説明

信号選択回路、可変遅延回路

【課題】選択する信号によって入力から出力までの時間がばらつく現象の発生を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】M個の入力信号の一つを出力端子に選択出力することができるセレクタを複数並設し、MN個の入力端子からMN-1個の出力を選択する第1セレクタ階層から、順次乗数Nを1つずつ減らすようにして、一つのセレクタからなる第Nセレクタ階層までを階層的に構築する。セレクタ層101と、第1セレクタ階層から第Nセレクタ階層までの各階層間を配線すると共に、各セレクタの入出力端子間の配線を、各セレクタのmm≦M番目の入力端子に対する配線とm´番目の入力端子に対する配線とが交差するように配線する配線層102とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号選択回路における回路設計技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遅延時間の異なる複数通りの遅延信号の内から任意の1つの遅延信号を選択出力する可変遅延回路では、単調増加回路によって単調増加する所望の数(例えば、256通り)の遅延信号を生成し、当該生成した所望の数の遅延信号の内いずれか1つを信号選択回路により選択して出力する。図5は、可変遅延回路において用いられている従来の信号選択回路の一般的な回路構成を示す図である。図5では、単調増加回路にて生成された256通りの遅延信号を入力とし、これら遅延信号の内から所望の1つの信号を選択して出力する構成となっている。
【0003】
上述のような可変遅延回路において、単調増加回路に関しては、Delayを配列することにより、段階的に増加する遅延信号の遅延時間の増加量を均等にすることができる。図6は、単調増加回路にて生成された256通りの遅延信号D[0]〜D[255]の信号波形について説明するための図である。
【0004】
図6では、単調増加回路にて生成された遅延信号D[0]と遅延信号D[1]との遅延時間の差はdt、遅延信号D[1]と遅延信号D[2]との遅延時間の差はdtとなっており、それぞれの遅延信号の遅延時間の増加量が均等になっていることがわかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遅延信号のように信号の遅延時間そのものが重要な意味をもつような信号の場合、当該信号が信号選択回路に入力されてから選択出力されるまでの所要時間(伝達時間)は、複数の遅延信号D[0]〜D[255]の内いずれを選択した場合でも同等である(ばらつきがない)ことが好ましい。
【0006】
一般に、選択する遅延信号によって信号選択回路に入力されてから選択出力されるまでの所要時間のばらつきが発生することを抑制するため、セレクタの適切な配置及び等長配線による調整が行われているが、このような調整を実施した場合においても、上述のような選択される遅延信号毎の信号伝達時間のばらつきは生じてしまう。
【0007】
図7は、信号選択回路を構成する個々のセレクタに起因する信号伝達時間のばらつきについて説明するための図である。一般に、信号選択回路を構成するセレクタでは、そのセレクタにおける入力スルー(セレクタの入力端子に対して入力される信号の傾き)と出力負荷(そのセレクタで選択された信号の出力先(配線およびセレクタ)の容量)の影響により、入力Portから出力Portまで信号が伝達される時間が、一方の入力Port(A−Port)から出力Port(Z−Port)までと他方の入力Port(B−Prot)から出力Port(Z−Port)までとで異なっている。なお、図5に示すような左右対称なツリー構造となっている回路では、全てのセレクタにおいて上述と同様な入力端子に依存する信号伝達時間の差異が生ずる。
【0008】
図5に示すような従来の信号選択回路を可変遅延回路に適用した場合、複数の遅延信号D[0]〜D[255]は、信号選択回路に入力されてから出力されるまでに通る経路(経由するセレクタの入力端子)がそれぞれ異なる。よって、単調増加回路で生成された遅延信号の遅延時間の増加量が均等になっていたとしても、当該複数の遅延信号の内から所望の信号を信号選択回路にて選択して出力する際、当該遅延信号が信号選択回路に入力されてから出力されるまでの所要時間が、選択される遅延信号がどれであるかによってばらついてしまう。
【0009】
図8は、従来の信号選択回路における信号伝達時間のばらつきについて説明するための図である。同図では説明の便宜上、16通りの遅延信号(D[0]〜D[15])の中から所望の遅延信号を選択出力する信号選択回路を示している。また、同図における各セレクタ(台形で図示)におけるAとはA−Portを意味し、BとはB−Portを意味する。
【0010】
同図に示す従来の信号選択回路では、例えば遅延信号D[7]を選択出力しようとする場合、遅延信号D[7]は、信号選択回路から出力されるまでの間に各セレクタの入力端子をB、B、B、Aの順に経由する(点線参照)。一方、遅延信号D[7]に隣接する遅延信号D[8]を選択出力しようとする場合、遅延信号D[8]は、信号選択回路から出力されるまでの間に各セレクタの入力端子をA、A、A、Bの順に経由する(太線参照)。すなわち、遅延信号D[7]と遅延信号D[8]とは、複数の遅延信号の中で最も近接する遅延量をもつ信号であるにも拘らず、出力されるまでに経由する入力端子が大幅に異なるため(経路が異なる入力端子に偏っている)、両者間の信号選択回路への入力から出力までの所要時間は大きく異なってしまう。この現象は、遅延信号D[3]と遅延信号D[4]、遅延信号D[11]と遅延信号D[12]の間でも生じる。また、このように遅延信号が一方の入力端子に偏って入力されることによる遅延信号間の信号選択回路への入力から出力までの所要時間のバラツキの影響は、入力される遅延信号の種類が多くなるほど(複数のセレクタにより構成される階層が深くなるほど)顕著になる。
【0011】
ここで、仮にA−PortからZ−Portまでの信号伝達時間を1ns、B−PortからZ−Portまでの信号伝達時間を1.1nsとした場合、図5に示したような信号選択回路ではセレクタ8個を通過させることになり、上記信号伝達時間の差が累積される。経路の信号伝達時間の差を遅延信号D[n]の伝達時間と遅延信号D[n−1]の伝達時間との差であらわした場合、−0.6〜+0.1nsと0.7nsものばらつきを生じてしまう。図9は、複数(256通り)の遅延信号それぞれの間で生ずる従来の信号選択回路内での伝達時間の差を示すグラフである。同図に示すように、従来の信号選択回路では、経路毎の信号伝達時間にばらつきがあり、特に遅延信号が経由する入力端子の差異が最も大きい遅延信号D[127]と遅延信号D[128]との間で信号伝達時間の差が最大となっていることが分かる。
【0012】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数の入力信号の内から所望の信号を選択する場合において、選択する信号によって入力から出力までの時間がばらつく現象の発生を抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明に係る信号選択回路は、M個の入力端子に対して一つの出力端子を有し、M個の入力信号の一つを前記出力端子に選択出力することができるセレクタを複数並設することで、MN個の入力端子からMN-1個の出力を選択する第1セレクタ階層から、順次乗数Nを1つずつ減らすようにして、一つのセレクタからなる第Nセレクタ階層までを階層的に構築することで、第1セレクタ階層に設けられるMN個の入力端子の1つに入力される信号を第Nセレクタ階層の一つの出力端子から選択出力するセレクタ層と、前記第1セレクタ階層から第Nセレクタ階層までの各階層間を配線すると共に、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタの出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタの入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタのm(m≦M)番目の入力端子に対して信号を入力する配線と該各セレクタのm番目の入力端子と異なるm´番目の入力端子に対して信号を入力する配線とが交差するように配線する配線層とを備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
また、上述のような構成の信号選択回路において、前記配線層は、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタの出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタの入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタの1番目の入力端子に対して信号を入力する配線と該各セレクタのM番目の入力端子に対して信号を入力する配線とが交差するように配線することを特徴とするものである。
【0015】
また、上述のような構成の信号選択回路において、前記第nセレクタ階層とは、kを1又は2、hを0以上の整数とするとき、第k+2h(k+2h<N)番目の各セレクタ階層であることを特徴とするものである。
【0016】
また、上述のような構成の信号選択回路において、前記セレクタは、2個の入力端子に対して一つの出力端子を有するものであり、前記第1セレクタ階層は、少なくとも32個の入力端子を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明に係る可変遅延回路は、上述のような構成の信号選択回路と、前記第1セレクタ階層におけるMN個の入力端子に対して、前記複数の入力信号として遅延時間が互いに異なるMN個の遅延信号を入力する遅延信号入力部とを備えてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
以上に詳述したように本発明によれば、複数の入力信号の内から所望の信号を選択する場合において、選択する信号によって入力から出力までの時間がばらつく現象の発生を抑制することのできる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態による信号選択回路およびこれを備えた可変遅延回路について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態による可変遅延回路の回路構成を示す図、図2は本実施の形態による可変遅延回路の効果について説明するための図である。
【0021】
本実施の形態による可変遅延回路1は、セレクタ層101、配線層102および遅延信号入力部(単調増加回路)103を備えてなる構成となっている(図1および図2参照)。
【0022】
セレクタ層101は、M個の入力端子に対して一つの出力端子を有し、M個の入力信号の一つを出力端子に選択出力することができるセレクタ(図1にて台形で示す。)を複数並設することで、MN個の入力端子からMN-1個の出力を選択する第1セレクタ階層から、順次乗数Nを1つずつ減らすようにして、一つのセレクタからなる第Nセレクタ階層までを階層的に構築することで、第1セレクタ階層に設けられるMN個の入力端子の1つに入力される信号を第Nセレクタ階層の一つの出力端子から選択出力する役割を有している。
【0023】
ここでは、各セレクタは、2個の入力端子(A−portおよびB−port)に対して一つの出力端子を有している。また、第1セレクタ階層は、少なくとも32個(図1に示す例では256個)の入力端子を有している。よって、ここではM=2、N=8である。
【0024】
配線層102は、第1セレクタ階層から第Nセレクタ階層までの各階層間(隣接する階層のセレクタの出力端子と入力端子との間)を配線すると共に、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタ(図1における白色のセレクタ)の出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタ(図1における斜線のセレクタ)の入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタのm(m≦M)番目の入力端子に対して信号を入力する配線と該各セレクタのm番目の入力端子と異なるm´番目の入力端子に対して信号を入力する配線とが交差するように配線する役割を有している。
【0025】
なおここでは、配線層102は、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタの出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタの入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタの1番目(M個配列されている入力端子の内の一端側の入力端子)の入力端子(A−port)に対して信号を入力する配線と該各セレクタの2番目(M番目、すなわちM個配列されている入力端子の内の他端側の入力端子)の入力端子(B−port)に対して信号を入力する配線とが交差するように配線している。
【0026】
遅延信号入力部103は、第1セレクタ階層における256(MN)個の入力端子に対して、複数の入力信号として遅延時間が互いに異なる256(MN)個の遅延信号を入力する役割を有している。
【0027】
また、本実施の形態による信号選択回路では、第nセレクタ階層は、kを1、hを0以上の整数とするとき、第k+2h(k+2h<N)番目の各セレクタ階層(第1セレクタ階層、第3セレクタ階層、第5セレクタ階層・・・)となっている。
【0028】
続いて、図2を参照しつつ、本実施の形態における、選択される遅延信号毎の信号伝達時間のばらつきを抑制する原理について説明する。同図では説明の便宜上、16通りの遅延信号(D[0]〜D[15])の中から所望の遅延信号を選択出力する信号選択回路を示している。
【0029】
本実施の形態による信号選択回路では、セレクタ層101における3つのセレクタS1、S2およびS9に着目すると、遅延信号D[0]の経路は、セレクタS1の入力端子A、セレクタS9の入力端子Bとなり、遅延信号D[1]の経路は、セレクタS1の入力端子B、セレクタS9の入力端子Bとなり、遅延信号D[2]の経路は、セレクタS2の入力端子A、セレクタS9の入力端子Aとなり、遅延信号D[3]の経路は、セレクタS2の入力端子B、セレクタS9の入力端子Aとなる。すなわち、本実施の形態による信号選択回路では、2階層目のセレクタ(S9、S10、S11、S12)の出力端子までの信号伝達時間は、遅延信号D[0]、遅延信号D[3]、遅延信号D[4]、遅延信号D[7]、遅延信号D[8]、遅延信号D[11]、遅延信号D[12]、遅延信号D[15]で等しい。
【0030】
次に、7個のセレクタS1〜S4、S9、S10およびS13に着目すると、上述のように、遅延信号D[0]、遅延信号D[3]、遅延信号D[4]および遅延信号D[7]に関しては、2段目のセレクタ(S9、S10、S11、S12)の出力端子までの信号伝達時間が同じであるため、遅延信号D[0]および遅延信号D[3]と遅延信号D[4]および遅延信号D[7]との間での信号伝達時間の相違は、セレクタS13にて生じる時間差のみとなる。すなわち、上述の7個のセレクタ(3階層のセレクタ)についても、2階層のセレクタの場合に生ずる信号伝達時間のばらつきと同様の範囲に収まることが分かる。
【0031】
続いて、15個のセレクタS1〜S15に着目すると、上述したように、遅延信号がセレクタ13およびセレクタ14から出力された時点では、セレクタ1つ分の時間差しか生じていないため、セレクタ15から出力されたときも、遅延信号間には、セレクタ2階層分(例えばセレクタS1、S2およびS9)を経由する場合と同様の時間差しか生じない。
【0032】
なお、図2ではセレクタの階層が偶数(第1セレクタ階層〜第4セレクタ階層)である例を示したが、セレクタの階層が奇数である場合には、セレクタ奇数段の場合は最下層のセレクタ1段分の時間差となる。すなわち、セレクタの階層が偶数である場合、奇数である場合に拘らず、またセレクタの階層が何階層であるかに拘らず、セレクタの階層が2階層である場合の遅延信号間の伝達時間の差を上回ることがない。
【0033】
また、各セレクタにおけるA−portからZ−portまでの信号伝達時間をX、B−portからZ−portまでの信号伝達時間をY、セレクタの階層数をLとしたとき、複数の遅延信号それぞれの間で生ずる信号選択回路内での伝達時間の差の最大値Qおよび最小値Rは、
Q = Y - X ・・・(1)
R = ((Y*1)+(X*(L-1))-((X*1)+(Y*(L-1)) ・・・(2)
となり、複数の遅延信号それぞれの間で生ずる信号選択回路内での伝達時間の差のばらつきBは、
B = Q−R ・・・(3)
で表される。ここで、従来の信号選択回路におけるばらつきBjは、
Bj = (Y-X)-(((Y*1)+(X*(L-1))-((X*1)+(Y*(L-1))) ・・・(4)
本実施の形態による信号選択回路におけるばらつきBhは、
Bh = (Y-X)-2*(X-Y) ・・・(5)
で求められ、セレクタの階層数Lが5以上(第1セレクタ階層における入力端子の数が32以上)である場合に本実施の形態での信号選択回路による効果が顕著となることが分かる。
【0034】
図3は、複数の遅延信号それぞれの間で生ずる信号選択回路内での伝達時間の差を示すグラフである。同図に示すように、本実施の形態による可変遅延回路1では、−0.2〜+0.1nsと0.3nsのばらつきに抑えられていることが分かる。
【0035】
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態による信号選択回路およびこれを備えた可変遅延回路1’について説明する。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の変形例である。以下、第1の実施の形態にてすでに述べた部分と同一の部分については同一符号を付し、説明は割愛する。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態による信号選択回路の回路構成を示す図である。本実施の形態による信号選択回路では、第nセレクタ階層は、kを2、hを0以上の整数とするとき、第k+2h(k+2h<N)番目の各セレクタ階層(第2セレクタ階層、第4セレクタ階層、第6セレクタ階層)となっている(白色の台形で図示)。
【0037】
このように、第1の実施の形態とは異なるセレクタ階層の入力端子への信号入力線を交差させる構成とすることによっても、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0038】
また、上述の各実施の形態では、各セレクタが2入力1出力である例を挙げたが、これに限られるものではなく、例えば3入力1出力、4入力1出力であってもよい。また、各セレクタの入力端子が3つ以上である場合、信号入力線を交差させる入力端子は、セレクタの両端に位置する2つの入力端子のうち少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、信号選択回路に入力された信号が経由するセレクタが異なることにより生じる遅延時間のばらつきを抑えることができる。また、このような信号選択回路を適用することにより、段階的に均等に増加する遅延時間での信号を出力することのできる可変遅延回路を、大幅なレイアウト変更等を行うことなく実現することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、可変遅延回路において適用される信号選択回路として説明したが、これに限られるものではなく、複数の入力信号の内いずれかを選択して出力する際に、選択される信号の伝達時間のばらつきを抑えたいような場合には適用可能である。
【0041】
本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施の形態による可変遅延回路の回路構成を示す図である。
【図2】本実施の形態による可変遅延回路の効果について説明するための図である。
【図3】複数の遅延信号それぞれの間で生ずる信号選択回路内での伝達時間の差を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施の形態による信号選択回路の回路構成を示す図である。
【図5】可変遅延回路において用いられている従来の信号選択回路の一般的な回路構成を示す図である。
【図6】単調増加回路にて生成された256通りの遅延信号D[0]〜D[255]の信号波形について説明するための図である。
【図7】信号選択回路を構成する個々のセレクタに起因する信号伝達時間のばらつきについて説明するための図である。
【図8】従来の信号選択回路における信号伝達時間のばらつきについて説明するための図である。
【図9】複数の遅延信号それぞれの間で生ずる従来の信号選択回路内での伝達時間の差を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
1 可変遅延回路、101 セレクタ層、102 配線層、103 遅延信号入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
M個の入力端子に対して一つの出力端子を有し、M個の入力信号の一つを前記出力端子に選択出力することができるセレクタを複数並設することで、MN個の入力端子からMN-1個の出力を選択する第1セレクタ階層から、順次乗数Nを1つずつ減らすようにして、一つのセレクタからなる第Nセレクタ階層までを階層的に構築することで、第1セレクタ階層に設けられるMN個の入力端子の1つに入力される信号を第Nセレクタ階層の一つの出力端子から選択出力するセレクタ層と、
前記第1セレクタ階層から第Nセレクタ階層までの各階層間を配線すると共に、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタの出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタの入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタのm(m≦M)番目の入力端子に対して信号を入力する配線と該各セレクタのm番目の入力端子と異なるm´番目の入力端子に対して信号を入力する配線とが交差するように配線する配線層と
を備えてなる信号選択回路。
【請求項2】
請求項1に記載の信号選択回路において、
前記配線層は、第n(n<N)セレクタ階層を構成する各セレクタの出力端子から第n+1セレクタ階層を構成する各セレクタの入力端子に対して信号を入力する配線を、該各セレクタの1番目の入力端子に対して信号を入力する配線と該各セレクタのM番目の入力端子に対して信号を入力する配線とが交差するように配線することを特徴とする信号選択回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の信号選択回路において、
前記第nセレクタ階層とは、kを1又は2、hを0以上の整数とするとき、第k+2h(k+2h<N)番目の各セレクタ階層であることを特徴とする信号選択回路。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の信号選択回路において、
前記セレクタは、2個の入力端子に対して一つの出力端子を有するものであり、
前記第1セレクタ階層は、少なくとも32個の入力端子を有することを特徴とする信号選択回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の信号選択回路と、
前記第1セレクタ階層におけるMN個の入力端子に対して、前記複数の入力信号として遅延時間が互いに異なるMN個の遅延信号を入力する遅延信号入力部と
を備えてなることを特徴とする可変遅延回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−336024(P2007−336024A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163014(P2006−163014)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】