説明

値引き忘れの防止方法及びその機能を有する販売処理装置

【課題】顧客から受けた注文データを入力し従業員の操作によりこの入力データに各種の値引き精算を加えて会計する際に発生する、値引き処理忘れを防止する。
【解決手段】会計精算処理後のレシート発行合計演算(手順S5)の際に、値引き対象の売上区分選択画面を表示(手順S6)し、その画面対応で、従業員の操作により値引き処理の選択を受けて値引きの処理済を確認することにより値引き実施の有無を検査(手順S7)する。更に、値引きが未処理の場合(手順S8のYES)では、所定の警告を可視/可聴で出力して伝票の前記注文データを検索(手順S10)し、売上区分に基づいて小計し所定画面に形成して画面表示するという会計の最初の手順S2に戻り、警告の確認(手順S11)を経て値引き結果を表示(手順S14)し、上記手順S5に進んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居酒屋、レストランなどの飲食店において、顧客から受けた注文データを入力し、この入力データを精算する際に各種の値引き及び割引をして会計する場合での値引き処理忘れの防止方法及びその機能を有する販売処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外食産業においては、店舗の運用上、会計の際に様々なクレジットカード、値引き適用カードなどの使用を許可しており、それらに付随する値引き処理は全て従業員の操作に委ねられていた。
【0003】
すなわち、例えば、図7のフローチャートに示されるように、伝票番号に基づく会計要求を受付け(手順S101)した場合、販売処理装置であるキャッシュレジスタは、注文を受けた同一番号伝票の売上を品目ごとに小計処理して小計画面に表示(手順S102)する。ここで、従業員による「値引きあり」の選択(手順S103のYES)がある場合には、小計画面から値引き区分が選択されて値引き分の入力があるので、該当区分で指定された値引きが計算(手順S104)され、その結果が小計画面により画面表示(手順S105)される。ここで従業員からのレシート要求を受付けした際には合計演算(手順S106)を実行してその結果に基づくレシートが発行(手順S107)される。一方、上記手順S103が「NO」で値引きがない場合の手順は、従業員からのレシート要求を受付けする上記手順S106に直ちに進む。
【0004】
このような値引き処理は、従業員が全て意識的に確実に行うことが絶対条件であり、その処理を忘れるということは顧客との間の信用関係に影響を及ぼすことになる。しかしながら、意識的に行う値引き操作は、従業員に多大の心理的負担をかける。
【0005】
このような値引き操作の忘れを防止でき、かつこの従業員の操作負担を軽減する技術として例えば特開2004−145822号公報(特許文献1)に開示された電子式キャッシュレジスタがある。この特許文献1では、商品種類又は売上個数などの割引条件が割引テーブルに予め登録されており、割引適用キーが押された際に登録された商品情報に対して割引テーブルが検索され自動的に割引が適用され演算される。
【0006】
しかしながら、飲食産業のように、単に所定金額を値引きする金額入り値引き券、清涼飲料などの商品を限定する無料サービス券、各種割引率を掲げる割引券、更に、自社系列店舗及びその他のクレジットカード、ポイントカード、会員カードなどさまざまな値引きカード及びチケットが存在する場合、複数を併用することを禁じたとしても、多種にわたるすべてのカード及びチケットの値引きを割引テーブルに登録することは困難である。従って、割引テーブルの登録も限定されるうえ、上述したように、従業員による値引き又は割引の操作を避けることはできない。
【0007】
特に、店の混雑によって従業員にゆとりが無くなった場合、その処理を忘れてしまう可能性が大きく、その処理忘れから顧客からの自社に対する総合的なクレームに発展してしまう可能性がある。
【0008】
【特許文献1】特開2004−145822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、多種多様の値引きのため、従業員が会計時に操作する値引き処理に際して、値引きの処理忘れが避けられないことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、情報処理システムを用い顧客に対する代金を決済する販売処理装置で、顧客から受けた注文データに各種の値引き精算を加えて会計する際に発生する、従業員の操作による値引き処理忘れを防止する方法及びその処理装置に関する。
【0011】
すなわち本発明は、会計の要求を受けて精算処理した後にレシート発行要求を受付けした際には、値引き対象の売上区分対応で画面表示して、従業員から値引きありの選択受付けした場合にはその処理済を確認することを主要な特徴としている。従って、レシート発行要求の際に値引き処理済を確認するので、値引き処理忘れを回避できることの確実性が高い。
【0012】
更に、値引きが未処理の場合には、所定の可視/可聴などによる少なくとも一つの警告を発生することができる。その結果、特に可聴の警告では画面表示の確認がはやまると共に画面の見逃しを回避することができる。また、伝票の前記注文データを売上区分に基づいて再度小計し所定画面に形成して画面表示するという会計の最初の手順に戻っている。従って、レシート発行要求したにもかかわらず小計画面が画面表示されるので、操作した従業員に忘れた値引き処理を促すことができる。
【0013】
また、多種多様な値引き処理に対する再度の値引き処理チェックを、例えば少なくとも自社系列店舗のクレジットカードのように特定のクレジットカードに限定して操作の手間を低減することができる。この限定により、特定の顧客からのクレームの確実な回避が期待できる。
【0014】
具体的な値引き忘れの防止方法は、会計のための精算要求を受付けした際に伝票の小計処理をして画面表示し、レシート発行の要求を受けた際には、売上区分選択画面が表示されると共に、選択区分範囲の値引きが検査される。その結果「値引き忘れ」検出の場合には、画面は、前記小計処理をした画面表示に戻ると共に、所定の警告が可視のみならず可聴でも発生可能である。また、警告を確認することにより発生警告が消去される。ここで「値引きあり」が選択された場合と同様、予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面が表示され、この値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際にその値引き条件に基づいて値引き計算し、その結果が画面表示される。続いて手順は、前記レシート発行の要求を待つ手順に進む。
【0015】
また、販売処理装置においては、プログラムに従って機能を発揮するプロセッサと、従業員による操作を入力する入力部と、前記プロセッサの制御を受けて画面を表示する表示部と、所定の表示画面と値引き条件とを予め登録すると共に入力された前記注文データを記憶するデータメモリとが備えられている。
【0016】
当該プロセッサは、前記入力部から会計のため精算要求を受付けした際に前記データメモリから該当する小計画面を読み出して受注伝票の小計処理をした結果を画面表示する手段と、前記入力部からレシート発行の要求を受けた際には売上区分選択画面を表示すると共に選択区分範囲の値引きを検査して値引きしたか否かの結果を出力する手段とを備えている。また、前記入力部から「値引きあり」が選択された際には予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面を表示する手段と、前記入力部からの入力によりこの値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際には対象となる値引き条件に基づき値引き計算してその結果を画面表示する手段とを備えている。
【0017】
更にその結果、「値引き忘れ」を検出の場合には、所定の警告を発生する手段と、前記小計処理をした画面表示に戻って値引き忘れ確認の入力を待つ手段と、この確認の入力があった際には予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面を表示する手段と、前記入力部からの入力によりこの値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際には対象となる値引き条件に基づき値引き計算してその結果を画面表示する手段とを更に有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、会計精算処理後のレシート発行要求の際、値引き対象の売上区分対応で、従業員から値引きありの選択を受けて値引きの処理済を確認しているので、従業員が会計精算処理時に操作する際の値引きに対し、その処理忘れの回避を期待することができる。また、「値引き忘れ」検出の際には少なくとも可視/可聴による少なくとも一つの警報を出力することにより、「値引き忘れ」の確認が容易である。更に「値引き忘れ」検出の場合には、所定の値引き手順が実行されるので、値引き処理忘れ回避の確実性を向上することができる。更に、レシート出力直前の値引き処理チェックを、例えば少なくとも自社系列店舗のクレジットカードのように特定のクレジットカードに限定して操作の手間を低減することにより、特定の顧客からのクレームを確実に回避することが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
情報処理システムを用い顧客に対する代金を決済する販売処理装置で、顧客から受けた注文データを入力しこの入力データに各種の値引き精算を加えて会計する際における、従業員による値引き処理忘れを防止するという目的を、会計精算処理の場合に、計算後のレシート発行要求の際、値引きの有無にかかわらず対象の売上区分対応で、従業員から値引き処理の選択を受けて値引きの処理済を確認することにより実現した。すなわち、値引き対象の売上区分対応で値引き処理ができるので対象区分の選択が容易であるうえ、値引き入力したことを最終段階のレシート発行時点で確認できるので、値引き処理忘れを確実に回避することができる。
【0020】
更に、値引きが未処理の場合には、可視のみならず可聴でも警告を発生することができるので、画面表示の見逃しを回避することができる。また、精算の最初の小計画面を画面表示するという手順に戻ることにより、レシート出力を要求した従業員は「値引き忘れ」に気付くので、再度の繰り返し処理により値引き処理を確実に実行することができる。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明による値引き忘れ防止の機能を有する販売処理装置の実施の一形態を機能ブロックで示す説明図である。図面では、本発明に係る部分のみを示し、販売処理装置の稼動に必須の構成要素であっても省略されているものがある。図示される会計精算によりレシートを出力する販売処理装置としては、POS(Point Of Sales)システムのキャッシュレジスタが相当する。
【0023】
すなわち、本発明による販売処理装置は、操作入力部1、受注データ入力部2、画面表示部3、カードリーダ4、CPU(プロセッサ)5、プログラムメモリ6、画像データメモリ7、注文データメモリ8、及びプリンタ9により主要部が構成される。
【0024】
操作入力部1は、従業員が操作するもので、例えばキーボード、マウス、液晶タッチパネルなどがある。受注データ入力部2は例えば従業員が顧客から受けた注文を携帯端末から無線通信で受け、その注文データはCPU5により注文データメモリ8に記憶される。画面表示部3は、例えば液晶タッチパネルであり、CPU5の制御により受けた文字データ及び/又は画像データを画面表示する。カードリーダ4は、例えば系列店舗のクレジットカード、ポイントカード、会員カードなどのデータ読取器であり、会計の精算、ポイントの加算/減算などの単純演算とそのカードへの書き込みとは可能である。
【0025】
CPU(プロセッサ)5は、本装置の構成要素と接続しプログラムメモリ6に予め登録されたプログラムを駆使して構成要素を制御し本装置の機能を発揮する。その主要動作機能は後にフローチャートを参照して説明する。画像データメモリ7には、画面表示部3に画面表示される所定の画像データが予め登録されており、CPU5により呼び出される。注文データメモリ8には、受注データ入力部2で受けた注文データがCPU5の制御により収集記憶され、かつそのデータはCPU5の制御により編集され記憶される。プリンタ9は、CPU5の制御により受けた、所定の形式例えばレシート形式のデータをレシート又はレポートとして印字出力する。
【0026】
次に、図2に図1を併せ参照して、本発明による販売処理装置の主要動作手順について説明する。ここでは、既に注文データが伝票番号別に注文データメモリ8に記録されているものとする。
【0027】
販売処理装置は、操作入力部1から伝票番号に基づく会計要求を受付け(手順S1)した際、CPU5によりその伝票番号の注文データを注文データメモリ8から読み出し、売上区分例えば商品別に小計処理してその結果を、画像データメモリ7から読み出した所定の小計画面データに組み込んで、画面表示(手順S2)する。
【0028】
まずは最初の会計処理なので、上記手順S2に続く手順は、値引き警告の画面表示がない(手順S3のNO)ものとする。従って、手順は、上記手順S2で表示された小計画面における、操作入力部1からの「値引きあり・なし」の選択(手順S4)に進む。
【0029】
この手順S4が「NO」で値引きの有無の「選択なし」又は「選択忘れ」の場合、CPU5は、直ちに操作入力部1からレシート発行の要求を受付けするので、小計データから合計演算(手順S5)を実行して、売上区分選択画面で売上区分を表示(手順S6)する。ここで、従業員は、表示された売上区分から値引き区分を選択することにより、値引きの確認操作を行う。
【0030】
この操作により操作入力部1から区分選択情報を受けたCPU5は、その区分の値引きを実行したか否かを検査(手順S7)する。この結果、値引き「なし」又は値引き忘れ「なし」(手順S8のNO)の場合、CPU5は、上記手順S5の合算結果に基づく処理を会計の終了とし、プリンタ9に指示してその結果をレシートで発行(手順S9)する。
【0031】
一方、上記手順S8が「YES」で値引き忘れ「あり」の場合、CPU5は、画面に警告メッセージを表示すると共に画面メッセージを点滅させるか、可聴信号例えば所定のブザー音などの警報音を鳴動させるかなどにより、値引き忘れの警告を発生する。更に、CPU5は、同一番号伝票の注文データを注文データメモリ8から検索(手順S10)して小計画面を表示する上記手順S2に戻る。上記値引き忘れの警告表示が可聴の場合、可視による警告メッセージの画面表示とは異なる出力なので警告の早期通知に有効である。
【0032】
次いで、上記手順S3が「YES」で「値引き忘れ」の警告があった場合、警告を確認した際に警告の消去を指示する「確認」画面ボタンが画面に表示される。従って、上記手順S2で小計画面が表示されてもその中央部分に警告メッセージ及び確認ボタンが表示されているので、ユーザから警告確認の操作通知を受けて、警告出力は消去(手順S11)される。CPU5は、この手順を受けて値引き区分選択画面を画像データメモリ7から読み出し、画面表示(手順S12)する。この画面から区分選択を受けたCPU5は、その選択範囲における値引き計算(手順S13)を実行し、その結果を小計画面に表示(手順S14)して上記手順S5に進む。
【0033】
上記手順S4が「YES」で操作入力部1から「値引きあり」の選択が入力された場合には、値引き区分選択画面を画像データメモリ7から読み出して画面表示する上記手順S12に進む。
【0034】
上述したような構成を有するので、従業員は、値引きの有無にかかわらず処理結果を画面表示で確認したのちにレシートの出力要求を行うが、その際に、値引き区分のチェックを実行するよう画面で指示されるので、最終処理の段階で常に値引き操作が確認され、実行される。このため、値引き忘れを防止する体制が大幅に改善される。
【0035】
一方、値引き忘れした際には、画面で警告メッセージの表示、更に該当区分の点滅、及び警報音の鳴動など、可視/可聴の警告により、値引き区分の再選択が促される。また、警告は確認されるまで出力を消去されないので、値引き処理の確実性が向上する。更に、値引き忘れした際にこのような警告がなくても値引き前の小計画面を画面表示してレシートの出力が停止されるので、値引き忘れのまま精算と会計とが終了することはない。
【0036】
本実施例では、手順S6の売上区分選択画面と手順S12の値引き区分選択画面とを区別しているが、売上区分選択画面として値引き区分選択画面を利用してもよい。しかし、確認チェックのためには上述したように相違する選択画面の利用が好ましい。
【0037】
また、値引きチェックの有効/無効を設定可能にする場合、チェックの無効で上記手順S6から手順S10までを省略し、手順S5から直接手順S9へ進ませることもできる。
【実施例2】
【0038】
次に、図3を参照し、上記手順S4で画面表示部3に表示される値引き区分選択画面の実施の一形態について説明する。
【0039】
図示される例では、まず、金額入り値引き券、各種無料券、割引率入り割引券、オープン50%引き、及び系列店舗カード5%引きの画面ボタンが表示される。これら画面ボタンは、指タッチ、マウスクリックなどの選択指定により更に値引きの詳細が表示される。金額入り値引き券には、値引き金額が、例えば100円、500円、〜2000円などとされる。各種無料券には、例えば商品の清涼飲料が無料、消費税分が無料といったものが相当する。割引率入り割引券には、例えば税込み前の合計金額に対する割引率であって、例えば5%、10%、〜20%などが相当する。オープン50%引きは、例えば開店時から30分間に入店の顧客に対しては税込み前の合計金額に対し50%引きとする。更に、系列店舗カード5%引きでは、会計の際に系列店舗カードを提示の場合、税込み前の合計金額に対し5%引きとする。
【0040】
通常、値引き又は割引は、サービスの限定条件であるため、処理の簡便さも考慮して、一種類のみの適用としている。従って、値引き確認の売上区分選択画面は対象となる区分に限定して表示することも可能である。
【実施例3】
【0041】
次に実施例3として、図4及び図5の画面並びに図6のフローチャートに図1、図2、及び図3を併せ参照し、レシート出力直前における自社系列店舗のクレジットカード(以降では、系列店舗カードと称する)に対するチェックの実行について説明する。
【0042】
図6のフローチャートは、図2の手順S4の「NO」又は手順14に続く手順S5から手順S10までを手順S21から手順S29までに置き換えている。従って、図2を参照して説明した同一番号手順はその説明を省略する。
【0043】
本実施例では、値引き確認の売上区分選択画面をクレジットカードに限定している。上述したように、図2の手順S4を「NO」とし、値引きなしを選択した場合でも、手順S21から手順S28までで値引きの検査及び確認がある。従って、レシート出力直前の値引きチェックを、値引き忘れを絶対回避する必要のある系列店舗カードのみに限定し、これに絞って確認し検査することになる。更に、他のクレジットカードでは値引きがないものとする。この結果、本実施例では、系列店舗カードによる「値引き忘れ」を確実に防止することができる。
【0044】
すなわち、このような「値引き忘れ」は、図2の手順S4の「NO」に続く手順S21から手順S28の「YES」まで進んで検出される。従って、「値引き忘れ」の検出に続く手順S3が「YES」となり「値引き忘れ」が警告される。この場合には、図2の手順S12における値引き区分の選択画面では、図3における「系列店舗カード5%引き」が選択される。
【0045】
すなわち、上記図2の手順S13の計算では「系列店舗カード5%値引き」で実行される。手順S14で値引き結果を示す小計画面が表示されたのちレシート発行要求を受付けしたCPU5は、小計データから合計演算(手順S21)を実行して、売上区分選択画面で売上区分を表示(手順S22)する。この売上区分選択画面は、図4に下地画面として画面下部の欄に表示されている。
【0046】
図4で示されるように、売上区分から指タッチにより「クレジットカード」が選択されて受付け(手順S23)されるので、この際、上記手順S21での「5%引き」が検査(手順S24)される。その結果が値引きあり(手順S25のYES)の場合には、上記手順S21の合計演算結果に基づく処理は会計の終了となるので、プリンタ9がCPU5に指示されてその結果をレシートで発行(手順S26)する。
【0047】
一方、上記手順S25が「NO」で5%値引きなしの結果の場合、図4に示されるように画面中央に「系列店舗カード」か「それ以外のカード」かのカード確認画面が表示(手順S27)される。ここで「系列店舗カード」が選択指定(手順S28のYES)された場合には明らかに「値引き忘れ」であるため、図5に示されるように画面中央に「5%値引きがされていない」との警告メッセージが表示出力されると共に、同一番号伝票が検索(手順S29)され、上記図2の手順S2に戻って、小計処理により小計画面が下地画面に表示される。
【0048】
このような構成にため、多種多様にわたる値引き区分に対して、特定の値引き区分をチェックしているので、従業員の労力、特に集中力に対する負担を軽減することができる。
【0049】
なお、手順S29の後に、値引き区分の選択をすることなく「系列店舗カード5%値引き」を実行し、手順S14に戻って値引き結果を小計画面表示するようにしてもよい。また、「値引き忘れあり」の後の手順S14の実行後は、手順S5の後に手順S9を実行するようにしてもよい。
【0050】
本実施例では、特定のクレジットカードのみを値引きの対象としているが、この機能を上述の実施例に適用することができる。ちなみに、図4に示される小計画面では、商品名と小計額と共に画面下方に、セパレートチェック、売上区分、クレジットカードなどの画面ボタンが各種値引きの項目選択、すなわち売上区分選択のために存在する。セパレートチェックでは、例えば値引き区分選択画面により個別にチェックしてよい。売上区分は、合計額を含む商品区分ごとの小計画面で示される。従って、クレジットカード以外の場合でも、一つの画面ボタンを選択したのち、同様の手順で値引きを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明では、従業員の操作により会計精算を行う場合、合算したのち、レシートの発行出力直前に、値引きの有無にかかわらず値引きの全項目又は特定項目をチェックし、値引き忘れの場合には警告を発して最初の小計手順に戻り、警告確認により値引き手順の実行を開始しているので、最初の値引き設定の有無に限定されることなく、手操作で設定する事項の設定忘れを確実に回避する必要のある、顧客サービス業の全般に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による販売処理装置の実施の一形態を機能ブロックで示す説明図である。(実施例1)
【図2】図1の販売処理装置における主要動作手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図3】図2に示される値引き区分選択画面の実施の一形態を示す説明図である。(実施例2)
【図4】図2に示される売上区分選択画面の実施の一形態を示す説明図である。(実施例3)
【図5】図4に続いて表示される画面の実施の一形態を示す説明図である。(実施例3)
【図6】図4及び図5に示される画面に従った主要動作手順の実施の一形態をフローチャートで示す説明図である。(実施例3)
【図7】従来の販売処理装置における主要動作手順の一例をフローチャートで示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 操作入力部
2 受注データ入力部
3 画面表示部
4 カードリーダ
5 CPU(プロセッサ)
6 プログラムメモリ
7 画像データメモリ
8 注文データメモリ
9 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムを用い顧客に対する代金を決済する販売処理装置で、顧客から受けた注文データを入力しこの入力データを各種の値引き精算を加えて会計する際における、従業員による値引き処理忘れを防止する方法において、会計の要求を受けて精算処理した後のレシート発行要求の際には、値引き対象の売上区分対応で画面表示して、従業員から値引き処理ありの選択を受けた際にはその処理済を確認することを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項2】
請求項1に記載の値引き忘れの防止方法において、従業員によりレシート発行要求を受けた際に値引きが未処理の場合には、所定の警告を発生し、伝票の前記注文データを売上区分に基づいて再度小計し、所定の小計画面に形成して画面表示するという会計の最初の手順に戻ることを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項3】
請求項1に記載の値引き忘れの防止方法において、従業員によりレシート発行要求を受けた際に値引きが未処理の場合には、伝票の前記注文データを売上区分に基づいて小計して所定の小計画面に形成し、画面表示するという会計の最初の手順に戻ることにより値引き未処理の所定の警告とすることを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の値引き忘れの防止方法において、前記所定の警告を発生した際には警告を確認する確認ボタンを備え、会計の最初の手順に戻った際、前記確認ボタンの操作により、前記警告が消去されると共に、所定の値引き区分選択画面を表示して値引き区分の選択を受け、値引き計算してその結果を画面表示し、前記レシート発行要求を待つことを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項5】
情報処理システムを用いた販売処理装置で、顧客から受けた注文データを入力し、この入力データを各種の値引き及び割引の精算を加えて会計する際における従業員による値引き処理忘れを防止する方法において、
会計のための精算要求を受付けした際に伝票の小計処理をして画面表示し、
レシート発行の要求を受けた際には、売上区分選択画面を表示すると共に選択区分範囲の値引きを検査し、
値引き忘れ検出の場合には、前記小計処理をした画面表示に戻ると共に、所定の警告を発生し、
前記警告の確認を受付けした際にその発生警告を消去し、
値引きありが選択された際には予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面を表示し、
この値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際にその値引き条件に基づいて値引き計算してその結果を画面表示し、前記レシート発行の要求を待つ
ことを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの一つに記載の値引き忘れの防止方法において、複数のクレジットカードのうち値引きの対象が自社系列店舗カードのみの場合、従業員からクレジットカード指定を受付けした際に値引き確認し、その確認の結果、値引き処理なしの場合には従業員による自社系列店舗カード適用の確認を得た際に、値引き警告を発生することを特徴とする値引き忘れの防止方法。
【請求項7】
情報処理システムを用い、顧客から受けた注文データを入力し、この入力データを各種の値引き及び割引の精算を加えて会計する際における従業員による値引き処理忘れを防止する販売処理装置において、
プログラムに従って機能を発揮するプロセッサと
従業員による操作を入力する入力部と、
前記プロセッサの制御を受けて画面を表示する表示部と、
所定の表示画面と値引き条件とを予め登録すると共に入力された前記注文データを記憶するデータメモリとを備え、
当該プロセッサは、
前記入力部から会計のため精算要求を受付けした際に前記データメモリから該当する小計画面を読み出して受注伝票の小計処理をした結果を画面表示する手段と、
前記入力部からレシート発行の要求を受けた際には売上区分選択画面を表示すると共に選択区分範囲の値引きを検査して値引きしたか否かの結果を出力する手段と、
を備えることを特徴とする販売処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の販売処理装置において、前記プロセッサは、
前記入力部から値引きありが選択された際には予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面を表示する手段と、
前記入力部からの入力によりこの値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際には対象となる値引き条件に基づき値引き計算してその結果を画面表示する手段と、
値引き忘れを検出の場合には所定の警告を発生する手段と、
を有することを特徴とする販売処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の販売処理装置において、前記プロセッサは、
値引き忘れを検出した場合には、前記小計処理をした画面表示に戻って値引き忘れ確認の入力を待つ手段と、
この確認の入力があった際には予め登録された値引き条件に基づく値引き区分選択画面を表示する手段と、
前記入力部からの入力によりこの値引き区分選択画面から一つの区分が選択された際には対象となる値引き条件に基づき値引き計算してその結果を画面表示する手段と
を更に有することを特徴とする販売処理装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9までの一つに記載の販売処理装置において、複数のクレジットカードのうち値引きの対象が自社系列店舗カードのみの場合、
前記プロセッサは、従業員のクレジットカード指定を受け付けた際に値引き確認する手段と、その確認の結果、値引き処理なしの場合には従業員による自社系列店舗カード適用の確認を得た際に値引き警告を発生する手段とを有することを特徴とする販売処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−183841(P2007−183841A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1972(P2006−1972)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【出願人】(397012185)株式会社モンテローザ (8)
【Fターム(参考)】