを介して前記送信機に送信されるDVI信号に多重化し、
前記送信機は、前記多重化されたDVI信号から前記周波数変調された応答信号を分離し、前記分離された応答信号を復調することを特徴とする請求項6に記載の信号伝送方法。
【請求項8】
制御信号を周波数変調する変調手段と、
前記周波数変調された制御信号を1つのネットワークケーブルを介して受信機に送信されるDVI信号に多重化する多重化手段と、
前記受信機で多重化されたDVI信号から前記制御信号に対応する周波数変調された応答信号を分離する分離手段と、
前記分離された応答信号を復調する復調手段と
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項9】
制御信号に対応する応答信号を周波数変調する変調手段と、
前記周波数変調された応答信号を1つのネットワークケーブルを介して送信機に送信されるDVI信号に多重化する多重化手段と、
前記送信機で多重化されたDVI信号から周波数変調された制御信号を分離する分離手段と、
分離された制御信号を復調する復調手段と
を有することを特徴とする受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−199830(P2012−199830A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63340(P2011−63340)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】