説明

値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法

【課題】値下げ開始のタイミングを自動的に判断可能であって、責任者などが不在であっても、値下げのタイミングの判断基準を一定にして、値下げ処理を円滑に実行可能な値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供すること。
【解決手段】複数の値下げ判断要素(たとえば、時刻、商品カテゴリー、賞味期限や在庫量など)を準備しておき、選択した値下げ判断要素について実際のデータとの比較を行って値下げのタイミングを判断することに着目し、商品の価格について値下げのタイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を選択可能とし、選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能とし、設定した設定要素データを、当該値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データと比較することにより、値下げのタイミングを判断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法にかかるもので、とくに商品の価格について値下げを開始するタイミングを自動的に判断するための値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小売り分野においては商品の販売を促進するために、商品にすでに表示している値段から値下げすることが行われている。値下げの具体的方式としては、値段を表示しているラベルや下げ札などの値札に値下げ金額や値下げ割合などの値下げ情報を新しく表示した値下げラベルを貼り付ける(マークダウンする)方法が一般的である。
【0003】
しかして、値下げ金額や値下げ割合の程度はもちろん、値下げ開始のタイミングをいつにするかについては、それぞれの商品に応じてあらかじめ取り決められている基準にもとづき、また、それぞれの商品の売れ行き状況を見ながら、それぞれの売り場の責任者が判断しているが、より有効な値下げ処理を行うには、実際には季節や曜日および時間帯、天候、商品の種類や特性、賞味期限、消費期限、加工年月日、在庫量、購買者(顧客)等々各種の要因がかかわっているため、商品の陳列補充や販売接客を行いながらの値下げのタイミングの判断およびラベル発行の作業は、かなりの神経を使うとともに、カンと経験を必要とする作業である。
とくに、店舗内において値下げ処理を必要かつ適切なタイミングで行えば、商品の販売をさらに促進することができるため、いつ、どのようなタイミングで、どの商品について、どの売り場で、どの程度の値下げ処理を行うべきかについての判断および迅速な作業は非常に重要である。
【0004】
また、スーパーマーケットなど小売り店で販売されている生鮮食品の値下げ処理は、顧客の来店数が一番多い時間帯から行われており、時間が経過するごとに値下げ率を上げて行くという処理が一般的である。たとえば、夕方の5時に顧客の来店数が一番多いと責任者が判断したときに、まず100円の値下げを行い、7時になると200円の値下げを行うというような処理が一般的である。
とくに生鮮食品コーナーでは、その賞味期限や消費期限の迫った商品などに値下げを行うが、値下げを行うことは、現場の監督者や責任者の経験や勘による判断に任されており、アルバイトの作業者には値下げを行う判断する権限が与えられていない。さらに、マークダウン時の値下げ率なども現場の監督者の経験則によるもので、一定の基準がない。
このように、従来の値下げ作業は、現場に慣れた責任者の判断によって行われており、責任者がいないと値下げ作業が滞るというという問題がある。
しかも、値下げのタイミング判断については、各店舗における現場の責任者の経験則による場合が多く、各店舗間においてそのタイミング判断がばらつくとともに、小売店の各店舗を総合した全体としての共通の判断基準を確立しにくく、全体としての定式化が困難で、利益率の向上にも限界があるという問題がある。
【0005】
なお、特許文献1のように、たとえば夕方の4時など所定の時刻になると商品の在庫データにもとづき自動的に値下げ処理を行うものもあるが、値下げのタイミング判断基準は時刻だけであり、経験ある責任者が多くの判断要素を考慮して行う従来の判断に比較すると判断基準が硬直化している点は否めず、日々刻々変化する購買状況や天候その他に柔軟かつ融通性を持って値下げ処理をするには限界があるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−44771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、値下げ開始のタイミングを自動的に判断可能な値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、値下げのタイミングを判断する権限を持つ責任者などが不在であっても、値下げのタイミングの判断基準を一定にして、値下げ処理を円滑に実行可能な値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、経験豊かな責任者による値下げのタイミング判断に匹敵するようなタイミング判断の定式化を可能として、小売り店の利益率を向上可能な値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、同じ小売り店の各店舗間において値下げのタイミング判断が異なることを防止可能であるとともに、逆に各店舗の事情を反映した値下げタイミング判断の定式化を可能とする値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供することを課題とする。
【0011】
また本発明は、値下げについての定式化を可能とするとともに、定式化による売上げ情報ないし利益率などの結果をフィードバックして、さらに精度を向上させて適正な値下げのタイミング判断に寄与するように修正することができる値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、少なくとも時刻を含む複数の値下げ判断要素を準備しておき、これらのうちの値下げ判断の基準ないし起点となる要素すなわち、任意の値下げ判断要素(たとえば、時刻ないし時間、商品カテゴリー、賞味期限や消費期限あるいは在庫量、天候や温湿度さらにはイベントの有無などの特殊事情)を選択可能として、たとえば論理積あるいは論理和などによって組み合わせること、この選択した値下げ判断要素について実際のデータとの比較を行って値下げのタイミングを判断すること、かくして、各店舗などの状況に合わせた値下げのタイミングの判断を自由に設定可能とすることに着目したもので、第一の発明は、商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化システムであって、上記商品の上記価格について上記値下げの上記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を選択可能とするとともに、この選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能とし、この設定した設定要素データを、当該値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データと比較することにより、上記値下げの上記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化システムである。
【0013】
上記値下げの上記タイミングを判断したのち、上記商品の値下げ情報を決定可能とすることができる。
【0014】
上記値下げ判断要素はこれを、時刻、上記商品の商品カテゴリー、上記商品の在庫量、上記商品の賞味期限、消費期限、あるいは、顧客数、のうちの少なくともいずれかひとつとすることができる。これらの要素以外にも、各商品の特性に応じた任意の値下げ判断要素を採用することができる。
【0015】
上記値下げ判断要素はこれを、天候、気温、湿度、季節、上記商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、のうちの少なくともいずれかひとつとすることができる。これらの要素以外にも、各店舗の事情に応じた任意の値下げ判断要素を採用することができる。
【0016】
上記値下げ判断要素の複数個を要素表示部に表示して、これら値下げ判断要素のうちの任意の値下げ判断要素を選択可能とするとともに、この要素表示部に合わせて設けた連結表示部において、これら選択した当該値下げ判断要素のそれぞれを論理積(AND)あるいは論理和(OR)により順次連結し、上記値下げの上記タイミングを判断するタイミング判断フローチャート図を作成可能とすることができる。
【0017】
上記値下げ判断要素について、上記設定要素データをそれぞれ設定するための要素データ設定表示部を有することができる。
【0018】
第二の発明は、商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化システムであって、上記商品の上記価格について上記値下げの上記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を表示してこれを選択可能とするとともに、この選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能な中央制御部と、上記値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データをこの中央制御部に供給する要素検出部と、を有し、この中央制御部は、上記設定した設定要素データとこの実際要素データとを比較することにより、上記値下げの上記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化システムである。
【0019】
上記要素検出部は、上記商品の在庫量を管理可能なレジスターを有することができる。
【0020】
上記要素検出部は、顧客数を検出可能な入退場ゲートを有することができる。
【0021】
上記要素検出部は、気温あるいは湿度を計測可能な温湿度計を有することができる。
【0022】
第三の発明は、商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化方法であって、上記商品の上記価格について上記値下げの上記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を表示してこれを選択可能とする中央制御部と、上記値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データをこの中央制御部に供給する要素検出部と、を設けるとともに、上記中央制御部において、上記選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶し、この設定した設定要素データを、上記要素検出部からの上記実際要素データと比較することにより、上記値下げの上記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化方法である。
【0023】
上記値下げ判断要素としてあげた時刻、商品の商品カテゴリー、商品の在庫量、商品の賞味期限や消費期限、あるいは、顧客数、さらに、天候、気温、湿度、季節、商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、などについて概説する。
時刻は、何時から値下げを開始するか、という時刻をいう。たとえば、主婦層が多いベッドタウンにある店舗では、夕方が最も混雑する時間帯になるが、一人暮らしのサラリーマンが多い市街地にある店舗では、午後10時過ぎなど夜遅くが最も混雑する傾向にあり、立地条件によって値下げのタイミングとして適正な時刻は異なる。本発明において、値下げをいつ行うのか、という時間の概念は、値下げ判断を行う起点となるとともに、個別の商品に関する情報ではなく、全商品に関係する情報であり、中央制御部内のクロックなどによってこれをカウントするものとする。
【0024】
商品カテゴリーは、食品や衣料品など商品の分類であるが、各小売店の事情に応じて任意の分類分けが可能である。たとえば、大分類として食品および衣料品があり、食品の中分類として生鮮食品および菓子類などがあり、さらに生鮮食品の小分類として肉や野菜などがある。なお、食品類は、日配品が多く時刻が値下げ判断の要素となり、衣料品類は、春夏秋冬など季節ものが多く季節が値下げ判断の要素となる。ただし、単一の商品カテゴリーしか持たない店舗(たとえば魚屋、衣料品店など)では、取り扱う商品カテゴリーが単一であるため、値下げの判断として商品カテゴリーは必ずしも必要ではない。またさらに、衣料品でも季節に関係なく販売されるワイシャツなどの定番商品のことを考慮し、この商品カテゴリーには、値下げをしないという選択(たとえばワイシャツについては値下げしないなどの選択)も準備しておく必要がある。
【0025】
商品の在庫量は、当該商品がその入荷量ないし陳列量に対してどのくらい売れ残っているかの量である。ただし、たとえば生鮮食品などについては、午後3時以降は全商品3割引きなど、ある時刻以降には一律に値下げするなど、在庫量自体を値下げの判断の要素にしない店舗もありうる。この在庫量は、入荷量ないし陳列量からPOSレジスターなどの勘定レジスターにおいて売り上げた量を差し引いてこれを演算することができる。
【0026】
商品の賞味期限や消費期限は、とくに生鮮食品などについて、いつまで(何年何月何日、何時何分まで)賞味が可能かの期限である。なお一般に、賞味期限に比べて消費期限の方が期間的に短いものについて用いられる。ただし、一般的には衣料品などは賞味期限や消費期限がなく、スーパーマーケットなどでは衣料品については賞味期限などを考えずに一律に値下げを行う。この賞味期限や消費期限についてのデータは、中央制御部ないしレジスター部分にこれを記憶してある。
【0027】
顧客数は、所定の店舗内にとどまって買い物をされている顧客の数、あるいはレジスターを通過した人数、その他、値下げの処理システムに応じて定義が可能である。一般的には、顧客数が一番多い時間帯から小額だけ値下げを開始し、ついで1時間後にさらに値下げするようなことを行うことにより、商品の売行きを上げ、少しでも在庫を減らそうとする方法がある。ただし、時間によっては顧客数を類推可能であったり、在庫量によって顧客数について考慮する必要がなくなったりするため、顧客数自体は、必ずしも必要な値下げの要素とはいえない。
【0028】
以上の値下げ判断要素は、店舗内における、いわば内的な要素であるが、店舗外の外的な要素として、以下のような要素も考慮に入れることができる。
たとえば天候、気温や湿度さらに季節は、商品のカテゴリーによっては購買状況に大きな影響を及ぼす。
また、商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、などについても購買意欲に大きな影響を及ぼすものである。
したがって、これらの要素も商品の種類や店舗の立地条件ないし周辺状況に応じて選択可能とすることによって、さらにきめ細かい判断を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法においては、選択し設定した値下げ判断要素についてその設定要素データを実際要素データと比較することにより、値下げ開始のタイミングを判断するようにしたので、値下げ判断要素としてたとえば、時刻、商品の商品カテゴリー、商品の在庫量、商品の賞味期限、消費期限、あるいは、顧客数、さらには、天候、気温、湿度、季節、商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、その他多くの値下げ判断要素の中から必要かつ十分と思われる判断要素を選択することができ、所定の分類分けされた商品一品一品について(あるいは店舗ないし商品の種類によってはその分類に関係なく)所定の値下げ判断要素との組み合わせにより適正な値下げのタイミングの判断を行うことが可能となり、値下げレベルの均一化が可能である。
たとえば一例として、いつから(何時から)値下げをするかを設定し、ついで、どの商品カテゴリーについて値下げを行うかを設定し、必要であれば在庫量あるいは賞味期限などについても判断基準を設定し、これらの判断要素を論理積あるいは論理和により連結して種々のタイミング判断フローチャート図を作成可能であり、これらの条件が整ったときに、何%あるいは何円の値下げを行うという値下げ情報の設定を行っておけば、監督者ないし責任者がいなくても自動的な値下げのタイミングの判断および具体的な値下げの処理を実行することができる。
【0030】
とくに第一の発明によれば、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を選択可能とするとともに、この選択した値下げ判断要素についての設定要素データと、実際要素データとを比較することにより、値下げのタイミングを判断するようにしたので、あらかじめ値下げのタイミングの判断手順を作成しておくことができ、タイミング判断の自動化が可能である。
【0031】
とくに第二の発明によれば、たとえばホストコンピューターなどの中央制御部と、POSレジスターなどの要素検出部と、を設け、中央制御部において、値下げ判断要素を表示して選択可能とし、さらに、この選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能とするとともに、実際の数値である実際要素データを計測ないし検出した要素検出部からの実際要素データと、設定した設定要素データとを比較することにより、値下げのタイミングを判断するようにしたので、小売り店の店内における情報(実際要素データ)あるいは天候その他の店外の状況に応じてもタイミング判断を行うことができる。
【0032】
とくに第三の発明によれば、中央制御部において、選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶し、この設定した設定要素データを、要素検出部からの実際要素データと比較することにより、値下げのタイミングを判断するようにしたので、値下げによる各種の売上げ情報や利益率などの効果を蓄積するとともに、そのタイミング判断フローチャート図とデータ比較(フィードバック)することによって、さらに精度の高い値下げ判断システムへの修正ないし構築が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、多くの値下げ判断要素のうち必要と思われるものを選択可能とし、この選択した値下げ判断要素についての設定値と、実際の値とを比較するようにしたので、値下げのタイミング判断を自動化、適正化かつ均一化を図ることができるとともに、実際の売上げデータなど集積した結果をフィードバックして、システムの精度向上も期待することができる値下げ判断自動化システムおよび値下げ判断自動化方法を実現した。
【実施例】
【0034】
つぎに本発明の実施例による値下げ判断自動化システム1および値下げ判断自動化方法を図1ないし図18にもとづき説明する。
図1は、値下げ判断自動化システム1の概略説明図であって、値下げ判断自動化システム1は、ホストコンピューターなどによる中央制御部2と、POSレジスター3と、入退場ゲート4と、デジタル温湿度計5と、を有する。
【0035】
中央制御部2は、ディスプレイ6と、キーボード7と、サーバー8と、を有するとともに、POSレジスター3、入退場ゲート4およびデジタル温湿度計5に有線あるいは無線によりこれを接続し、値下げ判断自動化システム1全体を制御する。
また、中央制御部2からは、ラベル印字装置9の制御ユニット10に値下げ指令の制御信号を出力して、貼付けユニット11による値下げラベルの発行を可能とするとともに、貼付けユニット11による値下げラベルの発行結果を値下げ結果データとしてラベル印字装置9などから受信する。
【0036】
ディスプレイ6は、サーバー8に保存されている所定のプログラムにしたがって、後述するようにキーボード7からの入力による各種設定処理を表示し、設定結果(たとえば各種値下げ判断要素の設定要素データなど)その他のデータ(たとえばPOSレジスター3、入退場ゲート4およびデジタル温湿度計5からの実際要素データなど)をサーバー8に記憶する。
サーバー8は、上記必要なプログラムを記憶したプログラム記憶部12(ROM)と、必要なデータを記憶するデータ記憶部13(RAM)と、を有する。
【0037】
POSレジスター3は、小売り店内の勘定レジスターであって、所定の勘定処理を行うとともに、商品の在庫量を管理可能な要素検出部として機能する。すなわち、商品販売情報を中央制御部2にリアルタイムに送信し、商品の在庫量を管理可能とする。
なお、中央制御部2としての機能を特定のPOSレジスター3に保有させることも可能である。
【0038】
入退場ゲート4は、所定の店舗内に居る顧客数を検出可能な要素検出部として機能する。すなわち、小売り店内の入退場者をカウントし、店舗内の現在の顧客数の情報を中央制御部2にリアルタイムに送信する。
この顧客数の検出については、入退場ゲート4以外にも任意のシステムを採用可能であり、店舗内の顧客あるいは混雑状況を撮影可能な映像システムからのデータを採用することもできる。
なお、各店舗あるいは商品の種類に応じて、必要であれば、POSレジスター3において勘定を済ませた顧客数をデータとして中央制御部2に出力することもできる。
【0039】
デジタル温湿度計5は、気温あるいは湿度を計測可能な要素検出部として機能する。すなわち、店舗内あるいは店舗外の気温および湿度を計測可能であって、その情報を中央制御部2にリアルタイムに送信する。
なお、気温および湿度の情報は、インターネット上からも入手可能である。
【0040】
上記中央制御部2には、値下げ開始の条件を設定するもので、この条件が充足したときが値下げのタイミングとして、ラベル印字装置9に値下げ指令を送信する。
図2は、この値下げの各種条件(値下げ判断要素)の設定手順を示す要素配置設定表示部14(要素配置設定画面)の説明図であって、この要素配置設定表示部14はこれを、中央制御部2のディスプレイ6上に表示する。
【0041】
要素配置設定表示部14には、要素表示部15と、連結表示部16と、ANDボタン17およびORボタン18と、値下げ情報の設定ステップ部19と、完了ボタン20と、を表示している。
要素表示部15には、必要と思われる値下げ判断要素の複数個を表示しており、これら値下げ判断要素のうちの任意の値下げ判断要素を選択可能とする。
値下げ判断要素としてはこれを、時刻、商品の商品カテゴリー、商品の在庫量、商品の賞味期限、消費期限、あるいは、顧客数、など内的要素のうちの少なくともいずれかひとつとする。さらに、必要であれば、天候、気温、湿度、季節、商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、など外的要素のうちの少なくともいずれかひとつとすることができる。
【0042】
連結表示部16は、要素表示部15に合わせて同じディスプレイ6上に設けたものであり、この連結表示部16において、要素表示部15で選択した当該値下げ判断要素のそれぞれを要素表示部15から連結表示部16に順次ドローするとともに、連結表示部16内のANDボタン17あるいはORボタン18を選択指定して、論理積あるいは論理和により順次連結し、連結フローチャート図21とし、値下げのタイミングを判断するサーバー8(データ記憶部13)内におけるタイミング判断フローチャート図22(図3、後述)を作成可能とする。なお、要素配置設定表示部14における要素表示部15および連結表示部16での各種処理などについては、サーバー8のプログラム記憶部12に保存してある専用のプログラムを用いる。
図2に図示の例では、すべての値下げ判断要素(たとえば時刻、商品カテゴリー、在庫量、賞味期限、消費期限、顧客数、天候)を論理積(AND)で順次接続してあり、その順番は任意である。
【0043】
この連結フローチャート図21のあとに続いて値下げ情報の設定ステップ部19(図14および図15を参照、後述)を配置しており、値下げのタイミングを判断したのち、商品の値下げ情報を決定可能とする。
すなわち、要素配置設定表示部14の完了ボタン20を押すことにより、図3のタイミング判断フローチャート図22がサーバー8内に作成され、それぞれの要素データ設定表示部23に移行する。
【0044】
図3は、上記タイミング判断フローチャート図22の説明図であり、上記連結フローチャート図21(図2)に対応するこのタイミング判断フローチャート図22において、まずステップS1では何時(時刻)から値下げを開始するかを設定する。
ステップS2では、どの商品カテゴリーの商品を値下げするかを設定する。
ステップS3では、在庫量がどのレベルになったときに値下げするかを設定する。
ステップS4では、賞味期限が何日前(あるいは何時間前)になったら値下げをするかを設定する。
ステップS5では、顧客数が何人になったら値下げをするかを設定する。
ステップS6では、気温湿度が何度℃、何%になったら値下げするかを設定する。
ただし、ステップS1からステップS6の順位については、図示の例に限らず、認識しやすい順で配列することができる。
最後にステップS7において、上記値下げ情報の設定ステップ部19(図2)に対応する値下げ情報(値下げ金額や値下げ割合など)を設定する。この設定した値下げ情報をPOSレジスター3に出力して売上げ時の処理に供するとともに、前記ラベル印字装置9に値下げ指令を出力して所定仕様の値下げラベル(図示せず)に値下げ率ないし値下げ金額を表示して、商品に貼り付ける値下げ作業を実行させる。なお、この値下げラベルを棚札として表示可能とすることもできる。
【0045】
本発明においては、商品の価格について値下げのタイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を選択可能とするとともに、選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能としている。
すなわち、値下げ判断要素について、設定要素データをそれぞれ設定するための要素データ設定表示部23をディスプレイ6に表示する。
図4ないし図13にもとづき、以下説明する。
図4は、要素データ設定表示部23のうち、値下げ開始の時刻を設定するための時刻データ設定表示部23A(時刻データ設定画面)の説明図であって、時刻データ設定表示部23Aにおいて、指定日か、あるいは毎日か、の選択ボタン24、および午前か午後かの選択ボタン25を選び、さらにはその日時ないし時刻をキーボード7から入力し、完了ボタン26を押して、それぞれの設定を完了するとともに、つぎの商品のカテゴリーに関する大分類データ設定表示部23B(図6)に移行する。
【0046】
なお、商品のカテゴリーとしては、図5に示すようなものが考えられる。
図5は、商品のカテゴリーの分類の一例を示す説明図であって、取り扱う商品を大分類、中分類および小分類に分けて設定することが可能である。もちろん、小売り店が取り扱う商品群に合わせて任意の分類分けを行うことができる。
この分類された各商品については、サーバー8のデータ記憶部13に登録しておくものとする。
【0047】
図6は、要素データ設定表示部23のうち、商品カテゴリーのうち大分類を設定するための大分類データ設定表示部23B(大分類データ設定画面)の説明図であって、大分類データ設定表示部23Bにおいて、大分類における「食品」か、あるいは「その他」かの選択を行い完了ボタン26によりつぎの中分類に関する中分類データ設定表示部23C(図7)に移行する。
なお図中、選択しないボタン27は、これを押すことにより、このカテゴリー(大分類)は選択しないという設定になる。すなわち、中分類以下の分類の商品を選択することになる。
また、終了ボタン28は、これを押すことにより、このカテゴリー(大分類)の選択までで設定を終了することになる。すなわち、中分類以下の商品については設定をしないということになる。
【0048】
図7は、要素データ設定表示部23のうち、商品カテゴリーのうち中分類を設定するための中分類データ設定表示部23C(中分類データ設定画面)の説明図であって、中分類データ設定表示部23Cにおいて、中分類における「生鮮食品」か、あるいは「その他」かの選択を行い完了ボタン26によりつぎの在庫量に関する在庫量データ設定表示部23D(図8)に移行する。
なお、図示はしていないが、中分類以下の小分類についての商品を選択するような小分類データ設定表示部(小分類設定画面)を設けて、より細かい商品分類(たとえば牛肉)について値下げ判断要素としての指定を行うことができる。
【0049】
図8は、要素データ設定表示部23のうち、生鮮食料品在庫量を設定するための在庫量データ設定表示部23D(在庫量データ設定画面)の説明図であって、在庫量データ設定表示部23Dにおいて、たとえば「在庫量が出荷量に対して、50%以上であるときに値下げする」という設定を行う。もちろん、この在庫量データ設定表示部23Dにおける設定のための文章内容は任意であり、図6および図7における商品のカテゴリー選択で生鮮食品を選択したという仮定にしているので、生鮮食料品の在庫量の設定という画面になっているが、選択しないボタン27を押せば、生鮮食料品についてはその在庫量を判断しないとして設定が行われ、在庫量についてはこれを値下げ判断要素から外す設定を行うことができる。
すなわち、図2の連結フローチャート図21および図3のタイミング判断フローチャート図22の作成後であっても、それぞれの値下げ判断要素についてその設定要素データの設定作業中に、刻々と変化する店舗内の状況に応じて特定の値下げ判断要素を外すことができ、迅速な値下げ処理を可能とすることができる。
【0050】
図9は、要素データ設定表示部23のうち、生鮮食料品賞味期限を設定するための賞味期限データ設定表示部23E(賞味期限データ設定画面)の説明図であって、賞味量期限データ設定表示部23Eにおいて、たとえば「賞味期限まであと5時間以内の商品を値下げする」という設定を行う。この賞味量期限データ設定表示部23Eにおいても設定のための文章内容は任意であり、図6および図7における商品のカテゴリー選択で生鮮食品を選択したという仮定にしているので、生鮮食料品の賞味期限の設定という画面になっているが、選択しないボタン27を押せば、生鮮食料品についてはその賞味期限を判断しないとして設定が行われ、賞味期限についてはこれを値下げ判断要素から外す設定を行うことができる。
【0051】
図10は、要素データ設定表示部23のうち、顧客数を設定するための顧客数データ設定表示部23F(顧客数データ設定画面)の説明図であって、顧客数データ設定表示部23Fにおいて、たとえば「顧客数が25人以上のときに値下げする」という設定を行う。すなわち、たとえば夕方になって店舗内における人数が増えてきたときなどを値下げのタイミングと判断するように設定するものである。この顧客数データ設定表示部23Fにおいても設定のための文章内容は任意である。また、選択しないボタン27を押せば、生鮮食料品についてはその顧客数を判断しないとして設定が行われ、顧客数についてはこれを値下げ判断要素から外す設定を行うことができる。
【0052】
図11は、要素データ設定表示部23のうち、気温湿度を設定するための気温湿度データ設定表示部23G(気温湿度データ設定画面)の説明図であって、気温湿度データ設定表示部23Gにおいて、気温および湿度の選択ボタン29を選択設定するように押すとともに、たとえば「気温20℃以上(あるいは以下)のとき値下げする」、あるいは、たとえば「湿度30%以上(あるいは以下)のとき値下げする」という設定を行う。また、選択しないボタン27を押せば、生鮮食料品についてはその気温湿度を判断しないとして設定が行われ、気温湿度についてはこれを値下げ判断要素から外す設定を行うことができる。
【0053】
図12は、上述のようにそれぞれの要素データ設定表示部23において設定した内容(設定要素データ)の一例を示す図表であって、中央制御部2におけるサーバー8のデータ記憶部13に、それぞれの商品について、あらかじめ判明している価格、出荷量や賞味期限の日時などとともに、設定した設定要素データとして格納記憶しておく。
【0054】
なお、上述のような設定の後に、要素データ設定表示部23として、特別設定表示部30(特別設定画面)を設けることもできる。
図13は、この特別設定表示部30の説明図であって、特別設定表示部30において、たとえば「2005年7月31日はすべての設定を無視し、お弁当を値下げする」という設定を行うこともできる。また、その理由記入欄31として、たとえば「○×神社祭りの日」などを記入することもできる。
もちろん、この特別設定表示部30における設定のための文章内容は、商品についてのチラシ期間、イベントの有無、休日か否か、その他店舗の地域性ないし周辺の特殊事情に応じて任意に作成することができる。
【0055】
以上の設定要素データの設定および記憶が完了した段階で、図2で示した値下げ情報の設定ステップ部19に対応して、値下げ情報設定表示部32(値下げ情報設定画面)に移行する。
図14は、値下げ情報設定表示部32の説明図であって、生鮮食料品の値下げ率設定を行うもので、値下げ選択ボタン33のいずれか(「値下げする」あるいは「値下げしない」)を選択し、たとえば「定価から30%値下げする」という設定を行う。この値下げ情報については、値下げの割合でも具体的な値下げ金額の設定でも任意の形態の値下げ処理が可能である。
この値下げ情報設定表示部32には、2回目設定ボタン34を設けてあり、この2回目設定ボタン34を押すことにより、2回目の値下げ率を設定する生鮮食品2回目値下げ率設定表示部35(生鮮食品2回目値下げ率設定画面)に移行が可能である。
【0056】
図15は、生鮮食品2回目値下げ率設定表示部35の説明図であって、たとえば「1回目値下げから1時間45分後に1回目値下げ価格から10%値下げする」という設定が可能である。
この生鮮食品2回目値下げ率設定表示部35においても、3回目設定ボタン36を設けて、さらなる値下げに移行可能とすることもできる。
【0057】
かくして、値下げ開始のタイミングの判断要素(値下げ判断要素)の設定、および値下げ率などの設定を終えれば、中央制御部2は、POSレジスター3、入退場ゲート4あるいはデジタル温湿度計5などからのデータ(当該値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データ)と、上記設定した設定要素データとを比較することにより、値下げのタイミングを判断する。
すなわち、図16は、値下げのタイミングの判断のフローチャート図であって、まずステップS11において値下げを開始する時刻か否か(設定によっては、値下げを開始する日時か否か)を判断する。
値下げを開始する時刻になれば、ステップS12において、サーバー8に登録してある商品カテゴリーのうち値下げする商品カテゴリーを確認して、どの商品カテゴリーを値下げするかを判断する。
ステップS13では、現在の在庫量の数値(実際要素データ)が設定値(設定要素データ)以上か否かを判断する。
ステップS14では、賞味期限が設定値以内か、などと、賞味期限について実際要素データと設定要素データとを比較して、たとえば図9の設定では賞味期限まであと5時間以内か否かを判断する。
ステップS15では、店舗内に居る顧客数が設定値以上か、たとえば図10の設定では顧客数が25人以上かを判断する。
ステップS16では、気温および湿度について現在の数値(実際要素データ)と設定値(設定要素データ)とを比較することにより、値下げするタイミングか否かを判断する。たとえば図11の設定では、気温20℃以上(あるいは以下)か、また、湿度30%以上(あるいは以下)かを判断する。
以上の値下げ判断要素の条件がすべて整った段階で値下げ開始のタイミングとの判断がなされ、ステップS17に移行する。
すなわち、ステップS17においては、前記値下げ情報の設定ステップ部19(図2)に対応する図13および図14などで設定した値下げ情報(値下げ金額や値下げ割合など)をラベル印字装置9に出力し、具体的な値下げ作業を指令する。
かくして、ラベル印字装置9(制御ユニット10)においてこの指令を確認した作業者が、当該指令に含まれる値下げ情報を貼付けユニット11により発行して商品に貼り付けるか、棚札に表示することにより、顧客に所定の商品について値下げが行われていることを表示することになる。
【0058】
本発明においては、上述のように、所定数の値下げ判断要素を組み合わせることにより値下げ開始のタイミングを自動的に判断することができるが、どの値下げ判断要素どうしを組み合わせるかは、それぞれの責任者の経験や勘を取り入れることはもちろん、店舗および商品の種類に応じて任意に選択が可能である。
たとえば、「生鮮食品について、午後4時に顧客数25人のときに10%の値下げを開始する」、という設定を行いたい場合には、商品カテゴリーとして生鮮食品を選択し、時刻を午後4時に指定し、顧客数を25人に指定し、値下げ率を10%と設定すればよい。
また、「衣類について冬物のみ、2005年12月1日から20%値下げする」、という設定を行いたい場合には、商品カテゴリーとして衣服、冬物を選択し、日時を2005年12月1日に指定し、値下げ率を20%と設定すればよい。
また、「アイスクリームを2005年8月1日から9月1日まで気温が30℃以上のときに10%値下げする」、という設定を行いたい場合には、商品カテゴリーとしてアイスクリームを選択し、日時を2005年8月1日から9月1日に指定し、気温を30℃に指定し、値下げ率を10%と設定すればよい。
さらに、「生鮮食品について、午後4時に顧客数25人のときに10%の値下げを開始する。45分後に12%値下げする」、という設定を行いたい場合には、商品カテゴリーとして生鮮食品を選択し、時刻を午後4時に指定し、顧客数を25人に指定し、値下げ率を10%と設定するとともに、彩度値下げの項目を指定して、45分後にさらに2%値下げを行う旨の設定を行えばよい。
以上のように値下げ判断要素の組み合わせは、商品の種類や店舗の事情などに応じて様々に設定が可能である。
【0059】
さらに本発明においては、要素配置設定表示部14(図2)における値下げ判断要素の選択およびその組み合わせは任意にこれを実行可能であり、論理積に加えて論理和を組み合わせることもできる。
たとえば、図17は、図2で示した要素配置設定表示部14を用いた他の設定操作を説明する説明図であって、要素表示部15から選択した値下げ判断要素を連結表示部16においてANDボタン17およびORボタン18により組み合わせ、たとえば、時刻、商品カテゴリーおよび顧客数についてはAND(論理積)でこれを連結するとともに、在庫量および賞味期限についてはOR(論理和)でこれを連結し、在庫量および賞味期限のいずれかが設定データをこえたかなどの判断により値下げ開始のタイミングを判断するように設定して連結フローチャート図40を作成することもできる。
【0060】
この連結フローチャート図40にもとづき、中央制御部2は、図3に示したと同様のタイミング判断フローチャート図(図示せず)を作成する。このタイミング判断フローチャート図にしたがって、値下げのタイミングを設定する操作者は、図4から図15にもとづいて説明したと同様に、それぞれの値下げ判断要素の設定要素データおよび値下げ情報を設定して、設定操作を完了する。
図18は、図16と同様の、連結フローチャート図40(図17)にしたがった値下げのタイミングの判断のフローチャート図であって、まずステップS21において値下げを開始する時刻か否か(設定によっては、値下げを開始する日時か否か)を判断する。
値下げを開始する時刻になれば、ステップS22において、サーバー8に登録してある商品カテゴリーのうち値下げする商品カテゴリーを確認して、どの商品カテゴリーを値下げするかを判断する。
ステップS23では、店舗内に居る顧客数が設定値以上か、たとえば図10の設定では顧客数が25人以上かを判断する。
ステップS24では、現在の在庫量の数値(実際要素データ)が設定値(設定要素データ)以上か否かを判断する。この判断結果がNOのときにステップS25に移行する。
ステップS25では、賞味期限が設定値以内か、などと、賞味期限について実際要素データと設定要素データとを比較して、たとえば図9の設定では賞味期限まであと5時間以内か否かを判断する。
ステップ24の判断結果あるいはステップS25の判断結果のいずれかがYESであれば、ステップS26に移行する。すなわち、時刻、商品カテゴリーおよび顧客数、さらに在庫量あるいは賞味期限のいずれか一方についての値下げ判断要素の条件が整った段階で値下げ開始のタイミングとの判断がなされ、ステップS26に移行する。
ステップS26において、前記値下げ情報の設定ステップ部19に対応する図13および図14などで設定したと同様な、値下げ情報(値下げ金額や値下げ割合など)をラベル印字装置9に出力し、具体的な値下げ作業を指令する。
かくして、ラベル印字装置9(制御ユニット10)においてこの指令を確認した作業者が、当該指令に含まれる値下げ情報を貼付けユニット11により発行して商品に貼り付けるか、棚札に表示することにより、顧客に所定の商品について値下げが行われていることを表示することになる。
【0061】
以上のように、本発明によれば、経験豊かな責任者による値下げのタイミング判断を組み入れることが可能で、値下げ開始のタイミング判断を定式化して、値下げ開始のタイミングを自動的に判断することにより、小売り店の利益率を向上可能である。
さらに、所定数の値下げ判断要素のある組み合わせの結果、どのような売り上げないし利益率になったかのフィードバックが可能であり、それぞれの値下げ判断要素の選択および組み合わせを変更することにより、値下げ判断自動化システム自体を修正して、判断自動化のさらなる精度の向上を図ることができる。
また、店舗の地域や季節などに応じて値下げ判断要素の選択や組み合わせを変更することにより、それぞれの店舗あるいは季節にあった値下げ判断自動化システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例による値下げ判断自動化システム1の概略説明図である。
【図2】同、値下げの各種条件(値下げ判断要素)の設定手順を示す要素配置設定表示部14(要素配置設定画面)の説明図である。
【図3】同、タイミング判断フローチャート図22の説明図である。
【図4】同、要素データ設定表示部23のうち、値下げ開始の時刻を設定するための時刻データ設定表示部23A(時刻データ設定画面)の説明図である。
【図5】同、商品のカテゴリーの分類の一例を示す説明図である。
【図6】同、要素データ設定表示部23のうち、商品カテゴリーのうち大分類を設定するための大分類データ設定表示部23B(大分類データ設定画面)の説明図である。
【図7】同、要素データ設定表示部23のうち、商品カテゴリーのうち中分類を設定するための中分類データ設定表示部23C(中分類データ設定画面)の説明図である。
【図8】同、要素データ設定表示部23のうち、生鮮食料品在庫量を設定するための在庫量データ設定表示部23D(在庫量データ設定画面)の説明図である。
【図9】同、要素データ設定表示部23のうち、生鮮食料品賞味期限を設定するための賞味期限データ設定表示部23E(賞味期限データ設定画面)の説明図である。
【図10】同、要素データ設定表示部23のうち、顧客数を設定するための顧客数データ設定表示部23F(顧客数データ設定画面)の説明図である。
【図11】同、要素データ設定表示部23のうち、気温湿度を設定するための気温湿度データ設定表示部23G(気温湿度データ設定画面)の説明図である。
【図12】同、それぞれの要素データ設定表示部23において設定した内容(設定要素データ)の一例を示す図表である。
【図13】同、特別設定表示部30の説明図である。
【図14】同、値下げ情報設定表示部32の説明図である。
【図15】同、生鮮食品2回目値下げ率設定表示部35の説明図である。
【図16】同、値下げのタイミングの判断のフローチャート図である。
【図17】同、図2で示した要素配置設定表示部14を用いた他の設定操作を説明する説明図である。
【図18】同、図16と同様の、連結フローチャート図40(図17)にしたがった値下げのタイミングの判断のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0063】
1 値下げ判断自動化システム(実施例、図1)
2 中央制御部(ホストコンピューター)
3 POSレジスター(レジスター、要素検出部)
4 入退場ゲート(要素検出部)
5 デジタル温湿度計(要素検出部)
6 ディスプレイ
7 キーボード
8 サーバー
9 ラベル印字装置
10 制御ユニット
11 貼付けユニット
12 プログラム記憶部(ROM)
13 データ記憶部(RAM)
14 要素配置設定表示部(要素配置設定画面、図2、図17)
15 要素表示部
16 連結表示部
17 ANDボタン
18 ORボタン
19 値下げ情報の設定ステップ部
20 完了ボタン
21 連結フローチャート図
22 タイミング判断フローチャート図(図3)
23 要素データ設定表示部
23A 時刻データ設定表示部(時刻データ設定画面、図4)
23B 大分類データ設定表示部(大分類データ設定画面、図6)
23C 中分類データ設定表示部(中分類データ設定画面、図7)
23D 在庫量データ設定表示部(在庫量データ設定画面、図8)
23E 賞味量期限データ設定表示部(賞味期限データ設定画面、図9)
23F 顧客数データ設定表示部(顧客数データ設定図画面、10)
23G 気温湿度データ設定表示部(気温湿度データ設定画面、図11)
24 指定日か、あるいは毎日か、の選択ボタン(図4)
25 午前か午後かの選択ボタン
26 完了ボタン
27 選択しないボタン
28 終了ボタン
29 気温および湿度の選択ボタン
30 特別設定表示部(特別設定画面、要素データ設定表示部、図13)
31 理由記入欄
32 値下げ情報設定表示部(値下げ情報設定画面、図14)
33 値下げ選択ボタン
34 2回目設定ボタン
35 生鮮食品2回目値下げ率設定表示部(生鮮食品2回目値下げ率設定画面、図15)
36 3回目設定ボタン
40 連結フローチャート図(図17)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化システムであって、
前記商品の前記価格について前記値下げの前記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を選択可能とするとともに、この選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能とし、
この設定した設定要素データを、当該値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データと比較することにより、前記値下げの前記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化システム。
【請求項2】
前記値下げの前記タイミングを判断したのち、前記商品の値下げ情報を決定可能とすることを特徴とする請求項1記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項3】
前記値下げ判断要素はこれを、時刻、前記商品の商品カテゴリー、前記商品の在庫量、前記商品の賞味期限、消費期限、あるいは、顧客数、のうちの少なくともいずれかひとつとすることを特徴とする請求項1記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項4】
前記値下げ判断要素はこれを、天候、気温、湿度、季節、前記商品についてのチラシ期間、イベントの有無、あるいは、休日か否か、のうちの少なくともいずれかひとつとすることを特徴とする請求項1記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項5】
前記値下げ判断要素の複数個を要素表示部に表示して、これら値下げ判断要素のうちの任意の値下げ判断要素を選択可能とするとともに、
この要素表示部に合わせて設けた連結表示部において、これら選択した当該値下げ判断要素のそれぞれを論理積あるいは論理和により順次連結し、前記値下げの前記タイミングを判断するタイミング判断フローチャート図を作成可能とすることを特徴とする請求項1記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項6】
前記値下げ判断要素について、前記設定要素データをそれぞれ設定するための要素データ設定表示部を有することを特徴とする請求項1記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項7】
商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化システムであって、
前記商品の前記価格について前記値下げの前記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を表示してこれを選択可能とするとともに、この選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶可能な中央制御部と、
前記値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データをこの中央制御部に供給する要素検出部と、
を有し、
この中央制御部は、前記設定した設定要素データとこの実際要素データとを比較することにより、前記値下げの前記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化システム。
【請求項8】
前記要素検出部は、前記商品の在庫量を管理可能なレジスターを有することを特徴とする請求項7記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項9】
前記要素検出部は、顧客数を検出可能な入退場ゲートを有することを特徴とする請求項7記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項10】
前記要素検出部は、気温あるいは湿度を計測可能な温湿度計を有することを特徴とする請求項7記載の値下げ判断自動化システム。
【請求項11】
商品の価格について値下げのタイミングを判断するための値下げ判断自動化方法であって、
前記商品の前記価格について前記値下げの前記タイミングを判断するために必要な、少なくとも時刻を含む値下げ判断要素を表示してこれを選択可能とする中央制御部と、
前記値下げ判断要素についての実際の数値である実際要素データをこの中央制御部に供給する要素検出部と、
を設けるとともに、
前記中央制御部において、前記選択した値下げ判断要素についてその数値を設定し、これを設定要素データとして記憶し、
この設定した設定要素データを、前記要素検出部からの前記実際要素データと比較することにより、前記値下げの前記タイミングを判断することを特徴とする値下げ判断自動化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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