説明

信号処理装置及びプログラム

【課題】 転送するSIPメッセージを処理する際に、SIPメッセージを転送先で処理可能な形式に変換することができる信号処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、SIPメッセージを受信して処理し送信先の通信装置へ向けて送出する信号処理装置に関する。そして、信号処理装置は、当該信号処理装置がSIPメッセージを処理して、送信先の通信装置へ向けて送出する際の最初の転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれについて、対応するSIPメッセージの記述形式に係る情報を保持する手段と、受信したSIPメッセージを、保持している情報に基づいて、最初の転送先の通信装置が処理可能な形式に変換する手段と、変換したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置に送信する手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号処理装置及びプログラムに関し、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)に対応したネットワークに配置するSIP−ALG(SIP Application Level Gateway)装置に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、SIP(非特許文献1、2)に対応した複数のネットワークの間を、接続をさせるSIP−ALGにおいて、SIPメッセージの送信先に合わせて、そのSIPメッセージに含まれるURI(Uniform Resource Identifier)のスキームを変更する技術としては、特許文献1に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1の記載技術では、SIPメッセージを変換する際に、SIPのリクエストメッセージを受信したときに特殊なパラメータがメッセージ内に付与されているかどうか判断し、条件に一致した場合にスキームを変換するような構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−513052号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IETF RFC2543
【非特許文献2】IETF RFC3261
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、自網内の端末へ着信させる場合におけるUNI(User−Network Interface)接続構成におけるスキーム変換機能について記載されているが、NNI(Network−Network Interface)構成は対象としていない。さらに、特許文献1に記載されたスキーム変換機能は、対象がRequest−lineヘッダに限定されているため、その他のURIを含むヘッダ(Toヘッダ、Fromヘッダ、P−Asserted−Identityヘッダ、P−Preffered−Identityヘッダ等)のスキームに関しては考慮されていない。
【0007】
SIP−ALG装置をNNI接続構成とした場合の役割は、別のネットワーク(SIP−ALG装置は自身のネットワークに配置されているものとする)とのSIPの差分を吸収し、各ネットワークのルールに従い適切にSIPメッセージを生成し転送することである。例えば、Request−LineヘッダのURIのスキーム(メッセージ内でのURI等の書式)がTEL−URI(Telephone−Subscriber)形式で扱うネットワークなのか、SIP−URI形式で扱うネットワークなのかでSIPリクエストの送信先を決定する方式に差異が発生するケースがある。
【0008】
Request−LineヘッダのURIがTEL−URI形式の場合は、その対地番号(電話番号)で送信先を決定する方式が一般的であり、Request−LineヘッダのURIがSIP−URI形式の場合は、そこに含まれるドメイン名やホスト名で送信先を決定する方式が適用されることもある。このためSIP−ALG装置は対向装置へSIPリクエストを送信する際、どちらかに対応したSIPメッセージを生成して転送する必要がある。さらに、SIPメッセージを扱う接続先サーバによっては、Request−Lineヘッダ以外にもToヘッダやFromヘッダがSIP−URI形式あるいはTEL−URI形式のメッセージしか読み取れない場合もあり、ネットワーク間をまたぐSIP−ALG装置においては、SIP−URIとTEL−URI変換の方式を実装させることが重要である。
【0009】
上述のような問題に鑑みて、転送するSIPメッセージを処理する際に、SIPメッセージを転送先で処理可能な形式に変換することができる信号処理装置(例えば、SIP−ALG装置等)、及び信号処理プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、送信元の通信装置から送信先の通信装置へ向けて送出されたSIPメッセージを受信して処理し、送信先の通信装置へ向けて送出する信号処理装置において、(1)当該信号処理装置がSIPメッセージを処理して、送信先の通信装置へ向けて送出する際の最初の転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれについて、対応するSIPメッセージの記述形式に係る情報を保持する通信装置情報保持手段と、(2)上記通信装置情報保持手段が保持している情報に従って、受信したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が処理可能な形式に変換するメッセージ変換手段と、(3)上記メッセージ変換手段が変換したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の信号処理プログラムは、(1)送信元の通信装置から送信先の通信装置へ向けて送出されたSIPメッセージを受信して処理し、送信先の通信装置へ向けて送出する信号処理装置に搭載されたコンピュータを、(2)当該信号処理装置がSIPメッセージを処理して、送信先の通信装置へ向けて送出する際の最初の転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれについて、対応するSIPメッセージの記述形式に係る情報を保持する通信装置情報保持手段と、(3)上記通信装置情報保持手段が保持している情報に従って、受信したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が処理可能な形式に変換するメッセージ変換手段と、(4)上記メッセージ変換手段が変換したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置に送信する送信手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、転送するSIPメッセージを処理する際に、SIPメッセージを転送先で処理可能な形式に変換可能することができる信号処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係るSIP−ALG装置(信号処理装置)を備えるネットワークシステムの全体構成について示したブロック図である。
【図2】実施形態に係るSIP−ALG装置(信号処理装置)の機能的構成について示したブロック図である。
【図3】実施形態に係るスキーム変換対応テーブルの内容例について示した説明図である。
【図4】実施形態に係るSIP−ALG装置(信号処理装置)の動作について示したフローチャートである。
【図5】実施形態に係るSIP−ALG装置(信号処理装置)が処理するSIPメッセージ(INVITEメッセージ)の具体例(一部ヘッダのみ表記)について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による信号処理装置及びプログラムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態では、本発明の信号処理装置をSIP−ALG装置に適用した場合の例について説明している。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図2は、この実施形態のSIP−ALG装置10が配置されたネットワークシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
ネットワークシステム1には、3つのネットワークNA、NB、NCが配置されているものとする。そして、図2では、ネットワークNAには、SIPサーバ20−1が配置されており、ネットワークNBには、SIPサーバ20−2が配置されており、NCには、SIPサーバ20−3が配置されている。なお、ネットワークシステム1に配置されるネットワークの数やネットワーク構成、SIPサーバの数は限定されないものである。
【0017】
そして、ネットワークNA、NB、NCの間にSIP−ALG装置10が配置されており、SIP−ALGとして機能しているものとする。SIP−ALG装置10によりこれらのネットワークは終端され、ネットワーク間の通信についてSIPメッセージ等の中継が行われる。また、SIP−ALG装置10は、SIPメッセージ中継の際に、中継するSIPメッセージと、転送先のSIPサーバとで、SIPメッセージを構成するURIのスキームが異なる場合等には、転送先のSIPサーバ20で処理可能な形式に変換して、送出する処理を行う。
【0018】
また、各SIPサーバ20は、例えば、図示しない配下のSIP端末や、同一ネットワーク内の他のSIPサーバから受信したSIPメッセージ(INVITEメッセージ等)を処理して、他のネットワークのSIPサーバ20に転送する必要がある場合に、SIP−ALG装置10を介して当該SIPメッセージを転送する場合もあるものとする。また、各SIPサーバ20は、SIP−ALG装置10から転送されてきたSIPメッセージを処理して、図示しない配下のSIP端末や他のSIPサーバに転送する場合もあるものとする。なお、各SIPサーバ20としては、既存のものを適用することができるので、詳しい説明を省略する。
【0019】
さらに、ネットワークNA、NBでは、SIPメッセージを構成するURIのスキームとしてSIP−URI形式が採用されているものとする。また、ネットワークNCでは、SIPメッセージを構成するURIのスキームとしてTEL−URIが採用されているものとする。すなわち、SIP−ALG装置10は、いずれかのネットワークのSIPサーバ20から受信したSIPメッセージについて、次の転送先のSIPサーバ20で採用される形式に変換する処理(少なくとも転送先で採用されるスキームに合わせて変換する処理を含む)を行い、さらに、転送先のSIPサーバ20へ向けて送出する処理を行う。
【0020】
図1は、SIP−ALG装置10の機能的構成について示したブロック図である。
【0021】
SIP−ALG装置10は、制御部11、スキーム変換対応テーブル12、及びメッセージ処理部13を有している。図1では、図示を省略しているが、SIP−ALG装置10は、ネットワークに接続するためのインタフェース等、既存のSIP−ALG装置10と同様のその他の構成も備えているものとする。
【0022】
SIP−ALG装置10は、プロセッサ及びネットワークへ接続するためのインタフェースを有する情報処理装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)上に、実施形態の信号処理プログラムをインストールすることにより、構築するようにしても良いが、その場合でも機能的には図1のように表すことができる。
【0023】
制御部11は、SIP−ALG装置10の装置全体を制御する機能を担っている。
【0024】
メッセージ処理部13は、SIP−ALG装置10に与えられたSIPメッセージ(INVITEメッセージ等)について変換処理等の処理を行い、転送先に向けて送出する。メッセージ処理部13では、SIPメッセージを受信すると、例えば、既存のSIPサーバと同様の処理により、受信したSIPメッセージの次の転送先(最初の転送先)を決定し、処理したSIPメッセージを転送先へ向けて送出する。
【0025】
また、メッセージ処理部13は、変換処理部14を有している。メッセージ処理部13では、受信したSIPメッセージの内容について、送信先に応じて必要な場合変換処理部14を用いて変換する処理を行う。なお、メッセージ処理部13によるSIPメッセージの処理は、変換処理部14による変換処理以外については、既存のSIP−ALG装置と同様の処理を適用することができる。
【0026】
変換処理部14は、メッセージ処理部13に供給されたSIPメッセージを、送信先に応じて、スキーム変換対応テーブル12の内容に従い変換処理する。
【0027】
次に、各SIPサーバ20で送信されるSIPメッセージを構成するURIの記述形式の例について説明する。
【0028】
SIP−URIに対応するSIPサーバ20が対応するSIPメッセージを構成するURIは、例えば、「sip:05022222222@domain.com」のような形式で記述されるものとする。「sip:」は当該URIの対応するスキームがSIP−URIであることを示している。また、「sip:」に続く「05022222222」は、電話番号を示しており、当該URIにおけるユーザ識別子(ユーザID)に相当する。なお、ここでは、SIP−URIのスキームに対応したURIの例では、電話番号をそのままユーザ識別子として用いている場合を示しているが、電話番号以外の任意の文字列をユーザ識別子として用いるようにしても良い。そして、電話番号に続く「@」で仕切られた後の「domain.com」は、当該URIに係るドメイン名を示している。
【0029】
また、SIP−TELに対応するSIPサーバが送信するSIPメッセージを構成するURIは、例えば、「tel:05022222222」のような形式で記述されるものとする。「tel:」は当該URIの対応するスキームがTEL−URIであることを示している。また、「tel:」に続く「05022222222」は、電話番号を示しており、当該URIにおけるユーザ識別子(ユーザID)に相当する。なお、TEL−URIでは、通常SIP−URIのようにURIに「@ドメイン名」の記述は含まれない。
【0030】
SIPサーバで送信されるSIPメッセージを構成するURIは、以上のような記述形式となっており、変換処理部14は、転送先のSIPサーバに合わせた記述形式にあわせた変換を行う。
【0031】
スキーム変換対応テーブル12は、変換処理部14によりSIPメッセージ変換処理が行われる際に参照されるテーブルであり、各SIPサーバ20が対応するSIPメッセージを構成するURIの記述形式に関する情報が登録されている。
【0032】
図3は、スキーム変換対応テーブル12に登録される情報の例について示した説明図である。
【0033】
図3に示すように、スキーム変換対応テーブル12には、SIPメッセージの転送先の対象となり得るSIPサーバ20ごとに、URIの記述形式に係る情報として、送信先SIPサーバ名、スキーム、ドメイン名、番号フォーマットの項目の情報が登録されている。図3では、1行で、一つのSIPサーバに関する情報が記述されている。
【0034】
「送信先SIPサーバ名」の項目は、当該SIPサーバ20の識別子を示す情報である。送信先SIPサーバ名の形式は、SIPサーバ20を識別することができる形式であれば限定されないものであるが、例えば、SIP−ALG装置10から当該SIPサーバ20へアクセスするためのIPアドレスやホスト名等を適用するようにしても良い。
【0035】
なお、図3及び以下では、説明を簡易にするために、SIPサーバ20−1のホスト名(識別子)を「SIPサーバ1」、SIPサーバ20−2のホスト名を「SIPサーバ2」、SIPサーバ20−3のホスト名を「SIPサーバ3」と表わすものとする。
【0036】
「スキーム」の項目は、当該SIPサーバ20が対応するURIのスキームを示す情報である。ここでは、スキームの項目には、SIP−URIを示す「SIP」、又は、TEL−URIを示す「TEL」のいずれかが登録されるものとする。
【0037】
ここでは、図3に示すように、SIPサーバ1(SIPサーバ20−1)及びSIPサーバ2(SIPサーバ20−2)のスキームは「SIP」、SIPサーバ3(SIPサーバ20−3)のスキームは「TEL」と登録されている。
【0038】
「ドメイン名」の項目は、当該SIPサーバ20が対応するURIの記述に用いるドメイン名を示す情報である。
【0039】
ここでは、図3に示すように、SIPサーバ1(SIPサーバ20−1)のドメイン名は「domain.com」、SIPサーバ2(SIPサーバ20−2)のドメイン名は「domain.net」と登録されているものとする。
【0040】
なお、ここでは、スキームが「TEL」の場合には、仕様上URIの記述にドメイン名が不要であるため、空欄を示す「−」が登録されるものとする。SIPサーバ3(SIPサーバ20−3)はスキームがTELであるため、図3に示すように、ドメイン名の項目には空欄を示す「−」が登録されている。
【0041】
「番号フォーマット」の項目は、当該SIPサーバ20が対応するURIの記述で用いる電話番号(ユーザ識別子)のフォーマット(記述形式)について示している。
【0042】
次に、ネットワークシステム1において用いられる電話番号のフォーマットについて説明する。
【0043】
既存の電話番号の形式としては、例えば、ITU−T E.164で定義された形式がある。E.164は、ITU−Tによる公衆交換電話網などの電話網の電話番号計画に関する勧告であり、頭に「+」及び国番号が表記された形式が採用されている。日本に対しては、国番号として81が付与されており、E.164の形式で日本の公衆電話網における電話番号を表記する場合には、電話番号が「+81」から始まる番号となる。一方、日本国内の公衆電話網では、E.164の形式ではなく「0」から始まる番号となっている。
【0044】
ここでは、各SIPサーバ20では、対応する電話番号のフォーマットとして、上述のE.164又は、日本国内の形式(「0」から始まる番号)のいずれかが採用されているものとする。なお、SIPサーバ20で採用する電話番号のフォーマットの種類や数については上述のものに限定されないものである。
【0045】
そして、スキーム変換対応テーブル12において「番号フォーマット」の項目には、E.164のフォーマットに対応していることを示す「E.164」又は、日本国内のフォーマットに対応していることを示す「国内」のいずれかが登録されるものとする。
【0046】
そして、ここでは、図3に示すように、SIPサーバ1(SIPサーバ20−1)及びSIPサーバ2(SIPサーバ20−2)の番号フォーマットは「国内」、SIPサーバ3(SIPサーバ20−3)の番号フォーマットは「E.164」と登録されているものとする。
【0047】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態のネットワークシステム1におけるSIP−ALG装置10の動作を説明する。
【0048】
ここでは、まず、SIP−ALG装置10のメッセージ処理部13(変換処理部14)の動作の概要について説明した後、SIPメッセージ処理の具体例について説明する。なお、以下では、SIP−ALG装置10がINVITEメッセージについて処理する場合を例として説明するが、他のURIの記述を含むSIPメッセージについても同様の処理であるため説明を省略する。
【0049】
図4は、SIP−ALG装置10が、SIPメッセージ(INVITEメッセージ)を受信した場合の動作について示したフローチャートである。
【0050】
ここでは、まず、SIP−ALG装置10のメッセージ処理部13に、SIPサーバ20−1からのINVITEメッセージが与えられたものとする(S101)。
【0051】
そして、メッセージ処理部13では、そのINVITEメッセージの内容等から、次の転送先(最初の転送先)のSIPサーバを決定する(S102)。メッセージ処理部13による次の転送先の決定方法は、上述の通り、既存の決定方法を用いるようにしても良い。具体的には、例えば、Toヘッダに記載されたURIに基づいて決定するようにしても良い。ここでは、メッセージ処理部13により、次の転送先のSIPサーバが決定され、そのSIPサーバを識別する情報としてホスト名が得られたものとして以降の説明を行う。
【0052】
次に、メッセージ処理部13の変換処理部14により、次の転送先のSIPサーバの情報(スキーム、ドメイン名、及び番号フォーマットの各項目の情報)が、スキーム変換対応テーブル12から取得される(S103、S104)。ここでは、変換処理部14は、ホスト名をキーとして、次の転送先のSIPサーバの情報を、スキーム変換対応テーブル12から検出するものとする。
【0053】
次に、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームと、次の転送先のSIPサーバが対応するURIのスキームを把握する(S105)。
【0054】
ここでは、各SIPサーバが対応するURIのスキームは、TEL−URI又はSIP−URIのいずれかである。したがって、ステップS105で、変換処理部14が把握する変換内容は、変換対象のINVITEメッセージのスキームがTEL−URIで転送先のスキームがSIP−URIの場合、変換対象のINVITEメッセージのスキームがTEL−URIで転送先のスキームがTEL−URIの場合、変換対象のINVITEメッセージのスキームがSIP−URIで転送先がTEL−URIの場合、又は、変換対象のINVITEメッセージのスキームがSIP−URIで転送先のスキームがSIP−URIの場合のいずれかとなる。そして、変換処理部14は、上述のステップS105の判定結果に従って、以降のステップの処理でINVITEメッセージの変換を行う。
【0055】
なお、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームについて、変換対象のINVITEメッセージの内容を解析して判定するようにしても良いし、転送元のSIPサーバ20のホスト名を把握して、スキーム変換対応テーブル12から読み込んで把握するようにしても良い。変換処理部14が、変換対象のINVITEメッセージの内容を解析して、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームを判定する場合には、例えば、各ヘッダに含まれるURIが、「sip:」で始まる場合にはSIP−URIと判定し、「tel:」で始まる場合にはTEL−URIと判定するようにしても良い。
【0056】
上述のステップS105において、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがTEL−URI、次の転送先のSIPサーバ20が対応するスキームがSIP−URIと判定された場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージについて各ヘッダのURIに係るスキームを変換する処理を行う(S106)。
【0057】
上述の通り、TEL−URIのスキームに対応したURIは「tel:」で始まり、SIP−URIのスキームに対応したURIは「sip:」で始まる。したがって、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、「tel:」を「sip:」に変換することによりスキームを変換する。
【0058】
さらに、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおける、各ヘッダのURIにドメイン名(次の転送先のSIPサーバで用いられるもの)を付与する処理を行う(S107)。
【0059】
上述の通り、TEL−URIのスキームに対応したURIは、「tel:05022222222」等「tel:」+「電話番号」という構成をとることが一般的である。これに対して、SIP−URIのスキームに対応したURIは、例えば、「sip:05022222222@domain.net」等、「sip:」+「ユーザ識別子」+「@ドメイン名」という構成をとることが一般的である。すなわち、TEL−URIのスキームに対応したURIでは、「@ドメイン名」の部分が記述されていない。そこで、上述のステップS107の処理により、変換対象の各ヘッダのURIに「@」及び次の転送先のSIPサーバで用いられるドメイン名の記述を追加する処理を行う。
【0060】
上述のステップS105において、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがSIP−URI、次の転送先のSIPサーバ20が対応するスキームがTEL−URIと判定された場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージについて各ヘッダのURIに係るスキームを変換する処理を行う(S108)。
【0061】
具体的には、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、「sip:」を「tel:」に変換することによりスキームを変換する。
【0062】
さらに、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおける、各ヘッダのURIからドメイン名の記述を削除する処理を行う(S109)。
【0063】
上述の通り、TEL−URIのスキームに対応したURIでは、「@ドメイン名」の部分が記述されないため、上述のステップS109の処理により、変換対象の各ヘッダのURIから、「@ドメイン名」の記述を削除する処理を行う。
【0064】
上述のステップS105において、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがSIP−URI、次の転送先のSIPサーバ20が対応するスキームもSIP−URIと判定された場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージについて、各ヘッダのURIに記述されたドメイン名を、次の転送先で用いられるドメイン名に変換する処理を行う(S110)。
【0065】
SIPメッセージのURIで用いられるドメイン名は、通常ネットワークごとに異なるものが用いられるため、同じSIP−URIのスキームに対応したSIPサーバ20間でもドメイン名が異なる場合、正常なメッセージ処理が行われないことがある。そのため、変換処理部14では、変換対象のINVITEメッセージのURIで用いられるドメイン名が、転送先のSIPサーバで通用するものに変換する処理を行う。なお、URIで用いられるドメイン名が各ネットワークで全て同じ場合や、ドメイン名が異なっていても転送先のSIPサーバ20で正常にメッセージ処理が可能な場合は、上述のステップS110の処理は省略するようにしても良い。
【0066】
上述のステップS105において、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがTEL−URI、次の転送先のSIPサーバ20が対応するスキームもTEL−URIと判定された場合、又は、上述のステップS107、S109、S110のいずれかの処理が完了した場合、次に、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIの電話番号のフォーマット、及び、次の転送先のSIPサーバが対応する電話番号のフォーマットを判定する処理を行う(S111)。
【0067】
ここでは、各SIPサーバが対応する番号フォーマットは、上述の通り、国内又はE.164のいずれかである。したがって、ステップS111で、変換処理部14が把握する内容は、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットが「国内」で転送先における番号フォーマットがE.164の場合、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットが国内で転送先における番号フォーマットが国内の場合、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットがE.164で転送先における番号フォーマットが国内の場合、又は、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットがE.164で転送先における番号フォーマットがE.164の場合のいずれかとなる。そして、変換処理部14は、上述のステップS111の判定結果に従って、以降のステップの処理で、受信したINVITEメッセージの変換を行う。
【0068】
なお、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットについては、変換対象のINVITEメッセージの内容を解析して判定するようにしても良いし、転送元のSIPサーバのホスト名を把握して、スキーム変換対応テーブル12から読み込んで把握するようにしても良い。変換処理部14が、変換対象のINVITEメッセージの内容を解析して、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットを判定する場合には、例えば、各ヘッダに含まれるURIの、「sip:」又は「tel:」に続く電話番号の部分が「+」(又は「+81」)で始まる場合にはE.164と判定し、「0」で始まる場合には国内と判定するようにしても良い。
【0069】
上述のステップS111において、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットが国内で、次の転送先のSIPサーバが対応する番号フォーマットがE.164と判定された場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージについて各ヘッダのURIに係る番号フォーマットを変換する処理を行う(S112)。
【0070】
上述の通り、番号フォーマットが国内に対応する場合には、URIにおける電話番号は、例えば「05022222222」と先頭が「0」で始まる。また、番号フォーマットがE.164に対応する場合には、URIにおける電話番号は、例えば、「+815022222222」と先頭が「+81」で始まる点で国内と異なる。したがって、この場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、電話番号の部分のうち先頭を「0」から「+81」に変換することにより、番号フォーマットの変換を行う。
【0071】
なお、ここでは、転送先のSIPサーバ20における番号フォーマットがE.164の場合には、変換処理部14は、電話番号を構成する国番号を全て日本のもの(81)として処理しているが、スキーム変換対応テーブル12にSIPサーバ20ごとの国番号を登録しておいて、転送先のSIPサーバ20に合わせた国番号として処理するようにしても良い。
【0072】
一方、上述のステップS111において、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットがE.164で、次の転送先のSIPサーバ20が対応する番号フォーマットが国内と判定された場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージについて各ヘッダのURIに係る番号フォーマットを変換する処理を行う(S113)。この場合、変換処理部14は、変換対象のINVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、上述のステップS112と逆の処理、すなわち、電話番号の部分のうち先頭の「+国番号」の部分「+81」を「0」に変換することにより、番号フォーマットの変換を行う。
【0073】
なお、上述のステップS111で、変換処理部14により、変換対象のINVITEメッセージ及び次の転送先のSIPサーバ20の対応する番号フォーマットが同一の場合、又は、上述のステップS112、S113の処理のいずれかが完了すると、変換処理部14によるINVITEメッセージの変換処理は終了する。そして、変換後のINVITEメッセージが、メッセージ処理部13により次の転送先のSIPサーバ20へ送信される(S114)。
【0074】
なお、上記の説明では、各SIPサーバが対応する番号フォーマットは、国内又はE.164のいずれかであるとしたが、既存のSIPサーバが対応するSIP−URIのスキームでは、URIに含まれるユーザ識別子が番号のみで構成されている電話番号形式ではなく、任意の文字により構成された文字列の形式(以下、「アカウント形式」という)の場合もある。仮に、上述のステップS111で、変換処理部14により、変換対象のINVITEメッセージを構成するURIに含まれるユーザ識別子が、アカウント形式であると判定された場合には、番号フォーマットの変換等は行わずに、上述のステップS114の処理に移行するようにしても良い。変換処理部14が、SIP−URI形式のURIの内容を解析して、ユーザ識別子の記述形式を認識する方法としては、例えば、「sip:」と「@」との間で、数字以外の記号が含まれる場合(ただし、先頭に「+」が配置されている場合は無視)には、アカウント形式と認識し、数字だけで構成されている場合には電話番号形式と認識するようにしても良い。
【0075】
次に、上述の図4のフローチャートに従って、変換処理部14が動作し、INVITEメッセージを変換する場合の具体的な例について説明する。
【0076】
図5は、SIP−ALG装置10において処理されるINVITEメッセージの内容例について示した説明図である。なお、図5に示す各INVITEメッセージでは、説明を簡易にするため、変換処理部14で変換対象となるヘッダ情報(すなわち、URIの記述を含むヘッダ情報)以外の部分については省略して図示している。
【0077】
そして、ここでは、図5(a)に示す内容のINVITEメッセージが、変換処理部14の変換対象となっているものとして説明する。
【0078】
そして、まず最初に、図5(a)のINVITEメッセージに係る次の転送先のSIPサーバ20が、上述のステップS102の処理により、SIPサーバ20−2と決定した場合の変換処理部14による変換処理について説明する。
【0079】
この場合、変換処理部14では、上述のステップS103、S104の処理で、スキーム変換対応テーブル12から、SIPサーバ20−2の情報(スキーム:SIP、ドメイン名:domain.net、番号フォーマット:国内)が取得される。
【0080】
なお、SIPサーバ20−1については、スキーム変換対応テーブル12の内容、又は、図5(a)に示すINVITEメッセージに含まれるURIの構成から、「スキーム:SIP、ドメイン名:domain.com、番号フォーマット:国内」と把握できる。例えば、図5(a)のINVITEメッセージのINVITEヘッダに記載されたURIでは「sip:05022222222@domain.com」となっている。このURIは「sip:」から始まるためURIのスキームはSIP−URIと把握できる。また、このURIの「sip:」に続く電話番号は「0」から始まっているので、番号フォーマットは国内と把握できる。また、電話番号に続いて「@domain.com」となっているため、ドメイン名は「domain.com」と把握できる。
【0081】
そして、次に、上述のステップS105の判定が行われるが、この場合は、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがSIP−URIで、次の転送先のURIのスキームもSIP−URIであるので、上述のステップS110の処理に移行することになる。
【0082】
ステップS110では、上述の通り、INVITEメッセージの各ヘッダのURIに記述されたドメイン名が、次の転送先で用いられるドメイン名に変換される。この場合、各URIの「domain.com」が「domain.net」に変換されることになる。
【0083】
図5(b)は、上述の図5(a)のINVITEメッセージが、上述のステップS110の処理に従って変換された後の内容について示している。
【0084】
図5(b)に示すように、変換前の「sip:05022222222@domain.com」というURIの記述が「sip:05022222222@domain.net」という記述に変換されている。また、図5(b)では、変換前の「sip:05011111111@domain.com」というURIの記述が「sip:05011111111@domain.net」という記述に変換されている。
【0085】
そして、次に、上述のステップS111の判定が行われるが、この場合は、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットが国内で、次の転送先のURIの番号フォーマットも国内であるので、番号フォーマットに関する変換は行われず、上述のステップS114の処理に移行し、変換処理部14による変換処理は終了することになる。
【0086】
次に、図5(a)のINVITEメッセージに係る次の転送先のSIPサーバが、上述のステップS102の処理により、SIPサーバ20−3と決定した場合の変換処理部14による変換処理について説明する。
【0087】
この場合、変換処理部14では、上述のステップS103、S104の処理で、スキーム変換対応テーブル12から、SIPサーバ20−3の情報(スキーム:TEL、ドメイン名:「−」(空欄)、番号フォーマット:E.164)が取得される。
【0088】
そして、次に、上述のステップS105の判定が行われるが、この場合は、変換対象のINVITEメッセージにおけるURIのスキームがSIP−URIで、次の転送先のURIのスキームがTEL−URIであるので、上述のステップS108の処理に移行することになる。
【0089】
そして、ステップS108の処理では、上述の通り、INVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、スキームを変換(SIP−URIからTEL−URIへ変換)する処理が行われる。この場合、各URIの先頭の「sip:」が全て「tel:」に変換されることになる。
【0090】
そして続くステップS109では、上述の通り、INVITEメッセージの各ヘッダのURIに記述されたドメイン名が削除される。この場合、各URIの「@domain.com」の部分の記述が削除されることになる。
【0091】
図5(c)は、上述の図5(a)のINVITEメッセージが、上述のステップS108及びステップS109の処理に従って変換された後の内容例について示している。
【0092】
図5(c)に示すように、変換前の「sip:05022222222@domain.com」というURIの記述が「tel:05022222222」という記述に変換されている。また、図5(b)では、変換前の「sip:05011111111@domain.com」というURIの記述が「tel:05011111111」という記述に変換されている。
【0093】
そして、次に、上述のステップS111の判定が行われるが、この場合は、変換対象のINVITEメッセージにおける番号フォーマットが国内で、次の転送先のURIの番号フォーマットがE.164であるので、上述のステップS112の処理に移行することになる。
【0094】
そして、ステップS112の処理では、上述の通り、INVITEメッセージの各ヘッダのURIについて、番号フォーマットを変換する処理(国内からE.164へ変換)する処理が行われる。この場合、各URIの電話番号(ユーザID)の部分のうち先頭が、「+81」から「0」に変換されることになる。
【0095】
図5(d)は、上述の図5(c)のINVITEメッセージが、上述のステップS112の処理に従って変換された後の内容例について示している。
【0096】
図5(d)に示すように、変換前の「tel:05022222222」というURIの記述が「tel:+815022222222」という記述に変換されている。また、図5(b)では、変換前の「tel:05011111111」というURIの記述が「tel:+815011111111」という記述に変換されている。
【0097】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0098】
SIP−ALG装置10では、スキーム変換対応テーブル12を用いたSIPメッセージを構成するURIのスキーム変換等の処理を実現している。これにより、SIP−ALG装置10を介した各ネットワークのSIPサーバ20において、対応するURIのスキーム等が異なっていても、転送先のSIPサーバ20が対応するルールに則ったSIPメッセージを生成、転送することができ、ネットワーク間の接続親和性を高めることができる。
【0099】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0100】
(B−1)上記の実施形態において、ネットワークシステム1を構成する各ネットワーク(ネットワークNA、NB、NC)が対応するプロトコルは、IPv4としても良いしIPv6としても良い。また、各ネットワークが対応するプロトコルは全て同一(例えば、全てIPv6に対応)としても良いし、複数のプロトコルが混在(例えば、一部のネットワークはIPv4に対応し、その他のネットワークはIPv6に対応)するような構成としても良い。
【0101】
また、上記の実施形態では、SIP−ALG装置10は、ネットワーク間のSIPメッセージを処理するものとして説明したが、同一ネットワーク内のSIPサーバ間のSIPメッセージ処理を行う構成としても良い。
【0102】
さらに、上記の実施形態では、SIP−ALG装置10が、SIPメッセージを行うことについて説明したが、SIPメッセージ以外のデータ(IPパケット)の転送も行うゲートウェイ(信号処理装置)として構築するようにしても良い。
【0103】
(B−2)上記の実施形態において、スキーム変換対応テーブル12については、図3に示すように、SIPサーバ単位でURIの記述形式の情報を登録する例について示しているが、情報を登録する単位はこれに限定されないものである。例えば、同一のネットワーク内のSIPサーバに関する情報が同じ場合には、スキーム変換対応テーブル12に転送先のネットワークごとに情報を登録し、変換処理部14が、変換対象のSIPメッセージの次の転送先のSIPサーバが属するネットワークの情報を、当該SIPサーバの情報として取得するようにしても良い。
【0104】
(B−3)上記の実施形態において、全てのネットワークで対応する番号フォーマットが同じ場合には、SIP−ALG装置10において番号フォーマットの変換処理を省略するようにしても良い。また、その場合、スキーム変換対応テーブル12から番号フォーマットに係る項目を省略するようにしても良い。
【0105】
(B−4)上記の実施形態において、変換処理部14は、変換対象SIPメッセージを構成するユーザ識別子が電話番号の場合に、その電話番号の番号フォーマットについて、次の転送先のSIPサーバが対応する番号フォーマットに変換する処理について説明した(上述の図4のステップS111〜113参照)。ここで、変換処理部14によるユーザ識別子の変換を、番号フォーマットの変換ではなく、ユーザ識別子自体の変換を行うようにしても良い。例えば、一人のユーザに、ユーザ識別子として、「05011111111」という電話番号形式の識別子と、「abcdef」というアカウント形式の識別子が付与されている場合を想定する。また、スキーム変換対応テーブル12に各SIPサーバ20が対応するユーザ識別子の記述形式の項目(「電話番号形式」又は「アカウント形式」のいずれかで示される項目)を追加して登録しておくものとする。さらに、SIP−ALG装置10は、ユーザごとのアカウント形式のユーザ識別子と、電話番号形式のユーザ識別子との対応テーブル(以下、「識別子対応テーブル」という)も備えているものとする。そして、変換処理部14は、変換対象のSIPメッセージにおけるユーザ識別子の記述形式と、次の転送先のSIPサーバ20が対応するユーザ識別子の記述形式を把握し、記述形式が異なる場合には、URIを構成するユーザ識別子の部分について、上述の識別子対応テーブルを用いて、変換するようにしても良い。
【0106】
なお、変換処理部14が、変換対象のSIPメッセージで対応するユーザ識別子の記述形式を認識する方法としては、例えば、スキーム変換対応テーブル12の内容から認識するようにしいても良いし、当該SIPメッセージに含まれるURIの内容を解析して認識するようにしても良い。
【0107】
ここで、例として、あるユーザに電話番号形式のユーザ識別子として「05011111111」、アカウント形式のユーザ識別子として「abcdef」が付与されている場合を想定する。そして、変換処理部14で当該ユーザのURIが含まれるSIPメッセージを変換する際に、変換対象のSIPメッセージにおける記述形式が電話番号形式で、次の転送先のSIPサーバが対応する記述形式がアカウント形式であったものとする。この場合、変換処理部14は、上述の識別子対応テーブルを用いて、「05011111111」に対応するユーザ識別子として「abcdef」を検出し、さらに、当該SIPメッセージのURIに含まれる、「05011111111」というユーザ識別子を、「abcdef」というユーザ識別子に変換する処理を行う。例えば、変換前のURIが「sip:05011111111@domain.com」だった場合には、「sip:abcdef@domain.com」と変換されることになる。
【符号の説明】
【0108】
1…ネットワークシステム、20、20−1〜20−3…SIPサーバ、10…SIP−ALG装置(信号処理装置)、11…制御部、12…スキーム変換対応テーブル、13…メッセージ処理部、14…変換処理部、NA、NB、NC…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元の通信装置から送信先の通信装置へ向けて送出されたSIPメッセージを受信して処理し、送信先の通信装置へ向けて送出する信号処理装置において、
当該信号処理装置がSIPメッセージを処理して、送信先の通信装置へ向けて送出する際の最初の転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれについて、対応するSIPメッセージの記述形式に係る情報を保持する通信装置情報保持手段と、
上記通信装置情報保持手段が保持している情報に従って、受信したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が処理可能な形式に変換するメッセージ変換手段と、
上記メッセージ変換手段が変換したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
上記通信装置情報保持手段が保持する情報には、上記転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれが対応するSIPメッセージのURIに係るスキームの種別の情報が含まれており、
上記メッセージ変換手段は、受信したSIPメッセージに含まれるURIを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が対応するスキームに変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
上記通信装置情報保持手段が保持する情報には、さらに、上記転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれが対応するSIPメッセージのURIを構成するドメイン名の情報が含まれており、
上記メッセージ変換手段は、さらに、受信したSIPメッセージに含まれるURIを構成するドメイン名の部分を、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が対応するドメイン名とする処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
上記通信装置情報保持手段が保持する情報には、さらに、上記転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれが対応するSIPメッセージのURIを構成するユーザ識別子の記述形式に係る種別の情報が含まれており、
上記メッセージ変換手段は、さらに、受信したSIPメッセージに含まれるURIを構成するユーザ識別子の部分を、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が対応する記述形式に変換する処理を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
上記ユーザ識別子は、電話番号形式であることを特徴とする請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
送信元の通信装置から送信先の通信装置へ向けて送出されたSIPメッセージを受信して処理し、送信先の通信装置へ向けて送出する信号処理装置に搭載されたコンピュータを、
当該信号処理装置がSIPメッセージを処理して、送信先の通信装置へ向けて送出する際の最初の転送先の対象となり得る通信装置のそれぞれについて、対応するSIPメッセージの記述形式に係る情報を保持する通信装置情報保持手段と、
上記通信装置情報保持手段が保持している情報に従って、受信したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置が処理可能な形式に変換するメッセージ変換手段と、
上記メッセージ変換手段が変換したSIPメッセージを、当該SIPメッセージに係る最初の転送先の通信装置に送信する送信手段と
して機能させることを特徴とする信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−156629(P2012−156629A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11968(P2011−11968)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】