説明

偏光板用アクリル系粘着剤組成物

本発明は、帯電防止機能を有する直鎖状のカーボネート基を含有するモノマーを含むアクリル系粘着剤組成物である。本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、低速剥離力と高速剥離力のバランスに優れ、同時に帯電防止剤の含量を従来の方法に比べて低くすることができ、ぬれ性を満たして偏光板の表面保護及び再剥離性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系粘着剤組成物、これを含む保護フィルム、偏光板及び液晶表示素子に関し、さらに詳しくは、粘着剤の帯電防止機能を安定的に提供し、添加剤の転写と低速剥離力を改善したアクリル系粘着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、金属製品、プラスチック板または電子材料用偏光板などの表面を保護するために、保護フィルムが広く使われている。その表面保護フィルム用粘着剤としては耐候性や透明性などの理由からアクリル系粘着剤が多く使われる。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とカルボキシル基、水酸基又はエポキシ基などの官能基を含む単量体を共重合させた共重合体を、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、又はエポキシ樹脂などで架橋させたものが使われている。このような表面保護フィルムは、被着体である偏光フィルム、プラスチック板、家電製品、又は自動車などを、ほこりなどの汚物から防止する目的だけでなく、静電気から保護するためにも重要である。従って、表面保護フィルムでは一定の粘着力以上の剥離力だけでなく帯電防止機能は非常に重要である。
【0003】
一般的に、静電気は二つの異なる物体を摩擦させる時に発生する摩擦帯電、互いに密着された物体が離れる時に発生する剥離帯電などがあり、発生した静電気はほこりなどの異物吸入、ディバイスの静電破壊、測定機器の誤作動、火災などを引き起こしうる。特に、近来には、コンピュータの普及、液晶TV、携帯電話の多機能による市場の拡大など液晶ディスプレイの需要は顕著な成長を見せており、各付属装置が集積化され静電気に弱くなり、静電気発生抑制が重要視されている。また、液晶ディスプレイが大型化にるので液晶表示装置製造時に使われる偏光板の大きさも拡大され、そして、工程の高速化が進むので、偏光板からのリリースフィルム(release film)剥離時に静電気が過度に発生するようになり、液晶表示装置内部の液晶配向に影響を与え、画像不良を誘発する。
【0004】
前述の静電気発生を防ぐために、偏光板の外面又は保護フィルム基材層の外面に、帯電防止層を形成する方法があるが、その効果は小さく、静電気発生を根本的に抑制することはできなかった。従って、静電気発生を根本的に抑制するためには、粘着剤に帯電防止機能が必要とされる。
【0005】
従来のアクリル系粘着剤合成時に帯電防止機能を達成するために、キレート化合物と金属塩を添加剤として使用するが、この時、多量のキレート化合物が添加されることによって、粘着剤利用時に被着体に添加剤が転写される問題があった。
【0006】
具体的に、粘着剤に帯電防止機能を付与するための従来技術は、導電性金属粉末又は炭素粒子のような導電性成分を有する物質を樹脂に添加する方法、界面活性剤形態のイオン性又は非イオン性物質を添加する方法などがある。しかし、前述のように添加剤で帯電防止機能を具現する場合、多量の添加剤が求められるので、添加剤が粘着剤表面に移行され、粘着物性が低下される等の問題がある。
【0007】
特許文献1は、粘着剤内部にエチレンオキシド変性フタル酸ジオクチル系可塑剤を添加し、柔軟性を持たせて静電気発生を抑制する方法を提案している。しかし、前記方法は偏光板表面への転写問題が発生し、初期に発生する静電気を抑制することは難しいという問題があった。
【0008】
特許文献2は、5重量%以上の有機塩を添加して、帯電防止効果を与えようとしたが、この方法は高価の有機塩を多量使用しなければならないという問題があった。
【0009】
特許文献3は、金属イオンと錯体を形成しうるキレート剤及び金属塩を含み、高温高湿度条件下で白化現象を防止する方法を提示している。しかし、これもまた多量の添加剤によって低速剥離力が減少する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本公開特許公報第1993−140519号
【特許文献2】韓国公開特許公報第2004−0030919号
【特許文献3】韓国公開特許公報第2006−0128659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するためのものであり、本発明の目的は、粘着剤使用時に添加剤の転写を防止し、安定的に帯電防止効果を示すアクリル系粘着剤組成物を提供することにある。本発明は、樹脂自体に帯電防止機能を有する化合物を導入して、従来の添加剤の量を低減するか、若しくは添加剤を加えない方式で帯電防止機能を具現することを目的とする。添加剤を加えないか、若しくは少量だけ使用すればよいので、従来の添加剤による剥離力低下現象を抑制でき、高価の添加剤の量を低減することによって経済的な利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、下記一般式(1)で示される化合物を共重合させたアクリル系共重合体を含むアクリル系粘着剤組成物を提供する。
【化1】

式中、Aは、
【化2】

の原子団を表し、
は水素又はアルキル基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、又はアルコキシアルキル基を表し、mは0又は1〜6の整数を表し、nは1〜100の整数を表す。
【0013】
前記アクリル系粘着剤組成物は、さらに、金属イオンと錯体を形成しうるキレート剤及び金属塩を含むことが好ましい。
【0014】
また、前記アクリル系粘着剤組成物は、さらに、架橋剤を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明は、基材と、前記基材の一面又は両面に形成された本発明に係る前記アクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層とを、含む保護フィルムを提供する。
【0016】
さらに、本発明は、偏光フィルムと、前記偏光フィルムの一面又は両面に形成された本発明に係る前記アクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層とを、含む偏光板を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記偏光板を液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、静電気発生を抑制するために添加する帯電防止剤の量を效果的に低減する利点を有し、この粘着剤組成物が適用された保護フィルム、偏光板及び液晶表示素子の低速剥離力と高速剥離力と間の優れたバランスを示す効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、下記一般式(1)で示される化合物を共重合させたアクリル系共重合体を含む粘着剤組成物に関するものである。
【化3】

式中、Aは、
【化4】

の原子団を表し、
は水素又はアルキル基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、又はアルコキシアルキル基を表し、mは0又は1〜6の整数を表し、nは1〜100の整数を表す。
【0021】
前記置換基の定義で、アルキル基は、好ましくは炭素数1〜12のアルキル、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキルであり、
アルケニルは、好ましくは炭素数2〜12のアルケニル、より好ましくは、炭素数2〜10のアルケニル、最も好ましくは炭素数2〜4のアルケニルであり、
アルキニルは、好ましくは炭素数2〜12のアルキニル、より好ましくは、炭素数2〜10のアルキニル、最も好ましくは炭素数2〜4のアルキニルであり、
アルキレン基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキレン、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキレンであり、
アルケニレン基は、好ましくは炭素数2〜20のアルケニレン、より好ましくは、炭素数2〜10のアルケニレンであり、
アルキニレン基は、好ましくは炭素数2〜20のアルキニレン、より好ましくは、炭素数2〜10のアルキニレンであり、
シクロアルキレン基は、好ましくは3〜6員のシクロアルキルを含有する炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜10の2価の炭化水素基であり、
アリールは、5〜12員の芳香族環化合物であり、前記アルキルで置換されていてもよいフェニル、ビフェニル、又はナフチル環系などを意味し、
アルコキシは、好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ、より好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ、最も好ましくは炭素数1〜4のアルコキシであり、
アルコキシアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12のアルコキシアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、最も好ましくは炭素数1〜4のアルコキシアルキル基である。
【0022】
前記一般式(1)で示される化合物はより具体的に下記一般式(2)〜(4)の化合物を含む。
【化5】

式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rはフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシアルキル基である。
【化6】

式中、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rはフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシアルキル基であり、mは0又は1〜6の整数であり、nは1〜100の整数であり、但し、mが0の場合は2〜100の整数である。
【化7】

式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基であり、Rは単一結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基又はアルコキシアルキル基である。
【0023】
本発明に使われる前記一般式(1)で示される化合物を共重合させたアクリル系共重合体は、i)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体90〜99.9重量部と、ii)前記一般式(1)の化合物0.1〜10重量部と、を含むことが好ましい。
【0024】
前記i)の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体は、アクリル酸(又はメタクリル酸)の炭素数が1〜12のアルキルエステルを使用することができ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレートよりなる群から選択された1種以上を使用することができる。アルキルの炭素数が前記範囲以外のときは、粘着剤のガラス転移温度(Tg)が高くなり、粘着性の調節が難しくなる。
【0025】
前記炭素数1〜12のアルキル基を有する上記の(メタ)アクリル酸エステル単量体の含量は、特に制限されないが、90〜99.9重量部で使用することが好ましい。その含量が90重量部未満のとき、粘着特性に影響を与え、99.9重量部を超えると、各種物性のバランスに悪影響を与えうる。また、前記一般式(1)の化合物の含量は、特に制限されないが、その含量が0.1重量部未満のとき、具現しようとする粘着力を得ることが難しく、10重量部を超えると、高速剥離力が増大しうる。
【0026】
前記アクリル系共重合体は、粘着力及び凝集力を調節するために、さらに、iii)架橋可能な官能基を含む単量体0.1〜10重量部を含むことが好ましい。
【0027】
前記架橋可能な官能基を含む単量体は、ビニル系又はアクリル系エステル単量体を含み、構造内に酸性基、水酸基又は窒素原子を含有することが好ましい。
【0028】
本発明に使われる酸性基を含むビニル系単量体は、架橋剤と反応して昇温時、粘着剤の凝集破壊を防止するために、化学結合による凝集力を付与する成分である。
【0029】
前記酸性基を含む共重合性単量体は、カルボキシル基含有共重合性単量体又はその無水物、スルホン酸基含有共重合性単量体、及びリン酸基含有共重合性単量体よりなる群から選択された1種以上を含んでいてもよい。
【0030】
前記カルボキシル基含有共重合性単量体は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、又はクロトン酸であり、
カルボキシル基含有共重合性単量体の無水物は、無水マレイン酸又は無水イタコン酸であり、
スルホン酸基含有共重合性単量体は、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸であり、
リン酸基含有共重合性単量体は、2−ヒドロキシエチルアクリロイルリン酸塩などから選択することができるが、これに制限されるものではない。
【0031】
また、水酸基を含有する共重合性単量体は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;及び2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、又は2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートよりなる群から選択された1種以上であることが好ましい。
【0032】
また、窒素を含有する共重合性単量体は、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、又はN−ビニルカプロラクタムであってもよいが、これに制限されない。
【0033】
前記架橋可能な官能基を有する単量体の含量は、特に制限されないが、0.1〜10重量部で使用することが好ましい。その含量が0.1重量部未満のときは、高温又は高湿条件で凝集破壊が起きやすいという問題があり、10重量部を超えると、相溶性が減少され、流動特性を減少させるという問題がある。
【0034】
本発明に係るアクリル系共重合体は、粘着剤のガラス転移温度を調節するか、又はその他の機能性を付与するために、さらに、任意成分として総単量体重量対比0〜20重量部の下記一般式(5)の機能性単量体iv)を含むことが好ましい。
【化8】

式中、Rは水素又はアルキルであり、Rはシアノ、アルキルで置換されていてもよいフェニル、アセチルオキシ、又はCORであり、ここで、Rはアルキルで置換されていてもよいアミノ又はグリシジルオキシである。
【0035】
式中、R〜Rの定義中のアルキルは、好ましくは炭素数1〜6の低級アルキル、より好ましくはメチル又はエチルである。
【0036】
前記一般式(5)の化合物の例としては、スチレン又はアルファ−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ビニルアセテートなどのカルボン酸ビニルエステル;アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はグリシジル(メタ)アクリレートなどの窒素含有ビニル単量体などが挙げられるが、これに制限されなく、前記モノマーは単独又は混合使用することができる。
【0037】
前記一般式(5)の機能性単量体の含量が多すぎるとき、粘着剤組成物の柔軟性が低下され、剥離力が低下されるため、全体単量体成分中の20重量部未満で使用することが好ましい。
【0038】
前述のアクリル系共重合体は、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、サスペンション重合法、又はエマルジョン重合法等の常法で製造でき、特に溶液重合法で製造することが好ましい。この時、重合温度は50〜120℃であり、単量体が均一に混合された状態で開始剤を混合すればよい。このような重合開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、又はアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤と過酸化ベンゾイル、又は過酸化アセチルなどの過酸化物を単独又は混合して使用することが可能である。
【0039】
本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、さらに、金属イオンと錯体を形成しうるキレート剤と金属塩を含むことが好ましい。金属イオンと錯体を形成しうるキレート剤と金属塩は静電気発生を減少させる作用をする。
【0040】
本発明に使われるキレート剤は、分子構造中に金属イオンと錯体を形成しうる官能基を有する化合物であり、前記キレート剤はカチオンとアニオンで解離された金属塩のカチオンと結合して安定化されたキレート錯化合物を形成する。従って、粘着剤内部に金属塩のアニオン濃度が増加され、これにより粘着剤組成物内にイオン導電性を有するようになる。このようなイオン導電性は、粘着剤組成物に導電性を付与して、そして、粘着剤層を保護するリリースフィルムの剥離時、及び、被着体に付着した保護フィルム剥離時に、発生する静電気を減少させ、剥離帯電圧を下げることになる。
【0041】
前記キレート剤の種類は特に限定されないが、通常の有機溶媒、即ち、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、又はアルコール類等に溶解度が高く、アクリル系感圧性粘着剤と相溶性に優れたものが好ましい。具体的には、オキサレート基、ジアミン基、多価カルボキシル基、又はケトン基などを有する化合物を単独又は2種以上混合して使用することができ、特にオキサレート基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0042】
前記オキサレート基を有する化合物は下記一般式(6)で示される化合物が好ましい。
【化9】

式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖状又は分枝状の炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【0043】
前記一般式(6)で示される化合物の具体的な例は、ジエチルオキサレート、ジメチルオキサレート、ジブチルオキサレート、ジ−tert−ブチルオキサレート、又はビス(4−メチルベンジル)オキサレートなどがある。
【0044】
前記ジアミン基を有する化合物は下記一般式(7)で示される化合物が好ましい。
【化10】

式中、R10は直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10のアルキレン基、又は直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10のアルケニレン基である。
【0045】
前記一般式(7)で示される化合物の具体的な例は、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、又はジアミノブタンなどがある。
【0046】
また、前記多価カルボキシル基を有する化合物は、ポリカルボン酸又はカルボキシレート基を有する化合物として下記一般式(8A)、(8B)、又は(8C)で示される官能基を含む化合物が好ましい。
【化11】

【0047】
前記一般式(8A)又は(8B)で示される官能基を含む化合物の具体的な例は、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EDTA)、N,N,N’,N’’,N’’−ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’−トリ酢酸(DO3A)、トランス(1,2)−シクロヘキサノジエチレントリアミンペンタ酢酸、又はN,N−ビスカルボキシメチルグリシンなどがある。
【0048】
前記一般式(8C)で示される官能基を含む化合物の具体的な例は、下記一般式(8CA)〜(8CE)などがある。
【化12】

【0049】
一方、前記β−ケトン基を有する化合物は下記一般式(9)で示される化合物が好ましい。
【化13】

式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数5〜20のシクロアルキル基であり、
13は水素又は直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルコキシ基、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数5〜20のシクロアルキル基である。
【0050】
前記一般式(9)で示される化合物の具体的な例は、2,4−ペンタジオン、1−ベンゾイルアセトン、又はエチルアセトアセテートなどがある。
【0051】
前記キレート剤は、本発明に係るアクリル系共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部で含まれるのが好ましく、その含量が0.01重量部未満のとき、金属塩と十分に結合されず、帯電防止性能が低下されるという問題があり、10重量部を超えると、凝集力低下によって耐久信頼性が脆弱になるという問題がある。
【0052】
本発明に使われる金属塩は、キレート剤と結合しうる金属カチオンを含む。前記金属塩は溶媒又はキレート剤と混合時、金属イオンが塩から解離されやすい化合物であるほど好ましく、この時、解離される金属イオンはイオン半径が小さく、解離エネルギーが小さいものであるほどさらに好ましい。
【0053】
具体的に、前記金属塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びセシウムから選択される金属カチオン、より好ましくは、アルカリ類金属カチオンと、Cl、Br、I、BF、PF、AsF、ClO、NO、CO、N(CFSO、N(CFCO)、N(CSO、N(CCO)、N(CSO、C(CFSO及びCFSOから選択されるアニオンとからなる。
【0054】
前記金属塩は、前記一般式(1)で示される化合物を含有するアクリル系共重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部で含まれるのが好ましく、その含量が0.001重量部未満のとき、キレート剤と十分に結合されず、帯電防止性能が低下されるという問題があり、10重量部を超えると、結晶化が発生し、透明性が低下され、耐久信頼性が脆弱になるという問題がある。
【0055】
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含むことができる。前記架橋剤は使用量に応じて粘着剤の粘着特性を調節でき、カルボキシル基又は水酸基と反応して粘着剤の凝集力を向上させる作用をする。
【0056】
前記架橋剤は、イソシアネート化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、又は金属キレート系化合物などを使用することができ、特にイソシアネート系化合物を使用することがよい。
【0057】
具体的に、前記イソシアネート系化合物は、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、又はこれらとトリメチロールプロパンのようなポリオールとの反応物などを使用することができる。
【0058】
前記エポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、又はグリセリンジグリシジルエーテルなどを使用することができる。
【0059】
前記アジリジン系化合物は、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリメチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、又はトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドなどを使用することができる。
【0060】
前記架橋剤の含量は、本発明に係るアクリル系共重合体100重量部に対して、0.5〜5.0重量部で含まれるのが好ましく、その含量が1.0重量部未満のとき、剥離力が増大し、保護フィルムを被着体から除去する時除去が容易ではなく、粘着成分が被着体に転写される問題があり、5.0重量部を超えると、粘着力が下降して被着体保護という保護フィルムとしての役割を果たせない問題がある。
【0061】
前述の本発明のアクリル系粘着剤組成物は、架橋密度が50〜99%のものが好ましく、架橋密度が50%未満のとき、接着剤の凝集力が低くなるという問題があり、99%を超えると、浮きのような耐久信頼性が脆弱になるという問題がある。
【0062】
また、本発明のアクリル系粘着剤組成物には、必要に応じて、さらに粘着付与樹脂、アクリル系低分子量物質、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、可塑剤、界面活性剤、発泡剤、消泡剤及び有機塩などの添加剤を使用することができる。
【0063】
前述の成分からなる本発明のアクリル系粘着剤組成物の製造方法は特に限定されない。この時、多官能性架橋剤は、粘着層の形成のために実施された配合過程で架橋剤の官能基架橋反応がほとんど起きないときにだけ均一なコーティング作業を実施することができる。このようなコーティング作業が終了し、乾燥及び熟成過程を経れば、架橋構造が形成され、弾性があり、且つ凝集力のある粘着層を得ることができる。この時、粘着剤の強い凝集力によって粘着製品の耐久信頼性などの粘着物性及び切断性が向上される。
【0064】
また、本発明は基材と、前記基材の一面又は両面に形成され、本発明に係る前記アクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層とを、含む保護フィルムに関するものである。
【0065】
前記保護フィルムは、光学フィルム、好ましくは偏光板の最外郭層を保護する層で、基材と粘着剤層とで構成される。前記保護フィルム製造時には、粘着剤組成物から形成される粘着剤層が基材の一方又は両方にコートされて使用でき、使用される基材フィルムは特に制限されないが、透明性を有するセルロース、ポリカーボネート、又はポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホンのようなポリエーテル系フィルム;又はポリエチレン、ポリプロピレン、シクロあるいはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、又はエチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系フィルム;などが挙げられる。
【0066】
前記透明基材フィルムは、単層又は2層以上が積層されていてもよく、その厚さは用途に応じて適宜選択して使用することができるが、特に5〜500μmが好ましく、より好ましくは、15〜100μmである。
【0067】
また、前記透明基材フィルムには粘着剤との基材密着性を向上させるために、一面又は両面に表面処理を施すか、又はプライマー処理を行ってもよく、帯電防止層、及び防汚層などを設けることができる。
【0068】
前述の偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法は特に制限されなく、例えば基材フィルム又は偏光フィルム表面に、直接にバーコーターなどを利用して粘着剤を塗布、乾燥する方法、粘着剤を剥離性基材表面に塗布して乾燥した後、前記剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写して熟成させる方法などが用いられる。この時、粘着剤が積層される厚さは2〜100μmが好ましく、より好ましくは、5〜50μmである。
【0069】
また、本発明は、偏光フィルムと、前記偏光フィルムの一面又は両面に形成され、本発明に係る前記アクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層とを、含む偏光板に関するものである。
【0070】
前記偏光板を構成する偏光フィルム又は偏光素子は特に制限されなく、例えば前記偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨウ素又は二色性染料などの偏光成分を含有させ、延伸して製造されたフィルムなどを使用することができ、これらの偏光フィルムの厚さも特に制限されなく、通常的な厚さを形成することができる。この時、前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール及びエチレン―酢酸ビニル共重合体の加水分解物などが用いられる。
【0071】
前記偏光フィルムの両面には、トリアセチルセルローズなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン系、エチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフィン系などの保護フィルムが積層された多層フィルムなどを形成されていてもよい。この時、これらの保護フィルムの厚さも特に制限されなく、通常的な厚さを形成しうる。
【0072】
また、前述の本発明の偏光板の一面又は両面には、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム、又は輝度向上フィルムなどの追加機能を提供する層が1種以上積層されていてもよく、本発明に係る保護フィルムは前記機能層に適用され得る。
【0073】
本発明の粘着剤が適用された偏光板及び/又は保護フィルムは通常の液晶表示素子にいずれも適用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限定されない。好ましくは、前記粘着剤が適用された偏光板及び/又は保護フィルムを液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示素子を構成することができる。
【0074】
一方、前記のような本発明のアクリル系粘着剤組成物は、産業用シート、特に保護フィルム、反射シート、構造用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着剤品、電子部品用粘着剤等に使用することができる。また、多層構造のラミネート製品、即ち、一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、加熱活性粘着剤等作用概念が同じ応用分野でも適用することができる。
【実施例】
【0075】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するためだけであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0076】
製造例1
窒素ガスが還流され、温度調節が容易な冷却装置付き1Lの反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)93重量部、下記一般式(2)で示される化合物4重量部及び2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)3重量部の単量体混合物と、前記反応器に溶剤として酢酸エチル(EAc)100重量部とを投入した。その後、酸素を除去するために窒素ガスを60分間パージした後、温度を70℃に保持した。前記混合物を均一にした後、反応開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Wako、V−59)0.1重量部を投入し、6時間反応後、酢酸エチルで希釈し、固形分含量が44%、重量平均分子量が780,000、分子量分布が7.0のアクリル系共重合体(A−1)を製造した。特殊モノマー(一般式(2))の製造方法は、日本公開特許公報第2006−327986号の製造方法に従った。
【化14】

【0077】
製造例2
製造例1において、前記一般式(2)で示される化合物を下記一般式(3)で示される化合物に変更したこと以外には、同じ条件及び組成でアクリル高分子を製造した。反応完了後、酢酸エチルで希釈し、固形分含量が44%、重量平均分子量が700,000、分子量分布が6.5のアクリル系共重合体(A−2)を製造した。特殊モノマー(一般式(3))の製造方法は日本公開特許公報第1995−300444号の製造方法に従った。
【化15】

【0078】
製造例3
製造例1において、前記一般式(2)で示される化合物を2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセテート(一般式(4)、Aldrich)に変更したこと以外には、同じ条件及び組成でアクリル高分子を製造した。反応完了後、酢酸エチルで希釈し、固形分含量が44%、重量平均分子量が750,000、分子量分布が6.2のアクリル系共重合体(A−3)を製造した。
【化16】

【0079】
製造例4
製造例1において、一般式(2)で示される化合物を2−(アクリロイルオキシ)エチルアセテート (一般式(5)、Aldrich)に変更したこと以外には、同じ条件及び組成でアクリル高分子を製造した。反応完了後、酢酸エチルで希釈し、固形分含量が44%、重量平均分子量が740,000、分子量分布が6.0のアクリル系共重合体(A−4)を製造した。
【化17】

【0080】
製造例5及び6
下記表1に示した成分と組成比を使用したことを除いては、前記製造例1と同様にして アクリル系共重合体を製造した。
【表1】

【0081】
実施例1
(配合工程)
前記製造例1で製造したアクリル系共重合体(A−1)100重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのプレポリマー(HDI)5.0重量部及びグリコールエーテル系キレート剤(Rhenosin RC−100、ドイツRheinChemie社製)1.0重量部、アルカリ類金属塩としてNaClO 0.1重量部を投入し、適正の濃度に希釈し、均一に混合した後、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面にコーティングし、乾燥した後、20μmの均一な粘着層を製造した。
(積層工程)
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面にコーティングした粘着層に、リリースフィルムをラミネートし、十分な熟成のために23℃の温度と55%の湿度条件で4日間維持した。前記の通りに製造された保護フィルムを適当な大きさに切断し、偏光板のトリアセチルセルロース面(TACフィルム、日本富士フィルム社製)と防眩面(AGTAC、日本DNP社製)にそれぞれ付着し、評価に使用した。
【0082】
実施例2〜12及び比較例1〜2
前記実施例1において、表2に示した成分と組成比でアクリル系共重合体を配合したことを除いては、前記実施例1と同様にして実施した。
【表2】

【0083】
前記実施例1〜12及び比較例1〜2で製造した粘着剤組成物で形成された粘着剤層を含む保護フィルムを利用して、下記のような方法でゲル分率、低速剥離力、高速剥離力、ぬれ性、剥離帯電圧を測定し、その結果を下記表3に示した。
(ゲル分率)
前記実施例1〜12及び比較例1〜2の配合工程で乾燥された粘着剤を約10日間恒温恒湿槽(23℃、60%RH)で静置した。その後、前記粘着剤をそれぞれ約0.3gずつ♯200ステンレス鉄網に入れ、100mLの酢酸エチルに沈積させた後、室温暗室で2日間保管し、不溶解分を分離した。前記不溶解分を70℃のオーブンで4時間乾燥した後、質量を測定して評価した。
(低速/高速剥離力)
前記実施例1〜12及び比較例1〜2で製造した保護フィルムを、偏光板のトリアセチルセルロース(TAC、日本富士フィルム社製)面と防眩層(AG、日本DNP社製)面にJIS Z 0.27に基づいて2Kgのローラーで付着した後、23℃の温度と65%の相対湿度条件で24時間保管した後、180°及び0.3m/分(低速)、30m/分(高速)の剥離速度で引張試験機を利用して測定した。
(静電圧)
前記実施例1〜12及び比較例1〜2で製造した保護フィルムが付着された偏光板をそれぞれ横25cm、縦22cmの大きさに裁断して試料を準備した後、23℃の温度と50%の相対湿度条件で24時間保管した。試料を40m/minの速度で剥離する間、偏光板の表面から1cm高さで静電圧測定器STATRION−M2を利用して偏光板表面で発生する静電圧を測定した。
(ぬれ性)
前記実施例1〜12及び比較例1〜2で製造した保護フィルムが付着された偏光板をそれぞれ横2.5cm、縦25cmの大きさに裁断し、試料を準備した後、ガラス基板に両面テープを利用して裁断された試料を付着させた。その後、保護フィルムを剥離させた後、縦を3等分した点を指で一定圧力で押した後、偏光板表面の完全にぬれる時間を測定し、下記基準によって評価した。
評価基準
1 偏光板表面を完全に濡らすのに10秒未満かかる
2 偏光板表面を完全に濡らすのに15秒未満かかる
3 偏光板表面を完全に濡らすのに20秒未満かかる
4 偏光板表面を完全に濡らすのに30秒未満かかる
【表3】

【0084】
前記表3に示されるように、本発明によって重合したアクリル系共重合体を粘着樹脂として使用した実施例1〜12の場合、樹脂自体にキレート添加剤の機能を付与することによって、比較例1〜2に比べて添加剤の量を少なく入れても同等以上の物性を得ることができた。また、比較例1〜2より高い低速剥離力、同等以下水準の高速剥離力等粘着物性に優れていることが確認できた。一方、本発明によって重合したアクリル系共重合体の含量が高すぎた場合、高速剥離力が大きく増加することを確認できた。
【0085】
以上で本発明の記載された具体例についてのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想範囲内で様々な変形及び修飾が可能であることは当業者にとって明らかなことであり、このような変形及び修飾が添付された特許請求の範囲に属することは当然のことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を共重合させたアクリル系共重合体を含むアクリル系粘着剤組成物:
【化1】

式中、Aは、
【化2】

の原子団を表し、
は水素又はアルキル基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はシクロアルキレン基を表し、Rはアリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、又はアルコキシアルキル基を表し、mは0又は1〜6の整数を表し、nは1〜100の整数を表す。
【請求項2】
一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(2)の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物:
【化3】

式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rはフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシアルキル基である。
【請求項3】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(3)の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物:
【化4】

式中、Rは水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rはフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシアルキル基であり、mは0又は1〜6の整数であり、nは1〜100の整数であり、但し、mが0の場合は2〜100の整数である。
【請求項4】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(4)の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物:
【化5】

式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキレン基であり、Rは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基又はアルコキシアルキル基である。
【請求項5】
アクリル系共重合体が、
i)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体90〜99.9重量部;及び、
ii)請求項1に記載の一般式(1)の化合物0.1〜10重量部
を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項6】
炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレートよりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項5に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項7】
アクリル系共重合体は、さらに、iii)架橋可能な官能基を含む単量体0.1〜10重量部を含むことを特徴とする請求項5に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項8】
架橋可能な官能基を含む単量体は、構造内に酸性基、水酸基、又は窒素原子を含有することを特徴とする請求項7に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項9】
アクリル系共重合体は、さらに、iv)下記一般式(5)の機能性単量体0〜20重量部を含むことを特徴とする請求項5に記載のアクリル系粘着剤組成物:
【化6】

式中、Rは水素又はアルキルであり、Rはシアノ、アルキルで置換されていてもよいフェニル、アセチルオキシ、又はCORであり、ここで、Rはアルキルで置換されていてもよいアミノ又はグリシジルオキシを表す。
【請求項10】
さらに、金属イオンと結合を形成しうるキレート剤及び金属塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項11】
キレート剤が、オキサレート系化合物、ジアミン系化合物、多価カルボキシル系化合物、及びケトン系化合物よりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項12】
キレート剤の含量が、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項10に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項13】
金属塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及びセシウムよりなる群から選択される金属カチオンと、Cl、Br、I、BF、PF、AsF、ClO、NO、CO、N(CFSO、N(CFCO)、N(CSO、N(CCO)、N(CSO、C(CFSO及びCFSOよりなる群から選択されるアニオンと、からなることを特徴とする請求項10に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項14】
金属塩の含量が、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部であることを特徴とする請求項10に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項15】
さらに、架橋剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項16】
架橋剤が、イソシアネート化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、及び金属キレート系化合物よりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項15に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項17】
架橋剤の含量が、アクリル系共重合体100重量部に対して、0.5〜5重量部であることを特徴とする請求項15に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項18】
架橋密度が、50〜99%であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
【請求項19】
基材;及び
前記基材の一面又は両面に形成された請求項1〜18のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層
を含む粘着フィルム。
【請求項20】
粘着層の厚さは、2〜100μmであることを特徴とする請求項19に記載の粘着フィルム。
【請求項21】
偏光フィルム;及び
前記偏光フィルムの一面又は両面に形成された請求項1〜18のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤組成物を含有する粘着層
を含む偏光板。
【請求項22】
さらに、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムよりなる群から選択される1種以上の機能層を含むことを特徴とする請求項21に記載の偏光板。
【請求項23】
請求項21に記載の偏光板を液晶セルの一面又は両面に接合した液晶パネルを含む液晶表示素子。

【公表番号】特表2011−506670(P2011−506670A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537858(P2010−537858)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007279
【国際公開番号】WO2009/075512
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】