説明

偽造印影検査方法及び記録媒体

【課題】肉眼や顕微鏡拡大による判断で発生し得る間違いをあらかじめ防止する。
【解決手段】偽造印影検査方法に関するもので、原本印章から基準印影を生成(ST−110)する生成工程(ST−101)と、前記生成工程(ST−101)で生成された基準印影と比較印影を対比して基準印影に対する比較印影の特性値を演算(ST−140)する演算工程(ST−121)とを含み構成される。実験の結果、亜鉛板や樹脂板を蝕刻して模造した印章で捺印された偽造印影を識別することができたのはもちろん、コンピュータ模刻方法で模造した印章で捺印した偽造印章も識別することができるので、民事、刑事事件で文書などに捺印された印影が偽造されたものかどうかを判断することができる客観的な根拠を提示することで、既存の肉眼や顕微鏡拡大による判断で発生し得る間違いをあらかじめ防止することができる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書などに捺印された印影が偽造印章で捺印されたものかどうかを検査することができる偽造印影検査方法及び記録媒体に関するもので、より詳細には、文書などに捺印されている比較印影の特性値を演算することで、偽造印影かどうかを判断することができる客観的な資料を提供する偽造印影検査方法及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印章というのは、自分の姓名(名前)または官名を印章面に彫刻したもので、印影は印章に印肉をつけて圧延した跡のことをいう。印章は、古代メソポタミアに由来し、自分の所有物であることを表示するために、石や粘土、骨、貝などで作られた。中国の場合は、周の国の時から使用され、韓国の場合は、漢四郡のひとつであるナクラン時代の印章が大同江流域で出土し、雁鴨池でも新羅時代の印章が発見された。現在は、韓国、日本、中国など東洋圏で本人を確認する手段として広く使用されていて、西洋圏でも書類受付確認用などに使用されている。印章は、このような重要な取引及び本人確認機能に使用されていて、これを偽造する犯罪もますます増えている。
【0003】
印章を偽造する方法として以前は、半透名の紙に印章を捺印した後、印影面を覆って、複製しようとする印章に付着した後、手作業で彫刻する方法を用いた。しかし、このような方法は、原本印章と誤差が多くて最近は使用されていない。最近、多く使用されている方法としては、フォトリソグラフィ(photolithography)であり、原本印章を捺印して作られた印影を撮影した後、金属板や、樹脂板に腐食(蝕刻)させて複製印章を作るものである。このような方法で作られた複製印章または複製印章で捺印された印影は、写真撮影過程での間違いによって原本印章と多くの差異が発見される。最近では、印影を撮影しないでスキャンしてフィルムにプリントした後、このプリント物を光反応物質(Photoactive compound,PAC)上に密着させて焼き付けた後、溶媒で溶かして複製印章を作る。このような方法で製造された複製印章及び複製印章で捺印した印影は、規格がほとんど同一で原本印章や原本印影と区別しにくい。しかし、このような方法で作られた複製印章も紫外線露光中の過多露出、過小露出、溶媒に過多または過小溶解されるなど、複製過程で微細な間違いは発生するようになる。
【0004】
最近は、コンピュータの発達によって印章彫刻機を用いて複製する傾向がある。この方法は、CAM(コンピュータ支援製造、computer aided manufacturing)の一種で、複製しようとする印章をスキャナを用いてコンピュータに入力した後、複製しようとする印章と大きさが同一の材料を機器にセッティングしておいて、大きさを合わせた後、コンピュータに命令をすればコンピュータに運結されたドリルやレーザーが入力されたとおり同一に彫刻をする。このような方法で製造された偽造印章は、非常に精巧で原本印章とほとんど差がないが、大きさを合わせる過程や複製印章が平行に置かれていなかったりして微細であっても相異している場合、誤差が発生し得る。
【0005】
印影の偽造識別技術としては、顕微鏡などの器機を使用して印影に示される微細な傷、くぼんだ部分、突出した部分を比較観察したり原本印影と比較する印影を同一条件で拡大撮影したりした後、それを重畳させて観察するスパーインポーズ検査法が主に使用される。以前は、陰画(Negative Film)を用いた写真学的方法が主に使用されたが、このごろは、VSC5000のような映像処理器機で比較する場合が多い。その外に、アウトラインを比較するために比較印影を手動でトレースする方法や写真処理によってアウトラインを抽出する方法が使用されてきたが、手動によるトレースは、処理過程の再現性に問題があり得、写真処理によるアウトライン抽出は、専用光学的装置や高度な写真技術、そして数時間の作業時間を要する。このような方法は、文字が邪魔になったり、印肉の濃淡差などによって精緻に観察しにくい。そして、前記の方法は、人間の目で見ることによる検査なので、一般人と専門家との差があり、専門家であっても主観的な判断によるしかなかったので、印影鑑定人ごとに差が発生する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決するために提案されたもので、原本印章で基準印影を生成して基準印影と比較印影を対比して特性値を演算して演算された特性値から比較印影が偽造印影なのかどうかを判断する客観的資料を用意することができる偽造印影検査方法及び記録媒体を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために本発明は、原本印章から基準印影を生成して、原本印章から対比印影を生成する生成工程と、前記生成工程で生成された基準印影と対比印影を対比して基準印影に対する対比印影の特性値を演算し、基準印影と比較印影を対比して基準印影に対する比較印影の特性値を演算する演算工程と、前記演算工程で基準印影と対比印影を対比して得た特性値と基準印影と比較印影を対比して得た特性値を比較する工程とを含み構成される偽造印影検査方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、前記演算工程で基準印影と対比印影の位置と角度を合わせて基準印影に対する対比印影の特性値を演算し、基準印影と比較印影の位置と角度を合わせて基準印影に対する比較印影の特性値を演算する偽造印影検査方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影に対比して演算する充填率であり、基準印影に対する対比印影の充填率の演算式は
【0010】
【数1】

【0011】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域面積)で、前記比較印影の充填率の演算式は
【0012】
【数2】

【0013】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影に対比して演算するエラー率であり、前記対比印影のエラー率の演算式は、
【0015】
【数3】

【0016】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域面積)で、前記比較印影のエラー率の演算式は、
【0017】
【数4】

【0018】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影に対比して演算する充填率とエラー率であり、前記対比印影の充填率の演算式は、
【0020】
【数5】

【0021】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域の面積、n(B)は対比印影の捺印領域の面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域の面積)で、前記比較印影の充填率の演算式は、
【0022】
【数6】

【0023】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域の面積、n(B)は比較印影の捺印領域の面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域の面積)で、前記対比印影のエラー率の演算式は、
【0024】
【数7】

【0025】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域の面積、n(B)は対比印影の捺印領域の面積)で、前記比較印影のエラー率の演算式は、
【0026】
【数8】

【0027】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域の面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0028】
また、本発明は、原本印章から複数の準備印影の入力を受ける工程と、前記入力を受ける工程で入力された準備印影を領域別に分離して、複数の準備印影で捺印領域に対して整合して基準印影を生成する工程と、偽造検査対象になる比較印影の入力を受けて領域別に分離する工程と、前記基準印影と比較印影とで捺印領域を整合させる工程と、前記整合工程後に基準印影に対する比較印影の特性値を演算する工程とを含む偽造印影検査方法を提供する。
【0029】
また、本発明は、前記基準印影と比較印影を整合する工程は、有効画素数値が最大になる移動及び回転媒介変数を求める過程であり、前記媒介変数は、下記の数式を通じて算出される偽造印影検査方法を提供する。
【0030】
【数9】

【0031】
また、本発明は、前記基準印影と比較印影を整合する工程が、捺印領域の重畳を演算して基準印影と比較印影の位置と角度を合わせる工程である偽造印影検査方法を提供する。
【0032】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影と対比して演算する充填率であり、前記比較印影の充填率の演算式は、
【0033】
【数10】

【0034】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0035】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影に対比して演算するエラー率であり、前記比較印影のエラー率の演算式は、
【0036】
【数11】

【0037】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0038】
また、本発明は、前記特性値は、基準印影に対比して演算する充填率とエラー率であり、前記比較印影の充填率の演算式は、
【0039】
【数12】

【0040】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)で、
前記比較印影のエラー率の演算式は、
【0041】
【数13】

【0042】
(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)である偽造印影検査方法を提供する。
【0043】
また、本発明は、前記エラー率に充填率を反映して、充填率が反映されたエラー率は、演算式が
【0044】
【数14】

【0045】
である偽造印影検査方法を提供する。
【0046】
一方、本発明は、原本印章から複数の準備印影の入力を受けて領域別に分離する機能と、領域別に分離した少なくとも一つ以上の準備印影で捺印領域を整合させてそれに該当するピクセルの平均値を計算して基準印影を生成する機能と、偽造検査対象になる比較印影の入力を受けて領域別に分離する機能と、前記基準印影と比較印影を比較して前記基準印影と比較印影との相異している程度を示すエラー率を演算し、印肉がついたり捺印強度が強い程度を示す充填率を演算する特性値を演算して前記比較印影が偽造印影なのかどうかを検査する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取れる記録媒体を提供する。
【0047】
また、本発明は、前記エラー率は、前記基準印影の有効面積n(A)に対する基準印影から逸脱した比較印影の面積をn(Bout)とする時、数式
【0048】
【数15】

【0049】
を通じて演算され、前記充填率は、数式
【0050】
【数16】

【0051】
を通じて演算され、前記基準印影と比較印影の比較工程は、前記エラー率に充填率を反映し、これは数式
【0052】
【数17】

【0053】
に該当するプログラムを記録したコンピュータで読み取れる記録媒体を提供する。
【0054】
一方、本発明は、基準印影に対する複数の準備印影の補正したエラー率(ε)であるエラー率(ε)/充填率(ρ)の平均値と標準偏差を演算して正規分布曲線を用意する工程と、基準印影に対する比較印影の補正したエラー率(ε)であるエラー率(ε)/充填率(ρ)を演算した後、準備印影の正規分布曲線に示す工程を含む偽造印影検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0055】
本発明による偽造印影検査方法は、文書などに捺印されている比較印影が原本印章で捺印されたものかどうかを判断する客観的な資料を提供することができ、実験の結果、亜鉛板や樹脂板を蝕刻して模造した印章で捺印された偽造印影を識別することができる基準を提供することができるのはもちろん、コンピュータ模刻方法で模造した印章で捺印した偽造印影も識別することができる基準を提供することができた。したがって、民事、刑事事件において文書などに捺印された印影が偽造されたものかどうかを判断することができる客観的な根拠を提示することで、既存の肉眼や顕微鏡拡大による判断で発生し得る間違いを未然に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による印影比較方法の工程を示したものである。
【図2】図1に示した基準印影生成工程を示したものである。
【図3】基準印影を生成するために原本印章で捺印した準備印影の例を示したものである。
【図4】図3に示した準備印影から生成した基準印影の例を示したものである。
【図5】原本印章を捺印した対比印影の例を示したものである。
【図6】基準印影と対比印影を対比する工程を示したものである。
【図7】基準印影と対比印影の位置角度を合わせる工程を説明するために示したものである。
【図8】基準印影と対比印影の位置角度を合わせる工程を説明するために概略的に基準印影と対比印影を示したものである。
【図9】基準印影と対比印影の位置角度を合わせる工程の他の例を説明するために示した基準印影の例である。
【図10】基準印影と対比印影の位置角度を合わせる工程の他の例を説明するために示した基準印影の例である。
【図11】基準印影と対比印影の位置角度を合わせる工程の他の例を説明するために示したものである。
【図12】図4に示した基準印影の例で「(印)」字部分を削除したものである。
【図13】図5に示した対比印影で「(印)」字部分を削除したものである。
【図14】基準印影と対比印影の特性値演算を説明するために図式的に示したものである。
【図15】基準印影と比較印影の対比工程を示したものである。
【図16】基準印影と比較印影の対比工程の中で位置角度を合わせる工程を示したものである。
【図17】基準印影と比較印影の対比工程の中で位置角度を合わせる工程の他の例を示したものである。
【図18】基準印影に対して対比印影と比較印影を比較した特性値グラフを示したものである。
【図19】本発明による偽造印影検査方法の他の実施例による工程を示したものである。
【図20】本発明による他の実施例で偽造印影検査方法の順序図である。
【図21】比較印影または基準印影の領域分離過程を説明するために示した実際図である。
【図22】基準印影と比較印影に対する捺印領域を図式的に示したものである。
【図23】基準印影と比較印影を整合させた状態の例を図式的に示したものである。
【図24】不適合印影と適合印影の例を示したものである。
【図25】本発明による偽造印影検査方法の偽造有無検査工程の順序図である。
【図26】実験に使用した4種の原本印章を示したものである。
【図27】図26の原本印章と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率の散布図である。
【図28】図26の原本印章と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率の散布図である。
【図29】図26の原本印章と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率の散布図である。
【図30】図26の4種原本印章と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率散布図である。
【図31】図26の4種原本印章と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率の散布図である。
【図32】図26の4種原本印章に対する正規化されたエラー率の分布図である。
【図33】図26の4種原本印章に対する正規化されたエラー率の分布図である。
【図34】図26の4種原本印章に対する正規化されたエラー率の分布図である。
【図35】図26の4種原本印章に対する正規化されたエラー率の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、添付された図面を参照して本発明による偽造印影検査方法の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0058】
まず、本発明の実施例による偽造印影検査方法を説明する。
【0059】
一般的に比較印影の偽造有無の検査は、文書などに捺印されている印影と原本印章が与えられ、文書などに捺印されている印影が原本印章で捺印されたものかどうかを検査する。したがって、以下では文書などに捺印された印影が原本印章で捺印された印影なのかどうかを検査する場合に対して説明する。比較印影の例で文書などに捺印されている印影をスキャンしたイメージを挙げることができる。上記の原本印章は、実印のようなもののみを意味するのではなく、受付書類や手紙封筒のような郵便物包装紙などに日付を確認するために捺印するスタンプ等も含まれる概念であり、以下で使用する用語である印肉は、実印などを捺印する時に原本印章につける(塗布される)印肉だけでなく、スタンプにつける(塗布される)インクなどを含む概念である。そして、捺印領域は、印影で印肉やインクがついている領域を意味する。
【0060】
図1に示したように、本発明による偽造印影検査方法は、生成工程(ST−101)と、前記生成工程(ST−101)で生成された印影を対比して特性値を演算する演算工程(ST−121)と、特性値を比較する工程(ST−150)とを含み構成される。
【0061】
前記生成工程(ST−101)は、基準印影生成工程(ST−110)と、対比印影生成工程(ST−120)を含む。
【0062】
前記基準印影生成工程(ST−110)は、図2ないし図4に示したように原本印章を白紙などに複数回捺印(ST−111)しスキャンして複数の準備印影(110a、110b、110c)を用意することができる。図3は、原本印章で白紙に3回捺印して、これをスキャンして準備した準備印影を示したものである。
【0063】
スキャンした準備印影の平均値を演算(ST−113)して平均値を有する印影を図4に例に示したように基準印影110とする。平均値は、準備印影(110a、110b、110c)を成す各ピクセルの色相(RGB)の平均値を意味する。実験の結果、普通2個の準備印影を用意すれば、すなわち原本印章を2回以上捺印すると比較印影の偽造有無を検査することができる基準印影110が用意された。
【0064】
準備印影の平均値を計算する時、各準備印影の回転角度と変位を調節して捺印領域の重畳する部分が最も多い位置を捜した後、同一位置のピクセルの平均値を演算して基準印影にする。回転角度と変位を調節して捺印領域の重畳する部分が最も多い位置を捜す方法は、以下で詳細に説明する。
【0065】
前記対比印影生成工程(ST−120)は、図5に示したように白紙に原本印章を1回以上、好ましくは複数回捺印してスキャンして用意することができる。前記対比印影は、基準印影110と対比して特性値を演算することで、偽造有無を判別することができる基準値を用意するための印影である。図5には4個の対比印影(121、123、125、127)の例を図示しているが、これに限定されるのではなく、1個以上の対比印影を用意すれば良い。比較印影が「(印)」字などが印刷された用紙に捺印されて比較印影の捺印領域が「(印)」とオーバーラップして「(印)」字などを含む印影の場合には、図5に示したように「(印)」字などが印刷された用紙に原本印章を捺印してスキャンして対比印影を用意することができる。前記準備印影と対比印影は、原本印章を白紙などに捺印してこれをスキャンして用意することができ、白紙などに捺印されたものを撮影して用意することもできる。そして、比較印影は、偽造有無の検査対象になる印影であり、捺印された印影をスキャンするか撮影して用意することができる。別に対比印影を用意しないで、基準印影を生成するために用意した準備印影を対比印影にして特性値を演算することも可能である。
【0066】
図4及び図5に例示したように、基準印影110と対比印影(121、123、125、127)が用意されれば、基準印影に対して各対比印影を対比して特性値を演算(ST−130)して、基準印影に対して比較印影を対比して特性値を演算(ST−140)する。基準印影の捺印領域に対して各対比印影の捺印領域を対比して特性値を演算し、基準印影の捺印領域に対して比較印影の捺印領域を対比して特性値を演算する。
【0067】
基準印影に対して各対比印影を対比して特性値を演算(ST−130)する工程は、図6に示したように、特性値を演算(ST−135)する前に、基準印影と対比しようとする対比印影の位置と角度を合わせる工程(ST−131、整合工程)を含む。基準印影と対比印影の中で図面符号121で表示された対比印影に対して説明すると、基準印影と対比しようとする対比印影の位置と角度を合わせる工程(ST−131)は、図8に示したように基準印影110と対比しようとする対比印影121を重畳して相対的に(基準印影110に対して対比印影121をまたは対比印影121に対して基準印影110を)垂直方向(A)及び水平方向(B)に変位を与えながら(ST−131b)、図4及び図5に例えて示した基準印影110の捺印領域111と対比印影121の捺印領域1211の重畳量を演算して、捺印領域の重畳量が最大になる水平及び垂直位置を決定する。そして、基準印影110と対比印影121を相対的に(基準印影110を基準に対比印影121をまたは対比印影121を基準に基準印影110を)回転させながら(ST−131a)基準印影110の捺印領域111と対比印影121の捺印領域1211の重畳量を演算して、捺印領域の重畳量が最大になる回転角度を算出する過程を経て基準印影110と対比しようとする対比印影121の位置と回転角度を合わせる。回転角度を合わせる場合、縁から基準印影と対比印影の回転中心を導出して回転中心を一致させた後、回転角度を与えて合わせることが可能である。前記水平及び垂直方向の変位を与える工程と回転させる工程は、回転させる工程を先に遂行して垂直及び水平方向変位を与える場合もあり、水平及び垂直方向の変位を与える工程を遂行して回転させることもでき、相互に繰り返して最大に重畳する位置と回転角度を捜すこともできる。
【0068】
残り対比印影(123、125、127)に対しても同一な方法で捺印領域の重畳量が最大になる回転角度と水平及び垂直変位を捜す。回転角度と水平及び垂直変位を捜す時間を短縮するために、前記で基準印影110と対比しようとする対比印影と基準印影の大きさを1/2、1/3などの割合で縮小保存して、前記の方法で縮小保存されたイメージに対して捺印領域の重畳量が最大になる回転角度と水平及び垂直変位を捜した後、これを元々の大きさの基準印影と対比印影に適用することも可能である。
【0069】
図9、図10及び図11は、基準印影と対比印影に対して重畳量が最大になる回転角度と水平及び垂直変位を捜す他の方法を説明するために示したもので、まず、図9に示したように、基準印影110の捺印領域の基準になり得る点(例えば、隅部分)を選定して、対比しようとする対比印影123にも基準印影110のような位置に基準になる点を選定(ST−131−1)する。
【0070】
同じ基準点である図9のA1の座標を(x、y)として、図10のA2の座標を(x’、y’)とすると、(x、y)と(x’、y’)は、下記のような関係式を有する。
【0071】
x’=x+cos(θ)x−sin(θ)y
y’=y+sin(θ)x−cos(θ)y
【0072】
式中、x、yは横方向及び縦方向変位差を、θは回転変位を示す。この式を他の座標(例えば、B1、C1、D1とB2、C2、D2)にも適用して最小自乗法によって、x、y、θを演算することができ、対比印影123を基準印影110のような角度で回転させて垂直及び水平方向への変位も調節することができる(ST−131−2)。
【0073】
比較印影が「(印)」字などを含んでいて、これと合わせるために対比印影が「(印)」字などを含む場合、図13に図面符号123’で示したように、対比印影から「(印)」字に該当する部分を削除する。すなわち、「(印)」字に該当する部分のピクセルの色相を図5の例示した対比印影の空間領域(1213)のような色相に変更する。そして、図12に図面符号110’で示したように基準印影においても対比印影の「(印)」字に該当する部分のピクセルの色相を空間領域のような色相に変更する。前記の作業を容易にするために、基準印影と対比印影の位置と回転角度を調節した後、または調節する前に基準印影と対比印影に同一な臨界値を与えて基準印影と対比印影を2進化することも可能である。
【0074】
前記で「(印)」字に該当する部分を削除する過程で、印肉で捺印された捺印領域を抽出することで削除されるようにすることも可能である。例えば、赤い印肉を使用して捺印した場合には、赤色捺印領域のみを抽出することができる範囲を付与し、例えば各ピクセルの中でRGBのR値が200以上になるピクセル部分のみを残しておいて、残りピクセルは空間領域の色相に変更することも可能である。
【0075】
前記の方法で基準印影と対比印影の位置と回転角度を調節した後、そして対比印影が「(印)」字などを含む場合、対比印影から「(印)」字部分のピクセルの色相を空間領域の色相に変更し、基準印影においても「(印)」字に該当する部分のピクセルの色相を空間領域の色相に変更して(ST−133)、基準印影に対する対比印影の特性値を演算する(ST−135)。
【0076】
図14は、特性値を説明するために示したもので、図4に例示的に示した基準印影110と図5に例示的に示した対比印影121が、位置角度合わせをした後、重畳した状態を図式的に示したものである。図14で図面符号111は、基準印影110の捺印領域を、1211aは対比印影121の捺印領域1211中の基準印影110の捺印領域111に属する部分である第1領域を、1211bは対比印影121の捺印領域1211中の基準印影110の捺印領域に属さない部分である第2領域を示したものである。
【0077】
基準印影に対する対比印影の充填率(ρ)またはエラー率(ε)を、偽造印影検査方法の特性値にする。そして、前記充填率(ρ)とエラー率(ε)の両方を偽造印影検査方法の特性値にすることもできる。
【0078】
図5及び図14を参照して、対比印影121を例に充填率(ρ)とエラー率(ε)に対して説明する。
【0079】
基準印影110に対する対比印影121の充填率(ρ)計算式は、下記の数式1に該当する。
【0080】
数式1
【0081】
【数18】

【0082】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域面積である対比印影の第2領域の面積)
【0083】
前記のように演算した充填率(ρ)は、0よりは大きくて1よりは小さくなる。演算された充填率(ρ)が、0に近くなるほど基準印影と同一性の低い印影になり、1に近くなるほど基準印影と同一性が高い印影になる。前記で基準印影と対比印影は、同一な原本印章で捺印したものであるが、捺印時の印肉の状態などの影響によって基準印影に対して演算した対比印影の充填率(ρ)は、1より小さくなる。n(Bin)を対比印影121の捺印領域1211中、基準印影110の捺印領域111に属する部分である第1領域の面積とする時、前記対比印影の充填率(ρ)は、前記の式でn(B)の代わりにn(Bin)を使用して演算することも可能である。
【0084】
対比印影121のエラー率(ε)は、対比印影の第2領域1211bの面積を対比印影121の捺印領域1211の面積で割った値で、これに100を掛けて%にすることもできる。エラー率は、下記の数式2のように示すことができる。
【0085】
数式2
【0086】
【数19】

【0087】
ここで、n(Bout)は対比印影の第2領域の面積、n(B)は対比印影の捺印領域の面積である。n(Bin)を対比印影121の捺印領域1211中の基準印影110の捺印領域111に属する部分である第1領域の面積とする時、前記対比印影のエラー率は、n(B)の変わりにn(Bin)や基準印影の捺印領域面積n(A)を使って演算することも可能である。
【0088】
エラー率(ε)が小さいほど基準印影と同一性の高い印影になり、エラー率(ε)が大きいほど基準印影と同一性の低い印影になる。
【0089】
基準印影に対比して比較印影に対して特性値を演算する工程(ST−140)は、図1及び図15に示したように、基準印影と比較印影の位置と角度を合わせる工程(ST−141)と、基準印影に対して比較印影の特性値を演算する工程(ST−145)とを含む。
【0090】
図16に示した位置と角度を合わせる方法は、図7及び図8のように基準印影と比較印影に相対的に回転変位を与えて(ST−141a)、垂直及び水平方向変位を与えて(ST−141b)位置と角度を合わせることを示したものであり、図17に示した位置と角度を合わせる方法は、図9ないし図11のように基準印影と比較印影に基準点を設定して(ST−141−1)、基準点に対して演算して位置と角度を移動させる(ST−141−2)方法を示したものである。前記垂直及び水平方向変位を与え(ST−141b)捺印領域の重畳する面積が最大になる垂直及び水平変位を求めて、重畳された垂直及び水平変位状態で相対的に回転変位を与え(ST−141a)また捺印領域の重畳した面積が最大になる回転角度を求めることもできる。
【0091】
基準印影と比較印影の位置と角度を合わせる工程は、基準印影と対比印影の位置と角度を合わせる工程に対応するので、これに対する詳細な説明は省略する。
【0092】
基準印影と比較印影の位置と角度を合わせた後、比較印影が「(印)」字などを含む場合には、二進化などの作業をした後、比較印影の「(印)」字などのピクセル部分を空間領域の色相に変更して、同様に基準印影でも「(印)」字などに該当するピクセル部分を空間領域の色相に変更する(ST−143)。ここで、必ず二進化作業をすることに限定するのではない。二進化をしないで「(印)」字などの字領域を除去することが可能である。
【0093】
前記のような方法で基準印影と比較印影の位置と回転角度を調節した後、そして比較印影が「(印)」字などを含む場合、比較印影の「(印)」字部分のピクセルの色相を空間領域の色相に変更し、基準印影でも「(印)」字に該当する部分のピクセルの色相を空間領域の色相に変更して(ST−143)、基準印影に対する比較印影の特性値を演算する(ST−145)。
【0094】
基準印影に対する比較印影の充填率(ρ)またはエラー率(ε)を偽造印影検査方法の特性値にする。また、前記充填率(ρ)とエラー率(ε)とを偽造印影検査方法の特性値にすることもできる。
【0095】
図14を参照して充填率(ρ)とエラー率(ε)に対して説明する。
【0096】
基準印影に対する比較印影の充填率(ρ)は、下記の数式3によって演算される。
【0097】
数式3
【0098】
【数20】

【0099】
(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は比較印影の捺印領域の中で基準印影の捺印領域に属さない部分である第2領域の面積)
【0100】
前記のように演算した充填率(ρ)は、0よりは大きくて1よりは小さくなる。演算された充填率(ρ)が、0に近くなれば基準印影と同一性が低い印影であり、1に近くなれば基準印影と同一性の高い印影になる。対比印影の充填率を対比印影の第1領域面積(n(Bin))を代入して演算した場合、n(Bin)を比較印影の捺印領域の中で基準印影の捺印領域に属する部分である第1領域の面積とする時、同様に比較印影の充填率(ρ)はn(B)の代わりにn(Bin)を使用して演算する。
【0101】
比較印影のエラー率(ε)は、比較印影の第2領域の面積を比較印影の捺印領域の面積で割った値で、そこに100を掛けて%にすることもできる。これは、前記数式2と同一である。エラー率(ε)が小さいほど基準印影と同一性の高い印影になり、エラー率(ε)が大きいほど基準印影と同一性が低い印影に該当する。比較印影の第1領域(n(Bin))は、比較印影の捺印領域の中で基準印影の捺印領域に属する領域を、比較印影の第2領域は、比較印影の捺印領域の中で基準印影の捺印領域に属さない領域を示す。対比印影の充填率を対比印影の第1領域面積(または基準印影の捺印領域面積)を代入して演算した場合、n(Bin)を比較印影の捺印領域の中で基準印影の捺印領域に属する部分である第1領域の面積とする時、そしてn(A)を基準印影の捺印領域面積とする時、同様に比較印影のエラー率(ε)は、n(B)の代わりにn(Bin)(またはn(A))を使って演算する。
【0102】
基準印影に対する対比印影の特性値と、基準印影に対する比較印影の特性値を対比して(ST−150)比較印影が偽造印影なのかどうかを判断する客観的資料が提供される。
【0103】
図18は、本発明の発明者が本発明によって原本印章から基準印影と対比印影を生成して、原本印章から亜鉛板蝕刻、樹脂板蝕刻、コンピュータ模刻の方法で偽造した印章で捺印した比較印影を対比した実験結果のグラフである。
【0104】
図18に示したように、基準印影は4個を用意して実験を行ない、亜鉛板蝕刻方法で偽造印章を8個製造し、それぞれの亜鉛板蝕刻偽造印章で複数回捺印して比較印影1グループ(偽造印影1グループ)を用意し、樹脂板蝕刻方法で偽造印章を6個製造してそれぞれの樹脂板蝕刻偽造印章で複数回捺印して比較印影2グループ(偽造印影2グループ)を用意し、コンピュータ模刻方法で偽造印章を4個製造してそれぞれのコンピュータ模刻偽造印章で複数回捺印して比較印影3グループ(偽造印影3グループ)を用意した。
【0105】
そして、基準印影に対する対比印影の特性値を前記の方法によって演算して、基準印影に対する各比較印影(偽造印影グループ)の特性値を前記の方法によって演算して図18に示したように縦軸をエラー率(ε)軸にし、横軸を充填率(ρ)軸にしたグラフに示した。
【0106】
図18に示したように、印肉の状態、印肉量などの捺印条件によって基準印影に対する対比印影の充填率(ρ)は、約0.28〜0.98の範囲で分布していて、エラー率(ε)は捺印条件にかかわらず10%より小さく、充填率(ρ)が低いほどエラー率(ε)も減少する傾向を示した。したがって、充填率(ρ)が0でエラー率(ε)が0%である地点から、充填率(ρ)が1でエラー率(ε)が0%より大きい地点に直線を延長する場合、比較印影が偽造された印影なのかどうかを判断することができるベースラインが用意されることを確認した。より詳細には、充填率(ρ)が0でエラー率(ε)が0%である地点から、充填率(ρ)が1でエラー率(ε)が10%である地点に直線を延長してベースライン200にする場合、比較印影の演算された充填率とエラー率のグラフ上の位置が前記ベースライン200より上に位置するのか前記ベースライン200より下に位置するのかによって、比較印影が偽造された印影なのかどうかを判断する客観的根拠にできることを確認した。充填率(ρ)が低いほどエラー率(ε)も減少する傾向を示すので、下記の数式6のようにエラー率(ε)を充填率(ρ)で補正した値にすることが好ましく、数式6のように補正したエラー率(ε)にし、補正したエラー率(ε)を横軸にする場合、前記ベースライン200は補正したエラー率(ε)軸と並んだ直線になることもある。
【0107】
横軸をエラー率(ε)軸にして、縦軸を充填率(ρ)軸にしたグラフで前記のようにベースライン200を設定する場合、比較印影の特性値がベースラインより左側に位置する場合には偽造されていない原本印影で、右側に位置する場合には偽造印影と判断することができる。
【0108】
図19に示したように、偽造印影検査方法は、対比印影との対比なしに基準印影と比較印影のみを対比することで可能である。
【0109】
前記のように原本印章を複数回捺印して基準印影を生成して(ST−110)、基準印影に対して比較印影の特性値であるエラー率(ε)と充填率(ρ)を演算して図18に示したようなグラフに位置させると、比較印影が偽造された印影なのかどうかを確認することができる。または、横軸をエラー率(ε)軸にして、縦軸を充填率(ρ)軸にしたグラフに位置させる場合にも、比較印影が偽造印影なのかどうかを確認することができる。
【0110】
基準印影に対して比較印影を対比する過程で、基準印影と比較印影の位置と角度を合わせる工程、比較印影が「(印)」字を含む場合、比較印影の「(印)」字部分を空間領域の色相に変換し、同様に基準印影でこれに該当する部分を空間領域の色相に変換する工程、基準印影に対する比較印影のエラー率(ε)及び/または充填率(ρ)を演算する工程は、前記で説明したのと同様なのでそれに対する説明は省略する。
【0111】
次に、本発明の他の実施例による偽造印影検査方法を説明する。
【0112】
図20は、本発明による他の実施例で偽造印影検査方法の順序図である。原本印章から少なくとも一つ以上、好ましくは2個以上の準備印影の入力を受ける工程(ST−200)、前記入力を受ける工程で入力された準備印影を領域別に分離する工程(ST−210)、領域別に分離した少なくとも一つ以上の準備印影から捺印領域に対して整合して基準印影を生成する工程(ST−230)、偽造検査対象になる印影の入力を受けて領域別に分離して比較印影を生成する工程(ST−240)、前記基準印影と比較印影で捺印領域を整合させる工程(ST−290)、前記整合工程を通じた基準印影と比較印影の特性値を演算する工程(ST−300)を含むことを特徴とする。
【0113】
図20に示したように、他の実施例による偽造印影検査方法は、基準印影110と偽造検査対象になる比較印影の相異している程度を示したエラー率(ε)と比較印影の真偽を判断する時、印肉がついたり捺印強度が強い程度を示す充填率(ρ,Packing Rate)で、そして充填率(packing rate)をエラー率(ε)に反映して偽造有無を検査することで、偽造有無判断の正確性を高めることができることに主要技術的要旨がある。
【0114】
まず、比較印影の偽造有無を検査するために使用される基準印影は、図20に示したように一つ以上、好ましくは複数の準備印影を入力工程(ST−200)を通じて原本印章から多数の準備印影(110a、110b、110c;準備印影)の入力を受ける。原本印章を白紙に複数回捺印してこれをスキャンしたり撮影したりして複数の準備印影を準備することができる。ここで用意した準備印影を次では、領域別に分離する(ST−210)。領域別分離工程は、捺印領域、文字領域及び背景領域に区分して分離するが、準備印影は文字が記載されていない白紙に捺印して用意することができるので、文字領域が含まれず、捺印領域と背景領域に分離することができる。偽造有無を判断するための比較印影は、一般的に文字が記載された白紙に捺印され得るので、捺印領域、文字領域及び背景領域に分離する。もちろん比較印影も文字が記載されていない部分の白紙に捺印されたものであり得るので、文字領域が含まれないこともある。
【0115】
図21は、比較印影または基準印影の領域分離過程を示したものである。図は、比較印影の分離過程を示したものであるが、この過程と同じく準備印影も分離する。本発明では、入力映像(基準印影、比較印影)の領域分離のために、印肉色相が赤色(または赤い色、スタンプの場合は青色)という点に着眼して捺印領域部分を赤色成分で、文字領域を青色成分にして分離する。まず、赤色系列の捺印領域部分を分離するのに、ここで、臨界値(threshold value)の設定は、全域的ヒストグラムの統計的な方法を用いた Otsuのアルゴリズム(クラス間分散を用いた方法)を利用する。前記Otsuアルゴリズムは、ある数値で臨界点を設定するのが曖昧な時に、二つのヒストグラムから中間値を取って臨界点を比較的正確に設定するようにするためのもので、これは公知の技術なので詳細な説明は省略することにする。以後、また捺印領域部分を除外したヒストグラムでもう一度臨界値を与えて背景と文字を分離する。これを詳しく説明すると、図21の一番目のイメージで見ると、入力映像(比較印影)で印影捺印領域は赤色や青色であり得るので、背景領域や文字領域と比べた時、強度の差が大きい。ここで、明るさの値ヒストグラムで基準点(分布度が大きく差が出る地点)を設定して基準点以上の値を捺印領域とする。捺印領域の部分は、赤色(または青色)なので、ピクセル(pixel)の赤色強度値は大きくて緑色強度値は小さい。背景領域のピクセルは、一般的に白なので赤色強度と緑色強度で見る時ある値に近い値に該当する。したがって、背景領域のピクセル部分は、赤色、緑色強度値でみる時、0に近い値である。ゆえに、赤色と緑色の強度差がある値以上の値のピクセル部分を赤色(捺印領域)に処理して捺印領域だけ分離する。このような方法で文字領域も分離させる。本発明の好ましい実施例では、赤色成分と緑色成分間の強度差を用いて分離したが、赤色印肉だけではなく多様な印肉(例えば、スタンプ)の色相によって色相成分を異ならせて適用して前記過程を通じて分離することができることは、もちろんである。本発明では、赤色成分と緑色成分間の差を用いて多様な紙と印肉に対して安定的に捺印領域のみを分離することができた。
【0116】
次に前記工程(ST−210)を通じて分離した複数の準備印影で捺印領域のみを整合工程(ST−220)を経て基準印影を生成する(ST−230)。前記整合工程(ST−220)は、複数の準備印影から分離した捺印領域を整合し、これを通じて基準印影を生成する。これは、複数の各準備印影を回転角度及び変位を調節して捺印領域の重畳する部分が最も多い位置を捜した後、同一位置のピクセルの平均値を演算して基準印影を生成する。例えば、より詳細に説明すると、捺印領域が分離された2個の準備印影を重ねておいて、一方の準備印影を固定して、他の準備印影に縦横に変位を与えて捺印領域の重畳する部分が最も多い位置を捜した後、この位置で一方の準備印影を固定して他の準備印影を回転しながら捺印領域の重畳する部分が最も多い回転位置を捜すのである。そして、捺印領域の重畳する部分が最も多い位置で、2個の準備印影の各ピクセルの平均を求めて、平均値のピクセルからなる基準印影を生成するのである。実際に印肉がよく接着されたと判断された印影を選んで準備印影にして誤差を求めた結果、この印影にも印肉が十分に付着していない部分が存在し、中が空いている部分が多くて誤差がひどく発生した。印影を平均すると、このような誤差部分が消えて相応しい基準印影を生成することができる。
【0117】
したがって、複数の準備印影を平均化して基準印影を生成することになる。図4は、図3に示された準備印影から生成された基準印影を示した図で、前記過程を経て比較印影と対比して偽造有無を検査するための基準印影を生成する。言い換えれば、図3に示したように、多数の準備印影の入力を受けて整合した後、これらの平均値を通じて基準印影を生成する。
【0118】
比較印影準備工程(ST−240)は、偽造有無の検査対象になる印影を準備する工程であり、文書などに捺印された印影をスキャンするか撮影したりして比較印影を準備することができる。前述したように、用意した比較印影を同様に領域別に分離する。一般的に文書などに捺印された状態の比較印影映像を準備するため、該当の印影には、捺印領域、文字領域、背景領域の3種領域を含むことができる。ここで、比較印影を準備するために領域を分離する工程(ST−250)は、図21を参照して先に詳しく説明したので詳細な説明は省略することにする。
【0119】
前記工程を通じて領域別に分離した基準印影と比較印影を比べて偽造有無を検査する前には、間違いを相殺させるために比較印影が文字領域を有する場合、基準印影から捺印位置表示文字を除去する工程(ST−260)をさらに含む。捺印位置表示文字除去は、先で言及したように領域分離過程と同一な方法で除去する。基準印影と比較印影を整合した時、発生するエラー率だけで印影の真偽を判断すると間違いが発生し得る。これは、捺印の強さ及び印肉が付いた程度など捺印状態と捺印される位置を示す文字に該当する。例えば「(印)」上に捺印された場合などが考慮されず、性能的起伏が現れ得る。したがって、本発明では、比較領域において領域別に分離する工程で、印肉部分と重畳しない文字部分を抽出した後、これを除去した映像を比較印影にして文字による影響を相殺させた。
【0120】
最後に比較印影の偽造有無を検査するために、基準印影と比較印影を整合(registration)して特性値を演算する。図22は、基準印影と比較印影に対する捺印領域を図式的に示した図である。基準印影の捺印領域と比較印影の捺印領域を整合(registration)するためには、上記で説明したように整合することもできるが、下記のように移動(shift)及び回転(rotation)媒介変数を求めて整合することもできる。基準印影Aは、平均化した印影なので内部が満たされているが、比較印影Bは内部が空いている部分が存在し、A外部に存在する印肉が過大に付着したりして実際に他の部分に印肉が付いているB_outが存在する。
【0121】
数式4
【0122】
【数21】

【0123】
基準印影Aと比較印影B間の最適化された整合は、下記の数式5のように有効画素数(matching pixel count:MPC)値が最大になる移動及び回転媒介変数を求めることによってできる。
【0124】
数式5
【0125】
【数22】

【0126】
本発明では、回転は0.25度、x、y軸移動は1ピクセル程度移動しながら移動及び回転媒介変数を求めた。
【0127】
前記数式5を通じて基準印影と比較印影の有効画素数が最大になる最適化された整合を通じて特性値を演算することで、比較印影の偽造有無を検査する(ST−300)。ここで、前記特性値は、比較印影と基準印影の相異している程度を示したエラー率(Error Rate:ε)と、印肉がたくさん付いているとか捺印強度が強い程度を示す充填率(ρ、Packing Rate)に該当する。
【0128】
前記特性値を演算する工程(ST−300)で特性値を求める方法では、図25に示されように前記基準印影と比較印影との相異している程度を示すエラー率を演算する工程(ST−310)、印肉が付いたり捺印強度が強い程度を示す充填率(packing rate)を演算する工程(ST−320)を含み、ここで、前記エラー率に充填率を反映して前記基準印影と比較印影を比較する工程(ST−330)を含むことができる。
【0129】
エラー率は、比較印影と基準印影間の相異している程度を示したもので、比較印影の捺印領域面積n(B)と基準印影の捺印領域面積n(A)に対する基準印影の捺印領域から脱する比較印影の捺印領域面積n(Bout)の比で、前記の数式2のように表現することができる。図23に示されたように“A”字印影にいて基準印影の捺印領域面積はAに該当して、比較印影の捺印領域面積はBに該当し、基準印影から脱した比較印影の捺印領域面積はB_outで示している。これは、前記数式2と同一で、n(Bout)は比較印影の第2領域の面積に該当するようになる。比較印影のエラー率は、n(B)の代わりにn(A)やn(Bin)を代入して演算することもできる(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(Bin)は比較印影の捺印領域中で基準印影の捺印領域に属する部分の面積)。
【0130】
また、印肉がたくさん付いたり捺印強度が強い程度を示した充填率を定義して、これを反映したエラー率を真偽有無に使うことで、捺印によって変わるエラー率の補正をした。充填率は、比較印影内部に空いている部分がなく、満たされているかどうかを判断する公式で、前記の数式3のように表現される。数式3でn(A)は、基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域から脱した比較印影の捺印領域面積に該当する。これは、前記数式1と同一である。比較印影の充填率はn(B)の代りにn(A)やn(Bin)を代入して演算することもできる(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(Bin)は比較印影の捺印領域中で基準印影の捺印領域に属する部分の面積)。
【0131】
一方、前記基準印影と比較印影間の類似程度を示すエラー率は、充填率を反映することで下記の数式6のように表現することができる。
【0132】
数式6
【0133】
【数23】

【0134】
補正したエラー率(ε)でエラー率が小さいほど基準印影と同一性の高い印影になり、エラー率(ε)が大きいほど基準印影と同一性が低い印影に該当する。演算された充填率が0に近くなれば基準印影と同一性が低い印影であり、1に近くなれば基準印影と同一性の高い印影である。
【0135】
一方、図24は、不適合印影と適合印影の例を示した図で、基準印影と比較印影を整合して偽造有無を検査する前に、比較印影が検査可能な印影に該当するかどうかを検出する(ST−270)。不適合印影というのは、印肉が過度に付着した場合をいい、不適合有無判断工程(ST−280)で不適合と判定されれば、偽造印影検査が不可能になり、検査を進行しない。
【0136】
不適合有無の判断方法は、下記のとおりである。比較印影に印肉が過小に付着した場合は、充填率が低い場合に該当し、印肉が過度に付着した場合は捺印領域Bに対するB_outの個数が大きい場合であるが、これは入力印影が原本印影の場合にのみ該当することで、偽造印影の場合にはエラーによってBに対するB_outの個数が増え得るのでB_outが偽造によるエラーなのか印肉過多付着による部分なのか判断しなければならない。
【0137】
したがって、本発明では印肉過度付着による形態(B_out)は、任意の形態を有する一方、偽造印影のB_outはBの字画形態をある程度維持しているという特徴を用いてB_outが偽造によるエラーなのか印肉過多付着によるものであるのかどうかを区分しようとする。前記基準印影と比較印影を整合する工程(ST−290)は、全域的(globally)になされるものであるので印影映像を獲得する過程で現れ得る撮影による印影の遠近歪曲や模刻あるいはCAM偽造映像のように、印影の一部は一致するが全体的には一致しない場合が発生し得る。この場合、Bに対するB_outが最も大きい部分に局部的に整合すると、整合前に比べてBに対するB_outの個数が減る。また、モポロジー技法の中で拡張(Dilation)を用いてBに対するB_outが最も大きい部分に対して基準印影の大きさを特定画素程度確張して見ると、偽造によるエラーで発生するB_outの個数が相当に減る。したがって、Bに対するB_outが最も大きい部分に対する局部的拡張と合わせることを遂行して、Bに対するB_outが遂行前より減少幅が大きくない場合、印肉過多付着と判断する。
【0138】
したがって、前記非適合判定工程(ST−280)を通じて比較印影が不適合と判定されると、偽造検査が不可能であり、局部的拡張と合わせることを通じて印肉過渡付着が偽造によるものであるかどうかを判断することができる。
【0139】
図26は、実験に使用された4種の原本印章(印章1、印章2、印章3、印章4)を示した図である。また、図27ないし35は、本発明の発明者が本発明によって原本印章から準備印影と基準印影を生成して、原本印章から亜鉛板蝕刻、樹脂板蝕刻、コンピュータ模刻の方法で偽造した印章で捺印した印影を対比した実験グラフである。図27ないし図31のグラフで“■”は、原本印章を複数回捺印して用意した準備印影で生成した基準印影に対する各準備印影の充填率とエラー率の散布図であり、“●”は亜鉛板蝕刻偽造印章で捺印して用意した比較印影の基準印影に対する充填率とエラー率の散布図であり、“▲”は樹脂板蝕刻偽造印章で捺印して用意した比較印影の基準印影に対する充填率とエラー率の散布図であり、“▼”はコンピュータ模刻偽造印章で捺印して用意した比較印影の基準印影に対する充填率とエラー率の散布図である。
【0140】
図27ないし図29は、図26に示した原本印章とそれぞれ対応する亜鉛板蝕刻、樹脂板蝕刻、コンピュータ模刻の3グループの偽造印章と対比した原本印章と偽造偽装の充填率とエラー率の散布図である。縦軸をエラー率(ε)軸にして、横軸を充填率(ρ)軸にしたグラフである。準備印影の基準印影に対する充填率は、約0.9〜1.0の範囲で分布していて、エラー率は10%より小さく、充填率が低いほどエラー率も減少する傾向を示した。したがって、充填率が0でエラー率が0%である地点から、充填率が1でエラー率が0%より大きい地点に直線を延長する場合、比較印影が偽造印影なのかどうかを判断することができるベースラインが用意されることを確認した。より詳細には、充填率が0でエラー率が0%である地点から充填率が1でエラー率が10%である地点に直線を延長してベースラインにする場合、前記ベースラインより上に位置するか前記ベースラインより下に位置するかによって、比較印影が偽造印影なのかどうかを判断する客観的根拠を提示することができることが分かる。図示しなかったが、横軸をエラー軸にして縦軸を充填率軸にしたグラフで前記のようにベースラインを設定した後、比較印影の特性値がベースラインより左側に位置する場合には、偽造されていない原本印影で、右側に位置する場合には、偽造印影と判断することができる。図28及び図29も前記説明と同様に該当する。
【0141】
一方、本発明による他の実施例で比較印影の真偽を判断する方法を提案する。
【0142】
図30及び図31は、図26の4種原本印章(基準印影)と偽造印影(比較印影)の充填率−エラー率散布図で、横軸は充填率で補正したエラー率にしたものである。実験した個別印章の充填率−エラー率散布図をすべて合わせたもので、印影の充填率−エラー率散布図だけで任意の印影に対する真偽を区分することができるが、個別印章に関係ない印影の固定的な基準は、印影の印画形態の複雑度によってエラー率が変わり得るという特徴を用いて印画の間の幅が狭ければ印章溝に印肉が付いてエラー率が高くなり得、印画が操作される時、鋭利さが落ちてデコボコした場合にエラー率が高くなり得る。したがって、基準印影の印画形態の複雑度を考慮した下記の数式7のように標準化(normalization)して印影の種類に無関係な判断基準を作ることができる。
数式7
【0143】
【数24】

【0144】
ここで、ls、n(A)s、l、n(B)、cは、それぞれ基準印影捺印領域の外郭線の長さ、基準印影捺印領域の面積、比較印影捺印領域の外郭線の長さ、比較印影捺印領域の面積、そして複雑度常数(例えば、1.4)である。
【0145】
図32ないし図35は、図26の4種原本印影で捺印した複数の準備印影のエラー率/充填率が正規分布を成しているかどうか、有意水準5%でカイ二乗検定を経て正規分布曲線を示したものである。原本印章に対して多数の準備印影を作ってエラー率/充填率の平均と標準偏差で、正規分布上に比較印影がどこに位置するかを確認して偽造有無を判断することができる。
【0146】
この過程に対して言及すると、まず、原本印章を多数回捺印して、多数回捺印された準備印影に対するエラー率(ε)/充填率(ρ)の平均値と標準偏差を用いて正規分布曲線を描いた後、比較印影の補正したエラー率の値がどこに位置するか判断する。準備印影のエラー率(ε)を数式2のように演算して、充填率(ρ)を数式1のように演算する。この場合、数式1及び2でn(A)は基準印影の捺印領域の面積、n(B)は準備印影の捺印領域の面積、n(Bout)は準備印影の捺印領域中で基準印影の捺印領域に含まれない部分の面積を示す。そして数式6のようにエラー率(ε)を充填率(ρ)で補正して補正したエラー率(ε)を演算して、補正したエラー率(ε)の平均値と標準偏差を用いて準備印影の正規分布曲線を用意する。同様に比較印影に対しても補正したエラー率(ε)を演算する。
【0147】
図32は、比較印影を基準印影に対するエラー率/充填率で計算した後、度数分布を示した結果、多数の亜鉛板偽造印影の中で一つの比較印影だけが99%原本印影部分に含まれ、99%内に他の偽造印影は含まれなかった。図33ないし図35で、図26に印章2ないし印章4に対するエラー率/充填率を計算して度数分布で示した結果、ほとんどすべての偽造印影が99%内に含まれないことが分かる。
【0148】
前述したように、本発明の偽造印影検査方法は、プログラムに具現してコンピュータのソフトウェアを用いて読み取れる形態で記録媒体(CD、RAM、ROM、メモリーカード、ハードディスク、光磁気ディスクなど)に保存することができる。
【0149】
このように構成される本発明は、文書などに捺印されている比較印影が原本印章に捺印されたものかどうかを判断する客観的な資料を提供することができる利点がある。
【0150】
以上、本発明の原理を例示するための好ましい実施例と関連して説明して示したが、本発明は、それと共に図示して説明したとおりの構成及び作用に限定されるのではない。むしろ、添付された請求範囲の思想及び範疇を逸脱することなしに本発明に対する多数の変更及び修正が可能であることを当業者はよく理解することができるだろう。したがって、そのようなすべての適切な変更及び修正と均等物も本発明の範囲に属するものと見なされなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原本印章から基準印影を生成(ST−110)し、原本印章から対比印影を生成(ST−120)する生成工程(ST−101)と、前記生成工程(ST−101)で生成された基準印影と対比印影を対比して基準印影に対する対比印影の特性値を演算(ST−130)し、基準印影と比較印影を対比して基準印影に対する比較印影の特性値を演算(ST−140)する演算工程(ST−121)、および前記演算工程(ST−121)で基準印影と対比印影を対比して得た特性値と基準印影と比較印影を対比して得た特性値を比較する工程(ST−150)とを含み構成されることを特徴とする偽造印影検査方法。
【請求項2】
前記演算工程(ST−121)で基準印影と対比印影の位置と角度を合わせて(ST−131)基準印影に対する対比印影の特性値を演算(ST−130)し、基準印影と比較印影の位置と角度を合わせて(ST−141)基準印影に対する比較印影の特性値を演算(ST−140)することを特徴とする、請求項1に記載の偽造印影検査方法。
【請求項3】
前記特性値が、基準印影に対比して演算する充填率であり、前記基準印影の充填率の演算式は、
【数1】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域面積)で、前記比較印影の充填率の演算式は、
【数2】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の偽造印影検査方法。
【請求項4】
前記特性値が、基準印影に対比して演算するエラー率であり、前記対比印影のエラー率の演算式は、
【数3】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域面積)で、
前記比較印影のエラー率の演算式は、
【数4】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の偽造印影検査方法。
【請求項5】
前記特性値が、基準印影に対比して演算する充填率とエラー率であり、前記対比印影の充填率の演算式は、
【数5】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は対比印影の捺印領域の面積、n(Bout)は対比印影の第2領域の面積)で、前記比較印影の充填率の演算式は、
【数6】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域の面積、n(out)は比較印影の第2領域の面積)で、前記対比印影のエラー率の演算式は、
【数7】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない対比印影の捺印領域の面積、n(B)は対比印影の捺印領域の面積)で、前記比較印影のエラー率の演算式は、
【数8】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域の面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の偽造印影検査方法。
【請求項6】
原本印章から複数の準備印影の入力を受ける工程(ST−200)と、前記入力を受ける工程で入力された準備印影を領域別に分離して(ST−210)、複数の準備印影で捺印領域に対して整合して基準印影を生成する工程(ST−230)と、偽造検査対象になる比較印影の入力を受けて領域別に分離する工程(ST−240)と、前記基準印影と比較印影で捺印領域を整合させる工程(ST−290)、および前記整合工程後に基準印影に対する比較印影の特性値を演算する工程(ST−300)とを含むことを特徴とする偽造印影検査方法。
【請求項7】
前記基準印影と比較印影を整合する工程が、有効画素数(matching pixel count)値が最大になる移動及び回転媒介変数を求める過程であり、前記媒介変数が、下記の数式によって算出されることを特徴とする、請求項6に記載の偽造印影検査方法。
【数9】

【請求項8】
前記基準印影と比較印影を整合する工程が、捺印領域の重畳を演算して基準印影と対比印影の位置と角度を合わせる工程であることを特徴とする、請求項6に記載の偽造印影検査方法。
【請求項9】
前記特性値が、基準印影に対比して演算する充填率であり、前記比較印影の充填率の演算式は、
【数10】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項6に記載の偽造印影検査方法。
【請求項10】
前記特性値が、基準印影に対比して演算するエラー率であり、前記比較印影のエラー率の演算式は、
【数11】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項6に記載の偽造印影検査方法。
【請求項11】
前記特性値が、基準印影に対比して演算する充填率とエラー率であり、
前記比較印影の充填率の演算式は、
【数12】


(ここで、n(A)は基準印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積)で、
前記比較印影のエラー率の演算式は、
【数13】


(ここで、n(Bout)は基準印影の捺印領域に属さない比較印影の捺印領域面積、n(B)は比較印影の捺印領域面積)であることを特徴とする、請求項6に記載の偽造印影検査方法。
【請求項12】
前記エラー率が、エラー率に充填率を反映して、充填率が反映されたエラー率は演算式は、
【数14】


であることを特徴とする、請求項11に記載の偽造印影検査方法。
【請求項13】
原本印章から複数の準備印影の入力を受けて領域別に分離する機能と、領域別に分離した少なくとも一つ以上の準備印影で捺印領域を整合させてそれに該当するピクセルの平均値を計算して基準印影を生成する機能と、偽造検査対象になる比較印影の入力を受けて領域別に分離する機能、および前記基準印影と比較印影を比較して前記基準印影と比較印影との相異している程度を示すエラー率を演算して、印肉が付いたり捺印強度が強い程度を示す充填率を演算する特性値を演算して前記比較印影が偽造印影なのかどうかを検査する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取れる記録媒体。
【請求項14】
前記エラー率が、前記基準印影の面積n(A)に対する基準印影から逸脱した比較印影の捺印領域の面積をn(Bout)と、比較印影の捺印領域面積をn(B)とする時、数式
【数15】


を通じて演算され、
前記充填率は、数式
【数16】


を通じて演算されることを特徴とする、請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取れる記録媒体。
【請求項15】
基準印影に対する複数の準備印影の補正したエラー率(ε)であるエラー率(ε)/充填率(ρ)の平均値と標準偏差を演算して正規分布曲線を用意する工程と、基準印影に対する比較印影の補正したエラー率(ε)であるエラー率(ε)/充填率(ρ)を演算した後、準備印影の正規分布曲線に示す工程を含むことを特徴とする偽造印影検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−198347(P2011−198347A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258940(P2010−258940)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(510307255)リパブリック オブ コリア(ナショナル インスティチュート オブ サイエンティフィック インヴェスティゲーション ディレクター ミニストリ オブ パブリック アドミニストレーション アンド セキュリテ (1)
【Fターム(参考)】