信号分類装置
【課題】送信源の電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止する信号分類装置を得る。
【解決手段】仮説選択手段50からの仮説と信号検出手段10からの信号の時刻情報に基づき電波放射停止と判断された送信源を含む仮説と修正不要仮説を出力する送信停止判断手段60、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号がノイズとして判断された送信源を含む仮説と修正不要仮説を出力するノイズ判断手段70、ノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正と評価値を再算出して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段80、修正済仮説と同一内容の修正済仮説がある場合1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、ない場合そのまま出力する修正仮説統合手段90、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説がある場合はその修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説統合手段100を備える。
【解決手段】仮説選択手段50からの仮説と信号検出手段10からの信号の時刻情報に基づき電波放射停止と判断された送信源を含む仮説と修正不要仮説を出力する送信停止判断手段60、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号がノイズとして判断された送信源を含む仮説と修正不要仮説を出力するノイズ判断手段70、ノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正と評価値を再算出して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段80、修正済仮説と同一内容の修正済仮説がある場合1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、ない場合そのまま出力する修正仮説統合手段90、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説がある場合はその修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説統合手段100を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、信号を受信する毎に下記3つのステップを繰り返すことで信号を分類するものがある(例えば、非特許文献1参照)。なお、以下では、信号を送信源毎に分類した例を仮説と呼ぶ。
ステップ1:新たに受信した信号と、選択された仮説を組み合わせて、新たな仮説を生成する。
ステップ2:生成した仮説の評価値を算出する。
ステップ3:算出した評価値を基に、仮説を取捨選択する。
【0003】
【非特許文献1】石川、原沢、岩本著「多重仮説相関法を用いた電波分類法の提案」、信学技法SANE2003-6、2003年4月、P29〜34
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の手法では、前記ステップ1の仮説生成において、各送信源は常に電波放射を継続していると考え、新たな仮説を生成していた。ところが、実際には、送信源が電波放射を停止する場合があり、そのような場合には、送信源の電波放射停止後に分類を誤る問題がある。
【0005】
この発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、送信源の電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる信号分類装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る信号分類装置は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、受信した信号を検出しその特徴量を複数種類抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段と、前記信号検出手段からの信号を分類した仮説と仮説統合手段からの仮説とを組み合わせて、信号が放射されたと推定される送信源毎に信号を分類した仮説を生成する仮説生成手段と、前記仮説生成手段からの仮説の評価値を算出し仮説に付加して出力する評価値算出手段と、前記評価値算出手段からの仮説評価値に基づいて仮説を取捨選択して仮説数を減少させる仮説数減少手段と、出力要求フラグが入力された場合には、前記仮説数減少手段からの仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、前記仮説数減少手段からの仮説全てを出力する仮説選択手段と、前記仮説選択手段からの仮説と前記信号検出手段が新たに出力する信号の時刻情報とに基づいて各仮説の送信源が電波放射停止であるか否かを判断し、当該判断結果に基づいて電波放射停止と判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力する送信停止判断手段と、前記送信停止判断手段からの各仮説で、電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号が所定の条件を満たしているか否かを判断し、当該判断結果に基づいてノイズと判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力するノイズ判断手段と、前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正とその修正内容に従い仮説の評価値を再度計算して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段と、前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否かを検索し、同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説のうち1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、破棄されず残った仮説を出力し、同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、前記修正手段からの修正済仮説をそのまま出力する修正仮説統合手段と、前記修正仮説統合手段からの修正済仮説と前記送信停止判断手段及び前記ノイズ判断手段からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説を破棄し、破棄されず残った修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、全ての修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力する仮説統合手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、送信源の電波放射停止を判断し仮説生成に反映できるため、送信源の電波放射後に発生する分類の誤りを防止することができる。また、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号が所定の条件を満たさない場合、それらはノイズを誤って分類している。このため、前記のような分類を誤った仮説を検出し、仮説を修正する。仮説修正の結果、同一内容の仮説が発生しても、それを1つにまとめることがで、その分多くの仮説を扱うことができ、その結果、性能向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、この発明について概略的に説明する。この発明においては、新たに分類する信号と各送信源に分類された信号の特徴量を比較することで、各仮説の各送信源が電波放射を継続しているか否かを判断する。そして、電波放射停止と判断されると、その送信源にはその後信号は分類されない処理を付加する。また、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号数が極端に少ない場合、それらはノイズを誤って分類したと考えられる。これら信号を正しくノイズに分類した仮説も生成されているが、従来例におけるステップ3の仮説の取捨選択で、正しく分類された仮説が既に破棄されている可能性もある。そこで、前記のような仮説の誤りが判明した場合、誤って分類された信号をノイズに分類して仮説を修正する。さらに、修正した仮説と同一内容の仮説が存在する可能性があるため、同一内容の仮説の有無を検索し、同一内容の仮説が存在する場合は、それら同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄する。これにより、分類に誤りのある仮説が発生しても、それを検出して修正し、修正の結果、同一内容の仮説が複数存在する場合でも、それらを検索し1つの仮説に統合する。
【0009】
以上により、下記の効果を奏し、性能の向上が期待できる。
(A)送信源の電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる。
(B)ノイズを誤って送信源に分類した仮説の誤りを修正できる。
(C)同一内容の仮説を1つにまとめることで、その分多くの種類の仮説を扱うことができる。
【0010】
以下の説明では、送信源に分類された信号がノイズと判断され、それに従い修正した仮説を修正済仮説と呼び、元々正しく分類され仮説の修正が不要な仮説を修正不要仮説と呼ぶ。
【0011】
次に、この発明の基本的な概念について説明する。
この発明に係る信号分類装置は、アンテナによって受信される信号を送信源毎に分類することを目的としているが、そのために信号の物理的性質や物理的性質から算出された属性値など、信号の各特徴量に着目して信号の分類を行う。これは、同一の送信源から放射された信号同士は、その特徴量が類似すると考えられるためである。
【0012】
そのため、これらの特徴量の類似性を利用すれば、信号を送信源毎に分類することができる。例えば、信号を放射する送信源の位置とそれを受信する受信源の位置が共に固定であれば、1つの送信源が放射した信号を受信する方位(受信方位角度)は等しくなるため、その類似性を利用して信号を送信源毎に分類することができる。
【0013】
また、固定の周波数の信号を放射する周波数固定送信源からの信号(周波数固定信号)は、信号のキャリア周波数が類似するため、キャリア周波数の類似性を利用して分類することができる。さらに、周波数を定期的に変えるような周波数変動送信源からの信号(周波数変動信号)は、1つの周波数における信号の出現から消滅までの継続時間が類似し、また、信号の出現時刻も周期的であるため、これらを利用して分類することができる。
【0014】
具体的には、信号を分類した仮説を複数個生成し、生成した仮説に対して、前述した特徴量の類似性を利用して仮説の評価値を算出する。そして、評価値の最も高い仮説を分類結果とする。しかし、この方法の場合、生成される仮説数は、分類する信号数に対して指数関数的に増大する。このため、複数個の信号を一括して処理すると、生成される仮説数は爆発的に増大するため、計算機に大きな負荷がかかってしまう。
【0015】
そこで、信号1つ毎に仮説を生成し、生成した仮説に対して評価値を算出し、算出した評価値を基に仮説を複数個選択する。そして、選択された仮説と、次に分類する信号を組み合わせ新たな仮説を生成し、生成した仮説の評価値を算出し、評価値を基に仮説を複数個選択するという処理を繰り返して信号を分類する。この方法の場合、一度に分類する信号数は1つであるため、生成される仮説数が膨大になることは無く、計算機の負荷を軽減して信号を分類することができる。
【0016】
前記方法による仮説の生成では、分類しようとする信号は、各仮説のいずれかの送信源か、ノイズに分類されていた。各仮説において、送信源が電波放射を停止したとする仮説は生成しておらず、その結果、送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、分類しようとする信号の出現時刻の差が大きい場合でも、同一の送信源に分類された仮説が生成されてしまった。しかし、実際には、長い時間信号を受信できない送信源は、既に電波放射を停止している可能性が高い。そこで、送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、分類しようとする信号の出現時刻の差が所定の条件を満たす場合、その送信源は、既に電波放射を停止したとする仮説を生成し、電波放射停止と判断された送信源には、その後信号が分類されないようにする。
【0017】
さらに、電波放射停止と判断された送信源で、分類されている信号数が極端に少ない場合、それら信号は本来ノイズであり、誤って分類されている可能性が高い。そこで、このような場合には、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号を、ノイズに分類し直す仮説の修正を行う。しかし、仮説の修正内容によっては、(1)同一内容の修正済仮説が複数発生する場合や、(2)修正済仮説が修正不要仮説と同一内容になってしまう場合がある。同一内容の仮説を複数扱うことは全く無駄であるので、仮説の修正の結果、同一内容の仮説の有無を検出し、同一内容の仮説は1つを残して残りを破棄する。
【0018】
次に、分類する信号と特徴量について説明する。信号は受信した順番で区別することとする。そのため、n番目に受信した信号を、「n番目の信号」と呼ぶ。そして、「n番目の信号」から抽出される複数の特徴量の中で、j種類目の特徴量の値をfn、jと表す。また、「n番目の信号」の全種類の特徴量を特徴量ベクトルFnとする。これらの関係を下式(1)に示す。
【0019】
【数1】
【0020】
次に、この発明の中で用いる仮説について説明する。まず、「1〜n番目の信号」を分類した仮説を「n信号の仮説」と呼び、「n信号の仮説」を任意の順番に並べた場合に、h個目の「n信号の仮説」を「n信号の仮説h」と呼ぶ。また、「n番目の信号」を分類した仮説を「n番目の信号の仮説」と呼ぶ。「n番目の信号の仮説」も複数存在するため、r個目の「n番目の信号の仮説」を「n番目の信号の仮説r」と呼ぶ。「n信号の仮説」が「1〜n番目の信号」を分類した仮説であるのに対して、「n番目の信号の仮説」は、1つの信号(「n番目の信号」)を分類した仮説である。
【0021】
次に、仮説の生成方法について説明する。図1に、「1〜3番目の信号」を仮に分類した2つの「3信号の仮説」を示す。図1に示すように、「3信号の仮説1」は、受信した信号301と303を1つの送信源からの信号と考え、1個目の送信源に分類し、受信した信号302を1個目の送信源とは別の送信源からの信号と考え、2個目の送信源に分類した仮説を表す。また、「3信号の仮説2」は、信号301、302、303を1つの送信源からの信号と考え、1個目の送信源に分類した仮説を表す。
【0022】
ここで、さらに新たに「4番目の信号」を分類する場合を考える。図1における「3信号の仮説1」に対しては、「4番目の信号」を1個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説1」、2個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説2」、3個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説3」などが考えられる。そして、「3信号の仮説1」と、複数の「4番目の信号の仮説」をそれぞれ組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。同ように、「3信号の仮説2」に対しても、「4番目の信号の仮説」は複数考えられるので、これら「4番目の信号の仮説」を「3信号の仮説2」に組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。以上が、信号を分類した仮説及びその生成方法の説明である。以下、前記仮説を用いた信号分類装置の実施の形態について説明する。
【0023】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1に係る信号分類装置の構成を示すブロック図である。図2に示す信号分類装置は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、受信信号を検出しその特徴量を抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段10と、信号検出手段10からの信号を分類した仮説と仮説統合手段100から出力される仮説を組み合わせてその信号が放射された送信源毎に信号を分類した新たな仮説を生成する仮説生成手段20と、仮説生成手段20により生成された仮説の評価値を算出して仮説に付加し出力する評価値算出手段30と、評価値算出手段30により算出される評価値に基づいて仮説を取捨選択し仮説数を減少させる仮説数減少手段40と、出力要求フラグが入力された場合には、仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択し分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、仮説を送信停止判断手段60に出力する仮説選択手段50とを備えている。
【0024】
また、仮説選択手段50からの仮説と、信号検出手段10からの信号の特徴量を基に、仮説の各送信源が電波放射を停止しているか否かを判断し、電波放射を停止していると判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する送信停止判断手段60と、送信停止判断手段60からの各仮説の電波放射停止の送信源で、それに分類されている信号の特徴量を基に、それら信号がノイズであるか否かを判断し、ノイズであると判断された場合にはそれらを修正手段80に出力し、そうでない場合には、修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力するノイズ判断手段70と、ノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正と、その修正内容に従い仮説の評価値を再度算出して仮説に付加し、修正済仮説として出力する修正手段80とを備えている。
【0025】
さらに、修正手段80からの修正済仮説に対して、その内容が同一のものがあるかないかを検索し、同一内容の修正済仮説がある場合には同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し、無い場合には入力された修正済仮説をそのまま仮説統合手段100に出力する修正仮説統合手段90と、修正仮説統合手段90からの修正済仮説と、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説がある場合は同一内容の修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説統合手段100とを備えている。
【0026】
続いて、図3は、信号検出手段10の詳細な構成を示すブロック図である。図3に示すように、信号検出手段10は、受信されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換手段11と、デジタル変換されたデータに対して高速フーリエ変換を行う高速フーリエ変換手段12と、高速フーリエ変換手段12が出力するスペクトルから信号成分を検出する信号成分検出手段13と、検出された信号成分の特徴量を抽出する特徴量抽出手段14と、特徴量検出手段15で検出された信号の特徴量ベクトルを信号の出現時刻順に出力する信号ソート手段15とを有している。
【0027】
次に、図4は、送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。図4に示すように、送信停止判断手段60は、仮説選択手段50からの仮説の各送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、信号検出手段10からの新たな信号の特徴量ベクトルの出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断し、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、それ以外の仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する時刻差判断手段61を有している。
【0028】
また、図5は、ノイズ判断手段70の詳細な構成を示すブロック図である。図5に示すように、ノイズ判断手段70は、送信停止判断手段60からの仮説で電波放射停止と判断された送信源に分類された信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号はノイズを誤って分類したものと判断し、それら送信源を含む仮説は修正手段80に出力し、それ以外の仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する時間ノイズ判断手段71を有している。
【0029】
また、図6は、修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。図6に示すように、修正手段80は、ノイズ判断手段70からの仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類し直して仮説の修正する仮説修正手段81と、仮説の修正内容に従い仮説の評価値を算出し直して仮説に付加して修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する評価値修正手段82とを有している。
【0030】
また、図7は、修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。図7に示すように、修正仮説統合手段90は、修正手段80からの修正済仮説に対して、同一内容の仮説の有無を検索し、検索の結果同一仮説が無い場合、入力された修正済仮説全てを仮説統合手段100に出力する同一仮説検索手段91と、同一内容の仮説が存在する場合、同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し、残った修正済仮説を仮説統合手段100に出力する修正仮説破棄手段92とを有している。
【0031】
また、図8は、仮説統合手段100の詳細な構成を示すブロック図である。図8に示すように、仮説統合手段100は、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説とを比較し、修正済仮説と同一内容の修正不要仮説がある場合には同一内容の修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説比較手段101を有している。
【0032】
次に、信号分類装置1の処理について説明する。信号検出手段10におけるアナログ・デジタル変換手段11は、入力されるアナログの受信信号を一定間隔でサンプリングし、デジタルに変換したデータを出力する。高速フーリエ変換手段12は、デジタルに変換されたデータに対して高速フーリエ変換処理を行い、データに含まれる信号のスペクトル成分を出力する。その後、信号成分検出手段13は、高速フーリエ変換手段12が出力した信号のスペクトル成分から、信号成分を検出する。その方法として、あらかじめ設定した閾値と比較する方法や、高速フーリエ変換処理毎の平均値にあらかじめ設定した信号検出パラメータを加算もしくは乗算した値を閾値として、閾値を超えたものを検出する方法などがある。そして、特徴量抽出手段14は、信号検出手段13が検出した信号成分の特徴量(出現時刻、消滅時刻、継続時間、キャリア周波数、受信方位角度、周波数帯域幅、ピーク電力など)を抽出して、特徴量ベクトルFnを出力する。信号ソート手段15は、複数の信号から抽出された特徴量ベクトルFnの出現時刻の順番に、特徴量ベクトルを1つずつ仮説生成手段20に出力する。
【0033】
以下、分類する信号の例として、周波数固定信号と周波数変動信号が含まれる場合を例に取り説明する。また、以下の処理では、初期化フラグが入力された場合と、出力要求フラグが入力された場、いずれも入力されていない場合の3つの場合に分けて処理を説明する。
【0034】
(初期化フラグが出力された場合)
仮説生成手段20は、初期化フラグが出力された場合に、仮説を初期化し、「1番目の信号」についての「1番目の信号の仮説」を生成し、「1番目の信号の仮説」を「1番目の信号」として評価値算出手段30に出力する。「1番目の信号の仮説」に対しては、ノイズを誤検出した場合も考えられるため、仮説生成手段20は、下記(1)、(2)、(3)の3個の仮説を生成する。
(1)信号を、1個目の周波数変動送信源が放射した信号に分類する仮説。
(2)信号を、1個目の周波数固定送信源が放射した信号に分類する仮説。
(3)信号を、ノイズを誤検出した信号であるとして分類する仮説。
【0035】
評価値算出手段30は、各仮説に付加されている仮説評価値を初期化した後、仮説評価値を求めて各仮説に付加して仮説数減少手段40に出力する。仮説評価値の算出方法は、(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理の説明で述べる。
【0036】
仮説数減少手段40は、仮説に付加された仮説評価値を基に仮説を取捨選択し、仮説数を減少させる。この方法は、(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0037】
仮説選択手段50は、仮説数減少手段50からの仮説を、送信停止判断手段60に出力する。
【0038】
送信停止判断手段60は、仮説選択手段50から出力された仮説と、信号検出手段10から出力された信号の特徴量ベクトルとを比較し、各仮説の送信源が電波放射を停止しているか否かを判断する。そして、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0039】
ノイズ判断手段70は、送信停止判断手段60から出力された各仮説で、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号について、それらが誤って分類されたノイズであるか否かを判断し、ノイズと判断された信号を含む仮説は修正手段80に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0040】
修正手段80は、ノイズ判断手段70から出力された各仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類し直す仮説修正を行い、さらにその修正にあわせて仮説の評価値も再算出して仮説に付加し、修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0041】
修正仮説統合手段90は、修正手段80からの修正済仮説の中に同一内容の仮説が含まれないかを検索し、含まれる場合は同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し,同一内容の仮説を1つにまとめる。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0042】
仮説統合手段100は、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力される修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力される修正済仮説の仮説内容を比較し、修正済仮説と同一内容の修正不要仮説がある場合には同一内容の修正済仮説を破棄する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0043】
(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)
初期化フラグが入力されていない場合、すなわち、n番目(ただしn>1)の信号が入力された場合、仮説生成手段20は、信号検出手段10が新たに出力した特徴量ベクトルの信号を分類した仮説と、仮説統合手段100が出力した仮説を組み合わせて、新たな仮説を生成する。ここで、仮説統合手段100が出力した仮説は、「1〜(n−1)番目の信号」を分類した仮説である。したがって、仮説統合手段100が出力した仮説は、「(n−1)信号の仮説」である。仮説生成手段20は、「(n−1)信号の仮説」と、信号検出手段10が新たに出力した特徴量ベクトルの信号(「n番目の信号」)を分類した「n番目の信号の仮説」を組み合わせて、「n信号の仮説」を生成する。
【0044】
ここで、「(n−1)信号の仮説h」に基づいて、「n番目の信号」を分類する場合を説明する。「(n−1)信号の仮説h」は、M個の周波数変動送信源とK個の周波数固定送信源を有する仮説であるとする。M個の周波数変動送信源とK個の周波数固定送信源は、いずれも電波放射を継続しているとする。この場合、仮説生成手段11は、下記(4)〜(9)の「n番目の信号の仮説」を生成し,「(n−1)信号の仮説h」を組み合わせて新たな「n信号の仮説」を複数生成する。
(4)「n番目の信号」をm個目の周波数変動送信源(ただし、1≦m≦M)に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
(5)m個目の周波数変動送信源が放射した信号を1つ以上失検出した後に、「n番目の信号」がm個目の周波数変動送信源が放射した信号であるとする複数の「n番目の信号の仮説」。
(6)「n番目の信号」を、これまで分類された信号が無い新たな周波数変動送信源((M+1)個目の周波数変動送信源)が放射した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
(7)「n番目の信号」を、k個目の周波数固定送信源(ただし、1≦k≦K)に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
(8)「n番目の信号」を、これまで分類された信号が無い新たな周波数固定送信源((K+1)個目の周波数固定送信源)が放射した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
(9)「n番目の信号」を、ノイズを誤検出した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
なお、M個の周波数変動送信源のうち、m'個目の周波数変動送信源が電波放射停止と判断されている場合には、上記(4)は下記(4')となる。
(4')「n番目の信号」を1〜(m'−1)個目の周波数変動送信源と、m'〜M個目の周波数変動送信源に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
また、K個の周波数固定送信源のうち、k'個目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断されている場合には、上記(7)は下記(7')となる.
(7')「n番目の信号」を1〜(k'−1)個目の周波数固定送信源と、k'〜K個目の周波数固定送信源に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
【0045】
今、「(n−1)信号の仮説」の総数がH個ある場合、前記(4)〜(9)の「n番目の信号の仮説」を生成する処理を「(n−1)信号の仮説h(1≦h≦H)」に対して行い、「n信号の仮説」を生成する。さらに、「(n−1)信号の仮説h」に対して「n番目の信号の仮説」がRh個考えられるとすると、仮説生成手段11は、式(2)より、合計G個の「n信号の仮説」を評価値算出手段30に出力する。
【0046】
【数2】
【0047】
評価値算出手段30は、仮説生成手段20が出力するG個の「n信号の仮説」に対して、仮説評価値を算出し、その結果を各仮説に付加して出力する。今、「n信号の仮説h」は、「(n−1)信号の仮説h'」と「n番目の信号の仮説r」を組み合わせて生成された仮説であるとする。この場合、「(n−1)信号の仮説h'」の仮説評価値をLpとする。また、「n番目の信号」が分類される送信源を示す「n番目の信号の仮説r」の分類が正しい確率をPtとする。さらに、「n番目の信号の仮説r」が示す「n番目の信号」の分類が正しいとした場合に、「n番目の信号」のj種類目の特徴量の値がfn、jとなる確率Pf、jとする。この場合、「n信号の仮説h」の仮説評価値Ljは、式(3)により求めることができる。
【0048】
【数3】
【0049】
ここで、特徴量のj=1は継続時間を示すものとし、「n番目の信号の仮説r」は、「n番目の信号」をm個目の周波数変動送信源に分類する仮説とする。そして、m個目の周波数変動送信源に分類された信号の継続時間の期待値が
【0050】
【数4】
【0051】
、その標準偏差が
【0052】
【数5】
【0053】
として求められているものとする。この場合、Pf、j(j=1)は、式(4)により算出される。
【0054】
【数6】
【0055】
評価値算出手段30は、前記のようにして仮説評価値を算出する。なお、n=1の場合、すなわち、初期化フラグが出力された場合には、「(n−1)信号の仮説」は存在しないこととなる。この場合(初期化フラグが出力された場合)、「(n−1)信号の仮説」の特徴量評価値LP、jを1とする(特徴量評価値LP、jを1とすることは、特徴量評価値を初期化することを意味する)。
【0056】
仮説数減少手段40は、評価値算出手段30が算出した仮説評価値に従い、仮説を取捨選択して仮説数を減少させる。その方法として、予め選択する仮説数hsを決定しておき、仮説評価値の高いhs個の仮説を選択する方法や、仮説の評価値に閾値を設け、閾値を超えた仮説を選択する方法などが考えられる。閾値には、全仮説の和に定数を掛けたものや、全仮説の中で最も評価値が高い仮説評価値に定数を掛けたものなどが考えられる。
【0057】
仮説選択手段50は、仮説数減少手段40から入力された全ての仮説を、送信停止判断手段60に出力する。
【0058】
送信停止判断手段60は、図4に示すように、時刻差判断手段61を備え、仮説選択手段50から入力された複数の「n信号の仮説」の各送信源に対して、信号検出手段10から入力された「(n+1)番目の信号」の特徴量ベクトルの出現時刻を利用して、電波放射が続いているか否かの判断を行う。その方法として、時刻差判断手段61では、各「n信号の仮説」の各送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、「(n+1)番目の信号」の出現時刻の差に閾値を設け、閾値を超えた送信源は、既に電波放射を停止したと判断する。そして、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力し、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力する。
【0059】
また、送信停止判断手段60は、図9に示すように、仮説選択手段50からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、信号検出手段10からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段62を備え、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力し、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力するようにしても良い。ここで、失検出とは、受信した信号が何らかの影響で検出できないことで、図10に示すように、本来、信号401〜403の3つの信号が存在しているが、そのうち点線で示す信号402が検出できず、信号401と403の2つの信号しか認識できないことを表す。
【0060】
さらに、送信停止判断手段60は、時刻差判断手段61と失検出回数判断手段62を備えるものであって良い。すなわち、仮説選択手段50から入力された各「n信号の仮説」の送信源のうち、周波数固定送信源については時刻差判断手段61により電波放射停止の判断を行い、周波数変動送信源については失検出回数判断手段62または時刻差判断手段61、若しくはその両方により電波放射停止の判断を行っても良い。失検出回数判断手段62では、各周波数固定送信源に最後に分類された信号と「(n+1)番目の信号」との間に発生した失検出回数を推定する。そして、その推定値が、失検出回数の閾値を超えた場合、その周波数変動送信源は既に電波放射を停止したと判断し、ノイズ判断手段70に出力する。
【0061】
今、「n信号の仮説h1」のm番目の周波数変動送信源の信号の出現時刻間隔が、t(m)SRIと推定されているとする。そして、m番目の周波数変動送信源に最後に分類された信号の出現時刻がf(m)Nm、2、「(n+1)番目の信号」の出現時刻がf(n+1)、2であるとする。この場合、m番目の周波数変動送信源に最後に分類された信号と「(n+1)番目の信号」の間に発生した失検出回数の推定値を、下式(5)で求める。
【0062】
【数7】
【0063】
ここで、ROUND(*)は、*を最も近い整数に丸める関数とする。そして、Zが、予め設定された失検出回数の最大値、ZMAXを超えている場合、m番目の周波数変動送信源は既に電波放射を停止したと判断する。時刻差判断手段61若しくは失検出回数判断手段62で、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力され、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力される。
【0064】
ノイズ判断手段70では、図5に示すように、時間ノイズ判断手段71を備え、送信停止判断手段60において、電波放射停止と判断された送信源に分類された信号が、ノイズであるか否かの判断を行う。その方法として、時間ノイズ判断手段71では、電波放射停止と判断された送信源に分類された信号の継続時間の合計に閾値を設け、その合計時間が閾値に満たないものをノイズと判断する。今、「n信号の仮説h2」のk番目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断されたとする。k番目の周波数固定送信源に分類されている信号数はNk個で、その継続時間がf(k)n、1(1≦n≦Nk)であるとする。ノイズ判断の合計継続時間の閾値をthCCTとすると、k番目の周波数固定送信源に分類されている信号がノイズであると判断される条件は、下式(6)である。
【0065】
【数8】
【0066】
そして、ノイズと判断された信号を含む仮説は、修正手段80へ出力され、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100へ出力される。
【0067】
また、ノイズ判断手段70は、図11に示すように、信号数ノイズ判断手段72を備えたものであっても良い。信号数ノイズ判断手段72では、送信停止判断手段60で電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号数に閾値を設け、信号数の合計が閾値に満たないものをノイズと判断する。今、「n信号の仮説h2」のk番目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断され、k番目の周波数固定送信源に分類されている信号数がNk個であるとする。ノイズ判断の信号数の閾値をthnomとすると、k番目の周波数固送信源に分類されている信号がノイズであると判断される条件は、下式(7)である。
【0068】
【数9】
【0069】
さらに、ノイズ判断手段70は、時間ノイズ判断手段71と信号数ノイズ判断手段72を備え、周波数固定送信源については時間ノイズ判断手段71で、周波数変動送信源については信号数ノイズ判断手段72で処理を行うような構成でも良い。また、周波数固定送信源と周波数変動送信源について時間ノイズ判断手段71で処理し、周波数変動送信源については更に信号数ノイズ判断手段72で処理するような構成など、複数の構成が考えられる。
【0070】
修正手段80は、図6に示すように、仮説修正手段81と評価値修正手段82を備え、ノイズ判断手段70でノイズと判断された各信号をノイズに分類し直す仮説の修正を行い、さらにその修正内容に合致した評価値を算出し直す。その方法として、仮説修正手段81では、ノイズ判断手段70から出力された仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類する仮説の修正を行う。そして、評価値修正手段82では、前記ノイズに分類する仮説修正に合致して仮説の評価値を再算出する。再算出した評価値を修正した仮説に付加して、修正済仮説とし修正仮説統合手段90に出力する。
【0071】
修正仮説統合手段90は、図7に示すように、同一仮説検索手段91と修正仮説破棄手段92を備え、修正手段80から出力された各修正済仮説について、同一内容の修正済仮説の有無を検索し、ある場合はそれらをまとめて1つの仮説として出力する。その方法として、まず、同一仮説検索手段91において、修正手段90から出力された修正済仮説に対して、同一内容の仮説の有無を検索する。そして、同一内容の修正済仮説が有った場合、それら修正済仮説を修正仮説破棄手段92に出力し、同一内容の仮説が無い場合、修正済仮説として仮説統合手段100に出力する。修正仮説破棄手段92では、入力された同一内容の修正済仮説のうち、1つを残して残りを破棄し、修正済仮説として仮説統合手段100に出力し、残りの仮説を破棄する。
【0072】
仮説統合手段100では、図8に示すように、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説を比較し、同一内容の仮説がある場合はそれらを1つの仮説にまとめて仮説生成手段20に出力し、無い場合は各手段から出力された仮説をそのまま仮説生成手段20に出力する。その方法として、仮説比較手段101において、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説と、送信停止判断手段60及びノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説を比較する。そして、修正済仮説と内容が同一の修正不要仮説が有った場合、同一の修正済仮説を廃棄する。全ての修正済仮説に対して全ての修正不要仮説と比較を行い,残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する。
【0073】
(出力要求フラグが出力された場合)
この場合、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40、送信停止判断手段60、ノイズ判断手段70、修正手段80、修正仮説統合手段90、仮説統合手段100の処理は、上述した(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるので説明を省略する。一方、仮説選択手段50は、仮説数減少手段40から入力された仮説の中で、最も仮説評価値の高い仮説を1つ選択し、それを信号分類結果として出力する。前記がこの発明の概要である。
【0074】
この発明の信号分類装置では、送信源が電波放射を停止したとする仮説も生成するため、送信源が電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる。また、ノイズを誤って分類した仮説を検出し修正する。さらに、仮説の修正の結果、同一内容の仮説が発生した場合でも、それらを統合するため、不要な仮説を淘汰でき、その分多くの種類の仮説を扱うことが可能となる。以上の効果から、分類性能の向上が期待できる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2に係る信号分類装置の構成は、図2に示す実施の形態1と同様であるためその図2で代用する。また、各手段の処理も、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40、仮説選択手段50、送信停止判断手段60、ノイズ判断手段70、仮説統合手段100は、同様であるため、説明を省略する。異なるのは、修正手段80と修正仮説統合手段90のみである。
【0076】
修正手段80では、図12に示すように、仮説修正手段81を備え、ノイズ判断手段70から出力された仮説でノイズと判断された信号をノイズに分類し直す仮説の修正を実施し、修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する。図6に示す実施の形態1の修正手段80と異なるのは、評価値修正手段82を備えない点で、仮説評価値の修正は無いまま修正仮説統合手段90に出力される。
【0077】
修正仮説統合手段90では、図13に示すように、同一仮説検索手段91と最大評価値仮説統合手段93を備え、修正手段80から出力された修正済仮説で、同一内容の仮説が含まれている場合、それらを1つに統合して仮説統合手段100に出力する。その方法として、まず、同一仮説検索手段91において、修正手段90から出力された修正済仮説に対して、同一内容の修正済仮説の有無を検索する。そして、同一内容の仮説がない場合は仮説統合手段100に出力し、同一内容の仮説があるものは、最大評価値統合手段93に出力する。最大評価値統合手段93では、入力された同一内容の仮説のうち、最も仮説評価値が高い仮説を1つ選び仮説統合手段100に出力し、残りの仮説を破棄する。前記2つの手段以外は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
この実施の形態2に係る信号分類装置においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。但し、評価値の修正を実施しないため、性能の劣化を伴う場合もあるが、その分評価値の修正に伴う演算量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明における仮説の生成方法について説明する図である。
【図2】この発明に係る信号分類装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る信号検出手段10の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るノイズ判断手段70の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る仮説統合手段100の詳細な構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。
【図10】失検出の概念を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るノイズ判断手段70の他の例の詳細な構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
10 信号検出手段、20 仮説生成手段、30 評価値算出手段、40 仮説数減少手段、50 仮説選択手段、60 送信停止判断手段、61 時刻差判断手段、62 失検出回数判断手段、70 ノイズ判断手段、71 時間ノイズ判断手段、72 信号数ノイズ判断手段、80 修正手段、81 仮説修正手段、82 評価値修正手段、90 修正仮説統合手段、91 同一仮説検索手段、92 修正仮説破棄手段、93 最大評価値仮説統合手段、100 仮説統合手段、101 仮説比較手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、信号を受信する毎に下記3つのステップを繰り返すことで信号を分類するものがある(例えば、非特許文献1参照)。なお、以下では、信号を送信源毎に分類した例を仮説と呼ぶ。
ステップ1:新たに受信した信号と、選択された仮説を組み合わせて、新たな仮説を生成する。
ステップ2:生成した仮説の評価値を算出する。
ステップ3:算出した評価値を基に、仮説を取捨選択する。
【0003】
【非特許文献1】石川、原沢、岩本著「多重仮説相関法を用いた電波分類法の提案」、信学技法SANE2003-6、2003年4月、P29〜34
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の手法では、前記ステップ1の仮説生成において、各送信源は常に電波放射を継続していると考え、新たな仮説を生成していた。ところが、実際には、送信源が電波放射を停止する場合があり、そのような場合には、送信源の電波放射停止後に分類を誤る問題がある。
【0005】
この発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、送信源の電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる信号分類装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る信号分類装置は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、受信した信号を検出しその特徴量を複数種類抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段と、前記信号検出手段からの信号を分類した仮説と仮説統合手段からの仮説とを組み合わせて、信号が放射されたと推定される送信源毎に信号を分類した仮説を生成する仮説生成手段と、前記仮説生成手段からの仮説の評価値を算出し仮説に付加して出力する評価値算出手段と、前記評価値算出手段からの仮説評価値に基づいて仮説を取捨選択して仮説数を減少させる仮説数減少手段と、出力要求フラグが入力された場合には、前記仮説数減少手段からの仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、前記仮説数減少手段からの仮説全てを出力する仮説選択手段と、前記仮説選択手段からの仮説と前記信号検出手段が新たに出力する信号の時刻情報とに基づいて各仮説の送信源が電波放射停止であるか否かを判断し、当該判断結果に基づいて電波放射停止と判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力する送信停止判断手段と、前記送信停止判断手段からの各仮説で、電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号が所定の条件を満たしているか否かを判断し、当該判断結果に基づいてノイズと判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力するノイズ判断手段と、前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正とその修正内容に従い仮説の評価値を再度計算して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段と、前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否かを検索し、同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説のうち1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、破棄されず残った仮説を出力し、同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、前記修正手段からの修正済仮説をそのまま出力する修正仮説統合手段と、前記修正仮説統合手段からの修正済仮説と前記送信停止判断手段及び前記ノイズ判断手段からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説を破棄し、破棄されず残った修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、全ての修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力する仮説統合手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、送信源の電波放射停止を判断し仮説生成に反映できるため、送信源の電波放射後に発生する分類の誤りを防止することができる。また、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号が所定の条件を満たさない場合、それらはノイズを誤って分類している。このため、前記のような分類を誤った仮説を検出し、仮説を修正する。仮説修正の結果、同一内容の仮説が発生しても、それを1つにまとめることがで、その分多くの仮説を扱うことができ、その結果、性能向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、この発明について概略的に説明する。この発明においては、新たに分類する信号と各送信源に分類された信号の特徴量を比較することで、各仮説の各送信源が電波放射を継続しているか否かを判断する。そして、電波放射停止と判断されると、その送信源にはその後信号は分類されない処理を付加する。また、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号数が極端に少ない場合、それらはノイズを誤って分類したと考えられる。これら信号を正しくノイズに分類した仮説も生成されているが、従来例におけるステップ3の仮説の取捨選択で、正しく分類された仮説が既に破棄されている可能性もある。そこで、前記のような仮説の誤りが判明した場合、誤って分類された信号をノイズに分類して仮説を修正する。さらに、修正した仮説と同一内容の仮説が存在する可能性があるため、同一内容の仮説の有無を検索し、同一内容の仮説が存在する場合は、それら同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄する。これにより、分類に誤りのある仮説が発生しても、それを検出して修正し、修正の結果、同一内容の仮説が複数存在する場合でも、それらを検索し1つの仮説に統合する。
【0009】
以上により、下記の効果を奏し、性能の向上が期待できる。
(A)送信源の電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる。
(B)ノイズを誤って送信源に分類した仮説の誤りを修正できる。
(C)同一内容の仮説を1つにまとめることで、その分多くの種類の仮説を扱うことができる。
【0010】
以下の説明では、送信源に分類された信号がノイズと判断され、それに従い修正した仮説を修正済仮説と呼び、元々正しく分類され仮説の修正が不要な仮説を修正不要仮説と呼ぶ。
【0011】
次に、この発明の基本的な概念について説明する。
この発明に係る信号分類装置は、アンテナによって受信される信号を送信源毎に分類することを目的としているが、そのために信号の物理的性質や物理的性質から算出された属性値など、信号の各特徴量に着目して信号の分類を行う。これは、同一の送信源から放射された信号同士は、その特徴量が類似すると考えられるためである。
【0012】
そのため、これらの特徴量の類似性を利用すれば、信号を送信源毎に分類することができる。例えば、信号を放射する送信源の位置とそれを受信する受信源の位置が共に固定であれば、1つの送信源が放射した信号を受信する方位(受信方位角度)は等しくなるため、その類似性を利用して信号を送信源毎に分類することができる。
【0013】
また、固定の周波数の信号を放射する周波数固定送信源からの信号(周波数固定信号)は、信号のキャリア周波数が類似するため、キャリア周波数の類似性を利用して分類することができる。さらに、周波数を定期的に変えるような周波数変動送信源からの信号(周波数変動信号)は、1つの周波数における信号の出現から消滅までの継続時間が類似し、また、信号の出現時刻も周期的であるため、これらを利用して分類することができる。
【0014】
具体的には、信号を分類した仮説を複数個生成し、生成した仮説に対して、前述した特徴量の類似性を利用して仮説の評価値を算出する。そして、評価値の最も高い仮説を分類結果とする。しかし、この方法の場合、生成される仮説数は、分類する信号数に対して指数関数的に増大する。このため、複数個の信号を一括して処理すると、生成される仮説数は爆発的に増大するため、計算機に大きな負荷がかかってしまう。
【0015】
そこで、信号1つ毎に仮説を生成し、生成した仮説に対して評価値を算出し、算出した評価値を基に仮説を複数個選択する。そして、選択された仮説と、次に分類する信号を組み合わせ新たな仮説を生成し、生成した仮説の評価値を算出し、評価値を基に仮説を複数個選択するという処理を繰り返して信号を分類する。この方法の場合、一度に分類する信号数は1つであるため、生成される仮説数が膨大になることは無く、計算機の負荷を軽減して信号を分類することができる。
【0016】
前記方法による仮説の生成では、分類しようとする信号は、各仮説のいずれかの送信源か、ノイズに分類されていた。各仮説において、送信源が電波放射を停止したとする仮説は生成しておらず、その結果、送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、分類しようとする信号の出現時刻の差が大きい場合でも、同一の送信源に分類された仮説が生成されてしまった。しかし、実際には、長い時間信号を受信できない送信源は、既に電波放射を停止している可能性が高い。そこで、送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、分類しようとする信号の出現時刻の差が所定の条件を満たす場合、その送信源は、既に電波放射を停止したとする仮説を生成し、電波放射停止と判断された送信源には、その後信号が分類されないようにする。
【0017】
さらに、電波放射停止と判断された送信源で、分類されている信号数が極端に少ない場合、それら信号は本来ノイズであり、誤って分類されている可能性が高い。そこで、このような場合には、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号を、ノイズに分類し直す仮説の修正を行う。しかし、仮説の修正内容によっては、(1)同一内容の修正済仮説が複数発生する場合や、(2)修正済仮説が修正不要仮説と同一内容になってしまう場合がある。同一内容の仮説を複数扱うことは全く無駄であるので、仮説の修正の結果、同一内容の仮説の有無を検出し、同一内容の仮説は1つを残して残りを破棄する。
【0018】
次に、分類する信号と特徴量について説明する。信号は受信した順番で区別することとする。そのため、n番目に受信した信号を、「n番目の信号」と呼ぶ。そして、「n番目の信号」から抽出される複数の特徴量の中で、j種類目の特徴量の値をfn、jと表す。また、「n番目の信号」の全種類の特徴量を特徴量ベクトルFnとする。これらの関係を下式(1)に示す。
【0019】
【数1】
【0020】
次に、この発明の中で用いる仮説について説明する。まず、「1〜n番目の信号」を分類した仮説を「n信号の仮説」と呼び、「n信号の仮説」を任意の順番に並べた場合に、h個目の「n信号の仮説」を「n信号の仮説h」と呼ぶ。また、「n番目の信号」を分類した仮説を「n番目の信号の仮説」と呼ぶ。「n番目の信号の仮説」も複数存在するため、r個目の「n番目の信号の仮説」を「n番目の信号の仮説r」と呼ぶ。「n信号の仮説」が「1〜n番目の信号」を分類した仮説であるのに対して、「n番目の信号の仮説」は、1つの信号(「n番目の信号」)を分類した仮説である。
【0021】
次に、仮説の生成方法について説明する。図1に、「1〜3番目の信号」を仮に分類した2つの「3信号の仮説」を示す。図1に示すように、「3信号の仮説1」は、受信した信号301と303を1つの送信源からの信号と考え、1個目の送信源に分類し、受信した信号302を1個目の送信源とは別の送信源からの信号と考え、2個目の送信源に分類した仮説を表す。また、「3信号の仮説2」は、信号301、302、303を1つの送信源からの信号と考え、1個目の送信源に分類した仮説を表す。
【0022】
ここで、さらに新たに「4番目の信号」を分類する場合を考える。図1における「3信号の仮説1」に対しては、「4番目の信号」を1個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説1」、2個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説2」、3個目の送信源に分類する「4番目の信号の仮説3」などが考えられる。そして、「3信号の仮説1」と、複数の「4番目の信号の仮説」をそれぞれ組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。同ように、「3信号の仮説2」に対しても、「4番目の信号の仮説」は複数考えられるので、これら「4番目の信号の仮説」を「3信号の仮説2」に組み合わせることによって、「4信号の仮説」が複数生成される。以上が、信号を分類した仮説及びその生成方法の説明である。以下、前記仮説を用いた信号分類装置の実施の形態について説明する。
【0023】
実施の形態1.
図2は、この発明の実施の形態1に係る信号分類装置の構成を示すブロック図である。図2に示す信号分類装置は、未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、受信信号を検出しその特徴量を抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段10と、信号検出手段10からの信号を分類した仮説と仮説統合手段100から出力される仮説を組み合わせてその信号が放射された送信源毎に信号を分類した新たな仮説を生成する仮説生成手段20と、仮説生成手段20により生成された仮説の評価値を算出して仮説に付加し出力する評価値算出手段30と、評価値算出手段30により算出される評価値に基づいて仮説を取捨選択し仮説数を減少させる仮説数減少手段40と、出力要求フラグが入力された場合には、仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択し分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、仮説を送信停止判断手段60に出力する仮説選択手段50とを備えている。
【0024】
また、仮説選択手段50からの仮説と、信号検出手段10からの信号の特徴量を基に、仮説の各送信源が電波放射を停止しているか否かを判断し、電波放射を停止していると判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する送信停止判断手段60と、送信停止判断手段60からの各仮説の電波放射停止の送信源で、それに分類されている信号の特徴量を基に、それら信号がノイズであるか否かを判断し、ノイズであると判断された場合にはそれらを修正手段80に出力し、そうでない場合には、修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力するノイズ判断手段70と、ノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正と、その修正内容に従い仮説の評価値を再度算出して仮説に付加し、修正済仮説として出力する修正手段80とを備えている。
【0025】
さらに、修正手段80からの修正済仮説に対して、その内容が同一のものがあるかないかを検索し、同一内容の修正済仮説がある場合には同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し、無い場合には入力された修正済仮説をそのまま仮説統合手段100に出力する修正仮説統合手段90と、修正仮説統合手段90からの修正済仮説と、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説がある場合は同一内容の修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説統合手段100とを備えている。
【0026】
続いて、図3は、信号検出手段10の詳細な構成を示すブロック図である。図3に示すように、信号検出手段10は、受信されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換手段11と、デジタル変換されたデータに対して高速フーリエ変換を行う高速フーリエ変換手段12と、高速フーリエ変換手段12が出力するスペクトルから信号成分を検出する信号成分検出手段13と、検出された信号成分の特徴量を抽出する特徴量抽出手段14と、特徴量検出手段15で検出された信号の特徴量ベクトルを信号の出現時刻順に出力する信号ソート手段15とを有している。
【0027】
次に、図4は、送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。図4に示すように、送信停止判断手段60は、仮説選択手段50からの仮説の各送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、信号検出手段10からの新たな信号の特徴量ベクトルの出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断し、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、それ以外の仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する時刻差判断手段61を有している。
【0028】
また、図5は、ノイズ判断手段70の詳細な構成を示すブロック図である。図5に示すように、ノイズ判断手段70は、送信停止判断手段60からの仮説で電波放射停止と判断された送信源に分類された信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号はノイズを誤って分類したものと判断し、それら送信源を含む仮説は修正手段80に出力し、それ以外の仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する時間ノイズ判断手段71を有している。
【0029】
また、図6は、修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。図6に示すように、修正手段80は、ノイズ判断手段70からの仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類し直して仮説の修正する仮説修正手段81と、仮説の修正内容に従い仮説の評価値を算出し直して仮説に付加して修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する評価値修正手段82とを有している。
【0030】
また、図7は、修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。図7に示すように、修正仮説統合手段90は、修正手段80からの修正済仮説に対して、同一内容の仮説の有無を検索し、検索の結果同一仮説が無い場合、入力された修正済仮説全てを仮説統合手段100に出力する同一仮説検索手段91と、同一内容の仮説が存在する場合、同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し、残った修正済仮説を仮説統合手段100に出力する修正仮説破棄手段92とを有している。
【0031】
また、図8は、仮説統合手段100の詳細な構成を示すブロック図である。図8に示すように、仮説統合手段100は、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説とを比較し、修正済仮説と同一内容の修正不要仮説がある場合には同一内容の修正済仮説を破棄し、残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する仮説比較手段101を有している。
【0032】
次に、信号分類装置1の処理について説明する。信号検出手段10におけるアナログ・デジタル変換手段11は、入力されるアナログの受信信号を一定間隔でサンプリングし、デジタルに変換したデータを出力する。高速フーリエ変換手段12は、デジタルに変換されたデータに対して高速フーリエ変換処理を行い、データに含まれる信号のスペクトル成分を出力する。その後、信号成分検出手段13は、高速フーリエ変換手段12が出力した信号のスペクトル成分から、信号成分を検出する。その方法として、あらかじめ設定した閾値と比較する方法や、高速フーリエ変換処理毎の平均値にあらかじめ設定した信号検出パラメータを加算もしくは乗算した値を閾値として、閾値を超えたものを検出する方法などがある。そして、特徴量抽出手段14は、信号検出手段13が検出した信号成分の特徴量(出現時刻、消滅時刻、継続時間、キャリア周波数、受信方位角度、周波数帯域幅、ピーク電力など)を抽出して、特徴量ベクトルFnを出力する。信号ソート手段15は、複数の信号から抽出された特徴量ベクトルFnの出現時刻の順番に、特徴量ベクトルを1つずつ仮説生成手段20に出力する。
【0033】
以下、分類する信号の例として、周波数固定信号と周波数変動信号が含まれる場合を例に取り説明する。また、以下の処理では、初期化フラグが入力された場合と、出力要求フラグが入力された場、いずれも入力されていない場合の3つの場合に分けて処理を説明する。
【0034】
(初期化フラグが出力された場合)
仮説生成手段20は、初期化フラグが出力された場合に、仮説を初期化し、「1番目の信号」についての「1番目の信号の仮説」を生成し、「1番目の信号の仮説」を「1番目の信号」として評価値算出手段30に出力する。「1番目の信号の仮説」に対しては、ノイズを誤検出した場合も考えられるため、仮説生成手段20は、下記(1)、(2)、(3)の3個の仮説を生成する。
(1)信号を、1個目の周波数変動送信源が放射した信号に分類する仮説。
(2)信号を、1個目の周波数固定送信源が放射した信号に分類する仮説。
(3)信号を、ノイズを誤検出した信号であるとして分類する仮説。
【0035】
評価値算出手段30は、各仮説に付加されている仮説評価値を初期化した後、仮説評価値を求めて各仮説に付加して仮説数減少手段40に出力する。仮説評価値の算出方法は、(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理の説明で述べる。
【0036】
仮説数減少手段40は、仮説に付加された仮説評価値を基に仮説を取捨選択し、仮説数を減少させる。この方法は、(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0037】
仮説選択手段50は、仮説数減少手段50からの仮説を、送信停止判断手段60に出力する。
【0038】
送信停止判断手段60は、仮説選択手段50から出力された仮説と、信号検出手段10から出力された信号の特徴量ベクトルとを比較し、各仮説の送信源が電波放射を停止しているか否かを判断する。そして、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説はノイズ判断手段70に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0039】
ノイズ判断手段70は、送信停止判断手段60から出力された各仮説で、電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号について、それらが誤って分類されたノイズであるか否かを判断し、ノイズと判断された信号を含む仮説は修正手段80に、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100にそれぞれ出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0040】
修正手段80は、ノイズ判断手段70から出力された各仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類し直す仮説修正を行い、さらにその修正にあわせて仮説の評価値も再算出して仮説に付加し、修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0041】
修正仮説統合手段90は、修正手段80からの修正済仮説の中に同一内容の仮説が含まれないかを検索し、含まれる場合は同一内容の仮説のうち1つを残して残りを破棄し,同一内容の仮説を1つにまとめる。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0042】
仮説統合手段100は、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力される修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力される修正済仮説の仮説内容を比較し、修正済仮説と同一内容の修正不要仮説がある場合には同一内容の修正済仮説を破棄する。この方法も(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるため、後述する。
【0043】
(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)
初期化フラグが入力されていない場合、すなわち、n番目(ただしn>1)の信号が入力された場合、仮説生成手段20は、信号検出手段10が新たに出力した特徴量ベクトルの信号を分類した仮説と、仮説統合手段100が出力した仮説を組み合わせて、新たな仮説を生成する。ここで、仮説統合手段100が出力した仮説は、「1〜(n−1)番目の信号」を分類した仮説である。したがって、仮説統合手段100が出力した仮説は、「(n−1)信号の仮説」である。仮説生成手段20は、「(n−1)信号の仮説」と、信号検出手段10が新たに出力した特徴量ベクトルの信号(「n番目の信号」)を分類した「n番目の信号の仮説」を組み合わせて、「n信号の仮説」を生成する。
【0044】
ここで、「(n−1)信号の仮説h」に基づいて、「n番目の信号」を分類する場合を説明する。「(n−1)信号の仮説h」は、M個の周波数変動送信源とK個の周波数固定送信源を有する仮説であるとする。M個の周波数変動送信源とK個の周波数固定送信源は、いずれも電波放射を継続しているとする。この場合、仮説生成手段11は、下記(4)〜(9)の「n番目の信号の仮説」を生成し,「(n−1)信号の仮説h」を組み合わせて新たな「n信号の仮説」を複数生成する。
(4)「n番目の信号」をm個目の周波数変動送信源(ただし、1≦m≦M)に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
(5)m個目の周波数変動送信源が放射した信号を1つ以上失検出した後に、「n番目の信号」がm個目の周波数変動送信源が放射した信号であるとする複数の「n番目の信号の仮説」。
(6)「n番目の信号」を、これまで分類された信号が無い新たな周波数変動送信源((M+1)個目の周波数変動送信源)が放射した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
(7)「n番目の信号」を、k個目の周波数固定送信源(ただし、1≦k≦K)に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
(8)「n番目の信号」を、これまで分類された信号が無い新たな周波数固定送信源((K+1)個目の周波数固定送信源)が放射した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
(9)「n番目の信号」を、ノイズを誤検出した信号であるとする「n番目の信号の仮説」。
なお、M個の周波数変動送信源のうち、m'個目の周波数変動送信源が電波放射停止と判断されている場合には、上記(4)は下記(4')となる。
(4')「n番目の信号」を1〜(m'−1)個目の周波数変動送信源と、m'〜M個目の周波数変動送信源に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
また、K個の周波数固定送信源のうち、k'個目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断されている場合には、上記(7)は下記(7')となる.
(7')「n番目の信号」を1〜(k'−1)個目の周波数固定送信源と、k'〜K個目の周波数固定送信源に分類する複数の「n番目の信号の仮説」。
【0045】
今、「(n−1)信号の仮説」の総数がH個ある場合、前記(4)〜(9)の「n番目の信号の仮説」を生成する処理を「(n−1)信号の仮説h(1≦h≦H)」に対して行い、「n信号の仮説」を生成する。さらに、「(n−1)信号の仮説h」に対して「n番目の信号の仮説」がRh個考えられるとすると、仮説生成手段11は、式(2)より、合計G個の「n信号の仮説」を評価値算出手段30に出力する。
【0046】
【数2】
【0047】
評価値算出手段30は、仮説生成手段20が出力するG個の「n信号の仮説」に対して、仮説評価値を算出し、その結果を各仮説に付加して出力する。今、「n信号の仮説h」は、「(n−1)信号の仮説h'」と「n番目の信号の仮説r」を組み合わせて生成された仮説であるとする。この場合、「(n−1)信号の仮説h'」の仮説評価値をLpとする。また、「n番目の信号」が分類される送信源を示す「n番目の信号の仮説r」の分類が正しい確率をPtとする。さらに、「n番目の信号の仮説r」が示す「n番目の信号」の分類が正しいとした場合に、「n番目の信号」のj種類目の特徴量の値がfn、jとなる確率Pf、jとする。この場合、「n信号の仮説h」の仮説評価値Ljは、式(3)により求めることができる。
【0048】
【数3】
【0049】
ここで、特徴量のj=1は継続時間を示すものとし、「n番目の信号の仮説r」は、「n番目の信号」をm個目の周波数変動送信源に分類する仮説とする。そして、m個目の周波数変動送信源に分類された信号の継続時間の期待値が
【0050】
【数4】
【0051】
、その標準偏差が
【0052】
【数5】
【0053】
として求められているものとする。この場合、Pf、j(j=1)は、式(4)により算出される。
【0054】
【数6】
【0055】
評価値算出手段30は、前記のようにして仮説評価値を算出する。なお、n=1の場合、すなわち、初期化フラグが出力された場合には、「(n−1)信号の仮説」は存在しないこととなる。この場合(初期化フラグが出力された場合)、「(n−1)信号の仮説」の特徴量評価値LP、jを1とする(特徴量評価値LP、jを1とすることは、特徴量評価値を初期化することを意味する)。
【0056】
仮説数減少手段40は、評価値算出手段30が算出した仮説評価値に従い、仮説を取捨選択して仮説数を減少させる。その方法として、予め選択する仮説数hsを決定しておき、仮説評価値の高いhs個の仮説を選択する方法や、仮説の評価値に閾値を設け、閾値を超えた仮説を選択する方法などが考えられる。閾値には、全仮説の和に定数を掛けたものや、全仮説の中で最も評価値が高い仮説評価値に定数を掛けたものなどが考えられる。
【0057】
仮説選択手段50は、仮説数減少手段40から入力された全ての仮説を、送信停止判断手段60に出力する。
【0058】
送信停止判断手段60は、図4に示すように、時刻差判断手段61を備え、仮説選択手段50から入力された複数の「n信号の仮説」の各送信源に対して、信号検出手段10から入力された「(n+1)番目の信号」の特徴量ベクトルの出現時刻を利用して、電波放射が続いているか否かの判断を行う。その方法として、時刻差判断手段61では、各「n信号の仮説」の各送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、「(n+1)番目の信号」の出現時刻の差に閾値を設け、閾値を超えた送信源は、既に電波放射を停止したと判断する。そして、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力し、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力する。
【0059】
また、送信停止判断手段60は、図9に示すように、仮説選択手段50からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、信号検出手段10からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段62を備え、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力し、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力するようにしても良い。ここで、失検出とは、受信した信号が何らかの影響で検出できないことで、図10に示すように、本来、信号401〜403の3つの信号が存在しているが、そのうち点線で示す信号402が検出できず、信号401と403の2つの信号しか認識できないことを表す。
【0060】
さらに、送信停止判断手段60は、時刻差判断手段61と失検出回数判断手段62を備えるものであって良い。すなわち、仮説選択手段50から入力された各「n信号の仮説」の送信源のうち、周波数固定送信源については時刻差判断手段61により電波放射停止の判断を行い、周波数変動送信源については失検出回数判断手段62または時刻差判断手段61、若しくはその両方により電波放射停止の判断を行っても良い。失検出回数判断手段62では、各周波数固定送信源に最後に分類された信号と「(n+1)番目の信号」との間に発生した失検出回数を推定する。そして、その推定値が、失検出回数の閾値を超えた場合、その周波数変動送信源は既に電波放射を停止したと判断し、ノイズ判断手段70に出力する。
【0061】
今、「n信号の仮説h1」のm番目の周波数変動送信源の信号の出現時刻間隔が、t(m)SRIと推定されているとする。そして、m番目の周波数変動送信源に最後に分類された信号の出現時刻がf(m)Nm、2、「(n+1)番目の信号」の出現時刻がf(n+1)、2であるとする。この場合、m番目の周波数変動送信源に最後に分類された信号と「(n+1)番目の信号」の間に発生した失検出回数の推定値を、下式(5)で求める。
【0062】
【数7】
【0063】
ここで、ROUND(*)は、*を最も近い整数に丸める関数とする。そして、Zが、予め設定された失検出回数の最大値、ZMAXを超えている場合、m番目の周波数変動送信源は既に電波放射を停止したと判断する。時刻差判断手段61若しくは失検出回数判断手段62で、電波放射停止と判断された送信源を含む仮説は、ノイズ判断手段70に出力され、そうでない仮説は、修正不要仮説として仮説統合手段100に出力される。
【0064】
ノイズ判断手段70では、図5に示すように、時間ノイズ判断手段71を備え、送信停止判断手段60において、電波放射停止と判断された送信源に分類された信号が、ノイズであるか否かの判断を行う。その方法として、時間ノイズ判断手段71では、電波放射停止と判断された送信源に分類された信号の継続時間の合計に閾値を設け、その合計時間が閾値に満たないものをノイズと判断する。今、「n信号の仮説h2」のk番目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断されたとする。k番目の周波数固定送信源に分類されている信号数はNk個で、その継続時間がf(k)n、1(1≦n≦Nk)であるとする。ノイズ判断の合計継続時間の閾値をthCCTとすると、k番目の周波数固定送信源に分類されている信号がノイズであると判断される条件は、下式(6)である。
【0065】
【数8】
【0066】
そして、ノイズと判断された信号を含む仮説は、修正手段80へ出力され、そうでない仮説は修正不要仮説として仮説統合手段100へ出力される。
【0067】
また、ノイズ判断手段70は、図11に示すように、信号数ノイズ判断手段72を備えたものであっても良い。信号数ノイズ判断手段72では、送信停止判断手段60で電波放射停止と判断された送信源に分類されている信号数に閾値を設け、信号数の合計が閾値に満たないものをノイズと判断する。今、「n信号の仮説h2」のk番目の周波数固定送信源が電波放射停止と判断され、k番目の周波数固定送信源に分類されている信号数がNk個であるとする。ノイズ判断の信号数の閾値をthnomとすると、k番目の周波数固送信源に分類されている信号がノイズであると判断される条件は、下式(7)である。
【0068】
【数9】
【0069】
さらに、ノイズ判断手段70は、時間ノイズ判断手段71と信号数ノイズ判断手段72を備え、周波数固定送信源については時間ノイズ判断手段71で、周波数変動送信源については信号数ノイズ判断手段72で処理を行うような構成でも良い。また、周波数固定送信源と周波数変動送信源について時間ノイズ判断手段71で処理し、周波数変動送信源については更に信号数ノイズ判断手段72で処理するような構成など、複数の構成が考えられる。
【0070】
修正手段80は、図6に示すように、仮説修正手段81と評価値修正手段82を備え、ノイズ判断手段70でノイズと判断された各信号をノイズに分類し直す仮説の修正を行い、さらにその修正内容に合致した評価値を算出し直す。その方法として、仮説修正手段81では、ノイズ判断手段70から出力された仮説に対して、ノイズと判断された信号をノイズに分類する仮説の修正を行う。そして、評価値修正手段82では、前記ノイズに分類する仮説修正に合致して仮説の評価値を再算出する。再算出した評価値を修正した仮説に付加して、修正済仮説とし修正仮説統合手段90に出力する。
【0071】
修正仮説統合手段90は、図7に示すように、同一仮説検索手段91と修正仮説破棄手段92を備え、修正手段80から出力された各修正済仮説について、同一内容の修正済仮説の有無を検索し、ある場合はそれらをまとめて1つの仮説として出力する。その方法として、まず、同一仮説検索手段91において、修正手段90から出力された修正済仮説に対して、同一内容の仮説の有無を検索する。そして、同一内容の修正済仮説が有った場合、それら修正済仮説を修正仮説破棄手段92に出力し、同一内容の仮説が無い場合、修正済仮説として仮説統合手段100に出力する。修正仮説破棄手段92では、入力された同一内容の修正済仮説のうち、1つを残して残りを破棄し、修正済仮説として仮説統合手段100に出力し、残りの仮説を破棄する。
【0072】
仮説統合手段100では、図8に示すように、送信停止判断手段60とノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説と、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説を比較し、同一内容の仮説がある場合はそれらを1つの仮説にまとめて仮説生成手段20に出力し、無い場合は各手段から出力された仮説をそのまま仮説生成手段20に出力する。その方法として、仮説比較手段101において、修正仮説統合手段90から出力された修正済仮説と、送信停止判断手段60及びノイズ判断手段70から出力された修正不要仮説を比較する。そして、修正済仮説と内容が同一の修正不要仮説が有った場合、同一の修正済仮説を廃棄する。全ての修正済仮説に対して全ての修正不要仮説と比較を行い,残った修正済仮説と全ての修正不要仮説を仮説生成手段20に出力する。
【0073】
(出力要求フラグが出力された場合)
この場合、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40、送信停止判断手段60、ノイズ判断手段70、修正手段80、修正仮説統合手段90、仮説統合手段100の処理は、上述した(初期化フラグと出力要求フラグのいずれも出力されていない場合)の処理と同様であるので説明を省略する。一方、仮説選択手段50は、仮説数減少手段40から入力された仮説の中で、最も仮説評価値の高い仮説を1つ選択し、それを信号分類結果として出力する。前記がこの発明の概要である。
【0074】
この発明の信号分類装置では、送信源が電波放射を停止したとする仮説も生成するため、送信源が電波放射停止後に発生する分類の誤りを防止できる。また、ノイズを誤って分類した仮説を検出し修正する。さらに、仮説の修正の結果、同一内容の仮説が発生した場合でも、それらを統合するため、不要な仮説を淘汰でき、その分多くの種類の仮説を扱うことが可能となる。以上の効果から、分類性能の向上が期待できる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2に係る信号分類装置の構成は、図2に示す実施の形態1と同様であるためその図2で代用する。また、各手段の処理も、信号検出手段10、仮説生成手段20、評価値算出手段30、仮説数減少手段40、仮説選択手段50、送信停止判断手段60、ノイズ判断手段70、仮説統合手段100は、同様であるため、説明を省略する。異なるのは、修正手段80と修正仮説統合手段90のみである。
【0076】
修正手段80では、図12に示すように、仮説修正手段81を備え、ノイズ判断手段70から出力された仮説でノイズと判断された信号をノイズに分類し直す仮説の修正を実施し、修正済仮説として修正仮説統合手段90に出力する。図6に示す実施の形態1の修正手段80と異なるのは、評価値修正手段82を備えない点で、仮説評価値の修正は無いまま修正仮説統合手段90に出力される。
【0077】
修正仮説統合手段90では、図13に示すように、同一仮説検索手段91と最大評価値仮説統合手段93を備え、修正手段80から出力された修正済仮説で、同一内容の仮説が含まれている場合、それらを1つに統合して仮説統合手段100に出力する。その方法として、まず、同一仮説検索手段91において、修正手段90から出力された修正済仮説に対して、同一内容の修正済仮説の有無を検索する。そして、同一内容の仮説がない場合は仮説統合手段100に出力し、同一内容の仮説があるものは、最大評価値統合手段93に出力する。最大評価値統合手段93では、入力された同一内容の仮説のうち、最も仮説評価値が高い仮説を1つ選び仮説統合手段100に出力し、残りの仮説を破棄する。前記2つの手段以外は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
この実施の形態2に係る信号分類装置においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。但し、評価値の修正を実施しないため、性能の劣化を伴う場合もあるが、その分評価値の修正に伴う演算量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明における仮説の生成方法について説明する図である。
【図2】この発明に係る信号分類装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る信号検出手段10の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るノイズ判断手段70の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る仮説統合手段100の詳細な構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る送信停止判断手段60の詳細な構成を示すブロック図である。
【図10】失検出の概念を説明する図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るノイズ判断手段70の他の例の詳細な構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係る修正手段80の詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係る修正仮説統合手段90の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
10 信号検出手段、20 仮説生成手段、30 評価値算出手段、40 仮説数減少手段、50 仮説選択手段、60 送信停止判断手段、61 時刻差判断手段、62 失検出回数判断手段、70 ノイズ判断手段、71 時間ノイズ判断手段、72 信号数ノイズ判断手段、80 修正手段、81 仮説修正手段、82 評価値修正手段、90 修正仮説統合手段、91 同一仮説検索手段、92 修正仮説破棄手段、93 最大評価値仮説統合手段、100 仮説統合手段、101 仮説比較手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、
受信した信号を検出しその特徴量を複数種類抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段と、
前記信号検出手段からの信号を分類した仮説と仮説統合手段からの仮説とを組み合わせて、信号が放射されたと推定される送信源毎に信号を分類した仮説を生成する仮説生成手段と、
前記仮説生成手段からの仮説の評価値を算出し仮説に付加して出力する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段からの仮説評価値に基づいて仮説を取捨選択して仮説数を減少させる仮説数減少手段と、
出力要求フラグが入力された場合には、前記仮説数減少手段からの仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、前記仮説数減少手段からの仮説全てを出力する仮説選択手段と、
前記仮説選択手段からの仮説と前記信号検出手段が新たに出力する信号の時刻情報とに基づいて各仮説の送信源が電波放射停止であるか否かを判断し、当該判断結果に基づいて電波放射停止と判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力する送信停止判断手段と、
前記送信停止判断手段からの各仮説で、電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号が所定の条件を満たしているか否かを判断し、当該判断結果に基づいてノイズと判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力するノイズ判断手段と、
前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正とその修正内容に従い仮説の評価値を再度計算して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段、
前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否かを検索し、同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説のうち1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、破棄されず残った仮説を出力し、同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、前記修正手段からの修正済仮説をそのまま出力する修正仮説統合手段と、
前記修正仮説統合手段からの修正済仮説と前記送信停止判断手段及び前記ノイズ判断手段からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説を破棄し、破棄されず残った修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、全ての修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力する仮説統合手段と
を備えた信号分類装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断する時刻差判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項3】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項4】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、
前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断する時刻差判断手段と、
前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段と
を有し、
送信源が周波数変動送信源である場合には、前記失検出回数判断手段または前記時刻差判断手段、若しくはその両方で送信源の電波放射停止を判断し、送信源が周波数固定送信源である場合には、前記時刻差判断手段で送信源の電波放射停止を判断する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の数に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する信号数ノイズ判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する時間ノイズ判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、
前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の数に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する信号数ノイズ判断手段と、
前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する時間ノイズ判断手段と
を有し、
送信源が周波数変動送信源である場合には、前記信号数ノイズ判断手段によりノイズと判断し、送信源が周波数固定送信源である場合には、前記時間ノイズ判断手段によりノイズと判断する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記修正仮説統合手段は、前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否か検索し、同一内容の仮説が存在しない場合に修正済仮説をそのまま前記仮説統合手段に出力する同一仮説検索手段と、前記同一仮説検索手段の検索結果、同一内容の仮説が存在する場合は、同一内容の仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して前記仮説統合手段に出力する最大評価値仮説統合手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記修正手段は、前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号を含む仮説について仮説を修正する仮説修正手段と、仮説の修正内容に応じて仮説評価値を算出し直し仮説に付加して修正済仮説として出力する評価値修正手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項10】
請求項9に記載の信号分類装置において、
前記修正仮説統合手段は、前記修正手段から出力された修正済仮説について同一内容の仮説の有無を検索し、同一仮説が無い場合は、入力された修正済仮説全てを出力する同一仮説検索手段と、同一内容の仮説が存在する場合には、同一内容の仮説のうち1つを選択して出力する修正仮説破棄手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項1】
未知数の送信源が放射した信号を受信し、受信した信号を送信源毎に分類する信号分類装置であって、
受信した信号を検出しその特徴量を複数種類抽出して信号の出現時刻順に出力する信号検出手段と、
前記信号検出手段からの信号を分類した仮説と仮説統合手段からの仮説とを組み合わせて、信号が放射されたと推定される送信源毎に信号を分類した仮説を生成する仮説生成手段と、
前記仮説生成手段からの仮説の評価値を算出し仮説に付加して出力する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段からの仮説評価値に基づいて仮説を取捨選択して仮説数を減少させる仮説数減少手段と、
出力要求フラグが入力された場合には、前記仮説数減少手段からの仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して分類結果として出力し、出力要求フラグが入力されていない場合には、前記仮説数減少手段からの仮説全てを出力する仮説選択手段と、
前記仮説選択手段からの仮説と前記信号検出手段が新たに出力する信号の時刻情報とに基づいて各仮説の送信源が電波放射停止であるか否かを判断し、当該判断結果に基づいて電波放射停止と判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力する送信停止判断手段と、
前記送信停止判断手段からの各仮説で、電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号が所定の条件を満たしているか否かを判断し、当該判断結果に基づいてノイズと判断された送信源を含む仮説とそれ以外の修正不要仮説とを出力するノイズ判断手段と、
前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号をノイズとして分類し直す仮説の修正とその修正内容に従い仮説の評価値を再度計算して仮説に付加し修正済仮説として出力する修正手段、
前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否かを検索し、同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説のうち1つの修正済仮説を残して残りを破棄し、破棄されず残った仮説を出力し、同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、前記修正手段からの修正済仮説をそのまま出力する修正仮説統合手段と、
前記修正仮説統合手段からの修正済仮説と前記送信停止判断手段及び前記ノイズ判断手段からの修正不要仮説とを比較し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在する場合には、同一内容の修正済仮説を破棄し、破棄されず残った修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力し、修正不要仮説と同一内容の修正済仮説が存在しない場合には、全ての修正済仮説と全ての修正不要仮説とを前記仮説生成手段に出力する仮説統合手段と
を備えた信号分類装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断する時刻差判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項3】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項4】
請求項1に記載の信号分類装置において、
前記送信停止判断手段は、
前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の消滅時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超えた送信源は電波放射を停止したと判断する時刻差判断手段と、
前記仮説選択手段からの仮説の送信源に最後に分類された信号の出現時刻と、前記信号検出手段からの新たな信号の出現時刻との差に基づいて推定される失検出回数に閾値を設け、閾値に満たない送信源は電波放射を継続していると判断し、閾値を超える送信源は電波放射を停止したと判断する失検出回数判断手段と
を有し、
送信源が周波数変動送信源である場合には、前記失検出回数判断手段または前記時刻差判断手段、若しくはその両方で送信源の電波放射停止を判断し、送信源が周波数固定送信源である場合には、前記時刻差判断手段で送信源の電波放射停止を判断する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の数に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する信号数ノイズ判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する時間ノイズ判断手段を有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記ノイズ判断手段は、
前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の数に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する信号数ノイズ判断手段と、
前記送信停止判断手段からの送信源を含む仮説で電波放射停止と判断された各送信源に分類されている信号の合計継続時間に閾値を設け、閾値に満たない送信源の信号をノイズと判断しそれら送信源を含む仮説を前記修正手段に出力し、それ以外の仮説を修正不要仮説として前記仮説統合手段に出力する時間ノイズ判断手段と
を有し、
送信源が周波数変動送信源である場合には、前記信号数ノイズ判断手段によりノイズと判断し、送信源が周波数固定送信源である場合には、前記時間ノイズ判断手段によりノイズと判断する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記修正仮説統合手段は、前記修正手段からの修正済仮説に対して同一内容の仮説が存在するか否か検索し、同一内容の仮説が存在しない場合に修正済仮説をそのまま前記仮説統合手段に出力する同一仮説検索手段と、前記同一仮説検索手段の検索結果、同一内容の仮説が存在する場合は、同一内容の仮説の中で最も評価値の高い仮説を1つ選択して前記仮説統合手段に出力する最大評価値仮説統合手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の信号分類装置において、
前記修正手段は、前記ノイズ判断手段によりノイズと判断された信号を含む仮説について仮説を修正する仮説修正手段と、仮説の修正内容に応じて仮説評価値を算出し直し仮説に付加して修正済仮説として出力する評価値修正手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【請求項10】
請求項9に記載の信号分類装置において、
前記修正仮説統合手段は、前記修正手段から出力された修正済仮説について同一内容の仮説の有無を検索し、同一仮説が無い場合は、入力された修正済仮説全てを出力する同一仮説検索手段と、同一内容の仮説が存在する場合には、同一内容の仮説のうち1つを選択して出力する修正仮説破棄手段とを有する
ことを特徴とする信号分類装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−71489(P2006−71489A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255920(P2004−255920)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]