側方進入路を含む脊椎システムおよび方法
本発明の実施形態は、椎体スペーサを植え込む器具および方法を含む。幾つかの開示された措置で、外科的側方進入路が想定される。幾つかの実施形態の器具は、円板腔に挿入可能であり、それによって伸延を達成し、望ましい円板腔高さを決定して、対応するインプラントを選択する。インプラントの前端の高さがその中心付近より少なくとも3mm小さくなるように、凸状に曲線を描く前方側壁(210)および凸状の曲線を描く上面および/または下面(203、205)を有する側方進入路の椎間板癒着インプラント(201)が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して脊椎インプラントの分野に関し、特に椎体スペーサおよび椎体スペーサを植え込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
椎体スペーサは、変性円板疾患または他の脊椎状態に応答して、隣接する椎骨間の空間を維持するために使用される。通常、関連する外科措置の目的は、隣接する椎骨が相互に成長または「融合」することである。椎体スペーサは通常、生体適合性合成材料または同種移植片骨で作成される。
【0003】
椎体スペーサは、長年、前方進入路、孔を横切る進入路、傾斜進入路、後方進入路、および他の外科的進入路から植え込まれてきた。また、側方外科的進入路も遂行されてきた。しかし、側方進入路に関連する以前のインプラント、器具、および方法は最適ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
側方進入路で使用されている既存のインプラントは、椎骨終板の自然の曲線、または椎体の前方部分の自然の前方曲線に一致しないことがある。器具および側方インプラントは、隣接する終板を損傷せずに、円板空間を効率的に延伸させるのに必ずしも適切でない。器具および側方インプラントの形状は、周囲組織の破壊を減少させるために特に調整されていない。現在の方法は、骨および他の組織を大幅に切断し、操作する必要があることがある。
【0005】
知られている器具、装置および方法に関連する特定の欠点および問題に関する本明細書の記述は、本発明の範囲をこのような知られている器具、装置および方法を除外するように制限するものではない。本発明の実施形態は、本明細書で述べた欠点および問題に患わされずに、知られている器具、装置および方法の一部または全てを含むことができる。
【0006】
手術を実行する方法および器具が、1996年3月22日出願の米国特許第5792044号「Devices and Methods for Percutaneous Surgery」、2002年10月21日出願の米国特許出願第10/274856号「Systems and Techniques for Restoring and Maintaining Intervertebral Anatomy」、2004年1月28日出願の米国特許出願第10/766167号「Systems and Techniques for Restoring and Maintaining Intervertebral Anatomy」、および2004年3月3日出願の米国特許出願第10/792358号「Instruments and Methods for Minimally Invasive Tissue Retraction and Surgery」で開示され、これは全て参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献で述べられ、本発明の構成要素とともに使用するように適用可能である全ての関連するインプラント、器具、方法または外科的アプローチは、本明細書で述べ、請求の範囲にある本発明の範囲に入る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状に曲線を描く上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状に曲線を描く下面、前端部分、および反対側の後端部分を有する。少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁が、前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁が前端部分と後端部分の間に延在する。本体は、上面と下面の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板との間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0008】
本発明の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面、前端部分、および反対側の後端部分を有する。少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁が、前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁が前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁は前方側壁の平均高さより小さい平均高さを有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端の高さより大きくなるように曲線を描く。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0009】
本発明の別の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、凸状の曲線を描く上面、凸状の曲線を描く下面、上面と下面の間に延在する凸状の曲線を描く表面によって画定される前端部分、および上面と下面の間に延在するほぼ平面の表面によって画定される後端部分を有する。前方側壁は、最前方部分、前端部分と最前方部分の間に延在する第1曲線部分、および後端部分と最前方部分の間に延在する第2曲線部分によって画定される。後方側壁は、前端部分と後端部分の間に延在する。インプラントの中心付近の高さは、約8mm〜14mmの間である。インプラントの前端部分の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0010】
本発明の追加の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有するインプラントを含む。実施形態は、上部椎骨とほぼ協働状態で適合するために上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面手段、下部椎骨とほぼ協働状態で適合するために下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面手段、上部椎骨と下部椎骨との間へのインプラントの挿入を促進する前端手段、および反対側の後端部分を有する。実施形態は、インプラントの一部が上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁の間に前方進入できるようにする、少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁手段も有する。後方側壁は前端手段と後端部分の間に延在する。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、インプラントを上部椎骨の終板と下部椎骨の終板の間に配置するシステムである。実施形態は、異なる寸法の少なくとも2つの器具がある試行器具のセットを含む。
【0012】
試行器具のセットの各試行器具は、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、およびそれぞれ上面および下面に合うように前端から分岐する区画を有する前端部分を有する。実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有するインプラントも含む。インプラントは、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端より大きくなるように曲線を描き、インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の手術側がアクセス可能になるように患者を配置することと、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に初期挿入拡張器を配置することと、切開部をさらに開くために、初期挿入拡張器上に適合する第1同心拡張器で組織を拡張することと、椎体間に植え込むための開口を生成するために、椎骨円板物質を除去することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間にインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎体に向かって配置可能な上面、下部椎体に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する前方側壁、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端の高さより大きくなるように曲線を描く。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0014】
本発明の別の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の手術側がアクセス可能になるように患者を配置することと、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に初期挿入拡張器を配置することと、切開部をさらに開くために、初期挿入拡張器上に適合する第1同心拡張器で組織を拡張することと、椎体間に植え込むための開口を生成するために、椎骨円板物質を除去することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間にインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎体の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面、下部椎体の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する前方側壁、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。本体は、上面と下面の間に、上部椎骨の終板と下部椎骨の終板との間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0015】
本発明の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間に細長い本体があるインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、最前方部分によって画定された前方側壁、前端部分と最前方部分の間に延在する第1曲線部分、および後端部分と最前方部分の間に延在する第2曲線部分、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。インプラントを挿入する動作は、前方側壁の第1曲線部分および第2曲線部分が、ほぼ上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁の間に配置されるように、椎体間に前方からインプラントを配置することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図4は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラント1を示す。上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面3、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面5が図示されている。幾つかの実施形態では、上部および下部曲線は相互に鏡像であるか、曲線が異なってもよい。例えば、より明白な上方椎骨の下方終板の曲線およびそれほど明白でない下方椎骨の上方終板の曲線への一致を向上させるために、上部曲線を下部曲線より大きくすることができる。上面3および下面5は、一定の半径を有するか、複合曲線であるか、一方または両方が平坦でもよい。
【0017】
図1〜図4に示すように上下面3、5はキャビティ(空隙)4によって中断される。キャビティ4は一部または全体がインプラント1に貫入する。図示の実施形態では、上面3および下面5は、キャビティ4の全側部に部分を有する。幾つかの図では、明快さを期して表面は1つの側部にしかラベルが付けられていないが、表面は、キャビティ4の各範囲を越えて部分を含むように意図されている。図示のように、上面3および下面5は、インプラント1の本体の全長に沿って凸状の曲線を描く。「全長」という用語は、幾つかの実施形態では、インプラント1の端部付近の様々な延長部分または打ち切り部分を含まない。本発明の他の実施形態では、曲線は長さの一部のみが凸状でよい、または凸部分間に他の形状が散在してよい、または平坦区画または様々な形状の区画によって全体的に凸状の形状を形成し、全体的に凸状の形状を生成してもよい。
【0018】
前端部分7および反対側の後端部分9も、図1〜図4に図示されている。図示の前端部分は上面3と下面5の間に丸まったノーズを有する。図示の前端のノーズも、前方側壁10と後方側壁11の間で部分的に丸くなっている。幾つかの実施形態では、ノーズは側壁の間で完全に丸くなっているか、他の実施形態では平坦部分を含んでもよい。図示の後端部分9は平面であり、前方側壁10と後方側壁11の間に延在する。他の実施形態では、後端部分は曲線を描くか、角張っているか、任意の他の機能的形状でよい。
【0019】
前方側壁10は前端部分7と後端部分9の間に延在し、図示の前方側壁10は少なくとも部分的に凸状の曲線を描く。図1に示すように、前方側壁10は、最前方部分10c、前端部分7と最前方部分10cの間に延在する第1曲線部分10a、および後端部分9と最前方部分10cの間に延在する第2曲線部分10bによって画定される。図示のように、第1および第2曲線部分10a、10bは凸状曲線であり、最前方部分10cは平坦な区画である。他の実施形態では、第1および第2曲線部分10a、10bは、同じ凸状曲線の一部でよく、最前方部分10cは曲線に沿った点でよい。あるいは、前方側壁10を備える第1および第2曲線部分10a、10bの一方しかないか、側壁が様々な形状の区画の組合せでもよい。幾つかの実施形態では、前方側壁10の凸状曲線が、丸まった隅または面取り部以上のものを含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、前方側壁10の曲線は、インプラント1、特に第1および第2曲線部分10a、10bを、皮質縁の境界を越えて延在させることなく、支持された椎骨の皮質縁間にほぼ配置できるようにするのに有用である。図33を参照すると、皮質縁610は下方椎体Vの前方部分の周囲に延在している。第1および第2曲線部分10a、10bが曲線を描いているので、インプラント1はさらに前方で、さらに皮質縁610に沿って配置することができる。皮質縁610は、椎体Vの下方海綿骨620よりも多くの支持を提供する。インプラントの代替配置が図34に図示されている。側方進入路から配置されているが、椎体V上のさらに後方に配置された代替インプラント601が図示されている。
【0021】
図示の後方側壁11は、インプラント1の前端部分7と後端部分9の間に延在する。インプラント1の本体は、上面3と下面5の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板の間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。「高さ」という用語は、上面3と下面5の間の距離を指す。幾つかの実施形態では、上下面3、5は平面ではなく、相互から一定の距離ではない。したがって、高さという用語は、特定の距離に制限されず、椎骨の望ましい間隔を生成する全体的形状を述べるために使用することができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、インプラント1の中心付近の高さが、インプラント1の後端部分7付近の高さより大きくなるように、上面3と下面5のうち少なくとも一方が曲線を描く。前彎形状を含むインプラント1などのインプラントでは、インプラントの中心付近の高さは、インプラントの中心付近の最大高さである。図1〜図4に示すように、高さとは、中心付近の前方側壁10の高さである。非前彎状インプラント101(図5)などのインプラントでは、インプラントの中心付近の高さは、前方側壁110または後方側壁111のいずれかの中心付近の高さである。例えば、非前彎状インプラント101(図5)の中心付近の高さをhiとする。インプラント1の後端部分7付近の高さは、ノーズなどの前端部分7の丸まった部分または尖った部分より前の上面3と下面5の間の最大距離である。例えば、非前彎状インプラント101(図5)の前端部分付近の高さをhnとする。
【0023】
本発明の実施形態のインプラントのインプラント中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間であり、このようなインプラントの前端付近の高さは、個々のインプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。例えば、中心付近の高さが12mmのインプラントは、前端付近の高さが9mm以下になる。別の特定の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約13mm〜19mmの間であり、インプラントの前端の高さは、約4mmと9mmとの間である。別の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約9mmと13mmとの間であり、インプラントの前端の高さは約4mm〜7mmの間である。さらに別の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約6mm〜9mmの間であり、インプラントの前端の高さは約3mm〜5mmの間である。さらに別の実施形態では、本発明の実施形態のインプラントのインプラント中心付近の高さは約8mm〜14mmの間であり、このようなインプラントの前端付近の高さは、個々のインプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態の前端部分7は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔内に挿入するように構築される。このような実施形態では、前端部分7を含むインプラント1の高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した状態で、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さまで回復するような寸法にされる。前端部分7は、相対的に短い高さのせいで挿入を容易にすることができ、インプラント1の長さに沿って増加する高さが、潰れた円板腔を回復する。
【0025】
図1〜図4に示すように、前方側壁10の平均高さは、後方側壁11の平均高さより大きい。幾つかの方法で植え込んだ場合、これはインプラント1が椎骨間の前彎症を矯正することを容易にする。図33および図34は、前方側壁の平均高さが後方側壁より大きいインプラントで、前彎症を矯正する器具の配置を示す。他の実施形態では、前方および後方側壁が同じ高さでよく、または後方側壁の方が部分的または平均で高くてもよい。後方壁の方が高くなると、変形を矯正するか外傷性傷害を治療するために後彎が望ましい場合に、脊椎の部分で有用なことがある。
【0026】
インプラント1はその上面3および/または下面5に沿って幾つかの係合部材15を含んでよい。図1〜図4に示す係合部材15は、上下面3、5から外側に突出して、インプラント1が脊椎円板腔に配置された場合に、隣接する椎骨終板の体組織と係合する。図示の係合部材15は、インプラントの挿入方向に向かって傾斜する空洞4に沿った幾つかの歯である。係合部材15は、摩擦コーティングまたは摩擦表面処理などの要素を含む、運動に対する多少の抵抗を生成する歯または他の突起またはキャビティでよい。図示の係合部材15は、インプラントの挿入部分に向かって傾斜し、挿入に対する抵抗を低下させた状態で、挿入切開部を通したインプラントの排除に抵抗するが、係合部材は、全方向への運動に抵抗するように構成してもよい。
【0027】
図2および図3に示すように、インプラント1は前方側壁10の第1切欠部16、および後方側壁11の第2切欠部18を含む。図示の第1および第2切欠部16、18は、平坦な上下面を有するが、切欠部は、結合部材でのインプラント1の把持を容易にする任意の構成でよい。結合部材は、挿入器具550(図8)または他のこのような器具の要素の一部または全部を含んでよい。結合部材は、インプラント1の本体を結合部材に固定するために、第1および第2切欠部16、18のそれぞれに配置可能な第1および第2指状部568、570を有してよい。幾つかの実施形態では、結合部材は、円板腔に挿入するためにインプラント1に組み込まれる。本発明の幾つかの実施形態では、固定機構19が組み込まれる。固定機構19は、ねじを切った軸またはねじを受けるねじ穴でよい。固定機構は、結合部材との接続を容易にするために、結合部材と係合する干渉嵌めまたは任意の他の器具を提供するようにも構成することができる。
【0028】
図5を参照すると、本発明のインプラントの別の実施形態が図示されている。非前彎状インプラント101は、ほぼ同じ高さである前方側壁110および後方側壁111を有する。このようなインプラントは、前彎矯正が必要ではない臨床状況で椎骨を隔置するのに有用である。非前彎状インプラント101の他の特徴および構成は、上述したインプラント1の特徴および構成と同様である。
【0029】
本発明の別の実施形態が、図6および図7に図示されている。対称性インプラント201は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有する。上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面203、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面205が図示されている。幾つかの実施形態では、上部および下部曲線は相互に鏡像であるか、曲線が異なってもよい。例えば、より明白な上方椎骨の下方終板の曲線およびそれほど明白でない下方椎骨の上方終板の曲線への一致を向上させるために、上部曲線を下部曲線より大きくすることができる。上面203および下面205は、一定の半径を有するか、複合曲線であるか、一方または両方が平坦でもよい。
【0030】
図7に示すように上下面203、205はキャビティ204によって中断される。キャビティ204は一部または全体が対称性インプラント201に貫入する。図示の実施形態では、上面203および下面205は、キャビティ204の全側部に部分を有する。幾つかの図では、明快さを期して表面は1つの側部にしかラベルが付けられていないが、表面は、キャビティ204の各範囲を越えて部分を含むように意図されている。図示のように、上面203および下面205は、対称性インプラント201の本体の全長に沿って凸状の曲線を描く。「全長」という用語は、幾つかの実施形態では、対称性インプラント201の端部付近の様々な延長部分または打ち切り部分を含まない。本発明の他の実施形態では、曲線は長さの一部のみが凸状でよい、または凸部分間に他の形状が散在してよい、または平坦区画または様々な形状の区画によって全体的に凸状の形状を形成し、全体的に凸状の形状を生成してもよい。
【0031】
前端部分207および反対側の後端部分209も、図6および図7に図示されている。対称性インプラント201は、第1または第2端部分207、209を円板腔に最初に挿入する状態で、挿入することができる。同様に、第1または第2端部分207、209を挿入器具に結合することができる。外科医は、様々な時に左側または右側から患者にアプローチしたいと考える。対称に構成されたインプラントは、他にも目的がある中で、様々な形状の上下面203、205があるインプラントが必要な場合に、在庫を減少させるために有用である。
【0032】
前方側壁210および後方側壁211の構成は、以上で詳細に述べた前方側壁10および後方側壁11と同様であり、全ての特徴がいずれの実施形態にも当てはまる。
本発明の幾つかの実施形態の第1および第2端部分207、209は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構築される。挿入された端部分を含む対称性インプラント201の高さは、本体を潰れた円板腔に挿入すると、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さまで回復するような寸法にされる。挿入された端部分は、相対的に短い高さのせいで挿入を容易にすることができ、インプラント201の長さに沿って増加する高さが、潰れた円板腔を回復する。
【0033】
対称性インプラント201はその上面203および/または下面205に沿って幾つかの係合部材215を含んでよい。図6に示す係合部材215は、上下面203、205から外側に突出して、対称性インプラント201が脊椎円板腔に配置された場合に、隣接する椎骨終板の体組織と係合する。図示の係合部材215は、空洞204に沿った幾つかの歯である。係合部材215は、摩擦コーティングまたは摩擦表面処理などの要素を含む、運動に対する多少の抵抗を生成する傾斜した歯などの歯または他の突起またはキャビティでよい。係合部材は、全方向への運動に抵抗するように構成してもよい。
【0034】
図7に示すように、対称性インプラント201は、第1端部分207と第2端部分209の両方で、前方側壁210の第1切欠部216、および後方側壁211の第2切欠部218を含む。図示の第1および第2切欠部216、218は、平坦な上下面を有するが、切欠部は、結合部材でのインプラント1の把持を容易にする任意の構成でよい。結合部材は、挿入器具550(図8)または他のこのような器具の要素の一部または全部を含んでよい。結合部材は、対称性インプラント201の本体を結合部材に固定するために、第1および第2切欠部216、218のそれぞれに配置可能な第1および第2指状部568、570を有してよい。幾つかの実施形態では、結合部材は、円板腔に挿入するために対称性インプラント201に組み込まれる。本発明の幾つかの実施形態では、固定機構219が組み込まれる。固定機構219は、ねじを切った軸またはねじを受けるねじ穴でよい。固定機構は、結合部材との接続を容易にするために、結合部材と係合する干渉嵌めまたは任意の他の器具を提供するようにも構成することができる。
【0035】
図8を参照すると、挿入器具550が図示されている。挿入器具550は、細長い軸552を含み、これは近位部分554と、インプラント1などのインプラントを軸552に結合する結合部材として働く遠位把持部分556との間に延在する。近位部分554は、軸552へと横方向に延在する柄558を含む。1つの実施形態では、柄558は軸552へと斜めに向いて配置されて、操作および挿入器具550での身振りでの指示を容易にする。軸552は柄558からハウジング部分560へと近位方向に突出する。ハウジング部分560は、自身内に収容された調節部材562を含む。内軸564(図9)は調節部材562から軸552を通して遠位把持部分556へと遠位方向に延在する。調節部材562は、サムホィールまたは他の適切な把持要素を提供して、内軸564の遠位端をインプラントと係合させるために、外科医が内軸564を外軸552内で回転することを容易にする。
【0036】
遠位把持部分556は本体部材566と、本体部材566の反対側から遠位方向に延在する1対の指状部568、570とを含む。内軸564の遠位端は、本体部材566から遠位方向に突出し、指状部568、570の中心に配置される。図10に示すように、指状部568、570は、図示の実施形態のインプラント1のように、挿入器具550が係合しているインプラントの個々の切欠部に配置可能である。内軸564は、インプラント1の固定機構19のように、インプラントの近位端壁の孔に係合可能である。指状部568、570の外面は、インプラント1の側壁の外側面と面一であるか、それに対して窪み、したがって指状部568、570はインプラント1の側壁を越えて突出していない。インプラント1と係合した場合、指状部568、570は全体的な幅を画定し、これは側壁の外側面の間のインプラントの幅より小さい。これは、インプラントおよび器具組立体の挿入輪郭を最小限に抑え、脊椎円板腔への侵襲性進入路の小型化を容易にする。
【0037】
図11を参照すると、別の実施形態の挿入器具580が図示されている。挿入器具580は、内軸584の周囲で長手方向に動作可能な外軸582を含む。挿入器具580は、インプラントを内軸584に結合する結合部材を形成する遠位把持部分586を含む。遠位把持部分586は、ベース部分598、および中心スロット596によって分離された1対の偏倚部材588、590を含む本体部材を内軸584の遠位端に含む。偏倚部分588、590は、ベース部分598に形成された一体蝶番または一体成形蝶番の周囲で相互に結合される。指状部592、594は、個々の偏倚部材588、590から遠位方向に延在する。ベース部分598は、近位方向に先細になる外面輪郭を含む。外軸582は、偏倚部材588、590を、したがって指状部592、594を相互に向かって動作させ、その間のインプラントを把持するために、内軸584に対して、少なくともベース部分598の外面輪郭に沿って遠位方向に動作可能である。インプラントは、偏倚部材588、590を、したがって指状部592、594を相互から通常状態に向かって動作させることが可能であるように、内軸584に対して外軸582を近位方向に変位させることによって解放することができる。
【0038】
外軸582、584を動作させる様々な機構が想定される。例えば、軸582、584を相互にねじ係合することができ、外軸584を内軸582の周囲で回転させ、その間に近位方向および遠位方向の動作を実行する。別の実施形態では、近位柄アクチュエータを内外軸582、584を結合し、柄を操作するにつれて、柄が軸間で近位方向および遠位方向に直線運動する。内外軸を相互に対して長手方向に動作させる他の適切な機構も想定される。
【0039】
図12を参照すると、脊椎円板腔内に配置可能な細長い本体がある移植インプラント(グラフトインプラント)301が図示されている。この実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面303、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面305が図示されている。少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁310が、前端部分307と後端部分309の間に延在し、後方側壁311が前端部分307と後端部分309の間に延在する。移植インプラント301は、上下面303、305の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板の間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分307は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、移植インプラント301を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0040】
移植インプラント301は、上記で詳述したインプラント1と構成、機能および説明が同じである。また、移植インプラント301の実施形態、および本明細書で述べる他の実施形態は、骨移植材料(骨グラフト材料)で構築することができる。制限ではなく、骨移植材料は同種移植片の骨でよい。幾つかの実施形態では、移植インプラント301は骨の中実区間で構築される。他の実施形態では、移植インプラント301は、骨の厚板を組み合わせて最終構成にして構築する。移植インプラント301は、移植インプラント301の1つまたは複数の長手方向軸を通って水平または垂直面に沿って組み合わせた骨の厚板で構築してよい。幾つかの実施形態では、移植インプラント301を通してキャビティを切り取るか、構築する。キャビティは、移植材料を含むために有用である。
【0041】
インプラントの実施形態は、上面手段、下面手段、前端手段、反対側の後端部分、および少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁手段がある器具を含む。試行器具の試行本体およびインプラント本体は、合成または自然の自家移植片、同種移植片または異種移植片組織、などの任意の生体適合性材料から作成することができ、再吸収性または非再吸収性の性質でよい。組織材料の例は、硬組織、結合組織、脱ミネラル骨基質およびその組合せを含む。再吸収性材料のさらなる例は、ポリラクチド、ポリグリコライド、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリフォスファゼン、燐酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、生体活性ガラス、およびその組合せである。非再吸収性材料のさらなる例は、非強化ポリマ、炭素強化ポリマ複合体、PEEKとPEEKの複合体、形状記憶合金、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、セラミックスおよびその組合せその他である。試行器具またはインプラントが放射線透過性材料から作成される場合、放射線写真用マーカを試行器具またはインプラントに配置して、脊椎円板腔内の本体の位置を放射線写真またはX線透視写真で監視し、決定する能力を提供することができる。試行本体を構成する材料は、中実、多孔性、スポンジ状、有孔性、穿孔および/または開放状態でよい。
【0042】
隣接する椎骨間の脊椎円板腔に挿入するインプラントが想定される。インプラントは、円板腔に詰め込むか押し込むことができる。インプラントには、潰れた円板腔に挿入する寸法である遠位端または挿入前端を設けることができる。インプラントを挿入すると、インプラントは潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復することができる。望ましい円板腔高さは、遠位端に近いインプラントの高さに対応する。挿入されると、インプラントは、円板腔を望ましい円板腔高さに維持することができる。
【0043】
挿入すると、上部椎骨と下部椎骨の間で潰れた円板腔に対して望ましい円板腔高さを回復し、維持するインプラントが、さらに想定される。インプラントは、遠位端、近位端、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面がある本体を含む。インプラントの本体は、上面と下面の間に、望ましい円板腔高さに対応する第1高さを有する。インプラントの本体は、その遠位端に、潰れた円板腔の高さより小さい第2高さも有する。
【0044】
インプラントには上面および下面の両凸曲線を設け、インプラントを円板腔の終板の中心に配置可能にすることができることが想定される。インプラントの上下面を平面であるか、複合形状を含むことが可能であることが、さらに想定される。インプラントの上下面は、隣接する椎体間に前彎または後彎角形成を確立するように構成することもできる。
【0045】
挿入器具を椎間インプラントの側壁と係合できることが想定される。挿入器具は、インプラントの対応する側壁に形成された切欠部に配置可能な遠位結合部分を含む。結合部分は、切欠部内のインプラントと係合する第1位置、および切欠部内のインプラントから係合解除する第2位置を有する。第1および第2位置それぞれの結合部分の幅は、インプラントの側壁間のインプラントの幅より小さい。
【0046】
本発明のある実施形態は、インプラントを上部椎骨の終板と下部椎骨の終板の間に配置し、試行器具のセットおよびインプラントを含むシステムである。システムのインプラントは、インプラント1、非前彎状インプラント101、対称性インプラント201、または移植インプラント301などの上述した任意のインプラント、または本明細書で述べるシステムセットと適合性の任意の他のインプラントを含んでよい。
【0047】
図13には、幾つかの試行器具52、54、56、58、60、62、64、66、68および70を有する試行器具のセット50が図示されている。試行器具52は柄52a、柄52aから遠位方向に延在する軸52b、および試行本体52cを含む。他の各試行器具も柄、軸および試行本体を含む。試行器具の各試行本体は、潰れた円板腔を回復するために、上下接触面の間に異なる高さを提供することが想定される。
【0048】
本明細書では、試行器具の寸法または形状に関する「試行器具」という用語は、試行本体の寸法または形状を含むことができる。試行器具52には、器具セット50の最少高さHを有する試行本体を設けることができ、試行器具70には、器具セット50の最大高さH’を有する試行本体を設けることができる。残りの試行器具は、HとH’の間の高さの範囲で幾つかの異なる高さの試行器具を提供することができる。器具セット50の1つの特定の実施形態では、セットの試行器具の高さが1ミリメートルの増分で増加する。別の特定の実施形態では、高さが1ミリメートルの増分で6ミリメートルから19ミリメートルの範囲である。他の増分および他の高さの範囲も想定される。
【0049】
試行器具のセット50のある実施形態は、異なる寸法の少なくとも2つの器具を有する。図13a〜図13dで示すように、試行器具のセット50の器具は、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、およびそれぞれ上面と下面に合うために前端から分岐する区画がある前端部分を有してよい。
【0050】
図13a〜図13dでさらに示すように、試行器具のセット50の器具は、凸状曲線がある上面および/または下面を有してよく、その上面と下面の間に延在する曲線を有してよい。上面と下面の間に延在する曲線は、半径であるか、曲線が組み込まれていても、いなくても、任意の他の機能的形状でよい。幾つかの実施形態では、試行器具のセット50の試行器具の少なくとも1つが、システムのインプラントとほぼ同じ形状である。試行器具のセット50の試行器具の少なくとも1つが、インプラントの水平面または垂直面、あるいは両方の面を中心にして、システムのインプラントとほぼ同じ形状でよい。
【0051】
システムは、切開部を通して挿入可能なアクセス入口も含んでよい。このようなアクセス入口は、試行器具、インプラントまたはその両方が通過できる路を提供することができる。アクセス入口は管状ポート、開創器、または手術部位を開放状態で保持する任意の他の機構でよい。管状ポート170は図14eに図示されている。開創器構造180は図14fに図示され、様々な実施形態については図15〜図30に関連して述べられる。
【0052】
図15および図16を参照すると、開創器320のある実施形態が図示されている。開創器320は、第1開創器部分322および第2開創器部分342を含む。第1部分322は、遠位端324と反対側の近位端326との間に延在する本体323を含む。第2部分は、遠位端344と反対側の近位端346との間に延在する本体343を含む。遠位端324、344は、挿入を容易にするために面取りするか、遠位方向に先細にすることができるが、面取りしない端部も想定される。
【0053】
第1部分322は、第1部分322の長手方向縁部325、327および第2部分342の長手方向縁部345、347のうち隣接する縁部に沿って第2部分342に隣接して配置するか、それと対合することができる。以上で検討したように、隣接する縁部の間の他の配置構成も想定される。長手方向縁部は、挿入構成で相互から隔置できることが、さらに想定される。作業導管350が第1部分322と第2部分342の間に形成される。作業導管350は、遠位端324、344と近位端326、346の間に延在し、これを開く。
【0054】
開創器320は、手術部位への作業導管350を提供するために、患者の皮膚および組織を通して挿入可能である。開創器320は、図15〜図18で示すように、作業導管350のために挿入構成で皮膚および組織を通して挿入されることが想定される。挿入構成で、作業導管350は、第1部分322および第2部分342によってほぼ囲まれるか、外接される。患者に挿入後、作業導管350は、第1部分322と第2部分342の間に延在する軸321に沿ってこれを相互から分離することによって拡大することができる。第1部分322と第2部分342とを分離すると、近位端326、346から遠位端324、344へと作業導管350の寸法が増加する。第1部分322および第2部分342は、手術部位付近の少なくとも1つの構造と結合する結合構造(図示せず)も含んでよい。骨ねじなどの締結具を使用して、第1部分322と第2部分342のいずれか、または両方と手術部位付近の構造とを結合することができる。結合は、第1部分322と第2部分342との分離前、または分離後に実行することができる。
【0055】
図15〜図18の挿入構成で、作業導管350は、第1部分322および第2部分342によって外接されるか、ほぼ囲まれる。本体323および343は、開創器320の一部の本体に関して、上記で検討したように構成することができる。作業導管350は、挿入構成で、1つまたは複数の手術器具および/またはインプラントが患者の体内の手術位置へと通過できるような寸法を有することができるが、これより小さい寸法も想定される。手術中には、挿入構成で作業導管350を通して提供される位置より先の患者の体内の位置へと、さらに大きいアクセスを提供することが望ましいことがある。したがって、第1部分322および第2部分342は、作業導管350を拡大するために、軸321に沿って相互から離れるように動作可能である。
【0056】
第1部分322は、遠位端324と近位端326の間に延在する半円筒形状の本体323を含む。カラー328が近位端326の周囲に延在し、本体323の外面の周囲に延在するリップ(唇状部)を形成する。第2部分342は、遠位端344と近位端346の間に延在する半円筒形状を有する本体343を含む。カラー348が、第2部分342の近位端346の周囲に延在し、本体343の外面の周囲に延在するリップを画定する。第1および第2部分322、342に、カラーおよび/またはリップを設ける、または設けなくてよいことが、さらに想定される。第1および第2部分322、342には、患者の体内に配置する際に開創器320を支持する外部腕部と係合するブラケット部材も設けることができる。
【0057】
第1部分322のカラー328から、自身内に窪み部333が形成された頭部336を有する第1係合構造332が延在している。第2部分342のカラー348から、自身内に窪み部353が形成された頭部356を有する第2係合構造352が延在している。係合構造332、352は、個々のカラー328、348と一体形成するか、着脱式にそれと係合することができる。以下でさらに検討するように、第1部分322と第2部分342を分離する器具は、第1部分322と第2部分342を分離することによって作業導管350を拡大するために分離力を与えるために、係合構造332、352に非着脱式または着脱式に係合することができる。このような器具は、第1部分322および第2部分342と着脱式または非着脱式に係合することもできる。係合構造332、352は、分離器具で作業導管350を遮ることなく、分離器具の係合構造332、352への係合を容易にするために、部分322、342から横方向に延在する。このような器具は、挿入中および挿入後に第1部分322および第2部分342を初期挿入構成で維持することもできる。分離器具は、本来の位置で作業導管350の拡大構成を維持することもできる。
【0058】
窪み部333、353は、部分322、342に係合可能な分離器具の係合腕部を受けるような構成である。図示の実施形態では、係合構造332、352は個々のカラー328、348から横方向に延在し、その上で近位方向に突出する。係合構造332、352は、部分322、342が挿入構成にある場合に、相互に並んで延在し、相互に突き当たる。係合構造の他の構成も想定される。例えば非直線で、部分322、324が挿入構成にある場合に相互から離れる方向に延在する係合構造、および挿入構成で相互に突き当たらない係合構造である。
【0059】
窪み部(凹部)333、353は、分離器具の個々の係合腕部を受けるために横方向に開放している。窪み部333は、キー溝開口335と、当該開口335に連絡する受け口337とを含む。受け口337は開口335に対して拡大し、自身内に配置された分離器具の係合腕部の一部を受けるように成形される。同様に、窪み部353はキー溝開口355および開口355と連絡する受け口357を含む。受け口357は開口355に対して拡大し、自身内に配置された分離器具の係合腕部の一部を受けるように成形される。開口335、355および受け口337、357は、個々の係合構造332、352の近位側に沿って開放し、自身内への分離器具係合腕部の配置を容易にする。囲まれた窪み部、均一な窪み部、または係合腕部の少なくとも一部を受けるのに適切な任意の他の構成など、窪み部333、353の他の構成も想定される。さらに他の実施形態は、係合構造332、352が窪み部を含まず、分離器具の個々の係合腕部を受けるか、それ以外の方法でそれと係合するように成形されることを想定する。
【0060】
図19および図20で示すように、係合構造332、352の一方(図示の実施形態では係合構造352)の一方側に沿って、位置合わせ部材330を設けることができる。図示の実施形態では、位置合わせ部材330は、係合構造332、352が相互に隣接して配置された場合に、他方の係合構造332、352の隣接する側に設けられた穴で受ける丸まった突起である。位置合わせ部材330は、挿入中および挿入後に、第1部分322および第2部分342を相互に長手方向に位置合わせされた状態に維持する。他の実施形態は、第1部分322および第2部分342を相互に位置合わせする、かつ/または着脱式に結合する他の配置構成を想定する。このような配置構成の実施形態は、例えばあり継ぎ接続部、締結具、ねじ結合部材、クランプ部材、スナップリング、圧縮帯、ストラップ、玉と回り止めの機構、および着脱式に連結するカムまたはタブを含む。
【0061】
図17〜図20を参照すると、作業導管350を拡大するために第1部分322と第2部分342とを相互から離すように動作可能である分離器具360が図示されている。分離器具360は、第1および第2開創器部分を軸321に沿って相互から直線的に離すように動作可能である横方向セパレータを含むことが想定される。分離器具360は、第1および第2部分322、342の遠位端を軸321に沿って相互から離すように枢動(旋回)させる少なくとも1つの回転セパレータを含むことが、さらに想定される。横方向および回転セパレータは、外科措置中に外科医が選択的に使用し、作業導管350を拡大して、作業導管350を通して外科措置を実行するために望ましいように組織を後退させることができる。作業導管350が拡大すると、開創器部分322、342の遠位端の遠位側にある手術部位から組織をさらに後退させて、組織、骨構造、および開創器320の遠位側に位置する他の解剖学的腔へのアクセスを増大させることができる。
【0062】
分離器具360は、第2接続組立体364と可動状態で結合する第1接続組立体362を含む。第1接続組立体362はさらに第1部分322に結合し、第2接続組立体364は第2部分342に結合する。第1および第2接続組立体362、264は、第1および第2部分322、342から、および作業導管350の近位端の開口から延在し、外科措置中に作業導管350へのアクセスを容易にする。第1および第2接続組立体362、364は、第1および第2部分322、342を相互に対して移動させ、組織を分離するように動作可能である。第1および第2接続組立体362、364はさらに、レバー組立体369、389を含み、これはそれぞれ近位端の周囲で第1および第2部分322、342を回転させて、遠位端を相互から離すように動作可能である。
【0063】
第1接続組立体362は、第1部分322の第1係合構造332に結合する第1係合腕部372、および第1係合腕部372から延在する第1延長腕部366を含む。結合腕部368は、第1係合腕部372の反対側の第1延長腕部366の端部へと横方向に向けて配置され、そこから延在する。ブラケット部材376が結合腕部368から延在し、例えば手術台に装着した可撓腕部によって係合可能である。第1接続組立体362はさらに、第1延長腕部366に固定結合された第1中間部材367を含む。第1係合腕部372は、中間部材367に対して回転可能である。第1装着部材375は第1係合腕部372から延在する。第1レバー腕部374は、第1装着部材375に枢動状態で装着され、図17に示すようなロック位置と、図21に示すような枢動位置(枢支位置)との間で動作可能である。
【0064】
同様に、第2接続組立体364は、第2部分342の第2係合構造352に結合する第2係合腕部394、および第2係合腕部394から延在する第2延長腕部392を含む。ハウジング390が、第2係合腕部394の反対側で第2延長腕部392の端部から延在する。ハウジング390は通路を含み、これを通して結合腕部368を可動状態で受ける。ハウジング390に装着された調節機構399は、結合腕部368に係合可能であり、第1および第2部分322、342を横軸321に沿って相互に対して動作させるために、ハウジング390内で結合腕部368を並進させるように動作可能である。
【0065】
図示の実施形態では、結合腕部368は自身に沿って形成された幾つかのラチェット歯370を含み、これは調節機構399によって係合可能である。調節機構399は、柄398を回転するとハウジング390内の結合腕部368を動作させるために歯370を互いに噛み合う歯がある歯車400を含む。ロック機構402は、柄398が解放されると、ばねで偏倚されて歯370を係合し、第1部分322と第2部分342との間隔を維持する。ロック機構402を押下して、その係合端を枢動させ、歯470との係合を解除して、第1および第2部分322、342が相互に近づくようにすることもできる。
【0066】
第2接続組立体364はさらに、第2延長腕部392に固定結合した第2中間部材393を含む。第2係合腕部394は、中間部材393に対して回転可能である。第2装着部材397は、第2中間部材393とともに第2係合腕部394から延在する。第2レバー腕部396は、第2装着部材397に枢動状態で装着され、図17に示すようなロック位置と図21に示すような枢動位置との間で動作可能である。中間部材367、393は、別個の構成要素として提供するか、個々の延長腕部と一体でもよい。
【0067】
図23〜図24に示すように、第1および第2係合腕部372、394は、それぞれ足378、404を含む。足378、404は、係合構造332、352の個々の窪み部333、353で滑動自在および着脱式に受ける。図示の実施形態では、足378、404は拡大した外端部分379、405、および係合腕部372、394と拡大した外端部分379、405の間に延在して、断面が小さくなった中間遷移部分381、407を含む。中間遷移部分381、407は、中間キー溝開口335、355で受け、拡大した外端部分379、405は受け口337、357で受ける。
【0068】
以下でさらに検討するように、係合腕部372、394をそれぞれ個々の軸371、391の周囲で回転することによって、レバー腕部374、396が第1および第2開創器部分322、342を枢動できるような方法で、足378、404を窪み部333、353(図15)で受ける。さらに、分離器具360は第1および第2開創器部分322、342から容易に外すことができ、それによって外科措置後の器具組立体の洗浄を容易にする。使い捨ての第1および第2部分322、342を使用するか、様々な長さ、形状および/または寸法で第1および第2部分322、342のセットを設けて、外科医がそこから選択し、分離器具360とともに使用できることも想定される。
【0069】
中間部材367、393はそれぞれ、個々のレバー腕部ロック組立体420、408と係合可能な、図24、図26に示す係合部分426、414のようなロック部分を含む。レバー腕部ロック組立体420、408はそれぞれ、隣接する装着部材375、397と枢動状態で結合する爪409、421を含む。例えば、図24および図26に示すように、レバー腕部ロック組立体420は、装着部材375に装着された枢動ピン422を含み、それを中心に爪421が枢動することができる。同様に、レバー腕部ロック組立体408は、装着部材397に装着された枢動ピン410を含み、それを中心に爪409が枢動することができる。中間部材367、393はそれぞれ、個々の係合部分426、414を含み、ロック部材420、408がこれと係合可能で、第1および第2部分322、342の枢動位置を維持する。
【0070】
例えば、中間部材367に対して図26で示すように、中間部材367に沿って爪421に向かって配置された係合部分426が設けられる。爪421は近位柄部分423および遠位係合端424を含む。遠位係合端424は、第1部分322の枢動位置を維持するために、歯428の間に設けた窪み部の少なくとも1つに配置可能である。レバー腕部374が反時計回りに回転して、開創器部分322の遠位端を開創器部分342の遠位端から枢動させると、爪421が係合部分426の周囲で動作して、枢動した開創器部分322の位置に対応する位置で係合する。
【0071】
個々の開創器部分が枢動すると、中間部材367、393が動作可能になることを想定する実施形態もある。このような実施形態では、爪409、421が係合腕部とともに動作または回転せず、個々の中間部材367、393が回転するにつれ、その隣接する係合部分と係合するために固定されたままである。
【0072】
図24では、装着部材375上で枢動位置へと枢動した第1レバー腕部374が図示され、装着部材397上でロック位置へと枢動した第2レバー腕部396が図示されている。ロック位置で、レバー腕部396は、爪409の近位柄部分と係合可能な突起406を含む。係合位置で、近位柄部分413は、中間部材393の係合部分414に沿って歯から係合端412を外すために、装着部材397に向かって動作することができない。したがって、第2開創器部分342の枢動位置は、レバー腕部396をロック位置に配置することによってロックされ、第2開創器部分342は、レバー腕部396が枢動位置へと動作しない限り、動作することができない。
【0073】
図24では、枢動位置にある第1レバー腕部374が図示され、これは爪421に接触しない状態で配置された第1レバー腕部374から延在する突起418を含む。この位置で、爪421はピン422の周囲で枢動して、係合端424を歯428の間から外すことができる。次に、レバー腕部374を操作して、第1開創器部分322を軸321に沿って所望の角位置へと枢動することができる。レバー腕部374が枢動すると、ロック部材420がそれとともに動作して、歯428の間の別の空間と位置合わせされる。第1部分322の望ましい方向が獲得されたら、近位柄部分423を解放し、ロック部材420をばねで偏倚するか、他の方法で動作させ、係合部分426と係合して、第1部分322の枢動位置を維持することができる。次に、レバー腕部396を装着部材375上でロック位置へと枢動することができ、ここで突起418が爪421と係合して、これが係合部分426から解放されることを防止する。
【0074】
図27〜図28を参照すると、分離器具360と係合可能な第1中間開創器組立体450が図示されている。中間開創器組立体450は、作業導管350からの組織を軸321に対して横方向に後退かつ/または維持させるために、第1開創器部分322と第2開創器部分342との間に配置可能な開創器ブレード452を含む。脊椎への1つの手術進入路では、開創器部分322、342が脊柱の中心軸の方向に配置された軸321に沿って動作可能であるように、開創器320を配置し、ブレード450を他方の開創器ブレード部分322、342に対して脊柱の中間、または脊柱に隣接して配置する。開創器ブレードおよび開創器部分に対する切開部の他の手術方向も想定される。
【0075】
第1中間開創器組立体450は、遠位端454と近位端456の間に延在するブレード452を含む。図28で示すように、遠位端454は、作業導管350から離れるように曲線を描き、後退させた切開部内に配置すると、骨または他の組織に載ることができる。ブレード452は、遠位端454と近位端456の間に平坦な輪郭を含むか、長手方向軸の周囲で、または長手方向軸に沿って凸状の曲線を含むことができる。ブレード452は単一の部材として設けるか、ブレード452を延長または短縮するために相互に対して動作可能な1つまたは複数の構成要素で設けることもできる。
【0076】
連結腕部458が、ブレード452の近位端456に対して横方向に配置され、そこから延在する。ブレード452の反対側には、第1および第2フック部材462、464の形態の係合部分を設ける。下部ロック部材464は、分離器具360の結合腕部368の周囲に配置することができる。連結腕部458は、切開部の組織からブレード452にかかる圧力が、フック部材464を結合腕部368に当ててしっかり保持するような長さを有する。上部フック部材462は、結合腕部368への下部フック部材の配置、または中間開創器組立体450の取り外しを容易にするための柄として働くことができる。例えば締結具および嵌合構成要素など、ブレード452を結合腕部368に固定する他の配置構成も想定される。
【0077】
第1中間開創器組立体450はさらに、図29および図30に示すように第2中間開創器組立体470によって装着可能である。第2中間開創器組立体470は、遠位端474と近位端476の間に延在するブレード472を含む。遠位端474およびそこから延在するブレード部分は、ブレード452に関して以上で検討したように構成することができる。第2連結腕部478が近位端476から延在し、ブレード472の反対側で係合足480を含む。係合足480は、第1中間開創器組立体450の連結腕部458に着脱式に装着可能である。
【0078】
第1連結腕部458は、自身を通って延在し、第2連結腕部478の足480の下面から延在するピン(図示せず)を受けるような構成であるスロット付き穴460(図27〜図28)を含む。ピンには、スロット付き穴460の拡大部分に配置可能な拡大頭部を設けることができ、頭部がスロット付き穴460に捕捉されるように、スロット付き穴460の細い方の端部へと滑動可能である。図示の実施形態では、スロット付き穴460の狭い方の部分は開創器ブレード472の反対側に延在し、したがって切開部の周囲の組織がブレード472を押す圧力が、足480のピンをスロット付き穴460の狭い方の端部に維持する。
【0079】
第2連結腕部478は、第1連結腕部458に対して横方向に延在するオフセット部分486を含む。オフセット部分486は、自身の間に延在するオフセット部材479によって連結される。オフセット部材479には、作業導管350へのアクセスを妨害しないように、隣接する個々の開創器部分322、342の周囲に延在するアーチ状輪郭を設けることができる。開創器ブレード472は、組織の後退状態を維持し、作業導管の開創器ブレード452とは反対側の側部に沿って配置された組織を保護することができる。第1および第2中間開創器組立体450、470は、外科措置中に、組織の後退および保護に関して、開創器320に係合した分離器具360で容易に利用可能な追加の選択肢を外科医に提供する。
【0080】
1つの外科措置にて、開創器320が分離器具360に係合し、切開部に挿入される。開創器320は、1つまたは複数の拡張器上を前進して、切開部を拡張するか、切開部内へと直接前進することができる。次に、分離器具360を操作して、開創器部分322、342を軸321に沿って相互から直線的に離し、作業導管350を拡大する。レバー腕部374、396の一方または両方を枢動位置へと動作させ、個々の開創器部分322、342を枢動するように操作することができる。開創器部分が枢動したら、そこから延在する突起が隣接する爪409、421と係合して、爪と隣接する係合部分414、426との係合状態を維持するように、個々のレバー腕部をロック位置へと動作させる。
【0081】
望ましい間隔を獲得すると、外科医には第1中間開創器組立体450を選択するという選択肢がある。ブレード452が、分離した第1開創器部分と第2開創器部分322、342の間で切開部に配置され、連結腕部458が結合腕部368に固定される。外科医にはさらに、第2中間開創器組立体470を選択し、ブレード472をブレード452とは反対側で切開部に配置するという選択肢がある。これで、連結腕部478を連結腕部458に固定することができる。開創器部分322、342の間隔および方向のさらなる調節は、分離器具360および/またはレバー腕部374、396によって完了することができる。
【0082】
さらに、開創器部分322、342を相互から直線的に分離する必要はなく、外科措置中にその一方または両方を軸321に沿って枢動するだけで分離することが想定される。作業導管350が望ましいアクセスを提供したら、外科医は開創器320を通して骨、組織、円板材料、または他の物質を取り出すことができる。癒着器具、ねじ、板、棒、人工円板、骨成長および他の補修器具または治療物質などのインプラントを、開創器320を通して患者の体内の望ましい部位に送出することができる。
【0083】
システムは、切開部内にアクセス入口を配置する前に、切開部の寸法を拡大するように構成された拡張器も含んでよい。拡張器は、図14a〜図14fで示すような拡張器のセットを含んでよい。拡張器および他の関連する器具の使用を含む手順について、図示の実施形態で説明する。
【0084】
この実施形態は、脊椎へのほぼ側方からの進入を可能にする。後外側、中線または内後側、および前側など、脊椎への他の進入路から措置の多くの態様を実行できることが理解される。誘導線150が皮膚および組織を通って円板腔または椎体V内へと前進することができる。皮膚に小さい切開部を作成して、皮膚を通る誘導線の貫入を容易にすることができる。また、K線でもよい誘導線を、放射線写真または画像で誘導した制御下で挿入し、適切な配置を評価することができる。言うまでもなく、誘導線150を脊椎のほぼ任意の位置および椎骨Vの任意の部分に配置できることが理解される。
【0085】
次に、1つまたは複数の組織拡張器が、図14bおよび図14cで示すように、誘導線150上を前進することができる。あるいは、誘導線に補助されずに拡張器が切開部を通して前進し、下組織の鈍的切開がこれに続くことができる。特定の図示の実施形態では、一連の徐々に大型化する拡張器151、152および153を次々に誘導線150上に同心状に配置し、体内へと前進させ、その後に軟組織を拡張する。特定の実施形態では、拡張器は5mmから9mm、さらに最大の拡張器の12.5mmまでの範囲で連続的に拡大する直径を有する。解剖学的進入路および作業導管の望ましい寸法に応じて、他の拡張器の寸法が想定される。
【0086】
本発明のある実施形態では、最終拡張ステップで過剰拡張器154(図14d)を使用して、手術部位に隣接する組織の拡張を有意に増大させることなく、手術部位から組織をさらに追加的に拡張する。
【0087】
このような後退は、手術部位の明視化を向上させ、手術部位付近の神経および脈管構造の処置を増大させずに、操作中の角張った器具のために追加の空間を提供するのに有用である。幾つかの実施形態では、過剰拡張器154をアクセス入口として所定の位置に残すことができる。幾つかの実施形態では、過剰拡張器154は、追加の管状ポート、開創器、またはアクセス入口を生成するための他の何らかの構造のために組織を準備するように設計される。図示の過剰拡張器154は、これより小さい拡張器150〜153上に同心状に填り、遠位端より大きい近位端を有する。図示の器具は円形の断面を有するが、任意の機能的断面または断面の組合せが想定される。
【0088】
図14eに示すように、管状ポート170は最大の拡張器153上を前進する。次に、拡張器および誘導線150を取り出し、所定の位置に管状ポート170を残して、アクセス入口として働かせることができる。同様に、図14fに示すように、開創器180が最大の拡張器153上を前進する。次に、拡張器および誘導線150を取り出し、管状ポート170を所定の位置に残して、アクセス入口として働かせることができる。
【0089】
アクセス入口が確立されると、患者の皮膚と脊椎に隣接する作業空間の間に作業導管を形成する。アクセス入口の長さは、実行中の特定の外科手術、および作業空間を囲む解剖学的構造によって決定されることが理解される。
【0090】
幾つかの実施形態では、管状ポート170または開創器180は、少なくとも最初は患者の軟組織および皮膚によってしか支持されない。しかし、管状ポート170および開創器180は両方とも、知られている設計でよい可撓性支持腕部160に締結するための装着構造を含む。可撓性支持腕部160は、図14eおよび図14fで示すように、ボルトおよび蝶ナット161によって管状ポート170または開創器180に装着することができるが、他の締結具も想定される。この可撓性腕部160は、手術台に装着するか、アクセス入口をしっかり支持するために、固定位置になるように容易に調節することができる。可撓性腕部160は、手術部位の邪魔にならず、外科医が措置を通じて使用する様々な道具を操作するための十分な余地ができるように、必要に応じて輪郭を描くように構成される。様々な可視化および照明器具も管状ポート170および開創器180に取り付けて、外科医の所望通りに手術部位へのアクセスを向上させることができる。その例は、光ファイバ照明、可視化管、内視鏡、顕微鏡などを含むが、それに制限されない。
【0091】
2つ以上の自動伸延式試行器具および少なくとも1つのインプラントを有する器具セットが、さらに想定される。2つ以上の試行器具はそれぞれ、潰れた円板腔に挿入するような寸法の挿入前端がある本体を有する。各試行器具の挿入前端は、ほぼ同じ寸法および形状である。各試行器具は、潰れた円板腔の高さを他の試行本体とは異なる高さまで回復する高さを挿入前端の近位側に有する。少なくとも1つのインプラントは、試行器具の試行本体の少なくとも1つの挿入前端とほぼ同じ寸法および形状である挿入前端を有する。インプラントは、少なくとも1つの試行器具によって回復した望ましい円板腔高さに対応する高さを挿入前端の近位側に有する。
【0092】
それぞれが遠位端に試行器具を有する試行器具のセットを含むキットも想定される。試行本体は、潰れた脊椎円板腔に挿入可能な自動後退式前端部分を有する。キットはさらに、潰れた脊椎円板腔に配置可能なインプラントのセットを含む。各インプラントは、個々の試行器具の寸法および形状に対応するような寸法および形状にされる。脊椎円板腔に各インプラント本体が填ることは、対応する試行器具が填ることによって医師に示される。試行器具が所望通りに填った場合は、試行器具を取り出し、その試行器具に対応するインプラントを、引き出した試行器具が以前に占有していた位置で、潰れた円板腔に挿入する。
【0093】
図31a、図31bおよび図32を参照すると、人体骨格のそれぞれ前頭面および矢状面に沿った立面図が提示されている。図32は、人間の腰部を通る断面図を示す。腰部椎体L3とL4の間で終了する外科的側方進入路のベクトル600が図示されている。骨格の胸郭611および腸骨603が進入路ベクトル600の各側に図示されている。
【0094】
本発明の方法の実施形態は、概ね側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置することを含む。1つの全体的に側方の外科的進入路が、外科的側方進入路ベクトル600によって図示されている。側方進入路の変形は、後斜方および前斜方偏移、さらに前頭面に沿った偏移を含むが、これに制限されない。進入路が脊椎の長手方向軸に対して直角ではないように進入路を「傾斜させる」ことを含めて、前頭面での偏移は、様々な脊椎円板に到達する、かつ/または患者の特定の骨格および軟組織を回避するために必要なことがある。
【0095】
患者は、患者の手術側がアクセス可能であるように配置される。患者は、このようにアクセスするために横向き、仰向けまたは俯せで配置することができる。アクセスするために、患者が配置された台または他の構造を任意の面で傾斜させるか、上昇させることができる。状況によっては、手術側で患者の胸郭611と腸骨稜603の間を分離させるために、患者の非手術側に当てて突起を配置することが望ましい。実際に、このような実施形態では患者を突起の「周囲で曲げて」、手術側を切開する。胸骨611と腸骨603の間で患者の手術側を切開する。切開は任意の効果的な器具で実行することができ、これは初期挿入拡張器の挿入を含む。初期挿入拡張器は誘導線150(図14a〜図14f)でよい。初期挿入拡張器は、本発明の実施形態では椎体間に配置する。他の実施形態では、初期挿入拡張器を椎体の1つに、または何らかの他の組織領域に配置することができる。組織は、初期挿入拡張器に填る第1同心拡張器で拡張して、さらに切開部を開くことができる。この手順の変形および追加の有効な手順を、図14a〜図14fに関して説明する。
【0096】
本発明の実施形態は、管状ポート170(図14e)または開創器構造180を切開部に挿入することを含む(図14f)。管状ポート170または開創器構造180は、手術部位にアクセス入口を提供する。幾つかの実施形態では、管状ポート170または開創器構造180の挿入は、1つまたは複数の拡張器上に挿入することを含む。さらに切開部を開くために、開創器構造180の動作を遂行することができる。開創器構造180の動作については、図15〜図30に関して包括的に説明する。幾つかの実施形態では、開創器構造180の一部を、締結具または他の有効な器具で1つまたは複数の椎体に取り付けることができる。このような取り付けは、椎体間に後退力を加えることによって補助する、かつ/または開創器構造180および解剖学的構造の相対的配置を安定させることができる。
【0097】
椎体間に植え込むために椎骨円板材料を取り出して、開口を生成することは、円板材料を取り出すことができる任意の道具で遂行することができる。幾つかの実施形態では、脳下垂体の骨鉗子、ロータリシェーバ、やすり、およびスクレーパのうち少なくとも1つを使用する。このような器具は、手で操作するか、動力源で駆動することができる。1つの方法によると、潰れた円板腔にアクセスし、試行本体および/またはインプラントの幅に相当する幅を有する環状に開口を形成する。環状開口を通して円板材料を取り出し、外科医の所望に応じて、スクレーパまたは終板をざらざらにする他の適切な器具で、終板を手作業でざらざらにする。
【0098】
幾つかの実施形態では、椎体間に試行器具を挿入する。試行の機能は、円板腔の寸法を評価するか、円板腔の高さを伸延させることもある。外科医は、挿入した試行器具またはインプラントの触覚フィードバックによって、または目視検査によっても、試行器具またはインプラントが望ましい円板腔高さを提供しているか、判断することもできる。挿入した試行器具またはインプラント本体が、残りの環状組織を十分に伸張して、試行またはインプラント本体の上下面と隣接する椎骨終板との間をしっかり係合させることが望ましいことがある。インプラントに対する隣接椎骨の手術後の動作を防止するか、最小限に抑えるために、十分な表面積が接触することが望ましいことがある。対応する寸法および形状の試行本体およびインプラント本体を提供し、試行本体およびインプラント本体を伸延していない円板腔に挿入することによって、挿入した試行またはインプラント本体は、適合の望ましさを外科医に直接フィードバックすることができる。例えば第2開創器などで延伸が維持されたら、インプラントの手術後の適合に関する外科医へのフィードバックは、延伸を除去するまで、全く信頼できないか、入手できない。したがって、外部延伸を使用せずに、試行本体およびインプラントを使用することができるか、試行器具およびインプラントの挿入中に、別の円板腔位置で延伸を維持することができる。
【0099】
しかし、2次延伸を使用して、インプラントおよび試行本体を引き出した後に、円板腔の延伸を少なくとも部分的に維持することができる。例えば、椎弓根スクリューおよび棒を使用して、特定のインプラントまたは試行器具で獲得した延伸を少なくとも部分的に維持することができるが、それを使用する必要はない。さらに、試行本体は、円板腔位置へのインプラントの適合を示す。インプラントは、試行器具のそれと対応する形状を含むことができるので、対応するインプラントが試行器具の占有した腔に適合することを、外科医は直接確認する。
【0100】
次に、試行本体および/またはインプラントを順番に円板腔に挿入し、必要に応じて環状開口を通して引き出す。インプラントは自動で伸延するので、インプラントを受けるために椎骨終板をのみで削るか、穿孔する、または他の方法で形成する必要がないが、このようなステップは排除されない。その結果、両側伸延、外部芯柄、のみでの削り、穿孔およびリーマ加工が省略されるので、外科措置で必要なステップが少なくなる。また、円板腔に他の器具または器具がないので、円板腔の準備、試行器具の挿入および/またはインプラントの挿入の明視化が容易になる。円板腔に切開器具がないことは、措置の安全性も改善することができる。
【0101】
試行器具およびインプラントを使用する最小侵襲性技術が想定される。任意の特定の患者で、インプラントは、後方、後外側、前外側、孔を横切る、遠外側および/または前方進入路の任意の1つまたは組合せを介して挿入することができる。インプラントの挿入は、潰れた脊椎円板腔への1本の通路を通して、または潰れた円板腔への複数の通路を通して、または脊柱の複数レベルの潰れた円板への複数の通路を通して実行することができる。インプラントを、および使用している場合は試行器具を、同じ進入路から同じ円板腔位置へと挿入するので、インプラントを挿入する手順全体を、1本の通路を通して完了することができる。複数通路の手順を使用すべき場合、外科医は第2通路を生成して、そこで作業するために移動する前に、1本の通路を通してインプラントの挿入を完了することができる。
【0102】
伸延およびインプラントの挿入は、潰れた円板腔への同じ通路に沿って実行されるので、インプラントおよび試行器具は、潰れた円板腔への通路を提供するために開創器スリーブを使用する最小侵襲性措置で使用するのに適切である。このような開創器スリーブは、作業導管内の要素を内視鏡で見ること、開創器スリーブの近位端上のシステムを顕微鏡で見ること、X線透視装置で見ること、ルーペ、肉眼および/または画像案内のうち任意の1つ、またはその組合せを使用することができる。
【0103】
特定の方法の実施形態によると、椎体間にインプラントを挿入する。上述したインプラントの実施形態のいずれか、さらに特定の他のインプラントを、本明細書で述べる方法の一部として挿入することができる。幾つかの実施形態のインプラントを、円板腔に詰め込むか、押し込むことができる。その結果、環状組織、および潰れた円板腔への進入路上にある組織の破壊が軽減される。というのは、円板腔におけるインプラントの足跡を、円板腔へのインプラントの進入路によって占有された足跡と同じにできるからである。また、試行器具と同じ足跡を有するインプラントを提供し、同じ入口または通路を通して伸延およびインプラントの挿入を実行することにより、インプラントの挿入中に円板腔の伸延に対応するために、追加の組織の切開および/または後退が必要なくなる。
【0104】
図33を参照すると、前方壁10が少なくとも部分的に曲線である、前方に配置したインプラント1が図示されている。幾つかの実施形態では、インプラント1を挿入する行為は、前方側壁10の第1曲線部分10aおよび第2曲線部分10bがほぼ、上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁610の間に配置されるように、インプラント1を椎体間に前方から配置することを含む。幾つかの実施形態では、第1曲線部分10aおよび第2曲線部分10bの一方または両方を、上部椎骨と下部椎骨の皮質縁間に配置することができる。他の実施形態では、前方壁10全体を上部椎骨と下部椎骨の皮質縁間に配置することができる。開示された前方側壁10の曲線は、皮質縁の境界を越えて延在せずに、インプラント1、特に第1および第2曲線部分10a、10bをほぼ、支持された椎骨の皮質縁間に配置できるようにするには有用である。皮質縁610は、椎体Vの内部海綿骨620よりも多くの支持を提供する。
【0105】
潰れた脊椎円板腔にアクセスする手段を含む椎間板インプラントを挿入する方法も想定される。幾つかの試行本体に、伸延していない円板腔に挿入されるような寸法の前端部分を設ける。試行本体を円板腔に順番に挿入し、取り出す。所望の円板腔高さを提供する試行器具を使用して、最後に挿入した試行器具の高さおよび前端部分に対応する高さおよび自動伸延する前端部分を有するインプラントを選択する。次に、そのインプラントを伸延していない円板腔に挿入して、円板腔を回復し、望ましい円板腔高さを術後に維持する。
【0106】
本発明の実施形態を本開示で詳細に図示し、説明してきたが、この開示は例示的であり、限定的な性質ではないと見なされるべきであり、また、本発明の精神に含まれる全ての変更および改造は保護されることが望ましいと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態のインプラントの斜視図である。
【図2】図1のインプラントの別の斜視図である。
【図3】図1のインプラントの端面図である。
【図4】図1のインプラントの端面図である。
【図5】本発明の別の実施形態のインプラントの端面図である。
【図6】本発明の実施形態のさらに別のインプラントの立面図である。
【図7】図6のインプラントの断面図である。
【図8】本発明の実施形態の結合部材の斜視図である。
【図9】図8の結合部材の遠位端の斜視図である。
【図10】インプラントに取り付けられた本発明の実施形態の結合部材の斜視図である。
【図11】本発明の別の実施形態の結合部材の遠位端の斜視図である。
【図12】本発明の別の実施形態のインプラントの斜視図である。
【図13】本発明の実施形態の器具セットの斜視図である。
【図13a】本発明の実施形態の試行器具の遠位部分の斜視図である。
【図13b】図13aの試行器具の遠位部分の側面図である。
【図13c】図13aの試行器具の遠位部分の端面図である。
【図13d】図13bの線13d−13dを通る断面図である。
【図14】図14a〜図14fは、脊柱に適用した本発明の実施形態の部分断面図および側面図である。
【図15】挿入構成での開創器の斜視図である。
【図16】図15の開創器の平面図である。
【図17】分離器具が係合した状態の図15の開創器の平面図である。
【図18】図17の組立体の斜視図である。
【図19】開創器部分を分離した状態の図17の組立体の別の斜視図である。
【図20】図19の組立体の平面図である。
【図21】レバー腕部が枢動位置へと移動した状態の図19の組立体の斜視図である。
【図22】自身に係合した開創器部分が非枢動位置にある場合のレバー腕部ロック組立体を示す、図21の線22−22を通る分離器具の一部の断面図である。
【図23】開創器から外した図17の分離器具の斜視図である。
【図24】図17の分離器具の一部の立面図である。
【図25】枢動した開創器部分を示す組立体の斜視図である。
【図26】自身に係合した開創器部分が非枢動位置にある場合のレバー腕部ロック組立体を示す、分離器具の一部の図25の線26−26を通る断面図である。
【図27】枢動した開創器部分、および分離器具に係合した第1中間開創器組立体を示す、図19の組立体の斜視図である。
【図28】図27の組立体の平面図である。
【図29】第2中間開創器組立体が第1中間開創器組立体に係合した状態の図27の組立体の斜視図である。
【図30】図29の組立体の平面図である。
【図31a】人体骨格の前頭面に沿った立面図である。
【図31b】人体骨格の矢状面に沿った立面図である。
【図32】人体の腰部領域を通る断面図である。
【図33】椎骨終板および本発明の実施形態のインプラントの輪郭の平面図である。
【図34】椎骨終板および本発明の実施形態のインプラントの輪郭の平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して脊椎インプラントの分野に関し、特に椎体スペーサおよび椎体スペーサを植え込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
椎体スペーサは、変性円板疾患または他の脊椎状態に応答して、隣接する椎骨間の空間を維持するために使用される。通常、関連する外科措置の目的は、隣接する椎骨が相互に成長または「融合」することである。椎体スペーサは通常、生体適合性合成材料または同種移植片骨で作成される。
【0003】
椎体スペーサは、長年、前方進入路、孔を横切る進入路、傾斜進入路、後方進入路、および他の外科的進入路から植え込まれてきた。また、側方外科的進入路も遂行されてきた。しかし、側方進入路に関連する以前のインプラント、器具、および方法は最適ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
側方進入路で使用されている既存のインプラントは、椎骨終板の自然の曲線、または椎体の前方部分の自然の前方曲線に一致しないことがある。器具および側方インプラントは、隣接する終板を損傷せずに、円板空間を効率的に延伸させるのに必ずしも適切でない。器具および側方インプラントの形状は、周囲組織の破壊を減少させるために特に調整されていない。現在の方法は、骨および他の組織を大幅に切断し、操作する必要があることがある。
【0005】
知られている器具、装置および方法に関連する特定の欠点および問題に関する本明細書の記述は、本発明の範囲をこのような知られている器具、装置および方法を除外するように制限するものではない。本発明の実施形態は、本明細書で述べた欠点および問題に患わされずに、知られている器具、装置および方法の一部または全てを含むことができる。
【0006】
手術を実行する方法および器具が、1996年3月22日出願の米国特許第5792044号「Devices and Methods for Percutaneous Surgery」、2002年10月21日出願の米国特許出願第10/274856号「Systems and Techniques for Restoring and Maintaining Intervertebral Anatomy」、2004年1月28日出願の米国特許出願第10/766167号「Systems and Techniques for Restoring and Maintaining Intervertebral Anatomy」、および2004年3月3日出願の米国特許出願第10/792358号「Instruments and Methods for Minimally Invasive Tissue Retraction and Surgery」で開示され、これは全て参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献で述べられ、本発明の構成要素とともに使用するように適用可能である全ての関連するインプラント、器具、方法または外科的アプローチは、本明細書で述べ、請求の範囲にある本発明の範囲に入る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状に曲線を描く上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状に曲線を描く下面、前端部分、および反対側の後端部分を有する。少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁が、前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁が前端部分と後端部分の間に延在する。本体は、上面と下面の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板との間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0008】
本発明の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面、前端部分、および反対側の後端部分を有する。少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁が、前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁が前端部分と後端部分の間に延在し、後方側壁は前方側壁の平均高さより小さい平均高さを有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端の高さより大きくなるように曲線を描く。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0009】
本発明の別の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラントである。実施形態は、凸状の曲線を描く上面、凸状の曲線を描く下面、上面と下面の間に延在する凸状の曲線を描く表面によって画定される前端部分、および上面と下面の間に延在するほぼ平面の表面によって画定される後端部分を有する。前方側壁は、最前方部分、前端部分と最前方部分の間に延在する第1曲線部分、および後端部分と最前方部分の間に延在する第2曲線部分によって画定される。後方側壁は、前端部分と後端部分の間に延在する。インプラントの中心付近の高さは、約8mm〜14mmの間である。インプラントの前端部分の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0010】
本発明の追加の実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有するインプラントを含む。実施形態は、上部椎骨とほぼ協働状態で適合するために上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面手段、下部椎骨とほぼ協働状態で適合するために下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面手段、上部椎骨と下部椎骨との間へのインプラントの挿入を促進する前端手段、および反対側の後端部分を有する。実施形態は、インプラントの一部が上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁の間に前方進入できるようにする、少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁手段も有する。後方側壁は前端手段と後端部分の間に延在する。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、インプラントを上部椎骨の終板と下部椎骨の終板の間に配置するシステムである。実施形態は、異なる寸法の少なくとも2つの器具がある試行器具のセットを含む。
【0012】
試行器具のセットの各試行器具は、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、およびそれぞれ上面および下面に合うように前端から分岐する区画を有する前端部分を有する。実施形態は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有するインプラントも含む。インプラントは、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端より大きくなるように曲線を描き、インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の手術側がアクセス可能になるように患者を配置することと、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に初期挿入拡張器を配置することと、切開部をさらに開くために、初期挿入拡張器上に適合する第1同心拡張器で組織を拡張することと、椎体間に植え込むための開口を生成するために、椎骨円板物質を除去することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間にインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎体に向かって配置可能な上面、下部椎体に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する前方側壁、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。上面と下面のうち少なくとも一方は、インプラントの中心付近の高さがインプラントの前端の高さより大きくなるように曲線を描く。インプラントの中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間である。インプラントの前端の高さは、インプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0014】
本発明の別の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の手術側がアクセス可能になるように患者を配置することと、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に初期挿入拡張器を配置することと、切開部をさらに開くために、初期挿入拡張器上に適合する第1同心拡張器で組織を拡張することと、椎体間に植え込むための開口を生成するために、椎骨円板物質を除去することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間にインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎体の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面、下部椎体の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面、前端部分および反対側の後端部分、前端部分と後端部分の間に延在する前方側壁、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。本体は、上面と下面の間に、上部椎骨の終板と下部椎骨の終板との間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0015】
本発明の実施形態は、全体的に側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置する方法である。実施形態は、患者の胸郭と腸骨稜の間で患者の手術側に切開部を作成することと、椎体間に試行器具を挿入することと、椎体間に細長い本体があるインプラントを挿入することとを含む。インプラントは、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面、前端部分および反対側の後端部分、最前方部分によって画定された前方側壁、前端部分と最前方部分の間に延在する第1曲線部分、および後端部分と最前方部分の間に延在する第2曲線部分、および前端部分と後端部分の間に延在する後方側壁を有する。インプラントを挿入する動作は、前方側壁の第1曲線部分および第2曲線部分が、ほぼ上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁の間に配置されるように、椎体間に前方からインプラントを配置することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図4は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体があるインプラント1を示す。上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面3、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面5が図示されている。幾つかの実施形態では、上部および下部曲線は相互に鏡像であるか、曲線が異なってもよい。例えば、より明白な上方椎骨の下方終板の曲線およびそれほど明白でない下方椎骨の上方終板の曲線への一致を向上させるために、上部曲線を下部曲線より大きくすることができる。上面3および下面5は、一定の半径を有するか、複合曲線であるか、一方または両方が平坦でもよい。
【0017】
図1〜図4に示すように上下面3、5はキャビティ(空隙)4によって中断される。キャビティ4は一部または全体がインプラント1に貫入する。図示の実施形態では、上面3および下面5は、キャビティ4の全側部に部分を有する。幾つかの図では、明快さを期して表面は1つの側部にしかラベルが付けられていないが、表面は、キャビティ4の各範囲を越えて部分を含むように意図されている。図示のように、上面3および下面5は、インプラント1の本体の全長に沿って凸状の曲線を描く。「全長」という用語は、幾つかの実施形態では、インプラント1の端部付近の様々な延長部分または打ち切り部分を含まない。本発明の他の実施形態では、曲線は長さの一部のみが凸状でよい、または凸部分間に他の形状が散在してよい、または平坦区画または様々な形状の区画によって全体的に凸状の形状を形成し、全体的に凸状の形状を生成してもよい。
【0018】
前端部分7および反対側の後端部分9も、図1〜図4に図示されている。図示の前端部分は上面3と下面5の間に丸まったノーズを有する。図示の前端のノーズも、前方側壁10と後方側壁11の間で部分的に丸くなっている。幾つかの実施形態では、ノーズは側壁の間で完全に丸くなっているか、他の実施形態では平坦部分を含んでもよい。図示の後端部分9は平面であり、前方側壁10と後方側壁11の間に延在する。他の実施形態では、後端部分は曲線を描くか、角張っているか、任意の他の機能的形状でよい。
【0019】
前方側壁10は前端部分7と後端部分9の間に延在し、図示の前方側壁10は少なくとも部分的に凸状の曲線を描く。図1に示すように、前方側壁10は、最前方部分10c、前端部分7と最前方部分10cの間に延在する第1曲線部分10a、および後端部分9と最前方部分10cの間に延在する第2曲線部分10bによって画定される。図示のように、第1および第2曲線部分10a、10bは凸状曲線であり、最前方部分10cは平坦な区画である。他の実施形態では、第1および第2曲線部分10a、10bは、同じ凸状曲線の一部でよく、最前方部分10cは曲線に沿った点でよい。あるいは、前方側壁10を備える第1および第2曲線部分10a、10bの一方しかないか、側壁が様々な形状の区画の組合せでもよい。幾つかの実施形態では、前方側壁10の凸状曲線が、丸まった隅または面取り部以上のものを含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、前方側壁10の曲線は、インプラント1、特に第1および第2曲線部分10a、10bを、皮質縁の境界を越えて延在させることなく、支持された椎骨の皮質縁間にほぼ配置できるようにするのに有用である。図33を参照すると、皮質縁610は下方椎体Vの前方部分の周囲に延在している。第1および第2曲線部分10a、10bが曲線を描いているので、インプラント1はさらに前方で、さらに皮質縁610に沿って配置することができる。皮質縁610は、椎体Vの下方海綿骨620よりも多くの支持を提供する。インプラントの代替配置が図34に図示されている。側方進入路から配置されているが、椎体V上のさらに後方に配置された代替インプラント601が図示されている。
【0021】
図示の後方側壁11は、インプラント1の前端部分7と後端部分9の間に延在する。インプラント1の本体は、上面3と下面5の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板の間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。「高さ」という用語は、上面3と下面5の間の距離を指す。幾つかの実施形態では、上下面3、5は平面ではなく、相互から一定の距離ではない。したがって、高さという用語は、特定の距離に制限されず、椎骨の望ましい間隔を生成する全体的形状を述べるために使用することができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、インプラント1の中心付近の高さが、インプラント1の後端部分7付近の高さより大きくなるように、上面3と下面5のうち少なくとも一方が曲線を描く。前彎形状を含むインプラント1などのインプラントでは、インプラントの中心付近の高さは、インプラントの中心付近の最大高さである。図1〜図4に示すように、高さとは、中心付近の前方側壁10の高さである。非前彎状インプラント101(図5)などのインプラントでは、インプラントの中心付近の高さは、前方側壁110または後方側壁111のいずれかの中心付近の高さである。例えば、非前彎状インプラント101(図5)の中心付近の高さをhiとする。インプラント1の後端部分7付近の高さは、ノーズなどの前端部分7の丸まった部分または尖った部分より前の上面3と下面5の間の最大距離である。例えば、非前彎状インプラント101(図5)の前端部分付近の高さをhnとする。
【0023】
本発明の実施形態のインプラントのインプラント中心付近の高さは、約7mm〜19mmの間であり、このようなインプラントの前端付近の高さは、個々のインプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。例えば、中心付近の高さが12mmのインプラントは、前端付近の高さが9mm以下になる。別の特定の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約13mm〜19mmの間であり、インプラントの前端の高さは、約4mmと9mmとの間である。別の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約9mmと13mmとの間であり、インプラントの前端の高さは約4mm〜7mmの間である。さらに別の実施形態では、インプラントの中心付近の高さは約6mm〜9mmの間であり、インプラントの前端の高さは約3mm〜5mmの間である。さらに別の実施形態では、本発明の実施形態のインプラントのインプラント中心付近の高さは約8mm〜14mmの間であり、このようなインプラントの前端付近の高さは、個々のインプラントの中心付近の高さより少なくとも約3mm小さい。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態の前端部分7は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔内に挿入するように構築される。このような実施形態では、前端部分7を含むインプラント1の高さは、本体を潰れた円板腔に挿入した状態で、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さまで回復するような寸法にされる。前端部分7は、相対的に短い高さのせいで挿入を容易にすることができ、インプラント1の長さに沿って増加する高さが、潰れた円板腔を回復する。
【0025】
図1〜図4に示すように、前方側壁10の平均高さは、後方側壁11の平均高さより大きい。幾つかの方法で植え込んだ場合、これはインプラント1が椎骨間の前彎症を矯正することを容易にする。図33および図34は、前方側壁の平均高さが後方側壁より大きいインプラントで、前彎症を矯正する器具の配置を示す。他の実施形態では、前方および後方側壁が同じ高さでよく、または後方側壁の方が部分的または平均で高くてもよい。後方壁の方が高くなると、変形を矯正するか外傷性傷害を治療するために後彎が望ましい場合に、脊椎の部分で有用なことがある。
【0026】
インプラント1はその上面3および/または下面5に沿って幾つかの係合部材15を含んでよい。図1〜図4に示す係合部材15は、上下面3、5から外側に突出して、インプラント1が脊椎円板腔に配置された場合に、隣接する椎骨終板の体組織と係合する。図示の係合部材15は、インプラントの挿入方向に向かって傾斜する空洞4に沿った幾つかの歯である。係合部材15は、摩擦コーティングまたは摩擦表面処理などの要素を含む、運動に対する多少の抵抗を生成する歯または他の突起またはキャビティでよい。図示の係合部材15は、インプラントの挿入部分に向かって傾斜し、挿入に対する抵抗を低下させた状態で、挿入切開部を通したインプラントの排除に抵抗するが、係合部材は、全方向への運動に抵抗するように構成してもよい。
【0027】
図2および図3に示すように、インプラント1は前方側壁10の第1切欠部16、および後方側壁11の第2切欠部18を含む。図示の第1および第2切欠部16、18は、平坦な上下面を有するが、切欠部は、結合部材でのインプラント1の把持を容易にする任意の構成でよい。結合部材は、挿入器具550(図8)または他のこのような器具の要素の一部または全部を含んでよい。結合部材は、インプラント1の本体を結合部材に固定するために、第1および第2切欠部16、18のそれぞれに配置可能な第1および第2指状部568、570を有してよい。幾つかの実施形態では、結合部材は、円板腔に挿入するためにインプラント1に組み込まれる。本発明の幾つかの実施形態では、固定機構19が組み込まれる。固定機構19は、ねじを切った軸またはねじを受けるねじ穴でよい。固定機構は、結合部材との接続を容易にするために、結合部材と係合する干渉嵌めまたは任意の他の器具を提供するようにも構成することができる。
【0028】
図5を参照すると、本発明のインプラントの別の実施形態が図示されている。非前彎状インプラント101は、ほぼ同じ高さである前方側壁110および後方側壁111を有する。このようなインプラントは、前彎矯正が必要ではない臨床状況で椎骨を隔置するのに有用である。非前彎状インプラント101の他の特徴および構成は、上述したインプラント1の特徴および構成と同様である。
【0029】
本発明の別の実施形態が、図6および図7に図示されている。対称性インプラント201は、脊椎円板腔に配置可能な細長い本体を有する。上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面203、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面205が図示されている。幾つかの実施形態では、上部および下部曲線は相互に鏡像であるか、曲線が異なってもよい。例えば、より明白な上方椎骨の下方終板の曲線およびそれほど明白でない下方椎骨の上方終板の曲線への一致を向上させるために、上部曲線を下部曲線より大きくすることができる。上面203および下面205は、一定の半径を有するか、複合曲線であるか、一方または両方が平坦でもよい。
【0030】
図7に示すように上下面203、205はキャビティ204によって中断される。キャビティ204は一部または全体が対称性インプラント201に貫入する。図示の実施形態では、上面203および下面205は、キャビティ204の全側部に部分を有する。幾つかの図では、明快さを期して表面は1つの側部にしかラベルが付けられていないが、表面は、キャビティ204の各範囲を越えて部分を含むように意図されている。図示のように、上面203および下面205は、対称性インプラント201の本体の全長に沿って凸状の曲線を描く。「全長」という用語は、幾つかの実施形態では、対称性インプラント201の端部付近の様々な延長部分または打ち切り部分を含まない。本発明の他の実施形態では、曲線は長さの一部のみが凸状でよい、または凸部分間に他の形状が散在してよい、または平坦区画または様々な形状の区画によって全体的に凸状の形状を形成し、全体的に凸状の形状を生成してもよい。
【0031】
前端部分207および反対側の後端部分209も、図6および図7に図示されている。対称性インプラント201は、第1または第2端部分207、209を円板腔に最初に挿入する状態で、挿入することができる。同様に、第1または第2端部分207、209を挿入器具に結合することができる。外科医は、様々な時に左側または右側から患者にアプローチしたいと考える。対称に構成されたインプラントは、他にも目的がある中で、様々な形状の上下面203、205があるインプラントが必要な場合に、在庫を減少させるために有用である。
【0032】
前方側壁210および後方側壁211の構成は、以上で詳細に述べた前方側壁10および後方側壁11と同様であり、全ての特徴がいずれの実施形態にも当てはまる。
本発明の幾つかの実施形態の第1および第2端部分207、209は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構築される。挿入された端部分を含む対称性インプラント201の高さは、本体を潰れた円板腔に挿入すると、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さまで回復するような寸法にされる。挿入された端部分は、相対的に短い高さのせいで挿入を容易にすることができ、インプラント201の長さに沿って増加する高さが、潰れた円板腔を回復する。
【0033】
対称性インプラント201はその上面203および/または下面205に沿って幾つかの係合部材215を含んでよい。図6に示す係合部材215は、上下面203、205から外側に突出して、対称性インプラント201が脊椎円板腔に配置された場合に、隣接する椎骨終板の体組織と係合する。図示の係合部材215は、空洞204に沿った幾つかの歯である。係合部材215は、摩擦コーティングまたは摩擦表面処理などの要素を含む、運動に対する多少の抵抗を生成する傾斜した歯などの歯または他の突起またはキャビティでよい。係合部材は、全方向への運動に抵抗するように構成してもよい。
【0034】
図7に示すように、対称性インプラント201は、第1端部分207と第2端部分209の両方で、前方側壁210の第1切欠部216、および後方側壁211の第2切欠部218を含む。図示の第1および第2切欠部216、218は、平坦な上下面を有するが、切欠部は、結合部材でのインプラント1の把持を容易にする任意の構成でよい。結合部材は、挿入器具550(図8)または他のこのような器具の要素の一部または全部を含んでよい。結合部材は、対称性インプラント201の本体を結合部材に固定するために、第1および第2切欠部216、218のそれぞれに配置可能な第1および第2指状部568、570を有してよい。幾つかの実施形態では、結合部材は、円板腔に挿入するために対称性インプラント201に組み込まれる。本発明の幾つかの実施形態では、固定機構219が組み込まれる。固定機構219は、ねじを切った軸またはねじを受けるねじ穴でよい。固定機構は、結合部材との接続を容易にするために、結合部材と係合する干渉嵌めまたは任意の他の器具を提供するようにも構成することができる。
【0035】
図8を参照すると、挿入器具550が図示されている。挿入器具550は、細長い軸552を含み、これは近位部分554と、インプラント1などのインプラントを軸552に結合する結合部材として働く遠位把持部分556との間に延在する。近位部分554は、軸552へと横方向に延在する柄558を含む。1つの実施形態では、柄558は軸552へと斜めに向いて配置されて、操作および挿入器具550での身振りでの指示を容易にする。軸552は柄558からハウジング部分560へと近位方向に突出する。ハウジング部分560は、自身内に収容された調節部材562を含む。内軸564(図9)は調節部材562から軸552を通して遠位把持部分556へと遠位方向に延在する。調節部材562は、サムホィールまたは他の適切な把持要素を提供して、内軸564の遠位端をインプラントと係合させるために、外科医が内軸564を外軸552内で回転することを容易にする。
【0036】
遠位把持部分556は本体部材566と、本体部材566の反対側から遠位方向に延在する1対の指状部568、570とを含む。内軸564の遠位端は、本体部材566から遠位方向に突出し、指状部568、570の中心に配置される。図10に示すように、指状部568、570は、図示の実施形態のインプラント1のように、挿入器具550が係合しているインプラントの個々の切欠部に配置可能である。内軸564は、インプラント1の固定機構19のように、インプラントの近位端壁の孔に係合可能である。指状部568、570の外面は、インプラント1の側壁の外側面と面一であるか、それに対して窪み、したがって指状部568、570はインプラント1の側壁を越えて突出していない。インプラント1と係合した場合、指状部568、570は全体的な幅を画定し、これは側壁の外側面の間のインプラントの幅より小さい。これは、インプラントおよび器具組立体の挿入輪郭を最小限に抑え、脊椎円板腔への侵襲性進入路の小型化を容易にする。
【0037】
図11を参照すると、別の実施形態の挿入器具580が図示されている。挿入器具580は、内軸584の周囲で長手方向に動作可能な外軸582を含む。挿入器具580は、インプラントを内軸584に結合する結合部材を形成する遠位把持部分586を含む。遠位把持部分586は、ベース部分598、および中心スロット596によって分離された1対の偏倚部材588、590を含む本体部材を内軸584の遠位端に含む。偏倚部分588、590は、ベース部分598に形成された一体蝶番または一体成形蝶番の周囲で相互に結合される。指状部592、594は、個々の偏倚部材588、590から遠位方向に延在する。ベース部分598は、近位方向に先細になる外面輪郭を含む。外軸582は、偏倚部材588、590を、したがって指状部592、594を相互に向かって動作させ、その間のインプラントを把持するために、内軸584に対して、少なくともベース部分598の外面輪郭に沿って遠位方向に動作可能である。インプラントは、偏倚部材588、590を、したがって指状部592、594を相互から通常状態に向かって動作させることが可能であるように、内軸584に対して外軸582を近位方向に変位させることによって解放することができる。
【0038】
外軸582、584を動作させる様々な機構が想定される。例えば、軸582、584を相互にねじ係合することができ、外軸584を内軸582の周囲で回転させ、その間に近位方向および遠位方向の動作を実行する。別の実施形態では、近位柄アクチュエータを内外軸582、584を結合し、柄を操作するにつれて、柄が軸間で近位方向および遠位方向に直線運動する。内外軸を相互に対して長手方向に動作させる他の適切な機構も想定される。
【0039】
図12を参照すると、脊椎円板腔内に配置可能な細長い本体がある移植インプラント(グラフトインプラント)301が図示されている。この実施形態は、上部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く上面303、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な凸状の曲線を描く下面305が図示されている。少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁310が、前端部分307と後端部分309の間に延在し、後方側壁311が前端部分307と後端部分309の間に延在する。移植インプラント301は、上下面303、305の間に、上部椎骨終板と下部椎骨終板の間の望ましい円板腔高さに対応する高さを含む。前端部分307は、少なくとも部分的に潰れた状態で円板腔に挿入するように構成され、高さは、移植インプラント301を潰れた円板腔に挿入した場合に、潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復させるような寸法にされる。
【0040】
移植インプラント301は、上記で詳述したインプラント1と構成、機能および説明が同じである。また、移植インプラント301の実施形態、および本明細書で述べる他の実施形態は、骨移植材料(骨グラフト材料)で構築することができる。制限ではなく、骨移植材料は同種移植片の骨でよい。幾つかの実施形態では、移植インプラント301は骨の中実区間で構築される。他の実施形態では、移植インプラント301は、骨の厚板を組み合わせて最終構成にして構築する。移植インプラント301は、移植インプラント301の1つまたは複数の長手方向軸を通って水平または垂直面に沿って組み合わせた骨の厚板で構築してよい。幾つかの実施形態では、移植インプラント301を通してキャビティを切り取るか、構築する。キャビティは、移植材料を含むために有用である。
【0041】
インプラントの実施形態は、上面手段、下面手段、前端手段、反対側の後端部分、および少なくとも部分的に凸状の曲線を描く前方側壁手段がある器具を含む。試行器具の試行本体およびインプラント本体は、合成または自然の自家移植片、同種移植片または異種移植片組織、などの任意の生体適合性材料から作成することができ、再吸収性または非再吸収性の性質でよい。組織材料の例は、硬組織、結合組織、脱ミネラル骨基質およびその組合せを含む。再吸収性材料のさらなる例は、ポリラクチド、ポリグリコライド、チロシン誘導ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリフォスファゼン、燐酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、生体活性ガラス、およびその組合せである。非再吸収性材料のさらなる例は、非強化ポリマ、炭素強化ポリマ複合体、PEEKとPEEKの複合体、形状記憶合金、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、セラミックスおよびその組合せその他である。試行器具またはインプラントが放射線透過性材料から作成される場合、放射線写真用マーカを試行器具またはインプラントに配置して、脊椎円板腔内の本体の位置を放射線写真またはX線透視写真で監視し、決定する能力を提供することができる。試行本体を構成する材料は、中実、多孔性、スポンジ状、有孔性、穿孔および/または開放状態でよい。
【0042】
隣接する椎骨間の脊椎円板腔に挿入するインプラントが想定される。インプラントは、円板腔に詰め込むか押し込むことができる。インプラントには、潰れた円板腔に挿入する寸法である遠位端または挿入前端を設けることができる。インプラントを挿入すると、インプラントは潰れた円板腔を望ましい円板腔高さへと回復することができる。望ましい円板腔高さは、遠位端に近いインプラントの高さに対応する。挿入されると、インプラントは、円板腔を望ましい円板腔高さに維持することができる。
【0043】
挿入すると、上部椎骨と下部椎骨の間で潰れた円板腔に対して望ましい円板腔高さを回復し、維持するインプラントが、さらに想定される。インプラントは、遠位端、近位端、上部椎骨の終板に向かって配置可能な上面、および下部椎骨の終板に向かって配置可能な下面がある本体を含む。インプラントの本体は、上面と下面の間に、望ましい円板腔高さに対応する第1高さを有する。インプラントの本体は、その遠位端に、潰れた円板腔の高さより小さい第2高さも有する。
【0044】
インプラントには上面および下面の両凸曲線を設け、インプラントを円板腔の終板の中心に配置可能にすることができることが想定される。インプラントの上下面を平面であるか、複合形状を含むことが可能であることが、さらに想定される。インプラントの上下面は、隣接する椎体間に前彎または後彎角形成を確立するように構成することもできる。
【0045】
挿入器具を椎間インプラントの側壁と係合できることが想定される。挿入器具は、インプラントの対応する側壁に形成された切欠部に配置可能な遠位結合部分を含む。結合部分は、切欠部内のインプラントと係合する第1位置、および切欠部内のインプラントから係合解除する第2位置を有する。第1および第2位置それぞれの結合部分の幅は、インプラントの側壁間のインプラントの幅より小さい。
【0046】
本発明のある実施形態は、インプラントを上部椎骨の終板と下部椎骨の終板の間に配置し、試行器具のセットおよびインプラントを含むシステムである。システムのインプラントは、インプラント1、非前彎状インプラント101、対称性インプラント201、または移植インプラント301などの上述した任意のインプラント、または本明細書で述べるシステムセットと適合性の任意の他のインプラントを含んでよい。
【0047】
図13には、幾つかの試行器具52、54、56、58、60、62、64、66、68および70を有する試行器具のセット50が図示されている。試行器具52は柄52a、柄52aから遠位方向に延在する軸52b、および試行本体52cを含む。他の各試行器具も柄、軸および試行本体を含む。試行器具の各試行本体は、潰れた円板腔を回復するために、上下接触面の間に異なる高さを提供することが想定される。
【0048】
本明細書では、試行器具の寸法または形状に関する「試行器具」という用語は、試行本体の寸法または形状を含むことができる。試行器具52には、器具セット50の最少高さHを有する試行本体を設けることができ、試行器具70には、器具セット50の最大高さH’を有する試行本体を設けることができる。残りの試行器具は、HとH’の間の高さの範囲で幾つかの異なる高さの試行器具を提供することができる。器具セット50の1つの特定の実施形態では、セットの試行器具の高さが1ミリメートルの増分で増加する。別の特定の実施形態では、高さが1ミリメートルの増分で6ミリメートルから19ミリメートルの範囲である。他の増分および他の高さの範囲も想定される。
【0049】
試行器具のセット50のある実施形態は、異なる寸法の少なくとも2つの器具を有する。図13a〜図13dで示すように、試行器具のセット50の器具は、上部椎骨に向かって配置可能な上面、下部椎骨に向かって配置可能な下面、およびそれぞれ上面と下面に合うために前端から分岐する区画がある前端部分を有してよい。
【0050】
図13a〜図13dでさらに示すように、試行器具のセット50の器具は、凸状曲線がある上面および/または下面を有してよく、その上面と下面の間に延在する曲線を有してよい。上面と下面の間に延在する曲線は、半径であるか、曲線が組み込まれていても、いなくても、任意の他の機能的形状でよい。幾つかの実施形態では、試行器具のセット50の試行器具の少なくとも1つが、システムのインプラントとほぼ同じ形状である。試行器具のセット50の試行器具の少なくとも1つが、インプラントの水平面または垂直面、あるいは両方の面を中心にして、システムのインプラントとほぼ同じ形状でよい。
【0051】
システムは、切開部を通して挿入可能なアクセス入口も含んでよい。このようなアクセス入口は、試行器具、インプラントまたはその両方が通過できる路を提供することができる。アクセス入口は管状ポート、開創器、または手術部位を開放状態で保持する任意の他の機構でよい。管状ポート170は図14eに図示されている。開創器構造180は図14fに図示され、様々な実施形態については図15〜図30に関連して述べられる。
【0052】
図15および図16を参照すると、開創器320のある実施形態が図示されている。開創器320は、第1開創器部分322および第2開創器部分342を含む。第1部分322は、遠位端324と反対側の近位端326との間に延在する本体323を含む。第2部分は、遠位端344と反対側の近位端346との間に延在する本体343を含む。遠位端324、344は、挿入を容易にするために面取りするか、遠位方向に先細にすることができるが、面取りしない端部も想定される。
【0053】
第1部分322は、第1部分322の長手方向縁部325、327および第2部分342の長手方向縁部345、347のうち隣接する縁部に沿って第2部分342に隣接して配置するか、それと対合することができる。以上で検討したように、隣接する縁部の間の他の配置構成も想定される。長手方向縁部は、挿入構成で相互から隔置できることが、さらに想定される。作業導管350が第1部分322と第2部分342の間に形成される。作業導管350は、遠位端324、344と近位端326、346の間に延在し、これを開く。
【0054】
開創器320は、手術部位への作業導管350を提供するために、患者の皮膚および組織を通して挿入可能である。開創器320は、図15〜図18で示すように、作業導管350のために挿入構成で皮膚および組織を通して挿入されることが想定される。挿入構成で、作業導管350は、第1部分322および第2部分342によってほぼ囲まれるか、外接される。患者に挿入後、作業導管350は、第1部分322と第2部分342の間に延在する軸321に沿ってこれを相互から分離することによって拡大することができる。第1部分322と第2部分342とを分離すると、近位端326、346から遠位端324、344へと作業導管350の寸法が増加する。第1部分322および第2部分342は、手術部位付近の少なくとも1つの構造と結合する結合構造(図示せず)も含んでよい。骨ねじなどの締結具を使用して、第1部分322と第2部分342のいずれか、または両方と手術部位付近の構造とを結合することができる。結合は、第1部分322と第2部分342との分離前、または分離後に実行することができる。
【0055】
図15〜図18の挿入構成で、作業導管350は、第1部分322および第2部分342によって外接されるか、ほぼ囲まれる。本体323および343は、開創器320の一部の本体に関して、上記で検討したように構成することができる。作業導管350は、挿入構成で、1つまたは複数の手術器具および/またはインプラントが患者の体内の手術位置へと通過できるような寸法を有することができるが、これより小さい寸法も想定される。手術中には、挿入構成で作業導管350を通して提供される位置より先の患者の体内の位置へと、さらに大きいアクセスを提供することが望ましいことがある。したがって、第1部分322および第2部分342は、作業導管350を拡大するために、軸321に沿って相互から離れるように動作可能である。
【0056】
第1部分322は、遠位端324と近位端326の間に延在する半円筒形状の本体323を含む。カラー328が近位端326の周囲に延在し、本体323の外面の周囲に延在するリップ(唇状部)を形成する。第2部分342は、遠位端344と近位端346の間に延在する半円筒形状を有する本体343を含む。カラー348が、第2部分342の近位端346の周囲に延在し、本体343の外面の周囲に延在するリップを画定する。第1および第2部分322、342に、カラーおよび/またはリップを設ける、または設けなくてよいことが、さらに想定される。第1および第2部分322、342には、患者の体内に配置する際に開創器320を支持する外部腕部と係合するブラケット部材も設けることができる。
【0057】
第1部分322のカラー328から、自身内に窪み部333が形成された頭部336を有する第1係合構造332が延在している。第2部分342のカラー348から、自身内に窪み部353が形成された頭部356を有する第2係合構造352が延在している。係合構造332、352は、個々のカラー328、348と一体形成するか、着脱式にそれと係合することができる。以下でさらに検討するように、第1部分322と第2部分342を分離する器具は、第1部分322と第2部分342を分離することによって作業導管350を拡大するために分離力を与えるために、係合構造332、352に非着脱式または着脱式に係合することができる。このような器具は、第1部分322および第2部分342と着脱式または非着脱式に係合することもできる。係合構造332、352は、分離器具で作業導管350を遮ることなく、分離器具の係合構造332、352への係合を容易にするために、部分322、342から横方向に延在する。このような器具は、挿入中および挿入後に第1部分322および第2部分342を初期挿入構成で維持することもできる。分離器具は、本来の位置で作業導管350の拡大構成を維持することもできる。
【0058】
窪み部333、353は、部分322、342に係合可能な分離器具の係合腕部を受けるような構成である。図示の実施形態では、係合構造332、352は個々のカラー328、348から横方向に延在し、その上で近位方向に突出する。係合構造332、352は、部分322、342が挿入構成にある場合に、相互に並んで延在し、相互に突き当たる。係合構造の他の構成も想定される。例えば非直線で、部分322、324が挿入構成にある場合に相互から離れる方向に延在する係合構造、および挿入構成で相互に突き当たらない係合構造である。
【0059】
窪み部(凹部)333、353は、分離器具の個々の係合腕部を受けるために横方向に開放している。窪み部333は、キー溝開口335と、当該開口335に連絡する受け口337とを含む。受け口337は開口335に対して拡大し、自身内に配置された分離器具の係合腕部の一部を受けるように成形される。同様に、窪み部353はキー溝開口355および開口355と連絡する受け口357を含む。受け口357は開口355に対して拡大し、自身内に配置された分離器具の係合腕部の一部を受けるように成形される。開口335、355および受け口337、357は、個々の係合構造332、352の近位側に沿って開放し、自身内への分離器具係合腕部の配置を容易にする。囲まれた窪み部、均一な窪み部、または係合腕部の少なくとも一部を受けるのに適切な任意の他の構成など、窪み部333、353の他の構成も想定される。さらに他の実施形態は、係合構造332、352が窪み部を含まず、分離器具の個々の係合腕部を受けるか、それ以外の方法でそれと係合するように成形されることを想定する。
【0060】
図19および図20で示すように、係合構造332、352の一方(図示の実施形態では係合構造352)の一方側に沿って、位置合わせ部材330を設けることができる。図示の実施形態では、位置合わせ部材330は、係合構造332、352が相互に隣接して配置された場合に、他方の係合構造332、352の隣接する側に設けられた穴で受ける丸まった突起である。位置合わせ部材330は、挿入中および挿入後に、第1部分322および第2部分342を相互に長手方向に位置合わせされた状態に維持する。他の実施形態は、第1部分322および第2部分342を相互に位置合わせする、かつ/または着脱式に結合する他の配置構成を想定する。このような配置構成の実施形態は、例えばあり継ぎ接続部、締結具、ねじ結合部材、クランプ部材、スナップリング、圧縮帯、ストラップ、玉と回り止めの機構、および着脱式に連結するカムまたはタブを含む。
【0061】
図17〜図20を参照すると、作業導管350を拡大するために第1部分322と第2部分342とを相互から離すように動作可能である分離器具360が図示されている。分離器具360は、第1および第2開創器部分を軸321に沿って相互から直線的に離すように動作可能である横方向セパレータを含むことが想定される。分離器具360は、第1および第2部分322、342の遠位端を軸321に沿って相互から離すように枢動(旋回)させる少なくとも1つの回転セパレータを含むことが、さらに想定される。横方向および回転セパレータは、外科措置中に外科医が選択的に使用し、作業導管350を拡大して、作業導管350を通して外科措置を実行するために望ましいように組織を後退させることができる。作業導管350が拡大すると、開創器部分322、342の遠位端の遠位側にある手術部位から組織をさらに後退させて、組織、骨構造、および開創器320の遠位側に位置する他の解剖学的腔へのアクセスを増大させることができる。
【0062】
分離器具360は、第2接続組立体364と可動状態で結合する第1接続組立体362を含む。第1接続組立体362はさらに第1部分322に結合し、第2接続組立体364は第2部分342に結合する。第1および第2接続組立体362、264は、第1および第2部分322、342から、および作業導管350の近位端の開口から延在し、外科措置中に作業導管350へのアクセスを容易にする。第1および第2接続組立体362、364は、第1および第2部分322、342を相互に対して移動させ、組織を分離するように動作可能である。第1および第2接続組立体362、364はさらに、レバー組立体369、389を含み、これはそれぞれ近位端の周囲で第1および第2部分322、342を回転させて、遠位端を相互から離すように動作可能である。
【0063】
第1接続組立体362は、第1部分322の第1係合構造332に結合する第1係合腕部372、および第1係合腕部372から延在する第1延長腕部366を含む。結合腕部368は、第1係合腕部372の反対側の第1延長腕部366の端部へと横方向に向けて配置され、そこから延在する。ブラケット部材376が結合腕部368から延在し、例えば手術台に装着した可撓腕部によって係合可能である。第1接続組立体362はさらに、第1延長腕部366に固定結合された第1中間部材367を含む。第1係合腕部372は、中間部材367に対して回転可能である。第1装着部材375は第1係合腕部372から延在する。第1レバー腕部374は、第1装着部材375に枢動状態で装着され、図17に示すようなロック位置と、図21に示すような枢動位置(枢支位置)との間で動作可能である。
【0064】
同様に、第2接続組立体364は、第2部分342の第2係合構造352に結合する第2係合腕部394、および第2係合腕部394から延在する第2延長腕部392を含む。ハウジング390が、第2係合腕部394の反対側で第2延長腕部392の端部から延在する。ハウジング390は通路を含み、これを通して結合腕部368を可動状態で受ける。ハウジング390に装着された調節機構399は、結合腕部368に係合可能であり、第1および第2部分322、342を横軸321に沿って相互に対して動作させるために、ハウジング390内で結合腕部368を並進させるように動作可能である。
【0065】
図示の実施形態では、結合腕部368は自身に沿って形成された幾つかのラチェット歯370を含み、これは調節機構399によって係合可能である。調節機構399は、柄398を回転するとハウジング390内の結合腕部368を動作させるために歯370を互いに噛み合う歯がある歯車400を含む。ロック機構402は、柄398が解放されると、ばねで偏倚されて歯370を係合し、第1部分322と第2部分342との間隔を維持する。ロック機構402を押下して、その係合端を枢動させ、歯470との係合を解除して、第1および第2部分322、342が相互に近づくようにすることもできる。
【0066】
第2接続組立体364はさらに、第2延長腕部392に固定結合した第2中間部材393を含む。第2係合腕部394は、中間部材393に対して回転可能である。第2装着部材397は、第2中間部材393とともに第2係合腕部394から延在する。第2レバー腕部396は、第2装着部材397に枢動状態で装着され、図17に示すようなロック位置と図21に示すような枢動位置との間で動作可能である。中間部材367、393は、別個の構成要素として提供するか、個々の延長腕部と一体でもよい。
【0067】
図23〜図24に示すように、第1および第2係合腕部372、394は、それぞれ足378、404を含む。足378、404は、係合構造332、352の個々の窪み部333、353で滑動自在および着脱式に受ける。図示の実施形態では、足378、404は拡大した外端部分379、405、および係合腕部372、394と拡大した外端部分379、405の間に延在して、断面が小さくなった中間遷移部分381、407を含む。中間遷移部分381、407は、中間キー溝開口335、355で受け、拡大した外端部分379、405は受け口337、357で受ける。
【0068】
以下でさらに検討するように、係合腕部372、394をそれぞれ個々の軸371、391の周囲で回転することによって、レバー腕部374、396が第1および第2開創器部分322、342を枢動できるような方法で、足378、404を窪み部333、353(図15)で受ける。さらに、分離器具360は第1および第2開創器部分322、342から容易に外すことができ、それによって外科措置後の器具組立体の洗浄を容易にする。使い捨ての第1および第2部分322、342を使用するか、様々な長さ、形状および/または寸法で第1および第2部分322、342のセットを設けて、外科医がそこから選択し、分離器具360とともに使用できることも想定される。
【0069】
中間部材367、393はそれぞれ、個々のレバー腕部ロック組立体420、408と係合可能な、図24、図26に示す係合部分426、414のようなロック部分を含む。レバー腕部ロック組立体420、408はそれぞれ、隣接する装着部材375、397と枢動状態で結合する爪409、421を含む。例えば、図24および図26に示すように、レバー腕部ロック組立体420は、装着部材375に装着された枢動ピン422を含み、それを中心に爪421が枢動することができる。同様に、レバー腕部ロック組立体408は、装着部材397に装着された枢動ピン410を含み、それを中心に爪409が枢動することができる。中間部材367、393はそれぞれ、個々の係合部分426、414を含み、ロック部材420、408がこれと係合可能で、第1および第2部分322、342の枢動位置を維持する。
【0070】
例えば、中間部材367に対して図26で示すように、中間部材367に沿って爪421に向かって配置された係合部分426が設けられる。爪421は近位柄部分423および遠位係合端424を含む。遠位係合端424は、第1部分322の枢動位置を維持するために、歯428の間に設けた窪み部の少なくとも1つに配置可能である。レバー腕部374が反時計回りに回転して、開創器部分322の遠位端を開創器部分342の遠位端から枢動させると、爪421が係合部分426の周囲で動作して、枢動した開創器部分322の位置に対応する位置で係合する。
【0071】
個々の開創器部分が枢動すると、中間部材367、393が動作可能になることを想定する実施形態もある。このような実施形態では、爪409、421が係合腕部とともに動作または回転せず、個々の中間部材367、393が回転するにつれ、その隣接する係合部分と係合するために固定されたままである。
【0072】
図24では、装着部材375上で枢動位置へと枢動した第1レバー腕部374が図示され、装着部材397上でロック位置へと枢動した第2レバー腕部396が図示されている。ロック位置で、レバー腕部396は、爪409の近位柄部分と係合可能な突起406を含む。係合位置で、近位柄部分413は、中間部材393の係合部分414に沿って歯から係合端412を外すために、装着部材397に向かって動作することができない。したがって、第2開創器部分342の枢動位置は、レバー腕部396をロック位置に配置することによってロックされ、第2開創器部分342は、レバー腕部396が枢動位置へと動作しない限り、動作することができない。
【0073】
図24では、枢動位置にある第1レバー腕部374が図示され、これは爪421に接触しない状態で配置された第1レバー腕部374から延在する突起418を含む。この位置で、爪421はピン422の周囲で枢動して、係合端424を歯428の間から外すことができる。次に、レバー腕部374を操作して、第1開創器部分322を軸321に沿って所望の角位置へと枢動することができる。レバー腕部374が枢動すると、ロック部材420がそれとともに動作して、歯428の間の別の空間と位置合わせされる。第1部分322の望ましい方向が獲得されたら、近位柄部分423を解放し、ロック部材420をばねで偏倚するか、他の方法で動作させ、係合部分426と係合して、第1部分322の枢動位置を維持することができる。次に、レバー腕部396を装着部材375上でロック位置へと枢動することができ、ここで突起418が爪421と係合して、これが係合部分426から解放されることを防止する。
【0074】
図27〜図28を参照すると、分離器具360と係合可能な第1中間開創器組立体450が図示されている。中間開創器組立体450は、作業導管350からの組織を軸321に対して横方向に後退かつ/または維持させるために、第1開創器部分322と第2開創器部分342との間に配置可能な開創器ブレード452を含む。脊椎への1つの手術進入路では、開創器部分322、342が脊柱の中心軸の方向に配置された軸321に沿って動作可能であるように、開創器320を配置し、ブレード450を他方の開創器ブレード部分322、342に対して脊柱の中間、または脊柱に隣接して配置する。開創器ブレードおよび開創器部分に対する切開部の他の手術方向も想定される。
【0075】
第1中間開創器組立体450は、遠位端454と近位端456の間に延在するブレード452を含む。図28で示すように、遠位端454は、作業導管350から離れるように曲線を描き、後退させた切開部内に配置すると、骨または他の組織に載ることができる。ブレード452は、遠位端454と近位端456の間に平坦な輪郭を含むか、長手方向軸の周囲で、または長手方向軸に沿って凸状の曲線を含むことができる。ブレード452は単一の部材として設けるか、ブレード452を延長または短縮するために相互に対して動作可能な1つまたは複数の構成要素で設けることもできる。
【0076】
連結腕部458が、ブレード452の近位端456に対して横方向に配置され、そこから延在する。ブレード452の反対側には、第1および第2フック部材462、464の形態の係合部分を設ける。下部ロック部材464は、分離器具360の結合腕部368の周囲に配置することができる。連結腕部458は、切開部の組織からブレード452にかかる圧力が、フック部材464を結合腕部368に当ててしっかり保持するような長さを有する。上部フック部材462は、結合腕部368への下部フック部材の配置、または中間開創器組立体450の取り外しを容易にするための柄として働くことができる。例えば締結具および嵌合構成要素など、ブレード452を結合腕部368に固定する他の配置構成も想定される。
【0077】
第1中間開創器組立体450はさらに、図29および図30に示すように第2中間開創器組立体470によって装着可能である。第2中間開創器組立体470は、遠位端474と近位端476の間に延在するブレード472を含む。遠位端474およびそこから延在するブレード部分は、ブレード452に関して以上で検討したように構成することができる。第2連結腕部478が近位端476から延在し、ブレード472の反対側で係合足480を含む。係合足480は、第1中間開創器組立体450の連結腕部458に着脱式に装着可能である。
【0078】
第1連結腕部458は、自身を通って延在し、第2連結腕部478の足480の下面から延在するピン(図示せず)を受けるような構成であるスロット付き穴460(図27〜図28)を含む。ピンには、スロット付き穴460の拡大部分に配置可能な拡大頭部を設けることができ、頭部がスロット付き穴460に捕捉されるように、スロット付き穴460の細い方の端部へと滑動可能である。図示の実施形態では、スロット付き穴460の狭い方の部分は開創器ブレード472の反対側に延在し、したがって切開部の周囲の組織がブレード472を押す圧力が、足480のピンをスロット付き穴460の狭い方の端部に維持する。
【0079】
第2連結腕部478は、第1連結腕部458に対して横方向に延在するオフセット部分486を含む。オフセット部分486は、自身の間に延在するオフセット部材479によって連結される。オフセット部材479には、作業導管350へのアクセスを妨害しないように、隣接する個々の開創器部分322、342の周囲に延在するアーチ状輪郭を設けることができる。開創器ブレード472は、組織の後退状態を維持し、作業導管の開創器ブレード452とは反対側の側部に沿って配置された組織を保護することができる。第1および第2中間開創器組立体450、470は、外科措置中に、組織の後退および保護に関して、開創器320に係合した分離器具360で容易に利用可能な追加の選択肢を外科医に提供する。
【0080】
1つの外科措置にて、開創器320が分離器具360に係合し、切開部に挿入される。開創器320は、1つまたは複数の拡張器上を前進して、切開部を拡張するか、切開部内へと直接前進することができる。次に、分離器具360を操作して、開創器部分322、342を軸321に沿って相互から直線的に離し、作業導管350を拡大する。レバー腕部374、396の一方または両方を枢動位置へと動作させ、個々の開創器部分322、342を枢動するように操作することができる。開創器部分が枢動したら、そこから延在する突起が隣接する爪409、421と係合して、爪と隣接する係合部分414、426との係合状態を維持するように、個々のレバー腕部をロック位置へと動作させる。
【0081】
望ましい間隔を獲得すると、外科医には第1中間開創器組立体450を選択するという選択肢がある。ブレード452が、分離した第1開創器部分と第2開創器部分322、342の間で切開部に配置され、連結腕部458が結合腕部368に固定される。外科医にはさらに、第2中間開創器組立体470を選択し、ブレード472をブレード452とは反対側で切開部に配置するという選択肢がある。これで、連結腕部478を連結腕部458に固定することができる。開創器部分322、342の間隔および方向のさらなる調節は、分離器具360および/またはレバー腕部374、396によって完了することができる。
【0082】
さらに、開創器部分322、342を相互から直線的に分離する必要はなく、外科措置中にその一方または両方を軸321に沿って枢動するだけで分離することが想定される。作業導管350が望ましいアクセスを提供したら、外科医は開創器320を通して骨、組織、円板材料、または他の物質を取り出すことができる。癒着器具、ねじ、板、棒、人工円板、骨成長および他の補修器具または治療物質などのインプラントを、開創器320を通して患者の体内の望ましい部位に送出することができる。
【0083】
システムは、切開部内にアクセス入口を配置する前に、切開部の寸法を拡大するように構成された拡張器も含んでよい。拡張器は、図14a〜図14fで示すような拡張器のセットを含んでよい。拡張器および他の関連する器具の使用を含む手順について、図示の実施形態で説明する。
【0084】
この実施形態は、脊椎へのほぼ側方からの進入を可能にする。後外側、中線または内後側、および前側など、脊椎への他の進入路から措置の多くの態様を実行できることが理解される。誘導線150が皮膚および組織を通って円板腔または椎体V内へと前進することができる。皮膚に小さい切開部を作成して、皮膚を通る誘導線の貫入を容易にすることができる。また、K線でもよい誘導線を、放射線写真または画像で誘導した制御下で挿入し、適切な配置を評価することができる。言うまでもなく、誘導線150を脊椎のほぼ任意の位置および椎骨Vの任意の部分に配置できることが理解される。
【0085】
次に、1つまたは複数の組織拡張器が、図14bおよび図14cで示すように、誘導線150上を前進することができる。あるいは、誘導線に補助されずに拡張器が切開部を通して前進し、下組織の鈍的切開がこれに続くことができる。特定の図示の実施形態では、一連の徐々に大型化する拡張器151、152および153を次々に誘導線150上に同心状に配置し、体内へと前進させ、その後に軟組織を拡張する。特定の実施形態では、拡張器は5mmから9mm、さらに最大の拡張器の12.5mmまでの範囲で連続的に拡大する直径を有する。解剖学的進入路および作業導管の望ましい寸法に応じて、他の拡張器の寸法が想定される。
【0086】
本発明のある実施形態では、最終拡張ステップで過剰拡張器154(図14d)を使用して、手術部位に隣接する組織の拡張を有意に増大させることなく、手術部位から組織をさらに追加的に拡張する。
【0087】
このような後退は、手術部位の明視化を向上させ、手術部位付近の神経および脈管構造の処置を増大させずに、操作中の角張った器具のために追加の空間を提供するのに有用である。幾つかの実施形態では、過剰拡張器154をアクセス入口として所定の位置に残すことができる。幾つかの実施形態では、過剰拡張器154は、追加の管状ポート、開創器、またはアクセス入口を生成するための他の何らかの構造のために組織を準備するように設計される。図示の過剰拡張器154は、これより小さい拡張器150〜153上に同心状に填り、遠位端より大きい近位端を有する。図示の器具は円形の断面を有するが、任意の機能的断面または断面の組合せが想定される。
【0088】
図14eに示すように、管状ポート170は最大の拡張器153上を前進する。次に、拡張器および誘導線150を取り出し、所定の位置に管状ポート170を残して、アクセス入口として働かせることができる。同様に、図14fに示すように、開創器180が最大の拡張器153上を前進する。次に、拡張器および誘導線150を取り出し、管状ポート170を所定の位置に残して、アクセス入口として働かせることができる。
【0089】
アクセス入口が確立されると、患者の皮膚と脊椎に隣接する作業空間の間に作業導管を形成する。アクセス入口の長さは、実行中の特定の外科手術、および作業空間を囲む解剖学的構造によって決定されることが理解される。
【0090】
幾つかの実施形態では、管状ポート170または開創器180は、少なくとも最初は患者の軟組織および皮膚によってしか支持されない。しかし、管状ポート170および開創器180は両方とも、知られている設計でよい可撓性支持腕部160に締結するための装着構造を含む。可撓性支持腕部160は、図14eおよび図14fで示すように、ボルトおよび蝶ナット161によって管状ポート170または開創器180に装着することができるが、他の締結具も想定される。この可撓性腕部160は、手術台に装着するか、アクセス入口をしっかり支持するために、固定位置になるように容易に調節することができる。可撓性腕部160は、手術部位の邪魔にならず、外科医が措置を通じて使用する様々な道具を操作するための十分な余地ができるように、必要に応じて輪郭を描くように構成される。様々な可視化および照明器具も管状ポート170および開創器180に取り付けて、外科医の所望通りに手術部位へのアクセスを向上させることができる。その例は、光ファイバ照明、可視化管、内視鏡、顕微鏡などを含むが、それに制限されない。
【0091】
2つ以上の自動伸延式試行器具および少なくとも1つのインプラントを有する器具セットが、さらに想定される。2つ以上の試行器具はそれぞれ、潰れた円板腔に挿入するような寸法の挿入前端がある本体を有する。各試行器具の挿入前端は、ほぼ同じ寸法および形状である。各試行器具は、潰れた円板腔の高さを他の試行本体とは異なる高さまで回復する高さを挿入前端の近位側に有する。少なくとも1つのインプラントは、試行器具の試行本体の少なくとも1つの挿入前端とほぼ同じ寸法および形状である挿入前端を有する。インプラントは、少なくとも1つの試行器具によって回復した望ましい円板腔高さに対応する高さを挿入前端の近位側に有する。
【0092】
それぞれが遠位端に試行器具を有する試行器具のセットを含むキットも想定される。試行本体は、潰れた脊椎円板腔に挿入可能な自動後退式前端部分を有する。キットはさらに、潰れた脊椎円板腔に配置可能なインプラントのセットを含む。各インプラントは、個々の試行器具の寸法および形状に対応するような寸法および形状にされる。脊椎円板腔に各インプラント本体が填ることは、対応する試行器具が填ることによって医師に示される。試行器具が所望通りに填った場合は、試行器具を取り出し、その試行器具に対応するインプラントを、引き出した試行器具が以前に占有していた位置で、潰れた円板腔に挿入する。
【0093】
図31a、図31bおよび図32を参照すると、人体骨格のそれぞれ前頭面および矢状面に沿った立面図が提示されている。図32は、人間の腰部を通る断面図を示す。腰部椎体L3とL4の間で終了する外科的側方進入路のベクトル600が図示されている。骨格の胸郭611および腸骨603が進入路ベクトル600の各側に図示されている。
【0094】
本発明の方法の実施形態は、概ね側方の外科的進入路から椎体間にインプラントを外科的に配置することを含む。1つの全体的に側方の外科的進入路が、外科的側方進入路ベクトル600によって図示されている。側方進入路の変形は、後斜方および前斜方偏移、さらに前頭面に沿った偏移を含むが、これに制限されない。進入路が脊椎の長手方向軸に対して直角ではないように進入路を「傾斜させる」ことを含めて、前頭面での偏移は、様々な脊椎円板に到達する、かつ/または患者の特定の骨格および軟組織を回避するために必要なことがある。
【0095】
患者は、患者の手術側がアクセス可能であるように配置される。患者は、このようにアクセスするために横向き、仰向けまたは俯せで配置することができる。アクセスするために、患者が配置された台または他の構造を任意の面で傾斜させるか、上昇させることができる。状況によっては、手術側で患者の胸郭611と腸骨稜603の間を分離させるために、患者の非手術側に当てて突起を配置することが望ましい。実際に、このような実施形態では患者を突起の「周囲で曲げて」、手術側を切開する。胸骨611と腸骨603の間で患者の手術側を切開する。切開は任意の効果的な器具で実行することができ、これは初期挿入拡張器の挿入を含む。初期挿入拡張器は誘導線150(図14a〜図14f)でよい。初期挿入拡張器は、本発明の実施形態では椎体間に配置する。他の実施形態では、初期挿入拡張器を椎体の1つに、または何らかの他の組織領域に配置することができる。組織は、初期挿入拡張器に填る第1同心拡張器で拡張して、さらに切開部を開くことができる。この手順の変形および追加の有効な手順を、図14a〜図14fに関して説明する。
【0096】
本発明の実施形態は、管状ポート170(図14e)または開創器構造180を切開部に挿入することを含む(図14f)。管状ポート170または開創器構造180は、手術部位にアクセス入口を提供する。幾つかの実施形態では、管状ポート170または開創器構造180の挿入は、1つまたは複数の拡張器上に挿入することを含む。さらに切開部を開くために、開創器構造180の動作を遂行することができる。開創器構造180の動作については、図15〜図30に関して包括的に説明する。幾つかの実施形態では、開創器構造180の一部を、締結具または他の有効な器具で1つまたは複数の椎体に取り付けることができる。このような取り付けは、椎体間に後退力を加えることによって補助する、かつ/または開創器構造180および解剖学的構造の相対的配置を安定させることができる。
【0097】
椎体間に植え込むために椎骨円板材料を取り出して、開口を生成することは、円板材料を取り出すことができる任意の道具で遂行することができる。幾つかの実施形態では、脳下垂体の骨鉗子、ロータリシェーバ、やすり、およびスクレーパのうち少なくとも1つを使用する。このような器具は、手で操作するか、動力源で駆動することができる。1つの方法によると、潰れた円板腔にアクセスし、試行本体および/またはインプラントの幅に相当する幅を有する環状に開口を形成する。環状開口を通して円板材料を取り出し、外科医の所望に応じて、スクレーパまたは終板をざらざらにする他の適切な器具で、終板を手作業でざらざらにする。
【0098】
幾つかの実施形態では、椎体間に試行器具を挿入する。試行の機能は、円板腔の寸法を評価するか、円板腔の高さを伸延させることもある。外科医は、挿入した試行器具またはインプラントの触覚フィードバックによって、または目視検査によっても、試行器具またはインプラントが望ましい円板腔高さを提供しているか、判断することもできる。挿入した試行器具またはインプラント本体が、残りの環状組織を十分に伸張して、試行またはインプラント本体の上下面と隣接する椎骨終板との間をしっかり係合させることが望ましいことがある。インプラントに対する隣接椎骨の手術後の動作を防止するか、最小限に抑えるために、十分な表面積が接触することが望ましいことがある。対応する寸法および形状の試行本体およびインプラント本体を提供し、試行本体およびインプラント本体を伸延していない円板腔に挿入することによって、挿入した試行またはインプラント本体は、適合の望ましさを外科医に直接フィードバックすることができる。例えば第2開創器などで延伸が維持されたら、インプラントの手術後の適合に関する外科医へのフィードバックは、延伸を除去するまで、全く信頼できないか、入手できない。したがって、外部延伸を使用せずに、試行本体およびインプラントを使用することができるか、試行器具およびインプラントの挿入中に、別の円板腔位置で延伸を維持することができる。
【0099】
しかし、2次延伸を使用して、インプラントおよび試行本体を引き出した後に、円板腔の延伸を少なくとも部分的に維持することができる。例えば、椎弓根スクリューおよび棒を使用して、特定のインプラントまたは試行器具で獲得した延伸を少なくとも部分的に維持することができるが、それを使用する必要はない。さらに、試行本体は、円板腔位置へのインプラントの適合を示す。インプラントは、試行器具のそれと対応する形状を含むことができるので、対応するインプラントが試行器具の占有した腔に適合することを、外科医は直接確認する。
【0100】
次に、試行本体および/またはインプラントを順番に円板腔に挿入し、必要に応じて環状開口を通して引き出す。インプラントは自動で伸延するので、インプラントを受けるために椎骨終板をのみで削るか、穿孔する、または他の方法で形成する必要がないが、このようなステップは排除されない。その結果、両側伸延、外部芯柄、のみでの削り、穿孔およびリーマ加工が省略されるので、外科措置で必要なステップが少なくなる。また、円板腔に他の器具または器具がないので、円板腔の準備、試行器具の挿入および/またはインプラントの挿入の明視化が容易になる。円板腔に切開器具がないことは、措置の安全性も改善することができる。
【0101】
試行器具およびインプラントを使用する最小侵襲性技術が想定される。任意の特定の患者で、インプラントは、後方、後外側、前外側、孔を横切る、遠外側および/または前方進入路の任意の1つまたは組合せを介して挿入することができる。インプラントの挿入は、潰れた脊椎円板腔への1本の通路を通して、または潰れた円板腔への複数の通路を通して、または脊柱の複数レベルの潰れた円板への複数の通路を通して実行することができる。インプラントを、および使用している場合は試行器具を、同じ進入路から同じ円板腔位置へと挿入するので、インプラントを挿入する手順全体を、1本の通路を通して完了することができる。複数通路の手順を使用すべき場合、外科医は第2通路を生成して、そこで作業するために移動する前に、1本の通路を通してインプラントの挿入を完了することができる。
【0102】
伸延およびインプラントの挿入は、潰れた円板腔への同じ通路に沿って実行されるので、インプラントおよび試行器具は、潰れた円板腔への通路を提供するために開創器スリーブを使用する最小侵襲性措置で使用するのに適切である。このような開創器スリーブは、作業導管内の要素を内視鏡で見ること、開創器スリーブの近位端上のシステムを顕微鏡で見ること、X線透視装置で見ること、ルーペ、肉眼および/または画像案内のうち任意の1つ、またはその組合せを使用することができる。
【0103】
特定の方法の実施形態によると、椎体間にインプラントを挿入する。上述したインプラントの実施形態のいずれか、さらに特定の他のインプラントを、本明細書で述べる方法の一部として挿入することができる。幾つかの実施形態のインプラントを、円板腔に詰め込むか、押し込むことができる。その結果、環状組織、および潰れた円板腔への進入路上にある組織の破壊が軽減される。というのは、円板腔におけるインプラントの足跡を、円板腔へのインプラントの進入路によって占有された足跡と同じにできるからである。また、試行器具と同じ足跡を有するインプラントを提供し、同じ入口または通路を通して伸延およびインプラントの挿入を実行することにより、インプラントの挿入中に円板腔の伸延に対応するために、追加の組織の切開および/または後退が必要なくなる。
【0104】
図33を参照すると、前方壁10が少なくとも部分的に曲線である、前方に配置したインプラント1が図示されている。幾つかの実施形態では、インプラント1を挿入する行為は、前方側壁10の第1曲線部分10aおよび第2曲線部分10bがほぼ、上部椎骨の皮質縁と下部椎骨の皮質縁610の間に配置されるように、インプラント1を椎体間に前方から配置することを含む。幾つかの実施形態では、第1曲線部分10aおよび第2曲線部分10bの一方または両方を、上部椎骨と下部椎骨の皮質縁間に配置することができる。他の実施形態では、前方壁10全体を上部椎骨と下部椎骨の皮質縁間に配置することができる。開示された前方側壁10の曲線は、皮質縁の境界を越えて延在せずに、インプラント1、特に第1および第2曲線部分10a、10bをほぼ、支持された椎骨の皮質縁間に配置できるようにするには有用である。皮質縁610は、椎体Vの内部海綿骨620よりも多くの支持を提供する。
【0105】
潰れた脊椎円板腔にアクセスする手段を含む椎間板インプラントを挿入する方法も想定される。幾つかの試行本体に、伸延していない円板腔に挿入されるような寸法の前端部分を設ける。試行本体を円板腔に順番に挿入し、取り出す。所望の円板腔高さを提供する試行器具を使用して、最後に挿入した試行器具の高さおよび前端部分に対応する高さおよび自動伸延する前端部分を有するインプラントを選択する。次に、そのインプラントを伸延していない円板腔に挿入して、円板腔を回復し、望ましい円板腔高さを術後に維持する。
【0106】
本発明の実施形態を本開示で詳細に図示し、説明してきたが、この開示は例示的であり、限定的な性質ではないと見なされるべきであり、また、本発明の精神に含まれる全ての変更および改造は保護されることが望ましいと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態のインプラントの斜視図である。
【図2】図1のインプラントの別の斜視図である。
【図3】図1のインプラントの端面図である。
【図4】図1のインプラントの端面図である。
【図5】本発明の別の実施形態のインプラントの端面図である。
【図6】本発明の実施形態のさらに別のインプラントの立面図である。
【図7】図6のインプラントの断面図である。
【図8】本発明の実施形態の結合部材の斜視図である。
【図9】図8の結合部材の遠位端の斜視図である。
【図10】インプラントに取り付けられた本発明の実施形態の結合部材の斜視図である。
【図11】本発明の別の実施形態の結合部材の遠位端の斜視図である。
【図12】本発明の別の実施形態のインプラントの斜視図である。
【図13】本発明の実施形態の器具セットの斜視図である。
【図13a】本発明の実施形態の試行器具の遠位部分の斜視図である。
【図13b】図13aの試行器具の遠位部分の側面図である。
【図13c】図13aの試行器具の遠位部分の端面図である。
【図13d】図13bの線13d−13dを通る断面図である。
【図14】図14a〜図14fは、脊柱に適用した本発明の実施形態の部分断面図および側面図である。
【図15】挿入構成での開創器の斜視図である。
【図16】図15の開創器の平面図である。
【図17】分離器具が係合した状態の図15の開創器の平面図である。
【図18】図17の組立体の斜視図である。
【図19】開創器部分を分離した状態の図17の組立体の別の斜視図である。
【図20】図19の組立体の平面図である。
【図21】レバー腕部が枢動位置へと移動した状態の図19の組立体の斜視図である。
【図22】自身に係合した開創器部分が非枢動位置にある場合のレバー腕部ロック組立体を示す、図21の線22−22を通る分離器具の一部の断面図である。
【図23】開創器から外した図17の分離器具の斜視図である。
【図24】図17の分離器具の一部の立面図である。
【図25】枢動した開創器部分を示す組立体の斜視図である。
【図26】自身に係合した開創器部分が非枢動位置にある場合のレバー腕部ロック組立体を示す、分離器具の一部の図25の線26−26を通る断面図である。
【図27】枢動した開創器部分、および分離器具に係合した第1中間開創器組立体を示す、図19の組立体の斜視図である。
【図28】図27の組立体の平面図である。
【図29】第2中間開創器組立体が第1中間開創器組立体に係合した状態の図27の組立体の斜視図である。
【図30】図29の組立体の平面図である。
【図31a】人体骨格の前頭面に沿った立面図である。
【図31b】人体骨格の矢状面に沿った立面図である。
【図32】人体の腰部領域を通る断面図である。
【図33】椎骨終板および本発明の実施形態のインプラントの輪郭の平面図である。
【図34】椎骨終板および本発明の実施形態のインプラントの輪郭の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部椎骨の終板と下部椎骨の終板との間にインプラントを配置するシステムであって、
異なる寸法の少なくとも2つの試行器具を有する試行器具のセットを備え、各試行器具が、
前記上部椎骨に向かって配置可能な上面と、
前記下部椎骨に向かって配置可能な下面と、
それぞれ前記上面および前記下面と合うように、自身から分岐する区画を有する、前端部分と、を備えており、
脊椎円板腔内に配置可能な細長い本体を有するインプラントを備え、当該インプラントが、
前記上部椎骨に向かって配置可能な上面と、
前記下部椎骨に向かって配置可能な下面と、
前端部分および反対側の後端部分と、
前記前端部分と前記後端部分との間に延在し、少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁と、
前記前端部分と前記後端部分との間に延在する後方側壁とを備えており、
前記インプラントの中心付近の高さが、前記インプラントの前端の高さより大きいように、前記上面および前記下面の少なくとも一方が曲線を描き、
前記インプラントの中心付近の前記高さが約7mm〜19mmの間であり、
前記インプラントの前端の前記高さが、前記インプラントの中心付近の前記高さより少なくとも約3mm小さい、システム。
【請求項2】
前記試行器具の少なくとも1つの前記上面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試行器具の少なくとも1つの前記下面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記試行器具の少なくとも1つの前記前端部分が、前記上面と前記下面との間に延在する曲線である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記試行器具の前記前端部分が半径である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記試行器具の少なくとも1つがほぼ前記インプラントと同じ形状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記インプラントの前記上面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記インプラントの前記下面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記前方側壁が最前方部分と、前記前端部分と前記最前方部分との間に延在する第1曲線部分と、前記後端部分と前記最前方部分との間に延在する第2曲線部分とによって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
アクセス入口をさらに備え、当該アクセス入口は、切開部を通して挿入可能であり、前記試行器具又は前記インプラントが前記アクセス入口を通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記アクセス入口が管状ポートを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクセス入口が開創器を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記開創器が、
近位端および遠位端を有し、前記切開部内に配置可能である第1開創器部分と、
近位端および遠位端を有し、前記第1開創器部分と協働して前記切開部内に配置可能である第2開創器部分と、
前記第1および第2開創器部分の前記近位端間に結合する分離器具とを備え、前記分離器具は、前記第1および第2開創器部分を、前記第1および第2開創器部分が相互に隣接する挿入構成から、前記第1および第2部分が相互から分離される第2構成と変位するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記分離器具が軸の一方側に偏る、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記分離器具に着脱式に装着可能な中間開創器をさらに備え、前記中間開創器が、前記分離器具から前記第1および第2開創器部分に向かって開創器ブレードへと延在する連結腕部を備え、前記開創器ブレードが前記連結腕部へと横方向に配置され、前記連結腕部が前記分離器具に装着されて、前記第1および第2開創器が前記第2構成である場合に、前記第1開創器部分と第2開創器部分との間で、前記切開部内に配置可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクセス入口を前記切開部に配置する前に、前記切開部の寸法を増大させるように構成された拡張器をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
拡張器のセットをさらに備え、前記セットが、
前記セットの他の拡張器と比較して、相対的に小さい断面の初期挿入拡張器と、
前記初期挿入拡張器上に填り、前記切開部をさらに開く同心拡張器とを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項1】
上部椎骨の終板と下部椎骨の終板との間にインプラントを配置するシステムであって、
異なる寸法の少なくとも2つの試行器具を有する試行器具のセットを備え、各試行器具が、
前記上部椎骨に向かって配置可能な上面と、
前記下部椎骨に向かって配置可能な下面と、
それぞれ前記上面および前記下面と合うように、自身から分岐する区画を有する、前端部分と、を備えており、
脊椎円板腔内に配置可能な細長い本体を有するインプラントを備え、当該インプラントが、
前記上部椎骨に向かって配置可能な上面と、
前記下部椎骨に向かって配置可能な下面と、
前端部分および反対側の後端部分と、
前記前端部分と前記後端部分との間に延在し、少なくとも部分的に凸状に曲線を描く前方側壁と、
前記前端部分と前記後端部分との間に延在する後方側壁とを備えており、
前記インプラントの中心付近の高さが、前記インプラントの前端の高さより大きいように、前記上面および前記下面の少なくとも一方が曲線を描き、
前記インプラントの中心付近の前記高さが約7mm〜19mmの間であり、
前記インプラントの前端の前記高さが、前記インプラントの中心付近の前記高さより少なくとも約3mm小さい、システム。
【請求項2】
前記試行器具の少なくとも1つの前記上面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試行器具の少なくとも1つの前記下面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記試行器具の少なくとも1つの前記前端部分が、前記上面と前記下面との間に延在する曲線である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記試行器具の前記前端部分が半径である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記試行器具の少なくとも1つがほぼ前記インプラントと同じ形状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記インプラントの前記上面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記インプラントの前記下面が凸状に曲線を描く、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記前方側壁が最前方部分と、前記前端部分と前記最前方部分との間に延在する第1曲線部分と、前記後端部分と前記最前方部分との間に延在する第2曲線部分とによって画定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
アクセス入口をさらに備え、当該アクセス入口は、切開部を通して挿入可能であり、前記試行器具又は前記インプラントが前記アクセス入口を通過する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記アクセス入口が管状ポートを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクセス入口が開創器を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記開創器が、
近位端および遠位端を有し、前記切開部内に配置可能である第1開創器部分と、
近位端および遠位端を有し、前記第1開創器部分と協働して前記切開部内に配置可能である第2開創器部分と、
前記第1および第2開創器部分の前記近位端間に結合する分離器具とを備え、前記分離器具は、前記第1および第2開創器部分を、前記第1および第2開創器部分が相互に隣接する挿入構成から、前記第1および第2部分が相互から分離される第2構成と変位するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記分離器具が軸の一方側に偏る、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記分離器具に着脱式に装着可能な中間開創器をさらに備え、前記中間開創器が、前記分離器具から前記第1および第2開創器部分に向かって開創器ブレードへと延在する連結腕部を備え、前記開創器ブレードが前記連結腕部へと横方向に配置され、前記連結腕部が前記分離器具に装着されて、前記第1および第2開創器が前記第2構成である場合に、前記第1開創器部分と第2開創器部分との間で、前記切開部内に配置可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクセス入口を前記切開部に配置する前に、前記切開部の寸法を増大させるように構成された拡張器をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
拡張器のセットをさらに備え、前記セットが、
前記セットの他の拡張器と比較して、相対的に小さい断面の初期挿入拡張器と、
前記初期挿入拡張器上に填り、前記切開部をさらに開く同心拡張器とを備える、請求項16に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図14e】
【図14f】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31a】
【図31b】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図14e】
【図14f】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31a】
【図31b】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2008−534135(P2008−534135A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504217(P2008−504217)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011050
【国際公開番号】WO2006/104990
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011050
【国際公開番号】WO2006/104990
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]