説明

側溝ブロック及びその成形のための側溝ブロック用型枠

【課題】 本発明は、側溝ブロックの上面の強度を向上させ、また型枠に凹凸状の模様の型溝を形成する必要のない、且つ滑り止め機能や意匠性にも優れた側溝ブロックを提供すること。
【解決手段】 一対の側壁3aと該側壁同士を結合する上壁とを有する側溝ブロック2であって、上壁には別個に形成した強化セメント薄板4を設けた。この強化セメント薄板4の表面には模様を形成した。また、裏面に凹凸部4cが形成されており、該凹凸部がブロック本体に埋め込まれて一体化している。本発明によれば、機械的強度を向上させることができる。また、耐摩耗性の良好な強化セメント薄板を使用することで、模様の減りを抑えることができ、側溝ブロック全体の耐久性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路に降った雨水や雪解け水等を排水するために用いられる側溝ブロックに関するものである。
特に、表面に凹凸状の模様が形成された強化セメント薄板が設けられ、強度の向上が図られた側溝ブロックに関するものである。
更には、その側溝ブロックを成形するための側溝ブロック用型枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝ブロックとして一対の側壁と該側壁を結合する上壁とよりなるものが知られている(特許文献1参照)。
この側溝ブロック上壁には、蓋板を嵌め込むための蓋穴が形成されており、蓋板としてはグレーチングやコンクリート製の蓋体が用いられる。
【0003】
このような側溝ブロックは、例えば道路に横断するように敷設されるが、歩行者が歩いたりする際の滑り止めのためや、合わせて意匠性を向上させるために、その表面に凹凸状の模様が付与されている(特許文献1参照)。
【0004】
図10は、上壁の表面に凹凸状の模様1aが施された側溝ブロック1を示す。
この凹凸状の模様1aは、また自動車のタイヤのグリップ性を良くするためにも大きく寄与するものである。
因みに、コンクリート製の蓋体にも滑止め又は意匠性向上のために凹凸状の模様が付けられているのが普通である。
【0005】
このような凹凸状の模様1aを形成するためには、製造時の型枠の内面に、前もって模様付与のための凹凸状の型溝を形成しておく必要がある。
そのために型枠の加工に手間を要し、当然、コスト的にも高くなる。
また凹凸状の型溝は、成形回数を重ねるうちに減耗して、型枠の全体としての寿命が短くなる等の欠点がある。
このように型枠の一部(すなわち模様付与のための凹凸状の型溝)が減耗することにより型枠全体を交換しなくてはならず無駄が多く、また償却期間も短くしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−336738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、上述の側溝ブロック1は、自動車等が頻繁に通ることにより、凹凸状の模様1aがすり減って、当初に比べ滑り止め機能が低下し、同時に意匠性も悪くなる。
また、使用するうちに舗装されたところとの境界部に亀裂が生じ、その結果、角部に大きな欠損が生ずることがある。
このようになると、新しい側溝ブロック1と取り替えなければならず、その施工には余分な手間や時間を必要とし、また多くの費用も発生する。
【0008】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明は、側溝ブロックの上面の強度を向上させ、また型枠に凹凸状の模様の型溝を形成する必要のない、且つ滑り止め機能や意匠性にも優れた側溝ブロックを提供することを目的とする。
更にまた、側溝ブロックを成形するための側溝ブロック用型枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、側溝ブロックのブロック本体に強度的に優れた強化セメント薄板を設けることにより、上記の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)一対の側壁と該側壁を結合する上壁とからなるブロック本体を有する側溝ブロックであって、前記ブロック本体の上壁の上面全体にわたって、別体の、側溝ブロックの上面の強度を向上させ、且つ滑り止め機能を有する強化セメント薄板が結合されて設けられてなる側溝ブロックに存する。
【0011】
また、本発明は、(2)、前記強化セメント薄板には、裏面に小砂利が一部露出されて埋め込まれ、該小砂利がブロック本体に埋め込まれて一体化している上記(1)記載の側溝ブロックに存する。
【0012】
また、本発明は、()、強化セメント薄板を埋め込まれた側溝ブロックを成形するためのU字状中子枠及び側溝型枠とよりなる側溝ブロック用型枠であって、該側溝型枠は、底部、該底部の長手方向に枢着された一対の側壁、及び底部の長手方向と垂直方向に枢着された一対の短側壁を備え、該側壁には前記強化セメント薄板を底部に対して仮保持しておくための縦リブが形成されている側溝ブロック用型枠に存する。
【0013】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)から()を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブロック本体上面に別体の強化セメント薄板を設けることで、側溝ブロックの必要な部分にのみ機械的強度を向上させることができる。
耐摩耗性の良好な強化セメント薄板を使用することで、模様の減りを抑えることができ、側溝ブロック全体の耐久性を向上させることができる。
【0015】
また側溝ブロック2を製造するための型枠Aに、直接、凹凸状の型溝を形成しておく必要はなくなったので、製造型枠がシンプルとなる。
また、従来のように製造型枠の凹凸状の型溝が減耗して製造型枠全体の寿命が短くなるようなことがなく、コスト的に極めて有利である。
更に、強化セメント薄板の存在により、型枠による成形時、従来のように側溝ブロック2に埋め込むべき鉄筋10として、スペーサを使う必要がなくなり、成形が簡単となり効率が向上する。
型枠の側壁12cに形成された縦リブ12c3により、強化セメント薄板4を底部12aに対して仮保持しておくこと、及び側溝ブロック2の立上がり溝3cを形成することの両方が可能となる。
【符号の説明】
【0016】
1 側溝ブロック
1a 凹凸状の模様
2,2A,2B,2C、 側溝ブロック
3 ブロック本体
3a 側壁
3b 導水長溝
3c 立上がり溝
3d コの字面
3e 貫通穴
3f 蓋穴
3g 凹部
3h 縦長溝
3j 凹部
4 強化セメント薄板
4a 模様部
4b 中窓
4c 凹凸部
4d セメント板
5 排水路
6 道路
7 路盤
8 不透水性舗装
9 透水性舗装
10 鉄筋
12 側溝型枠
12a 底部
12b 中窓形成部
12b1 凸部
12c 側壁
12c1 丸筒
12c2 横リブ
12c3 縦リブ
12d 短側壁
12d1 縦長凸部
12d2 貫通穴
12d3 凸部
12d4 突起
13 U字状中子枠
13a 突起部
14 被吊下げ部材
15 棒材
A 側溝ブロック用型枠
L1 強化セメント薄板の厚さ
L2 飛出し高さ
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る側溝ブロックを示している。
この一実施形態の側溝ブロック2は、図示しない連結螺子棒を介してその長手方向に沿って複数連結されて、主に道路の横断方向に配設施工される。
【0018】
この側溝ブロック2は、コの字状の断面を有するコンクリート製のブロック本体3とこのブロック本体3の上面に設けられる別体の強化セメント薄板4とを有している。
ブロック本体3には、その長手方向に沿って排水路5が形成されており、この中に流れた水は下流に排水される。
【0019】
ブロック本体3の側壁3aには、その長手方向に沿って導水長溝3bが形成され、この導水長溝3bは道路に浸透した水分を導水するものである。
また、複数連結された側溝ブロックのうちの一部には、導水長溝3bから導かれてきた水が排水路5内に流入するように、排水金具を設けることが好ましい(例えば、実用新案登録第3047285号公報参照)。
側壁3aには立上がり溝3cが、複数カ所、間隔をおいて形成され、導水長溝3bに連通されている。
【0020】
このように、側壁3aに複数の立上がり溝3cが形成されることで、立上がり溝3cから導水長溝3bへの水の流れが生じて高さ方向の導水ができ、より集水能力を高めることができる。
この立上がり溝3cは、路面に敷かれる透水性舗装9(図8参照)の厚みが薄い場合に、優れた効果を発揮する。
【0021】
また、ブロック本体3の前後方向のコの字面3dには一対の貫通穴3eが形成され、この貫通穴3eに螺子棒を挿入し、蓋穴3f側からナットを螺合させることによりブロック本体3同士が連結される。
なお、このナットは、蓋穴3fの凹部3gに嵌まり込むようにされる。
更にこのように連結された状態で、ブロック本体間の間隙をなくし排水路5から水が漏出しないように、コの字面3dの縦長溝3hにコンクリートが充填される。
【0022】
さてブロック本体3の上面には、側溝ブロック2の表面強化のための強化セメント薄板4が設けられていることか本発明の主要なる特徴である。
以下、この強化セメント薄板4について詳しく述べる。
【0023】
図2は、強化セメント薄板4を示したもので、(A)は表面側、また(B)は裏面側を示している。
この強化セメント薄板4は一定の厚みを持ち、ブロック本体3の蓋穴3fに合わせて同形状の中窓4bが形成されている。
強化セメント薄板4の表面側には、凹凸状の模様(模様部4a)が形成されている。
この模様部4aは、凹凸状であるために、例えば、歩行者が雨天のときに踏んでもスリップしないような滑止めの機能を果たす。
また、自動車が走ってもタイヤを的確にグリップできるように同様に滑り止めとなる。
【0024】
この強化セメント薄板4の表面は路面に露出する部分であるために、そのような模様を付与することにより、合わせて意匠性を発揮することができる。
そのため凹凸状の模様としては、滑止め機能及び意匠性の両方の観点からその形態が決定されることとなる。
一方、強化セメント薄板4の裏面側には、凹凸形成部材により多数の凹凸部4cが形成されている。
この凹凸部4cは、例えば、強化セメント薄板4の裏面側に凹凸形成部材である小砂利を一部飛び出すように露出させて一体に埋め込むことにより明確に現出される。
【0025】
図3は、強化セメント薄板4の一部の拡大断面図である。
強化セメント薄板4は、飛び出して露出する小砂利の部分が側溝ブロック2のブロック本体3の上面に埋め込まれる。
そのためいわゆる投錨効果が発揮され強化セメント薄板4はブロック本体3に強い結合力で取り付けられることとなる。
この強化セメント薄板4としては、例えば一般のコンクリートに比べて、機械的強度、
例えば、圧縮強度、曲げ強度、引張強度、又は耐磨耗強度等で優れている材料を使うことが好ましい。
【0026】
その具体的な材料の例としては、ダクタル(登録商標)があるが、これは反応性微粉末を使用した無機系複合材料でありセメントをベースとしており、特に耐磨耗性が優れているものである。
このダクタルを使った強化セメント薄板4は、模様部4aの減りを極力抑えることができ、強化セメント薄板4の寿命をより長くすることができる。
結果的に強化セメント薄板4の設けられた側溝ブロック2の上面の耐久性も同時に担保できる。
【0027】
ここで強化セメント薄板4の厚さL1は、12〜25mmであることが好ましく、一方、圧縮強度は40N/mm以上であることが好ましい。
厚さが12mmより小さいと表面の凹凸模様部と裏面の凹凸部とのバランスが悪くなり、またそれら成形しにくくなり、更にいわゆる「かぶり」が十分とれない。
25mmより大きいとインサート成形時に扱いにくくなる。
また圧縮強度は40N/mmより小さいとコンクリートに比べ優位な欠損強さを発揮できない。
また裏面の凹凸部4cの飛出し高さL2は、ブロック本体3との結合性の観点から5〜10mmが好ましい。
【0028】
次に、側溝ブロック2の製造方法(成形方法)について説明する。
側溝ブロック2は、概略的には、強化セメント薄板4を型枠内に仮保持しその上からコンクリートを流し込んで固化する方法で製造される。
図4〜図6は、その側溝ブロック2を成形するための側溝ブロック用型枠Aを示す。
【0029】
図4は、型枠の展開状態を示す図であり、図5は、U字状中子枠が側溝型枠に組み込まれ状態を示す図である。
また図6は、側溝型枠が組み立てられた状態を示す図である。
側溝ブロック2を成形するための側溝ブロック用型枠Aは、主としてU字状中子枠13及び側溝型枠12よりなり、該側溝型枠12は、底部12a、該底部12aと長手方向の一対の側壁12c、及び底部12aの長手方向と垂直方向の一対の短側壁12dとよりなる。
そして一対の側壁12cは、底部12aの長手方向に枢着されて回動可能であり、また一対の短側壁12dは底部12aの長手方向と垂直方向に枢着されて回動可能である。
【0030】
強化セメント薄板4は、この側溝型枠12の底部12aに仮保持される。
その場合、強化セメント薄板4は、その裏面側である凹凸部4c(例えば小砂利の部分)が形成された面を上に向け、表面側である凹凸状の模様(模様部4a)が形成された面を下に向けて仮保持される。
底部12aには直方体状の中窓形成部12bが立設されており、強化セメント薄板4の中窓4bは、この中窓形成部12bに嵌め込まれるようにして仮保持される。
中窓形成部12bにはブロック本体3の排水用の凹部3jを形成するための長方形板状の凸部12b1が形成されている。
【0031】
また側壁12cは、底部12aに対して回動自在に取り付けられている(図4中、手前側の側壁12cは省略)。
側壁12cには、導水長溝3bを形成するための横リブ12c2が直線状に連続して形成されている。
また側壁12cには、強化セメント薄板4を保持しておくための縦リブ12c3が、複数カ所、形成されており、強化セメント薄板4は、この縦リブ12c3により底部12aに添わせて仮保持されることとなる(図4の拡大部参照)。
【0032】
すなわち強化セメント薄板4は、縦リブ12c3と底部12aとの間の間隙に挿入されて仮保持される。
強化セメント薄板4が薄い場合は、縦リブ12c3を長くすることで上記間隙を小さくできる。
この縦リブ12c3は、前述した側溝ブロック2の立上がり溝3cを形成する役割も兼ね備えており重要な部分である。
もっとも、強化セメント薄板4が厚く横リブ12c2のみで仮保持される場合は、縦リブ12c3は省略できる。
なお側壁12cには、丸筒12c1が2箇所に設けられている。
【0033】
一方、短側壁12dは、底部12aに対して側壁12cと同様に回動自在に取り付けられている。
短側壁12dには、ブロック本体3に縦長溝3hを形成するための縦長凸部12d1が形成されている。
また、短側壁12dにはブロック本体3の貫通穴3eと対応し連通する貫通穴12d2が形成されている。
更に、短側壁12dにはブロック本体3の排水用の凹部3jを形成するための長方形板状の凸部12d3が形成されている。
また、短側壁12dの周囲には先細り形状の突起12d4が4箇所に形成されている。
【0034】
側溝型枠12には、ブロック本体3の内壁面を形成するためのU字状中子枠13が挿入配設される。
このU字状中子枠13には、棒状の被吊下げ部材14が取り付けられており、この被吊下げ部材14にワイヤの先端に設けられたフックを引掛けることで、U字状中子枠13は持上げが可能である。
【0035】
U字状中子枠13の下面側には4箇所に突起部13aが形成され(尚、図では見える突起部のみ示した)、この突起部13aを中窓形成部12bに嵌込み位置合わせが行われる。
この突起部13aは、ブロック本体3にナット嵌込み用の凹部3gを形成する役割も果たしている。
そして、U字状中子枠13を中窓形成部12b上に配置させ、両側の側壁12cを回動させて底部12aに対して起立させると、丁度、図5に示すような状態となる。
【0036】
そして、短側壁12dを回動させ底部12aに対して起立させ、側壁12cの端部の丸筒12c1に、短側壁12dの突起12d4を挿入させて閉じると、図6に示すような型枠全体が組み立てられた状態となる。
そして、ブロック本体3に貫通穴3eを形成するために、貫通穴12d2に先細り形状の棒材15を挿入し、最後にコンクリートを流し込み硬化させる。
底部12aに保持された強化セメント薄板4は、上を向いている凹凸部4c(例えば小砂利の部分)がコンクリートに埋め込まれた状態でブロック本体3(図1参照)と一体化される。
【0037】
なお、先細り形状の棒材15はブロック本体3から抜き去られて、その跡に結合用ボルトが挿入できる通路が形成される。
因みに、コンクリートを流し込むときには、側壁12cに型枠振動機を取り付けて加振し、コンクリートを側溝型枠内に確実に満遍なく充填させるようにすることが好ましい。
【0038】
ところで、補強するために側溝ブロックの表面から一定の深さには鉄筋10が埋め込まれているが(図7参照)、これは鉄筋10の耐久性を向上するために、表面からの水分の浸入による腐食を防止するためであり、いわゆる「かぶり」といわれている。
この鉄筋10は成形時において同時にブロック本体3に埋め込まれるが、上述したような強化セメント薄板4を成形時にインサートするような成形方法では、鉄筋10の同時埋め込みが極めて簡単に行える利点がある。
【0039】
図7は、成形時の側溝型枠12と強化セメント薄板4と関係を示す図である。
本発明では、図のように裸の鉄筋10を、側溝型枠12の底部12aに仮固定された状態にある強化セメント薄板上に単に載置することで、その薄板の厚さの分だけ、必然的に、いわゆる「かぶり」が得られる利点がある。
そのため、成形時には、底面に仮保持された強化セメント薄板4の上に裸の鉄筋10を単に載せておくことで、いわゆる「かぶり」が確保されることとなる。
因みに、従来はこの「かぶり」を確保するために、スペーサ(図中、二点鎖線はスペーサを示す)と呼ばれるもので鉄筋を支持し成形していたが、このスペーサは当然製品に埋め込まれていた。
このように本発明の型枠を使った成形方法では、「かぶり」が簡単に確保され、スペーサ等を使用する必要もなく、成形も容易且つ効率的である。
【0040】
次に側溝ブロック2を道路6に敷設する方法について説明する。
図8は、側溝ブロック2が道路6に配設施工された状態を示す図である。
側溝ブロック2の側壁3aの外側には、道路6が構築されている。
道路における路盤7の上には不透水性舗装8が設けられており、その上面は導水長溝3bの下端に位置している。
また不透水性舗装8の上には、透水性舗装9が施されており、その上面は側溝ブロック2と面一となっている。
【0041】
このような側溝ブロック2が敷設された道路6では、道路上に降った雨水は透水性舗装9内に浸透し、不透水性舗装8の上面に至り、その上面を伝わって側溝ブロック2に導かれる。
そして、側溝ブロック2に導かれた雨水は、導水長溝3bを伝わって図示しない導水穴から排水路5に流れ込み効率的に排水される。
また、施工誤差により、不透水性舗装8の上面が上がり透水性舗装9の厚みが薄くなっても、側壁3aに複数の立上がり溝3cが形成されることで、立上がり溝3cから導水長溝3bへの水の流れが生じて導水ができる。
【0042】
〔他の実施の形態〕
以上の実施の形態においては、図1に示すような側溝ブロックについて述べてきた。
しかし、本発明の側溝ブロックとしては、例えば図9に示すような別形態の側溝ブロックも含まれる。
図9(A)は有底側溝、図9(B)は丸型水路側溝、また図9(C)はマス型側溝を示すもので、強化セメント薄板はそれぞれの表面に対応した形状に設けられている。
当然、これら以外の側溝ブロックも適用可能である。
【0043】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した一実施形態では、セメント板4d(図3に記載)上に小砂利により凹凸部4cを形成したが、この凹凸部4cは金属片やガラス片等を用いても良い。
また強化セメント薄板4は、側溝ブロック2の型枠による成形により同時に埋め込まれる場合を示したが、ブロック本体3と強化セメント薄板4とは、例えば、接着剤等により結合して使用しても良いし、ブロック本体3にボルト穴を形成し、強化セメント薄板4に座繰り穴を形成し、ボルトを螺合させることで結合させても良い。
【0045】
その場合、強化セメント薄板4は取り外しができ、自動車の走行等により模様部4aが磨耗してしまっても、強化セメント薄板4のみを取り替えれば良く、新規の側溝ブロックに取り替える必要がなくなり便利である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、舗装道路に降った雨水や雪解け水等を排水するために用いられる側溝ブロックに関するものであり、耐摩耗性の良好な強化セメント薄板を使用することで、模様の減りを抑えることができ、側溝ブロック全体の、強度や耐久性を向上できる。型枠としても凹凸状の型溝を必要としないので、構造がシンプルとなり成形も簡単である。このような利点を利用できる限り、他の土木用ブロックにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の側溝ブロックの一実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、強化セメント薄板を示す説明図であり、(A)は表面側、また(B)は裏面側を示している。
【図3】図3は、強化セメント薄板の一部の拡大断面図である。
【図4】図4は、側溝ブロック用型枠の展開状態を示す説明図である。
【図5】図5は、U字状中子枠が側溝型枠に組み込まれ状態を示す説明図である。
【図6】図6は、側溝ブロック用型枠が組み立てられた状態を示す説明図である。
【図7】図7は、成形時の側溝型枠と強化セメント薄板と関係を示す説明図である。
【図8】図8は、側溝ブロックが道路に配設施工された状態を示す説明図である。
【図9】図9は、別形態の側溝ブロックを示す図であり、図9(A)は有底側溝、(B)は丸型水路側溝、また図9(C)はマス型側溝を示す。
【図10】図10は、上壁に凹凸状の模様が施された従来の側溝ブロックを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁と該側壁を結合する上壁とからなるブロック本体を有する側溝ブロックであって、
前記ブロック本体の上壁の上面全体にわたって、別体の、側溝ブロックの上面の強度を向上させ、且つ滑り止め機能を有する強化セメント薄板が結合されて設けられてなることを特徴とする側溝ブロック。
【請求項2】
前記強化セメント薄板には、裏面に小砂利が一部露出されて埋め込まれ、該小砂利がブロック本体に埋め込まれて一体化していることを特徴とする、請求項1記載の側溝ブロック。
【請求項3】
強化セメント薄板を埋め込まれた側溝ブロックを成形するためのU字状中子枠及び側溝型枠とよりなる側溝ブロック用型枠であって、該側溝型枠は、底部、該底部の長手方向に枢着された一対の側壁、及び底部の長手方向と垂直方向に枢着された一対の短側壁を備え、該側壁には前記強化セメント薄板を底部に対して仮保持しておくための縦リブが形成されていることを特徴とする側溝ブロック用型枠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−48084(P2010−48084A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275157(P2009−275157)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【分割の表示】特願2004−6141(P2004−6141)の分割
【原出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】