信号機認識装置、候補点パターン送信装置、候補点パターン受信装置、信号機認識方法、及び候補点パターン受信方法
【課題】前方画像中における信号機の認識を高い精度と処理速度で実現する。
【解決手段】前方画像中で赤色点で認識される複数の信号候補点P1〜P5を検出し、そのうち赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点P2を検出し、これら信号確定点P2と複数の信号候補点P1,P3〜P5間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成、記憶する。同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータと、その時点で検出した信号候補点P1〜P5の集合に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめることで、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点P2に対応する信号候補点を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【解決手段】前方画像中で赤色点で認識される複数の信号候補点P1〜P5を検出し、そのうち赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点P2を検出し、これら信号確定点P2と複数の信号候補点P1,P3〜P5間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成、記憶する。同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータと、その時点で検出した信号候補点P1〜P5の集合に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめることで、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点P2に対応する信号候補点を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を含めた移動体の前方画像を解析処理することにより信号機を認識する信号機認識装置、候補点パターン送信装置、候補点パターン受信装置、信号機認識方法、及び候補点パターン受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両に搭載されたカメラで進行方向の前方画像を撮像し、その前方画像を解析処理することで当該車両の進行方向の信号機を認識する技術が利用されている。そして、その認識処理の精度と処理速度をさらに向上させるための技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、信号機の詳細な設置位置や設置高さ等を含む3次元の配置データをデータベースに登録し、自車両の現在位置とカメラの撮像方位との3次元的な位置関係に基づいて前方画像中における信号機の認識領域を算出する。これにより画像を解析処理する領域を絞り込めるため、信号機を認識する精度と処理速度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−347945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら現在のGPSなどによる測位精度や、カメラの撮像素子の画素数の制限や取り付け誤差などにより、自車両の現在位置とカメラの撮像方位を十分高い精度で検出することは困難であり、上記従来技術によって前方画像中における信号機の認識領域を正確に算出することは実使用上では難しい。そのため、自車両の現在位置とカメラの撮像方位に多少の誤差がある場合でも、前方画像中における信号機の認識を高い精度と処理速度で実現できる技術が要望されていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶手段と、当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶手段から取得し、当該移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶手段から取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項9記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶させるよう外部の記憶装置に送信する送信手段と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項10記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信手段と、前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項11記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項12記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信工程と、前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の信号機認識装置を搭載した車両の構成例の一例を示す斜視図である。
【図2】実施形態の信号機認識装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】フロントカメラで撮像した前方画像をディスプレイに表示した場合の表示例を表した図である。
【図4】信号候補点を検出した図3中の候補点検出領域のみを拡大して表した図の一例である。
【図5】図4中の信号候補点だけを表した図の一例である。
【図6】信号機の点灯の切り替わりによる信号確定点の検出を説明する図である。
【図7】信号候補点の配置関係を2点間距離の比で解析する手法を説明する図である。
【図8】信号候補点の配置関係を2点間の相対ベクトルデータで解析する手法を説明する図である。
【図9】各信号候補点の識別をそれぞれの大きさの比で特定する手法を説明する図である。
【図10】候補点パターンデータの生成、記録、取得、及び照合を行う測位条件を説明する図である。
【図11】イメージングユニットのCPUが実行する制御内容を表すフローチャートである。
【図12】車線消失点を説明する図である。
【図13】車線消失点を利用した信号候補点の配置関係の解析手法の一例を説明する図である。
【図14】ハイマウントストップランプを信号候補点として検出した場合の一例である。
【図15】その他変形例の場合の信号機認識装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の信号機認識装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。この図1において、信号機認識装置Sは、車両Vの車内におけるルームミラー101の前方側位置に単独のフロントカメラ1を設けている。フロントカメラ1の撮像方向Dcは、当該車両Vの前方画像を撮像可能な姿勢で取り付けられている。
【0015】
図2は、信号機認識装置Sのハードウェア構成例を示すブロック図である。この図2において、信号機認識装置Sは、フロントカメラ1、イメージングユニット2、ディスプレイ3を有している。
【0016】
フロントカメラ1は例えばCCD撮像素子などを利用して、上述した当該車両Vの前方画像を撮像し、対応する信号をイメージングユニット2のCPU(後述)へ出力する機能を有する。なお、本実施形態の例では、このフロントカメラ1が短い時間間隔で前方画像を撮像し続けることで、前方画像を動画の形態で撮像する。
【0017】
ディスプレイ3は、例えばLCDパネルなどで構成されて、イメージングユニット2のグラフィックコントローラ(後述)から入力された画像信号に基づいて前方画像を表示する機能を有する。
【0018】
イメージングユニット2は、CPU11、記憶装置12、ナビゲーション装置13、車速センサ14、グラフィックコントローラ15を有している。
【0019】
CPU11は、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、信号機認識装置S全体を制御する機能を有する。
【0020】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは記憶手段に相当し、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体である。
【0021】
ナビゲーション装置13は、GPSセンサ(特に図示せず)を利用して車両Vの現在位置及び進行方向を含む測位情報を取得するとともに、予め記憶している地図情報に基づいて所定の経路探索や経路誘導を行う機能を有する。
【0022】
車速センサ14は、自車の走行速度を検出する機能(言い換えれば走行していることを検出する機能)を有する。CPU11は、この車速センサ14の検出信号に基づき、当該自動車が走行中の状態であるか、停止中の状態であるかを識別することができる。
【0023】
グラフィックコントローラ15は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)及び上記ナビゲーション装置13などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像信号を上記ディスプレイ3に表示させる機能を有する。
【0024】
以下、本実施形態の信号機認識装置Sによる信号機の認識手法について詳細に説明する。
【0025】
図3は、上記図1に示したフロントカメラ1が撮像した前方画像のディスプレイ3での表示例を表している。この図3において、図示する表示例では、信号機が赤色点灯している交差点前で車列を形成して停止している状態の前方画像を示している。運転者はこのような信号待ちの時間を利用して前方の車窓景色から目を離し、ナビゲーション機能によって地図を参照したり他の機器の操作を行いたい場合がある。そこで本実施形態の信号機認識装置は、運転者に代わって信号機の赤色点灯から青色点灯への切り替わりを監視し、青色点灯した際に画像や音声で信号機の点灯の切り替わりを報知したり、地図表示を停止するなどの処理を行う。
【0026】
そのために信号機認識装置Sは、信号機の点灯の切り替わりを十分な反応速度で検出できるよう、前方画像中における信号機の表示箇所を信号点として認識し、当該信号点の位置に絞り込んで点灯の切り替えを集中的に監視する。本実施形態の信号機認識装置Sでは、上記信号点の絞り込みとして前方画像中に表示される赤色点を公知の色認識処理により検出する。本実施形態では、この色認識処理を行う際、ムダな処理を回避して処理速度を向上させるために、前方画像中において信号機が表示され得る領域、例えば地平線より上方で上記車両軸方向Dvを中心とした左右方向範囲の所定の領域(図中の破線枠の領域;以下、候補点検出領域Rという)においてのみ色認識処理を行う。
【0027】
しかし、交差点の周囲には、信号機以外にも赤色の表示部分を有する標識や看板などの赤色表示物が多数存在する場合がある。このため、候補点検出領域Rのみを拡大した図4に示すように、当該候補点検出領域R中に表示されるこれら全ての赤色表示物が、上記色認識処理によって信号機の赤色点灯と同等に検出される。なお、図示するような各信号候補点の表示を実際にディスプレイ3の前方画像中において行ってもよいし、または表示しなくともよい。
【0028】
本実施形態では、まず最初に車両より撮影された前方画像中の赤色表示物と信号機の赤色点灯は、一般的な色認識処理により赤色で構成される領域である赤色点として認識される。この赤色点を全て信号候補点P1,P2,P3,P4,P5として検出し、図5に示すように候補点検出領域Rにおける信号候補点それぞれの中心位置と大きさを記憶する。この時点では、信号機認識装置Sはどの信号候補点が実際の信号機の赤色点灯に相当するかを認識できない。しかしその後に、図6に示すように信号機が青色点灯に切り替わることで、複数ある信号候補点P1〜P5のいずれかの赤色点が消灯し、その近傍位置(ほとんどの場合は左側の近傍)で青色点を認識できる。このように赤色点の消灯と近傍位置の青色点の点灯がほぼ同時に認識された信号候補点(図示する例ではP2)は、実際の信号機に対応する信号確定点として設定される。
【0029】
本実施形態では、これら複数の信号候補点P1,P3〜P5と信号確定点P2との間の幾何的な配置関係を解析し、その解析データを候補点パターンデータとして生成する。この候補点パターンデータが示す信号候補点P1〜P5(信号確定点P2を含む)どうしの幾何的な配置関係は、状況によらず常に概略的に相似の関係となる。つまり、同じ交差点に対し同じ進入方向で進入する場合であれば、色認識処理により検出される候補点パターンは、車両Vから当該交差点までの距離や車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらずあらかじめ生成された候補点パターンデータと常に概略的に相似の関係となる。
【0030】
本実施形態では、この性質を利用して候補点検出領域R中に表示される信号機を迅速に認識する。すなわち、同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータを取得し、その時点で検出した信号候補点の集合P1〜P5に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめる。これにより、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点に対応する信号候補点P2を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【0031】
候補点パターンデータを生成する際には、検出された複数の信号候補点の全てに対して赤色点の消灯とそれぞれの近傍位置の青色点の点灯の同時認識を監視し、いずれか1つを信号確定点に設定する必要がある。このため、負荷の高い色認識処理を複数箇所で長時間継続されるとともに、青色点灯に切り替わるまで実際の信号機を認識できない。しかし、同じ状況での候補点パターンデータがあらかじめ生成されていれば、その時点で検出された信号候補点の集合に当該候補点パターンデータを照合して当てはめるだけですぐに信号確定点に対応する実際の信号機を認識できる。その後は、認識した信号機の信号点位置だけを絞り込んで監視すればよく、その点灯の切り替わりを低負荷の処理で迅速に検出できる。
【0032】
ここで、上記候補点パターンデータの生成において各信号候補点間の幾何的な配置関係を解析する手法についていくつか例示する。
【0033】
まず、図7は、各信号候補点間の距離(ピクセル単位)の比で配置関係を解析する手法である。図示する例では、最も短いP3とP5の間の距離を1として、他の組み合わせの2点間の距離の比をそれぞれ算出して候補点パターンデータを構成する。これによれば、複数の信号候補点P1〜P5間の配置関係を簡易なデータ構成で記憶でき、信号候補点P1〜P5を検出した際の車両Vから交差点までの距離にかかわらず、配置パターンは相似の関係となる。
【0034】
また、図8に示すように、各2点間の配置関係をそれぞれ相対ベクトルで解析する手法もある(図中ではP1→P2間の
のみ図示)。これによれば、各2点間の上下及び左右の配置関係まで相対ベクトルデータで特定できるため、信号候補点の検出数が少ない場合でも認識精度を上げることができる。
【0035】
また、図9に示すように、各信号候補点P1〜P5の大きさの比で各点の識別精度を向上させる手法がある。これによれば、例えば複数の信号候補点がほぼ同一直線上で等間隔に配置されている場合(特に図示せず)などでも、それぞれの大きさの比を照合することで候補点パターンを適切な位置で当てはめることができる。また、大きさの異なる信号候補点が少なくとも2点あれば、幾何的な配置関係を考慮せずともそれらの大きさの比を照合するだけで信号確定点に対応する信号機の信号点を認識することもできる。
【0036】
また、車両Vが交差点に近づくにしたがって、車両Vから遠くに位置する赤色表示物よりも車両Vの近くに位置する赤色表示物の方が大きく移動して見える。このため、車両Vの近くに位置する赤色表示物の信号候補点ほど、車両Vから交差点までの距離の変化に応じて候補点配置パターンとのズレが大きくなる。また、例えば大型車両が前方に待機している場合には信号候補点の一部が一時的に検出できなかったり、もしくは看板などの新設や撤去により赤色点が増減する場合がある。
【0037】
これらの場合にも候補点パターンデータを適切に照合できるよう、候補点パターンデータは修正を繰り返して最適化可能に構成される。例えば、候補点パターンデータに各信号候補点のそれぞれの過去の検出回数や位置のズレ量などを含む履歴データを記録し、照合時には各点の検出信頼性や位置の許容誤差を参照できるようにする。少なくともその周囲に検出信頼性の高い信号候補点が2点(計3点)あれば、信号確定点を十分特定できる。また、許容誤差が大きい信号候補点ほど車両Vの近くに位置する赤色表示物と見なし、それを考慮した候補点パターンの当てはめが可能となる。
【0038】
なお、以上に例示した解析手法を適宜複合して実施してもよい。これらは本実施形態への適用に好適なものであるが、これら以外にも例えば所定の信号候補点を頂点として他の2つの信号候補点の間の角度を利用して解析したり(図示省略)、または公知のパターン認識に用いられる解析手法などを利用してもよい。
【0039】
以上のように生成、修正される候補点パターンデータは、同じ交差点に対する同じ進入方向に対して適用できる。このため、候補点パターンデータは、上記ナビゲーション装置13のGPSセンサから取得する現在位置及び進行方向を含む測位情報に対応して記憶、照合される。例えば、車両Vの現在地の表示例を表す図10において、車両VがノードAの交差点からノードBの交差点へ向かう進行方向の経路上で生成、記憶した候補点パターンデータは、同じようにノードAの交差点からノードBの交差点へ向かう進行方向の経路上で取得、照合される。あるいは、ナビゲーション装置13の地図情報を参照することで、候補点パターンデータを、前記測位情報の代わりに、例えば交差点名称などの交差点情報及びそれに向かう進行方向情報に対応して記録、照合させてもよい。また、本実施形態の例では、交差点の前で赤信号待ちをしている状態を信号機認識条件とし、この信号機認識条件を満たす場合に候補点パターンデータの生成と照合を行うが、例えば撮像が安定して行える速度以下で走行していることを信号識別条件としてもよい。
【0040】
なお一般的に信号機がLED式の場合、実際の信号機の点灯は50Hzまたは60Hzの周波数での点滅状態となっている。このためフロントカメラ1が撮像する際のフレームレートとの関係により、信号機が消灯している瞬間に撮像される場合がある。このような場合に備えてフロントカメラ1は上記周波数と異なる周期で複数回連続して撮像を行い、信号機認識装置Sはフロントカメラ1により撮影された複数の画像を監視し、信号機が点灯している瞬間の画像データを基にその後の処理を行うこととしてもよい。
【0041】
図11は、以上説明した動作態様を実現するために、イメージングユニット2のCPU11が実行する制御内容を表すフローチャートである。なお、このフローは、当該車両Vの走行中でフロントカメラ1が動画の形態で前方画像を撮像している間に、例えば適宜の時間間隔で呼び出されて実行を開始する。
【0042】
図11において、まずステップS5において、上記ナビゲーション装置12から取得される測位情報や地図情報、及び上記車速センサ14で検出される車両Vの停止状態などから、上述した信号機認識条件を満たしているか否かを判定する。信号機認識条件を満たしていない場合、判定は満たされず、そのままこのフローを終了する。
【0043】
一方、信号機認識条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップS10へ移る。
【0044】
ステップS10では、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応する候補点パターンデータがすでに記憶媒体12cに記憶されているか否かを判定する。対応する候補点パターンデータがまだ生成、記憶されていない場合、判定は満たされず、ステップS15へ移る。
【0045】
ステップS15では、現在フロントカメラ1で撮像している前方画像の画像データを記憶装置12(RAM12b)に取り込む。
【0046】
次にステップS20へ移り、上記ステップS15で取り込んだ前方画像のうちの候補点検出領域R中で、色認識処理により赤色点を信号候補点として検出する。なお、このステップS20の手順が、各請求項記載の信号候補点検出手段又は信号候補点検出工程に相当する。
【0047】
次にステップS25へ移り、上記ステップS20で検出した全ての信号候補点に対し、その赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯を監視する。
【0048】
次にステップS30へ移り、いずれかの信号候補点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認されたか否かを判定する。確認されていない場合、判定は満たされず、ステップS25に戻り同様の手順を繰り返す。
【0049】
一方、いずれかの信号候補点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された場合、判定が満たされ、ステップS35へ移る。
【0050】
ステップS35では、上記ステップS30で赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された信号候補点を信号確定点として設定する。
【0051】
次に、ステップS40へ移り、上述した解析手法によって信号確定点及びその他信号候補点の幾何的な配置関係や各赤色点の大きさを解析して候補点パターンデータを生成し、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応させて記憶する。そして、このフローを終了する。なお、上記のステップS25〜ステップS40の手順が、各請求項記載の候補点パターンデータ生成手段又は候補点パターンデータ生成工程に相当し、ステップS40の手順が、各請求項記載の記憶工程に相当する。
【0052】
また一方、上記ステップS10の判定において、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応した候補点パターンデータがすでに記憶媒体12cに記憶されている場合、判定が満たされ、ステップS45へ移る。
【0053】
ステップS45では、上記ステップS10で対応しているとみなされた候補点パターンデータを記憶媒体12cから取得する。
【0054】
次に、ステップS50へ移り、現在フロントカメラ1で撮像している前方画像の画像データを記憶装置12(RAM12b)に取り込む。
【0055】
次にステップS55へ移り、上記ステップS50で取り込んだ前方画像のうちの候補点検出領域R中で、色認識処理により赤色点を信号候補点として検出する。なお、このステップS55の手順も、各請求項記載の信号候補点検出手段又は信号候補点検出工程に相当する。
【0056】
次に、ステップS60へ移り、上記ステップS55で検出した信号候補点と上記ステップS45で取得した候補点パターンデータとを照合する。この照合においては、ステップ55で検出した信号候補点とS45で取得した候補点パターンデータが全体あるいは部分的に相似する箇所を探したり、後述する信号候補点の大きさの比や、信号候補点間の相対ベクトルデータ、候補点パターンデータの履歴データを利用して、候補点パターンデータに全体あるいは部分的に対応する信号候補点があるかどうかを調べる。
【0057】
次に、ステップS65へ移り、上記ステップS60での照合で、現在の前方画像上で検出した信号候補点が候補点パターンデータに一致するか否かを判定する。なお、すべての信号候補点間の幾何的な配置関係がほぼ相似の関係にあれば完全一致しているとみなし、ステップS75へ移る。一部の信号候補点間の幾何的な配置関係がほぼ相似の関係にあれば部分一致しているとみなし、ステップS70へ移る。部分一致となるケースは、例えば、候補点パターンデータとして登録されている赤い標識が、現在の前方画像には前方に停車中の大型車両の死角に入って写っていなかったり、あるいは、候補点パターンデータを生成、記録する際に、たまたま前方に停車中の車両のテールランプが登録されていた場合などが考えられる。一致する信号候補点が存在しない場合はステップS25へ移り、各信号候補点の消灯とその近傍の青色点灯を監視する。
【0058】
ステップS70では、上記ステップS65で判定された部分一致の内容に応じて、候補点パターンデータの履歴データを更新する。ここで、例えば候補点パターンデータの中で一致しなかった信号候補点に関する検出信頼性を減じて記録したり、今回の信号との候補点とのズレ量を記録してもよい。この候補点パターンデータの履歴データは、ステップS60の照合の際に、信号候補パターンデータの中のどの信号候補点の一致を優先するかの判断材料としてもよい。そして、ステップS75へ移る。
【0059】
一方、上記ステップS65の判定において、現在の前方画像上で検出した信号候補点が候補点パターンデータに完全一致する場合、判定が満たされ、そのままステップS75へ移る。
【0060】
ステップS75では、上記ステップS60での照合に基づいて、現在の前方画像中で検出された信号候補点に候補点パターンデータの信号候補点の位置及び大きさを調整して当てはめる。このとき、上記ステップS55で検出された一部又は全ての信号候補点間の幾何的な配置関係が、上記履歴データによる補足も含めつつ候補点パターンデータとほぼ相似の関係にある。そのため、その時点の交差点までの距離の遠近や移動体が走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、候補点パターンデータを適切に当てはめることができる。
【0061】
次に、ステップS80へ移り、候補点パターンデータの信号確定点に対応する信号候補点を信号点として認識する。なお、上記のステップS60〜ステップS80の手順が、各請求項記載の信号機認識手段又は信号機認識工程に相当する。
【0062】
次に、ステップS85へ移り、上記ステップS80で認識した信号点の信号機に対して、その赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯を監視する。
【0063】
次にステップS90へ移り、監視対象の信号点におけるその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認されたか否かを判定する。確認されていない場合、判定は満たされず、ステップS85に戻り同様の手順を繰り返す。
【0064】
一方、監視対象の信号点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された場合、判定が満たされ、ステップS95へ移る。
【0065】
ステップS95では、前方の信号機が青点灯に切り替わったことをディスプレイ3での画像表示、または特に図示しないスピーカでの音声などによって運転者に報知する。そして、このフローを終了する。
【0066】
以上説明したように、上記実施形態の信号機認識装置Sにおいては、車両Vから撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該車両Vの測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶媒体12c(記憶手段に相当)と、当該車両Vの現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶媒体12cから取得し、当該車両Vから撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶媒体12cから取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0067】
また、上記実施形態の信号機認識装置Sが実行する信号機認識方法においては、車両Vから撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、前記前方画像を撮像した際の当該車両Vの測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、当該車両Vの現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【0068】
このようにすると、同じ交差点に対し同じ進入方向で進入する場合であれば、前方画像中で検出される信号候補点の配置パターンは、車両Vから当該交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらずあらかじめ生成された候補点パターンデータと常に概略的に相似する。この性質を利用して、同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータと、その時点で検出した信号候補点の集合に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめることができる。これにより、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点に対応する信号候補点を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【0069】
このようにして本実施形態の信号機認識装置Sは、候補点パターンデータがあらかじめ生成された交差点の信号機に対しては、その時点で検出された信号候補点に当該候補点パターンデータを照合して当てはめるだけで信号確定点に対応する実際の信号機を迅速に認識できる。つまり、車両Vと交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、前方画像中における信号機の認識を高い精度と処理速度で実現できる。
【0070】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の距離の比を含んで構成される。
【0071】
このようにすると、複数の信号候補点間の配置関係を簡易なデータ構成で記憶でき、信号候補点を検出した際の車両Vと交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、配置パターンの相似性にも対応しやすい。
【0072】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点の大きさの比を含んで構成される。
【0073】
このようにすると、車両Vから交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、複数の信号候補点の各点の識別精度が向上し、候補点パターンデータを照合して当てはめる精度が向上する。また、全ての信号候補点の大きさが異なっていれば、少なくとも2点以上で幾何的な配置関係を考慮せずともそれらの大きさの比を照合するだけで信号確定点に対応する信号機の信号点を認識することもできる。
【0074】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の相対ベクトルデータを含んで構成される。
【0075】
このようにすると、各2点間の上下及び左右の配置関係まで相対ベクトルデータで特定できるため、信号確定点の検出数が少ない場合でも認識精度を上げることができる。
【0076】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、修正を繰り返して最適化できるよう参照可能な履歴データを含んで構成される。
【0077】
このようにすると、信号候補点の検出の過不足やズレ量などにも対処して適切に照合できるよう、候補点パターンデータを最適化できる。
【0078】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記前方画像中で信号機が表示され得る候補点検出領域Rにおいてだけ前記複数の信号候補点を検出する。
【0079】
このようにすると、信号候補点である赤色点を色認識処理で検出する際に、その大きな負荷処理を行う対象をできるだけ低減させてムダな処理を回避し、処理速度を向上できる。
【0080】
なお、上記実施形態では、候補点パターンデータを時間帯の区別に関係なく同じものを利用していた。しかし、昼間の明るい時間帯と、夜間の暗い時間帯とでは、信号候補点の検出に差が生じる場合がある。具体的には、電灯である信号機は昼夜のいずれも検出できるが、例えば夜間のみ点灯する赤色発光のネオン管を利用した看板があったり、逆にヘッドライトの光が十分に当たらないほど遠くに位置する赤色表示物は昼間だけ検出可能であったりする。この点を考慮して信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、時間帯別、季節別、または天候別の少なくともいずれか一つ対応して生成、適用されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、候補点パターンデータを生成する際、又は照合する際の信号候補点を、信号機の赤色点灯と同じ赤色点だけで検出していた。しかし、候補点パターンデータの照合時には、信号機の青色点灯も同様に信号候補点として検出可能とし、候補点パターンデータ中の信号確定点の近傍に位置する青色点も信号機の信号点として認識できるようにしてもよい。このようにすると、青信号中で停止することなく交差点へ向かっている場合も上述した信号機認識条件に含めることができ、手前の信号機を迅速に認識して黄色点灯及び赤色点灯への切り替わりを自動的に検出してシステムの制御に利用することができる。また、候補点パターンデータの生成時やその履歴データの更新時などにも青色点の信号候補点を参照可能としてもよい。
【0082】
また、信号確定点を含めた信号候補点の集合の配置パターンは、車線消失点位置に大きく関係している。車線消失点Pvとは、例えば図12に示すように、前方画像中において自車両Vが走行している車線の無限遠方点に相当する点である。車線消失点Pvを検出する手法としては、まず図示するように実際の走行車線の両側に塗布されている白線、路面と縁石との境界線およびアスファルト道路の縁部の少なくとも一つを前方画像の画像解析により検出し、当該走行車線の輪郭を形成する2本の車線輪郭線Lrとして認識する。そして、これら2本の車線輪郭線Lrの車両進行方向の延長線上の交点が、前方画像上における車線消失点Pvとして検出される。図12に示すように、走行車線がカーブ状の場合であっても、上記2本の車線輪郭線Lrも、前方画像上におけるそのカーブの方向と曲率に合わせて認識される。そして手前側の曲率に基づいた近似式でカーブの延長線を算出し、それらの交点位置が車線消失点Pvとして検出される。
【0083】
以上のようにして検出される車線消失点Pvは、信号候補点の集合の配置パターンにおける相対的な配置原点として利用できる。例えば、図13に示すように、各信号候補点P1〜P5の配置関係をそれぞれ車線消失点Pvとの2点間の距離の比で解析して候補点パターンデータを生成してもよいし、または2点間の相対ベクトルデータを含めてもよい。このようにすると、候補点パターンデータの照合当てはめが容易となる。
【0084】
また、図14に示すように、自車両Vの前方を走行する前方車両VfのハイマウントストップランプHも赤色点であるため、信号候補点として検出されやすい。これに対して、前方画像中において、ハイマウントストップランプHが表示され得る領域Rhを候補点検出領域Rから除外したり、または履歴データからハイマウントストップランプHに対応する信号候補点を予測できるようにしてもよい。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0086】
(1)候補点パターンデータを外部のデータベースに記憶させる場合
上記実施形態では、当該信号機認識装置Sが自ら生成した候補点パターンデータを、その内部に備えた記憶媒体12cに記憶させて照合に利用するいわゆるスタンドアローン型であったが、本発明はこれに限られない。例えば、図15に示すように、信号機認識装置S2が無線通信装置とアンテナを備え、中継局23との無線通信を介した通信ネットワークで外部のデータセンター24に備えたデータベース25(外部の記憶装置に相当)に候補点パターンデータを記憶させるいわゆるクラウド型としてもよい。
【0087】
この場合には、上記図11のフローにおけるステップS40の手順で、生成した候補点パターンデータをデータセンター24へ送信して記録させる処理を行う。また、ステップS10での判定手順やステップS45での取得手順では、データセンター24に対して所望の候補点パターンデータをリクエストする処理と、受信する処理とを行う。
【0088】
これにより、多数の信号機認識装置S2がそれぞれ各所の交差点で生成した候補点パターンデータを互いに共有することができ、履歴データの更新機会も増えて最適化の効率も向上できる。さらに、多数の信号機認識装置S2が生成した候補点パターンデータを共有して利用すれば、初めて訪れる交差点でも信号機認識をすることができる。
【0089】
また、データセンター24においては、候補点パターンデータをデータベース25に記憶させるだけでなく、データセンター24内に別途設けた演算装置によって信号機認識に関する演算の一部を信号機認識装置S2の代わりに行うようにしてもよい。例えば、信号機認識装置S2が上記図11のフローにおけるステップS35の信号確定点の設定までを行った後に、前方画像やそこから検出した信号候補点及び信号確定点を測位情報とともにデータセンター24へ送信する。そして、それらを受信したデータセンター24内の演算装置が、ステップS40と同等に候補点パターンデータの生成を行い、データベース25に記憶させる。または、信号機認識装置S2がステップS50で撮像した前方画像を測位情報とともにデータセンター24へ送信し、それを受信したデータセンター24内の演算装置(信号機認識手段に相当)がステップS55〜ステップS75と同等に信号確定点に対応する信号候補点の算出までを行って信号機認識装置S2へ返信する。
【0090】
このようにすることで、信号機認識装置S2の処理負担を大幅に軽減させることができ、またデータセンター24も各候補点パターンデータの履歴データまでを一括管理できる。
【0091】
(2)候補点パターンデータの生成、送信、記録に特化させる場合
上記実施形態及び上記第1変形例は、いずれも候補点パターンデータの生成と照合の両方の機能を有していたが、本発明はこれに限られない。例えば、候補点パターンデータの生成と、データセンター24への送信、記録のみに特化した構成としてもよい。
【0092】
この場合には、上記図11のフローにおけるステップS5の判定を満足した際に、ステップS10を省略してそのままステップS15以降の手順を実行すればよく、その他のステップS45以降の手順が不要となる。なお本変形例の場合も、ステップS40の手順で、生成した候補点パターンデータをデータセンター24へ送信して記録させる処理を行う。このステップS40の手順が、各請求項記載の送信手段に相当する。
【0093】
このようにすると、候補点パターンデータの生成と送信記録に特化した簡易な構成の信号機認識装置S2を実現できる。この構成は、例えば信号機情報収集用の調査車両への適用などが考えられる。これにより生成、送信記録された候補点パターンデータは、例えば、以下に説明する候補点パターンデータの受信と照合による信号機の認識に特化した簡易な構成の信号機認識装置で利用できるように共有されることが望ましい。
【0094】
(3)候補点パターンデータの受信、照合に特化させる場合
上記第1変形例は、候補点パターンデータの生成と、データセンター24への送信、記録のみに特化した構成であったが、逆に候補点パターンデータの受信と照合のみに特化した構成としてもよい。
【0095】
この場合には、ステップS10での判定手順やステップS45での取得手順で、データセンター24に対して所望の候補点パターンデータをリクエストする処理と、受信する処理とを行う。なお、このステップS45の手順が、各請求項記載の受信手段に相当する。また、ステップS10の判定を満足しなかった場合には、運転者にデータがない旨を報知してそのままフローを終了すればよい。
【0096】
このようにすると、候補点パターンデータの受信と照合による信号機の認識に特化した簡易な構成の信号機認識装置S2を実現できる。さらに、前述の信号機情報収集用の調査車両ならびに他の移動体により生成された候補点パターンデータを受信、照合することで、初めて訪れる交差点でも信号機認識をすることができる。
【0097】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0098】
1 フロントカメラ
2 イメージングユニット
3 ディスプレイ
11 CPU
12c 記憶媒体(記憶手段に相当)
13 ナビゲーション装置
15 グラフィックコントローラ
24 データセンター
25 データベース(外部の記憶装置に相当)
Dc 撮像方向
Dv 車両軸方向
Lr 車線輪郭線
P1〜P4 信号候補点
P2 信号確定点
Pv 車線消失点
R 候補点検出領域
S,S2 信号機認識装置
V 車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を含めた移動体の前方画像を解析処理することにより信号機を認識する信号機認識装置、候補点パターン送信装置、候補点パターン受信装置、信号機認識方法、及び候補点パターン受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両に搭載されたカメラで進行方向の前方画像を撮像し、その前方画像を解析処理することで当該車両の進行方向の信号機を認識する技術が利用されている。そして、その認識処理の精度と処理速度をさらに向上させるための技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、信号機の詳細な設置位置や設置高さ等を含む3次元の配置データをデータベースに登録し、自車両の現在位置とカメラの撮像方位との3次元的な位置関係に基づいて前方画像中における信号機の認識領域を算出する。これにより画像を解析処理する領域を絞り込めるため、信号機を認識する精度と処理速度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−347945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら現在のGPSなどによる測位精度や、カメラの撮像素子の画素数の制限や取り付け誤差などにより、自車両の現在位置とカメラの撮像方位を十分高い精度で検出することは困難であり、上記従来技術によって前方画像中における信号機の認識領域を正確に算出することは実使用上では難しい。そのため、自車両の現在位置とカメラの撮像方位に多少の誤差がある場合でも、前方画像中における信号機の認識を高い精度と処理速度で実現できる技術が要望されていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶手段と、当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶手段から取得し、当該移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶手段から取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項9記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶させるよう外部の記憶装置に送信する送信手段と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項10記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信手段と、前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項11記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項12記載の発明は、移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信工程と、前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の信号機認識装置を搭載した車両の構成例の一例を示す斜視図である。
【図2】実施形態の信号機認識装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】フロントカメラで撮像した前方画像をディスプレイに表示した場合の表示例を表した図である。
【図4】信号候補点を検出した図3中の候補点検出領域のみを拡大して表した図の一例である。
【図5】図4中の信号候補点だけを表した図の一例である。
【図6】信号機の点灯の切り替わりによる信号確定点の検出を説明する図である。
【図7】信号候補点の配置関係を2点間距離の比で解析する手法を説明する図である。
【図8】信号候補点の配置関係を2点間の相対ベクトルデータで解析する手法を説明する図である。
【図9】各信号候補点の識別をそれぞれの大きさの比で特定する手法を説明する図である。
【図10】候補点パターンデータの生成、記録、取得、及び照合を行う測位条件を説明する図である。
【図11】イメージングユニットのCPUが実行する制御内容を表すフローチャートである。
【図12】車線消失点を説明する図である。
【図13】車線消失点を利用した信号候補点の配置関係の解析手法の一例を説明する図である。
【図14】ハイマウントストップランプを信号候補点として検出した場合の一例である。
【図15】その他変形例の場合の信号機認識装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の信号機認識装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。この図1において、信号機認識装置Sは、車両Vの車内におけるルームミラー101の前方側位置に単独のフロントカメラ1を設けている。フロントカメラ1の撮像方向Dcは、当該車両Vの前方画像を撮像可能な姿勢で取り付けられている。
【0015】
図2は、信号機認識装置Sのハードウェア構成例を示すブロック図である。この図2において、信号機認識装置Sは、フロントカメラ1、イメージングユニット2、ディスプレイ3を有している。
【0016】
フロントカメラ1は例えばCCD撮像素子などを利用して、上述した当該車両Vの前方画像を撮像し、対応する信号をイメージングユニット2のCPU(後述)へ出力する機能を有する。なお、本実施形態の例では、このフロントカメラ1が短い時間間隔で前方画像を撮像し続けることで、前方画像を動画の形態で撮像する。
【0017】
ディスプレイ3は、例えばLCDパネルなどで構成されて、イメージングユニット2のグラフィックコントローラ(後述)から入力された画像信号に基づいて前方画像を表示する機能を有する。
【0018】
イメージングユニット2は、CPU11、記憶装置12、ナビゲーション装置13、車速センサ14、グラフィックコントローラ15を有している。
【0019】
CPU11は、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、信号機認識装置S全体を制御する機能を有する。
【0020】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは記憶手段に相当し、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体である。
【0021】
ナビゲーション装置13は、GPSセンサ(特に図示せず)を利用して車両Vの現在位置及び進行方向を含む測位情報を取得するとともに、予め記憶している地図情報に基づいて所定の経路探索や経路誘導を行う機能を有する。
【0022】
車速センサ14は、自車の走行速度を検出する機能(言い換えれば走行していることを検出する機能)を有する。CPU11は、この車速センサ14の検出信号に基づき、当該自動車が走行中の状態であるか、停止中の状態であるかを識別することができる。
【0023】
グラフィックコントローラ15は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)及び上記ナビゲーション装置13などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像信号を上記ディスプレイ3に表示させる機能を有する。
【0024】
以下、本実施形態の信号機認識装置Sによる信号機の認識手法について詳細に説明する。
【0025】
図3は、上記図1に示したフロントカメラ1が撮像した前方画像のディスプレイ3での表示例を表している。この図3において、図示する表示例では、信号機が赤色点灯している交差点前で車列を形成して停止している状態の前方画像を示している。運転者はこのような信号待ちの時間を利用して前方の車窓景色から目を離し、ナビゲーション機能によって地図を参照したり他の機器の操作を行いたい場合がある。そこで本実施形態の信号機認識装置は、運転者に代わって信号機の赤色点灯から青色点灯への切り替わりを監視し、青色点灯した際に画像や音声で信号機の点灯の切り替わりを報知したり、地図表示を停止するなどの処理を行う。
【0026】
そのために信号機認識装置Sは、信号機の点灯の切り替わりを十分な反応速度で検出できるよう、前方画像中における信号機の表示箇所を信号点として認識し、当該信号点の位置に絞り込んで点灯の切り替えを集中的に監視する。本実施形態の信号機認識装置Sでは、上記信号点の絞り込みとして前方画像中に表示される赤色点を公知の色認識処理により検出する。本実施形態では、この色認識処理を行う際、ムダな処理を回避して処理速度を向上させるために、前方画像中において信号機が表示され得る領域、例えば地平線より上方で上記車両軸方向Dvを中心とした左右方向範囲の所定の領域(図中の破線枠の領域;以下、候補点検出領域Rという)においてのみ色認識処理を行う。
【0027】
しかし、交差点の周囲には、信号機以外にも赤色の表示部分を有する標識や看板などの赤色表示物が多数存在する場合がある。このため、候補点検出領域Rのみを拡大した図4に示すように、当該候補点検出領域R中に表示されるこれら全ての赤色表示物が、上記色認識処理によって信号機の赤色点灯と同等に検出される。なお、図示するような各信号候補点の表示を実際にディスプレイ3の前方画像中において行ってもよいし、または表示しなくともよい。
【0028】
本実施形態では、まず最初に車両より撮影された前方画像中の赤色表示物と信号機の赤色点灯は、一般的な色認識処理により赤色で構成される領域である赤色点として認識される。この赤色点を全て信号候補点P1,P2,P3,P4,P5として検出し、図5に示すように候補点検出領域Rにおける信号候補点それぞれの中心位置と大きさを記憶する。この時点では、信号機認識装置Sはどの信号候補点が実際の信号機の赤色点灯に相当するかを認識できない。しかしその後に、図6に示すように信号機が青色点灯に切り替わることで、複数ある信号候補点P1〜P5のいずれかの赤色点が消灯し、その近傍位置(ほとんどの場合は左側の近傍)で青色点を認識できる。このように赤色点の消灯と近傍位置の青色点の点灯がほぼ同時に認識された信号候補点(図示する例ではP2)は、実際の信号機に対応する信号確定点として設定される。
【0029】
本実施形態では、これら複数の信号候補点P1,P3〜P5と信号確定点P2との間の幾何的な配置関係を解析し、その解析データを候補点パターンデータとして生成する。この候補点パターンデータが示す信号候補点P1〜P5(信号確定点P2を含む)どうしの幾何的な配置関係は、状況によらず常に概略的に相似の関係となる。つまり、同じ交差点に対し同じ進入方向で進入する場合であれば、色認識処理により検出される候補点パターンは、車両Vから当該交差点までの距離や車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらずあらかじめ生成された候補点パターンデータと常に概略的に相似の関係となる。
【0030】
本実施形態では、この性質を利用して候補点検出領域R中に表示される信号機を迅速に認識する。すなわち、同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータを取得し、その時点で検出した信号候補点の集合P1〜P5に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめる。これにより、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点に対応する信号候補点P2を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【0031】
候補点パターンデータを生成する際には、検出された複数の信号候補点の全てに対して赤色点の消灯とそれぞれの近傍位置の青色点の点灯の同時認識を監視し、いずれか1つを信号確定点に設定する必要がある。このため、負荷の高い色認識処理を複数箇所で長時間継続されるとともに、青色点灯に切り替わるまで実際の信号機を認識できない。しかし、同じ状況での候補点パターンデータがあらかじめ生成されていれば、その時点で検出された信号候補点の集合に当該候補点パターンデータを照合して当てはめるだけですぐに信号確定点に対応する実際の信号機を認識できる。その後は、認識した信号機の信号点位置だけを絞り込んで監視すればよく、その点灯の切り替わりを低負荷の処理で迅速に検出できる。
【0032】
ここで、上記候補点パターンデータの生成において各信号候補点間の幾何的な配置関係を解析する手法についていくつか例示する。
【0033】
まず、図7は、各信号候補点間の距離(ピクセル単位)の比で配置関係を解析する手法である。図示する例では、最も短いP3とP5の間の距離を1として、他の組み合わせの2点間の距離の比をそれぞれ算出して候補点パターンデータを構成する。これによれば、複数の信号候補点P1〜P5間の配置関係を簡易なデータ構成で記憶でき、信号候補点P1〜P5を検出した際の車両Vから交差点までの距離にかかわらず、配置パターンは相似の関係となる。
【0034】
また、図8に示すように、各2点間の配置関係をそれぞれ相対ベクトルで解析する手法もある(図中ではP1→P2間の
のみ図示)。これによれば、各2点間の上下及び左右の配置関係まで相対ベクトルデータで特定できるため、信号候補点の検出数が少ない場合でも認識精度を上げることができる。
【0035】
また、図9に示すように、各信号候補点P1〜P5の大きさの比で各点の識別精度を向上させる手法がある。これによれば、例えば複数の信号候補点がほぼ同一直線上で等間隔に配置されている場合(特に図示せず)などでも、それぞれの大きさの比を照合することで候補点パターンを適切な位置で当てはめることができる。また、大きさの異なる信号候補点が少なくとも2点あれば、幾何的な配置関係を考慮せずともそれらの大きさの比を照合するだけで信号確定点に対応する信号機の信号点を認識することもできる。
【0036】
また、車両Vが交差点に近づくにしたがって、車両Vから遠くに位置する赤色表示物よりも車両Vの近くに位置する赤色表示物の方が大きく移動して見える。このため、車両Vの近くに位置する赤色表示物の信号候補点ほど、車両Vから交差点までの距離の変化に応じて候補点配置パターンとのズレが大きくなる。また、例えば大型車両が前方に待機している場合には信号候補点の一部が一時的に検出できなかったり、もしくは看板などの新設や撤去により赤色点が増減する場合がある。
【0037】
これらの場合にも候補点パターンデータを適切に照合できるよう、候補点パターンデータは修正を繰り返して最適化可能に構成される。例えば、候補点パターンデータに各信号候補点のそれぞれの過去の検出回数や位置のズレ量などを含む履歴データを記録し、照合時には各点の検出信頼性や位置の許容誤差を参照できるようにする。少なくともその周囲に検出信頼性の高い信号候補点が2点(計3点)あれば、信号確定点を十分特定できる。また、許容誤差が大きい信号候補点ほど車両Vの近くに位置する赤色表示物と見なし、それを考慮した候補点パターンの当てはめが可能となる。
【0038】
なお、以上に例示した解析手法を適宜複合して実施してもよい。これらは本実施形態への適用に好適なものであるが、これら以外にも例えば所定の信号候補点を頂点として他の2つの信号候補点の間の角度を利用して解析したり(図示省略)、または公知のパターン認識に用いられる解析手法などを利用してもよい。
【0039】
以上のように生成、修正される候補点パターンデータは、同じ交差点に対する同じ進入方向に対して適用できる。このため、候補点パターンデータは、上記ナビゲーション装置13のGPSセンサから取得する現在位置及び進行方向を含む測位情報に対応して記憶、照合される。例えば、車両Vの現在地の表示例を表す図10において、車両VがノードAの交差点からノードBの交差点へ向かう進行方向の経路上で生成、記憶した候補点パターンデータは、同じようにノードAの交差点からノードBの交差点へ向かう進行方向の経路上で取得、照合される。あるいは、ナビゲーション装置13の地図情報を参照することで、候補点パターンデータを、前記測位情報の代わりに、例えば交差点名称などの交差点情報及びそれに向かう進行方向情報に対応して記録、照合させてもよい。また、本実施形態の例では、交差点の前で赤信号待ちをしている状態を信号機認識条件とし、この信号機認識条件を満たす場合に候補点パターンデータの生成と照合を行うが、例えば撮像が安定して行える速度以下で走行していることを信号識別条件としてもよい。
【0040】
なお一般的に信号機がLED式の場合、実際の信号機の点灯は50Hzまたは60Hzの周波数での点滅状態となっている。このためフロントカメラ1が撮像する際のフレームレートとの関係により、信号機が消灯している瞬間に撮像される場合がある。このような場合に備えてフロントカメラ1は上記周波数と異なる周期で複数回連続して撮像を行い、信号機認識装置Sはフロントカメラ1により撮影された複数の画像を監視し、信号機が点灯している瞬間の画像データを基にその後の処理を行うこととしてもよい。
【0041】
図11は、以上説明した動作態様を実現するために、イメージングユニット2のCPU11が実行する制御内容を表すフローチャートである。なお、このフローは、当該車両Vの走行中でフロントカメラ1が動画の形態で前方画像を撮像している間に、例えば適宜の時間間隔で呼び出されて実行を開始する。
【0042】
図11において、まずステップS5において、上記ナビゲーション装置12から取得される測位情報や地図情報、及び上記車速センサ14で検出される車両Vの停止状態などから、上述した信号機認識条件を満たしているか否かを判定する。信号機認識条件を満たしていない場合、判定は満たされず、そのままこのフローを終了する。
【0043】
一方、信号機認識条件を満たしている場合、判定が満たされ、ステップS10へ移る。
【0044】
ステップS10では、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応する候補点パターンデータがすでに記憶媒体12cに記憶されているか否かを判定する。対応する候補点パターンデータがまだ生成、記憶されていない場合、判定は満たされず、ステップS15へ移る。
【0045】
ステップS15では、現在フロントカメラ1で撮像している前方画像の画像データを記憶装置12(RAM12b)に取り込む。
【0046】
次にステップS20へ移り、上記ステップS15で取り込んだ前方画像のうちの候補点検出領域R中で、色認識処理により赤色点を信号候補点として検出する。なお、このステップS20の手順が、各請求項記載の信号候補点検出手段又は信号候補点検出工程に相当する。
【0047】
次にステップS25へ移り、上記ステップS20で検出した全ての信号候補点に対し、その赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯を監視する。
【0048】
次にステップS30へ移り、いずれかの信号候補点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認されたか否かを判定する。確認されていない場合、判定は満たされず、ステップS25に戻り同様の手順を繰り返す。
【0049】
一方、いずれかの信号候補点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された場合、判定が満たされ、ステップS35へ移る。
【0050】
ステップS35では、上記ステップS30で赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された信号候補点を信号確定点として設定する。
【0051】
次に、ステップS40へ移り、上述した解析手法によって信号確定点及びその他信号候補点の幾何的な配置関係や各赤色点の大きさを解析して候補点パターンデータを生成し、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応させて記憶する。そして、このフローを終了する。なお、上記のステップS25〜ステップS40の手順が、各請求項記載の候補点パターンデータ生成手段又は候補点パターンデータ生成工程に相当し、ステップS40の手順が、各請求項記載の記憶工程に相当する。
【0052】
また一方、上記ステップS10の判定において、ナビゲーション装置12から取得される測位情報に対応した候補点パターンデータがすでに記憶媒体12cに記憶されている場合、判定が満たされ、ステップS45へ移る。
【0053】
ステップS45では、上記ステップS10で対応しているとみなされた候補点パターンデータを記憶媒体12cから取得する。
【0054】
次に、ステップS50へ移り、現在フロントカメラ1で撮像している前方画像の画像データを記憶装置12(RAM12b)に取り込む。
【0055】
次にステップS55へ移り、上記ステップS50で取り込んだ前方画像のうちの候補点検出領域R中で、色認識処理により赤色点を信号候補点として検出する。なお、このステップS55の手順も、各請求項記載の信号候補点検出手段又は信号候補点検出工程に相当する。
【0056】
次に、ステップS60へ移り、上記ステップS55で検出した信号候補点と上記ステップS45で取得した候補点パターンデータとを照合する。この照合においては、ステップ55で検出した信号候補点とS45で取得した候補点パターンデータが全体あるいは部分的に相似する箇所を探したり、後述する信号候補点の大きさの比や、信号候補点間の相対ベクトルデータ、候補点パターンデータの履歴データを利用して、候補点パターンデータに全体あるいは部分的に対応する信号候補点があるかどうかを調べる。
【0057】
次に、ステップS65へ移り、上記ステップS60での照合で、現在の前方画像上で検出した信号候補点が候補点パターンデータに一致するか否かを判定する。なお、すべての信号候補点間の幾何的な配置関係がほぼ相似の関係にあれば完全一致しているとみなし、ステップS75へ移る。一部の信号候補点間の幾何的な配置関係がほぼ相似の関係にあれば部分一致しているとみなし、ステップS70へ移る。部分一致となるケースは、例えば、候補点パターンデータとして登録されている赤い標識が、現在の前方画像には前方に停車中の大型車両の死角に入って写っていなかったり、あるいは、候補点パターンデータを生成、記録する際に、たまたま前方に停車中の車両のテールランプが登録されていた場合などが考えられる。一致する信号候補点が存在しない場合はステップS25へ移り、各信号候補点の消灯とその近傍の青色点灯を監視する。
【0058】
ステップS70では、上記ステップS65で判定された部分一致の内容に応じて、候補点パターンデータの履歴データを更新する。ここで、例えば候補点パターンデータの中で一致しなかった信号候補点に関する検出信頼性を減じて記録したり、今回の信号との候補点とのズレ量を記録してもよい。この候補点パターンデータの履歴データは、ステップS60の照合の際に、信号候補パターンデータの中のどの信号候補点の一致を優先するかの判断材料としてもよい。そして、ステップS75へ移る。
【0059】
一方、上記ステップS65の判定において、現在の前方画像上で検出した信号候補点が候補点パターンデータに完全一致する場合、判定が満たされ、そのままステップS75へ移る。
【0060】
ステップS75では、上記ステップS60での照合に基づいて、現在の前方画像中で検出された信号候補点に候補点パターンデータの信号候補点の位置及び大きさを調整して当てはめる。このとき、上記ステップS55で検出された一部又は全ての信号候補点間の幾何的な配置関係が、上記履歴データによる補足も含めつつ候補点パターンデータとほぼ相似の関係にある。そのため、その時点の交差点までの距離の遠近や移動体が走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、候補点パターンデータを適切に当てはめることができる。
【0061】
次に、ステップS80へ移り、候補点パターンデータの信号確定点に対応する信号候補点を信号点として認識する。なお、上記のステップS60〜ステップS80の手順が、各請求項記載の信号機認識手段又は信号機認識工程に相当する。
【0062】
次に、ステップS85へ移り、上記ステップS80で認識した信号点の信号機に対して、その赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯を監視する。
【0063】
次にステップS90へ移り、監視対象の信号点におけるその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認されたか否かを判定する。確認されていない場合、判定は満たされず、ステップS85に戻り同様の手順を繰り返す。
【0064】
一方、監視対象の信号点においてその赤色点の消灯とその近傍位置の青色点灯が確認された場合、判定が満たされ、ステップS95へ移る。
【0065】
ステップS95では、前方の信号機が青点灯に切り替わったことをディスプレイ3での画像表示、または特に図示しないスピーカでの音声などによって運転者に報知する。そして、このフローを終了する。
【0066】
以上説明したように、上記実施形態の信号機認識装置Sにおいては、車両Vから撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、前記前方画像を撮像した際の当該車両Vの測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶媒体12c(記憶手段に相当)と、当該車両Vの現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶媒体12cから取得し、当該車両Vから撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶媒体12cから取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、を有する。
【0067】
また、上記実施形態の信号機認識装置Sが実行する信号機認識方法においては、車両Vから撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、前記前方画像を撮像した際の当該車両Vの測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、当該車両Vの現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、を有する。
【0068】
このようにすると、同じ交差点に対し同じ進入方向で進入する場合であれば、前方画像中で検出される信号候補点の配置パターンは、車両Vから当該交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらずあらかじめ生成された候補点パターンデータと常に概略的に相似する。この性質を利用して、同じ交差点に対する同じ進入方向に対応してあらかじめ生成、記憶しておいた候補点パターンデータと、その時点で検出した信号候補点の集合に対して候補点パターンの配置と大きさを照合して当てはめることができる。これにより、候補点パターンデータ中に設定された信号確定点に対応する信号候補点を、実際の信号機の表示位置を示す信号点として認識できる。
【0069】
このようにして本実施形態の信号機認識装置Sは、候補点パターンデータがあらかじめ生成された交差点の信号機に対しては、その時点で検出された信号候補点に当該候補点パターンデータを照合して当てはめるだけで信号確定点に対応する実際の信号機を迅速に認識できる。つまり、車両Vと交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、前方画像中における信号機の認識を高い精度と処理速度で実現できる。
【0070】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の距離の比を含んで構成される。
【0071】
このようにすると、複数の信号候補点間の配置関係を簡易なデータ構成で記憶でき、信号候補点を検出した際の車両Vと交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、配置パターンの相似性にも対応しやすい。
【0072】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点の大きさの比を含んで構成される。
【0073】
このようにすると、車両Vから交差点までの距離の遠近や当該車両Vが走行するレーンの違いや撮像方向Dcの多少の違いに係わらず、複数の信号候補点の各点の識別精度が向上し、候補点パターンデータを照合して当てはめる精度が向上する。また、全ての信号候補点の大きさが異なっていれば、少なくとも2点以上で幾何的な配置関係を考慮せずともそれらの大きさの比を照合するだけで信号確定点に対応する信号機の信号点を認識することもできる。
【0074】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の相対ベクトルデータを含んで構成される。
【0075】
このようにすると、各2点間の上下及び左右の配置関係まで相対ベクトルデータで特定できるため、信号確定点の検出数が少ない場合でも認識精度を上げることができる。
【0076】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、修正を繰り返して最適化できるよう参照可能な履歴データを含んで構成される。
【0077】
このようにすると、信号候補点の検出の過不足やズレ量などにも対処して適切に照合できるよう、候補点パターンデータを最適化できる。
【0078】
また、信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記前方画像中で信号機が表示され得る候補点検出領域Rにおいてだけ前記複数の信号候補点を検出する。
【0079】
このようにすると、信号候補点である赤色点を色認識処理で検出する際に、その大きな負荷処理を行う対象をできるだけ低減させてムダな処理を回避し、処理速度を向上できる。
【0080】
なお、上記実施形態では、候補点パターンデータを時間帯の区別に関係なく同じものを利用していた。しかし、昼間の明るい時間帯と、夜間の暗い時間帯とでは、信号候補点の検出に差が生じる場合がある。具体的には、電灯である信号機は昼夜のいずれも検出できるが、例えば夜間のみ点灯する赤色発光のネオン管を利用した看板があったり、逆にヘッドライトの光が十分に当たらないほど遠くに位置する赤色表示物は昼間だけ検出可能であったりする。この点を考慮して信号機認識装置Sにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記候補点パターンデータが、時間帯別、季節別、または天候別の少なくともいずれか一つ対応して生成、適用されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、候補点パターンデータを生成する際、又は照合する際の信号候補点を、信号機の赤色点灯と同じ赤色点だけで検出していた。しかし、候補点パターンデータの照合時には、信号機の青色点灯も同様に信号候補点として検出可能とし、候補点パターンデータ中の信号確定点の近傍に位置する青色点も信号機の信号点として認識できるようにしてもよい。このようにすると、青信号中で停止することなく交差点へ向かっている場合も上述した信号機認識条件に含めることができ、手前の信号機を迅速に認識して黄色点灯及び赤色点灯への切り替わりを自動的に検出してシステムの制御に利用することができる。また、候補点パターンデータの生成時やその履歴データの更新時などにも青色点の信号候補点を参照可能としてもよい。
【0082】
また、信号確定点を含めた信号候補点の集合の配置パターンは、車線消失点位置に大きく関係している。車線消失点Pvとは、例えば図12に示すように、前方画像中において自車両Vが走行している車線の無限遠方点に相当する点である。車線消失点Pvを検出する手法としては、まず図示するように実際の走行車線の両側に塗布されている白線、路面と縁石との境界線およびアスファルト道路の縁部の少なくとも一つを前方画像の画像解析により検出し、当該走行車線の輪郭を形成する2本の車線輪郭線Lrとして認識する。そして、これら2本の車線輪郭線Lrの車両進行方向の延長線上の交点が、前方画像上における車線消失点Pvとして検出される。図12に示すように、走行車線がカーブ状の場合であっても、上記2本の車線輪郭線Lrも、前方画像上におけるそのカーブの方向と曲率に合わせて認識される。そして手前側の曲率に基づいた近似式でカーブの延長線を算出し、それらの交点位置が車線消失点Pvとして検出される。
【0083】
以上のようにして検出される車線消失点Pvは、信号候補点の集合の配置パターンにおける相対的な配置原点として利用できる。例えば、図13に示すように、各信号候補点P1〜P5の配置関係をそれぞれ車線消失点Pvとの2点間の距離の比で解析して候補点パターンデータを生成してもよいし、または2点間の相対ベクトルデータを含めてもよい。このようにすると、候補点パターンデータの照合当てはめが容易となる。
【0084】
また、図14に示すように、自車両Vの前方を走行する前方車両VfのハイマウントストップランプHも赤色点であるため、信号候補点として検出されやすい。これに対して、前方画像中において、ハイマウントストップランプHが表示され得る領域Rhを候補点検出領域Rから除外したり、または履歴データからハイマウントストップランプHに対応する信号候補点を予測できるようにしてもよい。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0086】
(1)候補点パターンデータを外部のデータベースに記憶させる場合
上記実施形態では、当該信号機認識装置Sが自ら生成した候補点パターンデータを、その内部に備えた記憶媒体12cに記憶させて照合に利用するいわゆるスタンドアローン型であったが、本発明はこれに限られない。例えば、図15に示すように、信号機認識装置S2が無線通信装置とアンテナを備え、中継局23との無線通信を介した通信ネットワークで外部のデータセンター24に備えたデータベース25(外部の記憶装置に相当)に候補点パターンデータを記憶させるいわゆるクラウド型としてもよい。
【0087】
この場合には、上記図11のフローにおけるステップS40の手順で、生成した候補点パターンデータをデータセンター24へ送信して記録させる処理を行う。また、ステップS10での判定手順やステップS45での取得手順では、データセンター24に対して所望の候補点パターンデータをリクエストする処理と、受信する処理とを行う。
【0088】
これにより、多数の信号機認識装置S2がそれぞれ各所の交差点で生成した候補点パターンデータを互いに共有することができ、履歴データの更新機会も増えて最適化の効率も向上できる。さらに、多数の信号機認識装置S2が生成した候補点パターンデータを共有して利用すれば、初めて訪れる交差点でも信号機認識をすることができる。
【0089】
また、データセンター24においては、候補点パターンデータをデータベース25に記憶させるだけでなく、データセンター24内に別途設けた演算装置によって信号機認識に関する演算の一部を信号機認識装置S2の代わりに行うようにしてもよい。例えば、信号機認識装置S2が上記図11のフローにおけるステップS35の信号確定点の設定までを行った後に、前方画像やそこから検出した信号候補点及び信号確定点を測位情報とともにデータセンター24へ送信する。そして、それらを受信したデータセンター24内の演算装置が、ステップS40と同等に候補点パターンデータの生成を行い、データベース25に記憶させる。または、信号機認識装置S2がステップS50で撮像した前方画像を測位情報とともにデータセンター24へ送信し、それを受信したデータセンター24内の演算装置(信号機認識手段に相当)がステップS55〜ステップS75と同等に信号確定点に対応する信号候補点の算出までを行って信号機認識装置S2へ返信する。
【0090】
このようにすることで、信号機認識装置S2の処理負担を大幅に軽減させることができ、またデータセンター24も各候補点パターンデータの履歴データまでを一括管理できる。
【0091】
(2)候補点パターンデータの生成、送信、記録に特化させる場合
上記実施形態及び上記第1変形例は、いずれも候補点パターンデータの生成と照合の両方の機能を有していたが、本発明はこれに限られない。例えば、候補点パターンデータの生成と、データセンター24への送信、記録のみに特化した構成としてもよい。
【0092】
この場合には、上記図11のフローにおけるステップS5の判定を満足した際に、ステップS10を省略してそのままステップS15以降の手順を実行すればよく、その他のステップS45以降の手順が不要となる。なお本変形例の場合も、ステップS40の手順で、生成した候補点パターンデータをデータセンター24へ送信して記録させる処理を行う。このステップS40の手順が、各請求項記載の送信手段に相当する。
【0093】
このようにすると、候補点パターンデータの生成と送信記録に特化した簡易な構成の信号機認識装置S2を実現できる。この構成は、例えば信号機情報収集用の調査車両への適用などが考えられる。これにより生成、送信記録された候補点パターンデータは、例えば、以下に説明する候補点パターンデータの受信と照合による信号機の認識に特化した簡易な構成の信号機認識装置で利用できるように共有されることが望ましい。
【0094】
(3)候補点パターンデータの受信、照合に特化させる場合
上記第1変形例は、候補点パターンデータの生成と、データセンター24への送信、記録のみに特化した構成であったが、逆に候補点パターンデータの受信と照合のみに特化した構成としてもよい。
【0095】
この場合には、ステップS10での判定手順やステップS45での取得手順で、データセンター24に対して所望の候補点パターンデータをリクエストする処理と、受信する処理とを行う。なお、このステップS45の手順が、各請求項記載の受信手段に相当する。また、ステップS10の判定を満足しなかった場合には、運転者にデータがない旨を報知してそのままフローを終了すればよい。
【0096】
このようにすると、候補点パターンデータの受信と照合による信号機の認識に特化した簡易な構成の信号機認識装置S2を実現できる。さらに、前述の信号機情報収集用の調査車両ならびに他の移動体により生成された候補点パターンデータを受信、照合することで、初めて訪れる交差点でも信号機認識をすることができる。
【0097】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0098】
1 フロントカメラ
2 イメージングユニット
3 ディスプレイ
11 CPU
12c 記憶媒体(記憶手段に相当)
13 ナビゲーション装置
15 グラフィックコントローラ
24 データセンター
25 データベース(外部の記憶装置に相当)
Dc 撮像方向
Dv 車両軸方向
Lr 車線輪郭線
P1〜P4 信号候補点
P2 信号確定点
Pv 車線消失点
R 候補点検出領域
S,S2 信号機認識装置
V 車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶手段と、
当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶手段から取得し、当該移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶手段から取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、
を有することを特徴とする信号機認識装置。
【請求項2】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の距離の比を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の信号機認識装置。
【請求項3】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点の大きさの比を含んで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の信号機認識装置。
【請求項4】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の相対ベクトルデータを含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項5】
前記候補点パターンデータは、修正を繰り返して最適化できるよう参照可能な履歴データを含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項6】
前記候補点パターンデータは、時間帯別、季節別、または天候別の少なくともいずれか一つ対応して生成、適用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項7】
信号候補点検出手段は、前記前方画像中で信号機が表示され得る領域においてだけ前記複数の信号候補点を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項8】
前記信号候補点検出手段は青色点も認識可能であり、前記信号機認識手段は、その照合時において前記候補点パターンデータ中の前記信号確定点の近傍に位置する青色点も信号機として認識することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項9】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶させるよう外部の記憶装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする候補点パターン送信装置。
【請求項10】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信手段と、
前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、
を有することを特徴とする候補点パターン受信装置。
【請求項11】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、
当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、
を有することを特徴とする信号機認識方法。
【請求項12】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、
前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信工程と、
前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、
を有することを特徴とする候補点パターン受信方法。
【請求項1】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶手段と、
当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを前記記憶手段から取得し、当該移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記記憶手段から取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、
を有することを特徴とする信号機認識装置。
【請求項2】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の距離の比を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の信号機認識装置。
【請求項3】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点の大きさの比を含んで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の信号機認識装置。
【請求項4】
前記候補点パターンデータは、前記前方画像中における前記複数の信号候補点間の相対ベクトルデータを含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項5】
前記候補点パターンデータは、修正を繰り返して最適化できるよう参照可能な履歴データを含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項6】
前記候補点パターンデータは、時間帯別、季節別、または天候別の少なくともいずれか一つ対応して生成、適用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項7】
信号候補点検出手段は、前記前方画像中で信号機が表示され得る領域においてだけ前記複数の信号候補点を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項8】
前記信号候補点検出手段は青色点も認識可能であり、前記信号機認識手段は、その照合時において前記候補点パターンデータ中の前記信号確定点の近傍に位置する青色点も信号機として認識することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の信号機認識装置。
【請求項9】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成手段と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶させるよう外部の記憶装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする候補点パターン送信装置。
【請求項10】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出手段と、
前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信手段と、
前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識手段と、
を有することを特徴とする候補点パターン受信装置。
【請求項11】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、
前記複数の信号候補点のいずれかにおいてその赤色点の消灯とともに近傍位置での青色点の点灯が認識される信号確定点を検出するとともに、前記前方画像中における当該信号確定点を含めた前記複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを生成する候補点パターンデータ生成工程と、
前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して前記候補点パターンデータを記憶する記憶工程と、
当該移動体の現在の測位情報に対応する前記候補点パターンデータを取得し、移動体から撮像された現在の前方画像において前記信号候補点検出工程により検出した信号候補点に対し、取得した候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、
を有することを特徴とする信号機認識方法。
【請求項12】
移動体から撮像された前方画像において赤色点で認識される複数の信号候補点を検出する信号候補点検出工程と、
前記移動体または当該移動体とは異なる他の移動体が生成し、信号確定点を含めた複数の信号候補点間の幾何的な配置関係を解析した候補点パターンデータを、前記前方画像を撮像した際の当該移動体の測位情報に対応して外部の記憶装置から受信する受信工程と、
前記信号候補点検出手段により検出した信号候補点に対し、前記受信手段で受信した前記候補点パターンデータを照合して当てはめ、当該候補点パターンデータ中の前記信号確定点に対応する信号候補点を信号機として認識する信号機認識工程と、
を有することを特徴とする候補点パターン受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−45176(P2013−45176A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180838(P2011−180838)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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