偽造防止媒体及びその真贋判定方法並びに偽造防止媒体の製造方法
【課題】偏光潜像を利用した偽造防止媒体ではあるが、より偽造が困難で、且つ偽造された媒体であるか否かの判別が視覚的に容易な偽造防止媒体を提供することを目的とした。
【解決手段】基材11上に、反射層12、表面が凹凸状態を呈する形成層13、液晶を配向させる配向制御部16、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層14、保護層15がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体であって、前記配向制御部16が、複数の配向方向を有する偽造防止媒体である。
【解決手段】基材11上に、反射層12、表面が凹凸状態を呈する形成層13、液晶を配向させる配向制御部16、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層14、保護層15がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体であって、前記配向制御部16が、複数の配向方向を有する偽造防止媒体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルタを用いることによって隠し文字や隠しパターン等の潜像を顕在化させる偽造防止媒体の構成および偽造防止媒体の真贋を判定する真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行券、商品券、パスポートなどの有価証券や認証媒体は、偽造防止対策として偽造の困難な何らかの媒体(以下、偽造防止媒体と記す)を貼付することでなされてきた。そこでは、偽造防止媒体の有無あるいは目視又は検証器を用いた偽造防止媒体自体の真贋判定により認証媒体の真贋判定を行っている。
【0003】
しかし、単なる目視により真贋判定が行える偽造防止媒体は偽造がされやすい。そこで、近年、より偽造が困難な、偏光光だけで見えるような潜像を予め媒体中に形成し、偏光板と組み合わせて該潜像を顕現する技術が偽造防止技術として開示されている。これは単純な平板偏光板を媒体に重ねることによりモノトーンの潜像を出現させるもので、潜像が見えるか見えないかで真贋判定を行っている(特許文献1参照)。
【0004】
以下に、上記先行発明特許を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−183832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の偏光潜像を利用した偽造防止媒体は、モノトーンであるため検証時に視覚に訴える力が弱く、一瞥して偽造とは判別できないという問題がある。また、困難であるにせよ必ずしも模倣・偽造ができないというものではない。
そこで本発明は、偏光潜像を利用した偽造防止媒体ではあるが、より偽造が困難で、且つ偽造された媒体であるか否かの判別が視覚的に容易な偽造防止媒体を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材上に、反射層、表面が凹凸状態を呈する形成層、液晶を配向させる配向制御部、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層、保護層がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体としたものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記配向制御部が、複数の配向方向を有することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記配向制御部が、凹凸状態を呈する形成層の表面に形成した複数の溝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記配向制御部が、形成層の表面に該形成層とは異質の材料で形成した配向膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防
止媒体としたものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、前記基材の裏面に粘着層を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、前記形成層の凹凸状態と形成層表面の複数の溝を同時に形成することを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体の製造方法としたものである。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、偽造防止媒体に対し、偏光板を介して偽造防止媒体を観察し、所定の着色した潜像が顕現するか否かによって前記偽造防止媒体の真贋を判定することを特徴とする偽造防止媒体の真贋判定方法としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明になる偽造防止媒体は、偏光板を重ねた場合に見える偏光潜像画像が多色に着色しており、偏光板を回転させると異なる着色画像が観察できるという特殊な視覚効果を有している。可視化された変化する着色画像は、モノカラー表示に比べ視覚に対する訴求力が強く、容易に判別可能なので高い偽造判別力を発揮するという効果がある。
【0015】
また、偏光潜像を着色させるためには、液晶を収容する狭い空間を複数確保して、壁面に配向性を付与するという高度な加工技術が必要であり、液晶を取り囲むこのような環境を模倣して、真正品と同じ視覚効果を発現させることはモノトーンタイプを模倣するのと比較すると極めて困難である。
【0016】
また、裏面に粘着層を備える構成の偽造防止媒体は、容易に紙等の被貼付媒体に装着できる。
【0017】
また、液晶の厚さを変える巨視的な凹凸と液晶の配向を制御する微細な溝とを同時に形成すれば、工程が合理化され低コストで上記特徴を有する偽造防止媒体を製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態の係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視図である。
【図2】図1に示す偽造防止媒体のA−A線に沿った断面視図である。
【図3】図1に示す偽造防止媒体の形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。
【図4】図3により得られた形成層を概略的に示す模式図である。
【図5】(A)、(B)図1の構成の偽造防止媒体を用いて偏光板を介して観察する場合の種々の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の第二実施形態の係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視図である。
【図7】図6に示す偽造防止媒体のB−B線に沿った断面視図である。
【図8】図6に示す偽造防止媒体の形成層および配向制御層を概略的に示す模式図である。
【図9】図6に示す偽造防止媒体の形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。
【図10】図9により得られた形成層を概略的に示す模式図である。
【図11】(A)、(B)図6の構成の偽造防止媒体を用いて偏光板を介して観察する場合の種々の実施形態を示す模式図である。
【図12】本発明の転写箔の層構成の一例を示す断面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一又は類
似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
(第一の構成)
図1は、本発明になる偽造防止媒体の第一の構成を概略的に示す平面視図である。
図2は、図1に示す偽造防止媒体10のA−A線に沿った断面視図である。
【0021】
この偽造防止媒体10は、基材11と反射層12と形成層13と液晶層14と保護層15を含んでいる。偽造防止媒体10の前面は、基材11から見て保護層15側の面である。
【0022】
(基材)
基材11は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材11は光透過性を有していてもよく、有していなくてもよい。また、基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。更に、基材11に対して、偏光潜像の画像認識に影響を及ぼさない程度で、全面もしくは部分的に帯電防止処理やマット加工、エンボス処理等の加工をしても良い。基材11は、反射層12が自己支持性があれば省略することができる。
【0023】
(反射層)
反射層12は、基材11の前面側の全体を被覆している。反射層12は、基材11の前面の一部のみを被覆していてもよい。或いは、反射層12は、基材11の背面を少なくとも部分的に被覆していてもよい。この場合、基材11は、反射層12に対応した位置の少なくとも一部で光透過性とする。そして、この場合、典型的には、基材11として、反射層12に対応した位置の少なくとも一部で透明なものを使用する。
【0024】
反射層12は、光散乱性を有していてもよく、光散乱性を有していなくてもよい。また、反射層12は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0025】
反射層の設け方としては、光反射効果の有するインキ等を公知の印刷方法により設けてもよいし、金属を反射層として蒸着もしくはスパッタリングのような方法で設けてもよい。反射層に使用する金属は、例えばAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、インコネル、ステンレス、ジュラルミンなどの金属を挙げられる。また、印刷法により、光反射効果を有するインキ層を基材上に全面あるいはパターン状で設けた転写箔を作製するか、もしくは金属反射層を備えた転写箔を作製するかして、本発明に使用する基材11に転写を行うことで反射層を設けてもよいし、金属箔や金属層を有するフィルムをラミネートして反射層を設けてもよい。
【0026】
金属反射層をパターン化する場合、基材全面に金属反射層を形成した後にエッチング加工、レーザー加工、水洗シーライト加工等の公知の方法でパターン化してもよいし、前記公知の方法にてパターン化した金属反射層を転写もしくはラミネートしてもよい。また、平坦な金属反射層の代わりに回折構造を有する回折構造形成層設けてもよい。回折構造を形成することにより、装飾効果および偽造防止効果が向上する。
【0027】
また、本発明では、反射層上にOVD層を設けることができる。OVD層としてはホログラム、回折格子などの光学層があげられる。ホログラムとしては、光の干渉を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型、体積方向に干渉縞を記録する体積型などがあり、中でも量産性やコストの点からレリーフホログラムを好適に用いることができる。
【0028】
(形成層)
形成層13は、液晶層の配向および液晶層の膜厚を制御するための層であるが、図3は形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。エンボス原版41は1つの面内に膜厚制御領域2A、2B、2C、等を有している。この膜厚制御領域2A、2B、2Cはそれぞれ深さが異なる。また、配向制御のための溝16を有している。配向制御のための溝16が形成されている領域を配向制御領域21、配向制御領域22、等とする。配向制御領域21と配向制御領域22は、形成された溝16の方向が異なるようにすることができる。
【0029】
形成層13は、例えば、熱可塑性樹脂層であって、複数の厚さを持つ凸部が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、形成層13は、例えば、紫外線硬化樹脂であり、これに原版を押し当てながら樹脂基材裏面側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、原版を取り除く方法により形成することも可能である。
【0030】
尚、配向制御のための溝16を有している原版を使用することにより、以上の方法で、形成層13に液晶層の厚さを制御するための凹凸状態と配向制御用の溝16とを同時に一括して形成することができる。また溝のない部位を形成しても構わない。
【0031】
図4は膜厚制御領域2A、2B、2Cおよび、配向制御領域21、22が形成された形成層13を概略的に示す模式図である。この膜厚制御領域2A、2B、2Cはそれぞれ深さが異なる。また、配向制御領域21と配向制御領域22は、液晶を配向させる方向が異なっている。
【0032】
これらの方法によれば、形成層13の一方の側に、膜厚制御のための凹凸の深さと幅が異なる複数の領域が、配向制御のための延長方向の異なる溝16を有するように加工ができる。
【0033】
ここで、配向制御領域21、22の各々に採用可能な構造について詳しく説明する。配向制御領域21、22の各々には、例えば、複数の溝16を幅方向に等間隔で平行に並べた構造を採用することができる。
【0034】
これら溝16は、互いに平行であるのが望ましいが厳密な意味で平行でなくてもよい。但し、これら溝16が平行に近いほど、液晶が配向しやすくその方向に光軸が揃い易くなる。これら溝が為す角度は、例えば5°以下とし、典型的には3°以下が望ましい。
【0035】
配向制御領域21、22の各々において、これら溝16は、縦横に並べてもよい。また、溝の長さは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。また、長さ方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。更に、幅方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。例えば、配向制御領域21、22の各々には、互いに長さが等しい溝16を縦横に並べてもよい。或いは、配向制御領域21、22の各々には、様々な長さの溝16をランダムに並べてもよい。
【0036】
これら配向制御のための溝の深さは、例えば、0.05μmから0.5μmの範囲とする。また、溝の長さは、例えば、0.5μm以上とする。このとき、溝の深さは液晶層の厚さより十分に浅くすることが好ましい。溝のピッチは、例えば0.1μm以上であり、典型的には0.75μm以上である。液晶を高い秩序度で配向させるには、溝のピッチは小さいことが有利である。また、液晶膜厚は、例えば10μm以下であり、典型的には2μmから6μmである。
【0037】
(液晶層)
液晶層14は、液晶材料を固化してなる。典型的には、液晶層14は、流動性を有する重
合性液晶材料を紫外線又は熱により硬化させてなる高分子複屈折性層である。
【0038】
図2に示すように、液晶層14は、配向状態が異なる複数の液晶部分141、142および液晶の膜厚が異なる複数の液晶部位14A、14B、14Cを含んでいる。配向状態が異なる複数の液晶部分141、142は配向制御領域21、22にそれぞれ対応する。また、膜厚が異なる複数の液晶部位14A、14B、14Cは膜厚制御領域2A、2B、2Cにそれぞれ対応する。
【0039】
(保護層)
保護層15は、液晶層14の前面を被覆している。保護層15は、光透過性を有している光透過層であり、典型的には透明であるが、無色透明であってもよく、有色透明であってもよく、少なくとも、光学的に等方性である必要がある。
【0040】
保護層15は、液晶層14などの損傷や光劣化を生じ難くして、偽造防止媒体10が表示する像の劣化を抑制する保護層としての役割を果たす。保護層15は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0041】
保護層15は、例えば樹脂からなる。保護層15の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線若しくは電子線硬化樹脂を、単独で又は組み合わせて使用することができる。保護層15は省略することができる。
【0042】
(第二の構成)
次に、本発明の第二の構成について説明する。
図6は、本発明の第二の構成に係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視の図である。
図7は、図6に示す偽造防止媒体のB―B線に沿った断面視の図である。
【0043】
この偽造防止媒体30は、以下の構成を採用したこと以外は、図1から図4を参照しながら説明した偽造防止媒体10と同様の構成を有している。即ち、この偽造防止媒体30では、図1の液晶13の配向を制御する領域21、22の表面の処理方法が異なっているだけであり、以下この部分を配向制御層31、32と称する。
【0044】
(配向制御層)
配向制御層は液晶を配向させるために用い、配向制御層を形成する方法としては、公知の技術を用いることができ、例えばラビングや真空斜方蒸着により配向処理を行う方法や、直線偏光や斜め非偏光照射による光反応を用いる光配向膜を使って配向させる方法等を採用できる。この場合、溝を組成する形成層材料とは異なる異質な材料が形成層の上に存在することになる。
【0045】
図8は配向制御層の配向方向を示しており、配向制御層31、32はそれぞれストライプの伸びる方向に液晶の配向を制御する効果を有している。図8の左右で概ね45度配向方向が異なっている。
【0046】
図9は形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。エンボス原版42は1つの面内に液晶の膜厚を制御する深さ2A、2B、2Cの段差(凹凸)を有しているが、段差表面に配向制御用の溝は形成されていないものである。図9の下段の図は、基材11の前面側に反射層12、形成層13が積層され、更に前記の配向制御層31,32がその上に形成されたものである。この積層物に対し、エンボス原版42を使用して、位置合わせの上エンボス加工を施す。
【0047】
図10は膜厚制御のための深さ2A、2B、2Cの凹凸部、および配向制御層31、32を有する形成層を概略的に示す模式図である。上記の方法によれば、1つの面内に液晶13の膜厚制御のための深さ、幅が異なる複数の領域を形成することができる。また、これらの方法によると、前記領域に、複数の所定の液晶配向性を付与することもできる。配向制御能を有さない配向制御層とすることもできる。この場合、液晶は当該部位で無配向の光学的等方層となる。
【0048】
(第一の観察形態)
次に、本発明の偽造防止媒体10を用いて偏光潜像を観測する形態と、該偽造防止媒体10を備える物品が真正品であることを検証するための真贋判定方法を説明する。
【0049】
図1は偽造防止媒体10を概略的に示す平面視図である。偏光板50をかざさずに目視で観察したとき、点線で示される潜像表示領域は他の領域と区別することができず、どの領域も同じに見える。
【0050】
図5(A)、(B)は本発明の偽造防止媒体10に偏光板50をかざして観察したときの偏光潜像を示す一例である。矢印は偏光板10の光軸方向を示している。
【0051】
図5(A)では表示部101、102は、偏光板の光軸と液晶からなる位相差層の光軸の角度が平行なため、偏光板10を介した偏光は透過でき、それぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。また、表示部201、202については、偏光板の光軸と液晶層の光軸の角度が45°で交わるため、偏光板50を介した偏光が位相差層により90°回転されることにより遮光され、暗く表示される。また表示部301においては液晶部位が存在しないため変化が起こらない。
【0052】
図5(B)は、図5(A)の状態から偏光板を45°回転させたときの偽造防止媒体10の見え方を示す平面視図である。これらも前記と同様の原理で表示部101、102は暗く、表示部201、202はそれぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。
【0053】
このようにして、偏光板50を介して偽造防止媒体10を観測し、その偏光潜像が所定の着色状態を有する潜像パターンであることを確認することにより、偽造防止媒体10が正規のものであることが確認できる。同じ偏光潜像を示す偽造防止媒体であれば、その媒体を備える物品が真正品であることの真贋判定ができる。
【0054】
(第二の観察形態)
偽造防止媒体30においても偽造防止媒体10と同じ効果が得られ、この偽造防止媒体を備える物品が真正品であることの真贋判定ができる。
【0055】
ここで、表示部101、表示部201、表示部102、表示部202それぞれが異なる色に見える理由について、数式を参照しながら説明する。
【0056】
液晶層のリターデイションReは、下記等式(1)に示すように、液晶層の膜厚dとその複屈折性Δnとに依存する。
【0057】
Re=Δn×d ・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、Δn=ne−noであって、ne、noは、それぞれ異常光、常光に対する屈折率である。
【0058】
一対の直線偏光フィルムを、それらの透過軸が平行または直交するように向かい合わせ
、それらの間に液晶層をその光学軸が直線偏光フィルムの一方の透過軸に対して角度θを為すように介在させる。一方の直線偏光フィルムをその法線方向から波長λの光で照明した場合、液晶層に入射する光の強度をI0とし、他方の直線偏光フィルムを透過する光の強度をIとすると、強度Iは、下記等式(2)で表すことができる。
【0059】
I=I0×sin2(2θ)×sin2(Re×π/λ)・・・・(2)
式(2)から明らかなように、透過光の強度Iが最大値を示す波長λは、リターデイションReに依存している。そして、式(1)に示すように、リターデイションReは、液晶層の膜厚dとその複屈折性Δnとに依存している。即ち、透過光の強度Iが最大値を示す波長λは、液晶層の膜厚dに依存する。それゆえ、透過光のスペクトルは、入射光のスペクトルとは異なるプロファイルを有することとなる。
【0060】
このように、液晶層を一対の直線偏光フィルムで挟むと、入射光とはスペクトルのプロファイルが異なる透過光を得ることができる。これと同様に、液晶層を直線偏光フィルムと反射層とで挟んだ場合も、液晶層を一対の直線偏光フィルムで挟むのと同じことになり、入射光とはスペクトルのプロファイルの異なる反射光を得ることができる。従って、表示部101、201、102、202のそれぞれでは厚みと配向方向が相違するので異なる色に見える。
【0061】
基材11上または/もしくは反射層12、液晶層14、保護層15には情報表示層を設けても良い。また、このとき偏光潜像を隠さないように注意する。
【0062】
情報表示層は、文字や数字による個体識別情報等の情報を、ラベルへ保持させる為の層であり、その材料や形成方法については、公知の手法が適宜用いられる。例えば、グラビア印刷法やスクリーン印刷法等による各種インクの印刷、真空蒸着法等による金属薄膜の形成等の手法が可能である。
【0063】
本発明の偽造防止媒体の背面、例えば基材11の裏面(背面)に、粘着剤又は接着剤による接着加工を施して偽造防止ラベルを形成することができる。すなわち、偽造防止媒体を用いて、偽造防止ラベルを形成してもよい。
【0064】
本発明の偽造防止媒体は、様々な方法で印刷物に適用できる。例えば、前記偽造防止ラベルを紙などを用いた印刷物に貼り付けた印刷物としてもよい。
【0065】
この場合、基材11に切り込み又はミシン目を設けておいてもよい。これにより、ラベルを剥がそうとしたときに、基材11が切り込みから破れるような構造を採用することができる。破れやすくしておくと貼変えて再使用することが困難になる。もちろん、本発明の偽造防止媒体は、印刷物以外の物品に貼り付けて用いることもできる。
【0066】
本発明の偽造防止媒体において、剥離可能な支持基材と接着層とを含むことで、転写箔を形成することもできる。また、この転写箔を物品に取り付けて用いてもよい。
【0067】
また、転写箔の場合、反射層12を液晶層14の上または保護層15の上に設置する必要がある。
【0068】
図12は、本発明の偽造防止媒体を用いた転写箔の一例を模式的に示す断面視図である。
転写箔60は、基材61上に、剥離層62、偽造防止媒体、および接着層63が順次積層されている。この偽造防止媒体には、前記第一および第二の構成で示した偽造防止媒体を用いることができる。また剥離層62は、紫外線を吸収しないものが望ましい。
【0069】
偽造防止媒体の前面は、基材61と向き合っている。偽造防止媒体は、図2から図7などを参照しながら説明した基材11を含んでいなくてもよい。
【0070】
偽造防止媒体を前記印刷物に適用する場合、スレッド(ストリップ、フィラメント、糸状物、安全帯片などとも称される)と呼ばれる形態により、前記偽造防止媒体を紙にすき込んでもよい。
【0071】
前記偽造防止ラベル、あるいは印刷物において粘着剤を用いる場合、粘着剤の材料としては、一般的な材料を用いることができる。
【0072】
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系などの粘着剤を単独で用いることができる。またはこれらの粘着剤にアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したものを用いることができる。
【0073】
粘着層の形成方法には、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法を用いることができる。
【0074】
さらに、前記粘着剤を予めセパレーターに形成したものを準備しておき、偽造防止媒体へセパレーターを剥がして貼り合わせてもよい。
【0075】
また、粘着加工を施した偽造防止媒体の取り扱いを容易にするため、離型処理を行った離型紙や離型フィルムを粘着層の上に設置してもよい。
【0076】
本発明の偽造防止媒体は、偽造や複製に対する手段としての媒体に使用されるだけでなく、例えば、光学および配向性機能を果たす電気光学的な液晶セルとして利用してもよい。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の偽造防止媒体の具体的な実施例について、図2から図9を用いて説明する。
【0078】
離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、反射層12として、真空蒸着法を用いて膜厚50nmのアルミニウム薄膜層を全面に設けた。
【0079】
次に、反射層12の上に、ウレタン樹脂をマイクログラビアによって、塗布厚8μm、乾燥温度110℃で形成層13を形成した。
【0080】
次に、バーコーター法を用いて、全面に配向膜用インキの溶液を塗布した。塗布した配向膜用インキの組成を以下に示す。
・ポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−117 クラレ(株)製)10重量%
・溶剤(水) 90重量%
この塗膜は、乾燥膜厚が2μmとなるように形成した。
【0081】
次いで、ラビング布(FINE PUFF YA−20−R 吉川化工(株)製)を用
いて、この塗膜を一方をカバーしつつ他方をラビングする処理を2回行った。これにより、図8に示すような異なる配向方向を有する二つの配向制御領域を得た。
【0082】
次に、図9の上段に模式的に示すような段差(凹凸部)を有するエンボス原版を用意した。また、凹凸部2A、2B、2Cの深さはそれぞれ3μm、4μm、5μmとした。
【0083】
次に、エンボス版を用いて形成層に対して220℃、10kgf/cm2の圧力で熱エンボスをおこない、形成層に図4に示すようナ膜厚制御のための凹凸領域を転写形成した。
【0084】
その後、大日本インキ化学工業製のUVキュアラブル液晶UCL−008を、マイクログラビアにて形成層13の上に塗工した後、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた。液晶層14は、形成層13の深さの異なる凹凸領域を埋設するように形成した。形成層13を薄く被覆するように形成しても構わない。
【0085】
次に、保護層15としてアクリル樹脂をマイクログラビアによって、塗布厚1μm、乾燥温度100℃で形成した。
【0086】
次に、偏光板50を用いた偽造防止媒体10を観察して所望の画像が発現するか調べた。
【0087】
図5(A)は作成した偽造防止媒体10を偏光板50を介して観察した一例を示す平面視図である。表示部101、102は、偏光板の光軸と位相差層の光軸の角度が平行なため、偏光板10を介した偏光は透過でき、それぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。また、表示部201、202については、偏光板の光軸と液晶層の光軸の角度が45°で交わるため、偏光板50を介した偏光が位相差層により90°回転されることにより遮光され、暗く表示される。また領域301においては液晶部位が存在しないため変化が起こらない。
【0088】
次に、図5(B)は図5(A)から偏光板を45°回転させたときの偽造防止媒体10を観察した一例を示す平面視図である。これらも前記と同様の原理で表示部101、102は暗く、表示部201、202はそれぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示された。
【0089】
このようにして偏光板を介しながら、偏光板の角度を変えることで、偏光潜像の明暗が反転するか否かで真贋判定を行うことができる。所望の画像が顕現しない偽造防止媒体は、偽造品と判断される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の偽造防止媒体および偽造防止ラベル、印刷物、転写箔は、銀行券、商品券、パスポートなどの有価証券や各種認証媒体において、偽造防止対策として前記の物品に用いることができる。また本発明の偽造防止媒体の真贋判定方法によって、前記のような物品の真贋判定が可能になる。
【符号の説明】
【0091】
10、30・・・偽造防止媒体
11、61・・・基材
12・・・反射層
13・・・形成層
14・・・液晶層
14A、14B、14C・・・膜厚の異なる液晶部位
141、142、143、144・・・配向の異なる液晶部位
15・・・保護層
16・・・溝
2A、2B、2C・・・膜厚制御領域
21、22・・・配向制御層
31、32・・・配向制御領域
41、42・・・エンボス原版
50・・・偏光板
62・・・剥離層
63・・・接着層
101、102、201、202、301・・・表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルタを用いることによって隠し文字や隠しパターン等の潜像を顕在化させる偽造防止媒体の構成および偽造防止媒体の真贋を判定する真偽判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行券、商品券、パスポートなどの有価証券や認証媒体は、偽造防止対策として偽造の困難な何らかの媒体(以下、偽造防止媒体と記す)を貼付することでなされてきた。そこでは、偽造防止媒体の有無あるいは目視又は検証器を用いた偽造防止媒体自体の真贋判定により認証媒体の真贋判定を行っている。
【0003】
しかし、単なる目視により真贋判定が行える偽造防止媒体は偽造がされやすい。そこで、近年、より偽造が困難な、偏光光だけで見えるような潜像を予め媒体中に形成し、偏光板と組み合わせて該潜像を顕現する技術が偽造防止技術として開示されている。これは単純な平板偏光板を媒体に重ねることによりモノトーンの潜像を出現させるもので、潜像が見えるか見えないかで真贋判定を行っている(特許文献1参照)。
【0004】
以下に、上記先行発明特許を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−183832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の偏光潜像を利用した偽造防止媒体は、モノトーンであるため検証時に視覚に訴える力が弱く、一瞥して偽造とは判別できないという問題がある。また、困難であるにせよ必ずしも模倣・偽造ができないというものではない。
そこで本発明は、偏光潜像を利用した偽造防止媒体ではあるが、より偽造が困難で、且つ偽造された媒体であるか否かの判別が視覚的に容易な偽造防止媒体を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材上に、反射層、表面が凹凸状態を呈する形成層、液晶を配向させる配向制御部、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層、保護層がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体としたものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記配向制御部が、複数の配向方向を有することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記配向制御部が、凹凸状態を呈する形成層の表面に形成した複数の溝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記配向制御部が、形成層の表面に該形成層とは異質の材料で形成した配向膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防
止媒体としたものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、前記基材の裏面に粘着層を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体としたものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、前記形成層の凹凸状態と形成層表面の複数の溝を同時に形成することを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体の製造方法としたものである。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、偽造防止媒体に対し、偏光板を介して偽造防止媒体を観察し、所定の着色した潜像が顕現するか否かによって前記偽造防止媒体の真贋を判定することを特徴とする偽造防止媒体の真贋判定方法としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明になる偽造防止媒体は、偏光板を重ねた場合に見える偏光潜像画像が多色に着色しており、偏光板を回転させると異なる着色画像が観察できるという特殊な視覚効果を有している。可視化された変化する着色画像は、モノカラー表示に比べ視覚に対する訴求力が強く、容易に判別可能なので高い偽造判別力を発揮するという効果がある。
【0015】
また、偏光潜像を着色させるためには、液晶を収容する狭い空間を複数確保して、壁面に配向性を付与するという高度な加工技術が必要であり、液晶を取り囲むこのような環境を模倣して、真正品と同じ視覚効果を発現させることはモノトーンタイプを模倣するのと比較すると極めて困難である。
【0016】
また、裏面に粘着層を備える構成の偽造防止媒体は、容易に紙等の被貼付媒体に装着できる。
【0017】
また、液晶の厚さを変える巨視的な凹凸と液晶の配向を制御する微細な溝とを同時に形成すれば、工程が合理化され低コストで上記特徴を有する偽造防止媒体を製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態の係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視図である。
【図2】図1に示す偽造防止媒体のA−A線に沿った断面視図である。
【図3】図1に示す偽造防止媒体の形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。
【図4】図3により得られた形成層を概略的に示す模式図である。
【図5】(A)、(B)図1の構成の偽造防止媒体を用いて偏光板を介して観察する場合の種々の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の第二実施形態の係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視図である。
【図7】図6に示す偽造防止媒体のB−B線に沿った断面視図である。
【図8】図6に示す偽造防止媒体の形成層および配向制御層を概略的に示す模式図である。
【図9】図6に示す偽造防止媒体の形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。
【図10】図9により得られた形成層を概略的に示す模式図である。
【図11】(A)、(B)図6の構成の偽造防止媒体を用いて偏光板を介して観察する場合の種々の実施形態を示す模式図である。
【図12】本発明の転写箔の層構成の一例を示す断面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一又は類
似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
(第一の構成)
図1は、本発明になる偽造防止媒体の第一の構成を概略的に示す平面視図である。
図2は、図1に示す偽造防止媒体10のA−A線に沿った断面視図である。
【0021】
この偽造防止媒体10は、基材11と反射層12と形成層13と液晶層14と保護層15を含んでいる。偽造防止媒体10の前面は、基材11から見て保護層15側の面である。
【0022】
(基材)
基材11は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなるフィルム又はシートである。基材11は光透過性を有していてもよく、有していなくてもよい。また、基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。更に、基材11に対して、偏光潜像の画像認識に影響を及ぼさない程度で、全面もしくは部分的に帯電防止処理やマット加工、エンボス処理等の加工をしても良い。基材11は、反射層12が自己支持性があれば省略することができる。
【0023】
(反射層)
反射層12は、基材11の前面側の全体を被覆している。反射層12は、基材11の前面の一部のみを被覆していてもよい。或いは、反射層12は、基材11の背面を少なくとも部分的に被覆していてもよい。この場合、基材11は、反射層12に対応した位置の少なくとも一部で光透過性とする。そして、この場合、典型的には、基材11として、反射層12に対応した位置の少なくとも一部で透明なものを使用する。
【0024】
反射層12は、光散乱性を有していてもよく、光散乱性を有していなくてもよい。また、反射層12は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0025】
反射層の設け方としては、光反射効果の有するインキ等を公知の印刷方法により設けてもよいし、金属を反射層として蒸着もしくはスパッタリングのような方法で設けてもよい。反射層に使用する金属は、例えばAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、インコネル、ステンレス、ジュラルミンなどの金属を挙げられる。また、印刷法により、光反射効果を有するインキ層を基材上に全面あるいはパターン状で設けた転写箔を作製するか、もしくは金属反射層を備えた転写箔を作製するかして、本発明に使用する基材11に転写を行うことで反射層を設けてもよいし、金属箔や金属層を有するフィルムをラミネートして反射層を設けてもよい。
【0026】
金属反射層をパターン化する場合、基材全面に金属反射層を形成した後にエッチング加工、レーザー加工、水洗シーライト加工等の公知の方法でパターン化してもよいし、前記公知の方法にてパターン化した金属反射層を転写もしくはラミネートしてもよい。また、平坦な金属反射層の代わりに回折構造を有する回折構造形成層設けてもよい。回折構造を形成することにより、装飾効果および偽造防止効果が向上する。
【0027】
また、本発明では、反射層上にOVD層を設けることができる。OVD層としてはホログラム、回折格子などの光学層があげられる。ホログラムとしては、光の干渉を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型、体積方向に干渉縞を記録する体積型などがあり、中でも量産性やコストの点からレリーフホログラムを好適に用いることができる。
【0028】
(形成層)
形成層13は、液晶層の配向および液晶層の膜厚を制御するための層であるが、図3は形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。エンボス原版41は1つの面内に膜厚制御領域2A、2B、2C、等を有している。この膜厚制御領域2A、2B、2Cはそれぞれ深さが異なる。また、配向制御のための溝16を有している。配向制御のための溝16が形成されている領域を配向制御領域21、配向制御領域22、等とする。配向制御領域21と配向制御領域22は、形成された溝16の方向が異なるようにすることができる。
【0029】
形成層13は、例えば、熱可塑性樹脂層であって、複数の厚さを持つ凸部が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当てる方法、即ち、熱エンボス加工法により得られる。或いは、形成層13は、例えば、紫外線硬化樹脂であり、これに原版を押し当てながら樹脂基材裏面側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、原版を取り除く方法により形成することも可能である。
【0030】
尚、配向制御のための溝16を有している原版を使用することにより、以上の方法で、形成層13に液晶層の厚さを制御するための凹凸状態と配向制御用の溝16とを同時に一括して形成することができる。また溝のない部位を形成しても構わない。
【0031】
図4は膜厚制御領域2A、2B、2Cおよび、配向制御領域21、22が形成された形成層13を概略的に示す模式図である。この膜厚制御領域2A、2B、2Cはそれぞれ深さが異なる。また、配向制御領域21と配向制御領域22は、液晶を配向させる方向が異なっている。
【0032】
これらの方法によれば、形成層13の一方の側に、膜厚制御のための凹凸の深さと幅が異なる複数の領域が、配向制御のための延長方向の異なる溝16を有するように加工ができる。
【0033】
ここで、配向制御領域21、22の各々に採用可能な構造について詳しく説明する。配向制御領域21、22の各々には、例えば、複数の溝16を幅方向に等間隔で平行に並べた構造を採用することができる。
【0034】
これら溝16は、互いに平行であるのが望ましいが厳密な意味で平行でなくてもよい。但し、これら溝16が平行に近いほど、液晶が配向しやすくその方向に光軸が揃い易くなる。これら溝が為す角度は、例えば5°以下とし、典型的には3°以下が望ましい。
【0035】
配向制御領域21、22の各々において、これら溝16は、縦横に並べてもよい。また、溝の長さは、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。また、長さ方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。更に、幅方向に隣り合う溝間の距離は均一であってもよく、不均一であってもよい。例えば、配向制御領域21、22の各々には、互いに長さが等しい溝16を縦横に並べてもよい。或いは、配向制御領域21、22の各々には、様々な長さの溝16をランダムに並べてもよい。
【0036】
これら配向制御のための溝の深さは、例えば、0.05μmから0.5μmの範囲とする。また、溝の長さは、例えば、0.5μm以上とする。このとき、溝の深さは液晶層の厚さより十分に浅くすることが好ましい。溝のピッチは、例えば0.1μm以上であり、典型的には0.75μm以上である。液晶を高い秩序度で配向させるには、溝のピッチは小さいことが有利である。また、液晶膜厚は、例えば10μm以下であり、典型的には2μmから6μmである。
【0037】
(液晶層)
液晶層14は、液晶材料を固化してなる。典型的には、液晶層14は、流動性を有する重
合性液晶材料を紫外線又は熱により硬化させてなる高分子複屈折性層である。
【0038】
図2に示すように、液晶層14は、配向状態が異なる複数の液晶部分141、142および液晶の膜厚が異なる複数の液晶部位14A、14B、14Cを含んでいる。配向状態が異なる複数の液晶部分141、142は配向制御領域21、22にそれぞれ対応する。また、膜厚が異なる複数の液晶部位14A、14B、14Cは膜厚制御領域2A、2B、2Cにそれぞれ対応する。
【0039】
(保護層)
保護層15は、液晶層14の前面を被覆している。保護層15は、光透過性を有している光透過層であり、典型的には透明であるが、無色透明であってもよく、有色透明であってもよく、少なくとも、光学的に等方性である必要がある。
【0040】
保護層15は、液晶層14などの損傷や光劣化を生じ難くして、偽造防止媒体10が表示する像の劣化を抑制する保護層としての役割を果たす。保護層15は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0041】
保護層15は、例えば樹脂からなる。保護層15の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線若しくは電子線硬化樹脂を、単独で又は組み合わせて使用することができる。保護層15は省略することができる。
【0042】
(第二の構成)
次に、本発明の第二の構成について説明する。
図6は、本発明の第二の構成に係る偽造防止媒体を概略的に示す平面視の図である。
図7は、図6に示す偽造防止媒体のB―B線に沿った断面視の図である。
【0043】
この偽造防止媒体30は、以下の構成を採用したこと以外は、図1から図4を参照しながら説明した偽造防止媒体10と同様の構成を有している。即ち、この偽造防止媒体30では、図1の液晶13の配向を制御する領域21、22の表面の処理方法が異なっているだけであり、以下この部分を配向制御層31、32と称する。
【0044】
(配向制御層)
配向制御層は液晶を配向させるために用い、配向制御層を形成する方法としては、公知の技術を用いることができ、例えばラビングや真空斜方蒸着により配向処理を行う方法や、直線偏光や斜め非偏光照射による光反応を用いる光配向膜を使って配向させる方法等を採用できる。この場合、溝を組成する形成層材料とは異なる異質な材料が形成層の上に存在することになる。
【0045】
図8は配向制御層の配向方向を示しており、配向制御層31、32はそれぞれストライプの伸びる方向に液晶の配向を制御する効果を有している。図8の左右で概ね45度配向方向が異なっている。
【0046】
図9は形成層の作成方法を概略的に示す模式図である。エンボス原版42は1つの面内に液晶の膜厚を制御する深さ2A、2B、2Cの段差(凹凸)を有しているが、段差表面に配向制御用の溝は形成されていないものである。図9の下段の図は、基材11の前面側に反射層12、形成層13が積層され、更に前記の配向制御層31,32がその上に形成されたものである。この積層物に対し、エンボス原版42を使用して、位置合わせの上エンボス加工を施す。
【0047】
図10は膜厚制御のための深さ2A、2B、2Cの凹凸部、および配向制御層31、32を有する形成層を概略的に示す模式図である。上記の方法によれば、1つの面内に液晶13の膜厚制御のための深さ、幅が異なる複数の領域を形成することができる。また、これらの方法によると、前記領域に、複数の所定の液晶配向性を付与することもできる。配向制御能を有さない配向制御層とすることもできる。この場合、液晶は当該部位で無配向の光学的等方層となる。
【0048】
(第一の観察形態)
次に、本発明の偽造防止媒体10を用いて偏光潜像を観測する形態と、該偽造防止媒体10を備える物品が真正品であることを検証するための真贋判定方法を説明する。
【0049】
図1は偽造防止媒体10を概略的に示す平面視図である。偏光板50をかざさずに目視で観察したとき、点線で示される潜像表示領域は他の領域と区別することができず、どの領域も同じに見える。
【0050】
図5(A)、(B)は本発明の偽造防止媒体10に偏光板50をかざして観察したときの偏光潜像を示す一例である。矢印は偏光板10の光軸方向を示している。
【0051】
図5(A)では表示部101、102は、偏光板の光軸と液晶からなる位相差層の光軸の角度が平行なため、偏光板10を介した偏光は透過でき、それぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。また、表示部201、202については、偏光板の光軸と液晶層の光軸の角度が45°で交わるため、偏光板50を介した偏光が位相差層により90°回転されることにより遮光され、暗く表示される。また表示部301においては液晶部位が存在しないため変化が起こらない。
【0052】
図5(B)は、図5(A)の状態から偏光板を45°回転させたときの偽造防止媒体10の見え方を示す平面視図である。これらも前記と同様の原理で表示部101、102は暗く、表示部201、202はそれぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。
【0053】
このようにして、偏光板50を介して偽造防止媒体10を観測し、その偏光潜像が所定の着色状態を有する潜像パターンであることを確認することにより、偽造防止媒体10が正規のものであることが確認できる。同じ偏光潜像を示す偽造防止媒体であれば、その媒体を備える物品が真正品であることの真贋判定ができる。
【0054】
(第二の観察形態)
偽造防止媒体30においても偽造防止媒体10と同じ効果が得られ、この偽造防止媒体を備える物品が真正品であることの真贋判定ができる。
【0055】
ここで、表示部101、表示部201、表示部102、表示部202それぞれが異なる色に見える理由について、数式を参照しながら説明する。
【0056】
液晶層のリターデイションReは、下記等式(1)に示すように、液晶層の膜厚dとその複屈折性Δnとに依存する。
【0057】
Re=Δn×d ・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、Δn=ne−noであって、ne、noは、それぞれ異常光、常光に対する屈折率である。
【0058】
一対の直線偏光フィルムを、それらの透過軸が平行または直交するように向かい合わせ
、それらの間に液晶層をその光学軸が直線偏光フィルムの一方の透過軸に対して角度θを為すように介在させる。一方の直線偏光フィルムをその法線方向から波長λの光で照明した場合、液晶層に入射する光の強度をI0とし、他方の直線偏光フィルムを透過する光の強度をIとすると、強度Iは、下記等式(2)で表すことができる。
【0059】
I=I0×sin2(2θ)×sin2(Re×π/λ)・・・・(2)
式(2)から明らかなように、透過光の強度Iが最大値を示す波長λは、リターデイションReに依存している。そして、式(1)に示すように、リターデイションReは、液晶層の膜厚dとその複屈折性Δnとに依存している。即ち、透過光の強度Iが最大値を示す波長λは、液晶層の膜厚dに依存する。それゆえ、透過光のスペクトルは、入射光のスペクトルとは異なるプロファイルを有することとなる。
【0060】
このように、液晶層を一対の直線偏光フィルムで挟むと、入射光とはスペクトルのプロファイルが異なる透過光を得ることができる。これと同様に、液晶層を直線偏光フィルムと反射層とで挟んだ場合も、液晶層を一対の直線偏光フィルムで挟むのと同じことになり、入射光とはスペクトルのプロファイルの異なる反射光を得ることができる。従って、表示部101、201、102、202のそれぞれでは厚みと配向方向が相違するので異なる色に見える。
【0061】
基材11上または/もしくは反射層12、液晶層14、保護層15には情報表示層を設けても良い。また、このとき偏光潜像を隠さないように注意する。
【0062】
情報表示層は、文字や数字による個体識別情報等の情報を、ラベルへ保持させる為の層であり、その材料や形成方法については、公知の手法が適宜用いられる。例えば、グラビア印刷法やスクリーン印刷法等による各種インクの印刷、真空蒸着法等による金属薄膜の形成等の手法が可能である。
【0063】
本発明の偽造防止媒体の背面、例えば基材11の裏面(背面)に、粘着剤又は接着剤による接着加工を施して偽造防止ラベルを形成することができる。すなわち、偽造防止媒体を用いて、偽造防止ラベルを形成してもよい。
【0064】
本発明の偽造防止媒体は、様々な方法で印刷物に適用できる。例えば、前記偽造防止ラベルを紙などを用いた印刷物に貼り付けた印刷物としてもよい。
【0065】
この場合、基材11に切り込み又はミシン目を設けておいてもよい。これにより、ラベルを剥がそうとしたときに、基材11が切り込みから破れるような構造を採用することができる。破れやすくしておくと貼変えて再使用することが困難になる。もちろん、本発明の偽造防止媒体は、印刷物以外の物品に貼り付けて用いることもできる。
【0066】
本発明の偽造防止媒体において、剥離可能な支持基材と接着層とを含むことで、転写箔を形成することもできる。また、この転写箔を物品に取り付けて用いてもよい。
【0067】
また、転写箔の場合、反射層12を液晶層14の上または保護層15の上に設置する必要がある。
【0068】
図12は、本発明の偽造防止媒体を用いた転写箔の一例を模式的に示す断面視図である。
転写箔60は、基材61上に、剥離層62、偽造防止媒体、および接着層63が順次積層されている。この偽造防止媒体には、前記第一および第二の構成で示した偽造防止媒体を用いることができる。また剥離層62は、紫外線を吸収しないものが望ましい。
【0069】
偽造防止媒体の前面は、基材61と向き合っている。偽造防止媒体は、図2から図7などを参照しながら説明した基材11を含んでいなくてもよい。
【0070】
偽造防止媒体を前記印刷物に適用する場合、スレッド(ストリップ、フィラメント、糸状物、安全帯片などとも称される)と呼ばれる形態により、前記偽造防止媒体を紙にすき込んでもよい。
【0071】
前記偽造防止ラベル、あるいは印刷物において粘着剤を用いる場合、粘着剤の材料としては、一般的な材料を用いることができる。
【0072】
例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系などの粘着剤を単独で用いることができる。またはこれらの粘着剤にアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したものを用いることができる。
【0073】
粘着層の形成方法には、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法を用いることができる。
【0074】
さらに、前記粘着剤を予めセパレーターに形成したものを準備しておき、偽造防止媒体へセパレーターを剥がして貼り合わせてもよい。
【0075】
また、粘着加工を施した偽造防止媒体の取り扱いを容易にするため、離型処理を行った離型紙や離型フィルムを粘着層の上に設置してもよい。
【0076】
本発明の偽造防止媒体は、偽造や複製に対する手段としての媒体に使用されるだけでなく、例えば、光学および配向性機能を果たす電気光学的な液晶セルとして利用してもよい。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の偽造防止媒体の具体的な実施例について、図2から図9を用いて説明する。
【0078】
離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、反射層12として、真空蒸着法を用いて膜厚50nmのアルミニウム薄膜層を全面に設けた。
【0079】
次に、反射層12の上に、ウレタン樹脂をマイクログラビアによって、塗布厚8μm、乾燥温度110℃で形成層13を形成した。
【0080】
次に、バーコーター法を用いて、全面に配向膜用インキの溶液を塗布した。塗布した配向膜用インキの組成を以下に示す。
・ポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA−117 クラレ(株)製)10重量%
・溶剤(水) 90重量%
この塗膜は、乾燥膜厚が2μmとなるように形成した。
【0081】
次いで、ラビング布(FINE PUFF YA−20−R 吉川化工(株)製)を用
いて、この塗膜を一方をカバーしつつ他方をラビングする処理を2回行った。これにより、図8に示すような異なる配向方向を有する二つの配向制御領域を得た。
【0082】
次に、図9の上段に模式的に示すような段差(凹凸部)を有するエンボス原版を用意した。また、凹凸部2A、2B、2Cの深さはそれぞれ3μm、4μm、5μmとした。
【0083】
次に、エンボス版を用いて形成層に対して220℃、10kgf/cm2の圧力で熱エンボスをおこない、形成層に図4に示すようナ膜厚制御のための凹凸領域を転写形成した。
【0084】
その後、大日本インキ化学工業製のUVキュアラブル液晶UCL−008を、マイクログラビアにて形成層13の上に塗工した後、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた。液晶層14は、形成層13の深さの異なる凹凸領域を埋設するように形成した。形成層13を薄く被覆するように形成しても構わない。
【0085】
次に、保護層15としてアクリル樹脂をマイクログラビアによって、塗布厚1μm、乾燥温度100℃で形成した。
【0086】
次に、偏光板50を用いた偽造防止媒体10を観察して所望の画像が発現するか調べた。
【0087】
図5(A)は作成した偽造防止媒体10を偏光板50を介して観察した一例を示す平面視図である。表示部101、102は、偏光板の光軸と位相差層の光軸の角度が平行なため、偏光板10を介した偏光は透過でき、それぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示される。また、表示部201、202については、偏光板の光軸と液晶層の光軸の角度が45°で交わるため、偏光板50を介した偏光が位相差層により90°回転されることにより遮光され、暗く表示される。また領域301においては液晶部位が存在しないため変化が起こらない。
【0088】
次に、図5(B)は図5(A)から偏光板を45°回転させたときの偽造防止媒体10を観察した一例を示す平面視図である。これらも前記と同様の原理で表示部101、102は暗く、表示部201、202はそれぞれの領域で異なる色の潜像が明るく表示された。
【0089】
このようにして偏光板を介しながら、偏光板の角度を変えることで、偏光潜像の明暗が反転するか否かで真贋判定を行うことができる。所望の画像が顕現しない偽造防止媒体は、偽造品と判断される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の偽造防止媒体および偽造防止ラベル、印刷物、転写箔は、銀行券、商品券、パスポートなどの有価証券や各種認証媒体において、偽造防止対策として前記の物品に用いることができる。また本発明の偽造防止媒体の真贋判定方法によって、前記のような物品の真贋判定が可能になる。
【符号の説明】
【0091】
10、30・・・偽造防止媒体
11、61・・・基材
12・・・反射層
13・・・形成層
14・・・液晶層
14A、14B、14C・・・膜厚の異なる液晶部位
141、142、143、144・・・配向の異なる液晶部位
15・・・保護層
16・・・溝
2A、2B、2C・・・膜厚制御領域
21、22・・・配向制御層
31、32・・・配向制御領域
41、42・・・エンボス原版
50・・・偏光板
62・・・剥離層
63・・・接着層
101、102、201、202、301・・・表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、反射層、表面が凹凸状態を呈する形成層、液晶を配向させる配向制御部、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層、保護層がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
前記配向制御部が、複数の配向方向を有することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
【請求項3】
前記配向制御部が、凹凸状態を呈する形成層の表面に形成した複数の溝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体。
【請求項4】
前記配向制御部が、形成層の表面に該形成層とは異質の材料で形成した配向膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体。
【請求項5】
前記基材の裏面に粘着層を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項6】
前記形成層の凹凸状態と形成層表面の複数の溝を同時に形成することを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体の製造方法。
【請求項7】
偽造防止媒体に対し、偏光板を介して偽造防止媒体を観察し、所定の着色した潜像が顕現するか否かによって前記偽造防止媒体の真贋を判定することを特徴とする偽造防止媒体の真贋判定方法。
【請求項1】
基材上に、反射層、表面が凹凸状態を呈する形成層、液晶を配向させる配向制御部、前記凹凸を埋設することで厚みが異なるとともに前記配向制御部の効果で所定方向に配向した部位を有する液晶層、保護層がこの順で積層されていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項2】
前記配向制御部が、複数の配向方向を有することを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
【請求項3】
前記配向制御部が、凹凸状態を呈する形成層の表面に形成した複数の溝であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体。
【請求項4】
前記配向制御部が、形成層の表面に該形成層とは異質の材料で形成した配向膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体。
【請求項5】
前記基材の裏面に粘着層を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の偽造防止媒体。
【請求項6】
前記形成層の凹凸状態と形成層表面の複数の溝を同時に形成することを特徴とする請求項3に記載の偽造防止媒体の製造方法。
【請求項7】
偽造防止媒体に対し、偏光板を介して偽造防止媒体を観察し、所定の着色した潜像が顕現するか否かによって前記偽造防止媒体の真贋を判定することを特徴とする偽造防止媒体の真贋判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図5】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図5】
【図11】
【公開番号】特開2012−158019(P2012−158019A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17882(P2011−17882)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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