説明

信号処理装置、信号処理方法および生体情報測定装置

【課題】時系列信号からノイズ成分を除去する新たな技術を用いた信号処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】信号処理装置は、周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分とを含む第1時系列信号と、前記第1信号成分と所定の第1関係を有する第2信号成分および前記第1ノイズ成分と所定の第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2時系列信号とから、前記第1信号成分の周期と推定される時間である遅延時間分遅延させた前記第1時系列信号である第1遅延信号と、前記遅延時間分遅延させた第2時系列信号である第2遅延信号とを生成し、第1の所定時間範囲での前記第1時系列信号および前記第2時系列信号と、前記信号生成部で生成した前記第1遅延信号および前記第2遅延信号とを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記所定の第2関係を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列信号からノイズ成分を除去する信号処理装置、信号処理方法および生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノイズ成分が重畳した時系列データからノイズ成分を除去する信号処理に関する技術が、様々な信号処理装置に応用されてきた。特に時系列データが生体情報に関する情報を含んでいる場合には、上記の信号処理装置は、生体情報測定装置と呼ばれている。生体情報測定装置は、生体組織から生体情報を非侵襲で検出する装置であり、具体的には光電脈波計と呼ばれる生体の脈波波形および脈拍数を測定する測定装置や、パルスオキシメータと呼ばれる動脈血中酸素飽和濃度を測定する測定装置等である。これらの測定装置の原理は、生体組織を透過または反射した光を受光することによって得られる、生体組織の脈動による変動分に対応した信号成分に基づいて、血中における吸光物質の濃度等の生体情報を求めるものである。
【0003】
一般に、生体組織を透過または反射した光を受光することによって得られる、生体情報の検出に必要なデータには様々なノイズ成分が重畳されている。ノイズ成分は、主に、生体情報測定装置を使用している際に、生体が体を動かす等の体動を行うことによるものである。ノイズ成分が信号成分に重畳すると生体情報の算出において誤差要因となるため、ノイズ成分を除去することが望まれている。
【0004】
そこで、互いに波長の異なる複数の光を生体にそれぞれ照射した場合に、生体組織を透過または反射した光の強度における直流交流比に基づいて、生体情報を算出する技術が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/073908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、信号成分にノイズ成分が重畳している場合には、各波長についての直流交流比は、信号成分とノイズ成分とで表される。
【0007】
このように表されたノイズ成分を除去する技術として、例えば、信号成分とノイズ成分との相互相関を用いた技術が提案されている。ある技術では、ノイズ成分の除去にあたって、各波長についての直流交流比が求められ、所定周波数以上にはノイズ成分が含まれるとともに全周波数領域にわたってノイズ成分の波長による比は一定であるという仮定の下に、ノイズ成分の波長による比が算出され、信号成分とノイズ成分との相互相関を用いることによってノイズ成分除去波形が算出されている。また、他の技術では、信号成分とノイズ成分との相関が小さいという条件の下に、信号成分のパワーが最大になるような信号成分の波長による比およびノイズ成分の波長による比を求めることによってノイズ成分が除去されている。また、他の技術では、測定されたデータに基づいて生成された周期性を有する信号成分を含むデータから、周期性を用いることによって信号成分を抽出し、データからノイズ成分を除去する技術が提案されている(特許文献1等参照)。
【0008】
このように、ノイズ成分を除去する技術として複数の技術が提案されているが、それぞれ一長一短があることから、技術のバリエーションが要望されている。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、ノイズ成分を除去する新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
【0011】
本発明の一態様に係る信号処理装置は、周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分とを含む第1時系列信号と、前記第1信号成分と所定の第1関係を有する第2信号成分、および、前記第1ノイズ成分と所定の第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2時系列信号とから、前記第1信号成分の周期と推定される時間である遅延時間分前記第1時系列信号を遅延させた第1遅延信号と、前記第2時系列信号を前記遅延時間分遅延させた第2遅延信号とを生成する信号生成部と、第1の所定時間範囲での前記第1時系列信号および前記第2時系列信号と、前記信号生成部で生成した前記第1遅延信号および前記第2遅延信号とを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記所定の第2関係を推定する推定部と
を備えることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の他の一態様に係る信号処理方法は、信号処理方法であって、周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分とを含む第1時系列信号と、前記第1信号成分と第1関係を有する第2信号成分、および、前記第1ノイズ成分と第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2時系列信号とから、前記第1信号成分の周期と推定される時間である遅延時間分前記第1時系列信号を遅延させた第1遅延信号と、前記第2時系列信号を前記遅延時間分遅延させた第2遅延信号とを生成する信号生成ステップと、第1の所定時間範囲での前記第1時系列信号および前記第2時系列信号と、前記信号生成部で生成した前記第1遅延信号および前記第2遅延信号とを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記第2関係を推定する推定ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成の信号処理装置では、遅延信号を用いて第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係を求めることができる。
【0014】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部は、第1時系列信号に含まれる第1信号成分と第1遅延信号に含まれる第1信号成分とが略等しいことを前提として、前記第1時系列信号自身の相関と、前記第1時系列信号と前記第1遅延信号との相関との第1差分と、前記第2時系列信号自身の相関と、前記第2時系列信号と前記第2遅延信号との相関との第2差分と、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とに基づく信号のそれ自身の相関と、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とに基づく信号と、前記第1遅延信号と前記第2遅延信号に基づく遅延信号との相関との第3差分とを用いて、前記所定の第2関係を推定することを特徴とする。
【0015】
従来技術では、ノイズ成分を除去するための演算処理量が比較的多いため、消費電力が大きくなってしまう。このことは、特に、携帯用の生体情報測定装置では、通常、電池で駆動されるため、消費電力の点で重大な問題となる。このような構成の信号処理装置では、第1信号成分はその周期分遅延させたとしても同じ波形を有すると想定されることから、時系列信号と遅延信号との差分を用いて前記所定の第2関係を求める演算式を、簡略化することができる。すなわち、演算処理量を低減することが可能となるので、必要とされるCPU性能を低く抑えることが可能となり、また、ノイズ成分除去の演算に伴う消費電力も抑制することが可能となる。具体的には、後述の式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)の何れかで、第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係を求めることができる。なお、第1時系列信号の相関および第2時系列信号の相関とは、自乗平均をいう。
【0016】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部は、第1時系列信号に含まれる前記第1信号成分と前記第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分との信号ノイズ相関が十分小さく、前記第1時系列信号に含まれる前記第1信号成分と前記第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分の遅延成分との信号ノイズ遅延相関も十分小さく、第1時系列信号に含まれる第1信号成分の遅延成分と第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分とのノイズ信号遅延相関も十分小さいこと、または、前記信号ノイズ遅延相関とノイズ信号遅延相関との平均と信号ノイズ相関とが略等しいことを更に前提として、前記第1差分、前記第2差分および前記第3差分のうちの何れか二つを用いて、前記第2関係を推定することを特徴とする。
【0017】
すなわち、信号ノイズ相関(第1時系列信号に含まれる第1信号成分と第1ノイズ成分との相関)、信号ノイズ遅延相関(第1時系信号に含まれる第1信号成分と第1遅延信号に含まれる第1ノイズ成分の遅延成分との相関)、ノイズ信号遅延相関(第1遅延信号に含まれる第1信号成分の遅延成分と第1時系信号に含まれる第1ノイズ成分との相関)がすべて0(ゼロ)と見なせるか、または、信号ノイズ遅延相関とノイズ信号遅延相関の平均と信号ノイズ相関の差がほぼ0(ゼロ)であることを更に前提として、第2関係を推定する。
【0018】
このような構成の信号処理装置では、第1ノイズ成分および第2ノイズ成分とそれらを第1信号成分の周期分遅延させた信号との相関は十分小さいと想定されるので、時系列信号と遅延信号との差分を用いて前記所定の第2関係を求める演算式を、より簡略化することができる。すなわち、演算処理量を低減できるので、必要とされるCPU性能を低く抑えることが可能となり、また、ノイズ成分除去の演算に伴う消費電力も抑制することが可能となる。具体的には、後述の式(25)、式(26)、式(27)の何れかで、第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係を求めることができる。
【0019】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部は、推定した前記第2関係と、前記第1時系列信号または前記第1遅延信号と前記第2時系列信号または前記第2遅延信号とから前記第1関係を推定することを特徴とする。
【0020】
このような構成の信号処理装置によれば、所定の第2関係を容易に求めることができるので、所定の第1関係も容易に求めることが可能となる。
【0021】
また、上述の信号処理装置において、前記信号生成部は、前記推定部が推定した前記第2関係と、前記第1時系列信号と、前記第2時系列信号とに基づいて、前記第1信号成分の周期と同じ周期を有すると推定される周期判定信号を生成し、当該周期判定信号の周期から、前記第1信号成分の周期または前記第2信号成分の周期を求め、求めた周期を前記遅延時間とすることを特徴とする。
【0022】
このような構成の信号処理装置によれば、適正な遅延時間によって遅延信号を生成するので、より正確な第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係を求めることが可能となる。
【0023】
また、上述の信号処理装置において、前記信号生成部は、第1の所定時間範囲での、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲内にある場合に、当該周期判定信号の周期から求めた時間を前記遅延時間とすることを特徴とする。
【0024】
このような構成の信号処理装置によれば、より信頼性のおける遅延時間によって遅延信号を生成するので、より正確な第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係を求めることが可能となる。
【0025】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部は、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲から外れた場合、請求項1乃至3の何れかに記載の方法とは異なる方法で前記第2関係を算出することを特徴とする。
【0026】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部は、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲から外れた場合、前記第2関係および/または第1関係の信頼性が低いことを示す警告を出力することを特徴とする。
【0027】
このような構成の信号処理装置によれば、前記周期性判定信号の周期の変動の度合いが所定の範囲内にない場合は遅延時間が適正に設定できていない可能性が高く、そのため第2関係も適正に推定できていない可能性が高いので、計算量は多少増えるが正確に第2関係を推定できる特許文献1の方法など、従来技術の方法で第2関係を推定し、更には推定した第2関係と第1時系列信号と第2時系列信号から第1信号成分の周期を推定して適正な遅延時間を決定することが可能となる。また、警告を行うことが可能となる。
【0028】
また、上述の信号処理装置において、前記推定部が、前記第2関係を算出するか否かを判定するための指標として、前記第1ノイズ成分と前記第1信号成分との比に関する情報を有する指標を算出し、前記指標と所定の閾値とを比較して、前記第1ノイズ成分が小さいと判定した場合には、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とで直接表される関係式を用いて前記第1関係を推定することを特徴とする。
【0029】
このような構成の信号処理装置によれば、第1信号成分または第2信号成分の大きさに対して第1ノイズ成分または第2ノイズ成分の大きさが小さい場合は、第1関係を決定するために第2関係を決定する必要がないことを判断できるので、その場合は計算量の少ない公知の従来法により第1関係を直接決定することが可能となる。この所定の第1関係から生体情報である酸素飽和度を求めることができる。尚、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とで直接表される関係式とは、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とを要素とする1つの計算式をいい(後述する式(31)等参照)、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とを要素とした複数の計算式を用いて間接的に導き出される計算式を除く意味である。
【0030】
また、上述の信号処理装置において、信頼度を出力する出力部を更に備え、前記推定部が、前記第2関係に含まれる誤差の度合いを表すノイズ信頼度をさらに算出し、前記ノイズ信頼度が所定の閾値を超えた場合には、前記出力部が前記ノイズ信頼度が所定の閾値を超えたことを示す警告を出力することを特徴とする。
【0031】
このような構成の信号処理装置によれば、推定した第1ノイズ成分と第2ノイズ成分との所定の第2関係の信頼度を判断するので、信頼度が劣る場合は警告を出力することができる。また、別の方法で所定の第2関係を求めることが可能となる。
【0032】
また、本発明の一態様に係る生体情報測定装置は、互いに波長の異なる複数の光を生体へそれぞれ照射して前記生体を透過または反射した各光をそれぞれ受光することによって得られた少なくとも第1測定データまたは第2測定データに基づいて、前記生体の生体情報を測定する生体情報測定装置であって、周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分からなる第1測定データを測定する第1測定部と、前記第1信号成分と所定の第1関係を有する第2信号成分、および、第1ノイズ成分と所定の第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2測定データを測定する第2測定部と、前記生体の動脈血の拍動の間隔を取得する拍動間隔取得部と、前記第1測定データと前記第2測定データとから、前記間隔を遅延時間として当該遅延時間分遅延させた前記第1測定データである第1遅延データと、前記遅延時間分遅延させた前記第2測定データである第2遅延データとを生成する信号生成部と、第1の所定時間範囲での前記第1測定データおよび前記第2測定データと、前記信号生成部で生成した前記第1遅延データおよび前記第2遅延データとを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記所定の第2関係を推定する推定部とを備えたことを特徴とする。
【0033】
このような構成の生体情報測定装置によれば、遅延信号を用いた、生体の血中酸素飽和度を測定する生体情報測定装置を提供することができる。
【0034】
また、遅延信号を用いることで計算式を簡略化することができるので、演算処理量を低減して消費電力を抑制した生体の血中酸素飽和度を測定する生体情報測定装置を提供することができる。また、演算処理量が低減されていることから、高性能な処理機能を備える必要が少なくなり、低価格化、小型化、軽量化の実現が可能となる。従って、生体情報測定装置が、手術室、集中治療室等の病棟のみならず、呼吸不全患者、在宅酸素療法患者の日常生活中の呼吸状態のデータ収集や管理、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング、登山等のスポーツ分野等常時身に着ける用途にまで用いられつつある現状に対応した小型化、軽量化、省電力化および低価格化等を実現した生体情報測定装置を提供することが可能となる。
【0035】
また、上述の生体情報測定装置において、前記拍動間隔取得部は、自装置の外部から取得したデータに基づいて前記生体の動脈血の拍動の間隔を求めることを特徴とする。
【0036】
このような構成の生体情報測定装置では、より正確な心拍周期を外部から取得できるので、適正な遅延時間によって遅延信号を生成することが可能となる。
【0037】
また、上述の生体情報測定装置において、信頼度を出力する出力部を備え、前記信号生成部は、前記推定部が推定した前記第2関係と、前記第1測定データと、前記第2測定データとに基づいて前記第1信号成分の周期と同じ周期を有すると推定される周期判定信号を生成し、当該周期判定信号の周期から、前記第1信号成分の周期を求め、前記拍動間隔取得部が求めた間隔と前記周期判定信号の周期との差が所定の値以上である場合は、前記出力部が前記差が所定の値を超えたことを示す警告を出力することを特徴とする。
【0038】
このような構成の生体情報測定装置では、周期に差がある場合は、推定部が推定した所定の第2関係が適正でないと判断できるので、適正が劣る場合は警告を出力することができる。また、別の方法で所定の第2関係を求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る信号処理装置、信号処理方法および生体情報測定装置は、ノイズ成分を除去する新たな技術を用いた装置であり、ノイズ成分除去のために必要な信号処理量を低減することができ、これにより、ノイズ成分除去の信号処理に伴う消費電力を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の生体情報測定装置における、外部から脈拍周期を取得する生体情報測定処理を示すフローチャート(その1)である。
【図3】実施形態の生体情報測定装置における、外部から脈拍周期を取得する生体情報測定処理を示すフローチャート(その2)である。
【図4】実施形態の生体情報測定装置における、脈波信号から脈拍周期を取得する生体情報測定処理を示すフローチャート(その1)である。
【図5】実施形態の生体情報測定装置における、脈波信号から脈拍周期を取得する生体情報測定処理を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明の前提となる従来技術および実施形態について述べる。なお、便宜上、信号処理装置のうち、特に生体情報測定装置を例として取りあげるが、生体情報測定装置のみならず、ノイズ成分を除去する信号処理装置にも本発明は適用可能である。
<本発明の原理>
まず、本発明の原理について説明する。この説明をするにあたり、一例として、互いに波長IR、Rの異なる複数の光を生体へそれぞれ照射して前記生体を透過または反射した各光をそれぞれ受光することによって得られた各測定データに基づいて前記生体の生体情報として血中酸素飽和度を測定する場合について説明する。
【0042】
ランバート・ベールの法則によって、生体組織を透過または反射したある波長の光の強度における交流成分と直流成分との比は、その波長での生体組織の吸光度の変化分に等しいと近似される。
【0043】
上記ランバート・ベールの法則による近似を用いることによって、赤外波長IRについての、透過光または反射光の強度の直流成分と交流成分との比である赤外直交比IR_signalは、波長IRについての生体組織の吸光度の変化分と等しいと見なすことができる。同様に、赤色波長Rについての、透過光または反射光の強度の直流成分と交流成分との比である赤色直交比R_signalも、波長Rについての生体組織の吸光度の変化分と等しいと見なすことができる。
【0044】
前記赤外直交比IR_signalは、式(1)のように表される。
【0045】
【数1】

【0046】
ここで、sは、吸光度の変化分の信号成分で、nは、信号成分に重畳しているノイズ成分である。
【0047】
そして、前記赤色直交比R_signalは、式(2)で表される。
【0048】
【数2】

【0049】
ここで、k_aは、波長IRにおける吸光度の変化分の信号成分sと波長Rの吸光度の変化分の信号成分との比であり、k_vは、波長IRの信号成分に重畳したノイズ成分nと波長Rの信号成分に重畳したノイズ成分との比である。
【0050】
この式(2)のk_aと動脈血中酸素飽和度とは、一対一に対応することが知られており、k_aを求めることによって、動脈血中酸素飽和度を求めることができる。
【0051】
また、式(1)にk_vを乗算することによって式(3)が得られ、式(3)から式(2)を減算することによって、以下の式(4)が得られる。
【0052】
【数3】

【0053】
【数4】

【0054】
同様に、上の式(1)にk_aを乗算することによって式(5)が得られ、式(5)から式(2)を減算することによって、以下の式(6)が得られる。
【0055】
【数5】

【0056】
【数6】

【0057】
ここで、信号成分sとノイズ成分nは、独立であるという関係、すなわち以下の関係式(7)を用い、かつ、短い時間内では、k_aおよびk_vが一定という条件の下で、上の(4)式と(6)式の相関をとることによって、式(8)が得られる。
【0058】
【数7】

【0059】
【数8】

【0060】
ここで、Σは、k_aおよびk_vが一定であるような短い時間に関しての総和である。iは、光の強度の変化分の時系列データIR_signal、R_signalのデータ番号であり、データの測定時間間隔をΔt、測定開始時刻をt0として、t=Δt*i+t0という関係で時間tと結ばれている。
式(8)にはk_vとk_aという未知数が2つ含まれているため、式(8)のみからk_aとk_vとを求めることができない。
【0061】
ここで、k_vを求めることができれば、求められたk_vを式(8)に代入して、式(8)を満たす場合のk_aを求め、このk_aに基づいて、ノイズ成分を低減した血中酸素飽和度を求めることができる。
<実施形態>
本実施形態は、IR_signal、R_signalの遅延信号を用いてk_vを求め、その際の演算処理量を従来に比べて大幅に削減するものである。
【0062】
ここで、k_vの求め方について説明する。本実施形態では、2つの求め方を示す。
【0063】
まず、1つ目の求め方を説明する。以下、式においては、IR_signal、R_signalをそれぞれIR、Rと記載する。
【0064】
ある時刻Tにおける、V_IR、V_R、V_R_IRを次のように定義する。これらは、ある信号と、その信号自身または他の信号とで所定の演算を行ったものである。Nは、酸素飽和度の算出に必要なデータ数、例えば200等の値であり、時刻Tから遡った所定期間、例えば6秒間で測定したデータの数である。尚、Tは、連続して測定している測定データのインデックスである。また、Σはjに関して1からNまで取られる総和であり、添え字jは、N個の測定データのうちのj番目の測定データであることを表している。以下、V_IR、V_R、V_R_IRを総称して、相関データというものとする。
【0065】
V_IR=ΣIR(j)2 …(11’)
=Σs(j)2+Σn(j)2+2*Σs(j)*n(j) …(11)
V_R=ΣR(j)2 …(12’)
=ka2*Σs(j)2+kv2*Σn(j)2+2*ka*kvΣs(j)*n(j) …(12)
V_R_IR=ΣR(j)*IR(j) …(13’)
=ka*Σs(j)2+kv*Σn(j)2+(ka+kv)*Σs(j)*n(j) …(13)
次に、時刻Tにおける、V_IR_τ、V_R_τ、V_R_IR_τを次のように定義する。これらは、ある信号と、その信号自身または他の信号をτ時間遅延させた信号とで所定の演算を行ったものである。遅延時間τは、脈拍の周期に相当し、測定データのインデックスの個数で示すものとする。具体的には、時刻Tから遡ったN個のデータと、時刻(T-τ)から遡ったN個のデータとで演算を行う。以下、V_IR_τ、V_R_τ、V_R_IR_τを総称して、遅延相関データというものとする。
【0066】
V_IR_τ=ΣIR(j)*IR(j-τ) …(14’)
=Σs(j)*s(j-τ)+Σn(j)*n(j-τ)
+2*{Σs(j)*n(j-τ)+Σn(j)*s(j-τ)}/2 …(14)
V_R_τ=ΣR(j)*R(j-τ) …(15’)
=ka2*Σs(j)*s(j-τ)+kv2*Σn(j)*n(j-τ)
+2*ka*kv*{Σs(j)*n(j-τ)+Σn(j)*s(j-τ)}/2 …(15)
V_R_IR_τ={ΣR(j)*IR(j-τ)+ΣIR(j)*R(j-τ)}/2 …(16’)
=ka*Σs(j)*s(j-τ)+kv*Σn(j)*n(j-τ)
+(ka+kv)*{Σs(j)*n(j-τ)+Σn(j)*s(j-τ)}/2 …(16)
ここで、
Vs=Σs(j)
Vn=Σn(j)
Csn=Σs(j)*n(j)
Vs_τ=Σs(j)*s(j-τ)
Vn_τ=Σn(j)*n(j-τ)
Csn_τ={Σs(j)*n(j-τ)+Σn(j)*s(j-τ)}/2
と表わすとすると、式(11)〜(16)は以下のように表すことができる。
【0067】
V_IR=Vs+Vn+2*Csn …(11A)
V_R=ka2*Vs+kv2*Vn+2*ka*kv*Csn …(12A)
V_R_IR=ka*Vs+kv*Vn+(ka+kv)*Csn …(13A)
V_IR_τ=Vs_t+Vn_τ+2*Csn_τ …(14A)
V_R_τ=ka2*Vs_τ+kv2*Vn_τ+2*ka*kv*Csn_τ …(15A)
V_R_IR_τ=ka*Vs_τ+kv*Vn_τ+(ka+kv)*Csn_τ …(16A)
次に、相関データと遅延相関データとの差分を求める。
【0068】
V_IR-V_IR_τ={Vs-Vs_τ}+{Vn-Vn_τ}+2*{Csn-Csn_τ} …(17)
V_R-V_R_τ=ka2*{Vs-Vs_τ}+kv2*{Vn-Vn_τ}+2*ka*kv*{Csn-Csn_τ} …(18)
V_R_IR-V_R_IR_τ=ka*{Vs-Vs_τ}+kv*{Vn-Vn_τ}+(ka+kv)*{Csn-Csn_τ} …(19)
ここで、τがsの周期にほぼ等しく積和時間が周期のほぼ整数倍のときは、心拍動による信号成分sは、脈拍の周期分ずらした信号成分とほぼ同じ波形となるので、以下の関係が成り立つ。
【0069】
Vs-Vs_τ≒0
この関係を、式(17)、式(18)および式(19)に適用すると、以下のようになる。
【0070】
V_IR-V_IR_τ≒{Vn-Vn_τ}+2*{Csn-Csn_τ} …(17A)
V_R-V_R_τ≒kv2*{Vn-Vn_τ}+2*ka*kv*{Csn-{Csn_τ} …(18A)
V_R_IR-V_R_IR_τ≒kv*{Vn-Vn_τ}+(ka+kv)*{Csn-Csn_τ} …(19A)
ここで、
V_IR-V_IR_τ=dV_IR
V_R-V_R_τ=dV_R
V_R_IR-V_R_IR_τ=dV_R_IR
と表すとし、式(17A)、式(18A)および式(19A)を用いた、次の2つの式(20)と式(21)とを考える。
【0071】
(18A)-kv*(19A)=dV_R-kv*dV_R_IR …(20)
=(2*ka*kv-ka*kv-kv2)*{Csn-Csn_τ}
=-kv*(kv-ka)*{Csn-Csn_τ}
(19A)-kv*(17A)=dV_R_IR-kv*dV_IR …(21)
=(ka+kv-2*kv)*{Csn-Csn_τ}
=-(kv-ka)*{Csn-Csn_τ}
式(20)および式(21)より、以下の式が導き出され、
(dV_R-kv*dV_R_IR)/(dV_R_IR-kv*dV_IR)=kv
(kv*dV_IR-dV_R_IR)*kv-kv*dV_R_IR+dV_R=0
となり、次の方程式(22)が導かれる。
【0072】
kv2*dV_IR-2*kv*dV_R_IR+dV_R=0 …(22)
この方程式(22)を解くと、
kv={dV_R_IR±(dV_R_IR2-dV_IR*dV_R)0.5}/dV_IR
が得られる。この2つの解をkv_m、kv_pとする。
【0073】
{dV_R_IR-(dV_R_IR2-dV_IR*dV_R)0.5}/dV_IR=kv_m …(23)
{dV_R_IR+(dV_R_IR2-dV_IR*dV_R)0.5}/dV_IR=kv_p …(24)
これらの誤差は同程度なので、ka推定値が正の誤差になるようkv_p、kv_mの大きい方をk_vの推定値kv_esとする。
【0074】
次に、2つ目の求め方について説明する。
【0075】
Vs-Vs_τ=dVs
Csn-Csn_τ=dCsn
Vn-Vn_τ=dVn
とする。上述した式(17)、式(18)、式(19)において、dCsnが無視できる場合は
dV_IR≒dVn …(17B)
dV_R≒kv2*dVn …(18B)
dV_R_IR≒kv*dVn …(19B)
となる。これら式(17B)、式(18B)、式(19B)より、3通りのk_v、すなわち、kv_1、kv_2、kv_3を求めることができる。
【0076】
kv_1=dV_R/dV_R_IR …(25)
kv_2=dV_R_IR/dV_IR …(26)
kv_3={dV_R/dV_IR}0.5 …(27)
この3つのうちkv_1が誤差が小さいので、これを実施形態におけるk_vの推定値kv_esとする。
【0077】
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
【0078】
<構成>
図1は、実施形態における生体情報測定装置の構成を示す図である。図中の実線は、後述する脈派の時系列データに相当する電気信号成分の各ブロック間での流れのうち、主なものを表す。
【0079】
実施形態における生体情報測定装置100は、測定対象である生体の生理的現象を測定することによって生体に関する生体情報を測定する装置である。生体情報は、例えば、脈拍数や血中酸素飽和度等である。このような生体情報は、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分を利用することによって求めることができ、その基本原理は、上述の<本発明の原理>の項で述べた通りである。
【0080】
このような生体情報測定装置100は、例えば、図1に示すように、生体の所定の生理的現象を測定して測定データを出力するセンサ部40と、センサ部40で測定された測定データに基づいて例えば脈拍数や血中酸素飽和度等の生体情報を算出する演算制御部10と、演算制御部10で算出された生体情報を外部から認識可能に表示する表示部30とを備えて構成される。
【0081】
センサ部40は、演算制御部10に接続され、本実施形態では、生体の生理的現象として生体組織中の血液に関する情報を測定する装置である。より具体的には、センサ部40は、生体の生理的現象として、心拍による動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分を測定する装置である。
【0082】
このような生体の生理的現象を測定する方法は、例えば、生体組織のヘモグロビンの吸光特性を利用する方法を挙げることができる。酸素は、ヘモグロビンによって生体の各細胞に運ばれるが、ヘモグロビンは、肺で酸素と結合して酸化ヘモグロビンとなり、生体の細胞で酸素が消費されるとヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に戻る。血中酸素飽和度は、血中(血液中)の酸化ヘモグロビンの割合として定義される。これらヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンの各吸光度は、波長依存性を有しており、ヘモグロビンは、例えば赤色光(赤色波長領域の光)に対し酸化ヘモグロビンより光を多く吸収し、一方、赤外光(赤外線波長領域の光)に対して酸化ヘモグロビンより光の吸収が少ない。すなわち、ヘモグロビンは、酸化されて酸化ヘモグロビンになると赤色光の吸収が減少して赤外光の吸収が増加し、逆に還元されてヘモグロビンに戻ると赤色光の吸収が増加して赤外光の吸収が減少するという光学的特性を有している。本実施形態の生体情報測定装置100は、このようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの赤色光と赤外光とに対する吸光特性の違いを利用することによって、例えば脈拍数や血中酸素飽和度等の生体情報を求めるものである。
【0083】
このような方法によるため、本実施形態のセンサ部40は、例えば、赤色光に対する生体組織における吸光特性を測定するセンサ(R)部41と、赤外光に対する前記生体組織における吸光特性を測定するセンサ(IR)部42とを備えて構成され、演算制御部10に接続される。このセンサ(R)部41は、例えば、波長λ1の赤色光を前記生体組織に照射する例えば発光ダイオード等のR発光素子と、前記R発光素子で照射され前記生体組織を透過または反射した赤色光を受光する例えばシリコンホトダイオード等のR受光素子とを備えて構成され、このセンサ(IR)部42は、例えば、前記波長λ1と異なる波長λ2の赤外色光を前記生体組織に照射する例えば発光ダイオード等のIR発光素子と、前記IR発光素子で照射され前記生体組織を透過または反射した赤外光を受光する例えばシリコンホトダイオード等のIR受光素子とを備えて構成される。センサ部40は、このような透過型または反射型のセンサを用いることができる。
【0084】
センサ部40は、例えば、手指や耳朶等や、乳幼児の場合の手の甲、手首、足の甲等の、所定の生体組織にセットされ、センサ(R)部41およびセンサ(IR)部42で測定された測定データを演算制御部10へ出力する。より具体的には、このような構成のセンサ(R)部41では、前記R発光素子は、前記生体組織に対し赤色光を照射し、前記R受光素子は、このR発光素子によって前記生体組織に照射された赤色光の前記生体組織を透過または反射した赤色光Rを受光し、この受光した赤色光を光電変換することによって、その受光量に応じた電気信号を前記測定データとして演算制御部10へ出力する。同様に、センサ(IR)部42では、前記IR発光素子は、前記生体組織に対し赤外光を照射し、前記IR受光素子は、このIR発光素子によって前記生体組織に照射された赤外光の前記生体組織を透過または反射した赤外光を受光し、この受光した赤外光を光電変換することによって、その受光量に応じた電気信号を前記測定データとして演算制御部10へ出力する。
【0085】
演算制御部10は、表示部30に接続され、センサ部40で測定された測定データに基づいて生体情報を求めるとともに、生体情報測定装置100全体の制御を司る装置である。演算制御部10は、例えば、センサ部40で測定された測定データを所定のサンプリング周期(例えば周波数37.5Hz等)でサンプリングすることによって測定データの時系列データをセンサ部40から取得するものである。また例えば、演算制御部10は、所定の周期でセンサ部40を駆動、すなわち、発光および受光の各動作を行わせることによって、時系列データとして測定データをセンサ部40から取得するものである。また例えば、センサ部40が所定のサンプリング周期でサンプリングすることによって前記生体組織から時系列データとして測定データを測定し、この時系列データの測定データを演算制御部10へ出力するものである。この測定データは、アナログデータであってもよいが、本実施形態では、ディジタルデータであり、アナログデータからディジタルデータへの変換(AD変換)は、センサ部40または演算制御部10で行われ、また、必要に応じて、前記AD変換前の測定データを増幅する増幅部をセンサ部40または演算制御部10にさらに備えてよい。
【0086】
より具体的には、この演算制御部10は、センサ部40によって測定された測定データに基づいて、測定対象の生体に関する所定の生体情報を求めるものであり、例えば、マイクロプロセッサ、メモリおよびその周辺回路を備えるマイクロコンピュータによって構成される。前記メモリは、センサ部40で測定された測定データに基づいて生体情報を求めるための生体情報演算プログラムや、生体情報測定装置100全体を制御するための制御プログラム等の各種のプログラムや、センサ部40で測定された前記測定データや前記プログラムの実行に必要なデータ等の各種のデータを記憶する例えば書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)や不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、前記マイクロプロセッサのいわゆるワーキングメモリとなる例えば揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、前記マイクロプロセッサは、いわゆるCPU(Central Processing Unit)等であり、前記プログラムを実行することにより、機能的に、例えば、AC/DC(R)部11と、AC/DC(IR)部12と、BPF(R)部13と、BPF(IR)部14と、R相関算出部15と、IR相関算出部16と、相互相関算出部17と、R遅延相関算出部18と、IR遅延相関算出部19と、相互遅延相関算出部20と、kv初期値算出部21と、kv算出部22と、SpO2算出部23と、脈拍数算出部24と、τ算出部25と、周期安定性判別部26と、信頼度算出部27と、減算部28A、28B、28Cを備える。
【0087】
AC/DC(R)部11およびAC/DC(IR)部12は、センサ部40から入力された測定データに対し、所定の前処理を行うものである。より具体的には、AC/DC(R)部11は、センサ(R)部41から入力された赤色光に係わる測定データに対し、前記R受光素子での暗電流を補正するためのいわゆるダーク処理を行い、そして、直流成分RDCに対する交流成分RACの第1比(赤色光交直比)R(=RAC/RDC)を算出し、この第1比RをBPF(R)部13へ通知(出力)する。
【0088】
また、AC/DC(IR)部12は、センサ(IR)部42から入力された赤外光に係わる測定データに対し、前記IR受光素子での暗電流を補正するためのいわゆるダーク処理を行い、そして、直流成分IRDCに対する交流成分IRACの第2比(赤外光交直比)IR(=IRAC/IRDC)を算出し、この第2比IRをBPF(IR)部14へ通知(出力)する。前記ダーク処理は、公知の方法が用いられ、例えば、前記赤色光に係わる測定データから遮光状態のR受光素子から出力される出力値(暗電流値)Rdarkを減算するとともに、前記赤外光に係わる測定データから遮光状態のIR受光素子から出力される出力値(暗電流値)IRdarkを減算することによって行われる。これら遮光状態のR受光素子およびIR受光素子から出力される各出力値Rdark、IRdarkは、予め測定される。
【0089】
BPF(R)部13およびBPF(IR)部14は、センサ部40によって測定された測定データから所定のノイズ成分を除去するフィルタであり、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分以外の周波数成分を除去するものである。
【0090】
BPF(R)部13は、赤色光に対する、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分を含む所定の周波数帯域を通過帯域とするフィルタであり、第1比Rをフィルタ処理(フィルタリング)し、このフィルタ処理した後の第1比R時系列データであるR_signalとしてR相関算出部15〜kv初期値算出部21および脈拍数算出部24の各部へ通知する。
【0091】
BPF(IR)部14は、赤外光に対する、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分を含む所定の周波数帯域を通過帯域とするフィルタであり、第2比IRをフィルタ処理(フィルタリング)し、このフィルタ処理した後の第2比IRを時系列データIR_signalとしてR相関算出部15〜kv初期値算出部21および脈拍数算出部24の各部へ通知する。
【0092】
R相関算出部15は、赤色光に係わるR_signalの相関データV_Rを式(12’)を用いて算出し、この算出した相関データV_IRを、減算部28A、kv初期値算出部21および信頼度算出部27の各部へ通知するものである。
【0093】
IR相関算出部16は、赤外光に係わるIR_signalの相関データV_IRを式(11’)を用いて算出し、この算出した相関データV_IRを、減算部28B、kv初期値算出部21および信頼度算出部27の各部へ通知するものである。
【0094】
相互相関算出部17は、赤色光に係わるR_signalと赤外光に係わるIR_signalとの相関データV_R_IRを式(13’)を用いて算出し、この算出した相関データV_R_IRを、減算部28C、kv初期値算出部21および信頼度算出部27の各部へ通知するものである。
【0095】
R遅延相関算出部18は、R_signalの遅延相関データV_R_τを式(15’)を用いて算出し、この算出した遅延相関データV_R_τを、減算部28Aへ通知するものである。
【0096】
IR遅延相関算出部19は、IR_signalの遅延相関データV_IR_τを式(14’)を用いて算出し、この算出した遅延相関データV_IR_τを、減算部28Bへ通知するものである。
【0097】
相互遅延相関算出部20は、R_signalとIR_signalとの遅延相関データV_R_IR_τを式(16’)を用いて算出し、この算出した遅延相関データV_R_IR_τを、減算部28Cへ通知するものである。
【0098】
なお、BPF(R)部13〜相互遅延相関算出部20が算出したIR_signal、R_signal、相関データ、遅延相関データは、メモリに記憶され、他の機能部から参照できるものとする。
【0099】
減算部28Aは、R相関算出部15によって算出された相関データV_Rから、R遅延相関算出部18によって算出された遅延相関データV_R_τを減算した結果dV_Rを算出し(式(18)の左辺参照)、この算出した差分dV_Rをkv算出部22へ通知するものである。
【0100】
減算部28Bは、IR相関算出部16よって算出された相関データV_IRから、IR遅延相関算出部19によって算出された遅延相関データV_IR_τを減算した結果dV_IRを算出し(式(17)の左辺参照)、この算出した差分dV_IRをkv算出部22へ通知するものである。
【0101】
減算部28Cは、相互相関算出部17よって算出された相関データV_R_IRから、相互遅延相関算出部20によって算出された遅延相関データV_R_IR_τを減算した結果dV_R_IRを算出し(式(19)の左辺参照)、この算出した差分dV_R_IRをkv算出部22へ通知するものである。
【0102】
kv算出部22は、減算部28Aが算出した差分dV_R、減算部28Bが算出した差分dV_IR、減算部28Cが算出した差分dV_R_IRから、式(25)、式(26)、式(27)のうちのいずれかを用いてkv_esを算出し、この算出したkv_esをSpO2算出部23へ通知するものである。本実施形態では、式(25)を用いる。
【0103】
kv初期値算出部21は、BPF(R)部13が算出したR_signal、BPF(IR)部14が算出したIR_signal、R相関算出部15が算出したR_signalの相関データV_R、IR相関算出部16が算出したIR_signalの相関データV_IR、相互相関算出部17が算出したR_signalとIR_signalとの相関データV_R_IRから、従来の技術を用いて、k_vの推定値kv_esを算出するものである。例えば、以下の式を用いてkv_esを算出する。
【0104】
P(ω)=P[{IR_signal*k_v - R_signal}2- (1/N)Σ{IR_signal*k_v - R_signal}2]
ここで、Pは、フーリエ変換、ωは、周波数である。P(ω)のピーク高さ/ピーク幅を指標としてそれを最大にするωからk_vを求めて、kv_esとする。また、その他の方法で算出してもよい。例えば、以下の式(31)、式(32)、式(33)の何れかを用いて、R_signalとIR_signalの自己相関と相互相関との比からk_aを求め、k_aからk_vを求めてもよい。
【0105】
【数31】

【0106】
【数32】

【0107】
【数33】

【0108】
SpO2算出部23は、kv算出部22が求めたkv_esから、以下の式(28)または式(29)を用いて、k_aの推定値ka_esを算出する。
【0109】
ka_es={kv*V_R_IR-V_R}/{kv*V_IR-V_R_IR} …(28)
ka_es={kv*V_R_IR_τ-V_R_τ}/{kv*V_IR_τ-V_R_IR_τ} …(29)
そして、ka_esから、静脈血の酸素飽和度SpOを求めて、この求めた酸素飽和度SpOを、表示部30へ通知するものである。なお、脈波信号は原波形として説明しているが、時間差分波形でもよい。
【0110】
また、SpO2算出部23は、周期安定性判別部26から周期が安定していない旨の通知を受けると、式(13)及び式(14)を用いて算出したkv_mとkv_pのうち、大きい方をkv_esとして求め、k_aの推定値ka_esを算出し、静脈血の酸素飽和度SpOを算出する。
【0111】
脈拍数算出部24は、BPF(R)部13が算出したR_signal、BPF(IR)部14が算出したIR_signal、kv算出部22またはkv初期値算出部21が算出したkv_esから、脈拍数を求め、表示部30へ通知し、また、脈拍数と周期判定信号(以下の式(30)の左辺で表される信号)とを周期安定性判別部26へ出力するものである。より具体的には、以下の式(30)(式(4)と同じ)が成り立つことから、脈拍数算出部24は、R(j)-kv_es*IR(j)の所定時間内の周期の平均値を算出する。
【0112】
R(j)-kv_es*IR(j)≒(ka-kv)*s(j) (j=i-(N-1)〜i) …(30)
そして、前記周期の逆数として脈拍数を求める。なお、周期の算出では、差分波形、原波形いずれも用いることができるが原波形が望ましい。
【0113】
なお、後述する<第1の動作>では、外部から心電信号等を取得し、心電信号等から脈拍周期を求め、求めた脈拍周期から求めた脈拍数をτ算出部25に出力するものとする(図1に点線で示す)。
【0114】
周期安定性判別部26は、脈拍数算出部24から脈拍数と周期判定信号とを受け取ると、周期判定信号の周期の安定性を判断し、許容できる安定度であれば、脈拍数算出部24から受け取った脈拍数をτ算出部25へ通知し、許容できる安定度でない場合は、その旨をSpO2算出部23へ通知するものである。安定度の判断は、周期判定信号の各周期のバラツキが所定範囲内、例えば、所定時間(T_PR)内での周期の最大値から最小値を引いた値が所定値以下で、且つ、平均周期の前回平均周期からの偏差が所定範囲内である場合に、安定していると判断する。周期が安定しているということは、kv_esが適正に推定できていると判断できることになる。
【0115】
また、外部からの心電信号等から心拍周期を求めることができる場合に、生体情報測定装置100が脈拍数算出部24から取得した信号の周期との差が所定値以上である場合は、安定していない、すなわち、kv_esが適正に推定できていないと判断することとしてもよい。また、周期安定性判別部26は、周期が安定していない場合は、表示部30に警告等を表示することとしてもよい。
【0116】
τ算出部25は、周期安定性判別部26(後述する<第1の動作>では脈拍数算出部24)が算出した脈拍数と、測定データのサンプリング周期とからτ、すなわち、測定データのインデックスの個数を算出し、この算出したτをR遅延相関算出部18、IR遅延相関算出部19、相互遅延相関算出部20の各部へ通知するものである。
【0117】
信頼度算出部27は、SpO2算出部23によって算出された酸素飽和度、R相関算出部15によって算出された相関データV_R、IR相関算出部16によって算出された相関データV_IR、相互相関算出部17によって算出されたV_R_IRに基づいて所定の信頼度を算出し、この算出した信頼度を表示部30へ出力するものである。
【0118】
信頼度は、生体情報に係わる算出値がどの程度信頼することができる値であるかを表す指標(度合い)である。このような信頼度は、例えば、次の式(B1)〜式(B6)のいずれかによって求めることができる。このような式によって得られる信頼度zでは、その値zの絶対値が大きいほど血中酸素飽和度の信頼度が低くなる。
【0119】
z=(ΣR(j)*IR(j))/(Σ{IR(j)}2)-(Σ{R(j)})/(ΣR(j)*IR(j)) ・・・(B1)
z=(Σ{IR(j)})/(ΣR(j)*IR(j))-[(Σ{R(j)})/(Σ{IR(j)})] ・・・(B2)
z=(Σ{R(j)})/(Σ{IR(j)})-[(ΣR(j)*IR(j))/(Σ{IR(j)})] ・・・(B3)
z=[(1/N)*ΣR(j)/IR(j)]-(Σ{R(j)})/(Σ{IR(j)}) ・・・(B4)
z=(ΣR(j)*IR(j))/(Σ{IR(j)})-(1/N)*ΣR(j)/IR(j) ・・・(B5)
z=(Σ{R(j)})/(ΣR(j)*IR(j))-(1/N)*ΣR(j)/IR(j) ・・・(B6)
また、信頼度算出部27は、適時、k_aの信頼度又はk_vの信頼度を算出することとしてもよい。k_aの信頼度とは、k_aに含まれる誤差の度合いを表す値であり、同様に、k_vの信頼度とは、k_vに含まれる誤差の度合いを表す値である。
【0120】
表示部30は、この生体情報測定装置100の動作状態や演算制御部10によって求められた生体情報等を表示(出力)する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機EL表示装置、プリンタ等である。表示部30は、例えば、本実施形態では、脈拍数算出部24で算出された脈拍数を表示する脈拍数出力部32と、SpO2算出部23で算出された酸素飽和度を表示するSpO2出力部31と、信頼度算出部27で算出された信頼度を表示する信頼度出力部33とを備えている。信頼度出力部33は、信頼度算出部27が算出した信頼度、例えば、k_aの信頼度やk_vの信頼度が、それぞれの閾値を超えた場合に、警告を出力する。
【0121】
なお、R遅延相関算出部18、IR遅延相関算出部19、相互遅延相関算出部20、SpO2算出部23、τ算出部25、周期安定性判別部26、減算部28等によって、課題を解決するための手段で開示した信号生成部が実現され、kv初期値算出部21、kv算出部22、SpO2算出部23、周期安定性判別部26、信頼度算出部27等によって、推定部が実現される。
【0122】
<動作>
次に、実施形態の生体情報測定装置100の動作について説明する。
【0123】
ここでは、2通りの動作について説明する。脈拍周期を、生体情報測定装置100の外部からの心電信号等の情報を基に取得できる場合と、できない場合である。言い換えれば、外部からの情報を基に正確な脈拍周期を取得できる場合は、遅延時間τは容易に求めることができるが、取得できない場合には、脈拍周期を算出する必要がある。
【0124】
<第1の動作>
まず、外部からの情報を基に脈拍周期を取得できる場合について説明する。この場合、演算制御部10の脈拍数算出部24は、上述のように式(30)を用いて算出するのではなく、心電信号から心拍周期を算出するものとする。
【0125】
図2および図3は、生体情報のうち酸素飽和度および脈拍数を求める処理を示すフローチャートである。
【0126】
生体情報測定装置100では、例えば、電源スイッチ(不図示)の投入、または、電源スイッチの投入後の測定開始スイッチ(不図示)の投入によって、測定対象である生体の生体情報の測定が開始される。
【0127】
演算制御部10は、センサ部40で測定された測定データを所定のサンプリング周期でのサンプリングを開始し、測定データの時系列データをセンサ部40から取得する。
【0128】
具体的には、センサ部40のセンサ(R)部41によって、赤色光に係わる測定データRsignalanddark(暗電流を含む)およびその暗電流Rdarkが測定され、アナログ信号からディジタル信号へ変換されるとともに、センサ(IR)部42によって、赤外光に係わる測定データIRsignalanddark(暗電流を含む)およびその暗電流IRdarkが測定され、アナログ信号からディジタル信号へ変換される。
【0129】
続いて、表示部30のAC/DC(R)部11によって、センサ(R)部41から入力された赤色光に係わる測定データRsignalanddarkに対し、ダーク処理(Rsignalanddark−Rdark)が実行され、R_signal(図2では、R_s(j)と記載する。)が算出されるとともに、AC/DC(IR)部12によって、センサ(IR)部42から入力された赤外光に係わる測定データIRsignalanddarkに対し、ダーク処理(Rsignalanddark−Rdark)が実行され、IR_signal(図2では、IR_s(j)と記載する。)が算出される。続いて、BPF(R)部13によって、AC/DC(R)部11から出力されたR_signalがフィルタリングされるとともに、BPF(IR)部14によって、AC/DC(IR)部12から出力されたIR_signalがフィルタリングされ、R相関算出部15〜相互遅延相関算出部20等に出力される。
【0130】
演算制御部10は、サンプリングを開始すると同時に、処理で用いる変数の初期化を行う。具体的には、V_R_int、V_IR_int、V_R_IR_int、V_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intそれぞれに、0(ゼロ)を設定する(ステップS10)。V_R_int、V_IR_int、V_R_IR_intは、上述の相関データV_IR、V_R、V_R_IRにそれぞれ相当し、V_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intは、遅延相関データV_IR_τ、V_R_τ、V_R_IR_τにそれぞれ相当する。また、m=0〜N-1の配列V_R(m)、V_IR(m)、V_R_IR(m)、V_R_τ(m)、V_IR_τ(m)、V_R_IR_τ(m)に0(ゼロ)を設定する(ステップS11)。これらの配列は、それぞれV_R_int、V_IR_int、V_R_IR_int、V_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intを算出する基となるデータを記憶するものである。
【0131】
初期化が終了すると、脈拍数算出部24は心電信号から脈拍数を算出し、算出した脈拍数をτ算出部25に出力する。また、脈拍数算出部24は、算出した脈拍数を表示部30の脈拍数出力部32に出力する(ステップS12)。脈拍数出力部32は、取得した脈拍数を表示する。
【0132】
脈拍数を取得したτ算出部25は、脈拍周期から遅延時間τ、すなわち、測定データのインデックスの個数を算出し、R遅延相関算出部18、IR遅延相関算出部19および相互遅延相関算出部20に出力する(ステップS13)。
【0133】
R相関算出部15〜相互遅延相関算出部20は、BPF(R)部13またはBPF(IR)部14からのR_signalまたはIR_signalを取得し(ステップS14)、各相関値および遅延相関値を演算する(ステップS15)。すなわち、R相関算出部15によってR_signal(j)2が算出されてV_R(j)に設定され、IR相関算出部16によってIR_signal(j)2が算出されてV_IR(j)に設定され、IR相関算出部16によってR_signal(j)*IR_signal(j)が算出されてV_R _IR(j)に設定される。また、R遅延相関算出部18によってR_signal(j)*R_signal(j-τ)が算出されてV_R_τ(j)に設定され、IR遅延相関算出部19によってIR_signal(j)*IR_signal(j-τ)が算出されてV_IR_τ(j)に設定され、相互遅延相関算出部20によって(R_signal(j)*IR_signal(j-τ)+R_signal(j-τ)*IR_signal(j))/2が算出されてV_R_IR_τ(j)に設定される。
【0134】
所定数のデータ(N個)の取得が完了するまで(ステップS16:No)、ステップS14〜ステップS16が実行され、所定数のデータが取得されると(ステップS16:Yes)、m=0〜N-1でV_R(m)、V_IR(m)、V_R_IR(m)、V_R_τ(m)、V_IR_τ(m)、V_R_IR_τ(m)のそれぞれを積算して、V_R_int、V_IR_int、V_R_IR_int、V_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intを算出する(ステップS17)。R相関算出部15〜相互遅延相関算出部20で算出されたデータは、減算部28A〜Cによって差分dV_R、dV_IR、dV_R_IRが算出されて、kv算出部22へ出力される。kv算出部22は、式(25)を用いて、kv_esを算出する。
【0135】
続いて、SpO2算出部23は、kv_es_b、または、ka_es_bが不定であるか否か、すなわち、1度でも信頼できるkv_es、または、ka_esが測定されたか否かを判断する(ステップS18)。この判断は、例えば、フラグを設定したり、初期値としてkv_es等にありえない値を設定しておき、あり得ない値の場合は不定であると判断する、または、kv_es等に測定されたものを設定した場合にはフラグを立て、フラグが立っていない場合は不定であると判断する等で行う。
【0136】
不定であると判断された場合は(ステップS18:Yes)、SpO2算出部23は、kv初期値算出部21が式(31)等を用いて算出したkv_esをkv_es_bとし、ka_esを算出してka_es_bとする(ステップS19)。不定でないと判断された場合は(ステップS18:No)、kv_es_bには、前回算出されたkv_esが設定されており、ka_es_bには、前回算出されたka_esが設定されている。
【0137】
続いて、SpO2算出部23は、V_R_IR_int、V_IR_int、kv_es_bおよびka_es_bから、心拍動による信号成分と体動によるノイズ成分の比であるSN比を推定する(ステップS20)。
【0138】
ここで、SN比は、ノイズ成分の強度と信号成分の強度との比等で表され、例えば、式(34)のように表される。SN比をk_snとする。
【0139】
【数34】

【0140】
ノイズ成分の強度に関する値であるn_squareと信号成分の強度に関する値であるs_squareは、k_vおよびk_aにそれぞれkv_es_bおよびka_es_bを代入して、以下の式35および式36を用いて算出する。
【0141】
【数35】

【0142】
【数36】

【0143】
SN比が所定値以下である場合(ステップS21:Yes)、すなわち、ノイズの影響が大きい場合は、SpO2算出部23は、kv算出部22が式(25)、または式(23)、または式(24)を用いて算出したkv_esを取得し(ステップS23)、取得したkv_esから式(28)または式(29)を用いてka_esを求め(ステップS24)、酸素飽和度SpO2を算出する(ステップS25)。
【0144】
一方、SN比が所定値を上回る場合(ステップS21:No)、すなわち、ノイズの影響が小さい場合、SpO2算出部23は、式(31)、式(32)、式(33)など従来公知の方法によってka_esを算出して(ステップS22)、動脈血酸素飽和度SpO2を算出する(ステップS25)。また、ka_esとの所定関係α(ka_es)からkv_esを算出する(ステップS22)。α(ka_es)は静脈血の酸素飽和度が動脈血の酸素飽和度より例えば10%低いことから関係づけられる式である。
【0145】
酸素飽和度SpO2を算出したSpO2算出部23は、算出した酸素飽和度SpO2をSpO2出力部31に出力し、SpO2出力部31は取得した酸素飽和度SpO2を表示する(ステップS25)。
【0146】
SpO2算出部23は、算出したkv_es、ka_esを、それぞれkv_es_b、ka_es_bに設定する(ステップS26)。
【0147】
続いて、信頼度算出部27は、所定の信頼度を算出し、この算出された信頼度が信頼度出力部33へ出力され、信頼度出力部33は取得した信頼度を表示または警告する(ステップS27)。信頼度は心電信号に基づく心拍周期とR_signal-kv_es*IR_signalの周期から求めた脈拍周期の差に対応した量であってもよいし、式(B1)から式(B6)などに対応した量であってもよい。なお、kv_es、ka_esの信頼度が、それぞれの閾値を超える場合は、kv_es、ka_esを従来の方法で算出しなおすこととしてもよい。また、信頼度の算出は、kv_es、ka_esを算出する毎に行うこととしてもよい。
【0148】
<第2の動作>
次に、脈拍周期を求めるための情報を外部から取得できない場合について説明する。
【0149】
図4および図5は、生体情報のうち酸素飽和度および脈拍数を求める処理を示すフローチャートである。図4および図5のフローチャートの処理うち、図2および図3のフローチャートのステップ番号と同じ番号の処理は、図2および図3のフローチャートの該当する処理と同じである。
【0150】
生体情報測定装置100で測定対象である生体の生体情報の測定が開始されると、演算制御部10は、センサ部40で測定された測定データを所定のサンプリング周期でのサンプリングを開始し、測定データの時系列データをセンサ部40から取得し、AC/DC(R)部11およびBPF(R)部13で処理されたR_signalと、AC/DC(IR)部12およびBPF(IR)部14で処理されたIR_signalをR相関算出部15〜相互遅延相関算出部20等に出力する。
【0151】
演算制御部10は、サンプリングと同時に、処理で用いる変数の初期化を行う(ステップS10、ステップS11)。
【0152】
初期化が終了すると、R相関算出部15〜相互遅延相関算出部20は、BPF(R)部13またはBPF(IR)部14からのR_signalまたはIR_signalを取得し(ステップS14)、各相関値を演算する(ステップS15)。すなわち、R相関算出部15によってR_signal(j)2が算出されてV_R(j)に設定され、IR相関算出部16によってIR_signal(j)2が算出されてV_IR(j)に設定され、IR相関算出部16によってR_signal(j)*IR_signal(j)が算出されてV_R_IR(j)に設定される(ステップS30)。
【0153】
続いて、遅延時間τが不定でない場合は(ステップS31:No)、R遅延相関算出部18によってR_signal(j)*R_signal(j-τ)が算出されてV_R_τ(j)に設定され、IR遅延相関算出部19によってIR_signal(j)*IR_signal(j-τ)が算出されてV_IR_τ(j)に設定され、相互遅延相関算出部20によって(R_signal(j)*IR_signal(j-τ)+R_signal(j-τ)*IR_signal(j))/2が算出されてV_R_IR_τ(j)に設定される(ステップS32)。
【0154】
一方、遅延時間τが不定である場合は(ステップS31:Yes)、V_R_τ(j)、V_IR_τ(j)およびV_IR_τ(j)を無効として扱う。または、R遅延相関算出部18、IR遅延相関算出部19および相互遅延相関算出部20にV_R_τ(j)、V_IR_τ(j)およびV_IR_τ(j)を算出しないように制御してもよい。遅延時間τが不定であるか否かは、初期値やフラグ等を用いて判断するものとする。
【0155】
所定数のデータ(N個)の取得が完了するまで(ステップS16:No)、ステップS14〜ステップS16が実行され、所定数のデータが取得されると(ステップS16:Yes)、m=0〜N-1でV_R(m)、V_IR(m)、V_R_IR(m)のそれぞれを積算して、V_R_int、V_IR_int、V_R_IR_intを算出する(ステップS33)。
【0156】
続いて、遅延時間τが不定でない場合は(ステップS34:No)、m=0〜N-1でV_R_τ(m)、V_IR_τ(m)、V_R_IR_τ(m)のそれぞれを積算してV_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intを算出する(ステップS35)。
【0157】
一方、遅延時間τが不定である場合は(ステップS34:Yes)、V_R_τ(m)、V_IR_τ(m)、V_R_IR_τ(m)のそれぞれを積算結果であるV_IR_τ_int、V_R_τ_int、V_R_IR_τ_intを無効として扱う。
【0158】
R相関算出部15〜相互遅延相関算出部20で算出されたデータは、減算部28A〜Cによって差分dV_R、dV_IR、dV_R_IRが算出されて、kv算出部22へ出力される。kv算出部22は、式(25)を用いて、kv_esを算出する。
【0159】
続いて、SpO2算出部23は、kv_es_b、または、ka_es_bが不定であるか否かを判断する(ステップS18)。
【0160】
不定であると判断された場合は(ステップS18:Yes)、SpO2算出部23は、kv初期値算出部21が式(31)等を用いて算出したkv_esをkv_es_bとし、ka_esを算出してka_es_bとする(ステップS19)。
【0161】
続いて、SpO2算出部23は、V_R_IR_int、V_IR_int、kv_es_bおよびka_es_bからSN比を推定する(ステップS20)。
【0162】
SN比が所定値以下である場合(ステップS21:Yes)、SpO2算出部23は、遅延時間τが不定か否かを判断し、不定でない場合は(ステップS36:No)、kv算出部22が算出したkv_esを取得する(ステップS23)。
【0163】
また、脈拍数算出部24は、kv算出部22から取得したkv_esとメモリに記憶されているIR_signalおよびR_signalとから、脈拍数を求め(ステップS37)、表示部30へ通知し、また、脈拍数と周期判定信号(式(30)の左辺で表される信号)とを周期安定性判別部26へ通知する。
【0164】
周期安定性判別部26は、周期判定信号の所定期間(T_PR)の周期の安定性を判断し、安定していると判断した場合(ステップS38:Yes)、すなわち、kv_esが適正に推定できていると判断できる場合は、脈拍数算出部24から受け取った脈拍数をτ算出部25に出力し、τ算出部25は取得した周期から遅延時間τを算出する(ステップS41)。
【0165】
一方、周期が安定していないと判断した場合(ステップS38:No)、周期安定性判別部26は、その旨をSpO2算出部23に通知する。
【0166】
安定していない旨の通知を受けたSpO2算出部23は、周期が安定していないということは、kv算出部22が算出したkv_esの信頼性が低いということなので、計算量は多少増えるが特許文献1の方法など、従来技術の方法でkv_es算出し、脈拍数算出部24に出力する(ステップS39)。なお、周期が安定していないと判断した周期安定性判別部26は、表示部30にその旨または警告を表示することとしてもよい。
【0167】
脈拍数算出部24は、SpO2算出部23から取得したkv_esから、脈拍数を求め(ステップS40)、表示部30へ通知し、また、脈拍数と周期判定信号とを周期安定性判別部26を介してτ算出部25に出力する。τ算出部25は取得した脈拍数から遅延時間τを算出する(ステップS41)。この場合は、kv_esの信頼性が高いことから、周期安定性判別部26は周期が安定していると判断する可能性が高い。
【0168】
ステップS36において、遅延時間τが不定である場合(ステップS36:Yes)、ステップS38において周期安定性判別部26から周期が安定していない旨の判断を取得した時と同様に、SpO2算出部23は、式(23)および式(24)を用いてkv_esを算出し、脈拍数算出部24に出力し(ステップS39)、ステップS40が行われる。すなわち、測定が開始された当初は、遅延時間τはまだ算出されていないので、ステップS39のように計算量の多い算出方法でkv_esを求めるが、τが算出されてしまえばステップS23のように計算量の少ない方法でkv_esを求めることが可能となる。
【0169】
また、ステップS21において、SN比が所定値を上回る場合(ステップS21:No)、SpO2算出部23は、式(31)、式(32)、式(33)など従来公知の方法によってka_esを算出して(ステップS22)動脈血酸素飽和度SpO2を算出する(ステップS25)。また、ka_esとの所定関係α(ka_es)からkv_esを算出する(ステップS22)。算出したkv_esを脈拍数算出部24に出力する。脈拍数算出部24は、取得したkv_esから、脈拍数を求める(ステップS40)。
【0170】
続いて、SpO2算出部23は、ka_esを求め(ステップS24)、酸素飽和度SpO2を算出し、SpO2出力部31に出力する(ステップS25)。
【0171】
SpO2出力部31は、SpO2算出部23から取得した酸素飽和度を表示し、脈拍数出力部32は、脈拍数算出部24から取得した脈拍数を表示する(ステップS42)。
【0172】
SpO2算出部23は、算出したkv_es、ka_esを、それぞれkv_es_b、ka_es_bに設定する(ステップS26)。
【0173】
続いて、信頼度算出部27は、所定の信頼度を算出し、この算出された信頼度が信頼度出力部33へ出力され、信頼度出力部33は取得した信頼度を表示または警告する(ステップS27)。
【0174】
このように動作するので、実施形態の生体情報測定装置100は、例えば生体の体動等によってノイズが生じた場合でもより精度よく例えば脈拍数や酸素飽和度等の生体情報を迅速に測定することができる。
【0175】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0176】
10 測定部
11 AC/DC(R)変換部
12 AC/DC(IR)変換部
13 BPF(R)部
14 BPF(IR)部
15 R相関算出部
16 IR相関算出部
17 相互相関算出部
18 R遅延相関算出部
19 IR遅延相関算出部
20 相互遅延相関算出部
21 kv初期値算出部
22 kv算出部
23 SpO2算出部
24 脈拍数算出部
25 τ算出部
26 周期安定性判別部
27 信頼度算出部
28 減算部
30 出力部
31 SpO2出力部
32 脈拍数出力部
33 信頼度出力部
40 センサ部
41 センサ(R)部
42 センサ(IR)部
100 生体情報測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分とを含む第1時系列信号と、前記第1信号成分と所定の第1関係を有する第2信号成分、および、前記第1ノイズ成分と所定の第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2時系列信号とから、前記第1信号成分の周期と推定される時間である遅延時間分前記第1時系列信号を遅延させた第1遅延信号と、前記第2時系列信号を前記遅延時間分遅延させた第2遅延信号とを生成する信号生成部と、
第1の所定時間範囲での前記第1時系列信号および前記第2時系列信号と、前記信号生成部で生成した前記第1遅延信号および前記第2遅延信号とを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記所定の第2関係を推定する推定部と
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記推定部は、第1時系列信号に含まれる第1信号成分と第1遅延信号に含まれる第1信号成分とが略等しいことを前提として、前記第1時系列信号自身の相関と、前記第1時系列信号と前記第1遅延信号との相関との第1差分と、前記第2時系列信号自身の相関と、前記第2時系列信号と前記第2遅延信号との相関との第2差分と、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とに基づく信号のそれ自身の相関と、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とに基づく信号と、前記第1遅延信号と前記第2遅延信号に基づく遅延信号との相関との第3差分とを用いて、前記所定の第2関係を推定すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記推定部は、第1時系列信号に含まれる前記第1信号成分と前記第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分との信号ノイズ相関が十分小さく、前記第1時系列信号に含まれる前記第1信号成分と前記第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分の遅延成分との信号ノイズ遅延相関も十分小さく、第1時系列信号に含まれる第1信号成分の遅延成分と第1時系列信号に含まれる第1ノイズ成分とのノイズ信号遅延相関も十分小さいこと、
または、前記信号ノイズ遅延相関とノイズ信号遅延相関との平均と信号ノイズ相関とが略等しいことを更に前提として、
前記第1差分、前記第2差分および前記第3差分のうちの何れか二つを用いて、前記第2関係を推定すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項において、
前記推定部は、推定した前記第2関係と、前記第1時系列信号または前記第1遅延信号と前記第2時系列信号または前記第2遅延信号とから前記第1関係を推定すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項において、
前記信号生成部は、前記推定部が推定した前記第2関係と、前記第1時系列信号と、前記第2時系列信号とに基づいて、前記第1信号成分の周期と同じ周期を有すると推定される周期判定信号を生成し、当該周期判定信号の周期から、前記第1信号成分の周期または前記第2信号成分の周期を求め、求めた周期を前記遅延時間とすること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記信号生成部は、第1の所定時間範囲での、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲内にある場合に、当該周期判定信号の周期から求めた時間を前記遅延時間とすること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記推定部は、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲から外れた場合、請求項1乃至3の何れかに記載の方法とは異なる方法で前記第2関係を算出すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項8】
請求項5または請求項6において、
前記推定部は、前記周期判定信号の周期の変動の度合いが所定範囲から外れた場合、前記第2関係および/または第1関係の信頼性が低いことを示す警告を出力すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか1項において、
前記推定部が、前記第2関係を算出するか否かを判定するための指標として、前記第1ノイズ成分と前記第1信号成分との比に関する情報を有する指標を算出し、前記指標と所定の閾値とを比較して、前記第1ノイズ成分が小さいと判定した場合には、前記第1時系列信号と前記第2時系列信号とで直接表される関係式を用いて前記第1関係を推定すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか1項において、
信頼度を出力する出力部を更に備え、
前記推定部が、前記第2関係に含まれる誤差の度合いを表すノイズ信頼度をさらに算出し、前記ノイズ信頼度が所定の閾値を超えた場合には、
前記出力部が前記ノイズ信頼度が所定の閾値を超えたことを示す警告を出力すること
を特徴とする信号処理装置。
【請求項11】
信号処理方法であって、
周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分とを含む第1時系列信号と、前記第1信号成分と第1関係を有する第2信号成分、および、前記第1ノイズ成分と第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2時系列信号とから、前記第1信号成分の周期と推定される時間である遅延時間分前記第1時系列信号を遅延させた第1遅延信号と、前記第2時系列信号を前記遅延時間分遅延させた第2遅延信号とを生成する信号生成ステップと、
第1の所定時間範囲での前記第1時系列信号および前記第2時系列信号と、前記信号生成部で生成した前記第1遅延信号および前記第2遅延信号とを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記第2関係を推定する推定ステップと
を備えることを特徴とする信号処理方法。
【請求項12】
互いに波長の異なる複数の光を生体へそれぞれ照射して前記生体を透過または反射した各光をそれぞれ受光することによって得られた少なくとも第1測定データまたは第2測定データに基づいて、前記生体の生体情報を測定する生体情報測定装置であって、
周期性を有する第1信号成分と、第1ノイズ成分からなる第1測定データを測定する第1測定部と、
前記第1信号成分と所定の第1関係を有する第2信号成分、および、第1ノイズ成分と所定の第2関係を有する第2ノイズ成分を含む第2測定データを測定する第2測定部と、
前記生体の動脈血の拍動の間隔を取得する拍動間隔取得部と、
前記第1測定データと前記第2測定データとから、前記間隔を遅延時間として当該遅延時間分遅延させた前記第1測定データである第1遅延データと、前記遅延時間分遅延させた前記第2測定データである第2遅延データとを生成する信号生成部と、
第1の所定時間範囲での前記第1測定データおよび前記第2測定データと、前記信号生成部で生成した前記第1遅延データおよび前記第2遅延データとを用いて、前記第1の所定時間範囲での前記所定の第2関係を推定する推定部と
を備えたことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記拍動間隔取得部は、自装置の外部から取得したデータに基づいて前記生体の動脈血の拍動の間隔を求めること
を特徴とする生体情報測定装置。
【請求項14】
請求項12において、
信頼度を出力する出力部を備え、
前記信号生成部は、前記推定部が推定した前記第2関係と、前記第1測定データと、前記第2測定データとに基づいて前記第1信号成分の周期と同じ周期を有すると推定される周期判定信号を生成し、当該周期判定信号の周期から、前記第1信号成分の周期を求め、前記拍動間隔取得部が求めた間隔と前記周期判定信号の周期との差が所定の値以上である場合は、
前記出力部が前記差が所定の値を超えたことを示す警告を出力すること
を特徴とする生体情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235891(P2012−235891A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106547(P2011−106547)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303050160)コニカミノルタオプティクス株式会社 (175)
【Fターム(参考)】