説明

信号処理装置

【課題】 安価な構成で光ディスクからの再生信号を処理する。
【解決手段】 ウォブル信号を生成する手段と、制御信号に従い動作クロックとサンプリングクロックを生成する手段と、サンプリングクロックに応じてウォブル信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、動作クロックに応じてAD変換されたデジタル信号をシリアルデータとして出力するシリアル変換部と、シリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、ウォブル信号として出力する受信部と、出力されたウォブル信号に基づいて、ウォブル信号に同期したウォブルクロックを生成すると共にウォブル信号とウォブルクロックとの位相差を示す位相エラー信号を出力するウォブル処理部と、位相エラー信号を制御信号として出力する位相エラー出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号処理装置に関し、特に、ディスク状記録媒体に対して光ビームを照射して、その反射光を電気信号に変換して処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVDなどの光ディスクに対して映像データなどの情報信号を記録再生する装置が知られている。
【0003】
DVDには所定の周期で蛇行するトラック(ウォブル)が予め形成されており、ディスク上に記録されるデータはこの蛇行周期(ウォブル周期)と同期している必要がある。
【0004】
そのため、DVDにデータを記録する際、ディスクに対する光ビームの反射光を利用して、ウォブルに位相同期したクロックを生成し、このクロックを用いてディスク上にデータを記録している。(例えば、特許文献1参照)
また、DVDに対してデータの書き込み、読み出しを行うドライブ装置では、ディスクから読み出したデータに同期したクロックを生成し、この再生クロックに従って再生されたデジタルデータを処理している。
【0005】
更に、この種の装置においては、記録時において、ディスクが所定の回転速度で回転するよう制御している。
【0006】
また、再生信号に同期したクロックを生成する際には、PLL回路が用いられる。
【0007】
また、上記のクロック生成にはPLL回路を用いるが、PLL回路を従来のアナログ回路で設計した場合、温度変化や経年変化、製造時ばらつきによるクロックの変動の影響が大きいため、デジタル回路で構成することが望まれる。
【0008】
そのため、信号の増幅やAD変換と言った最低限必要なアナログ信号処理をアナログ専用ICで実行し、後の処理はデジタル信号処理LSIで実行するといった手段がとられる。
【特許文献1】特開2002−230757
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、アナログ専用ICとデジタル信号処理LSI間で受け渡す信号の種類が多くなると、そのために必要なICのピン数が増加する傾向にある。このピン数増加は、実装上の制約やチップのコスト増加につながる。
【0010】
また、元々DVDでは記録データの周波数が高く、更に近年では、2倍速など、高速の書き込み、読み出しが一般的となっているため、アナログ専用ICと大規模LSI間の正確なデータの受け渡しが問題となっている。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、回路規模を抑えながら、安価な構成で光ディスクからの再生信号を処理することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光し、電気信号に変換して出力する受光部と、前記受光部からの出力信号に基づいて前記トラックの蛇行周期に関連した周波数を有するウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、制御信号に従い、動作クロックとサンプリングクロックを生成する第1のクロック生成部と、前記サンプリングクロックに従って前記ウォブル信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記動作クロックに従って前記AD変換部から出力されたデジタル信号をシリアルデータとして送信するシリアル変換部と、前記動作クロックに従って前記シリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記ウォブル信号として出力する受信部と、前記受信部から出力されたウォブル信号に基づいて、前記ウォブル信号に位相同期したウォブルクロックを生成すると共に、前記ウォブル信号とウォブルクロックとの位相差を示す位相エラー信号を出力するウォブル処理部と、前記位相エラー信号を前記制御信号として前記クロック生成部に出力する位相エラー出力部とを備え、前記ウォブル信号生成部、前記クロック生成部、前記AD変換部、及び前記シリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、前記受信部、前記ウォブル処理部、及び前記ウォブルエラー出力部を一つのデジタル集積回路として構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いる事で、アナログ集積回路とデジタル信号処理ICとの間のピン数を削減し、かつ、アナログICとデジタルLSI間の正確なデータの受け渡しを実現する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態におけるディスク装置の構成を示す図である。図1の装置では、予め蛇行するトラックが形成された光ディスクDに対して光ビームを照射して情報信号を記録再生する。本実施形態では、光ディスクDとしてDVD−Rを用いる。
【0016】
図1において、101は映像データなどの情報データを入力する入力部、102は再生されたデータを出力する出力部である。103は、記録時においては入力された情報データを処理して記録に適した形態に変換し、再生時においては、ディスクからの反射光を処理すると共に再生データを処理して出力する信号処理部である。104はレーザドライバ、105はレーザビームを照射するレーザダイオードである。
【0017】
106はビームスプリッタ、107はレンズである。112はレーザダイオード105の出射パワーを計測するフロントモニターである。レーザダイオード105、ビームスプリッタ106、レンズ107、フロントモニター112は光ピックアップユニット(OPU)113を構成する。108は光ディスクDを回転させるスピンドルサーボ回路であり、公知のスピンドルモータを含む。スピンドルサーボ回路108は、後述の様に信号処理部103から出力されるスピンドルエラー信号に従ってディスクDの回転を制御する。
【0018】
109はピックアップサーボ回路である。ピックアップサーボ回路109は、OPU113を移動するピックアップモータと、レンズの位置を移動させるアクチュエータを有している。そして、ピックアップサーボ回路109は、後述の様に信号処理部103から出力されたフォーカスエラー、トラッキングエラー信号に従って、ディスクDに対するレーザビームの照射位置、フォーカスを制御する。
【0019】
110はCPUを含むシステム制御部であり、操作部111からの指示によって各部を制御する。111は電源スイッチや記録、再生スイッチなど、各種のスイッチを有する操作部である。
【0020】
記録時においては、入力された情報データに対し、信号処理部103により必要な処理を施す。そして、記録データに対してNRZI変調処理を行い、NRZI変調処理後の記録データの1、0のマーク長に応じて、レーザドライバを駆動するための変調信号(ライトストラテジー信号)を生成し、LDD104に出力する。LDD104は、103の出力信号に応じた電流を出力してレーザダイオード105のレーザビーム出射量を制御し、ビームスプリッタ106、レンズ107を介してディスクD上にビームを照射する。
【0021】
DVD−Rでは、記録時にはディスク上のウォブル周期に同期したクロックでデータ記録を行う必要がある。またウォブルにはディスク上の位置情報を示す物理アドレス情報が埋め込まれている。このため、再生時、記録時ともに、ディスク反射光からウォブル信号を再生して、ウォブル信号に同期した記録クロックを生成すると共に、ウォブルに埋め込まれたアドレス情報を再生する必要がある。
【0022】
具体的には、ディスクDに対してレーザダイオード105によりレーザビームを照射する。そして、ディスクDからの反射光をビームスプリッタ102により受け、信号処理部103に送る。信号処理部103では、ディスクからの反射光を処理してウォブル信号を生成し、ウォブル信号を用いて記録用のクロックを生成するとともに、アドレス再生を行う。
【0023】
また、再生時においては、ディスクDからの反射光を信号処理部103に送り、再生されたデータに同期したクロックを生成する。そして、この再生クロックに従ってディスクDに既に記録された情報データを検出して出力する。
【0024】
次に、本実施形態の特徴的な構成である、信号処理部103について説明する。
【0025】
図2は信号処理部103の構成を示す図であり、信号処理部103は、三つの集積回路から構成される。201は光電変換IC(OEIC:Optical Electrical IC)、202はアナログフロントエンド(AFE)、203はデジタル処理回路である。OEIC201、AFE202はそれぞれアナログ信号処理回路として機能し、デジタル処理回路203はデジタル信号処理回路として機能している。そして、AFE202の各回路を一つのアナログ集積回路として構成し、デジタル処理回路203の各回路を一つのデジタル集積回路として構成する。
【0026】
図2において、ビームスプリッタ102からの反射光が受光センサ201aに出力される。受光センサ201aは、反射光を受けて光−電流変換を行い、受光量に応じた電流値をI/V変換器アンプ201bに出力する。I/V変換器201bは、受光センサ201aから出力された電流値を電圧値に変換し、AFE202に出力する。
【0027】
図3は受光センサ201aの様子を示している。受光センサ201aは、矢印302方向に移動するディスクDのトラック301に対して図3に示す様に配置される。受光センサ201aは、図3に示す様に、A〜Hの八つの受光部を有する。すなわち、A〜DのメインセンサーとE〜Hのサブセンサーである。
【0028】
そして、各受光部から電気信号が出力される。また、後述するデータ再生RF信号処理用にメインセンサーを加算した信号(A+B+C+D)も別途出力される。図2に戻り、受光センサ201aの受光部A〜Dの出力信号が、AFE202におけるプレ処理部205、215に出力される。また、受光センサ201aの受光部A〜Hの出力信号が215に出力され、前述のメインセンサーを加算した信号がプレ処理部210に出力される。
【0029】
またビームスプリッタ102における一部の信号はフロントモニターIC(FM)112に出力し、電気信号が信号処理部103へと出力される。
【0030】
次に、ウォブル信号の処理について説明する。
【0031】
プレ処理部205は、受光センサ204の出力信号に対し、フィルタリングによるノイズ除去や、増幅処理等のプレ処理を施す。そして、受光センサ204aの出力を公知のプッシュプル法(A+D−B−C)により演算することで、ディスクDのトラックの蛇行周期に同期したウォブル信号を生成してAD変換部(ADC)206に出力する。ADC206は、分周器208から供給されるサンプリングクロックに従ってウォブル信号をサンプリングし、1サンプルNビットのデジタル信号に変換してパラレル−シリアル変換部(P/S)207に出力する。例えば図2において、N=8である。
【0032】
分周器208は、VCO209から出力されたクロックの周波数を分周してADC206に供給する。VCO209には、デジタル処理回路203からのウォブル位相エラー信号が供給されている。VCO209は、この位相エラー信号に基づいて、ウォブル信号の周波数に関連した所定の周波数の動作クロックを生成する。ここでは、VCO209の出力はウォブル位相エラーによって変動する416MHzを中心としたクロックである。また、分周器208の出力はVCO209の出力を1/8分周した信号であり、52MHzである。
【0033】
P/S207は、VCO209からのクロックに従い、ADC206からのNビットのデジタル信号をシリアル信号に変換し、更に、所定のタイミングで同期データを多重してデジタル処理回路203に送る。また、VCO209からのクロックは、P/S207からのウォブル信号のデジタルデータとは独立にデジタル処理回路203に送られる。
【0034】
デジタル処理回路203において、シリアル−パラレル変換部(S/P)219は、VCO209からのクロックを用いて、P/S207から出力されたウォブル信号のデジタルデータを取り込み、サンプル毎のパラレルデータに変換してウォブル(WBL)処理部220に送る。また、S/P219は、サンプル毎のタイミング信号をWBLCLK(図2においては52MHz)としてWBL処理220と記録系処理230に出力する。また、WBL処理220と記録処理230はWBLCLKに同期して動作する。
【0035】
S/P219は、VCO209からのクロックに応じて、入力したシリアルデータを保持するシフトレジスタと、入力したシリアルデータ列から同期データを検出し、パラレルデータの出力タイミングを制御するタイミング制御部を持つ。また、S/P219が出力するWBLCLKは分周器208の出力と位相同期関係にある。
【0036】
WBL処理部220は、S/P219からのウォブル信号に基づいてウォブルクロックを生成すると共に、ランドプリピットを検出する。DVD−Rにおいては、ディスク上のトラックにおける所定の位置にランドプリピット(LPP)が形成されている。このランドプリピットは、ウォブル信号に対して所定の位相関係を有しており、このランドプリピットを検出することでディスク上の物理アドレス位置を検出する。
【0037】
図4(a)はWBL処理部220の構成を示す図である。
【0038】
図4(a)において、S/P219からのWBL信号が位相検出部401とLPP検出部404に出力される。また、前述のS/P219から出力されるWBLCLKをもとに正弦波発生器403により正弦波を発生する。正弦波発生器は、例えば正弦波テーブルによる発生器である。また、DVD−RにおいてはWBLCLKと正弦波は1:186の周波数関係にある。
【0039】
位相検出部401は、WBL信号と正弦波発生器403の出力との位相差を公知のヘテロダイン検波により検出し、ループフィルタ402に出力する。ループフィルタ402は位相検出部401からの位相差信号をフィルタ処理し、WBL位相エラー信号として図2のDA変換器(DAC)221、及び、サーボ処理部227に出力する。VCO209、位相検出部401、ループフィルタ402、DAC221により構成されるPLL回路により、光ディスから再生されたウォブル信号に同期したWBLクロックが生成される。
【0040】
また、LPP検出部404は、入力されたWBL信号に含まれるLPP信号を検出し、その検出結果をアドレス復調部405に出力する。アドレス復調部では検出されたLPPのデータパターンから物理アドレス情報を復調し、図1に示したシステム制御部へ出力する。
【0041】
図2に戻り、DAC221は、WBL処理部220から出力されたウォブル位相エラー信号をアナログ信号に変換し、VCO209に出力する。
【0042】
次に、再生RF信号の処理について説明する。
【0043】
プレ処理部210は、受光センサ204の出力信号に対し、フィルタリング処理や増幅処理等のプレ処理を施し、ADC211に出力する。ADC211は、分周器213から供給されるクロックに従ってRF信号をサンプリングし、1サンプルMビットのデジタル信号に変換してP/S212に出力する。例えば図2において、M=10である。
【0044】
分周器213は、VCO214から出力されたクロックの周波数を分周してADC211に供給する。VCO214には、デジタル処理回路203からのRF位相エラー信号が供給されている。VCO214は、この位相エラー信号に基づいて、RF信号に関連した所定の周波数、ここでは520MHzを中心とし、RF位相エラーによって変動するクロックを生成し、分周器213とP/S212に供給する。尚、図2においては分周器213の出力は52MHzである。
【0045】
P/S212は、VCO214からのクロックに従い、ADC211からのMビットのデジタル信号をシリアル信号に変換し、更に、所定のタイミングで同期データを多重してデジタル処理回路203に送る。また、VCO214からのクロックは、P/S212からのRF信号のデジタルデータとは独立にデジタル処理回路203に送られる。
【0046】
デジタル処理回路203において、S/P222は、VCO214からのクロックに従い、P/S212から出力されたRF信号のデジタルデータを入力し、サンプル毎のパラレルデータに変換する。
【0047】
そして、このパラレルデータをRF処理部223と再生系処理部225に送るとともに、サンプル毎のタイミング信号をRFCLK(図2においては52MHz)としてRF処理223に出力する。RF処理部223は、このRCLKCに同期して動作する。
【0048】
S/P222は、VCO214からのクロックに応じて、入力したシリアルデータを保持するシフトレジスタと、入力したシリアルデータ列から同期データを検出し、パラレルデータの出力タイミングを制御するタイミング制御部を持つ。
【0049】
RF処理部223は、S/P222からのRF信号とRFクロックとの位相差を検出し出力する。
【0050】
図4(b)はRF処理部223の構成を示す図である。
【0051】
図4(b)において、S/P222からのRF信号が位相検出部406に出力される。位相検出部406は、SP222からのRFクロックのエッジタイミングにおける、入力されたRF信号のゼロレベルとの差を位相差として検出し、ループフィルタ407に出力する。ループフィルタ407は位相検出部406からの位相差信号をフィルタ処理し、RF位相エラー信号として図2のDAC224に出力する。
【0052】
図2に戻り、DAC224は、RF処理部223から出力されたRF位相エラー信号をアナログ信号に変換し、VCO214に出力する。
【0053】
ADC211、位相検出部406、ループフィルタ407、VCO214によりRF−PLL回路が構成され、これにより、再生データに同期したRFクロックが生成される。
【0054】
また、再生処理部225は、RF処理部223からの再生RFクロックに従って、S/P222から出力された再生RF信号より元のデジタルデータを検出する。そして、検出されたデジタルデータに対し、復調処理やエラー訂正処理などの、データ復号に必要な信号処理を施し、再生データとして出力部102に出力する。
【0055】
次に、サーボ系の処理について説明する。
【0056】
プレ処理部215には、受光センサ204の受光部A〜Hからの八つの出力信号がそれぞれ独立に供給される。プレ処理部215は、受光センサ204からの出力信号に対し、それぞれフィルタリング処理や増幅処理等の処理のプレ処理を施し、ADC216に出力する。
【0057】
ADC216は、受光部A〜Hの八つの出力信号をそれぞれデジタル信号に変換する8個のAD変換器から構成される。ADC216は8個のΔΣAD変換器からなる。各ΔΣADCはそれぞれ、分周器218から供給されるクロックに従って入力信号をサンプリングし、公知のΔΣの1ビットデジタル信号に変換してP/S217に出力する。
【0058】
分周器218は、デジタル処理回路203の固定クロック発生部229から供給された固定周波数、ここでは108MHzのクロック、を8分周してADC218とP/S217に供給する。
【0059】
P/S217は、デジタル処理回路203からの固定周波数のクロックに従い、ADC216から出力された八つのデジタル信号をシリアル信号に変換して多重する。更に、P/S2217は、所定のタイミングで同期データを多重してデジタル処理回路203に送る。なお、本実施形態では受光センサ204が八つの出力であるため、ADC218は8個のΔΣADCからなるが、受光センサ204の出力の数に応じてΔΣADCの数を変えて良い。
【0060】
デジタル処理回路203において、S/P226は、固定クロック発生部229からのクロックに従い、P/S217から出力されたデジタルデータを入力し、サンプル毎のパラレルデータに変換してサーボ処理部227に送る。また、サンプル毎のタイミング信号をSRVCLK(図2においては13.5MHz)としてサーボ処理部207に出力する。また、サーボ処理部207はSRVCLKに同期して動作する。S/P226は、固定クロック発生部229からのクロックに応じて入力したシリアルデータを保持するシフトレジスタを有する。そして、入力したシリアルデータ列から同期データを検出し、パラレルデータの出力タイミングを決定する。
【0061】
サーボ処理部227は、S/P226から出力された各受光部A〜Hの出力データに対し公知の作動プッシュプル法に基づくマトリクス演算を行う。そして、演算結果として、OPU113と目標トラックとの間の位置ずれを示す、トラッキング制御のためのトラッキングエラー信号を生成する。また、サーボ処理部227は、S/P226から出力された各受光部A〜Hの出力データに対し、公知の批点収差法に基づくマトリクス演算を行う。そして、演算結果として、ディスクDに対するレーザビームのフォーカスずれを示すフォーカスエラー信号を生成する。
【0062】
更に、サーボ処理部227は、WBL処理部220からの位相エラー信号に基づいて、ディスクDの目標速度に対する実際の回転速度のずれを示すスピンドルエラー信号を生成する。
【0063】
そして、トラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号及びスピンドルエラー信号に対し、サーボ処理内のDSPによりフィルタリング等の信号処理を行い、それぞれDAC228に出力する。DAC228は、入力されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号及びスピンドルエラー信号をそれぞれアナログ信号に変換する3個のAD変換器を有する。そして、トラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号をそれぞれアナログ信号に変換して、図1のピックアップサーボ回路109に出力する。また、スピンドルエラー信号をアナログ信号に変換して、図1のスピンドルサーボ回路108に出力する。
【0064】
最後に、記録系処理部230について説明する。
【0065】
記録系処理部230は、入力部101から入力された情報データに対し、符号化処理やエラー訂正符号化処理などの必要な処理を施す。そして、S/P219から出力されるWBLCLKにしたがって、データを変調し、AFE202内のパワー制御回路231に出力する。パワー制御回路はフロントモニター112の出力からレーザダイオード105の出射パワーを計測し、出射パワーが最適になるように、レーザドライバ104を駆動する。
【0066】
この様に、本実施形態においては、所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光し、電気信号に変換して出力する受光部と、前記受光部からの出力信号に基づいて前記トラックの蛇行周期に関連した周波数を有するウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、第1の制御信号に従い、第1の動作クロックと第1のサンプリングクロックを生成する第1のクロック生成部と、前記第1のサンプリングクロックに従って前記ウォブル信号をデジタル信号に変換する第1のAD変換部と、前記第1の動作クロックに従って前記第1のAD変換部から出力されたデジタルウォブル信号をシリアルデータとして送信する第1のシリアル変換部と、前記受光部からの出力信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出するためのRF信号を生成するRF信号生成部と、第2の制御信号に従い、第2の動作クロックと第2のサンプリングクロックを生成する第2のクロック生成部と、前記第2のサンプリングクロックに従って前記RF信号をデジタル信号に変換する第2のAD変換部と、前記第2の動作クロックに従って前記第2のAD変換部から出力されたデジタルRF信号をシリアルデータとして送信する第2のシリアル変換部と、第3の動作クロックを入力し、前記第3の動作クロックに基づいて第3のサンプリングクロックを生成する第3のクロック生成部と、前記受光部からの複数の出力信号を前記第3のサンプリングクロックに従ってデジタル信号に変換する第3のAD変換部と、前記第3の動作クロックに従って前記第3のAD変換部から出力されたデジタル信号をシリアルデータとして送信する第3のシリアル変換部と、前記第1の動作クロックに従って前記第1のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記デジタルウォブル信号として出力する第1の受信部と、前記第1の受信部から出力されたデジタルウォブル信号に基づいて、前記ウォブル信号に位相同期したウォブルクロックを生成すると共に、前記デジタルウォブル信号とウォブルクロックとの位相差を示すウォブル位相エラー信号を出力するウォブル処理部と、前記ウォブル位相エラー信号を前記第1の制御信号として前記第1のクロック生成部に出力するウォブル位相エラー出力部と、前記第2の動作クロックに従って前記第2のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記デジタルRF信号として出力する第2の受信部と、前記第2の受信部から出力されたデジタルRF信号に基づいて、前記RF信号に位相同期したRFクロックを生成すると共に、前記デジタルRF信号とRFクロックとの位相差を示すRF位相エラー信号を出力するRF処理部と、前記第2の受信部から出力されたデジタルRF信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出する再生処理手段と、前記RF位相エラー信号を前記第2の制御信号として前記第2のクロック生成部に出力するRF位相エラー出力部と、前記第3の動作クロックに従って前記第3のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信して、デジタル信号として出力する第3の受信部と、前記第3の受信部から出力されたデジタル信号に基づいて、トラッキングエラー信号を生成するサーボ処理部とを備え、前記ウォブル信号生成部、前記1のクロック生成部、前記第1のAD変換部、前記第1のシリアル変換部、前記RF信号生成部、前記第2のクロック生成部、前記第2のAD変換部、前記第2のシリアル変換部、前記第3のクロック生成部、前記第3のAD変換部及び、前記第3のシリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、前記第1の受信部、前記ウォブル処理部、前記ウォブルエラー出力部、前記第2の受信部、前記RF処理部、前記RFエラー出力部、前記第3の受信部、及び前記サーボ処理部を一つのデジタル集積回路として構成した。
【0067】
即ち、ウォブル信号、RF信号、及びサーボ処理のための各受光部の出力をそれぞれデジタル信号に変換した後、シリアルデータとしてデジタル処理回路に出力している。
【0068】
そのため、各信号をパラレルのデジタルデータとして伝送する場合に比べ、データを正確にデジタル信号処理回路に送信することができる。
【0069】
また、アナログICとデジタルICの間のピン数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態としてのディスク装置の構成を示す図である。
【図2】信号処理部の構成を示す図である。
【図3】受光部の配置を示す図である。
【図4】デジタル処理回路の構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、
前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光し、電気信号に変換して出力する受光部と、
前記受光部からの出力信号に基づいて前記トラックの蛇行周期に関連した周波数を有するウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、
第1の制御信号に従い、第1の動作クロックと第1のサンプリングクロックを生成する第1のクロック生成部と、
前記第1のサンプリングクロックに従って前記ウォブル信号をデジタル信号に変換する第1のAD変換部と、
前記第1の動作クロックに従って前記第1のAD変換部から出力されたデジタルウォブル信号をシリアルデータとして送信する第1のシリアル変換部と、
前記受光部からの出力信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出するためのRF信号を生成するRF信号生成部と、
第2の制御信号に従い、第2の動作クロックと第2のサンプリングクロックを生成する第2のクロック生成部と、
前記第2のサンプリングクロックに従って前記RF信号をデジタル信号に変換する第2のAD変換部と、
前記第2の動作クロックに従って前記第2のAD変換部から出力されたデジタルRF信号をシリアルデータとして送信する第2のシリアル変換部と、
第3の動作クロックを入力し、前記第3の動作クロックに基づいて第3のサンプリングクロックを生成する第3のクロック生成部と、
前記受光部からの複数の出力信号を前記第3のサンプリングクロックに従ってデジタル信号に変換する第3のAD変換部と、
前記第3の動作クロックに従って前記第3のAD変換部から出力されたデジタル信号をシリアルデータとして送信する第3のシリアル変換部と、
前記第1の動作クロックに従って前記第1のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記デジタルウォブル信号として出力する第1の受信部と、
前記第1の受信部から出力されたデジタルウォブル信号に基づいて、前記ウォブル信号に位相同期したウォブルクロックを生成すると共に、前記デジタルウォブル信号とウォブルクロックとの位相差を示すウォブル位相エラー信号を出力するウォブル処理部と、
前記ウォブル位相エラー信号を前記第1の制御信号として前記第1のクロック生成部に出力するウォブル位相エラー出力部と、
前記第2の動作クロックに従って前記第2のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記デジタルRF信号として出力する第2の受信部と、
前記第2の受信部から出力されたデジタルRF信号に基づいて、前記RF信号に位相同期したRFクロックを生成すると共に、前記デジタルRF信号とRFクロックとの位相差を示すRF位相エラー信号を出力するRF処理部と、
前記第2の受信部から出力されたデジタルRF信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出する再生処理手段と、
前記RF位相エラー信号を前記第2の制御信号として前記第2のクロック生成部に出力するRF位相エラー出力部と、
前記第3の動作クロックに従って前記第3のシリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信して、デジタル信号として出力する第3の受信部と、
前記第3の受信部から出力されたデジタル信号に基づいて、トラッキングエラー信号を生成するサーボ処理部とを備え、
前記ウォブル信号生成部、前記1のクロック生成部、前記第1のAD変換部、前記第1のシリアル変換部、前記RF信号生成部、前記第2のクロック生成部、前記第2のAD変換部、前記第2のシリアル変換部、前記第3のクロック生成部、前記第3のAD変換部及び、前記第3のシリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、
前記第1の受信部、前記ウォブル処理部、前記ウォブルエラー出力部、前記第2の受信部、前記RF処理部、前記RFエラー出力部、前記第3の受信部、及び前記サーボ処理部を一つのデジタル集積回路として構成したことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、
前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光し、電気信号に変換して出力する受光部と、
前記受光部からの出力信号に基づいて前記トラックの蛇行周期に関連した周波数を有するウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、
制御信号に従い、動作クロックとサンプリングクロックを生成するクロック生成部と、
前記サンプリングクロックに従って前記ウォブル信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記動作クロックに従って前記AD変換部から出力されたデジタル信号をシリアルデータとして送信するシリアル変換部と、
前記動作クロックに従って前記シリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記ウォブル信号として出力する受信部と、
前記受信部から出力されたウォブル信号に基づいて、前記ウォブル信号に位相同期したウォブルクロックを生成すると共に、前記ウォブル信号とウォブルクロックとの位相差を示す位相エラー信号を出力するウォブル処理部と、
前記位相エラー信号を前記制御信号として前記クロック生成部に出力する位相エラー出力部とを備え、
前記ウォブル信号生成部、前記クロック生成部、前記AD変換部、及び前記シリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、
前記受信部、前記ウォブル処理部、及び前記ウォブルエラー出力部を一つのデジタル集積回路として構成したことを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、
前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光し、電気信号に変換して出力する受光部と、
前記受光部からの出力信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出するためのRF信号を生成するRF信号生成部と、
制御信号に従い、動作クロックとサンプリングクロックを生成するクロック生成部と、
前記サンプリングクロックに従って前記RF信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記動作クロックに従って前記AD変換部から出力されたデジタル信号をシリアルデータとして送信するシリアル変換部と、
前記動作クロックに従って前記シリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信し、前記デジタル信号として出力する受信部と、
前記受信部から出力されたデジタル信号に基づいて、前記RF信号に位相同期したRFクロックを生成すると共に、前記RF信号とRFクロックとの位相差を示すRF位相エラー信号を出力するRF処理部と、
前記受信部から出力されたデジタル信号に基づいて、前記ディスク状記録媒体に記録されたデータを検出する再生処理部と、
前記RF位相エラー信号を前記制御信号として前記クロック生成部に出力するRF位相エラー出力部とを備え、
前記RF信号生成部、前記クロック生成部、前記AD変換部、及び前記シリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、
前記受信部、前記RF処理部、前記再生処理部及び前記RF位相エラー出力部を一つのデジタル集積回路として構成したことを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
所定の周期で蛇行するトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射手段と、
トラッキングエラー信号に応じて前記照射手段と前記トラックとの間のトラッキングを制御するトラッキング制御手段と、
それぞれ前記ディスク状記録媒体からの前記光ビームの反射光を受光する複数の受光部を有し、前記複数の受光部により受光した反射光を電気信号に変換して出力する受光手段と、
所定の周波数の動作クロックを入力し、前記動作クロックに基づいてサンプリングクロックを生成するクロック生成部と、
前記複数の受光部からの出力信号をそれぞれ前記サンプリングクロックに従ってデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記動作クロックに従って前記AD変換部から出力された複数のデジタル信号をシリアルデータとして送信するシリアル変換部と、
前記動作クロックに従って前記シリアル変換部から出力されたシリアルデータを受信して、デジタル信号として出力する受信部と、
前記受信部から出力されたデジタル信号に基づいて、前記照射手段と前記トラックの間のトラッキングエラーを示すトラッキングエラー信号を生成するサーボ処理部と、
前記トラッキングエラー信号を前記トラッキング制御手段に出力する出力部とを備え、
前記クロック生成部、前記AD変換部、及び前記シリアル変換部を一つのアナログ集積回路として構成し、
前記受信部、前記サーボ処理部、及び前記出力部を一つのデジタル集積回路として構成したことを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
前記AD変換部は、前記複数の受光部からの出力信号をそれぞれ前記サンプリングクロックに従ってデジタル信号に変換する複数のΔΣAD変換器を有することを特徴とする請求項4記載の信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−205759(P2009−205759A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48178(P2008−48178)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】