説明

信号分類装置

【課題】 分類性能の向上した信号分類装置を得る。
【解決手段】 仮説生成手段20は、新たな信号を、どの送信源からの信号であるかを分類した追加仮説と、既に求められている保持仮説とを組み合わせ、新たな信号が放射されたと推定される送信源毎に信号を分類する仮説を生成する。評価値算出手段30は、これらの仮説に対して、各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して定義した適合関数に基づいて、その評価値を算出する。仮説選択手段50は、仮説数減少手段40で評価値に基づいて選択された仮説に基づき、仮説生成手段20への保持仮説を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未知の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の信号分類装置では、新たに信号を受信する毎に、下記三つのステップを繰り返すことで信号を分類していた(例えば、非特許文献1参照)。尚、以下では、信号を送信源毎に分類した例を仮説と呼ぶ。
ステップ1:下記ステップ3で選択された仮説(保持仮説)を基に、新たに受信した信号を送信源に分類した仮説(追加仮説)を生成し、保持仮説と追加仮説を組み合わせて、新たに受信した信号までを分類した仮説を生成する。
ステップ2:上記ステップ1で生成した仮説に対して、信号から抽出された特徴量などを基に仮説の評価値を算出する。
ステップ3:上記ステップ2で算出した評価値を基に、仮説を取捨選択し、選択した仮説を保持仮説としてステップ1に出力する。
【0003】
【非特許文献1】「誤検出を考慮したMHTレーダパルス列分離法」,電子情報通信学会宇宙航行エレクトロニクス研究会,SANE2001−10,pp.69−76,April 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の手法では、前記ステップ2の仮説評価値の算出において、信号から抽出された複数種類の特徴量を利用して仮説の評価値を算出していた。この算出において、複数の特徴量同士は互いに相関が無いと仮定していた。
しかしながら、例えばレーダのパルスを分類する場合などでは、パルスの出現時刻が周期的であり、かつパルス幅が類似するため、出現時刻とパルス幅が重要な特徴量である。また、パルス幅はパルスの消滅時刻と出現時刻の差で与えられるため、パルス幅と出現時刻には相関がある。このため、従来の手法では、評価値算出の仮定に反するため、どちらか一方の特徴量しか仮説評価に用いることができなかった。また、仮定に反することを認識した上で出現時刻とパルス幅を評価値に用いる場合でも、特徴量間の相関を無視するため、性能が劣化してしまうという問題点を有していた。
【0005】
この発明は前記のような問題を解決するためになされたもので、分類性能の向上した信号分類装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る信号分類装置は、新たな信号を、どの送信源からの信号であるかを分類した追加仮説と、既に求められている保持仮説とを組み合わせ、新たな信号が放射されたと推定される送信源毎に当該信号を分類する仮説を仮説生成手段で生成し、これらの仮説を評価値算出手段で評価する場合、各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して定義した適合関数に基づいて、その評価値を算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の信号分類装置は、各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して仮説評価値を導出するようにしたため、分類性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による信号分類装置を示す構成図であるが、この説明に先立ち、本発明の基本的な概念について説明する。
ここで、本発明は、信号の出現時刻が周期的で、信号の出現時刻と消滅時刻との差の時間が類似する特徴を持つもの全てに対して有効である。そのような特徴は、レーダパルス以外に通信波にも存在する。具体的には、周波数を定期的に変えて通信を行うもので、以下ではこのような通信を行う送信源のことを周波数変動送信源と呼ぶ。またこれとは逆に、同一周波数で通信を行う送信源のことを周波数固定送信源と呼ぶ。
【0009】
上記の様に、本発明が対応できる分類対象がレーダパルス以外に通信波などもあることから、分類対象のもの(レーダのパルスに相当)を信号と呼び、また信号の出現時刻と消滅時刻との差の時間(レーダパルスのパルス幅に相当)のことを継続時間と呼ぶ。
【0010】
この信号分類装置は、アンテナによって受信される信号を送信源毎に分類することを目的としているが、そのために信号の物理的性質や物理的性質から算出された属性値など、信号の各特徴量に着目して信号の分類を行う。これは、同一の送信源から放射された信号同士は、その特徴量が類似すると考えられるためである。そのため、これらの特徴量の類似性を利用すれば、信号を送信源毎に分類することができる。例えば、信号を放射する送信源の位置とそれを受信する受信源の位置が共に固定であれば、一つの送信源が放射した信号を受信する方位(受信方位角度)は等しくなるため、その類似性を利用して信号を送信源毎に分類することができる。また、固定の周波数の信号を放射する周波数固定送信源からの信号(周波数固定信号)は、信号のキャリア周波数が類似するため、キャリア周波数の類似性を利用して分類することができる。更に、周波数を周期的に変えるような周波数変動送信源からの信号(周波数変動信号)は、一つの周波数における信号の出現から消滅までの継続時間が類似し、また信号の出現時刻も周期的であるため、これらを利用して分類することができる。
【0011】
具体的には、上記ステップ1の仮説の生成と、ステップ2の評価値の算出、ステップ3の仮説の選択を繰り返し、最終的に評価値の最も高い仮説を分類結果とする。なお、ステップ3の仮説の選択で選択された仮説を保持仮説と呼ぶ。
上記の方法で分類する場合、ステップ2の評価値の算出では、少ない種類の特徴量を利用するよりも、複数種類の特徴量を利用したほうが、原理的に高精度に分類することができる。更に、評価値に用いる複数の特徴量間に相関がある場合には、その相関を考慮する必要がある。この相関を考慮する必要がある理由を以下に説明する。
【0012】
図2は、各信号の状態を示す説明図である。
今、図2に示す信号a、信号bを分類する状態であるとする。そして信号a、信号bが分類される候補の送信源として周波数変動送信源Yがあるとする。そしてこれまで周波数変動送信源Yに分類された信号の出現時刻と継続時間を基に、周波数変動送信源Yの出現時刻の差の時間と継続時間の確率密度関数が定義されているとする。もし、信号a、bが周波数変動送信源Yの信号であるなら、その特徴量は周波数変動送信源Yに分類された信号の特徴量に類似するため、確率密度関数に信号a、bの特徴量を代入した値は大きくなる。また、逆に周波数変動送信源Yの信号でないなら、確率密度関数に信号a、bの特徴量を代入した値は小さくなる。このため、確率密度関数を用いることで、信号の分類の正しさを判断することができる。故に、以下では、出現時刻の差の時間の確率密度関数のことを出現時刻差の適合関数と呼び、継続時間の確率密度関数を継続時間の適合関数と呼ぶ。そして適合関数に特徴量を代入した値を適合度と呼ぶ。
【0013】
次に、信号a、信号bの出現時刻差の適合度を求める。この様子を図3に示す。
周波数変動送信源Yに最後に分類された信号を信号c(図2に示す)とすると、信号cと信号a、信号cと信号bの出現時刻差は互いに等しくなる。このため下式(1)の様に、信号aの出現時刻差の適合度PSRI、aと、信号bの出現時刻差の適合度PSRI、bは等しくなる。ゆえに出現時刻からでは、周波数変動送信源Yの信号として信号aがふさわしいのか、信号bがふさわしいのか分からない。
SRI、a=PSRI、b (1)
【0014】
次に、継続時間の適合度を求める。この様子を図4に示す。
信号aの継続時間は、その期待値とほぼ等しい値になり、信号bの継続時間は期待値よりも小さな値となっている。このため下式(2)に示すように、信号aの継続時間の適合度PDOC、aの方が、信号bの継続時間の適合度PDOC、bよりも大きくなる。この結果周波数変動送信源Yの信号としては、信号aの方がふさわしい結果となる。
DOC、a>PDOC、b (2)
【0015】
ところで信号a、信号bは、その出現時刻が期待値よりも遅くなっている。一方、信号の消滅時刻の期待値(出現時刻差と継続時間の期待値の和)は変わらない。このため、出現時刻が遅れたのであれば、その分継続時間は短くなる筈である。ところが、上記で求めた継続時間の適合度には、この出現時刻の遅れが加味されておらず、実態からかけ離れている。そこで図5の様に、出現時刻差期待値との差を継続時間に加味した適合関数を用いて、継続時間の適合度を再算出する。尚、図5中、Aで示す部分が到来時刻差の期待値からのずれの補正値を示している。この結果、継続時間の適合度は下式(3)の様になり、信号bの継続時間の適合度PDOC、bの方が、PDOC、aより大きな値になる。この結果、周波数変動送信源Yの信号としては、信号bの方がふさわしいこととなる。
DOC、a<PDOC、b (3)
【0016】
上記の様に、信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数にすることで、周波数変動送信源Yの信号としてふさわしい信号が信号bであることが分かった。実際に観測される信号の継続時間は、出現時刻が期待値から遅れれば、その継続時間は小さくなり、逆に出現時刻の期待値より早ければ、その分継続時間は大きくなる。故に、図4に示した相関を無視した適合関数では分類を誤ってしまう。このため、本発明のような特徴量間の相関を考慮した適合関数が必要である。
【0017】
最後に、信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数を求めるため、信号の出現時刻差と継続時間の確率密度を求める。今、周波数変動送信源Yからの信号のみN個受信した状態であるとする。受信した信号は、受信した順番に、1番目の信号、2番目の信号、…、N番目の信号と呼ぶ。更に受信した信号の出現時刻は、標準偏差σ1の正規分布の観測誤差が、消滅時刻は標準偏差σ2の正規分布の観測誤差があるものとする。n(2≦n≦N)番目の信号の出現時刻と消滅時刻、(n−1)番目の信号の出現時刻の関係は、図6の様になる。
【0018】
【数1】

更に、(n−1)番目の信号の出現時刻をx、n番目の信号の出現時刻をy、n番目の信号の消滅時刻をzとすると、信号の出現時刻差tSRIは下式(4)となり、継続時間tDOCは下式(5)となる。
SRI=y−x (4)
DOC=z−y (5)
【0019】
また、標準偏差σ、平均mの正規分布の確率密度関数をw(・|m、σ)とし、信号の出現時刻差がtSRIで、継続時間がtDOCとなる確率密度関数をPSRI、DOC(tSRI、tDOC)とすると、PSRI、DOC(tSRI、tDOC)は下式(6)の様にかける。
【数2】

【数3】

本発明では、上記の確率密度を出現時刻と継続時間の適合関数として用いる。
【0020】
上記では、出現時刻と継続時間の適合関数について述べたが、それ以外の特徴量に対して適合関数が定義できる場合、それら適合関数の積にパラメータを乗じたものを、仮説の評価関数として用いる。そしてその評価関数で算出される値を評価値と呼ぶ。以下、具体的な方法の説明をするが、その前に本発明の中で用いる言葉と、仮説生成法について説明する。
【0021】
先ず、分類する信号と特徴量について説明する。信号は受信した順番で区別することとする。そのためn番目に受信した信号を、「n番目の信号」と呼ぶ。そして、「n番目の信号」から抽出される複数の特徴量の中で、j種類目の特徴量の値をfn、jと表す。特徴量の例としては、信号を受信した出現時刻や、消滅した消滅時刻、出現時刻と消滅時刻の差である継続時間などや、その信号を受信した受信方位角度、信号のキャリア周波数や周波数帯域幅、受信電力などが考えられる。そして、「n番目の信号」の全種類の特徴量を特徴量ベクトルFnとする。これらの関係を下式(10)に示す。
n=[fn、1n、2 …fn、j …fn、J] (10)
尚、以下では、j=1は信号の出現時刻の特徴量を表すこととし、j=2は継続時間の特徴量を、j=3は受信方位角度を表すこととする。
【0022】
次に、本発明の中で用いる仮説について説明する。仮説とは、信号を分類した分類例を指す。そして、「1〜n番目の信号」を分類した仮説を「n信号の仮説」と呼び、「n信号の仮説」を任意の順番に並べた場合に、h個目の「n信号の仮説」を「n信号の仮説h」と呼ぶ。また、「n番目の信号」を分類した仮説を「n番目の信号の追加仮説」と呼ぶ。「n番目の信号の追加仮説」も複数存在するため、r個目の「n番目の信号の追加仮説」を「n番目の信号の追加仮説r」と呼ぶ。「n信号の仮説」が「1〜n番目の信号」を分類した仮説であるのに対して、「n番目の信号の追加仮説」は、一つの信号(「n番目の信号」)を分類した仮説である。また「n信号の仮説」は、「1番目の信号の追加仮説」と「2番目の信号の追加仮説」、…、「n番目の信号の追加仮説」の組み合わせで構成される。
【0023】
次に仮説の生成方法について説明する。
図7に、「1〜3番目の信号」を仮に分類した二つの「3信号の仮説」を示す。これら仮説は、仮説の選択で選択された保持仮説であるとする。図中の301、302、303は受信した信号を表し、「3信号の保持仮説1」は、信号301と303を一つの送信源からの信号と考え1個目の送信源に分類し、信号302を1個目の送信源とは別の送信源からの信号と考え2個目の送信源に分類した保持仮説を表す。「3信号の保持仮説2」は、信号301、302、303を一つの送信源からの信号と考え、1個目の送信源に分類した保持仮説を表す。尚、送信源の番号は、便宜的に付けているだけで、その大きさの違いは本質的に無い。
【0024】
ここで更に、新たに「4番目の信号」を分類する場合を考える。図7における「3信号の仮説1」に対しては、「4番目の信号」を1個目の送信源に分類する「4番目の信号の追加仮説1」、2個目の送信源に分類する「4番目の信号の追加仮説2」、3個目の送信源に分類する「4番目の信号の追加仮説3」などが考えられる。そして「3信号の仮説1」と、複数の「4番目の信号の追加仮説」をそれぞれ組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。同様に「3信号の仮説2」に対しても、「4番目の信号の追加仮説」は複数考えられ、これらを「3信号の仮説2」に組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。以上が、信号を分類した仮説及びその生成方法の説明である。
【0025】
次に、仮説の表記方法について説明する。図7は、仮説を図で表しているが、以下で説明する処理では、下式(11)で示すような行列で表す。
[1 2 1] (11)
式(11)の1行1列目は、「1番目の信号」が「1個目の送信源」に分類されていることを表し、1行2列目は、「2番目の信号」が「2個目の送信源」に分類されていることを表し、1行3列目は、「3番目の信号」が「1個目の送信源」に分類さていることを表す。つまり、行列の各列の番号が信号の番号に対応し、そこに書かれている数が、分類される送信源を表す。このため式(11)は、図7の「3信号の仮説1」を表している。また図7の「3信号の仮説2」は、下式(12)のような形で表現できる。
[1 1 1] (12)
尚、信号をノイズに分類するような場合も考えられるため、この場合には0で表す。また、信号を周波数変動送信源と周波数固定送信源の2種類の送信源に分類するような場合には、周波数変動送信源をプラスで表現することにし、周波数固定送信源をマイナスで表現することにする。以下、上記仮説を用いた信号分類装置の実施の形態について説明する。
【0026】
図1において、信号分類装置は、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40、仮説選択手段50を備えている。信号検出手段10は、任意の送信源からの信号群を受信し、これらの信号群から、各信号の出現時刻と継続時間をはじめとする複数種類の特徴量を抽出する機能を有するものである。仮説生成手段20は、信号検出手段10で、新たな信号を受信した場合、この信号を、どの送信源からの信号であるかを分類した追加仮説と、仮説選択手段50によって既に求められている保持仮説とを組み合わせ、新たな信号が放射されたと推定される送信源毎に分類する仮説を生成する機能を有している。評価値算出手段30は、各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して定義した適合関数とその他の特徴量で定義された適合関数に基づいて、仮説生成手段20で生成した仮説の評価値を算出する機能を有している。仮説数減少手段40は、評価値算出手段30で算出した評価値が上位の仮説を所定数選択して出力する機能を有している。仮説選択手段50は、仮説数減少手段40で送出した仮説に基づき、保持仮説を出力する機能を有している。即ち、仮説選択手段50は、出力要求フラグが入力された場合には、仮説数減少手段40からの仮説の中で最も評価値の高い仮説を一つ選択して分類結果(保持仮説)として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、仮説数減少手段40からの仮説を出力するよう構成されている。
【0027】
続いて、信号検出手段10の詳細な構成について説明する。
図8は、信号検出手段10の構成図である。
図において、アナログ・デジタル変換手段11は、受信されたアナログ信号をデジタル信号に変換するものであり、高速フーリエ変換手段12は、デジタル変換されたデータに対して高速フーリエ変換を行うものである。また、信号成分検出手段13は、高速フーリエ変換手段12が出力するスペクトルから、信号成分を検出するものである。更に、特徴量抽出手段14は検出された信号の特徴量を抽出し、それらを特徴量ベクトルとして記録するものである。
【0028】
次に仮説生成手段20の詳細な構成について説明する。
図9は、仮説生成手段20の構成図である。
図において、追加仮説生成手段21は、仮説選択手段50から入力された保持仮説を基に、信号検出手段10から入力された信号を送信源やノイズに分類する追加仮説を生成するものである。また仮説組み合わせ手段22は、追加仮説生成手段21で生成された追加仮説と、仮説選択手段50から入力された保持仮説を組み合わせ、新たな仮説を生成するものである。
【0029】
次に、実施の形態1における信号分類装置の動作について説明する。
信号検出手段10におけるアナログ・デジタル変換手段11は、入力されるアナログの受信信号を一定間隔でサンプリングし、デジタルに変換したデータを出力する。次に、高速フーリエ変換手段12は、デジタルに変換されたデータに対して高速フーリエ変換処理を行い、データに含まれる信号のスペクトル成分を出力する。その後、信号成分検出手段13は、高速フーリエ変換手段12が出力した信号のスペクトル成分から、信号成分を検出する。その方法として、予め設定した閾値と比較する方法や、高速フーリエ変換処理毎の平均値に予め設定した信号検出パラメータを加算もしくは乗算した値を閾値として、閾値を超えたものを検出する方法などがある。そして特徴量抽出手段14は、信号成分検出手段13が検出した信号成分の特徴量(出現時刻、消滅時刻、継続時間、キャリア周波数、受信方位角度、周波数帯域幅、ピーク電力など)を抽出する。尚、受信システムが方探装置を備え、受信した信号の受信方位角度を測定している場合には、信号の受信方位角度も特徴量とし、先に抽出した特徴量と共に特徴量ベクトルとして信号の番号と共に記録する。
【0030】
以下、分類する信号の例として、周波数固定信号と周波数変動信号を例にとり説明する。また以下の処理では、初期化フラグが入力された場合と、出力要求フラグが入力された場合、いずれも入力されていない場合の三つの場合に分けて処理を説明する。
【0031】
●初期化フラグが入力された場合
仮説生成手段20は、初期化フラグが入力された場合に、保持仮説なしとして処理を行う。先ず、追加仮説生成手段21において、保持仮説が無い状態の追加仮説が生成される。生成される追加仮説としては、下記(A)、(B)、(C)である。
(A)「1番目の信号」を、1個目の周波数変動送信源が放射した信号に分類する追加仮説。
(B)「1番目の信号」を、1個目の周波数固定送信源が放射した信号に分類する追加仮説。
(C)「1番目の信号」を、ノイズを誤検出した信号であるとして分類する追加仮説。
そして仮説組み合わせ手段22において、追加仮説生成手段21で生成された追加仮説と保持仮説を組み合わせ、「1番目の信号」を分類した「1信号の仮説」が生成される。
【0032】
しかし、この場合、保持仮説がないため、上記(A)〜(C)の追加仮説がそのまま「1信号の仮説」となる。生成された「1信号の仮説」を下記(ア)、(イ)、(ウ)に示す
(ア)「1番目の信号」を、1個目の周波数変動送信源が放射した信号に分類する仮説。
(イ)「1番目の信号」を、1個目の周波数固定送信源が放射した信号に分類する仮説。
(ウ)「1番目の信号」を、ノイズを誤検出した信号であるとして分類する仮説。
【0033】
次に、評価値算出手段30は、仮説に付加されている仮説評価値を初期化した後、仮説評価値を求め、各仮説に付加する。特徴量評価値の算出方法は、初期化フラグと出力要求フラグのいずれも入力されていない場合の処理の説明で述べる。
続いて、仮説数減少手段40は、評価値算出手段30で算出された仮説評価値を基に、仮説の一部を破棄し、仮説数を減少させる。仮説数減少手段40の具体的な方法も、初期化フラグと出力要求フラグのいずれも入力されていない場合の処理と同様であるため、これについては後述する。仮説選択手段50は、仮説数減少手段40で選択され保持仮説になった仮説を仮説生成手段20に出力する。
【0034】
●初期化フラグと出力要求フラグのいずれも入力されていない場合
初期化フラグが入力されていない場合、即ち、「n番目(但し、n>1)の信号」が入力された場合、先ず上述したように、信号検出手段10により、「n番目の信号」の特徴量ベクトルが生成され記録される。
続いて仮説生成手段20は、図9に示すように、追加仮説生成手段21と仮説組み合わせ手段22を備え、仮説選択手段50で選択された「(n−1)信号の保持仮説」と、「n番目の信号の追加仮説」を組み合わせて、「n信号の仮説」を生成する。いま、「(n−1)信号の保持仮説」が、(n−1)個の信号をK個の周波数変動送信源とM個の周波数固定送信源とノイズに分類する仮説であるとする。この場合追加仮説生成手段21では、下記の追加仮説を生成する。
【0035】
(D)「n番目の信号」を、1〜(K+1)個目の周波数変動送信源が放射した信号に分類する追加仮説。
(E)「n番目の信号」を、1〜(M+1)個目の周波数固定送信源が放射した信号に分類する追加仮説。
(F)「n番目の信号」を、ノイズを誤検出した信号であるとして分類する追加仮説。
そしていまn=8で、保持仮説の一つが式(13)であるとする。
[1 2 1 −1 0 0 1] (13)
【0036】
この場合、上記(D)の追加仮説として、下記(14)〜(16)が生成される。ここでXは、信号の分類が未定であることを表す。
[X X X X X X X 1] (14)
[X X X X X X X 2] (15)
[X X X X X X X 3] (16)
【0037】
また、上記(E)の追加仮説として、下記(17)、(18)が生成される。
[X X X X X X X −1] (17)
[X X X X X X X −2] (18)
更に上記(F)の追加仮説として、下記(19)が生成される。
[X X X X X X X 0] (19)
【0038】
そして、仮説組み合わせ手段22において、上記(14)〜(19)の追加仮説と、式(10)の7信号の保持仮説を組み合わせて、下記(20)〜(25)の8信号の仮説が生成される。
[1 2 1 −1 0 0 1 1] (20)
[1 2 1 −1 0 0 1 2] (21)
[1 2 1 −1 0 0 1 3] (22)
[1 2 1 −1 0 0 1 −1] (23)
[1 2 1 −1 0 0 1 −2] (24)
[1 2 1 −1 0 0 1 0] (25)
【0039】
続いて評価値算出手段30により、仮説生成手段20で生成された仮説の仮説評価値を算出する。いま、「n信号の仮説h」は、「(n−1)信号の保持仮説h’」と「n番目の信号の追加仮説r」を組み合わせて生成された仮説であるとし、この「n信号の仮説h」を例に評価値算出方法について説明する。先ず、j=1番目の特徴量(出現時刻)と、j=2番目の特徴量(継続時間)の適合関数をPf、1、2とし、j(j≧3)番目の特徴量の適合関数をPf、jとする。また、「(n−1)信号の保持仮説h’」の仮説評価値をL(n-1)、h'とし、「(n−1)信号の保持仮説h’」の分類として「1〜(n−1)番目の信号」の特徴量ベクトルが与えられた場合に、「n番目の信号の追加仮説r」の分類が正しい確率をPtとする。この場合、「n信号の仮説h」の仮説評価値Ln、hを、式(26)により求める。
【数4】

【0040】
ここで「n番目の信号の追加仮説」は、「n番目の信号」を「1個目の周波数固定送信源」に分類する仮説で、「1個目の周波数変動送信源」には、複数個の信号が既に分類されているとする。そして、周波数変動送信源と周波数固定送信源に分類されている信号の継続時間の合計がtst、「1個目の周波数変動送信源」に分類されている信号の継続時間の合計がtst、1であるとすると、Ptを次式(27)により算出する。
t=(1−PNS−PFT−PNO)×tst、1/tst (27)
ここで、PNSは新たな周波数変動送信源から信号を受信する確率で、PFTは新たな周波数変動送信源から信号を受信する確率、PNOはノイズを誤検出する確率とする。これらの確率は、パラメータとして事前に設定したり、「(n−1)信号の保持仮説h’」を基に算出した値を用いる。
【0041】
尚、式(27)の代わりに、周波数変動送信源と周波数固定送信源に分類されている信号数をnST、「1個目の周波数変動送信源」に分類されている信号数をnST、1とした場合に、下式(28)を用いて算出してもよい。
t=(1−PNS−PFT−PNO)×nst、1/nst (28)
【0042】
【数5】

ここでZは、「n'番目の信号」と「n番目の信号」の間に発生した失検出に関するパラメータで、(Z−1)が失検出の回数である。そして、失検出のパラメータZは、上式(26)が最大となる自然数という条件で求める。尚、失検出とは、受信した信号が何らかの影響で検出できないことで、図10に示すように本来401〜403の3つの信号が存在するが、そのうち点線で示す402が検出できず、401と403の二つの信号しか認識できないことを表す。
【0043】
【数6】

【0044】
【数7】

【0045】
次に、j(≧3)番目の特徴量の適合関数について、j=3番目の特徴量(受信方位角度)を例にとり説明する。
【数8】

【0046】
尚、上記の実施の形態では、信号の特徴量が類似する考え、特徴量の確率密度関数を正規分布で近似し適合関数として用いているが、特徴量の種類によっては指数分布や一様分布など、他の分布により確率密度関数を近似し、適合関数として用いても良い。
【0047】
上記の様にして適合値を算出し、それを基に式(23)で仮説評価値を求める。そして求めた仮説評価値を仮説に付加し出力する。
仮説数減少手段40は、評価値算出手段30が算出した仮説評価値に従い、仮説を取捨選択して仮説数を減少させる。その方法として、予め選択する仮説数hsを決定しておき、仮説評価値の高いhs個の仮説を選択する方法や、仮説の評価値に閾値を設け、閾値を超えた仮説を選択する方法などが考えられる。閾値には、全仮説の和に定数を掛けたものや、全仮説の中で最も評価値が高い仮説評価値に定数を掛けたものなどが考えられる。
仮説選択手段50は、仮説数減少手段40で選択された全ての仮説を保持仮説として、出力する。
【0048】
●出力要求フラグが出力された場合
この場合、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40の処理は、上述した(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるので説明を省略する。一方、仮説選択手段50は、仮説数減少手段40から入力された仮説の中で、最も仮説評価値の高い仮説を一つ選択し、それを信号分類結果として出力する。
【0049】
以上のように、実施の形態1の信号分類装置によれば、任意の送信源から、周期的な出現時刻と一定の継続時間を有する信号群を受信し、この信号群から、各信号の出現時刻と継続時間をはじめとする複数種類の特徴量を抽出する信号検出手段と、信号検出手段で、新たな信号を受信した場合、新たな信号を、どの送信源からの信号であるかを分類した追加仮説と、既に求められている保持仮説とを組み合わせ、新たな信号が放射されたと推定される送信源毎にその信号を分類する仮説を生成する仮説生成手段と、各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して定義した適合関数とその他の特徴量で定義された適合関数に基づいて、仮説生成手段で生成した仮説の評価値を算出する評価値算出手段と、評価値算出手段で算出した評価値が上位の仮説を所定数選択して出力する仮説数減少手段と、仮説数減少手段で送出した仮説に基づき、保持仮説を出力する仮説選択手段とを備えたので、信号分類装置として分類性能を向上させることができる。
【0050】
なお、各信号の出現時刻差と継続時間の標準偏差は、等しい値になることが多い。そのため、実施の形態1の信号分類装置のように、評価値算出手段が各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差の平均を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出するようにしても良い。このようにすると、例えば標準偏差の算出に用いるデータ数が少ない場合でも、正しい値の標準偏差を求められる割合が増加するため、より高精度に分類することができる。
【0051】
また、実施の形態1の信号分類装置によれば、評価値算出手段は、各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差のうち、その値の大きい標準偏差を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出するようにしても良い。例えば、標準偏差の算出に用いるデータ数が極端に少なく、出現時刻差もしくは継続時間の標準偏差の一方が小さな値になってしまった場合でも、標準偏差の大きい一方の値を用いることで正しい値の標準偏差に近づくため、適合度が正しい値に近づき、分類を誤る割合が減少する。
【0052】
また、実施の形態1の信号分類装置によれば、評価値算出手段は、各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差のうち、その値の小さい標準偏差を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出するようにしても良い。例えば、標準偏差の算出に用いるデータ数が極端に少なく、出現時刻差もしくは継続時間の標準偏差の一方が大きい値になってしまった場合でも、標準偏差の小さい一方の値を用いることで正しい値の標準偏差に近づくため、適合度が正しい値に近づき、分類を誤る割合が減少する。
【0053】
なお、上記で述べたような出現時刻差の標準偏差と、継続時間の標準偏差の平均値を用いるか、大きい値を用いるか、小さい値を用いるかの判断を、標準偏差を求めるためのデータ数と、2つの標準偏差の大きさの比較結果をパラメータとして、自動的に変動させるようなものであっても良い。つまり、2つの標準偏差の大きさの大きく異なり、データ数が極端に少ない場合は、標準偏差の大きい値もしくは小さい値を用い、それ以外は平均を用いる。大きい値を用いるか小さい値を用いるかの判断は、事前に標準偏差の範囲を設定し、標準偏差の一方の値が極端に小さく、範囲を逸脱した場合は標準偏差の大きい値を用い、その逆の場合は標準偏差の小さい値を用いる。こうすることで、正しい値に近い標準偏差を用いて適合度を算出することができるため、より高精度に分類できることが期待できる。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態1では,仮説生成手段20において,追加仮説の生成を無条件で行っているが、特徴量を比較することで明らかに分類を誤った追加仮説の生成を削減することができる。これにより、処理する仮説数を削減できるため、処理の高速化が図れる。そこで、特徴量を比較することで生成する仮説数を削減し、処理を高速化する実施の形態2として次に説明する。尚、実施の形態2と実施の形態1との相違は、仮説生成手段に関してのみであるため、他の構成については、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図11は、実施の形態2の構成図である。
図において、仮説生成手段20aは、仮説生成信号判別手段23、追加仮説生成手段21、仮説組み合わせ手段22を備えている。ここで、実施の形態1との相違は、仮説生成信号判別手段23を備えている点である。この仮説生成信号判別手段23は、新たな信号が、複数の特徴量のうち、少なくともいずれか一つの特徴量が、対応する特徴量の分布に基づく所定の範囲内の値であった場合に、仮説を生成する信号であると決定する機能を有している。
【0056】
次に、この仮説生成信号判別手段23の動作を、「(n−1)信号の保持仮説h」に対応した「n番目の信号の追加仮説」を生成する場合を例に更に説明する。今、「(n−1)信号の保持仮説h」は、(n−1)個の信号を3個の周波数変動送信源と、3個の周波数固定送信源に分類する仮説であるとする。
【数9】

【0057】
また、「(n−1)信号の保持仮説h」において、1個目の周波数固定送信源に最後に分類された信号の出現時刻がfn',1であるとする。この場合、「n番目の信号」の出現時刻fn,1が下式(33)を、継続時間fn,2が下式(34)を満たす場合、「n番目の信号」を「(n−1)信号の保持仮説h」の1個目の周波数変動送信源に分類した追加仮説を生成する。
【数10】

ここでα,βは、予め設定した許容範囲とする。またZは、失検出に関するパラメータで、Zを自然数とした条件で式(33)、(34)を満たすZが存在する場合、出現時刻と継続時間の条件を満たすものと判断する。
【0058】
尚、α,βは、下式(35)、(36)の様に、信号の出現時刻差の標準偏差と継続時間の標準偏差を基に与えるものでも良い。即ち、対象となる信号の出現時刻差と継続時間の値が、出現時刻差と継続時間の標準偏差の平均値から所定の範囲内の値であった場合に仮説を生成する信号であると決定するよう構成されている。
【数11】

【0059】
そして「n番目の信号」が上記条件を満たす場合、「n番目の信号」は「(n−1)信号の保持仮説h」の1個目の周波数変動送信源の信号の可能性があると考え、それ対応した追加仮説を生成する。上記の様に、追加仮説生成に条件を設けることで、明らかに分類を誤った追加仮説の生成を削減することができるため、処理する仮説数を削減することができる。
【0060】
尚、上記実施の形態2では、複数の特徴量のうち、出現時刻と継続時間の条件の場合を説明したが、これに限定されるものではなく、他の特徴量であってもよい。また、複数の特徴量のうち、いくつかの種類の特徴量の条件を満たした場合に仮説を生成する信号として決定する等、運用条件やシステムの構成に応じて適宜特徴量を選択してもよい。
【0061】
以上のように、実施の形態2の信号分類装置によれば、仮説生成手段は、新たな信号が、複数の特徴量のうち、少なくともいずれか一つの特徴量が、対応する特徴量の分布に基づく所定の範囲内の値であった場合に、仮説を生成する信号であると決定する仮説生成信号判別手段を備えたので、実施の形態1の効果に加えて、明らかに分類を誤った追加仮説の生成を削減することができるため、処理する仮説数を削減することができ、その結果、信号分類装置としての処理の高速化を図ることができる。
【0062】
また、実施の形態2の信号分類装置によれば、仮説生成信号判別手段は、新たな信号の特徴量が、対応する特徴量の標準偏差の平均値から所定の範囲内の値であった場合に仮説を生成する信号であると決定するようにしたものである。出現時刻差と継続時間の標準偏差は等しい値になることが多いため、標準偏差の算出に用いるデータ数が少ない場合でも、平均化することで正しい標準偏差の値に近づけることができ、より効率よく不要な仮説の生成を抑えることができる効果がある。
【0063】
また、実施の形態2の信号分類装置によれば、仮説生成信号判別手段は、新たな信号を出現時刻差と継続時間の標準偏差に基づいて判定する場合、2つの標準偏差のうち、大きな値を用いるようにしたので、例えば、標準偏差を求めるためのデータ数が少ない場合でも、値のばらつきにより誤って追加仮説の生成を排除してしまうといったことがなく、より安全な結果を得ることができる。
【0064】
また、実施の形態2の信号分類装置によれば、仮説生成信号判別手段は、新たな信号を出現時刻差と継続時間の標準偏差に基づいて判定する場合、2つの標準偏差のうち、小さな値を用いるようにしたので、仮説を生成する信号をより絞り込むことができるため、処理の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の実施の形態1による信号分類装置を示す構成図である。
【図2】各信号の状態を示す説明図である。
【図3】信号a、信号bの出現時刻差の適合度を示す説明図である。
【図4】継続時間の適合度を示す説明図である。
【図5】継続時間の適合度を再算出する場合の説明図である。
【図6】信号の出現時刻と継続時間との関係を示す説明図である。
【図7】3信号の仮説を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による信号分類装置の信号検出手段の詳細を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1による信号分類装置の仮説生成手段の詳細を示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1による信号分類装置の失検出の状態を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態2による信号分類装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
10 信号検出手段、20,20a 仮説生成手段、23 仮説生成信号判別手段、30 評価値算出手段、40 仮説数減少手段、50 仮説選択手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の送信源から、周期的な出現時刻と一定の継続時間を有する信号群を受信し、当該信号群から、少なくとも各信号の出現時刻と継続時間を特徴量として抽出する信号検出手段と、
前記信号検出手段で、新たな信号を受信した場合、当該新たな信号を、どの送信源からの信号であるかを分類した追加仮説と、既に求められている保持仮説とを組み合わせ、前記新たな信号が放射されたと推定される送信源毎に当該信号を分類する仮説を生成する仮説生成手段と、
少なくとも各信号の出現時刻の差と継続時間との相関を考慮して定義した適合関数に基づいて、前記仮説生成手段で生成した仮説の評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段で算出した評価値が上位の仮説を所定数選択して出力する仮説数減少手段と、
前記仮説数減少手段で送出した仮説に基づき、前記保持仮説を出力する仮説選択手段とを備えた信号分類装置。
【請求項2】
評価値算出手段は、
各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差の平均を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の信号分類装置。
【請求項3】
評価値算出手段は、
各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差のうち、その値の大きい標準偏差を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の信号分類装置。
【請求項4】
評価値算出手段は、
各信号の出現時刻差を基に算出した標準偏差と、各信号の継続時間を基に算出した標準偏差のうち、その値の小さい標準偏差を、各信号の出現時刻差と継続時間の相関を考慮した適合関数の標準偏差として用いて評価値を算出することを特徴とする請求項1記載の信号分類装置。
【請求項5】
仮説生成手段は、
新たな信号が、複数の特徴量のうち、少なくともいずれか一つの特徴量が、対応する特徴量の分布に基づく所定の範囲内の値であった場合に、仮説を生成する信号であると決定する仮説生成信号判別手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の信号分類装置。
【請求項6】
仮説生成信号判別手段は、
新たな信号の特徴量が、対応する特徴量の標準偏差の平均値から所定の範囲内の値であった場合に仮説を生成する信号であると決定することを特徴とする請求項5記載の信号分類装置。
【請求項7】
仮説生成信号判別手段は、
新たな信号を出現時刻差と継続時間の標準偏差に基づいて判定する場合、当該2つの標準偏差のうち、大きな値を用いることを特徴とする請求項6記載の信号分類装置。
【請求項8】
仮説生成信号判別手段は、
新たな信号を出現時刻差と継続時間の標準偏差に基づいて判定する場合、当該2つの標準偏差のうち、小さな値を用いることを特徴とする請求項6記載の信号分類装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate