説明

信号処理装置及び信号処理方法

【課題】様々な装置の扱いにおいてより簡易に機能と信号を対応付ける技術を提供する。
【解決手段】信号を入力する信号入力手段と、ラベルと入力された前記信号を対応付けて記録する記録手段と、前記ラベルと入力される前記信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段と、この操作ガイド手段が前記ユーザに前記ラベルを提示するタイミングで、前記ラベルに対応付けられている前記信号を出力する信号出力手段とを有する信号処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、信号を学習する信号処理装置及び信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リモコン等からの信号と機能の対応によって様々な装置を便利に扱うことができる。例えば、表・テーブルといった表示手段を設けて、リモコンからのコード(信号)と機能(ラベル)の現在の対応関係を表示し、それを基に対応関係を変更できる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、より簡易に機能と信号を対応付ける技術の要望があるが、かかる要望を実現するための手段は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−244297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施の形態は、様々な装置の扱いにおいてより簡易に機能と信号を対応付ける技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態によれば信号処理装置は、信号を入力する信号入力手段と、ラベルと入力された前記信号を対応付けて記録する記録手段と、前記ラベルと入力される前記信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段と、この操作ガイド手段が前記ユーザに前記ラベルを提示するタイミングで、前記ラベルに対応付けられている前記信号を出力する信号出力手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態におけるシステムの一例を概略的に説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置で使用されるリモートコントローラの一例を説明するために示す外観図。
【図3】実施形態の信号学習装置を説明するために示す機能ブロック構成図。
【図4】同実施形態の信号学習装置の動作を説明するために示すフローチャート。
【図5】実施形態の信号学習装置を説明するために示す機能ブロック構成図2。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を説明する。
概要として、ラベルと信号を対応付けて学習し、ラベルを入力すると対応する信号を発光する装置を提供する。これにより信号を受信する様々な機器をラベルによって間接的に操作する。ここでラベルは、例えば装置に設けられた所定のボタンに対する機器外からの操作入力や、装置に対する所定の音声特徴量の音声の入力等に対応付けられる。つまり、所定のボタン入力や所定の音声が装置に入力されると、これらの入力に対応付けられたラベルに対応する信号を発光する。このラベルは複数の操作のシーケンスによる機能として構成されてもよい。
【0009】
この装置において、ラベルに対応付けられている信号をユーザが設定する時、従来技術では、ラベルに現在対応付けられている信号が何であるかを適切に提示する方法が無いため、ユーザは一旦設定作業を中断して現在の設定状態を確認しなければならなかった。あるいは最新の設定状態を記憶するために別途媒体(メモ書き等)が必要だった。本実施形態では、信号の設定時、新たな信号を入力するようユーザへ促す前に、システムが設定対象のラベルをユーザへ提示すると同時にそれに対応付けられている信号を出力する。
【0010】
この出力された信号を外部機器が受信して信号に基づいた動作を実行する。その実行内容によって、ユーザは設定作業を中断することなく、ラベルに現在対応付けられている信号が何であるかを知ることができる。
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この実施の形態で説明する信号処理装置の一例として、同装置を用いるシステムを概略的に示している。
【0012】
すなわち、デジタルテレビジョン放送受信装置11やエアコンディショナー12、扇風機13などが信号処理装置の実施形態である信号学習装置000(または100、後述)による信号処理の対象として在る。信号学習装置000(100)は、箱型や曲線型の形状の据え置き型の装置でもよいしハンディな装置でもよいが、いずれにせよ次のリモートコントローラ25等のリモコンから信号を受ける構成となっている。
【0013】
図2は、このリモートコントローラ25の外観を示している。このリモートコントローラ25には、主として、電源キー25a、数字キー25b、チャンネルアップダウンキー25c、音量調整キー25d等が設けられている。
【0014】
例えば数字キー25bは、通常用いられるようにIR信号または電波信号によりデジタルテレビジョン放送受信装置11のチャンネルの選局が行えるように構成されている。本実施形態では、これらの信号を信号学習装置000(100)へ送信して利用する。
【0015】
次に本実施形態の信号学習装置について、図3の機能ブロック図と図4のフローチャートを用いて説明する。まず図3のように信号学習装置000は、信号入力手段001と、ラベルと入力信号を対応付けて記録する記録手段002と、ラベルと入力信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003と、操作ガイド手段がユーザにラベルを提示するタイミングで、ラベルに対応付けられている信号を出力する信号出力手段004とを有する。
【0016】
信号学習装置000は、これらの各構成要素を制御するために例えば図示せぬマイコンやプログラムROM、ワーク用RAMを備えている。また、記録手段002はHDDやフラッシュメモリなどの不揮発性の、あるいは揮発性の記憶手段により実現することができる。
【0017】
次に、この構成における各部の動作を図4を用いて説明する。記録手段002には、ラベルとそれに対応付けられた信号の情報が対で記録されている。この対応付け信号を変更する際、記録手段002に記録されている対(現信号+ラベル)に基づいて、操作ガイド手段003が、ガイダンス対象ラベルを提示し(ステップs01)、信号出力手段004へ現信号の出力命令を出す。命令を受けて、信号出力手段004はラベルに対応付けられている現信号を出力する(ステップs02)。
【0018】
この信号が例えば図5で後に示すようなIR信号で、テレビの特定チャンネルCを意味する場合、信号を受信したテレビはチャンネルをCへ変える。ユーザはこのチャンネル変化を確認することにより、対象のラベルに対応付けられている信号がチャンネルCであることを知る。次に操作ガイド手段003がユーザへ信号入力を促すガイダンスを出力する(ステップs03)。ガイダンスは、例えば、“ラベルに対応付ける新たな信号を入力して下さい。”という文言が考えられる。
【0019】
このガイダンスは音響情報として音声で提示しても良いし、視覚的な情報として電光板や液晶等に文字列を表示する、あるいは特定のランプが点灯することで提示しても良い。
【0020】
ガイダンスを受けてユーザが新しく設定したい信号(新信号)を入力し、信号入力手段001が信号を取得する(ステップs04)。一定時間信号入力がない、または入力された信号が不正である等の理由で取得が失敗した場合は、操作ガイド手段003が入力を促すガイダンスを再度提示する(ステップs03)。この際、失敗回数が一定数に達したら設定処理自体を終了しても良い。また失敗した旨や、失敗が続いたため設定処理自体を終了する旨を、ガイダンスとして操作ガイド手段003がユーザへ提示しても良い。
【0021】
ユーザが入力した新信号を信号入力手段001が取得すると、記録手段002が新信号とラベルを対応付けて記録する(ステップs05)。記録後、操作ガイド手段003が新たな対応付けが完了したガイダンスを提示して(ステップs06)、設定処理を終了する。
【0022】
記録手段002に記録されているラベルと信号の対は複数あってもいい。また、信号同様、ラベルの内容もユーザによって設定できていい。さらに実施形態の変形としては、信号を受信する装置に直接組み込まれていても良いし、有線で結合される別筐体の構成でもよい。その場合、信号出力手段004が出力する信号は、制御命令を意味する電気信号である。
【0023】
次に本実施形態の信号学習装置のより具体的な例について、図5を用いて説明する。まず信号学習装置100は、IR受光手段101と、ラベルとIR信号を対応付けて記録する記録手段102と、ラベルとIR信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段103と、操作ガイド手段がユーザにラベルを提示するタイミングで、ラベルに対応付けられているIR信号を出力するIR発光手段104とを有する。
【0024】
信号入力手段001とIR受光手段101、記録手段002と記録手段102、操作ガイド手段003と操作ガイド手段103、信号出力手段004とIR発光手段104とが相当している。
【0025】
以下にこの構成の使用事例を示す。事例ではIR信号でテレビのチャンネルを操作する。ガイダンスとして音声が再生される。設定対象のラベルは“マイチャンネル”で、現在10チャンネルを意味するIR信号が対応付けられているものとする。ユーザは新たに8チャンネルを意味するIR信号を設定する。
【0026】
SYSTEM:ガイダンス音声「マイチャンネル」
SYSTEM:ラベル“マイチャンネル”に対応するIR信号(チャンネル10)を発光する。→IR信号を受信して、テレビのチャンネルが10へ変わる。
SYSTEM:ガイダンス音声「“マイチャンネル”に対応付ける新しいIR信号を入力して下さい”」
USER :新しいIR信号としてチャンネル8を入力する。
SYSTEM:ガイダンス音声「“マイチャンネル”に新たなIR信号を対応付けました」
この信号学習装置100を音声認識ユニットと組み合わせても良い。音声認識ユニットが認識したラベルに対応するIR信号を、IR発光手段104が発光するようにする。このような構成を取ることで、例えば外国のニュース番組やインターネットを介した番組、またはケーブルTV等の媒体における多チャンネルを、「いつものチャンネル」とか「お気に入りのニュース」等とユーザが発声するだけで簡単に選局することができるようになる。
【0027】
また、ラベルをプリセットのものでなくユーザが任意に設定できるようにすることで、例えば、子供の好きな番組名をラベルとして設定しておき、複雑なリモコン操作ができない子供が、機器に向かって番組名を発声するだけで目的のチャンネルを選局できるというような使い方が考えられる。
【0028】
つまり信号学習装置100は、IR信号にラベルを対応付けて登録し、当該ラベルに対して単語と当該単語の音声特徴量とを対応付けて登録(記憶)し、音声認識ユニットに入力された音声の特徴量が、ラベルに対応付けられた単語の音声特徴量と所定レベル以上一致する場合に、当該ラベルに対応付けられているIR信号をデジタルテレビジョン放送受信装置11に出力してもよい。
【0029】
また、リモートコントローラ25にかえて、エアコンディショナー12に付属するリモコンを用いて信号学習装置100にエアコン制御を行わせるようにしてもよい。同様に扇風機13に付属するリモコンを用いて信号学習装置100に扇風制御を行わせるようにしてもよい。
【0030】
本実施形態により効果として、ユーザは設定処理を中断したり、あらかじめ別媒体に書きだして記憶したりすることなく、現在の対応付け状況を確認することができ、スムーズに設定を進めることができる。
【0031】
ラベルに対応付けられている信号をユーザが設定する時、従来技術では、ラベルに現在対応付けられている信号が何であるかを適切に提示する方法が無いため、ユーザは一旦設定作業を中断して現在の設定状態を確認しなければならなかった。あるいは最新の設定状態を記憶するために別途媒体(メモ書き等)が必要だった。本実施形態では、信号の設定時、新たな信号を入力するようユーザへ促す前に、システムが設定対象のラベルをユーザへ提示すると同時にそれに対応付けられている信号を出力する。
【0032】
本実施形態で、出力された信号を外部機器が受信して信号に基づいた動作を実行する。効果としてその実行内容によって、ユーザは設定作業を中断することなく、ラベルに現在対応付けられている信号が何であるかを知ることができる。関連して、以下のような方法のヴァリエーションを採用することができる。
【0033】
(1)信号入力手段001と、ラベルと入力信号を対応付けて記録する記録手段002と、ラベルと入力信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003と、操作ガイド手段がユーザにラベルを提示するタイミングで、ラベルに対応付けられている信号を出力する信号出力手段004とを用いる信号学習方法。
【0034】
(2)前記信号が赤外線(IR)の信号であり、前記信号入力手段001がIRを受光することを特徴とする(1)の信号学習方法。
(3)前記信号が赤外線(IR)の信号であり、前記信号出力手段004がIRを発光することを特徴とする(1)の信号学習方法。
(4)ラベルと信号の対応付けを設定する際、操作ガイド手段003が、ラベルに対応付ける新しい信号の入力をユーザに促す提示を行う前に、ユーザにラベルを提示し、この提示タイミングに合わせて、信号出力手段004が、ラベルに対応付けられた信号を出力することを特徴とする(1)から(3)に記載の信号学習方法。
【0035】
(5)ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003が、聴覚情報によってユーザに操作手順を提示することを特徴とする(1)から(4)に記載の信号学習方法。
【0036】
(6)ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003が、音声によってユーザに操作手順を提示することを特徴とする(1)から(4)に記載の信号学習方法。
(7)ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003が、視覚情報によってユーザに操作手順を提示することを特徴とする(1)から(4)に記載の信号学習方法。
【0037】
(8)ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段003が、電光によってユーザに操作手順を提示することを特徴とする(1)から(4)に記載の信号学習方法。
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。IR信号の他に、所謂電波リモコンに用いられるような電波帯域の信号を用いる構成としてもよい。
【0038】
また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係わる構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0039】
11…デジタルテレビジョン放送受信装置、12…エアコンディショナー、13…扇風機、25…リモートコントローラ、100…信号学習装置、101…IR受光手段、102…記録手段、103…操作ガイド手段、104…IR発光手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を入力する信号入力手段と、
ラベルと入力された前記信号を対応付けて記録する記録手段と、
前記ラベルと入力される前記信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示する操作ガイド手段と、
この操作ガイド手段が前記ユーザに前記ラベルを提示するタイミングで、前記ラベルに対応付けられている前記信号を出力する信号出力手段とを
有する信号処理装置。
【請求項2】
前記信号が赤外線(IR)の信号であり、前記信号入力手段がIRを受光することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記信号が赤外線(IR)の信号であり、前記信号出力手段がIRを発光することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記信号が電波の信号であり、前記信号入力手段が電波を受信し、前記信号出力手段が電波を発信することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記ラベルと入力される前記信号の対応付けを設定する際、前記操作ガイド手段が、前記ラベルに対応付ける新しい前記信号の入力をユーザに促す提示を行う前に、このユーザに前記ラベルの提示を行い、この提示のタイミングに合わせて、前記信号出力手段が、前記ラベルに対応付けられた前記信号を出力する請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記操作ガイド手段が、聴覚情報によって前記ユーザに前記操作手順を提示する請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記操作ガイド手段が、視覚情報によって前記ユーザに前記操作手順を提示する請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項8】
信号を入力し、
ラベルと入力された前記信号を対応付けて記録し、
前記ラベルと入力される前記信号の対応付けを設定する際、ユーザに操作手順を提示し、
前記ユーザに前記ラベルを提示するタイミングで、前記ラベルに対応付けられている前記信号を出力する信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−231252(P2012−231252A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97472(P2011−97472)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】