説明

健康状態のアッセイ

本発明は、ウイルスの存在の検出と健康状態を示すゲノム標的またはマーカーの存在の検出との組み合わせを用いて、対象の健康状態を判定するアッセイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、対象の健康状態を判定するためのアッセイとして、サンプル中のゲノムマーカーの検出と共にウイルスの存在を検出することに関する。本発明は、予後診断的価値を有する危険性評価試験として好適である。
【背景技術】
【0002】
特定の核酸分子の検出のために、現在、多数の方法が利用できる。これらの方法は典型的に、標的核酸と、短いオリゴヌクレオチド(20塩基以下)から多キロ塩基(kb)配列の範囲の長さであり得る核酸プローブとの間の配列依存ハイブリダイゼーションに依存する。
【0003】
核酸配列の集団内から特定の配列を増幅するために最も広く用いられている方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法(Dieffenbach, C. and Dveksler, G., eds. PCR Primer: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)である。この増幅法では、相補的DNA鎖上および増幅される領域のいずれかの端に、一般に、20ヌクレオチドから30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを用いて、変性した一本鎖DNA上でDNA合成が開始される。変性、プライマーハイブリダイゼーションおよび熱安定性DNAポリメラーゼを用いたDNA鎖合成の連続的サイクルにより、プライマー間の配列の指数関数的増幅が可能になる。RNA配列は、まず逆転写酵素を用いてコピーして相補的DNA(cDNA)コピーを作製することにより、増幅できる。増幅されたDNA断片は、ゲル電気泳動、標識プローブとのハイブリダイゼーション、引き続いての同定(例えば、酵素結合アッセイによる)を可能にするタグ付きプライマーの使用、および標的DNAとハイブリダイゼーションするとシグナルを増強させる蛍光タグ付きプライマーの使用(例えば、BeaconおよびTaqManのシステム)など、種々の手段によって検出できる。
【0004】
特定のヌクレオチド配列の検出および増幅のために、PCRに加えて、他の種々の技法が開発されている。一例は、リガーゼ連鎖反応である(Barany, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 189-193, 1991)。
【0005】
他の例は、1992年に最初に記載された等温増幅(Walker GT, Little MC, Nadeau JG and Shank D. Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system. PNAS 89: 392-396 (1992))であり、鎖置換増幅(SDA)と称される。それ以来、転写媒介増幅(TMA)および、対応するゲノムDNAではなく、RNA配列をコピーするRNAポリメラーゼを用いるNASBA法などの多数の他の等温増幅法が記載されている(Guatelli JC, Whitfield KM, Kwoh DY, Barringer KJ, Richmann DD and Gingeras TR. Isothermal, in vitro amplification of nucleic acids by a multienzyme reaction modeled after retroviral replication. PNAS 87: 1874-1878 (1990); Kievits T, van Gemen B, van Strijp D, Schukkink R, Dircks M, Adriaanse H, Malek L, Sooknanan R, Lens P. NASBA isothermal enzymatic in vitro nucleic acid amplification optimized for the diagnosis of HIV-1 infection. J Virol Methods. 1991 Dec; 35(3):273-86)。
【0006】
他のDNAベースの等温法としては、DNAポリメラーゼが、環状テンプレートに対するプライマーを伸長させるローリングサークル増幅(RCA)(Fire A and Xu SQ. Rolling replication of short circles. PNAS 92: 4641-4645 (1995)、標的検出のために環状プローブを用いる分枝増幅(RAM)(Zhang W, Cohenford M, Lentrichia B, Isenberg HD, Simson E, Li H, Yi J, Zhang DY. Detection of Chlamydia trachomatis by isothermal ramification amplification method: a feasibility study. J Clin Microbiol. 2002 Jan; 40(1):128-32)、より最近では、DNA鎖を巻き戻すために、熱の替わりにヘリカーゼ酵素を用いるヘリカーゼ依存性等温DNA増幅(HDA)(Vincent M, Xu Y, Kong H. Helicase-dependent isothermal DNA amplification. EMBO Rep. 2004 Aug; 5(8):795-800)が挙げられる。
【0007】
最近、DNA増幅の等温法が記載された(Walker GT, Little MC, Nadeau JG and Shank D. Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system. PNAS 89:392-396(1992))。伝統的な増幅法は、増幅反応の各サイクルにおける標的分子の変性および復元のサイクルの継続に頼っている。DNAの熱処理はDNA分子のある程度の切断をもたらし、したがって、発達中の胚盤胞からの少数の細胞からDNAを単離する場合や、特に、組織切片、パラフィンブロックおよび古いDNAサンプルなどのようにDNAがすでに断片化された形態である場合など、DNAに限りがある場合、この加熱−冷却サイクルはDNAをさらに損傷させ、増幅シグナルの損失をもたらす恐れがある。等温法は、さらなる増幅のためのテンプレートとして役立つ一本鎖分子を産生させるためにテンプレートDNAを継続的に変性させる工程に依存せず、一定温度における特定の制限エンドヌクレアーゼによるDNA分子の酵素的ニッキング、またはヘリカーゼ酵素の使用によるDNA二重鎖の巻き戻しに依存する。
【0008】
鎖置換増幅(SDA)と称される技法は、半修飾DNAの非修飾鎖にニックを入れる所定の制限酵素の能力、および下流の鎖を伸長させ置換する5’−3’エキソヌクレアーゼ欠損ポリメラーゼの能力に依存する。次いで、センス反応からの鎖置換がアンチセンス反応のテンプレートとして役立つ、センスとアンチセンスの結合反応により、指数関数的な増幅が達成される(Walker GT, Little MC Nadeau JG and Shank D. Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system. PNAS 89:392-396(1992))。このような技法は、結核菌(Walker GT, Little MC, Nadeau JG and Shank D. Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system. PNAS 89:392-396(1992))、HIV−1、C型肝炎およびHPV−16(Nuovo G.J., 2000)、トラコーマクラミジア(Spears PA, Linn P, Woodard DL and Walker GT. Simultaneous Strand Displacement Amplification and Fluorescence Polarization Detection of Chlamydia trachomatis. Anal. Biochem. 247:130-137(1997))の好首尾な増幅に用いられている。
【0009】
現在まで、SDAの使用は、修飾鎖上で酵素的開裂に耐性を有すると考えられる半ホスホロチオエートDNA二重鎖を生じさせる修飾ホスホロチオエートヌクレオチドに依存しており、置換反応を駆動させるための消化の替わりに、酵素的ニッキングをもたらしている。しかし最近、いくつかの「ニッカーゼ」酵素が操作されている。これらの酵素は、伝統的様式でDNAを切断するのではなく、DNA鎖の一本にニックを生じさせる。「ニッカーゼ」酵素としては、N.Alw1(Xu Y, Lunnen KD and Kong H. Engineering a nicking endonuclease N.Alw1 by domain swapping. PNAS 98:12990-12995(2001)、N.BstNB1(Morgan RD, Calvet C, Demeter M, Agra R, Kong H. Characterization of the specific DNA nicking activity of restriction endonuclease N.BstNBI. Biol. Chem. 2000 Nov; 381(11):1123-5)およびMIy1(Besnier CE, Kong H. Converting MIy1 endonuclease into a nicking enzyme by changing its oligomerization state. EMBO Rep. 2001、Sep; 2(9):782-6. Epub 2001 Aug 23)が挙げられる。したがって、このような酵素の使用により、SDA法が簡便化されると考えられる。
【0010】
さらに、熱安定性制限酵素(Ava1)と熱安定性エキソポリメラーゼ(Bstポリメラーゼ)の併用により、SDAは改善されている。この併用は、この反応の増幅効率を、10倍増幅から1010倍増幅、増加させることが示されているので、この技法を用いて、ユニークな単一コピー分子の増幅が可能である。熱安定性ポリメラーゼ/酵素を併用して得られた増幅倍数は、10の桁である(Milla M.A., Spears P.A., Pearson R.E. and Walker G.T. Use of the Restriction Enzyme Ava1 and Exo-Bst Polymerase in Strand Displacement Amplification Biotechniques, 1997 24:392-396)。
【0011】
現在まで、全ての等温DNA増幅法では、増幅開始前に、二本鎖DNAテンプレート分子を変性することが必要である。さらに、増幅は、各々のプライミング事象から1回のみ開始される。
【0012】
直接的検出では、標的核酸は、最も一般的には、ゲル電気泳動によりサイズに基づいて分離され、固相担体に移された後、標的配列に相補的なプローブとのハイブリダイゼーションを行う(サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング)。このプローブは、天然核酸、または、ペプチド核酸(PNA)もしくはロックド核酸(LNA)もしくは挿入核酸(INA)などの類縁体であり得る。このプローブは、直接標識できる(例えば、32Pにより)か、間接的方法を使用できる。間接的方法は通常、このプローブ内へのビオチンまたはジゴキシゲニンなどの「タグ」の組み込みに依存し、次いで、このプローブを、酵素結合基質変換または化学発光などの手段により検出する。
【0013】
核酸を直接検出するために広く使用されている他の方法は、「サンドイッチ」ハイブリダイゼーションである。この方法では、捕捉プローブを固相担体に結合させ、溶液中で、標的核酸を結合させた当該プローブにハイブリダイズさせる。非結合標的核酸を洗浄除去し、標的配列にハイブリダイズする第2のプローブを用いて、結合核酸を検出する。検出には、上記で概説した直接法または間接法を使用できる。このような方法の例としては、サンドイッチハイブリダイゼーションの原理を用いる一例である「分枝DNA」シグナル検出システム(1991, Urdea, M.S., et al., Nucleic Acids Symp. Ser. 24, 197-200)が挙げられる。核酸配列の直接的検出のための核酸ハイブリダイゼーションを用いる、急成長している分野は、DNAマイクロアレイの分野である(2002, Nature Genetics, 32, [Supplement]; 2004, Cope, L.M., et al., Bioinformatics, 20, 323-331; 2004, Kendal, S.L., et al., Trends in Microbiology, 12, 537-544)。この方法では、短いオリゴヌクレオチド(典型的には、アフィメトリクスのシステムにおける25量体)からより長いオリゴヌクレオチド(典型的には、アプライドバイオシステムおよびアジレントのプラットフォームにおける60量体)、さらにcDNAクローンなどのより長い配列の範囲にあり得る個々の核酸種を、グリッドパターンにおける固体支持体に固定するか、または固体支持体上にフォトリソグラフィ合成する。次いで、タグをつけた、または標識化した核酸集団を、このアレイにハイブリダイズさせ、アレイにおける各スポットに対するハイブリダイゼーションのレベルを定量化する。最も一般的には、放射性または蛍光標識した核酸(例えば、cRNA類またはcDNA類)をハイブリダイゼーションに用いるが、化学発光などの他の検出システムも使用できる。
【0014】
このような新規な方法は、病原生物の高感度で特異的な検出の見込みがあるため、現在、感染性疾患の診断のための分子的方法を利用することに大きな関心が持たれている。この文脈において、ヌクレオチド配列のレベルとそれらのゲノムのサイズとの双方において違いのある個々のHPVタイプを有する可変性の遺伝子プールとしての集団的レベルでそのDNAゲノムが存在するヒトパピローマウイルス(HPV)を、本発明は扱っている。分子的試験により、種々の臨床サンプル中の異なるHPVタイプを検出し正確に同定することは、種々の分子的試験の限界によって妨げられる。さらに、HPVを規定する包括的な組分け内には、多数の「遺伝子型」、「変異体」、「サブタイプ」および「タイプ」が存在する。例えば現在、100超のHPVのタイプが認められており、そのうちのいくつかはヒトの疾患に強い関連性がある。いわゆる高リスクおよび中程度リスクのタイプは、癌への進行に関係しており、利用できる最も正確な分子的方法によるそれらの検出は緊急の臨床的優先事項である。
【0015】
大きな問題は、HPV単独の検出は、癌への進行について必ずしも良好な指標ではないことである。子宮頚部上皮内腫瘍形成(CIN)は、侵襲的形態に進行する可能性はあるが、多くの病巣は、退縮するか、または癌腫に進行することなく存続する。女性の70パーセントは、2年以内にHPV感染を除去する(1998, Journal of Pediatrics 132, 277-284; Moscicki, A.B., et al.)。しかし、CINおよびその進行の発見はきわめて可変的であるため、無処置であっても、正常に戻り得るし、または完全ブローン癌腫になり得る。CINIおよびCINIIの症例のおよそ三分の一から二分の一が自然に退縮する(1990, Australian and New Zealand Journal of Obstetrics and Gynaecology, 30, 1-23, Channen, W et al.)。CINIからCINIIへの進行にかかる時間は、約十年であるが、一部の女性では、二十年以上であり得る(2000, Cancer Research 60, 6027-6032., Ylitalo, E et al.)。
【0016】
エプスタインバールウイルスおよびその胃癌との関連における場合のように、細胞、組織または器官のウイルス感染により、これら対象物が変化を受けるゲノムメチル化のサインが生じ得る(2002, American J. Pathology 160, 787-794, Kang, G.H., et al)。メチル化または脱メチル化は、多くの細胞分裂にわたって、いくつかの場合は生物の世代にわたって引き継がれてきた安定な変化であるため、通常は安定なメチロームの変化は、前癌状態または癌状態を予知するものであり得る。
【0017】
異なるHPVゲノムタイプ間の交差ハイブリダイゼーションの問題があるのみならず、HPVタイプを構成する正確な分類が、生命情報科学の著しい限界を有するゲノム配列の類似性に依存するため、単一アッセイで、全ての異なるHPVタイプを認識する信頼性の高いロバストなDNAベースの検出システムを実行することは困難な課題であった。したがって、新規HPVタイプを、以前のHPVタイプと90%未満の配列類似性のあるものとして確定できても、より細かい分類学上の細区分は、扱う上でより問題となる。したがって、新規HPV「サブタイプ」は、DNA配列の類似性が以前のサブタイプに比較して90〜98%の範囲である場合に確定される。新規「変異体」は、配列類似性が、以前の変異体に比較して、98〜100%である場合に確定される(1993, Van Rast, M.A., et al., Papillomavirus Rep, 4, 61-65; 1998, Southern, S.A. and Herrington, C.S. Sex. Transm. Inf. 74, 101-109)。このスペクトルは、単一単離ウイルス粒子からの単一ゲノムの比較に基づいて変異を測定し得る点までさらに広がり得る。このような場合、「遺伝子型」は、他のいずれかの完全に配列決定されたHPVゲノムと1つの塩基だけ少なくとも異なっているいずれかの完全に配列決定されたHPVゲノムとなるであろう。これは、確定位置における単一塩基が、G、A、TまたはCの4つの状態のうちの1つである全ての場合、ならびに、所与の位置における塩基が欠失、付加、増幅または転移により、別の部位へ変化した場合を含む。
【0018】
上記の理由で、本特許明細書出願に用いられる全てのバイオインフォマティクス上の比較は、HPV16ゲノム(標準的コンパレーターとしてHPV16の1から7904の位置を用いて)と相対的に、また、先行技術であるBLAST法(1996, Morgenstern, B., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93, 12098-12103)を用いて行われる。参照を目的として本明細書で利用される標準的なHPV「タイプ」は、7904塩基対のパピローマウイルスである、PapillomaviridaeのHPV16である(National Center for Biotechnology Information、NCBI遺伝子座NC_001526;変型NC_001526.1;GI:9627100;参照、Medline, 91162763 and 85246220; PubMed 1848319 and 2990099)。
【0019】
疾患リスク評価の文脈において既存のHPV検出システムが直面している困難はおおむね三重となっている。第1の限界は、テクノロジーシステム自体のものである。第2は、疾患細胞集団の病理学的解釈の限界である。第3は、遺伝子背景、ならびに寄与している補因子の違いに供されている異なるヒト集団における疾患の進行評価の臨床レベルにおける限界である。
【0020】
一定のタイプのHPVは、子宮頚癌に関係しており、膣、産卵口、陰茎および肛門の、確定がより困難な癌の一部に寄与している。子宮頚部悪性転換域である組織の環状部は、HPV発癌の可能性の高い領域であり、この領域の完全な細胞正常状態から侵襲性癌腫状態の評価は、組織学的、細胞学的および分子生物学的方法論により、可視または顕微鏡の基準を用いて、ルーチン評価されている。ウイルスレベルと易感染性ヒト細胞のレベル双方におけるウイルスによって誘導された異常の早期検出は、正常組織から異常組織まで分子径路に沿って細胞集団が到達する場所の判定にそれが役立ち得るならば、臨床的に大きな関連性を有すると考えられる。しかし、半世紀の間、パップスメアの使用にも関わらず、異常子宮頚部の細胞学的診断と正常状態との間の固形早期リスク評価は、現在依然として問題がある。主要な問題は、種々の段階の子宮頚部上皮内腫瘍(CIN1、CIN2およびCIN3)などの「前癌」の確定、したがって、治療オプションに関する臨床的決定の分かりにくい基準をめぐるものである。前癌の確定は、in situのCIN2、CIN3および癌腫の使用を避けるための偽正確の方法であると考えている臨床医もいる。顕微鏡診断に、さらにCIN2の臨床的意味には、大きな不均一性が存在する(2003, Schiffman, M., J. Nat. Cancer Instit. Monog. 31, 14-19)。いくつかのCIN2病巣は顕微鏡による外観は悪いにも関わらず、免疫系によって克服されて消失するが、他の病巣は侵襲的な癌腫へと進行する。したがって、CIN2は、多義的診断の緩衝帯域と考えている者もあるが、このような帯域の境界条件には議論の余地がある。ある臨床医は、CIN2とCIN3とを組み合わせることは実行不良と考えているが、一方、他の者は、CIN2またはそれより悪い病巣全てを処置している。最後に、CIN3と特定された女性の三分の一から三分の二の間の者は侵襲的癌腫を発現するが、それでもこれは、予測不能な時間依存的様式で生じることが、文献に示されている(2003, Schiffman, M., J. Nat. Cancer. Instit. Monog. 31, 14-19; 1978, Kinlen, L.J., et al., Lancet 2, 463-465; 1956, Peterson, O. Am. J. Obstet. Gynec. 72, 1063-1071)。
【0021】
今日、未だに医師が直面している中心的問題は、有意性が未判定の異型細胞(ASCUS)などの低段階の細胞学的異常、または扁平上皮内病巣(SILs)の確定が困難なことである。実際、ASCUSは、適切な診断ではなく、むしろ、理解に乏しい変化の「ゴミ箱」カテゴリーである(1996, Lorincz, A.T., 1996, J. Obstet. Gyncol. Res. 22, 629-636)。経口避妊薬の使用から、喫煙、トラコーマクラミジアおよび単純疱疹ウイルス2型などの、HPV以外の病原体、抗酸化栄養物および頚部炎症の補因子作用は全て、高段階の扁平上皮内病巣(HSILs)から子宮頚癌の進行へのリスクを調節すると主張されているが、これらのために前癌病巣の範囲全体を解釈することは困難である(2003, Castellsague, X.J. Nat. Cancer Inst. Monog. 31, 20-28)。分類のベセスダシステムおよび2001年におけるその改定版の導入は、低段階の扁平上皮内病巣(LSILs)の新たなカテゴリーにCIN1の異型性コイロサイトーシスを含めることが最初、有用でないことが分かったため、臨床医の間の混乱を減少させる上でなされたことはわずかであった。ベセスダシステム導入の結果は、多くの臨床医が異型性コイロサイトーシスに対してコルポスコピーを実行してはいないが、「CIN1の患者にそうすることを強いられるように感じた」ことである(1995, Hatch, K.D., Am. J. Obstet. Gyn. 172, 1150-1157)。コルポスコピーの熟達には多くの年数の訓練が必要であったが、主観的細胞学的基準により依然として、一貫性がなく、また、再現性がない結果となっている(1994, Sherman, M.E., Am. J. Clin. Pathology 102, 182-187; 1988, Giles, J.A., Br. Med. J., 296, 1099-1102)。
【0022】
継続する診断上の障害は、「異型」などの不明確な診断が、いくつかの設定において、診断の20%以上を占め得ることである(1993, Schiffman, M. Contemporary OB/GYN, 27-40)。これは、「異型」であったスミアに対して病理学者の独立した診断一致のレベルを評価するために特に設計された試験によって示されている。同一セットのサンプルに対する5人の専門的病理学者の間での正確な一致が生じたのは、症例のわずか29%に過ぎなかったことが分かった(1994, Sherman, M.E., et al., Am. J. Clin. Pathology 102, 182-187)。正味の結果は、子宮頚部細胞診断は、高い偽陰性(低感受性と称される)および高い偽陽性(低特異性と称される)を有し続けていることである。様々な病理学者の細胞学的解釈では、20%位までの偽陰性の率および15%までの偽陽性の率となっている(1993, Koss, L.G., Cancer 71, 1406-1412)。偽陽性結果は、不必要なコルポスコピー検査、生検および処置に至り、これらは全て、健康管理費用の負担を付加する。偽陰性結果は、診療過誤訴訟になり、関連経費がかかる可能性が生じる。HPVに関する試験を用いた子宮頚部異常の早期段階の分子診断により、細胞学的診断よりも主観性の少ない試験が提供される。
【0023】
生物における健康欠如のゲノム指標は、多数のレベルでのゲノムメチル化状態における変化に密接に関連している。食事の補完は、メチル化および代謝の健康状態に対する誤った有害な帰結を有する恐れがあり(Waterland, R.A., 2003, Molecular and Cellular Biology 23, 5293-5300)、リールイン遺伝子座の領域など、一定のゲノムプロモーター領域の異常なメチル化は、精神分裂症などの種々の精神医学的条件に関係している(2002, Chen, Y., et al, Nucleic Acids Research 30, 2930-2939; Miklos, G.L.G., and Maleszka, R., 2004, Nature Biotechnology 22, 615-621)。メチル化研究の1つの大きな領域は癌研究にあり、そこでは、ゲノム領域の高メチル化と低メチル化の双方が、広範に文書化されている(French, S.W., et al., 2002, Clinical Immunology 103, 217-230; Frigola, J., et al., 2005, Human Molecular Genetics, 14, 319-326; Belinsky S.A., et al., Nature Reviews Cancer 4, 1-11)。これらの研究のいくつかは、癌の指標のための予後バイオマーカーの発見を目指している(Baker, M., 2005, Nature Biotechnology, 23, 297-304)が、バイオマーカーの分野は、一貫性のない結果で不可解である。さらに、このようなゲノム研究が、微生物およびウイルスの感染から生じる細胞および組織に対する動揺の他の出所源と結び付けられることは稀である。また、癌のゲノムは一般に、染色体の異数、セグメントの異数、欠失、増幅、反転、転座および多変異などの大量のゲノム変動を含有し(Duesberg, P., 2004, Cell Cycle, 3, 823-828; Miklos, G.L.G., 2005, Nature Biotechnology 23, 535-537)、メチル化変化の文脈における早期検出のためのこれらの重要性は、まだそれほど深く探索されていない(Vogelstein, B., et al., 2004, Nature Medicine, 10, 789-799; Lucito, R., et al., 2003, Genome Research, 13, 2291-2305)。
【0024】
上記に概説した全ての問題および欠点に鑑みて、特に、前腫瘍形成病巣のスクリーニングで、DNA方法論の臨床的影響に関する議論は依然として存在している。細胞異常の高感度な分子の早期兆候指標は、きわめて役立つものと考えられる。本発明者らは、個体の健康状態の判定に使用する目的で、ウイルスおよびゲノム標的を検出するための新規な方法、キットおよび統合された生命情報科学プラットフォームを開発した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の開示
一般的態様において、本発明は、ウイルスの存在の検出と、健康状態を示すゲノム標的またはマーカーの有無または状態の検出との組み合わせを用いて、対象の健康状態を判定するアッセイに関する。本発明は、必要な場合、同一の試験、容器、または反応において、ただ1つのサンプルで実施できる。
【0026】
第1の態様において、本発明は、
(a)核酸中の非メチル化シトシンを修飾できる試剤により対象からのサンプルを処理する工程であって、サンプル中のウイルス核酸およびゲノム核酸を処理してウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する工程;
(b)処理されたサンプル中のウイルス核酸誘導体の存在をアッセイする工程;および
(c)処理されたサンプル中のゲノム核酸誘導体中のゲノム標的の状態を判定する工程であって、1種以上のウイルス核酸誘導体の存在およびゲノム標的の状態により健康状態が示される工程、を含む、対象の健康状態を判定するアッセイを提供する。
【0027】
好ましい一形態において、このアッセイは、
アッセイ工程および判定工程に先立って、ウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体の少なくとも一部を増幅させる工程、をさらに含む。
【0028】
第2の態様において、本発明は、
(a)ウイルス核酸およびゲノム核酸を含有する対象からのサンプルを、非メチル化シトシンを修飾する試剤により処理し、シトシン数は減少しているが、塩基の総数は対応する非処理ウイルス核酸および非処理ゲノム核酸と実質的に同じであるウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する工程;
(b)ウイルス特異的核酸分子を得る工程;
(c)ゲノム標的を有する核酸分子を得る工程;
(d)ウイルス特異的核酸分子の存在を試験する工程;および
(e)処理され増幅されたサンプル中のゲノム標的の状態を判定する工程であって、1種以上のウイルス特異的核酸分子および標的状態の検出により対象の健康状態が示される工程、を含む対象の健康状態を判定するアッセイを提供する。
【0029】
このウイルス特異的核酸分子およびゲノム標的を有する核酸分子は、ウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を増幅することによって得ることが好ましい。
【0030】
第3の態様において、本発明は、
(a)非メチル化シトシンを修飾する試剤により、対象からのサンプルを処理して、核酸誘導体を形成する工程;
(b)所望のウイルス核酸分子を核酸誘導体に増幅させることができるプライマーを提供する工程;
(c)標的ゲノム核酸分子を核酸誘導体に増幅させることができるプライマーを提供する工程;
(d)核酸誘導体に対して増幅反応を実施する工程;および
(e)増幅された所望のウイルス核酸および増幅された標的ゲノム核酸の存在をアッセイする工程であって、1つ以上の増幅産物の有無により対象の健康状態が示される工程、を含む、対象の健康状態を判定するアッセイを提供する。
【0031】
好ましい一形態において、工程(e)は、所望のウイルス特異的核酸分子の検出により、サンプル中のウイルスの存在を示す、所望のウイルス特異的核酸分子を含む増幅核酸産物の存在をアッセイする工程を含む。
【0032】
他の好ましい形態において、工程(e)は、標的核酸分子を含む増幅核酸産物の存在をアッセイする工程であって、標的核酸分子を検出することにより、サンプル中のゲノムまたは遺伝子の状態が示される工程、をさらに含む。
【0033】
第4の態様において、本発明は、
(a)ウイルス核酸およびゲノム核酸中の非メチル化シトシンをウラシルに変換してウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する条件下、対象からのサンプルを重亜硫酸塩試薬で処理する工程;
(b)サンプルに、ウイルス核酸誘導体における所望のウイルス特異的核酸分子を増幅させることができる、ウイルス核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
(c)サンプルに、ゲノム核酸誘導体における所望の標的ゲノム特異的核酸分子を増幅させることができる、ゲノム核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
(d)処理されたサンプルに対して増幅反応を実施する工程;および
(e)増幅されたウイルス核酸産物および増幅されたゲノム核酸標的の存在をアッセイすることであって、上記産物および標的のうちの1つまたは双方の検出により対象の健康状態が示されること、を含む、対象の健康状態を判定するアッセイを提供する。
【0034】
好ましい一形態において、このアッセイは、
(f)ウイルスが存在するサンプルを、前記サンプル中のウイルスのタイプ、サブタイプ、変異体または遺伝子型を判定するために試験する工程、をさらに含む。
【0035】
増幅は、PCRまたは等温増幅などの任意の好適な手段により実施できる。
【0036】
このウイルスがDNAゲノムを有している場合は、この試剤との処理によって核酸誘導体が生じる。しかし、このウイルスがRNAゲノムを有している場合は、ゲノムは逆転写酵素方法論によってDNAへ変換できる。変換は、試剤との処理の前または後に実施できる。他のRNAからcDNAへの変換がないことを保証するために、ウイルス特異的プライマーを用いることが好ましい。
【0037】
本対象は、かなりの頻度でゲノムのメチル化を有する任意の高等生物形態であり得る。典型的に本発明は、動物またはヒトに、およびウイルス感染植物種に好適である。動物は、飼育動物または家畜哺乳動物であることが好ましいが、健康状態をモニターすることが必要な野生集団であってもよい。ヒトは、健康な個人であっても病人であってもよい。
【0038】
所望のウイルス核酸分子は、疾患を示すものであってもなくても、ウイルスファミリー自体、または、属もしくは種などのより下位の分類カテゴリー、タイプもしくはサブタイプ、またはウイルスの変異体もしくは遺伝子型に特異的であり得る。
【0039】
いくつかのゲノム領域のメチル化は、典型的に、関連遺伝子が「オフ」になる発現を引き起こす。しかし、ある状況では、いくつかの遺伝子が関連するメチル化領域を有し得るが、遺伝子発現は「オン」のままである。したがって、好ましい形態において、メチル化または非メチル化は、遺伝子発現自体ではなく、予後の指標として使用できる。また、所望のメチル化状態を判定または標的化するために、特定の核酸領域の増幅を妨害することも可能である。
【0040】
標的のゲノム核酸は、ゲノムの1つもしくは複数の遺伝子またはプロモーターもしくはエンハンサーなどの調節領域、あるいは任意のコード領域または非コード領域、または静止もしくは移動性領域に特異的であり得る。本標的は、診断目的または予後診断目的に有用であるメチル化特性を有することが好ましい。これには、反復DNA配列のLINEファミリー(ヒトゲノム内に豊富なレトロトランスポゾンファミリーであるLong Interspersed Nuclear Elementsとしても知られる長鎖散剤反復配列;1996, Smit, A.F.A., Current Opinion in Genetics and Development, 6, 743-748; 2003, Han, J.S., et al., Nature, 429, 268-274; 2004, Brouha, B., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100, 5280-5285)およびSINEファミリー(短い散在性核要素としても知られている短い散在性要素;Batzer, M.A., et al.,)によって例証されるものなどの移動性またはかつて移動性だった要素が含まれ、これらは共に、ヒトゲノムのほぼ半分を構成している。標的ゲノム核酸は、ゲノム核酸のメチル化または非メチル化領域を示すことがより好ましい。
【0041】
好ましくは、アッセイは、ウイルスの所与のタイプまたはタイプ群に特異的なプライマーを用いて繰り返され、増幅産物の存在がウイルスのタイプまたはタイプ群を示す。
【0042】
典型的には、増幅後、各核酸誘導体は、対応する無処置核酸に比較して、シトシンの総数が減少した単純化核酸分子を形成し、単純化核酸分子は、好ましくは、ウイルスまたは標的に特異的な核酸配列を含む。
【0043】
メチル化シトシンを含まない二本鎖DNAでは、この処理工程により、各々がアデニン、グアニン、チミンおよびウラシルの塩基を含有する2種の核酸誘導体がもたらされる。2種の核酸誘導体は、二本鎖DNAの2つの一本鎖から生じる。2種の核酸誘導体は、シトシンを有さないが、元の処理されていないDNA分子と同じ塩基総数および配列の長さを有したままである。重要なことに、2種の誘導体は、互いに相補的でなく、トップ鎖およびボトム鎖を形成する。単純化核酸分子を生じさせるため、増幅には標的として、1本以上の鎖を使用できる。
【0044】
典型的には、ウイルスに特異的な単純化核酸配列は、処理されていないウイルスゲノムに自然に生じることはない。
【0045】
ウイルス株またはウイルスタイプは、特定のヒトまたは動物の種系列における所与の組織に対して、高、中または低レベルの発癌性または他の疾患状態を与え得る。例として、高リスクのHPVタイプ16、18、45および56;中リスクのHPVタイプ30、31、33、35、39、51、52、58、59および68;および低リスクのHPVタイプ6、11、42、43、44、53、54、および55が挙げられる。
【0046】
ウイルスは、ヒトウイルス(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ICTVdb/Ictv/ICD-10.htmを参照)の記載されたファミリーのいずれのものからでもあり得る。
ポックスウイルス科。牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、ワクシニアウイルスおよび痘瘡ウイルスが含まれる。ウイルスに依って、これらは、皮膚および粘膜損傷、湿疹、および接触感染性膿疱生皮膚炎を起こし得る。種々のヒト疾患は、2003, International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems, (ICD), 10th revisionにまとめられている(http://www3.who.int/icd/vol1htm2003/navi.htm)。
パラミクソウイルス科。ニパー(Nipah)ウイルス、パラインフルエンザおよび流行性耳下腺炎が含まれ、種々の呼吸器疾患、流行性耳下腺炎、髄膜炎、膵炎、脳炎およびはしかに関連している。ニパー(Nipah)ウイルスは、1999年に初めて認められたばかりで、感染患者の70%に致死的な脳炎を引き起こし、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ハムスター、コウモリおよびモルモットなど、きわめて広い宿主範囲を有する。これは、世界的な健康および経済にとって重大な脅威である(2005, Nature, 436, 401-405; Negrete, O.A., et al.,);
フラビウイルス科。デング、黄熱病、C型肝炎およびG型肝炎が含まれ、脳炎、肝炎およびショック症候群に関連している。例えば、C型肝炎は、6つの主な遺伝子型を有するRNAウイルスであり、世界で1億7000万人超が感染し、有効なワクチンがない、慢性肝臓疾患の主要な原因である(2005, Science, 309, 623-626; Lindenbach, B.D., et al,);
ヘルペスウイルス科。ヒトヘルペスウイルス1から8までが含まれる。これらのウイルスは、口腔感染、角膜の潰瘍、生殖器官感染、髄膜炎、水痘、肺炎、帯状疱疹、サイトメガロウイルス単核症および脳炎を引き起こす。ヒトサイトメガロウイルスは、臓器移植個体などの免疫不全個体に、重篤な致死的疾患を引き起こす。また、HHV8は、AIDS関連病態のカポジ肉腫における原因物質として関係している(2003, Nature, 424, 456-461; Wang, X., et al,);
アデノウイルス科。ヒトアデノウイルスAからFが含まれる。これらのウイルスは、呼吸器疾患、腎臓の感染、結膜炎および下痢を引き起こし得る;
パピローマウイルス科。上記に紹介したヒトパピローマウイルスのタイプが含まれる。これらは、ウイルス性疣及び子宮頚部、喉頭および膀胱の腫瘍の原因となる。
パルボウイルス科。B19ウイルスが含まれ、合併症のない風疹の症状を与える;
ヘパドナウイルス科。B型肝炎が含まれ、肝硬変、および原発性肝細胞癌に関連している;
レトロウイルス科。急性感染症およびヒトT細胞白血病などの種々の悪性腫瘍に関連するHTLV1および2、HIV1および2が含まれる;
レオウイルス科。ロタウイルスが含まれ、下痢、胃腸炎および上気道疾患に関連している;
フィロウイルス科。マルブルク型およびエボラ型のウイルスが含まれ、出血熱に関連している;
ラブドウイルス科。水疱性口内炎および狂犬病が含まれ、発熱および狂犬病に関連している;
オルソミクソウイルス科。インフルエンザA、BおよびCが含まれ、感冒および肺炎に関連している;
ブニアウイルス科。クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、ニューヨークウイルスおよびハンタウイルスが含まれ、急性発熱および肺症候群に関連している;
アレナウイルス科。ラッサウイルス、リンパ球性脈絡膜髄膜炎ウイルスが含まれ、脳炎、髄膜炎および出血熱に関連している;
コロナウイルス科。ヒトコロナウイルスが含まれ、感冒症状および胃腸症候群に関連している;
ピコルナウイルス科。ヒトエンテロウイルスAからDおよびポリオウイルスが含まれ、気管支炎、髄膜炎、および麻痺に関連している;
カリシウイルス科。ノーウォーク様ウイルスおよびサッポロ様ウイルスが含まれ、急性胃腸炎に関連している;
非所属「E型肝炎様ウイルス」(HEV)急性肝炎に関連している;
アストロウイルス科。ヒトアストロウイルスが含まれ、腸炎および胃腸炎に関連している;および
トガウイルス科。ロスリバーおよび風疹が含まれ、脳炎、白血球減少症および発疹に関連している。本発明を用いて、臨床的に低リスクとして分類されているウイルスが、特定の遺伝子型または種系列の個体または動物で、実際は高リスクであり得る。
【0047】
核酸分子は、任意の好適な検出手段により検出できる。例としては、これに限定はしないが、
核酸分子のある領域に結合できる検出リガンドを提供して、検出リガンドが領域に結合するための十分な時間を与えること;および
核酸分子に対する検出リガンドの結合を測定して、核酸分子の存在を検出すること、
が挙げられる。当然のことながら、核酸分子は、当該技術分野で公知の任意の好適な手段によって検出できる。
【0048】
いずれかの所与のウイルスに関して、ウイルス特異的な核酸分子が得られるか、または同定された場合、増幅反応において対象となる領域の増幅を確実にするために、プローブまたはプライマーを設計することができる。処理または変換により、配列は非対称性となり(下記を参照)、したがって、同一の座位の「トップ」鎖および「ボトム」鎖(「ワトソン」鎖と「クリック」鎖としても知られている)の検出に、異なるプライマー配列が必要とされるため、処理された、したがって変換されたゲノム(以後、「誘導体」と称される)の双方の鎖を、プライマー設計のために分析できることに注意することが重要である。こうして、2つの分子集団、すなわち、変換直後に存在する変換されたゲノムと、慣例的な酵素学的手段(PCR)または等温増幅などの方法によって誘導体が複製された後に生じる分子集団とが存在する。プライマーは典型的に、簡便性のため、変換されたトップ鎖について設計されるが、プライマーはまた、ボトム鎖について作製することもできる。したがって、所与のタイプのウイルスおよび生物のゲノムにおける標的を検出するために、サンプルに対して臨床的または科学的なアッセイを実施することが可能になる。
【0049】
本発明は、所与のサンプル中に何らかのウイルスが存在するかどうかを判定するために使用できる、ウイルスの代表的なタイプを示すプローブまたはプライマーを使用することができる。さらに、ウイルスの所与のタイプ、サブタイプ、変異体および遺伝子型の例を実際に検出または同定するために、ウイルスタイプに特異的なプローブを使用することができる。
【0050】
本発明は、所与のサンプル中に標的が存在するかどうかを判定するために使用できる、メチル化などの標的を示すプローブまたはプライマーを使用できる。さらに、ゲノム内の標的を実際に検出または同定するために、標的特異的プローブを使用できる。
【0051】
本発明の実際の予想外の利点は、1つの反応管または反応容器中でそれを実施できることである。ウイルスがアッセイされるだけでなく、1つ以上のゲノム標的も同定できる。これら2つの試験パラメーターを1つのアッセイに組み合わせることにより、対象の健康状態を特定することが可能になる。健康状態は、癌などの疾患、前癌状態、疾患状態に関する高リスクなどであり得る。本発明を、さらなる進行を予防するか、または疾患を治療するために、早期の医療的または獣医学的または園芸学的介入を可能にする疾患状態または可能的な疾患状態の早期指標として使用できる。
【0052】
本発明は、癌などの疾患状態に関係してきたウイルスの検出に特に好適である。例としては、これに限定はしないが、ヒトパピローマウイルス、肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、および上記ウイルスの種々のファミリーのメンバーが挙げられる。
【0053】
本発明は、癌などの疾患状態に関係してきた細胞におけるゲノム標的の検出に特に好適である。疾患状態または健康状態によって、ゲノム内の任意の遺伝子、調節領域もしくは非コード領域、または核外もしくは細胞外の成分が、本発明に使用するマーカーとしての可能性を潜在的に有している。
【0054】
本発明は、いくつかのゲノム領域のメチル化状態が癌の進行を示すこと、およびウイルスが存在する場合は、進行がはるかに信頼性の高いものになることを実証するデータを得た。
【0055】
臨床サンプルおよび細胞系を用いて、本発明者らは、ほぼ400個のヒト遺伝子の近辺での調節領域におけるメチル化パターンを調べ、HPVの存在と共に癌状態の場合に、メチル化の変化を有する60超のゲノムマーカーを見出した。例としては、これに限定はしないが、以下のゲノム領域の1つ以上が挙げられる:CD14、ENDRB、HIC、RARB1、PGR、SFRS8、TMSB10、ABCG2、MFNG、LAMR1、RAGE、ABL1、CRBP、GPR37、HRK、RARA、SYK、ECE1、MME、TEM、NF2、XIAP、RARRES1、FLI1、HTLF、LDHB、RB1、TGD、CDK4、MMP14、RAB32、BARD1、NF1、LIM2、MMP2、DAB2、BMP6、CDKN1C、DAB2IP、LMNB1、MMP28、HAI2、SOCS1、HIC2、MSH6、RIN2、HMGA1、JUN、S100P、SRF、VDR、DKK3、KRAS2、PLAU、TNFRSF10B、CDH1、MAC30、DDB2、PAX6、AXL、EIF4A2、SLIT2、RECK、TERC、GATA5、STAT1。他の領域としては、下表8に示されたものが挙げられる。
【0056】
HPVを用いて本発明者らにより得られたデータから、各々全ての疾患状態または健康状態は、本発明においてマーカーとして使用し得る特定のゲノム領域を有し得ることが解されよう。サンプルがHPVに関して陽性であり、癌または前癌状態由来のものである場合に、試験されたゲノムマーカーで陽性(メチル化)だったのがおよそ15%位だけだった事実は、何らかの所与の疾患状態または健康状態に関する可能性のある標的が多数存在し得ることを示している。ヒトゲノム内に約25,000のタンパク質コード遺伝子座があるとすれば、15%の比率では、ただ遺伝子の調節領域を使用して、約4000の可能性のある標的が予測されることになる。特異的CpG領域が特定の疾患状態または健康状態においてメチル化され得るため、より多くの潜在的標的があると考えられる。したがって、本発明は、このような全ての可能性のあるマーカーを包含する。当然のことながら、本教示は、任意の疾患状態または健康状態に関する任意の有用なゲノムマーカーを判定するために、当業者により使用され得る。
【0057】
第5の態様において、本発明は、
(a)ヒトパピローマウイルス(HPV)中の非メチル化シトシンをウラシルに変換してHPV核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する条件下、対象からのサンプルを重亜硫酸塩試薬で処理する工程;
(b)HPV核酸誘導体の所望のHPV特異的核酸分子を増幅させることができる、HPV核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
(c)ゲノム核酸誘導体の所望のゲノム特異的核酸分子を増幅させることができる、ゲノム核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
(d)HPV核酸誘導体および前記ゲノム核酸誘導体に対して増幅反応を実施する工程;および
(e)増幅されたHPV核酸産物および増幅されたゲノム核酸産物の存在をアッセイする工程であって、1つまたは双方の産物の検出により対象の子宮頚癌状態への進行が示される工程、を含む対象の子宮頚癌の可能性のあるものをスクリーニングするアッセイを提供する。
【0058】
好ましい一形態において、本アッセイは、
(f)HPVが存在するサンプルを、前記サンプル中のHPVのタイプ、サブタイプ、変異体または遺伝子型を決定するために試験する工程、をさらに含む。
【0059】
例えば、HPV16の検出では、HPV16ウイルス核酸誘導体に結合できるプライマーを調製することができる。当然のことながら、HPV核酸誘導体を、他の全てのHPVタイプに関して、HPV16で実施したとおり、それぞれのゲノム配列において、全てのシトシンをウラシルへ変化させることによって判定することができる。このような変換は、本発明によるアッセイの工程において実施されたサンプル中のウイルス核酸処理の結果を示す。
【0060】
当然のことながら、他のHPVタイプからのHPVウイルス核酸誘導体に結合できる他の好適なプライマーまたはプローブを考察することができる。
【0061】
第6の態様において、本発明は、PCRなどの増幅反応のための1種以上の試薬または成分と共に、ウイルス特異的核酸分子の関するプローブまたはプライマーおよびゲノム特異的核酸分子の関するプローブまたはプライマーを含む、対象における健康状態を判定するためのアッセイに使用されるキットを提供する。
【0062】
サンプルとしては、これに限定はしないが、綿棒、生検、スミア、パップスミア、表面掻取り、スパチュラ、および体液サンプル、ならびに凍結材料、パラフィンブロック、ガラススライド、法医学採取系、および永久保存材料などの種々の保存媒体からのサンプルが挙げられる。
【0063】
動物およびヒト、ならびに植物を含む生物の集団はいずれも、長期ウイルス作用に耐性の個体を有する。したがって、ウイルスの存在とゲノムのメチル化などのゲノムマーカーとの組み合わせによって、ある生物が疾患状態を有するようになる、または有する可能性が高いかどうかが識別されることになる。本発明は、ヒトへの適用、ならびに獣医学および他の生物ベースの活動に好適である。例えば、本発明は、ゲノムメチル化の生じることが十分に示されている全ての家畜に、および野生動物集団のモニタリングのための管理手段としても使用できる。
【0064】
本質的に、本発明は、2つのレベルでのアッセイに関する:1つは、ウイルスの存在に関するものであり、他方は、特定の増幅産物または増幅の欠如から推定されたゲノムまたは核酸標的の存在、不在または状態に関するものである。標的は、メチル化状態、核酸配列、または核酸配列の欠如、または核酸配列の変化であり得る。いくつかの進行した癌では、ゲノム標的が完全に欠失していることがあり得、したがって、その存在の欠如は診断に用いることができる。これはそれ自体で優れた診断手段であり得、本発明に含まれる。また、多くの癌が、二重微小染色体と称される染色体外アンプリコンを有しており、したがって、それらは46の染色体の1つにない点で、厳密にはゲノムでない。同様に、細胞質または核オルガネラに含有された任意の1つ以上のミトコンドリアDNAが本発明に含まれる。
【0065】
本発明者らは、併用するための技術を開発し、それを、例えば、単一のチューブで用いれば、癌性に向かって進行している細胞集団の進行リスクの評価において、それぞれの技術を単独で用いる場合よりはるかに強力となる。典型的には、ゲノム標的の1つまたは少数のゲノムメチル化は、1本のチューブ内で行われる。ウイルスゲノムと宿主ゲノムDNA(またはRNA)の双方を含有する患者サンプルが、重亜硫酸ナトリウムの使用により、ウイルスの存在と変化した宿主メチル化プロフィールとの双方の検出のために同時に使用できる単純化された形態へと変換される場合、アッセイは強力である。
【0066】
核酸の修飾は、非メチル化シトシンから他のヌクレオチドへの変換であり得る。試剤が非メチル化シトシンをウラシルへと修飾し、次いでこれが核酸誘導体の増幅中にチミンとして置換されることが好ましい。非メチル化シトシンを修飾するために用いられる試剤は、重亜硫酸ナトリウムであることが好ましい。同様に、メチル化シトシンではなく、非メチル化シトシンを修飾する他の試剤もまた、本発明のアッセイに使用できる。例としては、これに限定はしないが、重亜硫酸塩、酢酸塩またはクエン酸塩が挙げられる。試剤は、酸性水性条件の存在下で、シトシンをウラシルへと修飾する試薬である重亜硫酸ナトリウムであることが好ましい。
【0067】
重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)はシトシンの5,6−二重結合と容易に反応して、スルホン化シトシン反応中間体を形成し、これは脱アミノ化され易く、水の存在下で重亜硫酸ウラシルが生じる。必要ならば、重亜硫酸基は、緩和なアルカリ性条件下で除去でき、その結果、ウラシルが形成される。したがって、全てのシトシンはウラシルへと変換される可能性がある。しかし、メチル化シトシンは、メチル化による保護のため、修飾試薬によって変換することはできない。
【0068】
本明細書を通して、文脈により別の意味が必要とされない限り、「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などのバリエーションは、当然のことながら、述べられた要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の排除を意味するものではない。
【0069】
本明細書に含まれた文書、法令、材料、装置、物品などの考察は、本発明の文脈を提供することだけを目的としている。これらの事項のいずれかまたは全てが、先行技術の基礎の一部を形成するとか、または本明細書の各請求項の優先日前にオーストラリアに存在していた、本発明に関連した分野における一般的に知られた知識だったと認めることとして考えるべきではない。
【0070】
本発明がさらに明瞭に理解され得ることを目的として、以下の図面および実施例を参照として、好ましい実施形態を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
発明を実施するための様式
定義
本明細書に用いられる用語「対象」とは、シトシンにゲノムのメチル化を有する生物を意味する。これは典型的には、動物およびヒトなどの哺乳類、ならびに多数の植物種を含む。
【0072】
本明細書に用いられる用語「健康状態」とは、容易に確定できる疾患または病気について、ある個体が一般的集団の程度と異なっている程度を意味する。これは、ヒトに関しては、全ての一般的疫学的および健康管理上の目的のための標準的な診断的分類である、疾病の国際的分類により、世界保健機関によって規定されている。臨床的観点で、健康状態は、Harrisons; Principles of Internal Medicine, Braunwald, E et al., eds, McGraw Hill, Medical Publishing Division, 15thおよびその後の版に述べられている基準を用いてアッセイできる。
【0073】
本明細書に用いられる用語「ゲノム標的の状態」は、標的核酸(染色体または染色体外)の存在または不在、ゲノム標的のメチル化または非メチル化を含むことができ、標的は、生物のその集団内の特定の細胞型に存在する正常または多型の核酸であるか、感染性の微生物またはウイルスにより導入された標的であるか、または外部の動揺物質(perturbogen)の結果としての増幅、移動、転移または転座により応答した標的であり得る。
【0074】
本明細書に用いられる用語「修飾する」とは、非メチル化シトシンを他のヌクレオチドに変換することを意味する。試剤が非メチル化シトシンをウラシルへと修飾し、次いでこれが修飾核酸の増幅中にチミンとして置換されることが好ましい。
【0075】
本明細書に広い意味で用いられる用語「複雑性減少」とは、真核生物、原核生物、またはウイルス/ウイロイドの生命形態で天然に生じたものでも、合成的に製造されたものでも、(または、RNAウイルス/ウイロイドゲノムとして天然に発生し、その後cDNA形態へとコピーする)、4種の一般的塩基、G、A、TおよびCを含有するDNAゲノムが、重亜硫酸修飾の結果、Tsの頻度の増加およびCsの頻度の減少を受けることを意味する。この変換により、かつて通常のゲノムであったものが、生物学的に機能的な有意性を持たず、「ゲノムゴースト」からなる「誘導体」と称されるポリマーの配列へと変化する。
【0076】
本明細書に用いられる用語「複雑性減少」は、ATATATATATATATである配列(配列番号:76)対AAAAAAATTTTTTTである同じ長さの配列(配列番号:77)の間の何らかの数学的な複雑性の違いなど、誘導体集団において塩基が生み出す順序を言うのではない。本明細書に用いられる「複雑性減少」は、元のゲノムと不変位置1からnまでで対象となっている塩基を有するその変換誘導体との双方を有する分子プローブまたはプライマーにより評価される2つの分子(1つは、真のゲノムで他方は誘導体)において塩基の位置が変化しないことを称する。特定のヒト女性の30億塩基対ハプロイドヒトゲノムの場合、「トップ」鎖状の不変位置は、nが3,000,000,000位である、1からnとして定義される。1からnの配列で、i番目の塩基が、元のゲノムの「トップ鎖」においてCであるならば、変換されたヒト誘導体において、i番目の塩基はUである。7904塩基対のHPV16ウイルスゲノムの場合、不変位置は、1から7904と定義され、nは7904である。配列1からnで、i番目の塩基が、元のゲノムの「トップ」鎖においてCであるならば、変換されたHPV誘導体において、i番目の塩基はUである。アラインメントにおいて異なるタイプ、または複数のタイプのHPV誘導体が用いられ、それらのウイルス誘導体の長さが異なる場合、i番目の塩基の正しい判定には、通常の複数ゲノムアラインメントに関するMorgenstern, B. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93, 12098-12103により例示されたような慎重な生命情報科学的な複数のアラインメントが必要である。
【0077】
個々のウイルスゲノムに、またはヒト細胞とウイルスゲノム双方、またはそれらの部分を含有する臨床サンプルに見出されるウイルスゲノムの混合物に適用した場合のこのような変換処理の結果を明らかにしている一例がある。
【0078】
5’GGGGAAATTC3’である通常の10塩基のゲノム配列(配列番号:78)(「トップ」鎖)は、5’GAATTTCCCC3’(配列番号:79)である相補的な「ボトム」鎖を有することになる。編成処理および重亜硫酸処理の後、「トップ」鎖は、5’GGGGAAATTU3’(配列番号:80)となり、「ボトム」鎖は、5’GAATTTUUUU3’(配列番号:81)となる。シトシンはウラシルに変換しており、ex vivoのDNAポリメラーゼ機序による認識の点で、ウラシルはチミンと等価であるため、トップ鎖誘導体は事実上、5’GGGGAAATTT5’GGGGAAATTT3’(配列番号:82)であり、ボトム鎖誘導体は、5’5’GAATTTTTTT3’(配列番号:83)である。したがって、当初は通常のゲノムが、トップ鎖とボトム鎖内に5つのCおよび5つのTを有したものから、今は、トップ鎖とボトム鎖内にCを有さず、10のTを有するポリマーの誘導体集団へと変換されている。通常ゲノムは、4塩基のものから3塩基の誘導体へと減少した。それは、「複雑性減少」であった。また、誘導体集団における「座位」とは、その誘導体内部の位置的な座標を言うに過ぎない。例えば、重亜硫酸変換後、座位は、いずれのネットワークレベルにおいても、機能的な生物学的特性を全て剥ぎ取られている。以前はコードし、調節しまたは構造的であったが、今では、両方の鎖において生物学的に意味のないものである。したがって、誘導体集団は以前はゲノムの相補鎖であったものの、今は情報的に無能な2つの非相補的ゴーストである無機能の化学的ポリマーの集合である。さらに、誘導体はユニークであり、統計的偶然による以外には、何らかの細胞の、(またはウイルスの、またはウイロイドの)生命形態において、通常の進化的過程によって生じた配列を表すものではない。
【0079】
プローブおよび複雑性減少
第1のものは通常のゲノムであり、第2のものは「変換された」もの(誘導体)である、2つの同じサイズの物質において、所与の分子条件セットの下で、特定の座位に対するプローブのハイブリダイゼーションと同じ特異性とレベルを達成するために必要なプローブ長の増加(IPL)の観点で、本発明者らは、本明細書において、分子プローブの形式的意味において、「複雑性減少」を定義している。分子の有用性を目的として、IPLは、1以上の整数である。各座位は、通常ゲノムならびに変換誘導体において、同じ位置に留まる。
【0080】
実際に、「複雑性減少」は、プローブ長において測定できる。例えば、平均して、11量体のオリゴヌクレオチドプローブは、それが、4種の塩基、G、A、TおよびCからなる4,194,304塩基(411は4,194,304に等しい)の通常ゲノムのセットにおいて、完全にハイブリダイズする唯一の位置を有する。しかし、このような当初4,194,304塩基のゲノムが、HGS重亜硫酸方法論によって、いったん変換されると、その変換された誘導体は、今やTが多く複雑性が低い。しかし、他の新たに生じた11塩基配列の位置は、重亜硫酸変換の結果、de novoに生じたものであるため、この複雑性減少の結果は、以前の唯一の11量体プローブが、複雑性減少誘導体の内部でそれがハイブリダイズできる唯一の部位をもはや有さないということになる。これらの新たに生じた配列は、本明細書においてデコイ座位と称される。このように、元の座位を見出しハイブリダイズするためには、およそ14量体のプローブが必要になる。この例では、プローブ長の増加は、およそ0から3塩基である。
【0081】
直観に反するように思われるが、今やTの多い誘導体における元の座位を検出するためには、増加したオリゴヌクレオチドプローブ長が必要とされ得る。したがって、誘導体の複雑性減少とは、座位の「トップ」鎖および「ボトム」鎖が誘導体における元のユニークな部位を見出すためには、より長いプローブを設計する必要があり得ることを意味する。しかし、下記に示すように、挿入核酸(INA)プローブの使用により、従来のオリゴヌクレオチドよりもはるかに短いプローブが可能になるため、長さの増加に関するこの要件は克服される。
【0082】
また、本明細書に用いられる「複雑性減少」は、サンプル中HPVの存在の判定において使用できるプローブ配列の種々の構造に適用される。さらに、このようなプローブは、PNAの主鎖などの非通例的主鎖を有し得るか、またはINAに記載されているような主鎖に対する修飾付加を有し得る。このように、誘導体は、プローブが挿入偽ヌクレオチド(INAにおけるような)などの追加要素を有するかどうかに関わりなく、複雑性減少を有すると考えられる。例としては、これに限定はしないが、DNA、RNA、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、MNA、アルトリトール核酸(ANA)、ヘキシトール核酸(HNA)、挿入核酸(INA)、シクロヘキサニル核酸(CNA)およびそれらの混合物とそれらのハイブリッド、ならびにこれに限定はしないが、それらのホスホロチオエート、メチルホスホレート、ホスホルアミダイト、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホトリエステルおよびホスホボラノエート(phosphoboranoate)などのリン原子修飾体が挙げられる。非天然ヌクレオチドとしては、これに限定はしないが、DNA、RNA、PNA、INA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA,ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、α−L−RNAまたはα−D−RNA、β−D−RNAの内部に含まれるヌクレオチドが挙げられる。さらに、これに限定はしないが、メチルイミノメチル、ホルムアセテート、チオホルムアセテート、およびアミドを含む結合基などの非リン含有化合物が、ヌクレオチドへの結合に使用できる。特に、核酸および核酸類縁体は、1つ以上の挿入偽ヌクレオチド(IPN)を含み得る。IPNの存在は、核酸分子に関する複雑性描写の部分にもならず、PNAにおけるようなその複雑性の主鎖部分でもない。
【0083】
「INA」とは、本明細書に参照として組み込まれているWO03/051901、WO03/052132、WO03/052133及びWO03/052134(Human Genetic Signatures Pty Ltd)の教示による挿入核酸を意味する。INAは、1つ以上の挿入偽ヌクレオチド(IPN)を含むオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類縁体である。
【0084】
「HNA」とは、Van Aetschot et al., 1995により記載された例のような核酸を意味する。
【0085】
「MNA」とは、Hossain et al, 1998により記載された核酸を意味する。
【0086】
「ANA」とは、Allert et al, 1999により記載された核酸を意味する。
【0087】
「LNA」とは、WO99/14226(Exiqon)に記載されたLNA分子であり得る。LNAは、WO99/14226の要旨に示されている分子から選択されることが好ましい。LNAは、Singh et al, 1998, Koshkin, et al, 1998またはObika et al., 1997に記載された核酸であることがより好ましい。
【0088】
「PNA」は、例えば、Nielsen et al, 1991に記載されたペプチド核酸を称する。
【0089】
プローブ長および座位における「トップ」鎖および「ボトム」鎖に関する種々のプローブ配列の観点で定義された複雑性減少の原理は、種々の分子環境における種々の構造のプローブおよびプライマー、または修飾されたプローブおよびプライマーに適用できる相対的用語である。INAの一例は、この相対性を明らかにする。標準的なオリゴヌクレオチドプローブ以上にINAが有する著しい利点は、INAが従来のオリゴヌクレオチドよりはるかに短く作製でき、しかも等価なハイブリダイゼーション結果を達成できることである(INAの長さ<オリゴヌクレオチドの長さ)。これは、INAの構造的要素である挿入偽ヌクレオチドIPN(Intercalating Pseudo Nucleotides)がもたらす、相補的DNAに対するINAの高い親和性による。したがって、所与の数のIPNを有するX塩基長のINAが、非変換ゲノムに対する特異的なハイブリダイゼーションを首尾よく達成することが要求される場合、同じ分子条件下で、重亜硫酸変換ゲノムにおける同じ座位にハイブリダイズするために、Xを超える長さのINAが依然として必要となる。
【0090】
また、宿主−病原体相互作用の場合、(ウイルスゲノムと宿主ゲノムが同じ臨床サンプル中に存在するが、濃度が著しく異なる場合)、「複雑性減少」およびINAの使用によって、特に、INAは、ATの多い核酸配列に優先的にハイブリダイズするため、ハイブリダイゼーションプロトコールに新たな有利な条件が導入されることに留意することが大切である。例えば、非変換HPV DNAの純粋溶液中、7904塩基のHPV16ゲノムにおける、ある唯一の座位を見出しハイブリダイズするために必要とされるウイルスのプローブまたはプライマーのおよその長さは、およそ6量体プローブ/プライマーである(4は4096塩基に等しい)。重亜硫酸処理をしてTの多いHPV誘導体を作出した後は、同じ分子条件下、この唯一の座位を見出すためには、およそ8量体のプローブまたはプライマー(3は6561塩基に等しい)が必要である。
【0091】
しかし、7904塩基対のHPVゲノムとおよそ3,000,000,000塩基対のヒトゲノムなど、極めてサイズの異なる2つのゲノムが、当初サンプル中に存在し、双方のゲノムがそれぞれの誘導体へと「複雑性減少」している場合、あるウイルス固有の配列に対するプローブまたはプライマーは、Tリッチのヒト誘導体が圧倒的に優勢である溶液中で、プローブまたはプライマーの誘導体標的にハイブリダイズする。例えば、サンプル中の各ヒト誘導体につき1つのHPV誘導体があるとすると、ウイルスプローブまたはプライマーは、3,000,007,904塩基対の誘導体にハイブリダイズする。そうすると、ある固有のウイルス配列のアッセイには、ヒト配列に新たに生じたウイルスデコイ座位から発せられるハイブリダイゼーションシグナルを避けるために、およそ14量体のプローブまたはプライマーが必要となる。
【0092】
プローブおよびプライマーの長さに関係する「複雑性減少」問題に加えて、PCR反応に用いられる縮重プライマーの数が多くない場合、ハイブリダイゼーションの動態およびPCR産物の検出能力にも重要な変化がある。HPVタイプ間の広範なゲノムの変動により、先行技術の増幅では、複数のPCR反応から関連増幅核酸産物またはアンプリコンを生じさせるために、多数の縮重プライマーの使用が必要であった。しかし、プローブ/プライマープール中に縮退が多くなるほど、溶液中の個々の任意の関連プローブまたはプライマーの濃度は低くなる。このような状況は、複雑な真核生物のゲノム上で実施されるドライバー−トレーサー反応におけるハイブリダイゼーションの動態と適合度に類似しており、1966 by Waring, M. & Britten R.J. Science, 154, 791-794;および1968 by Britten, R.J. and Kohne D E., Science, 161, 529-540(およびそれらの中のCarnegie Institution of Washington Yearbook reports由来の初期文献)で、初めて化学文献に紹介された。
【0093】
また、HPV−PCRプライマーがヒト誘導体に比較して高濃度である場合、ハイブリダイゼーション反応を支配するのは、HPVプライマーである。例えば、サンプル中のウイルス負荷が高ければ(例えば、単一ヒトゲノムにつき約100,000HPVゲノム)、ウイルスプライマーのハイブリダイゼーションの速度は、1つのヒト誘導体につきただ1つのHPV誘導体が存在する場合の100,000倍になるであろう。前者の場合、ウイルスの要素は、溶液中で、それがゲノムの高反復要素であるかのようにふるまう。しかし、単一のPCR反応によって、臨床サンプル中の異なるリスクを有する異なるHPVタイプを検出するためには、各HPVタイプとは異なるプライマーが典型的に必要とされ、縮退物の使用が必要となる。従来の、混合された通常のゲノム上での多重PCR反応では、最終的に、プライマー集団が組み合わせ上でずれることがある。ハイブリダイゼーション部位に対して競合する数千の異なるプライマーが事実上存在し得、PCR増幅がうまく行かないか、または増幅された核酸産物の分布が、サンプル中に存在する特定のHPVタイプに有利となって偏りが強くなるという最終結果となる。このことは、従来の非変換ゲノムが存在する臨床サンプルからのデータ作出に大きな問題となる。
【0094】
本発明に係る「複雑性減少」は、INAプローブおよびプライマーの任意使用と組み合わせて、これら先行技術の問題における困難な事項の多くを克服する。
【0095】
プライマーおよび複雑性減少
変換された分子集団(誘導体)が、変換された状態に留まるか、それともさらなる増幅に供されるかに依って、複雑性減少は異なることに留意されたい。上記で考察した例では、誘導体集団は、臨床サンプル中に存在するとおりに非増幅のままであった。トップ鎖(5’GGGGAAATTC3’)(配列番号:78)およびボトム鎖(5’GAATTTCCCC3’)(配列番号:79)はそれぞれ、5’GGGGAAATTU3’(配列番号:80)および5’GAATTTUUUU3’(配列番号:81)に変換されたことを思い出されたい。シトシンはウラシルに変換され、ウラシルは、ex vivoでのDNAポリメラーゼ機序による認識に関してチミンと等価であるため、トップ鎖誘導体は事実上、5’GGGGAAATTT3’(配列番号:82)であり、ボトム鎖誘導体は、5’GAATTTTTTT3’(配列番号:83)である。しかし、誘導体集団が今、酵素学的手段によってex vivoで複製されるならば、結果として、4つの異なる誘導体集団が生じ、これらは、[5’GGGGAAATTT3’(配列番号:82)]、[5’AAATTTCCCC3’(配列番号:84)]、[5’AAAAAAATTC3’(配列番号:85)]および[5’GAATTTTTTT3’(配列番号:86)]である。これらの誘導体は、確かに複雑性が減少しているが、変換直後に存在する元の非複製誘導体と同程度ではない。したがって、PCRプライマーが元の非複製誘導体鎖に対して作製される場合、トップ鎖またはボトム鎖いずれに対するプライマーかの選択が結果に影響するため、どちらの増幅核酸産物を調べたいかを思慮深く決定することが必要である。変換されたゲノムの結果を構成する2つの非相補的誘導体集団対複製後に存在する4つの誘導体集団の取り扱いの間の違いは直観的には明らかではないが、プライマー設計にとって重要な意味を有し得る。
【0096】
最後に、明確化するために以前紹介されたより長いプローブまたはプライマーの問題、および定量化された「複雑性減少」は、分子の誘導体集団内のユニークな配列を探索する際に関連性を仮定するだけである。しかしながら、本発明の重要な基礎は、ウイルスタイプ間で最も類似している誘導体座位の選択であると考えられ、必要に応じて、全てのウイルスタイプを1つの最初の試験でアッセイすることが可能になる。これらの選択される座位は、トップ鎖誘導体とボトム鎖誘導体のどちらが選択されるかによって変わり、このような座位は、ボトム鎖と比較してトップ鎖では異なる領域にある。
【0097】
誘導体集団においてより長いプローブおよびプライマーが要求されるという実用上の重要性は、HGS重亜硫酸処理を用いた変換によって、より類似した配列の座位が生じることでウイルス検出について得られる本発明の実用的利益によって目立たなくなる。また、従来のオリゴヌクレオチドの場合よりも、より短いプローブおよびプライマー分子が可能になるINAの任意使用によって目立たなくなる。さらに、誘導体集団に対する入れ子型PCRアプローチの適用では、増幅核酸産物の生成を可能にするために、同じ近傍に結合する2つのプライマーが必要である。PCRプライマーのうちの1つが、標的近傍の外側にあるデコイ座位に配列類似性を有している場合は、そのプライマー対の他方のメンバーが、同じ非標的領域にやはり近傍のデコイ座位を有するという可能性はない。そのような入れ子PCRアプローチの内側プライマーが第1ラウンドプライマーと同じ非標的領域にデコイ座位をやはり有するという可能性はさらにない。偽性増幅の可能性はきわめて低い。
【0098】
本明細書に用いられる用語「ウイルス特異的核酸分子」とは、ウイルスまたはウイルスタイプに特異的な1つ以上の配列を有する、判定された、または得られた分子を意味する。
【0099】
本明細書に用いられる用語「ウイルスの分類学レベル」は、タイプ、サブタイプ、変異体および遺伝子型を含む。ウイルスゲノムの流動性は認められている。種々のウイルス集団は、それらが、通常のDNA修復がもはや機能していない一定の癌性細胞内にある場合、さらに、単一ヌクレオチド変化について多型であり得るか、高変異性または低変異性に供され得る。
【0100】
本明細書に用いられる用語「ウイルス特異的核酸分子」とは、ウイルスまたはウイルスタイプを示し得る、処理された、または変換されたウイルスDNAに存在する特異的核酸分子を意味する。
【0101】
本明細書に用いられる用語「ウイルスタイプ」とは、以前単離され特徴付けられたウイルスタイプと90%未満の配列類似性がある、任意の既存のまたは新規のウイルス集団を称する。
【0102】
本明細書に用いられる用語「ウイルスサブタイプ」とは、以前のサブタイプに比較して、配列類似性が90〜98%の範囲にある、任意の既存または新規のウイルス集団を称する。
【0103】
本明細書に用いられる用語「ウイルス変異体」とは、配列類似性が、以前の変異体の98〜100%の間にある、任意の既存のまたは新規のウイルス集団を称する。
【0104】
本明細書に用いられる用語「HPV遺伝子型」は、以下のとおりである。遺伝子型は、任意の他の完全に配列決定されたHPVゲノムと1塩基だけ少なくとも異なる任意の完全に配列決定されたHPVゲノムであり、その単一塩基がG、A、TまたはCとして存在するものも、標準的なコンパレーターにおける所与の位置(すなわち、1位から7904位までのHPV16)における塩基が欠失、付加、増幅または転移によって他の部位へ変わっているものも含む。本発明者らは、先行技術のBLAST法を用いて、HPV16標品に対して全ての他のHPVゲノム型を比較した。
【0105】
本明細書に用いられる用語「HPV特異的核酸分子」とは、ウイルスまたはウイルスタイプを示し得る、処理または変換されたウイルスDNAに存在する特異的核酸分子を意味する。
【0106】
本明細書に用いられる用語「HPVタイプ」とは、以前単離され特徴付けられたHPVタイプとの配列類似性が90%未満である任意の既存のまたは新規のHPV集団を称する(1993, Van Rast, M.A., et al., Papillomavirus Rep, 4, 61-65; 1998, Southern, S.A. and Herrington, C.S., Sex. Transm. Inf. 74, 101-109)。
【0107】
本明細書に用いられる用語「HPVサブタイプ」とは、以前のサブタイプに対する配列類似性が90〜98%の範囲である任意の既存の、または新規のHPV集団を称する(1993, Van Rast, M.A. et al., Papillomavirus Rep, 4, 61-65; 1998, Southern, S.A. and Herrington, C.S., Sex. Transm. Inf. 74, 101-109)。
【0108】
本明細書に用いられる用語「HPV変異体」とは、配列類似性が以前の変異体の98〜100%の間にある任意の既存のまたは新規のHPV集団を称する(1993, Van Rast, M.A., et al., Papillomavirus Rep, 4, 61-65; 1998, Southern, A. and Herrington, C.S. Sex. Transm. Inf. 74, 101-109)。
【0109】
本明細書に用いられる用語「HPV遺伝子型」とは、以下のとおりである。遺伝子型は、任意の他の完全に配列決定されたHPVゲノムと1塩基だけ少なくとも異なる任意の完全に配列決定されたHPVゲノムであり、その単一塩基がG、A、TまたはCとして存在するものも、標準的なコンパレーターにおける所与の位置(すなわち、1位から7904位までのHPV16)における塩基が欠失、付加、増幅または転移によって他の部位へ変わっているものも含む。本発明者らは、先行技術のBLAST法を用いて、HPV16標品に対して全ての他のHPVゲノム型を比較した。
【0110】
表1は、ヒト患者の液体ベースの細胞診断サンプルからHPV特異的産物を生成させたオリゴヌクレオチドプライマーのリストを提供している。プライマーは全て、種々のHPVタイプのトップ鎖誘導体に特異的である。プライマーの呼称は以下のとおりである:
【0111】
HPVタイプ−誘導体領域−プライマー番号は以下の設計による。
【0112】
【表1】

【0113】
例えば、最上の行は、E7誘導体領域におけるHPV16についてのプライマー#1を示している。HPV−UniおよびHPV−HMは、縮退オリゴヌクレオチドプライマーを表している。非標準的記号は以前に定義されたとおりである。
【0114】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0115】
ウイルスアッセイ
本発明によるアッセイの第1の部分として用いられるウイルス検出はまた、細胞集団内の細胞状態の変化の評価、感染細胞内の転写、プロテオミック、代謝物またはメチロミックのネットワークの攪乱により実証されたリスク評価、感染進行のモニタリングおよび抗ウイルス療法などの治療措置を評価するために、全く異なるタイプの他のアッセイと組み合わせることができる。
【0116】
例えば、ウイルス特異的核酸分子を測定する分子アッセイは:
−組織切片における蛍光シグナルの自動定量化に関してマルチ−エピトープ−リガンド−カートグラフィ(Multi−Epitope−Ligand−Kartographie)(MELK)システムなどのパターン認識およびハイスループットロボット画像テクノロジーを用いるアッセイ、
−異数性、または異常オルガネラ(数、タイプまたは形態学的外観の点で)など、細胞内の染色体妨害の全体レベルを検出する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、細胞学的または組織学的分析に関する光、共焦点、送信または電子顕微鏡分析を用いるアッセイ、
−核酸またはポリペプチドアプタマー;スピーゲルマー(鏡像高アフィニティーオリゴヌクレオチドリガンド);分子の超感度非同位体検出に関する多色ナノクリスタル(量子ドットバイオ複合体)、または細胞表面もしくは内部成分に関するバイオマーカー;指数濃縮度によるリガンドの系統的発生(SELEX)および種々の細胞成分に標的化された高アフィニティーアプタマーリガンドを含む組み合わせ化学的アプローチを用いるアッセイ、
−細胞または免疫磁気細胞濃縮テクノロジー、フローサイトメトリーによりインターフェースさせたマイクロスフェアベーステクノロジー、あるいは種々の核酸またはペプチド/タンパク質部分を含有するコロイド懸濁液の光学的バーコードのレーザー捕捉を用いるアッセイ、
−複製、欠失、転移、再配置およびそれらの関連in situテクノロジーなどの全体ゲノムインバランスを検出する目的で単一細胞比較ゲノムハイブリダイゼーションを用いるアッセイ、
−遺伝子発現の連続分析(SAGE)、全遺伝子発現分析(TOGA)、順序無作為化アドレス可能高密度光ファイバーセンサアレイ、マイクロビーズ上の超並列符号配列決定(MPSS)を含むロボゲノムマイクロアッセイテクノロジーなどの転写調節を通知するアッセイ、
−タンパク質マイクロアレイ、マトリックス補助レーザー脱離イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)法、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR)、LC MS−MSおよび迅速蒸発冷却質量分析(RapEvap MS)による細胞分析など、種々のテクノロジーを用いるプロテオミック調節を通知するアッセイ、
−検出レベルが、ゼプトモル(10−21)感度に近接するマルチフォトン検出(MPD)を用いるアッセイ、
−正常から子宮頚癌への所与の経路に沿って細胞集団の位置を判定するため;好ましくは、ウイルス感染により影響を受ける細胞、または感染部位または炎症部位に動員された免疫細胞におけるゲノム遺伝子座のメチル化特性の変化を決定するため、臨床サンプルから細胞のメチロームを識別するためにメチロミックテクノロジーを用いるアッセイ、
と組み合わせることができる。
【0117】
上記テクノロジーの幾つかは、以前に評価されている(2001, Miklos and Maleszka, Proteomics, 1, 30-41)。
【0118】
データ採取、統合および管理システム
本発明に関連する開示資料に関するデータ採取およびデータ管理システムは、臨床患者データと組み合わせることができ、特殊アルゴリズム法を用いて分析できる。ロボットプラットフォーム管理およびデータ採取を自動的に保存でき、採取データは、gene ontologies, (GO)、National Library of Medicine’s Medical Subject Headings (MeSH) thesaurusにより代表されるdisease ontologies, Online Mendelian Inheritance in Man, (OMIM)またはHuman Genome Mutation Database (HGMD)またはPubMedのような知識データベースとインターフェースする情報科学基礎構造およびソフトウェアツールと組み合わせることができる。最新のヒトゲノムアセンブリとインターフェースし、GenbankおよびRefSeqなどの供給源からの情報へアクセスし、ダウンロードするソフトウェアパイプラインは、HPVで感染するか、または体内のどこかでHPVの存在による細胞により影響を受けた細胞のゲノム状態に対する通知アッセイと組み合わせることができる。
【0119】
HPVデータを臨床および関連生命情報科学データと共に統合するデータベース基盤では、例えば、より良好なソフトウェア操作およびデータベース管理を容易にする疎結合モジュラーアーキテクチャを利用することができる。関連データベース管理システム(RDBMS)(Postgresq 1 7.3バージョンなど)は、公開供給源であってロバストであり、HPVアリーナにおける臨床成績を評価し、より良好に予測するための統合システムの一部の例として役立つ。ウェブベースのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)を含むさらなる機能により、極めて多種多様なフォーマットで利用できる治療および製薬データと共に分子HPVデータと組み合わせるために集積細胞学的および組織学的分析を可能にするであろう。画像解析用の増強デジタルテクノロジー、病理学者により共有されるリモート画像および自動可視化システムの統合は、自動分子キットプラットフォームの集積部分として想定されている。
【0120】
細胞サンプリング
ウイルス検出プロトコールは、前胚盤胞段階、胚組織、出生時材料、死体または法医学供給源からのサンプルなど、体内の任意の部分からのサンプルに対して実施できる。それらは、子宮頚部および膣などの頚膣部領域に由来することが好ましいが、皮膚源に由来し得る。それらは、子宮頚部悪性転換帯に由来することが好ましい。サンプルは、CervexBrush、セラパック(Therapak)社、米国カリフォルニア州アーウィンデール;Digene Cervicalサンプラー子宮頚部ブラシ、ダイジーン(Digene)社、米国メリーランド州ガイサーバーグ;プラスチックスパチュラ/ブラシの組み合わせ、クーパー・インスツルメンツ(Cooper Instruments)、米国フロリダ州ハリウッドを用いるか;または男性または女性患者双方の会陰領域からのサンプルを得るためにはダクロン綿棒または任意の好適な材料を用いて、もしくは針生検などの任意の標準的生検手法により採取できる。サンプルは、PreserveCyte、サイティク(Cytyc)社、米国マサチューセッツ州またはトリパス・イメージングバーリントン(TriPath imaging Burlington)米国ノースカロライナ州からのAutoCyte PREPなどの種々の媒体に入れることができる。最初の試験は、液体ベースの細胞学的診断に対して実施されるが、パラフィン切片およびスライドなどの平面プラットフォームもまた好適である。
【0121】
キット
本発明は、種々のキットまたはキットの組合せで実施でき、マニュアル、半自動または完全ロボットプラットフォームにより例示することができる。好ましい形態において、MethyEasy(商標)またはHighThroughput MethyEasy(商標)キット(ヒューマンジェネティック・シグナチュアズ・プティ)(Human Genetic Signatures Pty)社、オーストラリア)は、EpMotionなどのロボットプラットフォームを用いて96または384プレート中、核酸の変換を可能にする。
【0122】
ヒトパピローマウイルス(HPV)
成熟ヒトパピローマウイルスDNAは、2種のウイルス性コードタンパク質からなる正二十面体カプシドコート内にカプセル化される。二本鎖循環式DNAゲノムは、HPV16に関して長さが7904の塩基対であるが、共通の媒体リスクタイプの間で、HPV51の7808の塩基対からHPV52の7942の塩基対まで変わる。ウイルスゲノムの領域は、循環式分子上で生じる順序で下記に提供される。ウイルスは、URRと称される非コード領域を有し、E6、E7、E1、E2、E4、E5、L2およびL1と表されるコード領域数を有する。幾つかのウイルスタイプは、機能性E5領域を欠くことができる。E4領域は、細胞質ケラチンネットワークの混乱を生じる複数のタンパク質産物を産生し、コイロサイトーシスと称される細胞質「ハロ効果」に導く。種々のHPVタイプは、エピテリオトピックであり、感染後、コイロサイトーシス、異常角化症、多核形成、核拡大などの異常状態、および複数扁平上皮内病巣(SIL)になり得、これら全ての変化は子宮頚部にのみに適用される。ウイルス性感染および染色体異常は、子宮頚部癌に相関し得るが、マルチパラメトリック変化は新生物病巣に見られ、ウイルス感染、ウイルス遺伝子発現、ウイルス組込み、細胞分化およびゲノム異常性との関連に対する理解は極めて乏しい(1998, Southern, S.A. et al., Sex Transm Inf., 74, 101-109)。この理由は、種々の遺伝子背景において種々のウイルスタイプおよびそれらの異なる効果を検出することが、このように極めて重要であるからである。
【0123】
また、HPVタイプを皮膚および粘膜カテゴリーならびに高リスク、中等度リスクおよび低リスクカテゴリーに割り振ることは先行技術に受入れられているが、これらのカテゴリーは、幾つかほころびを示しており、HPVの皮膚および粘膜のサブカテゴリーの間でさえも重複がある。例えば、HPV7は、口腔病巣と同様に皮膚疣にも関連している。HPV26は、会陰病巣と同様に全身性疣症との関連でも単離されている。さらに、HPV6およびHPV11は、低リスクタイプとして分類されているが、それらは、喉頭部および外陰部癌およびコンジローム尖圭と同様にBuschke−Lowenstein腫瘍から単離されている(1986, Boshart, M. et al., J. Virology, 58, 963-966; 1992, Rubben, A., et al., J Gen Virol., 73, 3147-3153)。
【0124】
宿主ゲノムへのウイルス組込みは、E1とL1遺伝子領域との間の線形化に至り、URR、E6およびE7領域は保持されるが、E1、L1およびL2などの遺伝子領域は欠失し、E2は不活化または欠失する。E6およびE7領域は一般に、子宮頚部癌では保持されるが、一方、E2タンパク質発現を欠く。E2損傷は、予後の不良と生存の短縮化とに関連している。
【0125】
患者のサンプル
細胞サンプルは、米国サイティック(Cytyc)社により供給された子宮頚部サンプリングデバイスを用いて子宮頚部の表面から家庭医により採取された。患者からは、サンプルをルーチンの癌スクリーニングプログラムの一部として、または先の子宮頚部疾患のモニタリング試験として採取されるサンプルに対して患者から同意を得た。医師は、採取デバイスからの細胞を細胞の保存用メタノール/水溶液に移し、試験するために実験室に輸送する。この細胞サンプルは、ルーチンの形態学的調製を用いて前癌またはウイルス感染による変化に関して評価した。細胞サンプルの個別の分割量を、本明細書に概説されたDNA試験用に用いた。
【0126】
DNAの抽出
ウイルスDNAは、好適な供給源から得ることができる。例としては、これに限定はしないが、細胞培養物、ブロス培養物、環境サンプル、臨床サンプル、体液、液体サンプル、組織などの固体サンプルが挙げられる。サンプルからのウイルスDNAは、標準的な手法により得ることができる。パラフィン固定材料に関する好適な抽出物の例は、以下のとおりである。対象のサンプルを、400μlの7M塩酸グアニジニウム、5mM EDTA、100mMトリス/HClのpH6.4、1%トリトン−X−100、50mMプロテイナーゼK(シグマ(Sigma))、100μg/ml酵母tRNAに入れる。このサンプルを、使い捨て1.5mlの内筒で完全にホモジナイズし、60℃で48時間放置する。インキュベーション後、サンプルは5分間/95℃、5分間ドライアイスの5回の凍結/解凍サイクルに供される。次いでサンプルをボルテックスし、細胞片をペレットにするために微量遠心管中で2分間スピンさせる。上澄液を、正常なチューブに取り出し、塩濃度を減らすために希釈し、次いでフェノール対クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させ、50μlの10mMトリス/0.1mM EDTAに再懸濁させる。
【0127】
驚くべきことに、核酸の他の供給源からウイルスDNAを分離する必要がないことが、本発明者らにより見出されている。この処理工程を、異なるDNAタイプの広範な混合物に対して使用でき、しかもウイルス特異的核酸を、本発明により同定することができる。複合DNA混合物の検出限界は、標的ウイルス核酸分子の単一コピーに至り得る標準的なPCR検出限界のものであると推定される。
【0128】
ハイスループットHPVアッセイ
本発明は、多数のサンプルが、HPVに関して同時に試験される96ウェルプレートを用いてハイスループット様式で工程毎に使用できる。これは、以下のとおり、可能な市販キットに関する取扱い説明書によって示される。
【0129】
【表3】

注:対照サンプル/プライマー1、2、3Aおよび3Bは、受領したら−20℃で保存する必要がある。
【0130】
必要な材料および装置(供給されず)
・真空分岐管または遠心分離が以下のとおり用いられる:
Hgで少なくとも−10(4.9psi)圧を適用するポンプを備えた96ウェルプレート真空分岐管(社内試験は、Biorad Aurum Manifoldを使用して実施されたが、他の分岐管も使用に適合化できる)または
クリアランス96ウェルフォーマットプレートと適合するローターを備えた遠心分離機(社内試験は、Eppendorf 5810を用いて実施された)。
・96ウェルフォーマットの0.2ml低プロフィールプレートに適合性の加熱蓋付PCRサーマルサイクラー
・384ウェルフォーマット(HPVタイピング用)に適合性の加熱蓋付PCRサーマルサイクラー
・高クリアランス96ウェルフォーマット(HPVタイピング用)の0.2ml低プロフィールプレートに適合性の加熱蓋付PCRサーマルサイクラー
・80%イソプロパノール(分子生物学グレード)
・水(分子生物学グレード)
・NaOH(分析グレード)
・2×PCRマスター混合物(プロメガ(Promega)カタログ番号M7505 1000rxn)
・E−Gel System Mother E−Base(商標)デバイス(インビトロゲン(Invitrogen)EB−M03)
・E−ゲル96ハイスループット2%寒天(インビトロゲン(Invitrogen)カタログ番号G7008−02)
・E−ゲル低範囲マーカー(インビトロゲンカタログ番号12373031)
・試薬貯蔵器×5
標準的実験室装置(供給されず)
・1ml容量(200μl〜1000μl)までの多チャネルピペット
・200μl容量(20μl〜200μl)までの多チャネルピペット
・10μl容量(1μl〜10μl)までの多チャネルピペット
・リントフリー組織
・タイマー
・エアロゾルバリヤーチップ(10μl〜1000μl)
・ライトボックス
・ゲル文書化システム
・Glison P1000
・Glison P200
・Glison P20
【0131】
方法
HPVハイスループットDNA重亜硫酸塩修飾キットを初めて使用する場合、そのユーザーガイドの詳細な方法を、重亜硫酸塩変換法を実施する前に読むことが強く推奨される。
【0132】
HPVハイスループットDNA重亜硫酸塩修飾キットを使用することで、変換前のゲノムDNAの前消化は必要ない。このキットは、1ngから4μgのゲノムDNAの出発DNA濃度のために最適化される。
【0133】
サンプル調製
・試薬1の全容量を試薬2のボトルに組み合わせ、静かに転倒させて混合する。組み合わせた試薬を72℃で10分間または完全に溶解されるまで放置する。注:一旦混合した試薬1および試薬2は、4℃の暗所で1ヵ月間まで安定である。全ての試薬は、製造日から1年間室温で安定である。
・プロトコールの開始前に、72℃のオーブンまたはインキュベーター内に1時間まで結合用緩衝液を入れる。
・新鮮な0.3M NaOH溶液(例えば、50.0mlの水中0.6gのNaOH)を各回に作製する。
・5μLの対照サンプル1を495μLの水(分子生物学グレード)に加え、試験サンプルと平行して処理する。対照サンプル1は、処理対照として、および感度対照として作用する未変換HPVテンプレートを含有する。これは、ウェルH10に入れる必要がある。
・500μLの水を残りの試験サンプルと処理する「DNA無しの対照」を常時実施する。これは、ウェルH11に入れる必要がある。
・液体ベースサンプル(PreservCyt(登録商標))バイアルを手で激しく振って、沈殿細胞を再懸濁させ、サンプルの十分な混合を確実にする。
・300μlの再懸濁細胞を、精製プレート/洗浄プレートの組み合わせの適切なウェルに移す(ウェルH10、H11またはH12は用いない)。サンプルがどのウェルに入れられているかを詳細に記録する。
【0134】
プロトコール
・精製プレート/洗浄プレートの組み合わせを、2000×rcfで1分間遠心分離し、流出液を捨てる。NBは洗浄プレートを捨てない。
・基材密封用マットにより精製プレートの流し口を密閉し、全ての流し口が十分に密閉されていることを確認する。密封マットのカットコーナーが精製プレートのカットコーナーとそろうように常に確認する。
・2mlのプロテイナーゼKを細胞溶解緩衝液に加え、逆さにして混合する。
・100μlの細胞溶解緩衝液を、精製プレートの各ウェルに加える(12チャネルピペットを用いる)。
・10.5mlの結合用緩衝液を新たなチューブに取り、100μlの担体DNAを加える。逆さにして混合し、精製プレートの各ウェルに100μlの結合用緩衝液を加え(12チャネルピペットを用いる)、次いで用意されたプレート密封用フィルムにより精製プレートの上部を密封する。
・55℃で60分間インキュベートする。
・精製プレートから基材密封用マットを注意深く取り除き、洗浄プレートの上部に精製プレートを速やかに乗せる。精製プレートから密封用フィルムを取り除き、次に2000×rcfで1分間遠心分離し、流出液を捨てる。NBは洗浄プレートを捨てない。
・基材密封用マットを精製プレート上に置き換える。
・50μlの新鮮な0.3M NaOH溶液を、変換プレートの各ウェルに加え、精製プレートの上部を新鮮な密封用フィルム(用意された)で密封する。
・55℃で15分間インキュベートする。
・密封用フィルムを取り除き、組試薬1と試薬2を合わせた220μlを、多チャネルピペットを用いて変換プレートの各ウェルに加え、精製プレートの上部を新鮮な密封用フィルム(用意された)で密封する。
・この変換プレートを55℃で3時間インキュベートする。
・インキュベーション後、密封用フィルムを取り除き、240μlの結合用緩衝液(重要なプロトコール調製を参照)を変換プレートの各ウェルに加え、精製プレートの上部を新鮮な密封用フィルム(用意された)で密封する。
・精製プレートから基材密封用マットを注意深く取り除き、洗浄プレートの上部に精製プレートを素早く乗せる。
・密封用フィルムを取り除き、次に2000×rcfで1分間遠心分離し、流出液を捨てる。
・500μlの80%イソプロパノールを各ウェルに加え、室温で2000×rcfで1分間遠心分離する。
・洗浄プレートを取出し、流出液を捨ててから置き換え、室温で2000×rcfで1分間遠心分離する。
・洗浄プレートを捨て、溶出プレートの上部に精製プレートを置き、精製プレートの先端が溶出プレート内に正しくそろっていることを確認する。プレートを室温で5分間放置する。
・多チャネルピペットを用い、ピペットチップを接触させることなく、膜表面に近接させて置きながら、30μlの溶出用緩衝液を精製プレートの各サンプルウェルに加える。
・室温/1分でインキュベートする。
・全溶出容量を60μlにするために再度上記の工程を反復する。
・精製プレート/溶出プレートの組み合わせを、1000×rcfの室温/1分で遠心分離する。
・溶出プレートを取り除き、用意された密閉用キャップで密封する。
・このプレートを、加熱蓋付サーモサイクラー中、95℃/30分で加熱蓋付PCR器械中でインキュベートする。キャップを取外す前に短時間スピンさせる。
・液体ベースサンプル(PreservCyt(登録商標))バイアルを手で激しく振って、沈殿細胞を再懸濁させ、溶液を確実に均一にする。
・4mlの再懸濁細胞を15mlのCostar遠心管に移す。4ml未満の媒体である場合、全ての物質を15mlのCostar遠心管に移し、滅菌蒸留水で容量を4mlにする。正確な試験のために必要なサンプルの最低容量は1mlである。
・スイングアウトバケットロータ内のチューブを、3000×g/15分で遠心分離する。
・注意深くデカントし、ペレット化細胞材料を乱すことなく上澄液を捨てる。
・ペレット化細胞を、200μlの細胞溶解用緩衝液に再懸濁させ、溶液が均質になるまで十分に混合する。
・20μlのプロテイナーゼKを加え、インキュベーションプレートの各ウェルをインキュベートする。
・80μlのサンプルをインキュベーションプレート(プレート1)に移し、密封用キャップで蓋をし、55℃/1時間インキュベートする。
【0135】
プロトコール調製
・試薬1からの全容量を試薬2のボトルに組み合わせ、静かに逆さにして混合する。注:混合した試薬1および試薬2は、4℃の暗所で1ヵ月間まで安定である。試薬1、2、3および4は、製造日から1年間室温で安定である。
・新鮮なNaOH溶液(例えば、8.3mlの水中1gのNaOH)を各回に作製し、5μlを変換プレート(プレート2)の各ウェルに加える。
・5μLの対照サンプル1を15μLの水(分子生物学グレード)に加え、試験サンプルと平行して処理する。
・20μlの細胞溶解液を変換プレート(プレート2)に移し、静かに混合する。
・変換プレート(プレート2)を用意された密封用フィルムで密封し、オーブン中37℃/15分インキュベートする。インキュベーション後、フィルム上の濃縮物を沈殿させるためにフィルムを取外す前に短時間でプレートを遠心分離する。
・インキュベーションプレート(プレート1)を用意された密封用キャップで密封し、−20℃で保存する。
・試薬3は固体沈殿が形成されていないことを確認し、形成されていれば、溶液を温めて(80℃以下で)、混合する。
【0136】
遠心分離プロトコール
・多チャネルピペットを用いて、試薬1と試薬2とを合わせた220μlを変換プレート(プレート2)の各ウェルに加え、静かなピペット操作により混合し、用意された8ストリップ密封用キャップによりプレートを密封する。
・変換プレート(プレート2)をオーブン中、55℃/3時間でインキュベートする。
重亜硫酸塩処理は、1時間ほどの短時間で実施できるが、インキュベーション時間の減少により、アンプリコン内の局所的非変換が生じ得る。したがって、3時間未満のインキュベーション時間は推奨されない。
・インキュベーション後、240μlの試薬3(重要なプロトコール調製を参照)を、変換プレート(プレート2)の各ウェルに加える。
・精製プレート(プレート3)を、洗浄プレート(プレート4)の上部に乗せる。
・変換プレート(プレート2)からのサンプルを対応する精製プレート(プレート3)のウェル移し、用意された密封用フィルムで覆う。
・精製プレート(プレート3)/洗浄プレート(プレート4)の組み合わせを遠心分離機に入れ、室温/4〜5分の1000rcfでスピンさせる。
・洗浄プレート(プレート4)からの流出液を捨て、次いで精製プレート(プレート3)で置き換える。0.8mlの80%イソプロパノール(分子生物学グレード)を精製プレート(プレート3)の各ウェルに加える。
・室温で1000×rcf/1分で遠心分離する。
・洗浄プレート(プレート4)を取出し、流出液を捨ててから置き換え、室温で1000×rcf/2分で遠心分離する。
・溶出プレート(プレート5)の上部に精製プレート(プレート3)を置き、精製プレート(プレート3)のチップが、溶出プレート(プレート5)の適切なウェル内に配置されていることを確認する。
・ピペットチップを接触させることなく、膜表面に近接させて置きながら多チャネルピペットを用いて、50μlの試薬4を精製プレート(プレート3)の各サンプルウェルに加える。
・室温/1〜2分でインキュベートする。
・精製プレート(プレート3)/溶出プレート(プレート5)の組み合わせを、1000×rcfの室温/1分で遠心分離する。
・溶出プレート(プレート5)を取り除き、用意された密閉用キャップで密封する。
・このプレートを、95℃/30分で加熱蓋付PCR器械中でインキュベートする。
これでDNAサンプルが変換され、PCR増幅の用意ができる。インキュベーション後、密封キャップからの濃縮物を除去するためにプレートを短時間遠心分離する。
【0137】
内部対照PCR反応
問題処理を容易にするために、ゲノムDNAおよび対照PCRプライマーが提供されている。対照サンプル1(紫色)および2(緑色)は、処理対照として提供される。対照サンプル1は、8つの変換反応のために提供された十分な物質を有する未処理DNAである。対照サンプル2は、20のPCR増幅のために提供された十分な物質を有する重亜硫酸塩処理のDNAである。対照プライマー3A(黄色)および3B(赤色)はPCRプライマーであり、回収DNA(20回のPCR増幅に十分なものが提供される)の統合性をチェックするために使用できる。
【0138】
「入れ子」PCRプライマーは、HPVハイスループットDNA重亜硫酸塩修飾キットにより達成される検出感度をさらに改善するために用いられる。対照プライマーは、従来の重亜硫酸塩PCRプライマーであり、2ラウンドのPCR増幅に関して最適化されている。単一ラウンドでこれらのPCRプライマーを使用することは、多くの場合、アガロースゲル電気泳動後、可視アンプリコンバンドは見られないため推奨されない。
注:このプロトコールは、加熱蓋付サーマルサイクラーの使用に基づく。加熱蓋付サーマルサイクラーが入手できない場合、鉱油との反応にオーバーレイする。
【0139】
対照反応:
・対照サンプル1(紫色)は、未処理HPVゲノムDNA(50ng/μl)を含有する
・対照サンプル2(緑色)は、重亜硫酸処理HPVヒトDNA(20ng/μl)を含有する
・対照プライマー3A(黄色)は、第1ラウンドのPCRプライマーを含有する
・対照プライマー3B(赤色)は、第2ラウンドのPCRプライマーを含有する
【0140】
対照PCR
対照プライマー3A(第1ラウンドのPCRプライマー)および対照プライマー3B(第2ラウンドのPCRプライマー)は、20回の対照PCR反応までにとって十分な容量が供給された検証済みの「入れ子」プライマーである。これらのプライマーサンプルは、必要な場合、問題処理過程を助けるために供給されており、また、修飾DNAの品質を評価するためにも使用できる。
注:第2ラウンドのPCR反応は、第1ラウンドのPCR反応と平行して調製でき、必要になるまで凍結できる。
【0141】
高リスクPCR増幅
第1ラウンドの増幅
・各反応に関して、用意された高リスクPCRプレート中、12.5μlのPCRマスターミックス(例えば、プロメガ(Promega)マスターミックス)および9.5μlの水(分子生物学グレード)を加える。96のサンプルと1.25mlのマスターミックスとを組み合わせて設定する場合、850μlの水および200μlのプライマーを、適切なチューブ中で混合し、十分に混合する。次いで多チャネルピペットを用いて、23μlの反応混合物を用意された高リスクHPVプレート(プレート6)の各ウェルに加える。
・2μlの対照プライマー3Aを、ウェルH10およびH11を調節する適切なウェルに加える。
・溶出プレート(プレート5)からの必要な修飾DNA2μlを、用意された高リスクHPVプレート(プレート6)に加え、ならびに2μlの対照サンプル2をウェルH11に加え、次いで、残りを引き続くHPVタイピングのために−20℃で保存する(高リスクプレートレイアウトに関しては下記を参照)。
・以下のPCRプログラムを実行する。
【0142】
【表4】

【0143】
第2ラウンドの増幅
・第1ラウンドの増幅DNA2μlを、第1ラウンドの増幅と全く同じに調製された第2ラウンドの混合物に加える。
・以下のPCRプログラムを実行する。
【0144】
【表5】

【0145】
電気泳動
・フォイルラッパーから96ウェル2%E−ゲルを取出し、赤色96ウェルコームを取出す。
・10μlの滅菌水を、多チャネルピペットを用いてゲルの各ウェルに加える。
・10μlのDNAマーカーをマーカーウェルに加える。
・10μlの増幅産物を、多チャネルピペットを用いてE−ゲルの各ウェルに移す。
・E−ベースを5〜7分間設定し、pwr/prgをプレスする。
・UVライトボックスおよびゲル文書化ソフトウェアを用いて結果を記録する。
【0146】
HPVタイピング
第1ラウンドの増幅
ハイリスクタイピングプレート(プレート8)は、以下の高リスクHPVタイプ:16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68に対して方向付けられた株特異的プライマーを含有する。全ての高リスク株に関して各サンプルをタイピングする上で、十分なDNAが溶出プレート(プレート5)に残っている。
・−20℃のフリーザーから溶出プレート(プレート5)を取出す。
・高リスクユニバーサル増幅により陽性のサンプルは、ここで株特異的プライマーを用いてタイピングできる(タイピングプレート設定に関して下記を参照)。
・各反応に関して、用意されたPCRプレートの各ウェルに、12.5μlのPCRマスターミックス(例えば、プロメガマスターミックス)および8.5μlの水を加える。タイピングする6つのサンプルを有する場合、1187.5μlのマスターミックスおよび807.5μlの水を、適切なチューブに加え、十分に混合してから、下記に示すとおり、21μlをHPVタイピングプレート(プレート7)の各ウェルに加える。
・下記に示すとおり、2μlの適切なプライマーセットを各ウェルに加える。
・タイピングが、384のウェルフォーマットで実施され、24のサンプルがタイピングに利用できる場合、4.5mlのマスターミックスおよび3.42mlの水を適切なチューブに入れ、十分に混合し、次いで下記に示すとおり、21μlを384のウェルプレートの各ウェルに加える。次に下記に示すとおり、2μlの適切なプライマーセットを各ウェルに加える。
・2μlの高リスク陽性サンプル(溶出プレートから、プレート5)をタイピングプレートの適切なウェルに加える。
・各サンプルおよび「テンプレート無し」(陰性)対照に対して十分なチューブを備える。
・以下のPCRプログラムを操作する。
【0147】
【表6】

【0148】
第2ラウンドの増幅
・2μlの第1ラウンドの増幅DNAを、第1ラウンドの増幅と全く同じに調製された第2ラウンドの混合物に加える。
・以下のPCRプログラムを操作する。
【0149】
【表7】

【0150】
電気泳動
・フォイルラッパーから96ウェルの2%E−ゲルを取出し、赤色96ウェルコームを取出す。
・10μlの滅菌水を、多チャネルピペットを用いてゲルの各ウェルに加える。
・10μlのDNAマーカーをマーカーウェルに加える。
・10μlの増幅産物を、多チャネルピペットを用いてE−ゲルの各ウェルに移す。
・E−ベースを5〜7分間設定し、プレス操作をする。
・UVライトボックスおよびゲル文書化ソフトウェアを用いて結果を記録する。
・これでサンプルがタイピングされた。
【0151】
【表8】

【0152】
供給源からの重亜硫酸塩処理HPV DNAはゲノム的に単純化したプライマーを用いて増幅される場合、オリゴヌクレオチド類であろうとINA類などの修飾核酸であろうとヒト臨床材料であろうと別の極度端では環境源からのサンプルであろうとサンプル内の任意のタイプのHPVを見出すため卓絶した検出システムを提供する。本発明は、ヒト癌の原因であると考えられている臨床関連ウイルス(HPV)に関して開発された。
【0153】
本発明による検出アッセイの実用的な含みは変わり得る。詳細に上述された原理は、増幅のためにPCRを用いて示されたが、読み出し情報は、当該技術分野で公知の任意の方法と係合させることができる。マイクロアレイ検出システムが現在強調されており、重亜硫酸処理が、ゲノムの複雑性を減少させ、それゆえ、より少数の検出器(機能)によりマイクロアレイ上でより多くのタイプのHPVを試験できることから、ゲノム的に単純化したプライマーを用いて多種多様なHPVを検出できるであろう。
【0154】
要約すると、HGSのゲノム的に単純化したプライマーの方法により、多くの患者の臨床的表現型と相関している一貫したデータセットが得られる。
【0155】
重亜硫酸塩処理
核酸の効果的な重亜硫酸塩処理の代表的なプロトコールが下記に示される。このプロトコールにより、処理された全てのDNAの実質的な保持がもたらされる。この方法は、本明細書においてヒューマンジェネティックシグネチャーズ(HGS)法とも称される。サンプルまたは試薬の容量もしくは量は変わり得ることが認識されるであろう。
【0156】
重亜硫酸塩処理の好ましい方法は、Human Genetic Signature Pty社の名称で、参照として本明細書に組み込まれているUS10/428310またはWO2004/096825(PCT/AU2004/000549)に見ることができる。
【0157】
所望の場合、好適な制限酵素により予め消化してもよい2μgのDNAに、3M NaOH(新鮮に作製された50mlの水中6g)の2μl(1/10容量)を20μlの最終容量で加えた。重亜硫酸塩試薬が一本鎖分子と反応することが好ましいことから、この工程で、二本鎖DNA分子を一本鎖形態に変性させる。この混合物を37℃で15分間インキュベートした。室温より高い温度でのインキュベーションは、変性効率を改善するために使用できる。
【0158】
インキュベーション後、208μlの2Mメタ重亜硫酸ナトリウム(20ml水中、416mlの10N NaOHと共に7.6g;BDH AnalaR番号10356、4D;新鮮に作製)および12μlの10mMキノール(50mlの水中0.055g、BDH AnalaR番号103122E;新鮮に作製)を連続して加えた。キノールは還元剤であり、試薬の酸化還元を促進する。他の還元剤、例えば、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、キノン(ヒドロキノン)、または他の好適な還元剤も使用できる。サンプルを、200μlの鉱油によりオーバーレイした。鉱油のオーバーレイは、必須ではないが、試薬の蒸発および酸化を防止する。次いでサンプルを55℃で一晩インキュベートした。あるいはサンプルを、以下のとおりサーマルサイクラー中でサイクルでき:以下のとおり約4時間または一晩インキュベートする;工程1、PCR機械内で55℃/2時間サイクルし;95℃/2分サイクルする。工程1は、約37℃から約90℃の任意の温度で実施でき、5分から8時間までの長さで変わり得る。工程2は、約70℃から約99℃の任意の温度で実施でき、約1秒から60分までの長さ、またはそれ以上の長さに変わり得る。
【0159】
メタ重亜硫酸ナトリウムによる処理後、油分を除去し、DNA濃度が低い場合1μlのtRNA(20mg/ml)または2μlのグリコーゲンを加えた。これらの添加物は任意選択であり、DNAが低濃度で存在する場合は特に、標的DNAとの共沈殿させることにより得られるDNAの収率を改善するために使用できる。核酸のより効率的な沈殿のための担体としての添加物の使用は、一般に核酸量が<0.5μgである場合に望ましい。
【0160】
イソプロパノールのクリーンアップ処理は、以下のとおり実施した:800μlの水をサンプルに加え、混合してから1mlのイソプロパノールを加えた。水または緩衝液は、重亜硫酸塩が、対象の標的核酸と共に沈殿しない濃度まで反応容器中のこの塩の濃度を減少させる。塩濃度が本明細書に開示された所望の範囲未満に希釈される限り、この希釈は一般に、約1/4から1/1000である。
【0161】
サンプルを再度混合し、4℃で少なくとも5分間放置した。サンプルを微量遠心管中で10〜15分間スピンさせて、各回ボルテックスしながら70%ETOHによりこのペレットを2回洗浄した。この洗浄処理により、核酸と共に沈殿した残留塩が除去される。
【0162】
このペレットを乾燥させてから、pH7.0〜12.5のT/E(10mMのトリス/0.1mMのEDTA)の50μlなど、適切な容量で再懸濁させた。pH10.5での緩衝液は、特に有効であることが分かっている。サンプルは、核酸を懸濁させるのに必要である37℃から95℃で1分から96時間インキュベートした。
【0163】
増幅
PCR増幅は、Promega PCRマスターミックスを用いる2μlの重亜硫酸塩処理ゲノムDNA、6ng/μgの各プライマーを含有する25μlの反応混合物中で実施された。鎖特異的入れ子プライマーを増幅に用いる。第1ラウンドのPCR増幅は、PCRプライマー1および4を用いて実施された(下記参照)。第1ラウンドのPCR増幅後、1μlの増幅物質を、PCRプライマー2および3を含有する第2ラウンドのPCRプレミックスに移し、先に記載されたように増幅を行った。PCR産物のサンプルを、以下の条件下でThermoHybaid PX2サーマルサイクラー中で増幅した:95℃4分間の1サイクル、次いで95℃1分間、50℃2分間および72℃2分間の30サイクル、72℃10分間の1サイクル。
【0164】
【表9】

【0165】
多重増幅
1μlの重亜硫酸塩処理DNAを、以下の成分、すなわち25μlの20反応容量、×1Qiagen多重マスターミックス、5〜100ngの各第1ラウンドINAまたはオリゴヌクレオチドプライマー1.5〜4.0mMのMgSO、400μMの各dNTPおよび0.5〜2単位のポリメラーゼ混合物中に加える。次いでこの成分を、以下のとおり熱蓋サーマルサイクラー中でサイクルさせる。典型的に、各増幅反応において200以下の個々のプライマー配列まであり得る:
工程1;94℃15分間 1サイクル
工程2;94℃1分間、50℃3分間 35サイクル;68℃3分間
工程3;68℃10分間 1サイクル
【0166】
次に第2ラウンドの増幅を第1ラウンド増幅の1μlの分割量に対して実施し、これを酵素反応混合物および適切な第2ラウンドプライマーを含有する第2ラウンド反応チューブに移す。次いでサイクリングを上記のとおり実施する。
【0167】
HGS「複雑性減少」プライマーおよびプローブ
任意の好適なPCRプライマーまたはプローブが、本発明ならびに等温性増幅方法論を含む非PCR増幅に関して特に設計されたプライマーおよびプローブに使用できる。プライマーまたはプローブは、典型的に増幅される配列に相補的な配列を有する。プライマーまたはプローブは、典型的にオリゴヌクレオチドであるが、INA類などのヌクレオチド類縁体であり得る。「トップ」および「ボトム」鎖に対するプライマーは、配列が異なる。
【0168】
プローブおよびプライマー
プローブまたはプライマーは、任意の好適な核酸分子または核酸類縁体であり得る。例としては、これに限定はしないが、DNA、RNA、固定化核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、MNA、アルトリトール核酸(ANA)、ヘキシトール核酸(HNA)、挿入核酸(INA)、シクロヘキサニル核酸(CNA)およびそれらの混合物ならびにそれらのハイブリッド、ならびにこれに限定はしないが、ホスホロチオエート類、メチルホスホレート類、ホスホラミダイト類、ホスホロジチオエート類、ホスホロセレノエート類、ホスホトリエステル類およびホスホボラノエート類などのそれらのリン原子修飾が挙げられる。非天然ヌクレオチド類としては、これに限定はしないが、DNA、RNA、PNA、INA、HNA、MNA、ANA、LNA、CNA、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リキソピラノシル−NA、2’−R−RNA、α−L−RNAまたはα−D−RNA、β−D−RNA内に含まれるヌクレオチド類が挙げられる。さらに、非リン含有化合物は、これに限定はしないが、メチルイミノメチル、ホルムアセテート、チオホルムアセテートおよびアミドを含む結合基などのヌクレオチドへの結合に使用できる。特に核酸および核酸類縁体は、1種以上の挿入体擬似ヌクレオチドを含むことができる。
【0169】
プローブまたはプライマーは、INAを形成する1つ以上の内部IPN類を含有するDNAまたはDNAオリゴヌクレオチド類であり得る。
【0170】
検出方法
所望のサンプルの状態を判定するために多数の可能な検出システムが存在する。検出システムとしては、これに限定はしないが、以下のものが挙げられる:
I.適切に標識されたDNAの、10から>200,000の個々の成分に関して選択し得るミクロアレイタイプのデバイスへのハイブリダイゼーション。このアレイは、ガラス、プラスチック、雲母、ナイロン、ビーズ、磁気ビーズ、蛍光ビーズまたは膜などの任意の好適な固体表面上のINA類、PNA類またはヌクレオチドもしくは修飾ヌクレオチドアレイを含むことができるであろう;
II.サザンブロットタイプの検出システム;
III.アガロースゲルなどの標準的PCR検出システム、Genescan分析などの蛍光読取り。サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ、臭化エチジウムなどのDNA染色試薬、Sybrグリーン、抗体検出、ELISAプレートリーダータイプデバイス、蛍光計デバイス;
IV;特定または複数ゲノム増幅断片もしくはそれに対する任意の変体のリアルタイプPCR定量化;
V;WO 2004/065625に概説された蛍光ビーズ、酵素複合体、放射活性ビーズなどの任意の検出システム;
VI;鎖置換増幅(SDA)などのリガーゼ鎖反応または等温DNA増幅テクノロジーなどの増幅工程を利用する任意の他の検出システム;
VII.参照として本明細書に組み込まれている、Texas A&M University System名義のUS6426231およびUS6916665、University of Massachusetts名義のUS6824659などのバイオセンサーテクノロジーは、本発明に好適となるであろう。
【0171】
挿入核酸
挿入核酸(INA)は、配列特異的に核酸(DNAおよびRNA)にハイブリダイズできる非天然ポリヌクレオチドである。幾つかの所望の性質を示すことから、INAは、プローブまたはプライマーベースのハイブリダイゼーションアッセイに対する代替物/置換物としての候補物質である。INA類は、対応する天然核酸/核酸複合体よりも熱力学的に安定であるハイブリッドを形成するために核酸にハイブリダイズするポリマー類である。それらは、ペプチドまたは核酸を分解することが知られている酵素の基質ではない。したがって、INA類は、生体サンプルにおいてより安定であるはずであり、ならびに天然核酸断片よりも長い保存寿命を有する。イオン強度に極めて依存する核酸ハイブリダイゼーションとは異なり、INAと核酸とのハイブリダイゼーションは、イオン強度からかなり独立しており、核酸に対する天然核酸のハイブリダイゼーションを非常に不利とする条件下である低イオン強度が好都合である。INAの結合強度は、分子に操作される挿入基数ならびに二本鎖構造において特定の様式で積み重ねられる塩基間の水素結合による通常の相互作用に依存する。配列識別能は、DNA認識DNAよりもINA認識DNAの方が有効である。
【0172】
INAは、(S)−1−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−3−O−(1−ピレニルメチル)−グリセロールのホスホラミダイトであることが好ましい。
【0173】
INA類は、市販のフォーマットで標準的なオリゴヌクレオチド合成手法の適応により合成される。INA類の完全定義およびそれらの合成は、参照として本明細書に組み込まれているWO03/051901、WO03/052132、WO03/052133及びWO03/052134(Human Genetic Signatures Pty社)に見ることができる。
【0174】
実際、INAプローブとプライマーおよび標準的な核酸プローブとプライマーとの間には多くの相違がある。これらの相違は、都合よく生物学的、構造的、および物理化学的な相違に分類することができる。上記および下記に考察されるように、これらの生物学的、構造的、および物理化学的な相違は、典型的に核酸が使用される適用においてINAプローブおよびプライマーを使用しようする場合、予測できない結果となり得る。異なる組成物のこの不等価性は、しばしば化学技術において見られる。
【0175】
生物学的相違に関して、核酸は、遺伝子伝達および発現の作用物質として生物種の生命において中心的な役割を果たす生物学的物質である。それらのin vivo特性はかなりよく理解されている。しかしながら、INAは、化学者が思いつき、合成有機化学を用いて作製され、最近開発された全く人工的な分子である。その生物学的機能は知られていない。
【0176】
INA類は、構造的に核酸類とは劇的に異なる。双方とも共通の核酸塩基(A、C、G、T、およびU)を用いることができるが、これらの分子の組成は、構造的に多様である。RNA、DNAおよびINAの主鎖は、反復ホスホジエステルリボース単位および2−デオキシリボース単位を含む。INAは、リンカー分子(1つまたは複数)を介してポリマーに結合された1つ以上の大型フラット分子を有する上でDNAまたはRNAとは異なる。このフラット分子は、二本鎖構造におけるINAの反対位置の相補的DNAにおける塩基間に挿入する。
【0177】
INAとDNAまたはRNAとの間の物理化学的な相違もまた相当にある。INAは、核酸プローブまたはプライマーが同じ標的配列に結合するよりも速く相補的DNAに結合する。DNA断片またはRNA断片とは異なり、INAは、挿入基が末端位置に配置されない限り、RNAへうまく結合しない。挿入基と相補的DNA鎖の塩基との間の強い相互作用のため、INA/DNA複合体の安定性は、類縁体DNA/DNAまたはRNA/DNA複合体よりも高い。
【0178】
DNA断片またはRNA断片またはPNAなどの他の核酸とは異なり、INA類は、自己凝集または結合性を示さない。
【0179】
要約すると、INA類は、配列特異性を有して核酸にハイブリダイズし、INA類は、プローブベースアッセイまたはプライマーベースアッセイを開発するための有用な候補であり、特にキットおよびスクリーニングアッセイに採用される。しかしながら、INAプローブおよびプライマーは、核酸プローブおよびプライマーの等価体ではない。その結果、特異性、感度およびプローブベースアッセイまたはプライマーベースアッセイの信頼性を改善し得る任意の方法、キットまたは組成物は、DNA含有サンプルの検出、分析および定量化に有用となるであろう。INA類は、この目的のために必要な性質を有する。
【0180】
HPVおよび癌ゲノムマーカー
臨床サンプルおよび細胞系を用いて、本発明者らは、ほぼ400の遺伝子の調節領域におけるメチル化パターンを調べ、HPVの存在と共に癌の状態にある場合にメチル化の変化を有する60を超えるゲノムマーカーを見出している。例としては、これに限定はしないが、転写単位(遺伝子)内、またはそれらの近くの1つ以上の以下のゲノム領域、CD14、ENDRB、HIC、RARB1、PGR、SFRS8、TMSB10、ABCG2、MFNG、LAMR1、RAGE、ABL1、CRBP、GPR37、HRK、RARA、SYK、ECE1、MME、TEM、NF2、XIAPHSX11、RARRES1、FLI1、HTLF、LDHB、RB1、TGD、CDK4、MMP14、RAB32、BARD1、NF1、LIM2、MMP2、DAB2、BMP6、CDKN1C、DAB2IP、LMNB1、MMP28、HAI2、SOCS1、HIC2、MSH6、RIN2、HMGA1、JUN、S100P、SRF、VDR、DKK3、KRAS2、PLAU、TNFRSF10B、CDH1、MAC30、DDB2、PAX6、AXL、EIF4A2、SLIT2、RECK、TERC、GATA5、およびSTAT1と表されるものが挙げられる。
【0181】
疾患状態
本発明は、HPVおよび本発明を説明する例として子宮頚部癌の選択されたヒトゲノム領域のメチル化を用いている。種々の形態の認知症(アルツハイマー)などの他の状態は、単純ヘルペスウイルス1型などの感染性成分(2004, Neurobiology of Aging, 25, 619-627; Itzhaki, R.F., et al.);コロナウイルス関連SARS肺炎に関連する臨床進行およびウイルス負荷(2003, The Lancet, 361, 1767-1772, Peiris, J.S.M.m et al.,);ヒト免疫不全ウイルスHIV、および免疫系不全および幾つかのウイルスベース出血性熱(2004, Nature Medicine, 10, 570-576, Weiss, R.A. et al.,)を有する可能性があり;ニッパウイルス、パラインフルエンザおよびおたふくかぜを含むファミリーパラミクソウイルス科のウイルスは、種々の呼吸器疾病、おたふくかぜ、髄膜炎、膵炎、脳炎および麻疹に関連することがわかるであろう。ニッパウイルスは、1999年に最初に認められたばかりのものであり、感染患者の70%が致命的な脳炎を引き起こし、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ハムスター、コウモリおよびモルモットなどの非常に幅広い宿主範囲を有する。それは、世界の健康および経済に対して重大な脅威となり(2005, Nature, 436, 401-405; Negrete, O.A., et al,);デング熱、黄熱病、C型およびG型肝炎を含むフラビウイルス科のウイルスは、脳炎、肝炎およびショック症候群に関連する。C型肝炎は、例えば、世界中の感染者が1億7千万人を超える慢性肝臓疾患の主要原因であり、ワクチンを利用できず(2005, Science, 309, 623-626; Lindenbach, B.D., et al,);最後にファミリーヘルペスウイルス科のウイルスは、1型から8型までのヘルペスウイルスを含む。これらのウイルスは、口腔感染症、角膜の潰瘍、生殖器官の感染症、髄膜炎、水痘、肺炎、帯状疱疹、サイトメガロウイルス単核細胞症および脳炎を引き起こし得る。ヒトサイトメガロウイルスは、臓器移植者など、免疫不全者において重症で致命的な疾患を引き起こし(2003, Nature, 424, 456-461; Wang, X., et al)、これらもまた、健康状態の進行が、ウイルス存在および宿主のDNAのメチル化状態の組み合わせによりモニターできるので、ヒトならびに種々の動物において本発明の候補になるであろう。同様の例は、植物ウイルスおよびウイロイドに対して利用できる。
【実施例】
【0182】
実施例
HPV
本発明を説明するために、HPVおよび子宮頚部癌が以下の実施例に使用される。上記に概説された他のウイルスおよび疾患状態もまた、本発明によりアッセイできることがわかるであろう。
【0183】
本発明者らが、in silicoのバイオインフォマティクス分析で基礎としたものを反復すると、参照目的のために本明細書に利用された標準的なHPVタイプは、元はthe International Committee on Taxonomy of Viruses、ICTVによりそのように称されたファミリーパポバウイルス科パピローマウイルス属のHPV16であるが(1993, Van Rast, M.A., et al., Papillomavirus Rep, 4, 61-65;また1998, Southern, S.A. and Herrington, C.S. Sex. Transm. Inf. 74, 101-109も参照のこと)パピローマウイルス科に対する分類学的改善により、先行技術において時には交互に使用される。不明瞭な点を避けるために、本発明者らは、標準的なコンパレーターとして、HPV16の完全配列決定された7904塩基対のゲノムを用いた(National Center for Biotechnology information、NCBI座NC_001526;NC_001526.1版;GI:9627100;参照文献、Medline, 91162763 および 85246220; PubMed 1848319および2990099)。
【0184】
さらに、本発明者らは、それぞれNCBI登録番号のNC−001526、NC−001357、NC−001590およびNC−001594を有するいわゆる高リスクHPVタイプの16、18、45および56の完全配列決定されたゲノムを用いた。
【0185】
本発明者らは、それぞれNCBI登録番号のNC−001585、NC−001527、NC−001528、NC−001529、NC−001535、NC−001533、NC−001592、NC−001443およびNC−001695を有するいわゆる中等度リスクHPVタイプの30、31、33、35、39、51、52、58および66の完全配列決定されたゲノムを用いた。
【0186】
本発明者らは、それぞれNCBI登録番号のNC−000904、NC−001525、NC−001534、NC−005349、NC−001689、NC−001593、NC−001676およびNC−001692を有するいわゆる低リスクHPVタイプの6、11、42、43、44、53、54および55の完全配列決定されたゲノムを用いた。
【0187】
本発明者らが説明したように、種々の臨床サンプルのヒトパピローマウイルスの従来のDNA試験による検出は、多くの技術的、方法論的および臨床的問題により妨害されている。HPV DNAの重亜硫酸塩の変換により、HPV誘導体配列プールの複雑性を減少させるため、本発明は、先行技術に遭遇した多くの困難に対する解決を提供する。この複雑性が減少したことにより、サンプル中の種々のHPVタイプのより効率的な開始スクリーニングを可能にし、それゆえ臨床データとのより適切で正確なインターフェースを可能にする。
【0188】
出願人により開発された方法を用いるサンプル中のHPV検出例は、参照として本明細書に組み込まれているHuman Genetic Signtures Pty社の名称でWO2006/066353(PCT/AU2005/001963)に見ることができる。
【0189】
図1は、種々の正常な個体、ならびに高グレード扁平上皮内病巣部、およびある細胞系の、HPVの存在に関する試験結果を示す。提供されたデータは、HPVならびに400のヒトゲノム領域のメチル化状態に関して試験された患者からの図1のデータを補足する。
【0190】
【表10】

【0191】
HPVの二重存在および種々のヒトゲノム領域のメチル化状態
HPVとHPV特定のゲノム領域のメチル化状態とを合わせると、いずれか単独の特徴よりも強力な予知指標となることを立証するために実験を工夫した。この様式で、多数のゲノム領域は、子宮頚部細胞学的現象が正常である個体;子宮頚部細胞学的現象が、高グレード扁平上皮内病巣部に特徴的である個体、および子宮頚部細胞学的現象が細胞形態学の癌性指標に関して正常であるが、細胞学的特徴に基づいてHPVに陽性であることが推測される個体からのサンプルにおけるメチル化状態についてアッセイされた。
【0192】
図1Aは、HeLa細胞系および病理学者により判定されたHSILを示す2人の患者(HSIL−1およびHSIL−2と表される)、および子宮頚部形態学上正常であるが、病理学的表現型からHPVが存在すると推測される1人の患者(HPV+Norと表される)が、適切なPCR増幅テクノロジーにより判定されHPVの存在が陽性であったことを示す。正常な子宮頚部形態学を有する2人の患者(正常1および正常2と表わされる)は、高リスクHPVタイプの存在に関して分子的に陰性であった。
【0193】
図1Bは、HeLa細胞系におけるバンド(アンプリコン)の存在を示し、これにはHPV18タイプのDNA配列を含む。2つのHSILサンプル(2つのパネル番号)は、分子的にアッセイされたHPV16を含有する。病理学者により形態学的に正常であると判定されたが、その幾つかの細胞がHPV感染を示す特徴的な細胞質機能を有した子宮頚部組織は、HPVタイプ82に陽性であることが判明した(パネル4)。
【0194】
次にこれらの臨床サンプルを、メチル化の存在(posと表される)、または非メチル化(negと表される)に関して、各ゲノム座において試験した。重要な予後指標は、例えば、通常の病状を有する患者が非メチル化遺伝子座を有する場合であり、一方、高グレード扁平上皮内病巣部は同じ領域にメチル化を有し;端的に言うと、関連遺伝子領域は、癌性状態に進行すると沈黙させられる(逆の過程が適用される。正常な細胞学的現象を有する個体は、特定の細胞型においてメチル化される遺伝子座を有することができ、その遺伝子座は、癌性状態において非メチル化となる)。
【0195】
所与のゲノム領域のメチル化は細胞型により変わることから、幾つかのゲノム領域は、その特定の細胞型の癌性状態への進行に関して必要な情報を得ないであろう。これらの領域は、全てのサンプルにおいて完全に非メチル化であるか、または全ての臨床サンプルにおいて完全にメチル化されているであろう。
【0196】
表3Aおよび3Bは、多くの臨床サンプルのHPV状態、ならびにHeLa細胞系、および53の個々のヒトゲノム領域のメチル化状態を示す。
【0197】
表3Aおよび3Bから見ることができるように、HeLa子宮頚部細胞系および高グレード扁平上皮間病巣部(HSIL)の双方は、分子的に判定されたとおりHPV DNAの存在に関して陽性であった。病理学的に推測されたHPV感染を有するが、非癌性の1つの子宮頚部組織サンプル(HPV+Norと表される)は、HPVの存在に関して陽性であることも判明した。異なる個体からの2つの正常な子宮頚部組織サンプルは、分子的に判定されたようにHPV DNA配列の存在に関して陰性であることが判明した。
【0198】
上記領域の各々は、PCR増幅されており、生じたアンプリコンを適切な制限酵素により消化して(および/または配列決定して)、その特定のゲノム領域のメチル化状態を判定する(表3Aおよび3B)。
【0199】
最初に、予後指標に関する情報が得られないゲノム領域が存在する。これらは、全てのサンプルにおいて非メチル化(13のゲノム領域ABCG2からVHL)であるか、または全てのサンプルにおいてメチル化(4つのゲノム領域、CD34、MAGEA2、MAGEA3およびMINT31)される。表3Aおよび3Bの結果から特に興味深いのは、CD14、ENDRB、HICおよびRARBと表されるゲノム領域である。これら領域の全ては、HeLa子宮頚部癌細胞系および両HSILサンプルにおいてメチル化された。興味深いことに、これらの領域のいずれも、試験された正常な子宮頚部組織またはHPVにより感染された非癌性子宮頚部組織サンプルにおいてメチル化されなかった。
【0200】
最後に、ANAX7からTNFRS10Bまでの32のゲノム領域は、正常な個体とHSILを有する個体との間で可変性のメチル化パターンを示す。この可変性は、個々の患者の遺伝子背景およびヒトゲノムの個々の座でメチル化状態の異なる安定性の混合に極めて反映し易い。
【0201】
この結果は、HPVの存在が、ほとんど全てのHSILおよび子宮頚部癌に検出されているが、HPV単独の存在は、子宮頚部の高グレード異常性について信頼できる指標ではない。しかしながら、HPVの存在が、子宮頚部DNAサンプルのメチル化プロフィールの変化と関連する場合、これは、疾患状態の極めてより良好な予後指標を与える。
【0202】
【表11】

【0203】
【表12−1】

【表12−2】

【表12−3】

【0204】
ゲノム領域CD14、ENDRB、HICおよびRARBのメチル化に加えて、本発明はまた、正常な子宮頚部組織または384の候補遺伝子のパネルからHPVにより感染した正常な子宮頚部組織ではなくて、HSILサンプル中のCD14、ENDRB、HICおよびRARBと同様のメチル化プロフィール示す、さらに62のDNAゲノム領域を同定している。これらのマーカーは表4に掲げている。
【0205】
【表13】

【0206】
図2は、HGS HR−HPV DNA精製キットおよび検出キットを用いてヒトゲノムDNAおよびHPV DNAの双方に関して36のLBCサンプルに対するPCR増幅の結果を示す。この方法を用いた結果からわかるように、ヒトゲノム変化の存在および同時にウイルスの有無双方に関してアッセイすることは可能である。
【0207】
図3は、BstU1およびTaqαl制限エンドヌクレアーゼの組み合わせにより消化され、アガロースゲル上で電気泳動された16の異なるゲノム遺伝子座で増幅された正常な子宮頚部サンプルの代表的なゲルを示す。DNAを、液体ベースの細胞種から抽出し(ここでは番号28と29)、重亜硫酸ナトリウムで修飾し、入れ子状態のプライマーにより、さらなる分析のために同定された遺伝子に増幅した。これらの遺伝子は、左から右に1)TEM 2)MME 3)ECE1 4)SYK 5)RARA 6)HRK 7)GPR37 8)CRBP 9)ABL1 10)RAGE 11)LAMR1 12)MFNG 13)ABCG2 14)TMSBIO 15)SFRS8および16)PGRであった。
【0208】
サンプルの病理学およびHPV感染プロフィールは、専門病理学者により評価された。アンプリコン内のCpGジヌクレオチドが、メチル化されていない場合、チミン塩基への増幅後、重亜硫酸塩の修飾により非メチル化シトシンがウラシル塩基に変換する。非メチル化CpGジヌクレオチドおよび制限部位は、保持されず、したがって、BstU1(サンプルがメチル化されない場合に増幅後TGTGに変換するCGCGがわかるが、サンプルがメチル化配列を含有する場合にCGCGを存続する)、またはTaqαl(サンプルがメチル化されない場合に増幅後TTGAに変換するTCGAがわかるが、サンプルがメチル化配列を含有する場合にTCGAを存続する)エンドヌクレアーゼにより認識されない。したがって、未消化PCR産物を表す単一バンドの検出は、アンプリコン内のCpGジヌクレオチドがメチル化されていないことを意味する。メチル化CpGジヌクレオチドは、重亜流酸塩修飾に抵抗性であることから、制限エンドヌクレアーゼにより認識された制限部位は保持される。その結果、PCR産物は、アンプリコンに利用できるCpG部位数に依って複数断片(星印により示される)に消化される。空のレーンの検出は、PCR反応が不成功に終わったことを示唆している。
【0209】
2、3の複数バンドは、これら16の座位に検出された。このアッセイからの代表的な結果を表5に作表する。
【0210】
【表14−1】

【表14−2】

【0211】
病理学的に正常な子宮頚部サンプル(NORM)の代表的な番号のメチル化プロフィールの中のいくつかは、HPV感染(NORM HPV)を有しているようであった。DNAは、液体ベースの細胞サンプルから抽出し、重亜硫酸ナトリウムで修飾し、384の異なる遺伝子に増幅した。アンプリコンは、制限酵素により消化し、アガロースゲル上で電気泳動した。単一産物(未消化産物)の検出は、サンプルが、調べられる遺伝子のプロモーター領域において非メチル化(U)されていることを示している。複数バンド(消化産物)の検出は、サンプルが、調べられる遺伝子のプロモーターにおいてメチル化(M)されていることを示している。特定の遺伝子座におけるバンドの欠如(「F」により表される)により、PCR反応は不成功に終わったことが推測される。
【0212】
高リスクおよび中等度リスクパピローマウイルスDNAの存在(+)または不在(−)も掲載された。ヒトおよびマウス双方のGST−P1遺伝子(HmGST)を増幅したプライマーは、PCR反応に対する対照として含まれた。バンドの検出は、DNAが変換され、増幅に利用できることを意味する。
【0213】
図4は、BstU1およびTaqαl制限エンドヌクレアーゼの組み合わせにより消化された16の異なるゲノム座位で増幅され、アガロースゲル上で電気泳動された腫瘍サンプルの代表的なゲルを示す。DNAは、液体ベースの細胞種から抽出し(ここでは番号82、83、84、94、95および96)、重亜硫酸ナトリウムで修飾し、入れ子プライマーにより、さらなる分析のために同定された遺伝子に増幅した。これらの遺伝子は、左から右に1)PGR 2)SFRS8 3)TMSBIO 4)ABCG2 5)MFNG 6)LAMR1 7)RAGE 8)ABL1 9)CRBP 10)GPR37 11)HRK 12)RARA 13)SYK 14)ECE1 15)MMEおよび16)TEMであった。
【0214】
サンプルの病理学およびHPV感染プロフィールは、専門病理学者により評価された。アンプリコン内のCpGジヌクレオチドが、メチル化されていない場合、重亜硫酸塩の修飾により非メチル化シトシンがウラシル塩基に変換する。非メチル化CpGジヌクレオチドおよび制限部位は、保持されず、したがって、BstU1またはTaqαlエンドヌクレアーゼにより認識されない。したがって、未消化PCR産物を表す単一バンドの検出は、アンプリコン内のCpGジヌクレオチドがメチル化されていないことを意味する。メチル化CpGジヌクレオチドは、重亜流酸塩修飾に抵抗性であることから、制限エンドヌクレアーゼにより認識された制限部位は保持される。その結果、PCR産物は、アンプリコンに利用できるCpG部位数によって複数断片(星印により示される)に消化される。空のレーンの検出は、PCR反応が不成功に終わったことを示唆している。
【0215】
正常なサンプルと比較して、腫瘍サンプルでは、遺伝子のより大きな割合がメチル化される(図4を参照)。このアッセイからの代表的な結果を表6に示す。
【0216】
表6において、病理学的に異常な子宮頚部サンプルの代表的な番号に関するメチル化プロフィール(専門病理学者に評価された)を示す。サンプルは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の存在および病巣タイプに基づいて分類された(低グレードLG、パピローマウイルス LG HPVを有する低グレードLG、前高グレードPr HG、高グレードHG、癌in situ3つの成分を有する高グレード、および癌in situ3つの病巣CIN3)。
【0217】
DNAは、液体ベースの細胞サンプルから抽出し、重亜硫酸ナトリウムで修飾し、384の異なる遺伝子に増幅した。アンプリコンは、制限酵素により消化し、アガロースゲル上で電気泳動した。単一産物(未消化産物)の検出は、調べられる遺伝子のプロモーター領域において非メチル化(U)されているサンプルであることを示している。複数産物(消化産物)の検出は、識別される遺伝子のプロモーターにおいてメチル化(M)されているサンプルであることを示している。特定の遺伝子座におけるバンドの欠如(「F」により表される)により、PCR反応は不成功に終わったことが推測される。
【0218】
【表15−1】

【表15−2】

【0219】
【表16−1】

【表16−2】

【0220】
表7は、DNAメチル化プロフィールに関して64の異なるゲノム座位で調査されたサンプルの病理学を示す。
【0221】
予め判定された病状を有する96人の患者に関する液体ベース細胞サンプルから、DNAを抽出した。病状タイプに関係するサンプルの関連病状、ヒトパピローマウイルス感染の侵襲度およびこのウイルスの有無は、専門病理学者により評価された。
【0222】
サンプルは、細胞学的に正常(NORM)、HPVに感染している可能性が高い(HPV)、HPVに感染している可能性が高いが細胞学的に正常(HPV NORM)、低グレード病巣(LG)、HPV感染した低グレード病巣(LG HPV)、高グレード病巣(HG)、高グレード病巣の増加(INC HG)、前高グレード病巣(Pr HG)として、HPVに感染し易い癌腫in situ1の病巣、高グレード癌腫in situ3の病巣(HG CIN3)、高グレード癌腫(HG Cx)、扁平上皮細胞癌腫(SCC)、扁平上皮細胞癌腫/癌(SCC Cx)、腺癌(AC Cx)、子宮体癌(Ca Endomet)、腺癌/in situ腺癌(AC/AIS)としてラベルが貼られた。
【0223】
表8は、本発明による疾患状態の好適な指標である本発明により判明した遺伝子またはゲノム領域を示す。当業者は、ウイルス核酸の存在の検出と関連する1つ以上のこれらの遺伝子またはゲノム領域における変化を検出するために、好適なプライマーまたはプローブを工夫し得ることを理解できるであろう。
【0224】
【表17−1】

【表17−2】

【0225】
多数の変型および/または修飾が、幅広く記載された本発明の精神または範囲から逸脱することなく具体的な実施形態で示したように本発明になされ得ることを当業者は認識するであろう。したがって全ての点で、本実施形態は、例示であって限定するものでないと考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0226】
図面の簡単な説明
【図1】HeLa細胞系;高グレード扁平上皮内病巣と表示される(HSIL−1およびHSIL−2と表示される)2個体(1および2)からのサンプル;正常な細胞診断を有する2個体(正常1および正常2と表示される);癌性状態の細胞診断指標を有しないにも関わらず、専門病理学者の判定により、細胞表現型に基づいてHPV感染を有していると推定された1個体(HPV+Norと称される)を含む種々のヒトサンプルの高リスクHPV試験およびHPVタイピングを示す図であり、Aは、高〜中等度リスクHPVタイプに対するユニバーサルプライマーを用いた6つの異なるサンプルにおける高リスクHPVタイプの判定を示し;Bは、HPVタイプ16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58および59に特異的な複雑性減少プライマーセット、ならびに正常組織サンプルの場合、プライマーセット42、43、44、53、54、55、66、68、73、82、83および84を用いたHPVに関する試験を示す図である。
【図2】同一のLBCサンプルにおけるヒトゲノムDNAおよびHPV DNAの同時検出を示す図である。
【図3】16の異なるゲノム遺伝子座で増幅し、BstU1およびTaqαl制限エンドヌクレアーゼの組み合わせによって消化し、アガロースゲル上で電気泳動した正常な子宮頚部サンプルの代表的なゲルを示す図である。DNAは、液体ベースの細胞診断検体(本明細書で番号28および29)から抽出し、重亜硫酸ナトリウム修飾し、入れ子プライマーによって、さらなる分析のために同定される遺伝子へ増幅した。これらの遺伝子は、左から右へ、1)TEM、2)MME、3)ECE1、4)SYK、5)RARA、6)HRK、7)GPR37、8)CRBP、9)ABL1、10)RAGE、11)LAMR1、12)MFNG、13)ABCG2、14)TMSBIO、15)SFRS8および16)PGRであった。
【図4】16の異なるゲノム遺伝子座で増幅し、BstU1およびTaqαl制限エンドヌクレアーゼの組み合わせによって消化し、アガロースゲル上で電気泳動した腫瘍サンプルの代表的なゲルを示す図である。DNAは、液体ベースの細胞診断検体(本明細書で番号82、83、84、94、95および96)から抽出し、重亜硫酸ナトリウム修飾し、入れ子プライマーによって、さらなる分析のために同定される遺伝子へ増幅した。これらの遺伝子は、左から右へ、1)PGR、2)SFRS8、3)TMSBIO、4)ABCG2、5)MFNG、6)LAMR1、7)RAGE、8)ABL1、9)CRBP、10)GPR37、11)HRK、12)RARA、13)SYK、14)ECE1、15)MMEおよび16)TEMであった。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の健康状態を判定するアッセイであって、
核酸中の非メチル化シトシンを修飾できる試剤により前記対象からのサンプルを処理する工程であって、前記サンプル中のウイルス核酸およびゲノム核酸を処理してウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する工程;
処理された前記サンプル中の前記ウイルス核酸誘導体の存在をアッセイする工程;および
処理された前記サンプル中の前記ゲノム核酸誘導体におけるゲノム標的の状態を判定する工程であって、1種以上の前記ウイルス核酸誘導体の存在および前記ゲノム標的の状態により健康状態が示される工程、を含むアッセイ。
【請求項2】
アッセイ工程および判定工程に先立って、前記ウイルス核酸誘導体および前記ゲノム核酸誘導体の少なくとも一部を増幅させる工程をさらに含む、請求項1に記載のアッセイ。
【請求項3】
対象の健康状態を判定するアッセイであって、
ウイルス核酸およびゲノム核酸を含有する前記対象からのサンプルを、非メチル化シトシンを修飾する試剤により処理し、シトシン数は減少しているが、塩基の総数は対応する非処理ウイルス核酸および非処理ゲノム核酸と実質的に同じであるウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する工程;
ウイルス特異的核酸分子を得る工程;
ゲノム標的を有する核酸分子を得る工程;
ウイルス特異的核酸分子の存在を試験する工程;および
処理され増幅された前記サンプル中のゲノム標的の状態を判定する工程であって、1種以上の前記ウイルス特異的核酸分子および前記標的状態の検出により前記対象の健康状態が示される工程、を含むアッセイ。
【請求項4】
前記ウイルス特異的核酸分子および前記ゲノム標的を有する核酸分子が、前記ウイルス核酸誘導体および前記ゲノム核酸誘導体を増幅させることにより得られる、請求項3に記載のアッセイ。
【請求項5】
対象の健康状態を判定するアッセイであって、
非メチル化シトシンを修飾する試剤により、前記対象からのサンプルを処理して、核酸誘導体を形成する工程;
所望のウイルス核酸分子を核酸誘導体に増幅させることができるプライマーを提供する工程;
標的ゲノム核酸分子を核酸誘導体に増幅させることができるプライマーを提供する工程;
核酸誘導体に対して増幅反応を実施する工程;および
増幅された所望のウイルス核酸および増幅された標的ゲノム核酸の存在をアッセイする工程であって、1つ以上の増幅産物の有無により対象の健康状態が示される工程、を含むアッセイ。
【請求項6】
前記所望のウイルス特異的核酸分子を含む増幅核酸産物の存在をアッセイする工程を含む請求項5に記載のアッセイであって、前記所望のウイルス特異的核酸分子を検出することにより、前記サンプル中のウイルスの存在が示されるアッセイ。
【請求項7】
前記標的核酸分子を含む増幅核酸産物の存在をアッセイする工程を含む請求項5または6に記載のアッセイであって、前記標的核酸分子を検出することにより、前記サンプル中のゲノムまたは遺伝子の状態が示されるアッセイ。
【請求項8】
前記試剤が、非メチル化シトシンをウラシルに修飾する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項9】
前記試剤が、重亜硫酸塩、酢酸塩またはクエン酸塩から選択される、請求項8に記載のアッセイ。
【請求項10】
前記試剤が、重亜硫酸ナトリウムである、請求項9に記載のアッセイ。
【請求項11】
前記標的ゲノム核酸が、1つの遺伝子もしくは複数の遺伝子またはプロモーターもしくはエンハンサーなどの調節領域、あるいは、ゲノムの任意のコードもしくは非コード領域または静止もしくは移動性領域に特異的である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項12】
前記標的がメチル化特性を有する、請求項11に記載のアッセイ。
【請求項13】
前記メチル化特性が、ゲノム核酸のメチル化または非メチル化領域である、請求項12に記載のアッセイ。
【請求項14】
前記ウイルスが、癌などの疾患状態に関係する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項15】
前記ウイルスが、ヒトパピローマウイルス、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2)、ヒトヘルペスウイルス(HHV)、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、およびアデノウイルスからなる群から選択される、請求項14に記載のアッセイ。
【請求項16】
前記ゲノム標的が、癌などの疾患状態に関係する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項17】
ゲノム標的が、CD14、ENDRB、HIC、RARB1、PGR、SFRS8、TMSB10、ABCG2、MFNG、LAMR1、RAGE、ABL1、CRBP、GPR37、HRK、RARA、SYK、ECE1、MME、TEM、NF2、XIAPHSX11、RARRES1、FLI1、HTLF、LDHB、RB1、TGD、CDK4、MMP14、RAB32、BARD1、NF1、LIM2、MMP2、DAB2、BMP6、CDKN1C、DAB2IP、LMNB1、MMP28、HAI2、SOCS1、HIC2、MSH6、RIN2、HMGA1、JUN、S100P、SRF、VDR、DKK3、KRAS2、PLAU、TNFRSF10B、CDH1、MAC30、DDB2、PAX6、AXL、EIF4A2、SLIT2、RECK、TERC、GATA5、およびSTAT1の領域からなる群より選択される、請求項16に記載のアッセイ。
【請求項18】
対象の健康状態を判定するアッセイであって、
ウイルス核酸およびゲノム核酸中の非メチル化シトシンをウラシルに変換してウイルス核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する条件下、前記対象からのサンプルを重亜硫酸塩試薬で処理する工程;
前記サンプルに、前記ウイルス核酸誘導体における所望のウイルス特異的核酸分子を増幅させることができる、前記ウイルス核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
前記サンプルに、前記ゲノム核酸誘導体における所望の標的ゲノム特異的核酸分子を増幅させることができる、前記ゲノム核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
処理された前記サンプルに対して増幅反応を実施する工程;および
増幅されたウイルス核酸産物および増幅されたゲノム核酸標的の存在をアッセイする工程であって、前記産物および前記標的のうちの1つまたは双方の検出により前記対象の健康状態が示される工程、を含むアッセイ。
【請求項19】
ウイルスが存在するサンプルを、前記サンプル中のウイルスのタイプ、サブタイプ、変異体または遺伝子型を判定するために試験する工程をさらに含む、請求項18に記載のアッセイ。
【請求項20】
前記増幅が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または等温増幅により実施される、請求項18または19に記載のアッセイ。
【請求項21】
対象における子宮頸癌の可能性をスクリーニングするアッセイであって、
ヒトパピローマウイルス(HPV)中の非メチル化シトシンをウラシルに変換してHPV核酸誘導体およびゲノム核酸誘導体を形成する条件下、前記対象からのサンプルを重亜硫酸塩試薬で処理する工程;
前記HPV核酸誘導体の所望のHPV特異的核酸分子を増幅させることができる、前記HPV核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
前記ゲノム核酸誘導体の所望のゲノム特異的核酸分子を増幅させることができる、前記ゲノム核酸誘導体の領域に結合可能なプライマーを供給する工程;
前記HPV核酸誘導体および前記ゲノム核酸誘導体に対して増幅反応を実施する工程;および
増幅されたHPV核酸産物および増幅されたゲノム核酸産物の存在をアッセイする工程であって、1つまたは双方の産物の検出により前記対象の子宮頚癌状態への進行が示される工程、を含むアッセイ。
【請求項22】
HPVが存在するサンプルを、前記サンプル中のHPVのタイプ、サブタイプ、変異体または遺伝子型を決定するために試験する工程をさらに含む、請求項21に記載のアッセイ。
【請求項23】
前記サンプルが、綿棒、生検、スミア、パップスミア、表面掻取り、スパチュラ、および体液サンプル、ならびに凍結材料、パラフィンブロック、スライドガラス、法医学採取システム、および永久保存材料などの種々の保存媒体からのサンプルからなる群から選択される、請求項22に記載のアッセイ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−507498(P2009−507498A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530275(P2008−530275)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001349
【国際公開番号】WO2007/030882
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(505188906)ヒューマン ジェネティック シグネチャーズ ピーティーワイ リミテッド (15)
【Fターム(参考)】