説明

信号処理装置及び映像表示装置

【課題】 補間フレームの画像の歪みを抑制することを可能とする信号処理装置及び映像表示装置を提供する。
【解決手段】 信号処理装置100は、基準フレーム及び参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する。信号処理装置100は、基準フレームと参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する補間フレーム生成部50を備える。補間フレームは、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準フレームと参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する信号処理装置及び映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基準フレーム及び参照フレームに基づいて、基準フレームと参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する技術が知られている。補間フレームの生成では、基準フレーム及び参照フレームに基づいて、基準フレームの動きベクトルが検出される。
【0003】
基準フレームの動きベクトルを検出する技術としては、ブロックマッチング技術が知られている。ブロックマッチング技術では、基準フレームは、複数のブロックによって構成されており、動きベクトルは、複数のブロック毎に検出される。以下において、複数のブロックのうち、動きベクトルを検出すべきブロックを対象ブロック(注目ブロック)と称する。
【0004】
具体的には、ブロックマッチング技術では、第1に、基準フレーム内における対象ブロックの位置に基づいて、参照フレーム内における探索範囲が設定される。第2に、探索範囲内において、対象ブロックと同形状の探索ブロックを順にシフトして、対象ブロックと探索ブロックとの一致度を算出する。第3に、対象ブロックと一致度が最も高い探索ブロック、すなわち、一致ブロックが特定される。第4に、基準フレーム内における対象ブロックの位置と参照フレーム内における一致ブロックの位置とのずれ量によって、対象ブロックの動きベクトルが検出される。
【0005】
また、動き補償方法を部分的に切り替えることによって、フレームに含まれる局所的な画像の性質に応じて、フレーム間補間を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−200770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、基準フレームの端部に位置する画像は、参照フレーム内に設定される探索範囲に存在しないケースが考えられる。このようなケースでは、対象ブロックに含まれる画像とは異なる画像が探索範囲内で特定されて、対象ブロックの動きベクトルの検出精度が低下する。動きベクトルの検出精度が低下すると、補間フレームの画像が歪んでしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、補間フレームの画像の歪みを抑制することを可能とする信号処理装置及び映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る信号処理装置は、基準フレーム及び参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する。信号処理装置は、前記基準フレームと前記参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する補間フレーム生成部(補間フレーム生成部50)を備える。前記補間フレームは、前記動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。前記ベクトル非適応領域は、前記ベクトル適応領域の外側に設けられている。
【0010】
第1の特徴において、前記補間フレーム生成部は、前記参照フレーム内において前記動きベクトルの検出で参照される探索範囲の大きさに基づいて、前記ベクトル非適応領域を設定する。
【0011】
第1の特徴において、前記補間フレーム生成部は、前記動きベクトルに基づいて、前記ベクトル非適応領域の幅及び高さを設定する。
【0012】
第1の特徴において、前記補間フレーム生成部は、前記基準フレームに設けられた帯状領域に対応する前記動きベクトルに基づいて、前記ベクトル非適応領域の幅及び高さを設定する。前記基準フレームに設けられた帯状領域は、前記参照フレーム内において前記動きベクトルの検出で参照される探索範囲の大きさに応じて設定される。
【0013】
第1の特徴において、前記補間フレーム生成部は、映像入力信号に基づいて特定される黒表示領域に応じて、前記動きベクトルに基づいて補間されない不感領域を設定する。
【0014】
第2の特徴に係る映像表示装置は、複数のオリジナルフレーム間に補間フレームを挿入する。映像表示装置は、前記複数のオリジナルフレームのいずれかである基準フレームと、前記複数のオリジナルフレームのいずれかである参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する信号処理装置と、前記複数のオリジナルフレーム及び前記補間フレームを表示する表示部とを備える。前記信号処理装置は、前記補間フレームを生成する補間フレーム生成部を有する。前記補間フレームは、前記動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。前記ベクトル非適応領域は、前記ベクトル適応領域の外側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補間フレームの画像の歪みを抑制することを可能とする信号処理装置及び映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る映像表示装置1を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る動きベクトル検出部40を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る補間フレームの生成を説明する図である。
【図4】第1実施形態に係る対象ブロックを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る探索ブロックのシフトを説明する図である。
【図6】第1実施形態に係る補間フレームを示す図である。
【図7】第1実施形態に係る補間フレームの生成を説明する図である。
【図8】変更例1に係る補間フレームの生成を説明する図である。
【図9】変更例2に係る補間フレームの生成を説明する図である。
【図10】変更例3に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図11】変更例3に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図12】変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図13】変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図14】変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図15】変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法を説明する図である。
【図16】変更例5に係る不感領域の設定方法を説明する図である。
【図17】変更例5に係る不感領域の設定方法を説明する図である。
【図18】変更例6に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図19】変更例7に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図20】変更例8に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図21】変更例8に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図22】変更例9に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図23】変更例9に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図24】変更例9に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【図25】変更例10に係る補間フレームの生成方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る信号処理装置及び映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る信号処理装置は、基準フレーム及び参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する。信号処理装置は、基準フレームと参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する補間フレーム生成部を備える。補間フレームは、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。
【0020】
実施形態では、補間フレームは、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。
【0021】
このように、基準フレームに含まれる画像が参照フレームに存在しない可能性が高い領域(ベクトル非適応領域)は、動きベクトルに基づいて補間されないため、動きベクトルの検出精度の低下によって、補間フレームの端部に位置する画像が歪むことを抑制することができる。
【0022】
[第1実施形態]
(映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る映像表示装置1を示すブロック図である。映像表示装置1は、複数のオリジナルフレーム間に補間フレームを挿入する。なお、映像表示装置1は、投写型映像表示装置などのように、映像を表示する装置である。
【0023】
図1に示すように、映像表示装置1は、信号処理装置100と、表示部200とを有する。
【0024】
信号処理装置100は、複数のオリジナルフレームのいずれかである基準フレームと、複数のオリジナルフレームのいずれかである参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する。
【0025】
具体的には、信号処理装置100は、入力信号受付部10と、基準フレーム取得部20と、参照フレーム取得部30と、動きベクトル検出部40と、補間フレーム生成部50と、出力部60とを有する。
【0026】
入力信号受付部10は、オリジナルフレームを構成する複数の画素毎に映像入力信号を受け付ける。オリジナルフレームは、映像入力信号によって構成されるフレームである。映像入力信号は、例えば、赤入力信号、緑入力信号及び青入力信号を含む。入力信号受付部10は、複数のオリジナルフレームのそれぞれを構成する映像入力信号を順に受け付ける。
【0027】
基準フレーム取得部20は、映像入力信号に基づいて基準フレームを取得する。基準フレームは、動きベクトルの検出対象のオリジナルフレームである。基準フレームは、複数のブロックによって構成される。基準フレームは、例えば、n番目のオリジナルフレームである。
【0028】
参照フレーム取得部30は、映像入力信号に基づいて参照フレームを取得する。参照フレームは、動きベクトルの検出で参照されるオリジナルフレームである。参照フレームは、例えば、n+1番目のオリジナルフレームである。
【0029】
なお、動きベクトルの検出方法に応じて、参照フレームを変更してもよいことは勿論である。動きベクトルが前方予測によって検出される場合には、基準フレームよりも時間的に前方のオリジナルフレームが参照フレームとして用いられる。動きベクトルが後方予測によって検出される場合には、基準フレームよりも時間的に後方のオリジナルフレームが参照フレームとして用いられる。動きベクトルが双方向予測によって検出される場合には、複数のオリジナルフレームが参照フレームとして用いられる。
【0030】
動きベクトル検出部40は、基準フレーム及び参照フレームに基づいて、基準フレームの動きベクトルを検出する。具体的には、動きベクトル検出部40は、複数のブロックのいずれかである対象ブロックをセットした上で、対象ブロックの動きベクトルを検出する。動きベクトル検出部40は、対象ブロックをブロック単位で順にシフトして、基準フレームを構成する全てのブロックについて、ブロック毎に動きベクトルを検出する。なお、動きベクトル検出部40の詳細については後述する(図2を参照)。
【0031】
補間フレーム生成部50は、基準フレームと参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する。
【0032】
ここで、補間フレームは、後述するように、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する(図6を参照)。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。なお、ベクトル適応領域及びベクトル非適応領域は、補間フレーム生成部50によって設定される。
【0033】
第1に、補間フレーム生成部50は、基準フレームを構成する画素、参照フレームを構成する画素及び動きベクトルに基づいて、補間フレームのベクトル適応領域を構成する画素を決定する。
【0034】
第2に、補間フレーム生成部50は、基準フレーム又は参照フレームを構成する画素の複製によって、補間フレームのベクトル非適応領域を構成する画素を決定する。
【0035】
出力部60は、映像入力信号に応じて、映像出力信号を出力する。具体的には、出力部60は、オリジナルフレームに対応する映像出力信号に加えて、オリジナルフレーム間に挿入される補間フレームに対応する映像出力信号を出力する。なお、出力部60は、γ補正機能などを有していてもよい。
【0036】
表示部200は、複数のオリジナルフレーム及び補間フレームを表示する。具体的には、表示部200は、信号処理装置100から出力される映像出力信号に基づいて、映像を表示する。例えば、表示部200は、液晶パネルなどである。
【0037】
(動きベクトル検出部の構成)
以下において、第1実施形態に係る動きベクトル検出部の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る動きベクトル検出部40を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、動きベクトル検出部40は、特定部41と、設定部42と、探索領域シフト部43と、比較部44と、検出部45とを有する。
【0039】
特定部41は、対象ブロックをセットする。また、特定部41は、対象ブロックの動きベクトルが検出されると、基準フレームを構成するブロック毎に対象ブロックをシフトする。なお、特定部41は、基準フレームを構成する全てのブロックが対象ブロックとしてセットされるまで、対象ブロックのシフトを繰り返す。
【0040】
設定部42は、参照フレーム内において探索範囲を設定する。具体的には、設定部42は、基準フレーム内における対象ブロックの位置に基づいて、参照フレーム内において対象ブロックに相当する位置(座標)を特定する。続いて、設定部42は、参照フレーム内において対象ブロックに相当する位置(座標)の周辺領域を探索範囲として設定する。探索範囲は、対象ブロックよりも広い範囲である。
【0041】
探索領域シフト部43は、参照フレーム内において、対象ブロックと比較する探索ブロックを順にシフトする。具体的には、探索領域シフト部43は、探索範囲内において、探索ブロックを順にシフトする。探索領域シフト部43は、1画素毎に探索ブロックをシフトすることが好ましい。探索ブロックは、対象ブロックと略同形状であることが好ましい。
【0042】
比較部44は、探索ブロックのシフト毎に、対象ブロックと探索ブロックとの一致度を算出する。比較部44は、対象ブロックと一致度が最も高い探索ブロックを一致ブロックとして特定する。具体的には、比較部44は、対象ブロックを探索ブロックに重ね合わせた上で、対象ブロックの画素と、対象ブロックの画素と同位置(座標)を有する探索ブロックの画素との差分の絶対値を取得する。続いて、比較部44は、対象ブロックを構成する全画素について、差分の絶対値の総和(差分絶対値和)を算出する。比較部44は、差分絶対値和が最小である探索ブロックを一致ブロックとして特定する。
【0043】
検出部45は、基準フレーム内における対象ブロックの位置(座標)と参照フレーム内における一致ブロックの位置(座標)とに基づいて、対象ブロックの動きベクトルを検出する。具体的には、検出部45は、対象ブロックの位置(座標)と一致ブロックの位置(座標)とのずれ量に基づいて、対象ブロックの動きベクトルを検出する。
【0044】
(補間フレームの生成)
以下において、第1実施形態に係る補間フレームの生成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る補間フレームの生成を説明する図である。
【0045】
図3に示すように、基準フレーム及び参照フレームに基づいて、基準フレームを構成する複数のブロック毎に動きベクトルが検出される。続いて、基準フレーム、参照フレーム及び動きベクトルに基づいて、補間フレームが生成される。
【0046】
(対象ブロック)
以下において、第1実施形態に係る対象ブロックについて、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る対象ブロックを示す図である。
【0047】
図4に示すように、対象ブロックは、基準フレームを構成する複数のブロックのいずれかである。各ブロックの位置は、予め定められている。上述したように、対象ブロックは、基準フレーム内においてブロック単位で順にシフトされる。
【0048】
(探索ブロックのシフト)
以下において、第1実施形態に係る探索ブロックのシフトについて、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る探索ブロックのシフトを説明する図である。
【0049】
図5に示すように、探索範囲は、参照フレーム内に設定される。探索ブロックは、探索範囲内を順にシフトされる。ここで、探索範囲は、1画素毎にシフトされることが好ましい。探索範囲のサイズは、水平方向において幅Wであり、垂直方向において高さHである。なお、探索範囲における探索ブロックのシフト範囲は、左上の位置Aの探索ブロック、右上の位置Bの探索ブロック、左下の位置Cの探索ブロック及び右下の位置Dの探索ブロックの中心を結ぶ範囲である。
【0050】
(補間フレームの構成)
以下において、第1実施形態に係る補間フレームの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る補間フレームの構成を示す図である。
【0051】
図6に示すように、補間フレームは、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。
【0052】
ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の左側において、幅Waを有する帯状の領域と、ベクトル適応領域の右側において、幅Wbを有する帯状の領域とを有する。また、ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の上側において、高さHaを有する帯状の領域と、ベクトル適応領域の下側において、高さHbを有する帯状の領域とを有する。
【0053】
なお、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、探索範囲の幅Wによって定められることが好ましい。例えば、“Wa=Wb=1/2W”の関係が満たされる。同様に、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、探索範囲の高さHによって定められることが好ましい。例えば、“Ha=Hb=1/2H”の関係が満たされる。
【0054】
(補間フレームの生成)
以下において、第1実施形態に係る補間フレームの生成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る補間フレームの生成を示す図である。ここでは、60fps(frame per second)から120fpsにフレームレートを変更するケースを例示する。このようなケースでは、1コマのオリジナルフレームに対して、1コマの補間フレームが生成される。
【0055】
図7に示すように、補間フレームのベクトル非適応領域では、動きベクトルによって補間された画素ではなくて、オリジナルフレームを構成する画素の複製が用いられる。補間フレームのベクトル適応領域では、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0056】
例えば、補間フレーム#nでは、ベクトル非適応領域“A”を構成する画素として、オリジナルフレームAを構成する画素、すなわち、動きベクトルによって補間されていない画素が用いられる。ベクトル適応領域“AB”を構成する画素として、オリジナルフレームA及びオリジナルフレームBによって補間された画素、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0057】
(作用及び効果)
第1実施形態では、補間フレームは、動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有する。ベクトル非適応領域は、ベクトル適応領域の外側に設けられている。
【0058】
このように、基準フレームに含まれる画像が参照フレームに存在しない可能性が高い領域(ベクトル非適応領域)は、動きベクトルに基づいて補間されないため、動きベクトルの検出精度の低下によって、補間フレームの画像が歪むことを抑制することができる。
【0059】
第1実施形態では、ベクトル非適応領域は、探索範囲のサイズに基づいて設定される。すなわち、探索範囲が参照フレームから外れることがない。従って、補間フレームの画像が歪む可能性をさらに低減することができる。
【0060】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0061】
第1実施形態では、60fpsから120fpsにフレームレートを変換するケースについて説明した。これに対して、変更例1では、24fpsから120fpsにフレームレートを変換するケースについて説明する。
【0062】
(補間フレームの生成)
以下において、変更例1に係る補間フレームの生成について、図面を参照しながら説明する。図8は、変更例1に係る補間フレームの生成を示す図である。ここでは、24fpsから120fpsにフレームレートを変更するケースを例示する。このようなケースでは、1コマのオリジナルフレームに対して、4コマの補間フレームが生成される。
【0063】
なお、24fpsのオリジナルフレームは、図8に示すように、2−3プルダウン方式によって60fpsに予め変換されていてもよい。
【0064】
図8に示すように、補間フレームのベクトル非適応領域では、動きベクトルによって補間された画素ではなくて、オリジナルフレームを構成する画素の複製が用いられる。補間フレームのベクトル適応領域では、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0065】
例えば、補間フレーム#nでは、ベクトル非適応領域を構成する画素として、オリジナルフレームAを構成する画素、すなわち、動きベクトルによって補間されていない画素が用いられる。一方で、ベクトル適応領域を構成する画素として、オリジナルフレームA及びオリジナルフレームBによって補間された画素、すなわち、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0066】
ここで、変更例1では、ベクトル非適応領域では、2−3プルダウン方式で変換されたオリジナルフレームの比率が保たれている。例えば、フレームレートの変更後において、ベクトル非適応領域に相当する領域では、4コマのオリジナルフレームA及び6コマのオリジナルフレームBを構成する画素が設けられる。
【0067】
なお、ベクトル適応領域では、完全フレーム補間方法が適用されていることに留意すべきである。ベクトル適応領域“AB1”〜ベクトル適応領域“AB4”の生成では、オリジナルフレーム“A”及びオリジナルフレーム“B”が基準フレーム及び参照フレームとして用いられる。但し、ベクトル適応領域“AB1”〜ベクトル適応領域“AB4”では、動きベクトルの適用比率が異なっている。
【0068】
(作用及び効果)
変更例1では、ベクトル非適応領域では、2−3プルダウン方式で変換されたオリジナルフレームの比率が保たれている。従って、ベクトル非適応領域を生成するために必要な負荷が軽減される。
【0069】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0070】
第1実施形態では、60fpsから120fpsにフレームレートを変換するケースについて説明した。これに対して、変更例2では、24fpsから120fpsにフレームレートを変換するケースについて説明する。
【0071】
(補間フレームの生成)
以下において、変更例2に係る補間フレームの生成について、図面を参照しながら説明する。図9は、変更例2に係る補間フレームの生成を示す図である。ここでは、24fpsから120fpsにフレームレートを変更するケースを例示する。このようなケースでは、1コマのオリジナルフレームに対して、4コマの補間フレームが生成される。
【0072】
なお、24fpsのオリジナルフレームは、図9に示すように、2−3プルダウン方式によって60fpsに予め変換されていてもよい。
【0073】
図9に示すように、補間フレームのベクトル非適応領域では、動きベクトルによって補間された画素ではなくて、オリジナルフレームを構成する画素の複製が用いられる。補間フレームのベクトル適応領域では、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0074】
例えば、補間フレーム#nでは、ベクトル非適応領域を構成する画素として、オリジナルフレームAを構成する画素、すなわち、動きベクトルによって補間されていない画素が用いられる。一方で、ベクトル適応領域を構成する画素として、オリジナルフレームA及びオリジナルフレームBによって補間された画素、すなわち、動きベクトルによって補間された画素が用いられる。
【0075】
ここで、変更例1では、ベクトル非適応領域では、2−3プルダウン方式で変換されたオリジナルフレームの比率が変更されている。具体的には、ベクトル非適応領域では、各オリジナルフレームの比率が同じである。例えば、フレームレートの変更後において、ベクトル非適応領域に相当する領域では、5コマのオリジナルフレームA及び5コマのオリジナルフレームBを構成する画素が設けられる。
【0076】
なお、ベクトル適応領域では、完全フレーム補間方法が適用されていることに留意すべきである。ベクトル適応領域“AB1”〜ベクトル適応領域“AB4”の生成では、オリジナルフレーム“A”及びオリジナルフレーム“B”が基準フレーム及び参照フレームとして用いられる。但し、ベクトル適応領域“AB1”〜ベクトル適応領域“AB4”では、動きベクトルの適用比率が異なっている。
【0077】
(作用及び効果)
変更例2では、ベクトル非適応領域では、各オリジナルフレームの比率が同じである。従って、視聴者に与える違和感が軽減される。
【0078】
[変更例3]
以下において、第1実施形態の変更例3について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0079】
第1実施形態では、ベクトル非適応領域の幅及び高さは一定である。これに対して、変更例3では、ベクトル非適応領域の幅及び高さは可変である。
【0080】
(ベクトル非適応領域の設定方法)
以下において、変更例3に係るベクトル非適応領域の設定方法について、図面を参照しながら説明する。図10及び図11は、変更例3に係るベクトル非適応領域の設定方法を示す図である。なお、変更例3では、ベクトル非適応領域は、上述した補間フレーム生成部50によって設定される。
【0081】
図10に示すように、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、動きベクトルの水平方向成分の平均値MVH_AVEに基づいて設定される。平均値MVH_AVEは、基準フレームを構成する全ブロックの動きベクトルから抽出された水平方向成分の平均値である。ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbの範囲は、最小値MINから最大値MAXの範囲である。最小値MINは、例えば、“0”である。最大値MAXは、例えば、探索範囲の幅Wである。
【0082】
図10に示すように、平均値MVH_AVEが閾値Th以下である場合には、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、最小値MINで一定である。平均値MVH_AVEが閾値Thを超える場合には、平均値MVH_AVEが大きいほど、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbが大きくなる。
【0083】
図11に示すように、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、動きベクトルの垂直方向成分の平均値MVV_AVEに基づいて設定される。平均値MVV_AVEは、基準フレームを構成する全ブロックの動きベクトルから抽出された垂直方向成分の平均値である。ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbの範囲は、最小値MINから最大値MAXの範囲である。最小値MINは、例えば、“0”である。最大値MAXは、例えば、探索範囲の高さHである。
【0084】
図11に示すように、平均値MVV_AVEが閾値Th以下である場合には、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、最小値MINで一定である。平均値MVV_AVEが閾値Thを超える場合には、平均値MVV_AVEが大きいほど、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbが大きくなる。
【0085】
(作用及び効果)
変更例3では、ベクトル非適応領域は、動きベクトルに基づいて設定される。ベクトル非適応領域の幅及び高さは、画像に応じて可変である。従って、動きベクトルの検出精度の低下を抑制しながら、動きベクトルを有効に利用することができる。
【0086】
例えば、動きベクトルの水平方向成分の平均値が小さい場合に、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbを小さくすることによって、ベクトル適応領域を拡大することができる。同様に、動きベクトルの垂直方向成分の平均値が小さい場合に、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbを小さくすることによって、ベクトル適応領域を拡大することができる。
【0087】
[変更例4]
以下において、第1実施形態の変更例4について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0088】
第1実施形態では、ベクトル非適応領域の幅及び高さは一定である。これに対して、変更例4では、ベクトル非適応領域の幅及び高さは可変である。
【0089】
なお、変更例3との相違点は、平均値MVH_AVE及び平均値MVV_AVEの算出で用いる動きベクトルが異なる。変更例4では、平均値MVH_AVE及び平均値MVV_AVEは、基準フレームに設けられた帯状領域に対応する動きベクトルに基づいて算出される。基準フレームに設けられた帯状領域は、探索範囲の大きさに応じて設定される。
【0090】
(ベクトル非適応領域の設定方法)
以下において、変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法について、図面を参照しながら説明する。図12〜図15は、変更例4に係るベクトル非適応領域の設定方法を示す図である。なお、変更例4では、ベクトル非適応領域は、上述した補間フレーム生成部50によって設定される。
【0091】
図12に示すように、基準フレームは、平均値MVH_AVEの算出で参照すべき帯状領域Xa及び帯状領域Xbを有する。帯状領域Xa及び帯状領域Xbは、垂直方向に延びており、探索範囲の幅Wに応じて設定される。例えば、帯状領域Xaは、基準フレームの左端からの距離が“1/2W〜W”の範囲である。帯状領域Xbは、基準フレームの右端からの距離が“1/2W〜W”の範囲である。
【0092】
図13に示すように、基準フレームは、平均値MVV_AVEの算出で参照すべき帯状領域Ya及び帯状領域Ybを有する。帯状領域Ya及び帯状領域Ybは、水平方向に延びており、探索範囲の高さHに応じて設定される。例えば、帯状領域Yaは、基準フレームの上端からの距離が“1/2H〜H”の範囲である。帯状領域Ybは、基準フレームの下端からの距離が“1/2H〜H”の範囲である。
【0093】
図14に示すように、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、動きベクトルの水平方向成分の平均値MVH_AVEに基づいて設定される。ベクトル非適応領域の幅Waの設定で用いる平均値MVH_AVEは、基準フレームの帯状領域Xaに対応する動きベクトルから抽出された水平方向成分の平均値である。ベクトル非適応領域の幅Wbの設定で用いる平均値MVH_AVEは、基準フレームの帯状領域Xbに対応する動きベクトルから抽出された水平方向成分の平均値である。
【0094】
なお、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbの範囲は、最小値MINから最大値MAXの範囲である。最小値MINは、例えば、“0”である。最大値MAXは、例えば、探索範囲の幅Wである。
【0095】
図14に示すように、平均値MVH_AVEが閾値Th以下である場合には、平均値MVH_AVEが大きいほど、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbが大きくなる。平均値MVH_AVEが閾値Thを超える場合には、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、最大値MAXで一定である。
【0096】
図15に示すように、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、動きベクトルの垂直方向成分の平均値MVV_AVEに基づいて設定される。ベクトル非適応領域の高さHaの設定で用いる平均値MVV_AVEは、基準フレームの帯状領域Yaに対応する動きベクトルから抽出された垂直方向成分の平均値である。ベクトル非適応領域の高さHbの設定で用いる平均値MVV_AVEは、基準フレームの帯状領域Ybに対応する動きベクトルから抽出された垂直方向成分の平均値である。
【0097】
なお、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbの範囲は、最小値MINから最大値MAXの範囲である。最小値MINは、例えば、“0”である。最大値MAXは、例えば、探索範囲の高さHである。
【0098】
図15に示すように、平均値MVV_AVEが閾値Th以下である場合には、平均値MVV_AVEが大きいほど、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbが大きくなる。平均値MVV_AVEが閾値Thを超える場合には、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、最大値MAXで一定である。
【0099】
(作用及び効果)
変更例4では、ベクトル非適応領域は、基準フレームに設けられた帯状領域に対応する動きベクトルに基づいて算出される。基準フレームに設けられた帯状領域は、探索範囲の大きさに応じて設定される。
【0100】
このように、補間フレームの画像の歪みに影響を与える領域(帯状領域)に対応する動きベクトルに基づいて、ベクトル非適応領域が設定されるため、動きベクトルの検出精度の低下を抑制しながら、動きベクトルを有効に利用することができる。
【0101】
[変更例5]
以下において、第1実施形態の変更例5について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0102】
変更例5では、補間フレームは、ベクトル適応領域及びベクトル非適応領域に加えて、不感領域を有する。不感領域は、動きベクトルに基づいて補間されない領域である。不感領域は、映像入力信号に基づいて特定される黒表示領域に応じて設定される。
【0103】
(不感領域の設定方法)
以下において、変更例5に係る不感領域の設定方法について、図面を参照しながら説明する。図16及び図17は、変更例5に係る不感領域の設定方法を示す図である。
【0104】
第1に、垂直方向に延びる帯状の黒表示領域が表示部200の左右に設けられるケースについて、図16を参照しながら説明する。例えば、このようなケースは、16:9の画角を有する表示部200上に4:3の画角を有する映像を表示するケースである。
【0105】
図16に示すように、補間フレームの左端部及び右端部には、垂直方向に沿って延びる黒表示領域に対応する領域が不感領域として設けられる。具体的には、上述した補間フレーム生成部50は、映像入力信号に基づいて黒表示領域を特定し、黒表示領域に対応する領域を不感領域として設定する。
【0106】
第2に、水平方向に延びる帯状の黒表示領域が表示部200の上下に設けられるケースについて、図17を参照しながら説明する。例えば、このようなケースは、映画などを表示部200上に表示するケースである。
【0107】
図17に示すように、補間フレームの上端部及び下端部には、水平方向に沿って延びる黒表示領域に対応する領域が不感領域として設けられる。具体的には、上述した補間フレーム生成部50は、映像入力信号に基づいて黒表示領域を特定し、黒表示領域に対応する領域を不感領域として設定する。
【0108】
なお、不感領域では、黒表示が行われることは勿論である。また、不感領域では、フレーム間補間が省略されてもよい。
【0109】
(作用及び効果)
変更例5では、不感領域は、映像入力信号に基づいて特定される黒表示領域に応じて設定される。従って、不必要な補間処理を省略することができ、補間フレームの生成に必要な負荷を軽減することができる。
【0110】
[変更例6]
以下において、第1実施形態の変更例6について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0111】
変更例6では、オリジナルフレーム間に2種類の補間フレームを挿入するケースについて、図18を参照しながら説明する。
【0112】
図18に示すように、変更例6では、オリジナルフレーム間に2種類の補間フレームが挿入される。2種類の補間フレームの生成では、各補間フレームに適用される動きベクトル適用率が異なっている。
【0113】
なお、動きベクトル適用率は、オリジナルフレーム間において、どの時点の画像が補間フレームとして生成されるかを示す割合である。動きベクトル適用率が低いほど、時間的に前のオリジナルフレームに近い画像が補間フレームとして生成される。一方で、動きベクトル適用率が高いほど、時間的に後のオリジナルフレームに近い画像が補間フレームとして生成される。
【0114】
ここでは、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間に、2コマの補間フレーム“AB1”及び1コマの補間フレーム“AB2”が挿入されるケースを例に挙げて説明する。
【0115】
ここで、オリジナルフレーム“A”と2コマの補間フレーム“AB1”の中心との時間的な間隔はaで表される。オリジナルフレーム“A”と1コマの補間フレーム“AB2”の中心との時間的な間隔はbで表される。オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との時間的な間隔はcで表される。
【0116】
また、補間フレーム“AB1”及び補間フレーム“AB2”の生成では、オリジナルフレーム“A”が基準フレームとして用いられ、オリジナルフレーム“B”が参照フレームとして用いられるものとする。
【0117】
補間フレーム“AB1”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルのa/c倍(動きベクトル適用率)である。ここでは、補間フレーム“AB1”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルの40%である。すなわち、オリジナルフレーム“A”からオリジナルフレーム“B”への動き量を100%とした場合に、動き量が40%である時点の画像が補間フレーム“AB1”として生成される。
【0118】
補間フレーム“AB2”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルのb/c倍(動きベクトル適用率)である。ここでは、補間フレーム“AB2”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルの70%である。すなわち、オリジナルフレーム“A”からオリジナルフレーム“B”への動き量を100%とした場合に、動き量が70%である時点の画像が補間フレーム“AB1”として生成される。
【0119】
(作用及び効果)
変更例6では、時間的に前の補間フレームのコマ数が時間的に後の補間フレームのコマ数よりも多い。従って、フレームに含まれる画像が加速するケースにおいて、補間フレームによって加速度を適切に再現することができる。
【0120】
変更例6では、同一の補間フレームが2コマ以上である場合に、2コマ以上の補間フレームの時間的な中心に応じて、動きベクトル適用率が用いられる。従って、視聴者に違和感を与えないように、補間フレームを生成することができる。
【0121】
[変更例7]
以下において、第1実施形態の変更例7について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0122】
変更例7では、オリジナルフレーム間に2種類の補間フレームを挿入するケースについて、図19を参照しながら説明する。2種類の補間フレームの生成では、各補間フレームに適用される動きベクトル適用率が異なっている。
【0123】
なお、動きベクトル適用率は、オリジナルフレーム間において、どの時点の画像が補間フレームとして生成されるかを示す割合である。動きベクトル適用率が低いほど、時間的に前のオリジナルフレームに近い画像が補間フレームとして生成される。一方で、動きベクトル適用率が高いほど、時間的に後のオリジナルフレームに近い画像が補間フレームとして生成される。
【0124】
図19に示すように、変更例7では、オリジナルフレーム間に2種類の補間フレームが挿入される。ここでは、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間に、1コマの補間フレーム“AB1”及び2コマの補間フレーム“AB2”が挿入されるケースを例に挙げて説明する。
【0125】
ここで、オリジナルフレーム“A”と1コマの補間フレーム“AB1”の中心との時間的な間隔はaで表される。オリジナルフレーム“A”と2コマの補間フレーム“AB2”の中心との時間的な間隔はbで表される。オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との時間的な間隔はcで表される。
【0126】
また、補間フレーム“AB1”及び補間フレーム“AB2”の生成では、オリジナルフレーム“A”が基準フレームとして用いられ、オリジナルフレーム“B”が参照フレームとして用いられるものとする。
【0127】
補間フレーム“AB1”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルのa/c倍(動きベクトル適用率)である。ここでは、補間フレーム“AB1”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルの30%である。すなわち、オリジナルフレーム“A”からオリジナルフレーム“B”への動き量を100%とした場合に、動き量が30%である時点の画像が補間フレーム“AB1”として生成される。
【0128】
補間フレーム“AB2”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルのb/c倍(動きベクトル適用率)である。ここでは、補間フレーム“AB2”の生成で用いられる動きベクトルは、基準フレームの動きベクトルの60%である。すなわち、オリジナルフレーム“A”からオリジナルフレーム“B”への動き量を100%とした場合に、動き量が60%である時点の画像が補間フレーム“AB1”として生成される。
【0129】
(作用及び効果)
変更例7では、時間的に後の補間フレームのコマ数が時間的に前の補間フレームのコマ数よりも多い。従って、フレームに含まれる画像が減速するケースにおいて、補間フレームによって減速度を適切に再現することができる。
【0130】
変更例7では、同一の補間フレームが2コマ以上である場合に、2コマ以上の補間フレームの時間的な中心に応じて、動きベクトル適用率が用いられる。従って、視聴者に違和感を与えないように、補間フレームを生成することができる。
【0131】
[変更例8]
以下において、第1実施形態の変更例8について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0132】
なお、変更例6及び変更例7との相違点は、補間フレームの生成で用いられる動きベクトル適用率の決定方法である。具体的には、変更例6及び変更例7では、時間的な間隔に応じて動きベクトル適用率が決定される。これに対して、時間的に後のオリジナルフレームの動きベクトルの平均値から時間的に前のオリジナルフレームの動きベクトルの平均値を除いた差分MVdiffに応じて動きベクトル適用率が決定される。
【0133】
すなわち、差分MVdiffが“0”である場合には、フレームに含まれる画像が定速で動いている。差分MVdiffが“0”よりも大きい場合には、フレームに含まれる画像が加速している。差分MVdiffが“0”よりも小さい場合には、フレームに含まれる画像が減速している。
【0134】
ここでは、変更例6のように、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間に、2コマの補間フレーム“AB1”及び1コマの補間フレーム“AB2”が挿入されるケースを例に挙げて説明する(図18を参照)。
【0135】
図20に示すように、2コマの補間フレーム“AB1”の生成では、動きベクトル適用率の範囲は、変更例6で示したa/c(例えば、40%)を中心として、A(例えば、20%)〜B(例えば、60%)である。差分MVdiffが“0”である場合に、動きベクトル適用率は、a/cである。差分MVdiffが“0”よりも小さいほど、動きベクトル適用率がa/cよりも増大する。差分MVdiffが“0”よりも大きいほど、動きベクトル適用率がa/cよりも減少する。
【0136】
図21に示すように、1コマの補間フレーム“AB2”の生成では、動きベクトル適用率の範囲は、変更例6で示したb/c(例えば、70%)を中心として、C(例えば、50%)〜D(例えば、90%)である。差分MVdiffが“0”である場合に、動きベクトル適用率は、b/cである。差分MVdiffが“0”よりも小さいほど、動きベクトル適用率がb/cよりも増大する。差分MVdiffが“0”よりも大きいほど、動きベクトル適用率がb/cよりも減少する。
【0137】
(作用及び効果)
変更例8では、差分MVdiff、すなわち、フレームに含まれる画像の加速度(減速度)に応じて、補間フレームの動きベクトル適用率が変更される。従って、補間フレームによって、フレームに含まれる画像の加速度(減速度)を適切に再現することができる。
【0138】
[変更例9]
以下において、第1実施形態の変更例9について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0139】
ここで、変更例9では、変更例8の動作に加えて、変更例6に示すパターン1及び変更例7に示すパターン2が差分MVdiffに応じて切り替えられる。差分MVdiffは、変更例8と同様に、時間的に後のオリジナルフレームの動きベクトルの平均値から時間的に前のオリジナルフレームの動きベクトルの平均値を除いた差分である。
【0140】
図22に示すように、差分MVdiffが“0”よりも大きい場合には、変更例6に示すパターン1が適用される。すなわち、時間的に前の補間フレームが2コマである。一方で、差分MVdiffが“0”よりも小さい場合には、変更例7に示すパターン2が適用される。すなわち、時間的に後の補間フレームが2コマである。
【0141】
同様に、図23に示すように、差分MVdiffが“0”よりも大きい場合には、変更例6に示すパターン1が適用される。すなわち、時間的に前の補間フレームが2コマである。一方で、差分MVdiffが“0”よりも小さい場合には、変更例7に示すパターン2が適用される。すなわち、時間的に後の補間フレームが2コマである。
【0142】
例えば、オリジナルフレーム“B”の動きベクトルがオリジナルフレーム“A”の動きベクトルよりも小さく、オリジナルフレーム“C”の動きベクトルがオリジナルフレーム“C”の動きベクトルよりも大きいケースについて、図24を参照しながら説明する。
【0143】
すなわち、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間では、フレームに含まれる画像が減速しており、オリジナルフレーム“B”とオリジナルフレーム“C”との間では、フレームに含まれる画像が加速している。
【0144】
ここで、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間には、1コマの補間フレーム“AB1”及び2コマの補間フレーム“AB2”が挿入される。すなわち、差分MVdiffが“0”よりも小さいため、変更例7に示すパターン2が適用される。
【0145】
ここで、オリジナルフレーム“B”とオリジナルフレーム“C”との間には、2コマの補間フレーム“BC1”及び1コマの補間フレーム“BC2”が挿入される。すなわち、差分MVdiffが“0”よりも大きいため、変更例6に示すパターン1が適用される。
【0146】
(作用及び効果)
変更例9では、差分MVdiff、すなわち、フレームに含まれる画像の加速度(減速度)に応じて、変更例6に示すパターン1及び変更例7に示すパターン2を切り替える。従って、補間フレームによって、フレームに含まれる画像の加速度(減速度)を適切に再現することができる。
【0147】
[変更例10]
以下において、第1実施形態の変更例9について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0148】
変更例10では、オリジナルフレーム間に4種類の補間フレームを挿入するケースについて、図25を参照しながら説明する。4種類の補間フレームの生成では、各補間フレームに適用される動きベクトル適用率が異なっている。
【0149】
なお、変更例10は、完全フレーム補間方法が採用されていることを除けば、変更例6〜変更例8と同様である。
【0150】
図25に示すように、変更例10では、オリジナルフレーム間に4種類の補間フレームが挿入される。ここでは、オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との間に、1コマの補間フレーム“AB1”〜“AB4”が挿入されるケースを例に挙げて説明する。
【0151】
ここで、オリジナルフレーム“A”と補間フレーム“AB1”の中心との時間的な間隔はaで表される。オリジナルフレーム“A”と補間フレーム“AB2”の中心との時間的な間隔はbで表される。オリジナルフレーム“A”と補間フレーム“AB3”の中心との時間的な間隔はcで表される。オリジナルフレーム“A”と補間フレーム“AB4”の中心との時間的な間隔はdで表される。オリジナルフレーム“A”とオリジナルフレーム“B”との時間的な間隔はeで表される。
【0152】
補間フレーム“AB1”の生成では、動きベクトル適用率としてa/eが用いられる。補間フレーム“AB2”の生成では、動きベクトル適用率としてb/eが用いられる。補間フレーム“AB3”の生成では、動きベクトル適用率としてc/eが用いられる。補間フレーム“AB4”の生成では、動きベクトル適用率としてd/eが用いられる。
【0153】
なお、変更例8と同様に、補間フレーム“AB1”〜“AB4”の生成で用いられる動きベクトル適用率は可変であってもよい。
【0154】
(作用及び効果)
変更例10では、完全フレーム補間方法が採用される場合であっても、視聴者に違和感を与えないように、補間フレームを生成することができる。
【0155】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0156】
変更例3及び変更例4では、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、動きベクトルの水平方向成分の平均値MVH_AVEに基づいて設定される。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。具体的には、ベクトル非適応領域の幅Wa及び幅Wbは、動きベクトルの水平方向成分の最大値MVH_MAXに基づいて設定されてもよい。
【0157】
なお、動きベクトルの水平方向成分の最大値MVH_MAXは、変更例3と同様に、基準フレームを構成する全ブロックの動きベクトルから抽出された水平方向成分の最大値であってもよい。動きベクトルの水平方向成分の最大値MVH_MAXは、変更例4と同様に、帯状領域Xa及び帯状領域Xbを構成するブロックの動きベクトルから抽出された水平方向成分の最大値であってもよい。
【0158】
変更例3及び変更例4では、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、動きベクトルの垂直方向成分の平均値MVV_AVEに基づいて設定される。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。具体的には、ベクトル非適応領域の高さHa及び高さHbは、動きベクトルの垂直方向成分の最大値MVV_MAXに基づいて設定される。
【0159】
なお、動きベクトルの垂直方向成分の平均値MVV_AVEは、変更例3と同様に、基準フレームを構成する全ブロックの動きベクトルから抽出された垂直方向成分の最大値であってもよい。動きベクトルの垂直方向成分の平均値MVV_AVEは、変更例4と同様に、帯状領域Ya及び帯状領域Ybを構成するブロックの動きベクトルから抽出された垂直方向成分の最大値であってもよい。
【符号の説明】
【0160】
1・・・映像表示装置、10・・・入力信号受付部、20・・・基準フレーム取得部、30・・・参照フレーム取得部、40・・・動きベクトル検出部、50・・・補間フレーム生成部、60・・・出力部、100・・・信号処理装置、200・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準フレーム及び参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する信号処理装置であって、
前記基準フレームと前記参照フレームとの間に挿入される補間フレームを生成する補間フレーム生成部を備え、
前記補間フレームは、前記動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有しており、
前記ベクトル非適応領域は、前記ベクトル適応領域の外側に設けられていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記補間フレーム生成部は、前記参照フレーム内において前記動きベクトルの検出で参照される探索範囲の大きさに基づいて、前記ベクトル非適応領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記補間フレーム生成部は、前記動きベクトルに基づいて、前記ベクトル非適応領域の幅及び高さを設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記補間フレーム生成部は、前記基準フレームに設けられた帯状領域に対応する前記動きベクトルに基づいて、前記ベクトル非適応領域の幅及び高さを設定し、
前記基準フレームに設けられた帯状領域は、前記参照フレーム内において前記動きベクトルの検出で参照される探索範囲の大きさに応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記補間フレーム生成部は、映像入力信号に基づいて特定される黒表示領域に応じて、前記動きベクトルに基づいて補間されない不感領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
複数のオリジナルフレーム間に補間フレームを挿入する映像表示装置であって、
前記複数のオリジナルフレームのいずれかである基準フレームと、前記複数のオリジナルフレームのいずれかである参照フレームとに基づいて、動きベクトルを検出する信号処理装置と、
前記複数のオリジナルフレーム及び前記補間フレームを表示する表示部とを備え、
前記信号処理装置は、前記補間フレームを生成する補間フレーム生成部を有し、
前記補間フレームは、前記動きベクトルに基づいて補間されるベクトル適応領域と、前記動きベクトルに基づいて補間されないベクトル非適応領域とを有しており、
前記ベクトル非適応領域は、前記ベクトル適応領域の外側に設けられていることを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−177970(P2010−177970A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17375(P2009−17375)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】