説明

信頼度の高いGPS測位信号のみを用いた衛星航法補強システム

【課題】 GPS衛星からの信号の信頼性を適正に判断できるようにする。
【解決手段】 衛星航法補強システム2にGPS衛星4からの信号に基づき擬似距離が測定された際の搬送波電力対雑音電力密度比(C/No)の値が適正であるか否かを判定するためのモニタ閾値を算出する閾値算出部32と、C/No値とモニタ閾値とを比較して、擬似距離が適正な精度を持つか否かを判定する擬似距離判定部33と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS衛星からの信号のうちで信頼度の高いGPS測位信号のみを用いるようにした衛星航法補強システムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムでは、ユーザのGPS受信機においてGPS衛星からのGPS測位信号である測距用信号(L1C/A)等の信号が送信された時刻と、この信号を受信局(観測点)で受信した時刻との差に光速を掛けた値を擬似距離と定義して、この擬似距離に基づいて受信局の位置を測定する。
【0003】
擬似距離の精度は、測距用信号の電力低下の低下、時計誤差、電離層による誤差、対流圏による誤差、マルチパス等によるノイズ、GPS受信機自身の異常等によるによるC/No(搬送波電力対雑音電力密度比:Carrier−to−Noise)が低下すると、悪くなる。擬似距離の精度が悪くなると、ユーザは自己位置を誤って判断する場合が生じる。従って、精度の低い擬似距離による自己位置判断は、航空機等の高速移動体にとっては非常に危険な情報となる。
【0004】
このため通常の衛星測位システムでは、擬似距離からマルチパス等によるノイズを取り除くために、観測された擬似距離に対してスムージング処理(平滑化処理)を行っている。しかし、リアルタイムスムージング処理は、簡易なスムージング処理であることから精度がいいとは言えず、ノイズが残ってしまうことがあり、最終的に測位精度が悪化してしまうことがある。
【0005】
そこで、特開2005−249653号公報においては、測位計算に利用されるリアルタイムスムージング処理後の擬似距離から異常値を検出した場合に、この異常値と同一の観測時刻におけるポストプロセススムージング処理後の擬似距離が正常値であるか否かを判定するデータ処理装置を備える擬似距離評価システムが開示されている。
【0006】
このデータ処理装置は、擬似距離が正常値であるにもかかわらず、リアルタイムスムージング処理により異常値と判断されたた場合には、異常の原因がリアルタイムスムージング処理の限界による残留ノイズであると判定する。これにより、擬似距離の精度低下原因を判別することができる。
【0007】
また、WO2006−132003号公報においては、衛星信号から基地局の位置を算出し、この基地局の絶対位置とのずれを示す位置補正用データを算出する位置補正用データ算出手段と、基地局における衛星信号の受信強度を測定する基地局受信強度測定手段とを有するGPS受信装置が開示されている。
【0008】
この基地局は、位置補正用データ算出手段が算出した位置補正用データと、基地局受信強度測定手段が測定した衛星信号の受信強度とを移動局に送信する。移動局は、基地局受信強度測定手段が測定した基地局における衛星信号の受信強度と、自分で測定した移動局(自局)における衛星信号の受信強度との比較を行う。これにより、マルチパスの影響を受けた衛星信号を判別し、移動局の測定位置が補正できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−249653号公報
【特許文献2】WO2006−132003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように精度の低い擬似距離に基づき、自己位置を判断すると却って危険な状況を招く恐れがあるが、上述した特開2005−249653号公報やWO2006−132003号公報においては、かかる擬似距離の基となったGPS衛星からの測距用信号自体の信頼性を考慮していない問題がある。従って、種々の処理を行っても、基となる信号の信頼性が低い場合には、適正な自己位置の判断が行えない。
【0011】
そこで、本発明の主目的は、GPS衛星からの受信信号の信頼性を適正に判断できる信号監視プログラムを搭載する装置により、擬似距離精度高いGPS信号のみを使って測位計算し、航空機等の高速移動体に対するGPS衛星航法の補強を行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる衛星航法補強システムは、GPS衛星からの信号に基づき擬似距離が測定された際の搬送波電力対雑音電力密度比(C/No)の値が適正であるか否かを判定するためのモニタ閾値を算出する閾値算出部と、C/No値とモニタ閾値とを比較して、擬似距離が適正な精度を持つか否かを判定する擬似距離判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが使用するGPS受信機がGPS衛星からの信号の信頼性を適正に判断できるようになり、GPS衛星を用いて自己位置を測定した場合における精度並びに信頼度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる衛星航法補強システムのブロック図である。
【図2】第1の実施形態にかかるモニタ閾値の算出手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態にかかる7個のビンにより分割されたC/No値の度数分布表である。
【図4】第1の実施形態にかかる分数を増加させたC/No値の度数分布である。
【図5】第1の実施形態にかかるC/No値の測定誤差の度数分布である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を説明する。図1は、第1の実施形態にかかる衛星航法補強システム2のブロック図である。衛星航法補強システム2は、GPS衛星4(4a〜4e)からの信号を受信する基地局10、この基地局10からの信号に基づき測距情報を測定して、その適否判断の結果を信頼度情報として出力する信号監視装置30、この信号監視装置30からの信頼度情報を航空機等の測距情報利用機器6に出力する情報出力装置20を備える。
【0016】
なお、測距情報として擬似距離、C/No(搬送波電力対雑音電力密度比:Carrier−to−Noise))値、これらを測定した時刻等が含まれる。この擬似距離は、測位衛星からの測距用信号(L1C/A)等の信号が送信された時刻と、この信号を基地局で受信した時刻との差に光速を掛けた値である。また、C/No値は、擬似距離を取得する際の搬送波電力対雑音電力密度比である。
【0017】
基地局10は、各GPS衛星4からの信号を受信するための受信アンテナ11、受信機12を含んでいる。情報出力装置20は、信号監視装置30からの信頼度情報を航空機等の測距情報利用機器6に出力する送信アンテナ21を含んでいる。
【0018】
信号監視装置30は、測定部31、閾値算出部32、擬似距離判定部33、信頼度演算部34を含んでいる。なお、測定部31は、基地局10における受信機12に設けることも可能である。
【0019】
測定部31は、基地局10が受信した信号に含まれる測距用信号(L1C/A)に基づき擬似距離及び、C/No値を所定の測定時間間隔で測定する。そして、擬似距離及びC/No値は、測定時間と共に図示しない記憶部に記憶される。この所定の測定時間間隔として、0.5秒が例示できる。
【0020】
閾値算出部32は、測定部31で測定されたC/No値に基づき、該測定部31で測定された擬似距離が適正であるか否かを判断する際に用いるモニタ閾値を算出する。
【0021】
擬似距離判定部33は、モニタ閾値に基づき擬似距離が適正であるか否かをGPS衛星4毎に判断する。信頼度演算部34は、擬似距離判定部33の判断結果に基づき信頼度情報を演算する。この信頼度情報は、擬似距離と共に監視情報として情報出力装置20に出力される。
【0022】
情報出力装置20は、信号監視装置30からの監視情報を航空機等の測距情報利用機器6に出力するVHFデータ放送機器・アンテナ等の送信アンテナ21を備える。これにより航空機等の測距情報利用機器6は、この監視情報に基づき適正と判断されたGPS衛星4のみに基づき自己位置等を判断できるようになるため、自己位置を正しく判断することが可能になる。
【0023】
このように、モニタ閾値は、擬似距離の精度を判断するために重要な値である。図2は、モニタ閾値の算出手順を示すフローチャートである。
【0024】
衛星航法補強システム2が出力する監視情報は、所定の精度以上(以下、最低要求精度)を持つことが要求される。無論、高精度であることは好ましいが、高精度を達成するためには高価なハードウエア等を用いる必要が生じ、また各種の演算処理の負荷が大きくなる。そこで、許容される精度範囲を設定する。
【0025】
監視情報は、C/No値に基づき作成されるので、監視情報の精度範囲に対応したC/No値の範囲が、定義される。このC/No値の範囲の上限をCN範囲上限値CN_max、下限をCN範囲下限値CN_minと記載する。
【0026】
また、C/No値の測定誤差がモニタ閾値より小さいために、擬似距離の適否について判定できない(検出失敗)確率を検出失敗確率P_mdと記載する。加えて、擬似距離に対して要求される精度を満たすが、C/No値の測定誤差がモニタ閾値より小さいために、擬似距離が不適切であると判定(誤警報)される確率を誤警報確率P_faと記載する。これらC/No値の範囲、検出失敗確率P_md、誤警報確率P_faは、予めユーザ又はシステム構築者により、閾値算出部32に登録されている。
【0027】
このような設定の基で、測定部31は、所定時間に渡り、所定間隔で測距用信号(L1C/A)から擬似距離、C/No値を測定する(ステップS1)。測定された擬似距離、C/No値は、測定時刻と共に図示しない記憶部に記憶される。以下、測定が行われる上記所定時間を測定時間と記載し、所定間隔をサンプリング時間と記載する。
【0028】
サンプリング時間としては0.1〜1秒の時間が例示できる。例えば、測定時間が3ヶ月、サンプリング時間が0.5秒、受信するGPS衛星が8個の場合、測定数は、約1.24×10(=3[ヶ月]×30[日]×24[h]×3600[s]×(1/0.5[s])×8[衛星])となる。
【0029】
次に、閾値算出部32は、記憶されているC/No値の度数分布表(ヒストグラム)を作成する(ステップS2)。このとき、例えば度数分布表のインターバルを1[dB−Hz]で、C/No値Mのとりうる範囲が20[dB−Hz]〜60[dB−Hz]の場合、度数分布表は40個のビンに分割されることになる。即ち、度数分布表は、ビン1は20[dB−Hz]<M≦21[dB−Hz]、ビン2は21[dB−Hz]<M≦22[dB−Hz]、…、ビン39は58[dB−Hz]<M≦59[dB−Hz]、ビン40は59[dB−Hz]<M≦60[dB−Hz]となる。図3は、7個のビンにより分割されたC/No値の度数分布表の例示である。
【0030】
図3に示すような度数分布表から、C/No値がCN_min未満の度数をN_minとし、全度数をNtとしたとき、C/No値Mが、CN範囲下限値CN_min未満となる度数の確率(下限確率)P_CN_minは、式(1)に従い求められる。
【0031】
P_CN_min=(C/No値がCN_min未満の度数)/(全度数)
=N_min/Nt …(1)
なお、式(1)では、下限確率P_CN_minは、C/No値MがCN_min未満になる度数の確率として与えた。しかし、C/No値の測定誤差における標準偏差推定値σ_cnoが、C/No値の測定範囲(例えば20[dB−Hz]〜60[dB−Hz]程度)に比べて十分小さい場合は、例えば図4に示すようにビン数を多くして、下限確率の精度を向上させることが可能である。この場合、式(1)の下限確率P_CN_minは、式(2)のようになる。
【0032】
P_CN_min=(C/No値がCN_min±3σ_cnoの範囲の度数)/(全度数) …(2)
ここで、C/No値がCN_min±3σ_cnoの範囲の度数が誤検出又は誤警報に関係すると考えると、この範囲の度数として、図4において29.5[dB−Hz]≦M<30.0[dB−Hz]〜32.0[dB−Hz]≦M<32.5[dB−Hz]の範囲の度数を用いることができる。
【0033】
さて、C/No値の測定誤差の標準偏差推定値σ_cnoは、以下の方法により求める。先ず、測定したC/No値のうち測定時刻が直近した2つのC/No値を一組とする組分けを行う(ステップS3)。例えば、ある時刻tのC/No値をCN(t)で表すと、直近の2つのC/No値はCN(t)とCN(t+Δt)となる。ここで、Δtはサンプリング時間である。
【0034】
そして、CN(t)とCN(t+Δt)との差分値をCN測定誤差推定値ΔCN(t)(=CN(t)−CN(t+Δt))とする。このCN測定誤差推定値ΔCN(t)をサンプリング数分求めて、そのΔCN(t)の分布から標本標準偏差を求める。この標本標準偏差を20.5で除した値が、CN測定誤差の標準偏差推定値σ_cnoである(ステップS4)。標本標準偏差を20.5で除する理由は、ΔCN(t)を二つのC/No値の差分として求めているので、正規分布の加法性から、1つのC/No値に対応する標準偏差に変換するためである。
【0035】
次に、モニタ閾値を算出する(ステップS5)。図5は、C/No値の測定誤差の度数分布を示す図である。なお、図5において、度数分布のテール部分が拡大して示されている。図中、CN_maxはCN範囲上限値、CN_minはCN範囲下限値、Th_cnoはモニタ閾値、P_md_cnoは検出失敗確率、P_fa_cnoは誤警報確率を示している。また、図5において、点線K1は、基地局10で受信された測距用信号が測定部31の測定レンジに収まるように、所定の減衰処理等を行った結果を示すラインである。即ち、測定部31に入力する信号は、CN範囲上限値より小さくなるように減衰処理が行われる。一方、点線K2は、測距用信号の最低レベルを示している。
【0036】
そして、図5において、領域Raは、C/No値がCN範囲上限値CN_maxとCN範囲下限値CN_minとの範囲内の値で、擬似距離の精度が満たされる範囲を示している。領域Rbは、C/No値がCN範囲下限値CN_minより小さく、擬似距離の精度が満たされない範囲を示している。領域Rcは、実際に受信される可能性のある測距用信号のC/No値範囲を示している。領域Rdは、実際に受信される可能性のある測距用信号のC/No値の内で、モニタ閾値Th_cnoより大きいC/No値で、擬似距離の精度が満たされている範囲を示している。領域Reは、実際に受信される可能性のある測距用信号のC/No値の内で、モニタ閾値Th_cnoより小さいC/No値で、擬似距離の精度が満たされない範囲を示している。
【0037】
CN監視に要求される検出失敗確率P_md、誤警報確率P_fa及び、式(2)により演算される下限確率P_CN_minを用いて、式(3)〜式(5)を満たすようにモニタ閾値Thを求める。
【0038】
P_md_cno+P_fa_cno=P_CN_min …(3)
P_md_cno×P_CN_min≦P_md …(4)
P_fa_cno×P_CN_min≦P_fa …(5)
例えば、図4に示すようなC/No値の度数分布表から、CN_min±3σ_cnoの範囲の度数が2×10であり、全度数が1.24×10であったとする。また、検出失敗確率P_mdがP_md=1×10−6、誤警報確率P_faがP_fa=1×10−4に設定されているとする。このとき、下限確率P_CN_minは、P_CN_min=(2×10)/(1.24×10)=1.6×10−6となる。
【0039】
従って、式(4)、式(5)は、
P_md_cno×1.6×10−6≦1×10−6 …(4’)
P_fa_cno×1.6×10−6≦1×10−4 …(5’)
のように式(4’)式(5’)と書ける。この式(4’)、式(5’)から検出失敗確率P_md_cno、誤警報確率P_fa_cnoの範囲を求め、これらが、式(3)を満たすようにモニタ閾値Th_cnoを算出する。
【0040】
検出失敗確率P_md_cnoの=0.4、誤警報確率P_fa_cno=0.1、下限確率P_CN_min=0.5とする。このとき式(3)のP_md_cno+P_fa_cno=0.5となる。そこで、CN測定誤差の標準偏差推定値σ_cno=0.50[dB−Hz]の正規分布におけるC/No値が小さい方の領域に相当する検出失敗確率P_md_cnoがP_md_cno=0.4となる分布位置を下限確率CN_minに合わせる。このときに、CN測定誤差の標準偏差推定値σ_cno=0.50[dB−Hz]の正規分布の中心位置をC/No値の閾値Th_cnoとする。
【0041】
このようにして、演算されたモニタ閾値Th_cnoは、擬似距離判定部33に出力される。擬似距離判定部33は、C/No値とモニタ閾値Th_cnoとの大小比較を行う(ステップS6)。擬似距離は、複数のGPS衛星4からの測距用信号から測定される。従って、例えばC/No値<モニタ閾値Th_cnoの場合、このC/No値を測定したGPS衛星4からの信号による擬似距離は、精度不足であることを示している。
【0042】
擬似距離判定部33の判定が、C/No値<モニタ閾値Th_cnoの場合は、ステップS7に進み、C/No値≧モニタ閾値Th_cnoの場合は、ステップS8に進む。
【0043】
ステップS7に進むと、信頼度演算部34は擬似距離の信頼度を演算する。
【0044】
信頼度は、以下のようにして算出する。測定部31で測定された擬似距離は、信号監視装置30の位置を示している。一方、このような信号監視装置30は、予め測量等により位置が確定されている基地局10等に配置される。即ち、測定部31で測定された擬似距離は、基地局10等の位置である。
【0045】
そこで、擬似距離に基づき算出した信号監視装置30の位置と、予め測量等により知られている信号監視装置30の位置との差分値を算出して、これを信頼度とする。このときの信頼度(位置誤差)は、C/No値<モニタ閾値となったGPS衛星からの信号に基づき測定した擬似距離の誤差を示している。即ち、航空機等の測距情報利用機器6が、このGPS衛星からの信号を用いて測距処理を行った場合には、上記位置誤差が存在することを示している。信頼度演算部34は、信頼度と測距距離とを監視情報として情報出力装置20に出力する(ステップS8)。
【0046】
一方、ステップS6で、C/No値≧モニタ閾値Th_cnoと判断された場合は、測距距離のみを監視情報として情報出力装置20に出力する(ステップS8)。
【0047】
これにより、航空機等の測距情報利用機器は、情報出力装置20からの監視情報に基づき、精度が低いGPS衛星からの測距用信号に基づき自己位置を判断することが防止できる。従って、航空機等の測距情報利用機器は、安全に航行できるようになる。
【符号の説明】
【0048】
2 衛星航法補強システム
10 基地局
11 受信アンテナ
12 受信機
20 情報出力装置
21 送信アンテナ
30 信号監視装置
31 測定部
32 閾値算出部
33 擬似距離判定部
34 信頼度演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星航法補強システムであって、
GPS衛星からの信号に基づき擬似距離が測定された際の搬送波電力対雑音電力密度比(C/No)の値が適正であるか否かを判定するためのモニタ閾値を算出する閾値算出部と、
前記C/No値と前記モニタ閾値とを比較して、前記擬似距離が適正な精度を持つか否かを判定する擬似距離判定部と、を備えることを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項2】
請求項1に記載の衛星航法補強システムであって、
前記擬似距離判定部は、前記C/No値が前記モニタ閾値より小さいと判断した場合に、前記擬似距離の測定に用いられた前記GPS衛星からの信号の信頼度を演算して出力する信頼度演算部を備えることを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項3】
請求項1又2に記載の衛星航法補強システムであって、
前記閾値算出部は、測定した複数の前記擬似距離における前記C/No値の度数分布を求めると共に、該度数分布における前記C/No値の測定誤差の標準偏差が前記モニタ閾値より小さいために、前記擬似距離の適否について判定できない検出失敗確率をP_md_cnoとし、前記擬似距離に対して要求される精度を満たすが、前記C/No値の測定誤差の標準偏差がモニタ閾値より小さいために、前記擬似距離が不適切であると判定される誤警報確率をP_fa_cnoとしたとき、前記C/No値が前記モニタ閾値より小さい度数を取る確率P_CN_minが、検出失敗確率をP_md_cnoと誤警報確率をP_fa_cnoとの和に等しくなるように、前記モニタ閾値を算出することを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項4】
請求項3に記載の衛星航法補強システムであって、
前記C/No値が前記モニタ閾値より小さい度数を取る確率P_CN_minは、前記C/No値の度数分布の全度数をNtとし、前記C/No値が許容される前記確率P_CN_min未満の度数をN_minとしたとき、P_CN_min=N_min/Ntにより与えられることを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項5】
請求項3に記載の衛星航法補強システムであって、
前記C/No値が前記モニタ閾値より小さい度数を取る確率P_CN_minは、前記C/No値の度数分布の全度数をNtとし、前記C/No値が許容される前記確率P_CN_min未満の度数で、前記C/No値の測定誤差における標準偏差の推定値をσ_cnoとしたときに、CN_min±3σ_cnoの範囲の度数をN_min_cnoとしたとき、P_CN_min=N_min_cno/Ntにより与えられることを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項6】
請求項5に記載の衛星航法補強システムであって、
前記C/No値の測定誤差における標準偏差の推定値σ_cnoは、測定時間の前後する2つのC/No値の差分による標準偏差に基づき算出したことを特徴とする衛星航法補強システム。
【請求項7】
請求項2乃至6に記載の衛星航法補強システムであって、
前記信頼度演算部は、前記擬似距離に基づく自機位置と、予め測定された自機位置との差分を前記信頼度として算出することを特徴とする衛星航法補強システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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