説明

個人認証装置

【課題】 生体情報の入力環境の違いや経年変化による精度変動に対応した信頼性の十分高い個人認証装置を提供すること。
【解決手段】 生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、決定された入力環境の段階に対応させて生体情報登録データを環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、入力生体情報のデータと入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備えた構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体情報を用いて個人を特定する装置に関する。特に、生体情報の入力環境の変動や経年変化を考慮した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、入退出管理やパソコンアクセス等の用途において、指紋・虹彩・声紋・顔・掌型等の生体情報を用いた個人認証装置が採用されている。生体情報を用いた認証は、パスワードやICカード等の非生体情報による認証と比較して忘却、紛失、盗難の恐れが無いため、セキュリティや使い易さの面で優れた認証方法である。
【0003】この生体情報は個人に特有で唯一な特徴であるが、常に同じ特徴を抽出できるとは限らない。特に、生体情報の入力環境の違いや経年変化によりその特徴は大きく変動する場合がある。生体情報を用いた本人認証方法として、入力された生体情報とあらかじめ登録しておいた生体情報登録データとを比較し、どの位類似しているかを表す類似度を算出し、この類似度があらかじめ設定しておいたしきい値を超えれば本人と判定し、超えなければ他人と判定するのが一般的な方法である。
【0004】従来の技術では、生体情報の入力環境が変化しても、そのまま同じ認証方法を用いるか、または、生体情報の入力環境に応じてしきい値を変えて認証を行う方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の認証方法または装置では、生体情報の入力環境が変動した場合、異なる生体情報の入力環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、多少変動のある特徴同士を比較することになり、認証精度が十分保証できないという問題があった。
【0006】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、生体情報の入力環境の違いや経年変化による精度変動に対応した信頼性の十分高い個人認証装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備えた構成を有している。この構成により、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録された生体情報の登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0008】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備え、前記生体情報は、指紋、声紋、顔、虹彩のいずれかについての情報である構成を有している。この構成により、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録された生体情報の登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0009】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として指紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、湿度計を用いて湿度計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として指紋を用い、湿度計を環境計測装置として湿度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で指の発汗が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0010】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として声紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、マイクを用いて背景雑音の計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として声紋を用い、マイクを環境計測装置として背景雑音を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で声紋振幅の強弱が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0011】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として顔についての情報または虹彩についての情報を使用し、前記環境計測手段は、カメラを用いて照明条件の計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として顔または虹彩を用い、カメラを環境計測装置として照明度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で顔や顔の構成要素の輪郭等同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0012】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段とを備えた構成を有している。この構成により、経年変化による精度低下を防ぎ、信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0013】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段とを備え、前記登録データ更新手段は、前記同環境生体情報登録データの登録日時が所定の期間以前の場合に前記更新をする構成を有している。この構成により、利用者本人の拒否される頻度が高い場合等は利用者本人の判断により登録データの更新が可能であり、また、経年変化による精度低下を防ぎ、使い易く信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0014】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備えた構成を有している。この構成により、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができると共に、使用環境と同じ環境において利用者本人の登録データが記憶されていない場合や同じ環境下の照合で該当者がいない場合でも、異なる環境であらかじめ登録された生体情報登録データを用いて認証を行うことによって、利用者本人を特定することが可能である。
【0015】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備え、前記生体情報は、指紋、声紋、顔、虹彩のいずれかについての情報である構成を有している。この構成により、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができると共に、使用環境と同じ環境において利用者本人の登録データが記憶されていない場合や同じ環境下の照合で該当者がいない場合でも、異なる環境であらかじめ登録された生体情報登録データを用いて認証を行うことによって、利用者本人を特定することが可能である。
【0016】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として指紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、湿度計を用いて湿度計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として指紋を用い、湿度計を環境計測装置として湿度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で指の発汗が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0017】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として声紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、マイクを用いて背景雑音の計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として声紋を用い、マイクを環境計測装置として背景雑音を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で声紋振幅の強弱が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0018】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備え、前記個人認証装置は、前記生体情報として顔についての情報または虹彩についての情報を使用し、前記環境計測手段は、カメラを用いて照明条件の計測を行う構成を有している。この構成により、生体情報として顔または虹彩を用い、カメラを環境計測装置として照明度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で顔や顔の構成要素の輪郭等同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0019】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備え、前記異環境生体情報照合手段は、前記入力環境の段階別に記憶されている前記生体情報登録データのうち、前記環境計測手段で決定された入力環境の段階に最も近い段階に対応させて記憶されている生体情報登録データを用いて照合する構成を有している。この構成により、入力環境の段階に最も近い段階に対応させて記憶されている生体情報登録データを用いて照合するため、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0020】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段と、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段とを備えた構成を有している。この構成により、経年変化による精度低下を防ぎ、信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0021】また、本発明の個人認証装置は、生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段と、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段とを備え、前記登録データ更新手段は、前記同環境生体情報登録データの登録日時が所定の期間以前の場合に前記更新をする構成を有している。この構成により、利用者本人の拒否される頻度が高い場合等は利用者本人の判断により登録データの更新が可能であり、また、経年変化による精度低下を防ぎ、使い易く信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置の基本構成を示すブロック図である。ここで、生体情報1:1認証とは、個人唯一のIDを入力し、入力された個人IDに対応する登録済みの生体情報のデータと認証のために入力された生体情報のデータとを比較して本人か他人かを判定する認証のことをいう。
【0023】図1において、環境計測手段1は、認証に使用する生体情報に応じた各種計測装置を用いて現在の環境を計測する。ここで、計測対象の環境をあらかじめ何段階かに分けておき、環境計測手段1は、計測された環境がどの段階に位置しているかを決定して出力する。環境別生体情報登録手段2は、所定の認証用の登録データを環境別生体情報記憶手段6の後述する記憶場所に保存しておく。
【0024】環境別生体情報記憶手段6には、いくつかのデータを記憶する場所が存在し、それらの記憶場所が、例えば、環境A、環境B、環境C…等の何段階かに分けられた各環境に対応する。環境別生体情報登録手段2は、個人の生体情報の登録データを環境計測手段1で計測された環境に対応する記憶場所に保存しておく。生体情報入力手段3は、認証に必要な指紋、声紋、顔、虹彩等の生体情報のうちいずれか1つの情報を取得する。
【0025】同環境生体情報照合手段4は、生体情報入力手段3で取得した生体情報から照合に必要な特徴量を抽出する。そして、環境別生体情報記憶手段6の、環境計測手段1で計測した現在の環境に対応する記憶場所に保存されている、個人IDに対応する登録データと上記の特徴量との照合を行い、類似度を計算する。
【0026】同環境照合判定手段5は、同環境生体情報照合手段4で計算された類似度を用いて本人か否かを決定する。同環境生体情報照合手段4で計算された類似度があらかじめ設定してあるしきい値を超えた場合は本人と判定して受理し、超えない場合は他人と判定して棄却する。
【0027】次に、第1の実施の形態の生体情報1:1認証用の個人認証装置の動作について説明する。図6は、第1の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャートである。ステップS601で、利用者は個人唯一の個人IDを入力する。
【0028】ステップS602で、環境計測手段1は、現在の環境を計測し、どの段階に位置しているかを決定して出力する。説明の都合上、環境A、環境B、環境C…と数段階の環境が存在する中で、ここでは現在の環境として環境Aが計測されたものとする。次に、ステップS603で、環境別生体情報登録手段2は、環境別生体情報記憶手段6にアクセスし、現在の環境である環境Aに対応した記憶場所に、ステップS601で入力された個人IDに対応した登録データが存在しているかを確認する。
【0029】ステップS603で、該当する記憶場所に登録データが存在しないと判断された場合は、処理はステップS604に進み、存在すると判断された場合は、処理はステップS605に飛ぶ。
【0030】ステップS603で該当する記憶場所に登録データが存在しないと判断された場合は、同環境で登録されていないことを示す。そのため、ステップS604で、環境別生体情報登録手段2は、環境別生体情報記憶手段6にアクセスし、現在の環境である環境Aの生体情報登録データの中に個人IDに対応した登録データを記憶する。
【0031】ステップS603で該当する記憶場所に登録データが存在すると判断された場合は、同環境で登録されている。そのため、ステップS605で、生体情報入力手段3は、利用者の生体情報を入力する。
【0032】ステップS606で、同環境生体情報照合手段4は、環境別生体情報記憶手段6にアクセスし、現在の環境である環境Aの生体情報登録データの中から個人IDに対応した登録データを読み出し、これとステップS605で入力した生体情報から抽出した特徴量との照合を行い、類似度を計算する。
【0033】ステップS607で、同環境照合判定手段5は、図1の説明において示した判定と同様の判定を行う。判定の結果、照合結果が本人を示す場合は本人認証され、処理は終了し、照合結果が他人を示す場合は、本人棄却され、処理は終了する。
【0034】以上説明したように、本発明の第1の実施の形態の個人認証装置は、個人唯一のIDを入力し、個人IDに対応している登録データと入力された生体情報のデータとを比較して本人か他人かを判定する認証において、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録された生体情報の登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0035】次に、本発明の第2の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置の基本構成を示すブロック図である。ここで、生体情報1:n認証とは、登録されている全員の生体情報の登録データと認証のために入力された生体情報のデータとを比較して最も類似している登録者を検出する認証のことをいう。
【0036】図2において、環境計測手段7は、認証に使用する生体情報に応じた各種計測装置を用いて現在の環境を計測する。ここで、計測対象の環境をあらかじめ何段階かに分けておき、環境計測手段7は、計測された環境がどの段階に位置しているかを決定して出力する。生体情報入力手段8は、認証に必要な指紋、声紋、顔、虹彩等の生体情報のうちいずれか1つの情報を取得する。
【0037】同環境生体情報照合手段9は、生体情報入力手段8で取得した生体情報から照合に必要な特徴量を抽出する。そして、環境別生体情報記憶手段14の、環境計測手段7で計測した現在の環境に対応する全員の登録データと上記の特徴量との照合を行い、登録者全員との類似度を計算する。
【0038】同環境照合判定手段10は、同環境生体情報照合手段9で計算された登録者全員の類似度を用いて利用者を特定する。同環境生体情報照合手段9で計算された登録者全員の類似度のうち、最大の類似度を示すものがあらかじめ設定してあるしきい値を超えた場合は、その類似度を与える利用者を本人と判定して本人を特定し、超えない場合は該当者なしと判定して棄却する。
【0039】異環境生体情報照合手段11は、生体情報入力手段8で取得した生体情報の特徴量と、環境別生体情報記憶手段14の、環境計測手段7で計測した現在の環境以外に対応する全員の登録データと上記の特徴量との照合を行い、登録者全員との類似度を計算する。
【0040】異環境照合判定手段12は、異環境生体情報照合手段11で計算された登録者全員の類似度を用いて利用者を特定する。異環境生体情報照合手段11で計算された登録者全員の類似度のうち、最大の類似度を示すものがあらかじめ設定してあるしきい値を超えた場合は、その類似度を与える利用者を本人と判定して本人を特定し、超えない場合は該当者なしと判定して棄却する。
【0041】環境別生体情報登録手段13は、入力された生体情報を環境別生体情報記憶手段14の後述する記憶場所に保存する。環境別生体情報記憶手段14には、いくつかのデータを記憶する場所が存在し、それらの記憶場所が、例えば、環境A、環境B、環境C…等の何段階かに分けられた各環境に対応する。これらの記憶場所には、個人の生体情報の登録データがあらかじめ記憶されている。入力された生体情報は、環境計測手段7で計測された現在の環境に対応する記憶場所に保存される。
【0042】次に、第2の実施の形態の生体情報1:n認証用の個人認証装置の動作について説明する。図7は、第2の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャートである。ステップS701で、環境計測手段7は、現在の環境を計測し、どの段階の環境に位置しているかを出力する。説明の都合上、環境A、環境B、環境C…と数段階の環境が存在する中で、ここでは現在の環境として環境Aが計測されたものとする。
【0043】ステップS702で、生体情報入力手段8は、利用者の生体情報を入力する。ステップS703で、同環境生体情報照合手段9は、環境別生体情報記憶手段にアクセスし、現在の環境である環境Aに対応する記憶場所から全員の登録データを読み出し、これとステップS702で入力した生体情報から抽出した特徴量との照合を行い、登録者全員との類似度を計算する。
【0044】ステップS704で、同環境照合判定手段10は、図2の説明において示した判定と同様の判定を行い、判定の結果、照合結果が該当者ありの場合は本人が特定されて処理は終了し、該当者なしの場合はステップS705に処理は移る。
【0045】ステップS705で、異環境生体情報照合手段11は、環境別生体情報記憶手段にアクセスし、現在の環境である環境A以外の環境(例えば、環境B、環境C等)に対応する記憶場所から全員の登録データを読み出し、これとステップS702で入力した生体情報からの特徴量との照合を行い、登録者全員との類似度を計算する。
【0046】ここで、説明の都合上、現在の環境である環境Aに一番近い環境を環境Bとすると、環境Bの登録データを照合に使用する登録データとするのでも良い。このように環境Bの登録データを用いる方が、環境C等の登録データを使用する場合と比較して、環境の相違が少ない分、高精度に本人認証が可能と考えられる。
【0047】ステップS706で、異環境照合判定手段12は、図2の説明において示した判定と同様の判定を行い、判定の結果、照合結果が該当者ありの場合は本人が特定されて処理は終了し、該当者なしの場合はステップS707に処理は移る。ステップS707で、環境別生体情報登録手段13は、取得した生体情報を登録するか否かを利用者の選択により決定する。
【0048】ステップS707で、利用者が登録することを選択したと判断した場合、ステップS708で、環境別生体情報登録手段13は、環境別生体情報記憶手段にアクセスし、個人IDを利用者が指定し、現在の環境である環境Aに対応する記憶場所の中に登録データを保存し、処理は終了する。処理が終了した時点で、本人棄却の認証の結果となっている。利用者が登録しないことを選択したと判断した場合は、処理は終了し、処理が終了した時点で本人棄却の認証の結果となっている。
【0049】以上説明したように、本発明の第2の実施の形態の個人認証装置は、登録されている全員の登録データと入力された生体情報のデータとを比較して最も類似している登録者を検出する認証において、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0050】また、使用環境と同じ環境において利用者本人の登録データが記憶されていない場合や同じ環境下の照合で該当者がいない場合でも、異なる環境であらかじめ登録された生体情報登録データを用いて認証を行うことによって、利用者本人を特定することが可能である。
【0051】次に、本発明の第3の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態の、指紋認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図である。指紋認証環境計測手段15は、湿度計18により現在の湿度を計測する。湿度を、例えば、低・中・高の3段階に分け、計測して得られた湿度がどの段階に位置しているかを決定する。
【0052】環境別指紋情報登録手段16は、環境別指紋情報記憶手段19の、指紋認証環境計測手段15によって決定された湿度の段階に対応した記憶場所に登録データを保存する。環境別指紋情報記憶手段19は、例えば、湿度:低、湿度:中、湿度:高の3段階に分けて個人の指紋情報の登録データが記憶されている。
【0053】指紋情報入力手段17は、指紋センサから指紋情報を取得する。第3の実施の形態の、個人認証装置の構成は、上記図1に示した環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置に対応している。指紋認証環境計測手段15は環境計測手段1に、環境別指紋情報登録手段16は環境別生体情報登録手段2に、指紋情報入力手段17は生体情報入力手段3に、環境別指紋情報記憶手段19は環境別生体情報記憶手段6にそれぞれ対応している。動作についても図6に示す環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャートに従い、同様の動作をする。
【0054】また、図2に示す環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置に対応させることも可能である。指紋認証環境計測手段15は環境計測手段7に、環境別指紋情報登録手段16は環境別生体情報登録手段13に、指紋情報入力手段17は生体情報入力手段8に、環境別指紋情報記憶手段19は環境別生体情報記憶手段14にそれぞれ対応する。
【0055】以上説明したように、本発明の第3の実施の形態の個人認証装置は、生体情報として指紋を用い、湿度計を環境計測装置として湿度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で指の発汗が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0056】本発明の第4の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。図4は、本発明の第4の実施の形態の、声紋認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図である。声紋認証環境計測手段20は、マイク23により現在の背景雑音を計測する。計測方法は、マイク23で声を入力していない時の周囲の雑音量を測定する。背景雑音を、例えば、小・中・大の3段階に分け、計測して得られた背景雑音がどの段階に位置しているかを決定する。
【0057】環境別声紋情報登録手段21は、環境別声紋情報記憶手段24の、声紋認証環境計測手段20によって計測された背景雑音の段階に対応した記憶場所に登録データを保存する。環境別声紋情報記憶手段24は、例えば、雑音:小、雑音:中、雑音:大の3段階に分けて個人の声紋情報の登録データが記憶されている。
【0058】声紋情報入力手段22は、マイク23から声紋情報を取得する。第4の実施の形態の、個人認証装置の構成は、上記図1に示した環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置に対応している。声紋認証環境計測手段20は環境計測手段1に、環境別声紋情報登録手段21は環境別生体情報登録手段2に、声紋情報入力手段22は生体情報入力手段3に、環境別声紋情報記憶手段24は環境別生体情報記憶手段6にそれぞれ対応している。動作についても図6に示す環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャートに従い、同様の動作をする。
【0059】また、図2に示す環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置に対応させることも可能である。声紋認証環境計測手段20は環境計測手段7に、環境別声紋情報登録手段21は環境別生体情報登録手段13に、声紋情報入力手段22は生体情報入力手段8に、環境別声紋情報記憶手段24は環境別生体情報記憶手段14にそれぞれ対応する。
【0060】以上説明したように、本発明の第4の実施の形態の個人認証装置は、生体情報として声紋を用い、マイクを環境計測装置として背景雑音を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で声紋振幅の強弱が同じである等の同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0061】本発明の第5の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。図5は、本発明の第5の実施の形態の、顔または虹彩認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図である。顔又は虹彩認証環境計測手段25は、カメラ28により現在の照明度を計測する。計測方法は、これから認証を行う場所をカメラ28を用いて撮影した画像を取得し、その画像の輝度平均等の情報から周囲の照明度を算出する方法でも良い。照明度を、例えば、暗・中・明の3段階に分け、計測して得られた照明度がどの段階に位置しているかを決定する。
【0062】環境別顔又は虹彩情報登録手段26は、環境別顔又は虹彩情報記憶手段29の、顔又は虹彩認証環境計測手段25によって計測された照明度の段階に対応した記憶場所に登録データを保存する。環境別顔又は虹彩情報記憶手段29は、例えば、照明:暗、照明:中、照明:明の3段階に分けて個人の顔または虹彩情報の登録データが記憶されている。
【0063】顔又は虹彩情報入力手段27は、カメラ28から顔又は虹彩情報を取得する。第5の実施の形態の、個人認証装置の構成は、上記図1に示した環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置に対応している。顔又は虹彩認証環境計測手段25は環境計測手段1に、環境別顔又は虹彩情報登録手段26は環境別生体情報登録手段2に、顔又は虹彩情報入力手段27は生体情報入力手段3に、環境別顔又は虹彩情報記憶手段29は環境別生体情報記憶手段6にそれぞれ対応している。動作についても図6に示す環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャートに従い、同様の動作をする。
【0064】また、図2に示す環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置に対応させることも可能である。顔又は虹彩認証環境計測手段25は環境計測手段7に、環境別顔又は虹彩情報登録手段26は環境別生体情報登録手段13に、顔又は虹彩情報入力手段27は生体情報入力手段8に、環境別顔又は虹彩情報記憶手段29は環境別生体情報記憶手段14にそれぞれ対応する。
【0065】以上説明したように、本発明の第5の実施の形態の個人認証装置は、生体情報として顔または虹彩を用い、カメラを環境計測装置として照明度を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で顔や顔の構成要素の輪郭等同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0066】本発明の第6の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。本実施の形態の個人認証装置は、図1および図2に示す個人認証装置において、図6のフローチャートに記載されたステップS607または図7のフローチャートに記載されたステップS704の後に、登録データの日付情報を用いて古い登録データを新しいデータで更新し、経年変化による精度低下を防ぐためのものである。
【0067】図8は、登録データ自動更新の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS801で、本人か他人かの同環境照合判定をして照合結果を生成する。ステップS802で、照合結果が他人を示す場合は本人を棄却して終了し、本人を示す場合は、処理はステップS803に進む。
【0068】ステップS803で、照合時に使用した登録データの日付を確認して照合時に使用した登録データが、ある一定の期間を経過した古い登録データか否かを判断する。古い登録データと判断された場合は、ステップS804に移り、ある一定の期間を経過するに至らない新しい登録データと判断された場合は、更新処理を行わずに終了する。
【0069】ステップS804では、照合時に使用した入力情報から抽出した特徴量を現在登録済みの古い登録データと置き換え、新しい登録データとして更新する。なお、これらの処理は、不図示の登録データ更新手段によって行うものでも良い。
【0070】以上説明したように、本発明の第6の実施の形態の個人認証装置は、登録データの日付情報を用いて古い登録データを新しいデータで自動的に更新することにより、経年変化による精度低下を防ぎ、信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0071】本発明の第7の実施の形態の、個人認証装置について図面を用いて説明する。本実施の形態の個人認証装置は、図1および図2に示す個人認証装置において、図6のフローチャートに記載されたステップS607または図7のフローチャートに記載されたステップS704の後に、登録データの日付情報を用いて利用者の選択に従って古い登録データを新しいデータで更新し、経年変化による精度低下を防ぐためのものである。
【0072】図9は、利用者の選択による登録データ更新処理の流れを示すフローチャートである。ステップS901で、本人か他人かの同環境照合判定をして照合結果を生成する。ステップS902で、照合結果が他人を示す場合は本人を棄却して終了し、本人を示す場合は、処理はステップS903に進む。
【0073】ステップS903で、照合時に使用した登録データの日付を確認して照合時に使用した登録データが、ある一定の期間を経過した古い登録データか否かを判断する。古い登録データと判断された場合は、ステップS904に移り、ある一定の期間を経過するに至らない新しい登録データと判断された場合は、更新処理を行わずに終了する。
【0074】ステップS904で、利用者が示す更新するか否かの選択を判断し、利用者の選択が更新する旨の選択であると判断した場合、処理はステップS905に移り、更新しない旨の選択であると判断した場合、更新を行わずに処理は終了する。ステップS905で、照合時に使用した入力情報から抽出した特徴量を現在登録済みの古い登録データと置き換え、新しい登録データとして更新する。
【0075】以上説明したように、本発明の第6の実施の形態の個人認証装置は、登録データの日付情報を用いて古い登録データを新しいデータで利用者の選択により更新可能にすることにより、利用者本人の拒否される頻度が高い場合等は利用者本人の判断により登録データの更新が可能であり、また、経年変化による精度低下を防ぎ、使い易く信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、個人唯一のIDを入力し、個人IDに対応している登録データと入力された生体情報のデータとを比較して本人か他人かを判定する認証において、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録された生体情報の登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。
【0077】また、他の発明は、登録されている全員の登録データと入力された生体情報のデータとを比較して最も類似している登録者を検出する認証において、使用環境を計測し、使用環境と同じ環境であらかじめ登録した生体情報登録データを用いて認証を行うため、登録時と入力時で同じ性質の特徴を得られ易く、認証精度の高い信頼性のある個人認証装置を実現することができる。また、使用環境と同じ環境において利用者本人の登録データが記憶されていない場合や同じ環境下の照合で該当者がいない場合でも、異なる環境であらかじめ登録された生体情報登録データを用いて認証を行うことによって、利用者本人を特定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置の基本構成を示すブロック図
【図2】本発明の第2の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置の基本構成を示すブロック図
【図3】本発明の第3の実施の形態の、指紋認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図
【図4】本発明の第4の実施の形態の、声紋認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図
【図5】本発明の第5の実施の形態の、顔または虹彩認証における環境計測を行う個人認証装置の基本構成を示すブロック図
【図6】第1の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:1認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャート
【図7】第2の実施の形態の、環境変動に対応する生体情報1:n認証用の個人認証装置における処理の流れを示すフローチャート
【図8】第6の実施の形態の、登録データ自動更新の処理の流れを示すフローチャート
【図9】第7の実施の形態の、利用者の選択による登録データ更新処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
1、7 環境計測手段
2、13 環境別生体情報登録手段
3、8 生体情報入力手段
4、9 同環境生体情報照合手段
5、10 同環境照合判定手段
6、14 環境別生体情報記憶手段
11 異環境生体情報照合手段
12 異環境照合判定手段
15 指紋認証環境計測手段
16 環境別指紋情報登録手段
17 指紋情報入力手段
18 湿度計
19 環境別指紋情報記憶手段
20 声紋認証環境計測手段
21 環境別声紋情報登録手段
22 声紋情報入力手段
23 マイク
24 環境別声紋情報記憶手段
25 顔又は虹彩認証環境計測手段
26 環境別顔又は虹彩情報登録手段
27 顔又は虹彩情報入力手段
28 カメラ
29 環境別顔又は虹彩情報記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の生体情報のデータを生体情報登録データとして記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記決定された入力環境の段階に対応させて前記生体情報登録データを前記環境別生体情報記憶手段に記憶させて登録する環境別生体情報登録手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて登録されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段とを備えたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】 前記生体情報は、指紋、声紋、顔、虹彩のいずれかについての情報であることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】 前記個人認証装置は、前記生体情報として指紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、湿度計を用いて湿度計測を行うことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項4】 前記個人認証装置は、前記生体情報として声紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、マイクを用いて背景雑音の計測を行うことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項5】 前記個人認証装置は、前記生体情報として顔についての情報または虹彩についての情報を使用し、前記環境計測手段は、カメラを用いて照明条件の計測を行うことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項6】 前記個人認証装置は、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項7】 前記登録データ更新手段は、前記同環境生体情報登録データの登録日時が所定の期間以前の場合に前記更新をすることを特徴とする請求項6記載の個人認証装置。
【請求項8】 生体情報の入力環境を計測し、あらかじめ1以上の段階に区分された入力環境の中から該当する入力環境の段階を決定する環境計測手段と、生体情報を入力生体情報として入力する生体情報入力手段と、前記入力環境の段階毎に対応させて所定の入力生体情報のデータを記憶する環境別生体情報記憶手段と、前記入力生体情報のデータと前記入力生体情報の入力環境の段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う同環境生体情報照合手段と、前記同環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する同環境照合判定手段と、前記入力生体情報のデータと、前記入力生体情報の入力環境の段階とは異なる段階に対応させて記憶されている生体情報登録データとの照合を行う異環境生体情報照合手段と、前記異環境生体情報照合手段の照合結果に基づいて本人か否かを判定する異環境照合判定手段と、前記計測された入力環境の段階に対応させて前記入力生体情報のデータを前記環境別生体情報記憶手段に記録させて登録する環境別生体情報登録手段とを備えたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項9】 前記生体情報は、指紋、声紋、顔、虹彩のいずれかについての情報であることを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項10】 前記個人認証装置は、前記生体情報として指紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、湿度計を用いて湿度計測を行うことを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項11】 前記個人認証装置は、前記生体情報として声紋についての情報を使用し、前記環境計測手段は、マイクを用いて背景雑音の計測を行うことを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項12】 前記個人認証装置は、前記生体情報として顔についての情報または虹彩についての情報を使用し、前記環境計測手段は、カメラを用いて照明条件の計測を行うことを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項13】 前記異環境生体情報照合手段は、前記入力環境の段階別に記憶されている前記生体情報登録データのうち、前記環境計測手段で決定された入力環境の段階に最も近い段階に対応させて記憶されている生体情報登録データを用いて照合することを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項14】 前記個人認証装置は、前記同環境照合判定手段によって本人と判定された場合に、前記本人と判定されたときの照合に用いられた生体情報登録データである同環境生体情報登録データを、前記同環境生体情報登録データの登録日時を含む所定の情報に基づいて、前記本人と判定されたときの照合に用いられた入力生体情報のデータで更新する登録データ更新手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項15】 前記登録データ更新手段は、前記同環境生体情報登録データの登録日時が所定の期間以前の場合に前記更新をすることを特徴とする請求項14記載の個人認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2002−236665(P2002−236665A)
【公開日】平成14年8月23日(2002.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−33920(P2001−33920)
【出願日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】