説明

健康食品およびその製造方法

【課題】アミグダリンを過剰摂取することなく、梅干しとびわの種との双方の効能を得られるようにした健康食品およびその製造方法の提供。
【解決手段】 表皮を取り除いたびわの種2と梅干し1と少量のしそ3とを梅酢4を入れた瓶10の中で約6ヶ月〜1年の間一緒に漬け、この漬けた後のびわの種2を取り出して包丁12により切断後、ミキサー13等により粉砕し、天日14により乾燥する。さらに、このびわの種2をミキサー13等により粉砕して粉末状にすることにより、健康食品5が得られる。このように梅干し1の成分を含むびわの種2を乾燥し、粉末状にしたことにより、びわの種2に含まれるアミグダリンが適度に分解され、アミグダリンを過剰摂取することなく、梅干し1とびわの種2との双方の効能を得ることのできる健康食品5が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅干しとびわの種とからなる健康食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅干しは、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸などの有機酸、シトステロール、オレアノール酸、セリールアルコールなどを含み、(1)血液を綺麗に保つ、(2)疲労回復、イライラを解消、(3)胃腸の働きを改善、(4)肝臓を保護、(5)老化を防ぎ、美容を保つ、(6)鎮痛、解熱、消炎等の作用があることが知られている。また、梅干しの種は、抗がん作用を有すると言われているアミグダリンを微量ながら含んでいる。
【0003】
このような様々な作用を有する梅干しを種まで食べられるようにする技術として、例えば特許文献1には、梅の種が爪楊枝等で刺さる時期、すなわち、人の歯で噛める時期に梅を収穫する工程と、収穫した梅のヘタ取りする工程と、前記のように処理した梅を水洗いし、水に漬けてアク抜きする工程と、アク抜きした梅を塩漬けし梅酢があがるように漬ける工程と、塩漬けした梅酢に漬かった梅を土用干しする工程と、土用干しした梅を梅酢に再度漬ける工程とを含む梅干しの作り方が開示されている。
【0004】
また、びわの種もアミグダリンを含んでおり、例えば、特許文献2には、パパイヤの果肉を乾燥したのち、粉砕して得られた粉末と、びわの種を乾燥したのち、粉砕して得られた粉末とを混合した健康食品が開示されている。びわの種には、(1)癌、(2)喘息や肝臓病、(3)腎臓病、(4)糖尿病、(5)神経痛、(6)リウマチ、(7)肝硬変などの治りにくい慢性病の予防効果があると言われている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−73173号公報
【特許文献2】特開2000−83619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
梅干しの種は非常に硬く、通常食べることは不可能である。特許文献1に記載の方法では、種が爪楊枝等で刺さる時期に収穫する必要があるため、梅はまだ成熟していない段階であり、梅の有効成分が十分に生かされない。また、アミグダリンについては、過剰摂取は好ましくないとされており、成熟していない段階の梅の種では、アミグダリンを過剰摂取してしまう可能性がある。なお、梅が成熟するとアミグダリンは分解されて糖に変わり、微量のアミグダリンが含まれるものとなる。
【0007】
また、びわの種もアミグダリンを含むため、過剰摂取することは好ましくない。そのため、特許文献2に記載のように単にびわの種を乾燥して粉砕して得られた粉末を、パパイヤの果肉を乾燥して粉砕して得られた粉末と混合しただけでは、アミグダリンを過剰摂取してしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本発明においては、アミグダリンを過剰摂取することなく、梅干しとびわの種との双方の効能を得られるようにした健康食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の健康食品は、梅干しの成分を含むびわの種を乾燥し、粉末状にしたものである。梅干しはアミグダリンの分解を促進すると言われており、本発明の健康食品は、この梅干しの成分をびわの種に含ませることで、びわの種に含まれるアミグダリンを適度に分解したものとなり、梅干しとびわの種との双方の効能を得ることのできる健康食品となる。
【0010】
本発明の健康食品の製造方法は、表皮を取り除いたびわの種と梅干しとを所定期間一緒に漬けること、この漬けた後のびわの種を粉砕および乾燥して粉末状にすることを含む。本発明の健康食品の製造方法によれば、表皮を取り除いたびわの種と梅干しとを所定期間一緒に漬けることで、梅干しの成分がびわの種に浸透するとともに、浸透した梅干しの成分によってびわの種に含まれるアミグダリンの分解が促進される。これにより、びわの種に含まれるアミグダリンが適度に分解され、梅干しとびわの種との双方の効能を得ることのできる健康食品が得られる。
【0011】
ここで、びわの種と梅干しとは、梅酢に漬けることが望ましい。これにより、梅干しの成分が梅酢に溶け出し、梅酢を介してびわの種に浸透しやすくなるため、びわの種と梅干しとを一緒に漬ける所定の期間を短くすることが可能となる。
【0012】
また、本発明の健康食品の製造方法では、漬けた後のびわの種を粉砕し、完全に乾燥した後、さらに粉砕して粉末状にすることが望ましい。このように一旦漬けた後のびわの種を粉砕してから乾燥することで、びわの種を完全に乾燥することができ、さらに完全に乾燥した後のびわの種を粉砕することで細かい粉末状にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
(1)梅干しの成分を含むびわの種を乾燥し、粉末状にしたことにより、びわの種に含まれるアミグダリンが適度に分解され、アミグダリンを過剰摂取することなく、梅干しとびわの種との双方の効能を得ることのできる健康食品が得られる。
【0014】
(2)びわの種と梅干しとを、梅酢に漬けることにより、梅干しの成分が梅酢に溶け出し、梅酢を介してびわの種に浸透しやすくなるため、びわの種と梅干しとを一緒に漬ける所定の期間を短くすることができる。
【0015】
(3)一旦漬けた後のびわの種を粉砕してから乾燥することで、びわの種を完全に乾燥することができ、さらに完全に乾燥した後のびわの種を粉砕することで、細かい粉末状の健康食品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における健康食品の製造工程を示す説明図である。
本発明の実施の形態における健康食品の製造方法では、梅干しは直径2cm程度の大きさのものを使用する。また、びわの種は直径1cm程度の大きさのものを使用する。なお、梅干しはそのままの状態で使用するが、びわの種は茶色の皮で覆われており、そのままの状態では使用することができない。そこで、びわの種は一日中水に漬けた後、表皮を取り除いて使用する。また、表皮を取り除いた後は、びわの種を良く乾かして水分を取り除いておく。
【0017】
次に、図1の(a)に示すように、瓶10の中に梅干し1とびわの種2とを1:5〜6の割合で交互に詰める。また、しそ3を少々入れ、梅酢4を梅干し1とびわの種2とが完全に漬かる程度まで入れ、蓋11をする。この状態で約6ヶ月〜1年の間漬けると、梅干し1の色が茶色に変化してくる。このように梅干し1の色が変化すると、梅干し1の成分がびわの種2に十分に浸透している。
【0018】
そして、瓶10の中からびわの種2を取り出し、図1の(b)に示すように包丁12またはナイフ(図示せず。)等により4〜5等分に小さく切り刻み、これを図1の(c)に示すようにミキサー13またはミル(図示せず。)等によりさらに小さく粉砕する。そして、この粉砕したびわの種2を図1の(d)に示すように天日14または保温器(図示せず。)により8〜10時間乾燥し、水分が少しも残らないように乾かす。
【0019】
次に、図1の(e)に示すように、この乾いたびわの種2をさらにミキサー13に掛けて1〜2分程粉砕し、粉末状にすると、図1の(f)に示すように健康食品5が完成する。こうして得られた健康食品5は、梅干し1の成分をびわの種2に含ませることで、びわの種2に含まれるアミグダリンを適度に分解したものとなり、梅干し1とびわの種2との双方の効能を得ることのできるものである。
【0020】
こうして得られた健康食品5は、1回につき小さじすりきり1杯(約0.3g)程度を食する。食する目安は健康な人であれば3日に1回程度、病気の疑いがある人は1日1回程度、特に病状の悪い人は1日3回程度である。但し、健康な人または病気の疑いのある人は1日3回以上は食しないようにする。また、この健康食品5は粉末状であるため、小さじすりきり1杯分ずつカプセルに入れて携帯できるようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の健康食品の製造方法は、梅干しとびわの種とからなる健康食品を製造する方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における健康食品の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 梅干し
2 びわの種
3 しそ
4 梅酢
5 健康食品
10 瓶
11 蓋
12 包丁
13 ミキサー
14 天日

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅干しの成分を含むびわの種を乾燥し、粉末状にした健康食品。
【請求項2】
表皮を取り除いたびわの種と梅干しとを所定期間一緒に漬けること、
この漬けた後のびわの種を粉砕および乾燥して粉末状にすること
を含む健康食品の製造方法。
【請求項3】
前記びわの種と梅干しとを梅酢に漬けることを特徴とする請求項2記載の健康食品の製造方法。
【請求項4】
前記漬けた後のびわの種を粉砕し、完全に乾燥した後、さらに粉砕して粉末状にすることを特徴とする請求項2または3に記載の健康食品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−109881(P2008−109881A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294411(P2006−294411)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(506364732)
【Fターム(参考)】