傾斜する船体部分と傾斜しない船体部分とを備えるヨット、特に併用可能なヨット−モーターボートモジュールシステム
【課題】傾斜する船体部分と傾斜しない船体部分とを備えるヨットを提供すること。
【解決手段】マスト2とキール3とがともに第1の傾斜する船体部分1.1にそれぞれ強固に固定された状態で配置されていること、及びマストとキールの結合体2、3を支える第1の船体部分1.1が、好ましくは二重リング転がり軸受として形成されているヒンジ4によって、マストとキールの結合体を指示しない、傾斜しない第2の船体部分1.2に、船首船尾方向軸Lの周りを回転角度aで旋回可能なように連結される。これにより、傾斜する船体部分に関しては従来どおりに帆走を行うことができ、傾斜しない船体部分について船室等として利用する場合には、実質的に水平を保持する配置構造のあらゆる利点が発揮されるため、帆走中、特にデッキの下に滞在する場合には、最大の快適性が提供されると共に簡単に純粋なモーターボートに切り替えることを目的とする。
【解決手段】マスト2とキール3とがともに第1の傾斜する船体部分1.1にそれぞれ強固に固定された状態で配置されていること、及びマストとキールの結合体2、3を支える第1の船体部分1.1が、好ましくは二重リング転がり軸受として形成されているヒンジ4によって、マストとキールの結合体を指示しない、傾斜しない第2の船体部分1.2に、船首船尾方向軸Lの周りを回転角度aで旋回可能なように連結される。これにより、傾斜する船体部分に関しては従来どおりに帆走を行うことができ、傾斜しない船体部分について船室等として利用する場合には、実質的に水平を保持する配置構造のあらゆる利点が発揮されるため、帆走中、特にデッキの下に滞在する場合には、最大の快適性が提供されると共に簡単に純粋なモーターボートに切り替えることを目的とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づくヨットの新タイプに関するものであり、特に傾斜する船体部分と同時に傾斜しない船体部分を備えるヨットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヨット又はキールボートは、胴体の下に側面の抵抗として、一般的には船底のバラストが取り付けられた硬いキールを備えている。これにより、重心は水面の下にある。風力がかかることによって、ヨットが横に傾けば傾くほど、まっすぐに起き上がろうとする力又はまっすぐに起き上がろうとするトルクもまた作用することから、基本的にキールボートは転覆することはない。しかし一方では、ヨットが傾くとすぐに形状抵抗の一部である傾斜抵抗もまた増大し、これにより走行速度を減少させるヨットの総抵抗が増加する。すでに傾斜角が約20°より高くなると、ヨットの傾斜抵抗は無視できないほど大きくなる。したがって、理想的には、ヨットをできる限りまっすぐに立てて帆走させるべきであると考えられる。
【0003】
傾斜を縮小するため、従来の技術では、特にスイングキール又はスイングマストのように、キール、マスト又はキール−マスト結合体に作用する船体の分力を引き起こす様々な装置が提案されている。
【0004】
特許文献1は、水平な中心軸に放射対称に配置され、ブイを装備した、箱凧の骨組みのような棒骨格をもつボートを公開しており、このボートは、船室又は耐荷重室として働くゴンドラを有している。このゴンドラは、骨格に対して相対的に回転運動するように支持されているが、それにもかかわらず、風が吹き付けてゴンドラが中心軸の周りを傾斜しながら回転運動しようする際には、傾斜せずに垂直に吊り下げられた状態を保つように支持されている。転覆の可能性がある場合、この棒骨格の形状が放射対称であることにより、棒骨格は、安定した平衡状態になるように回転する。骨格に配置された少なくとも1つの制御装置により、実質的に回転することなく水上を揺れ動く船室は、傾斜又は転覆に対して効果的に反対に作用する。
【0005】
例えば、特許文献2から、船首船尾方向軸に相前後して並んでいる2つの船体間に設けられている共通のベアリング上に、マストとキールとが、船首船尾方向軸を中心に旋回可能に配置されているヨットが周知である。このことにより、マストとキールの結合体は、風力がかかる場合、作用する左右方向の力に関して船体から分離されるため、マストとキールの結合体だけが傾斜し、船体は実質的に水平を保ち、ただ前方へ進むだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ実用新案特許公報DE20010896U1
【特許文献2】ドイツ特許出願DE19825930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この場合の欠点は、船体が分離しているため、両方の船体内に配置されている船室を、デッキの下で交互に渡り歩くことができないことと、特にスポーツ競技のように帆走可能なヨットの性質が失われることである。体重を移動しながら傾斜に対抗する乗員による個別のセイルトリムは、もはや不可能である。
【0008】
本発明の課題は、傾斜する船体部分と傾斜しない船体部分とを備えるヨットを作ることであり、このヨットは、傾斜する船体部分に関しては従来どおりに帆走することができ、傾斜しない船体部分に関しては、実質的に水平を保持する配置構造によって、好ましくはこれを船室、調理室及び/又は操縦室として利用する場合の明らかな利点がすべて保証されるため、帆走中、特にデッキの下に滞在する場合には、最大の快適性が提供され、簡単に純粋なモーターボートに変更することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の前提部分に従い、2つの船体部分を備える業界標準のヨットを前提として、この課題は、本発明に基づき、マストとキールとがともに第1の船体部分に強固に固定された状態で配置されていること、及びマストとキールの結合体を支える第1の船体部分が、ヒンジによって、マストとキールの結合体を支えていない第2の船体部分に、船首船尾方向軸の周りを回転角度aで旋回可能なように連結されていること、によって解決される。
【0010】
本発明に基づくヨットの実施形態により、クルーの一部は、あらゆるヨットの操縦を行って従来どおりにヨットを帆走させることができる一方で、その他のクルー又は快適さを優先するゲストも、強い風で帆走する場合にも水平を保って傾斜することのない船体部分の明らかな利点を、例えば操縦室、食事調理室及び/又は寝室などで利用することができ、傾斜する船体部分が転覆又は完全転覆した場合でも、利用可能スペースが通常のように1つの船体部分、すなわち傾斜しない第2の船体部分の範囲内に配置されている場合には、全くその影響を受けることはない。さらに、本発明に基づく手段では、従来のジンバル搭載又は設備及び装置、特に調理かまど又は寝台を旋回可能に取り付ける必要が全くない。
【0011】
好ましくは、第1の船体部分が前方の船首として形成され、第2の船体部分が後方の船尾として形成され、これらはヒンジによって相互に連結されている。しかし、例えば、ヒンジによって連結されている3つの船体部分を備えたヨットの場合には、傾斜する第1の船体部分を船体中央部として形成し、それに対して、船首及び船尾を傾斜しない第2の船体部分として形成することもできる。ここでは、第1と第2の船体部分からなる船体部全体の組合せを任意に構成することができ、その際、傾斜する第1の船体部分が、特に利用可能スペースを有する傾斜しない第2の船体部分の周りを旋回することができる。
【0012】
本発明に基づく、第1の船体部分を回転するように第2の船体部分と連結するヒンジは、適切にサイズを決められ、設計された二重リング転がり軸受、特に軸方向の力及び/又は半径方向の力を受けるボールベアリング、シリンダーベアリング又はテーパローラベアリングとして形成されているのが好ましく、その際、第1の外部リングは、第1の船体部分の、好ましくは肋材の部分に固定され、第2の内部リングは第2の船体部分に固定されている。第1の外部リング又は第2の内部リングの代わりに、有利な場合では、特にヒンジの安定性を高めるため、及び/又は二重リング転がり軸受を通って、それぞれ第1の船体部分と第2の船体部分の範囲内に配置されている利用可能スペース間を適切に歩行できる通路を構造的により良く実装又は形成するために、円筒形体も使用可能である。
【0013】
特に有利な第1の実施形態においては、第2の船体部分が差し込み式モジュールとして形成され、その際、第2の船体部分は、船首船尾方向軸にある外側部分に差し込みジャーナルを有し、このジャーナルが、船首船尾方向軸にある、第1の船体部分の内部に形成されたジャーナルベアリングブッシュの中にかみ合い、その際、第2の船体部分内部にある利用可能スペースに、例えば寝室、操縦室又は調理室などが形成されている。この場合、船首側で、第1の船体部分の該当する凹部にかみ合い、利用可能スペースの前方スペースを囲む第2の船体部分の前部が、第2の内部ヒンジリングの部分で、好ましくは船首側にフランジで取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されており、船尾側に配置されている、利用可能スペースの後方スペースは、同様に第2の内部ヒンジリングの部分で、好ましくは船尾側にフランジで取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されている。そのように組み立てられた利用可能スペースの前方スペースと後方スペースとの間は、最適な高さを備える、第2の内部リング内のリング開口部を介して通過できるようになっている。このような方法で、利用可能スペースに応じて個別に、しかも第1の船体部分とは無関係に形成された傾斜しない第2の船体部分は、例えば、一種の「セミトレーラーの原理」に従って様々なタイプにモジュール化された状態で、傾斜する第1の船体部分にはめ込むことが可能となる。
【0014】
特に有利であるのは、第2の船体部分がモーター駆動を有し、第1の船体部分から分離可能なことである。取付け可能なモーターボート船首部品と組み合わせることによって、第2の船体部分は極めて簡単に純粋なモーターボートに改造することができる。
【0015】
完全に密閉された、水密性の、走行に適した構造により、ヨットの船首部分から分離された、後部の船体部分は、完全な船室と、モーター及びラダーと、モジュラー式で交換可能に取り付けられた剛性の高い前方の船首部分とを備え、艤装及びキールをもたない(すなわち、「引き船」部品のない)、完璧なモーターボートとなる。フロントの第1の船体部分は係留地又は陸に残し、従来どおり技術的に簡単な連結と連結解除によっていつでも戻すことができる。
【0016】
船首部分なしでも後部の船体部分は完全に機能するため、例えば、前方のヨット船首部分が海損、転覆又は座礁した場合も簡単にこれを放棄して、突き放すことができるため、緊急時の独自の救助艇としても見なすことができる。したがって、このような状況で特別に救助を要請することは、必ずしも必要なくなるかもしれない。
【0017】
とりわけ後方モジュールの品質及びサイズの様々な可能性と、2つの古典的な航行方法(モーター又は帆)を全く制限なく行えることにより、様々に使用可能な新しい形のコンビネーション船舶が生まれる。
【0018】
前述の実施形態の適切な発展形態においては、第2の船体部分の範囲内に作られている利用可能スペースが独立して形成されており、この利用可能スペースは、船首船尾方向軸Lにある少なくとも2つのヒンジによって、第2の船体部分の内部ベアリング部品に自由に回転するように追加的に支持されている。この場合、船首側に配置される利用可能スペースの前方スペースは、船首側に取り付けられている第2の船体部分の該当する凹部の中に配置され、船尾側でヒンジに配置されている利用可能スペースの後方スペースは、船尾側におかれている第2の船体部分の該当する凹部の中に配置され、その際、利用可能スペースの外壁は、相対的回転ができるように、第2の船体部分の内壁に距離をおいて配置されている。このことから作用する利用可能スペースの二重のピボットベアリングによって、特に利用可能スペースの底に追加のバラストが準備されている場合、及び/又は追加の電気制御水平調節サーボモーターが、慣性に起因してベアリングを介し伝達される残りの傾斜力に対抗して作用する場合は、傾斜の影響を予測する必要がなくなる。
【0019】
さらに本発明に基づき、特に有利であるのは、第1の船体部分のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形及びリング形に取り巻くために、従来のようにマストが厚板材として中央で垂直に差し込まれキールの中に延びるように、マストを配置するのではなく、マストが二股に分かれ、マストとキールを力拘束するために、第1のマスト分岐アームは、第1の船体部分の左舷外壁部分に固定され、第2のマスト分岐アームは、第1の船体部分の右舷外壁部分に固定されている。このことによって、一方では、甲板の厚板材の内側部分及び第1の船体部分の範囲内に配置されている利用可能スペースの内部において、マストによって邪魔されることなく追加的にスペースが作られ、他方では、マストにかかる曲げモーメントが、舷側を介して、特に肋材又は肋材としての機能がある、二重リング転がり軸受の外部リングを介して、機械的及び静的により有利に船体及びキールに誘導される。マストは、二重リング転がり軸受の、肋材部分に配置されている外部リング及びキールに一体形成によって強固に連結されているのが好ましい。このような方法で、マストにかかる力は、二重リング転がり軸受の、追加的に力のバイパスリングとして機能する外部リングを介して、効果的に船体内部に配置されている利用可能スペースの周りを環状に迂回して、キールに誘導される。さらに、マストからキールへの垂直方向の力が直線的に伝達されることは、「セミトレーラーの原理」による第1の実施形態の場合、内部が完全に切り離され、貫通していることにより、不可能であろう。
【0020】
静的及び曲げ機構的に有利な方法においては、マスト分岐アームが、マストの分岐部分の下で、まず風上側と風下側に常に凹形にボート外側へ曲げられて形成され、それぞれのマスト分岐アームの固定部分の上部で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されている。この新しい種類の負荷除去原理により、二重リング転がり軸受ヒンジの、マスト分岐アームを介して船体又は肋材として機能する外部リング部品の中へとマストの負荷が取り入れられ、力の流れが生じる。
【0021】
モジュラー式の構造により、マストの上方部品は、マスト分岐アーム部分の上方に配置されているマストシューの中に交換可能、取り外し可能に固定されている。
【0022】
有利であるのは、全体のトリムによって、第1の船体部分に固定配置され、好ましくはバラストが取り付けられているキールが、隣接する第2の船体部分をも下で捕捉することができることであり、この場合、第2の船体部分に、少なくとも1つの独立した別の補助キールを配置することができ、このキールに舵板及び/又は船用プロペラを取り付けることもできる。
【0023】
本発明に基づく第2の実施形態によれば、好ましくは実質的に第1の船体部分の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペース、特に寝室、操縦室又は調理室として、第2の船体部分が形成されており、その際、寝室又は操縦室又は調理室は、好ましくは少なくとも1つのヒンジ及び/又は好ましくは同様に転がり軸受として形成されたジャーナル差込みベアリングによって、第1の船体部分の部品に回転可能に支持されている。このことによって、前述の滞在スペースは、ヨットにかかる風力から完全に分離され、特に、一種の滞在スペースとして形成されている第2の船体部分の底側に追加の安定化バラスト、好ましくは、例えばコンクリート製の安定化バラストプレートが配置されている場合は、常に水平な状態が保たれている。
【0024】
ヒンジを介する第1の船体部分と第2の船体部分との間の回転運動は、取付け可能なロック装置によって拘束することができるため、本発明に基づくボート構造から影響を受けない、全体としてはむしろ古典的な傾斜するヨットによる従来の帆走もまた可能となる。
【0025】
第1の船体部分と第2の船体部分との間、又は第2の船体部分と第2の船体部分に独立して配置されている利用可能スペースとの間において、傾斜が原因となりヒンジを介して行われる相対的回転運動は、それに対応するように設計されたサーボモーターによって、第2の船体部分及び/又は利用可能スペースが全く傾斜しないように、すなわち完全に水平を保つように、制御又は調整することが可能である。このことは、特に、同時にスポーツとして帆走するヨットの乗員にさらに大きな快適性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施例を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】風力のかかっていない無風状態における、発明に基づくヨット図。
【図2】回転する船首と回転しない船尾を備える、風力がかかっている状態の発明に基づくヨット図。
【図3】差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾を備えた発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の図。
【図3a】差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾と、個々のマスト形状が4つに分岐し、弓形になっているマスト設備とを備える、発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の発展形態図。
【図4】第1の実施例による、傾斜する船首として形成された第1の船体部分の図。
【図5】第1の実施例による、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分の図。
【図5a】前方で強固に取り付けられた、交換可能なモーターボートの船首部分を備える第1の実施例による、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分の結合図。
【図6】図3の切断線A−Aによる、第1の実施例の切断図。
【図6a】図3aの切断線A−Aで切断した場合の、4つに分岐した弓形のマスト設備を備えた第1の実施例の発展形態の切断図。
【図7】第1の船体部分の内部に傾斜しないように支持され、船室として形成されている第2の船体部分を備える、発明に基づくヨットの第2の実施例の図。
【図8】無風状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施形態に基づいて傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図。
【図9】風があたっている状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施形態に基づいて傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図。
【0028】
図1は、風力のかかっていない無風状態における、船体1及び上部構造8を備える、発明に基づくヨット図を示している。
【0029】
第1の船体部分1.1は、前方の船首として形成され、第2の船体部分1.2は後方の船尾として形成されており、これらは二重リング転がり軸受4として形成されているヒンジによって相互に連結されている。第1の船体部分1.1を第2の船体部分1.2と回転可能に連結するヒンジは、適切にサイズが決められ、設計された二重リング転がり軸受4であり、従来のボールベアリングとして形成されている。この場合、第1の外部リング4.1は、第1の船体部分1.1に、好ましくは肋材の部分に固定されており、第1の外部リング4.1と同軸上に配置された第2の内部リング4.2は、第2の船体部分1.2に固定されている。同軸上に配置されたリング4.1と4.2との間を、研磨されたボール溝を使って、ボールがボールケージの中で距離を保って転がることにより、これらのリングは互いに擦れ合うことはない。第1の外部リング4.1又は第2の内部リング4.2の代わりに、有利な場合では、特にヒンジの安定性を高めるため、及び第2の内部リング4.2の範囲内にあるスペースを通って、船体部分1.1と1.2との間の通路を構造的により良く実装するために、円筒形体を使用することも可能である。
【0030】
転がり軸受リング4.1、4.2の代わりに、例えば、互いの中に取り付けられる2つの歯車リングも構造的に考えられるが、これらのリングは、その構造に由来する高い摩擦抵抗があるために、内部後方の船尾を水平に保つためには電気制御式モーター駆動による調整が必要である。
どの場合も、基本条件として、水密であり、石灰及び貝殻の付着しないヒンジ技術を用いる必要がある。
【0031】
マスト2は、第1の船体部分1.1のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形に取り巻くために、従来のようにマストが中央で厚板材の上に垂直に配置されているのではなく、マストが二股に分かれて実施されており、その際、帆6を取り付けているマスト2は、その第1のマスト分岐アーム2.1が、第1の船体部分1.1の左舷外壁部分の第1のマスト分岐アームの固定部分2.1.1において、第2のマスト分岐アームが、船体部分1.2の右舷外壁の第2のマスト分岐アームの固定部分において、それぞれ外部リング4.1の部品に固定されている。このことによって、一方では、厚板の内部にスペースができ、他方では、フォーク形に分かれていることにより、マスト2にかかる曲げモーメントが、マストの分岐部分2.3で、舷側を介して、特に肋材を介して機械的に有利に船体に誘導される。
【0032】
マスト分岐アーム2.1、2.2は、平面的に又は個々に扇形に広げられた支柱として、肋材部分に配置された外部リング4.1に通じることができる。
【0033】
静的及び曲げ機構的に有利な方法においては、マスト2の分岐アーム2.1、2.2が、マスト分岐アームの分岐部分2.3の下で、まず常に凹形にボート外側へ曲げられて形成され、それぞれのマスト分岐アームの固定部分2.1.1、2.2.1の上で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されている。この負荷除去原理により、マスト分岐アーム2.1、2.2を介して船体1.1の中へ、又は二重リング転がり軸受ヒンジの、肋材として機能する外部リング4.1の部品の中へと力の流れが生じ、マスト2の負荷が取り入れられ、これによって、マストが破損する危険性を少なくすることができる。
【0034】
キール3は、第1の船体部分1.1の下に強固に配置されており、ヒンジ4の部分を越えて第2の船体部分1.2を下で捕捉している。第2の船体部分1.2には、追加的にもう1つの、好ましくはバラストを取り付けたキール5が固定されているが、このキールは、フィンとしても形成することができるであろう。これには、制御用舵板が取り付けられている。
【0035】
図2は、回転傾斜する船首と回転傾斜しない船尾を備える、風力がかかっている状態における、発明に基づくヨットの第1の実施例を示している。
【0036】
ヒンジ4を介して第1の船体部分1.1と第2の船体部分1.2との間で、船首船尾方向軸Lの周りを回転する運動は、ロック装置によって拘束することができるため、ロックが正常に作動した後には、全体として傾斜するヨットによって、本発明に基づくボート構造から影響を受けない従来の帆走もまた可能となる。
【0037】
図3は、差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船室を備えた発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の図を示している。このヨットは、傾斜する船首として形成されている図4による第1の船体部分1.1と、傾斜しない第2の船体部分1.2として形成されている図5による船尾とから組み立てられており、これらは、ジャーナル差込みベアリング9の部分において連結されている。
【0038】
図3aは、差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾と、左舷側に配置されている第1の2つのマスト形状2.1.01及びこれと左右対称に右舷側に配置されている第2の2つのマスト形状2.1.02の合計4つに分岐し、船尾の方に弓形に曲がったマスト設備とを備える、発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の発展形態図である。
【0039】
マスト分岐アーム2.1、2.2は、それぞれ2つの個々のマスト形状2.1.01、2.1.02から構成されている。マスト分岐アームの固定部分2.1.1、2.2.1に距離をおいて別個に配置されたマスト形状の個々のマスト形状間の各距離は、マスト形状がマスト2上部のマスト分岐部分2.3において合流するまで、マストの先端方向へ円錐形に徐々に細くなっている。このマスト形状は、船尾方向へ凸形に曲がっている。マストの分岐部分2.3には、ヒンジ2.3.1が配置され、このヒンジの上端部で弓形マスト2.3.2がヒンジに連結されている。弓形マスト2.3.2の下端部は固定ベース15に配置され、この固定ベースは、クロスビームとして形成された、弓形マスト2.3.2の半径方向の長さに沿って凹形に曲げられた横木14上で横側に移動可能であるが、同時に拘束可能にガイドされている。横木14は、それぞれの横木ベアリングキャリア16によって、両方のマスト形状2.1.01、2.1.02の間に固定されている。横木ベアリングキャリア16は、マスト形状2.1.01、2.1.02に沿っても移動可能に、また拘束可能に形成することができる。固定ベース15には、同様にメインセイル6のセイルネック6.1が固定されている。メインセイル6のラフは、弓形マスト2.3.2の全範囲にわたって、弓形マスト2.3.2の溝の中に通っている。
【0040】
これによって有利であるのは、メインセイルネック6.1が移動可能で、制御可能となることであり、このセイルネックは、特に傾斜の際に、側面のプレッシャーポイントに対する帆のプレッシャーポイントの関係における状態が改善されることによって、ヨットの上手舵に極めてポジティブに影響を及ぼすことができる。傾斜の際には、例えばメインセイルの足(又はメインブーム)を、明らかにより良く船体の中心軸の上に垂直に運ぶことができる。
【0041】
それによって、横木14と移動可能な固定ベース15は、本発明に基づくヨットの新しいトリム方法をもたらすだけではなく、分岐されたマストサポートシステムの静的な安定化のために、ある種の骨組みの支柱としても働く。横木14を取り付けることにより、マスト形状2.1.01、2.1.02のために必要な断面積が少なくなり、それによって全体のマスト設備の重量が大きく減少する。
【0042】
マスト2は、その長さ全体にわたって、2つ又は静的に有利であるように4つのマスト形状部品からなり、構造上、それぞれのマスト形状部品にはメインセイル用の従来の支持方法及び該当するローブガイドが取り付けられている。しかし、マスト2は、上部マスト部分の分岐点まで、従来の意味における取付け可能な、単独の総形状としても形成することができる。
【0043】
マスト2の全体の形が船尾へ曲がっていることにより、全マストにプリテンションがかかり、このプリテンションによって、バックステイを省略することができるため、例えばいわゆる2分割された船体バリエーションを一時的に分離する操作などが容易になる。本発明によるマストシステムによって、フォアステイ及び側面のテンショニングシュラウドも必要ない。
【0044】
図4は、第1の実施例による、傾斜する船首として形成された第1の船体部分1.1の図である。第1の船体部分1.1は、第1の船体部分1.1に固定されている、二重リング転がり軸受4の第1の外部リング4.1及び第1の船体部分1.1の内部に形成されているジャーナルベアリングブッシュ9.2を有し、このジャーナルベアリングブッシュ9.2の中に、第2の船体部分1.2に配置されている差込みジャーナル9.1がかみ合う。さらに、船首側には、第1の船体部分1.1の、利用可能スペース10の前方スペース10.1を取り囲む本体前部を組み付けるために決められた凹部11が設けられている。
【0045】
図5は、第1の実施例に基づく、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分1.2であり、その部品に配置された、二重リング転がり軸受4の内部リング4.2を備える。第2の船体部分1.2の内部には、前方スペース10.1及び後方スペース10.2を有する利用可能スペース10が設けられており、この利用可能スペース10は、特に寝室及び/又は操縦室及び/又は調理室として個別に形成することができる。舵板の他に補助キール5が同様に配置されている。
【0046】
図5aは、前方で強固に取り付けられ、固定された、交換可能なモーターボートの船首部分18を備える第1の実施例において、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分1.2の結合図である。第2の船体部分1.2に取り付ける必要なモーター駆動は、図に示されていない。
【0047】
図6は、図3の切断線A−Aによる、第1の実施例の切断図である。取り付けられているマストシュー2.4には、マスト2が交換可能で、取り外し可能なように固定されている。
【0048】
図6aは、図3aの切断線A−Aで切断した場合の、4つに分岐して船尾方向に曲げられたマスト設備を備えた第1の実施例の発展形態における切断図である。
【0049】
図7は、第1の船体部分1.1の内部に傾斜しないように支持され、船室として形成されている第2の船体部分1.2を備える、発明に基づくヨットの第2の実施例の、せん断線B−Bを付けた図である。
【0050】
この場合、第2の船体部分1.2は、実質的に第1の船体部分1.1の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペース、特に寝室、操縦室又は調理室として形成されており、その際、寝室又は操縦室又は調理室は、二重リング転がり軸受4として形成されているヒンジと、ボールベアリングとして形成されているジャーナル差込みベアリング9とによって、第1の船体部分1.1の部品に、船首船尾方向軸Lの周りを旋回可能に支持されている。ここでは、差込みジャーナル9.1が、ジャーナルベアリングブッシュ9.2の中にかみ合い、利用可能スペースとして形成された第2の船体部分1.2の後部は、二重リング転がり軸受4の第2の内部リング4.2に固定され、これに対して、二重リング転がり軸受4の第1の外部リング4.1は、第1の船体部分1.1の部品に固定されている。このことによって、利用可能スペース10として形成された第2の船体部分1.2は、ヨットにかかる風力から完全に分離され、特に、第2の船体部分1.2の底側に追加の安定化バラスト7、例えばコンクリート製の安定化バラストプレートが配置され、及び/又はモーターで作動する調整装置がヒンジに配置されていることから、常に水平に調整されている。
【0051】
図8は、無風状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施例に基づくヨットの切断図である。第1の船体部分1.1に配置されているマスト2とキール3の結合体は、入口ドア13のある滞在スペースとして形成された第2の船体部分1.2に対して傾斜していない。
【0052】
図9は、風があたっている状態において、第2の実施例に基づき傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図である。第1の船体部分1.1に配置されているマスト2とキール3の結合体は、入口ドア13のある滞在スペースとして形成された、傾斜しない第2の船体部分1.2に対して傾斜角aで傾斜している。
【0053】
本発明によって、ヨットの船体部分、特に、操縦室、寝室又は調理室などの利用可能スペース又は滞在スペースをまったく傾斜しないように保持し、しかも同時に、スポーツとして従来のようにヨットを帆走させることが可能となる。さらに、このヨットは、艤装なしに簡単な方法で純粋なモーターボートに切り替えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 船体
1.1 第1の船体部分
1.2 第2の船体部分
2 マスト
2.1 第1のマスト分岐アーム
2.2 第2のマスト分岐アーム
2.1.1 第1のマスト分岐アームの固定部分
2.2.1 第2のマスト分岐アームの固定部分
2.1.01 第1の右舷マスト形状
2.1.02 第2の左舷マスト形状
2.3 マストの分岐部分
2.3.1 ヒンジ
2.3.2 弓形マスト
2.4 マストシュー
3 キール
4 ヒンジとしての二重リング転がり軸受
4.1 4の第1の外部リング
4.2 4の第2の内部リング
4.3 リング開口部
5 補助キール
6 帆
6.1 セイルネック
7 安定化バラスト
8 甲板上部構造
9 ジャーナル差込みベアリング
9.1 差込みジャーナル
9.2 ジャーナルベアリングブッシュ
10 利用可能スペース
10.1 船首側前方スペース
10.2 船尾側後方スペース
11 1.1の凹部
12 1.2の凹部
13 利用可能スペース10の入口ドア
14 横木
15 メインブーム17及びセイルネック6.1の固定ベース
16 横木ベアリングキャリア
17 メインブーム
18 モーターボート船首部分
L 船首船尾方向軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づくヨットの新タイプに関するものであり、特に傾斜する船体部分と同時に傾斜しない船体部分を備えるヨットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヨット又はキールボートは、胴体の下に側面の抵抗として、一般的には船底のバラストが取り付けられた硬いキールを備えている。これにより、重心は水面の下にある。風力がかかることによって、ヨットが横に傾けば傾くほど、まっすぐに起き上がろうとする力又はまっすぐに起き上がろうとするトルクもまた作用することから、基本的にキールボートは転覆することはない。しかし一方では、ヨットが傾くとすぐに形状抵抗の一部である傾斜抵抗もまた増大し、これにより走行速度を減少させるヨットの総抵抗が増加する。すでに傾斜角が約20°より高くなると、ヨットの傾斜抵抗は無視できないほど大きくなる。したがって、理想的には、ヨットをできる限りまっすぐに立てて帆走させるべきであると考えられる。
【0003】
傾斜を縮小するため、従来の技術では、特にスイングキール又はスイングマストのように、キール、マスト又はキール−マスト結合体に作用する船体の分力を引き起こす様々な装置が提案されている。
【0004】
特許文献1は、水平な中心軸に放射対称に配置され、ブイを装備した、箱凧の骨組みのような棒骨格をもつボートを公開しており、このボートは、船室又は耐荷重室として働くゴンドラを有している。このゴンドラは、骨格に対して相対的に回転運動するように支持されているが、それにもかかわらず、風が吹き付けてゴンドラが中心軸の周りを傾斜しながら回転運動しようする際には、傾斜せずに垂直に吊り下げられた状態を保つように支持されている。転覆の可能性がある場合、この棒骨格の形状が放射対称であることにより、棒骨格は、安定した平衡状態になるように回転する。骨格に配置された少なくとも1つの制御装置により、実質的に回転することなく水上を揺れ動く船室は、傾斜又は転覆に対して効果的に反対に作用する。
【0005】
例えば、特許文献2から、船首船尾方向軸に相前後して並んでいる2つの船体間に設けられている共通のベアリング上に、マストとキールとが、船首船尾方向軸を中心に旋回可能に配置されているヨットが周知である。このことにより、マストとキールの結合体は、風力がかかる場合、作用する左右方向の力に関して船体から分離されるため、マストとキールの結合体だけが傾斜し、船体は実質的に水平を保ち、ただ前方へ進むだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ実用新案特許公報DE20010896U1
【特許文献2】ドイツ特許出願DE19825930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この場合の欠点は、船体が分離しているため、両方の船体内に配置されている船室を、デッキの下で交互に渡り歩くことができないことと、特にスポーツ競技のように帆走可能なヨットの性質が失われることである。体重を移動しながら傾斜に対抗する乗員による個別のセイルトリムは、もはや不可能である。
【0008】
本発明の課題は、傾斜する船体部分と傾斜しない船体部分とを備えるヨットを作ることであり、このヨットは、傾斜する船体部分に関しては従来どおりに帆走することができ、傾斜しない船体部分に関しては、実質的に水平を保持する配置構造によって、好ましくはこれを船室、調理室及び/又は操縦室として利用する場合の明らかな利点がすべて保証されるため、帆走中、特にデッキの下に滞在する場合には、最大の快適性が提供され、簡単に純粋なモーターボートに変更することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の前提部分に従い、2つの船体部分を備える業界標準のヨットを前提として、この課題は、本発明に基づき、マストとキールとがともに第1の船体部分に強固に固定された状態で配置されていること、及びマストとキールの結合体を支える第1の船体部分が、ヒンジによって、マストとキールの結合体を支えていない第2の船体部分に、船首船尾方向軸の周りを回転角度aで旋回可能なように連結されていること、によって解決される。
【0010】
本発明に基づくヨットの実施形態により、クルーの一部は、あらゆるヨットの操縦を行って従来どおりにヨットを帆走させることができる一方で、その他のクルー又は快適さを優先するゲストも、強い風で帆走する場合にも水平を保って傾斜することのない船体部分の明らかな利点を、例えば操縦室、食事調理室及び/又は寝室などで利用することができ、傾斜する船体部分が転覆又は完全転覆した場合でも、利用可能スペースが通常のように1つの船体部分、すなわち傾斜しない第2の船体部分の範囲内に配置されている場合には、全くその影響を受けることはない。さらに、本発明に基づく手段では、従来のジンバル搭載又は設備及び装置、特に調理かまど又は寝台を旋回可能に取り付ける必要が全くない。
【0011】
好ましくは、第1の船体部分が前方の船首として形成され、第2の船体部分が後方の船尾として形成され、これらはヒンジによって相互に連結されている。しかし、例えば、ヒンジによって連結されている3つの船体部分を備えたヨットの場合には、傾斜する第1の船体部分を船体中央部として形成し、それに対して、船首及び船尾を傾斜しない第2の船体部分として形成することもできる。ここでは、第1と第2の船体部分からなる船体部全体の組合せを任意に構成することができ、その際、傾斜する第1の船体部分が、特に利用可能スペースを有する傾斜しない第2の船体部分の周りを旋回することができる。
【0012】
本発明に基づく、第1の船体部分を回転するように第2の船体部分と連結するヒンジは、適切にサイズを決められ、設計された二重リング転がり軸受、特に軸方向の力及び/又は半径方向の力を受けるボールベアリング、シリンダーベアリング又はテーパローラベアリングとして形成されているのが好ましく、その際、第1の外部リングは、第1の船体部分の、好ましくは肋材の部分に固定され、第2の内部リングは第2の船体部分に固定されている。第1の外部リング又は第2の内部リングの代わりに、有利な場合では、特にヒンジの安定性を高めるため、及び/又は二重リング転がり軸受を通って、それぞれ第1の船体部分と第2の船体部分の範囲内に配置されている利用可能スペース間を適切に歩行できる通路を構造的により良く実装又は形成するために、円筒形体も使用可能である。
【0013】
特に有利な第1の実施形態においては、第2の船体部分が差し込み式モジュールとして形成され、その際、第2の船体部分は、船首船尾方向軸にある外側部分に差し込みジャーナルを有し、このジャーナルが、船首船尾方向軸にある、第1の船体部分の内部に形成されたジャーナルベアリングブッシュの中にかみ合い、その際、第2の船体部分内部にある利用可能スペースに、例えば寝室、操縦室又は調理室などが形成されている。この場合、船首側で、第1の船体部分の該当する凹部にかみ合い、利用可能スペースの前方スペースを囲む第2の船体部分の前部が、第2の内部ヒンジリングの部分で、好ましくは船首側にフランジで取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されており、船尾側に配置されている、利用可能スペースの後方スペースは、同様に第2の内部ヒンジリングの部分で、好ましくは船尾側にフランジで取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されている。そのように組み立てられた利用可能スペースの前方スペースと後方スペースとの間は、最適な高さを備える、第2の内部リング内のリング開口部を介して通過できるようになっている。このような方法で、利用可能スペースに応じて個別に、しかも第1の船体部分とは無関係に形成された傾斜しない第2の船体部分は、例えば、一種の「セミトレーラーの原理」に従って様々なタイプにモジュール化された状態で、傾斜する第1の船体部分にはめ込むことが可能となる。
【0014】
特に有利であるのは、第2の船体部分がモーター駆動を有し、第1の船体部分から分離可能なことである。取付け可能なモーターボート船首部品と組み合わせることによって、第2の船体部分は極めて簡単に純粋なモーターボートに改造することができる。
【0015】
完全に密閉された、水密性の、走行に適した構造により、ヨットの船首部分から分離された、後部の船体部分は、完全な船室と、モーター及びラダーと、モジュラー式で交換可能に取り付けられた剛性の高い前方の船首部分とを備え、艤装及びキールをもたない(すなわち、「引き船」部品のない)、完璧なモーターボートとなる。フロントの第1の船体部分は係留地又は陸に残し、従来どおり技術的に簡単な連結と連結解除によっていつでも戻すことができる。
【0016】
船首部分なしでも後部の船体部分は完全に機能するため、例えば、前方のヨット船首部分が海損、転覆又は座礁した場合も簡単にこれを放棄して、突き放すことができるため、緊急時の独自の救助艇としても見なすことができる。したがって、このような状況で特別に救助を要請することは、必ずしも必要なくなるかもしれない。
【0017】
とりわけ後方モジュールの品質及びサイズの様々な可能性と、2つの古典的な航行方法(モーター又は帆)を全く制限なく行えることにより、様々に使用可能な新しい形のコンビネーション船舶が生まれる。
【0018】
前述の実施形態の適切な発展形態においては、第2の船体部分の範囲内に作られている利用可能スペースが独立して形成されており、この利用可能スペースは、船首船尾方向軸Lにある少なくとも2つのヒンジによって、第2の船体部分の内部ベアリング部品に自由に回転するように追加的に支持されている。この場合、船首側に配置される利用可能スペースの前方スペースは、船首側に取り付けられている第2の船体部分の該当する凹部の中に配置され、船尾側でヒンジに配置されている利用可能スペースの後方スペースは、船尾側におかれている第2の船体部分の該当する凹部の中に配置され、その際、利用可能スペースの外壁は、相対的回転ができるように、第2の船体部分の内壁に距離をおいて配置されている。このことから作用する利用可能スペースの二重のピボットベアリングによって、特に利用可能スペースの底に追加のバラストが準備されている場合、及び/又は追加の電気制御水平調節サーボモーターが、慣性に起因してベアリングを介し伝達される残りの傾斜力に対抗して作用する場合は、傾斜の影響を予測する必要がなくなる。
【0019】
さらに本発明に基づき、特に有利であるのは、第1の船体部分のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形及びリング形に取り巻くために、従来のようにマストが厚板材として中央で垂直に差し込まれキールの中に延びるように、マストを配置するのではなく、マストが二股に分かれ、マストとキールを力拘束するために、第1のマスト分岐アームは、第1の船体部分の左舷外壁部分に固定され、第2のマスト分岐アームは、第1の船体部分の右舷外壁部分に固定されている。このことによって、一方では、甲板の厚板材の内側部分及び第1の船体部分の範囲内に配置されている利用可能スペースの内部において、マストによって邪魔されることなく追加的にスペースが作られ、他方では、マストにかかる曲げモーメントが、舷側を介して、特に肋材又は肋材としての機能がある、二重リング転がり軸受の外部リングを介して、機械的及び静的により有利に船体及びキールに誘導される。マストは、二重リング転がり軸受の、肋材部分に配置されている外部リング及びキールに一体形成によって強固に連結されているのが好ましい。このような方法で、マストにかかる力は、二重リング転がり軸受の、追加的に力のバイパスリングとして機能する外部リングを介して、効果的に船体内部に配置されている利用可能スペースの周りを環状に迂回して、キールに誘導される。さらに、マストからキールへの垂直方向の力が直線的に伝達されることは、「セミトレーラーの原理」による第1の実施形態の場合、内部が完全に切り離され、貫通していることにより、不可能であろう。
【0020】
静的及び曲げ機構的に有利な方法においては、マスト分岐アームが、マストの分岐部分の下で、まず風上側と風下側に常に凹形にボート外側へ曲げられて形成され、それぞれのマスト分岐アームの固定部分の上部で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されている。この新しい種類の負荷除去原理により、二重リング転がり軸受ヒンジの、マスト分岐アームを介して船体又は肋材として機能する外部リング部品の中へとマストの負荷が取り入れられ、力の流れが生じる。
【0021】
モジュラー式の構造により、マストの上方部品は、マスト分岐アーム部分の上方に配置されているマストシューの中に交換可能、取り外し可能に固定されている。
【0022】
有利であるのは、全体のトリムによって、第1の船体部分に固定配置され、好ましくはバラストが取り付けられているキールが、隣接する第2の船体部分をも下で捕捉することができることであり、この場合、第2の船体部分に、少なくとも1つの独立した別の補助キールを配置することができ、このキールに舵板及び/又は船用プロペラを取り付けることもできる。
【0023】
本発明に基づく第2の実施形態によれば、好ましくは実質的に第1の船体部分の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペース、特に寝室、操縦室又は調理室として、第2の船体部分が形成されており、その際、寝室又は操縦室又は調理室は、好ましくは少なくとも1つのヒンジ及び/又は好ましくは同様に転がり軸受として形成されたジャーナル差込みベアリングによって、第1の船体部分の部品に回転可能に支持されている。このことによって、前述の滞在スペースは、ヨットにかかる風力から完全に分離され、特に、一種の滞在スペースとして形成されている第2の船体部分の底側に追加の安定化バラスト、好ましくは、例えばコンクリート製の安定化バラストプレートが配置されている場合は、常に水平な状態が保たれている。
【0024】
ヒンジを介する第1の船体部分と第2の船体部分との間の回転運動は、取付け可能なロック装置によって拘束することができるため、本発明に基づくボート構造から影響を受けない、全体としてはむしろ古典的な傾斜するヨットによる従来の帆走もまた可能となる。
【0025】
第1の船体部分と第2の船体部分との間、又は第2の船体部分と第2の船体部分に独立して配置されている利用可能スペースとの間において、傾斜が原因となりヒンジを介して行われる相対的回転運動は、それに対応するように設計されたサーボモーターによって、第2の船体部分及び/又は利用可能スペースが全く傾斜しないように、すなわち完全に水平を保つように、制御又は調整することが可能である。このことは、特に、同時にスポーツとして帆走するヨットの乗員にさらに大きな快適性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施例を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】風力のかかっていない無風状態における、発明に基づくヨット図。
【図2】回転する船首と回転しない船尾を備える、風力がかかっている状態の発明に基づくヨット図。
【図3】差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾を備えた発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の図。
【図3a】差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾と、個々のマスト形状が4つに分岐し、弓形になっているマスト設備とを備える、発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の発展形態図。
【図4】第1の実施例による、傾斜する船首として形成された第1の船体部分の図。
【図5】第1の実施例による、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分の図。
【図5a】前方で強固に取り付けられた、交換可能なモーターボートの船首部分を備える第1の実施例による、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分の結合図。
【図6】図3の切断線A−Aによる、第1の実施例の切断図。
【図6a】図3aの切断線A−Aで切断した場合の、4つに分岐した弓形のマスト設備を備えた第1の実施例の発展形態の切断図。
【図7】第1の船体部分の内部に傾斜しないように支持され、船室として形成されている第2の船体部分を備える、発明に基づくヨットの第2の実施例の図。
【図8】無風状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施形態に基づいて傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図。
【図9】風があたっている状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施形態に基づいて傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図。
【0028】
図1は、風力のかかっていない無風状態における、船体1及び上部構造8を備える、発明に基づくヨット図を示している。
【0029】
第1の船体部分1.1は、前方の船首として形成され、第2の船体部分1.2は後方の船尾として形成されており、これらは二重リング転がり軸受4として形成されているヒンジによって相互に連結されている。第1の船体部分1.1を第2の船体部分1.2と回転可能に連結するヒンジは、適切にサイズが決められ、設計された二重リング転がり軸受4であり、従来のボールベアリングとして形成されている。この場合、第1の外部リング4.1は、第1の船体部分1.1に、好ましくは肋材の部分に固定されており、第1の外部リング4.1と同軸上に配置された第2の内部リング4.2は、第2の船体部分1.2に固定されている。同軸上に配置されたリング4.1と4.2との間を、研磨されたボール溝を使って、ボールがボールケージの中で距離を保って転がることにより、これらのリングは互いに擦れ合うことはない。第1の外部リング4.1又は第2の内部リング4.2の代わりに、有利な場合では、特にヒンジの安定性を高めるため、及び第2の内部リング4.2の範囲内にあるスペースを通って、船体部分1.1と1.2との間の通路を構造的により良く実装するために、円筒形体を使用することも可能である。
【0030】
転がり軸受リング4.1、4.2の代わりに、例えば、互いの中に取り付けられる2つの歯車リングも構造的に考えられるが、これらのリングは、その構造に由来する高い摩擦抵抗があるために、内部後方の船尾を水平に保つためには電気制御式モーター駆動による調整が必要である。
どの場合も、基本条件として、水密であり、石灰及び貝殻の付着しないヒンジ技術を用いる必要がある。
【0031】
マスト2は、第1の船体部分1.1のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形に取り巻くために、従来のようにマストが中央で厚板材の上に垂直に配置されているのではなく、マストが二股に分かれて実施されており、その際、帆6を取り付けているマスト2は、その第1のマスト分岐アーム2.1が、第1の船体部分1.1の左舷外壁部分の第1のマスト分岐アームの固定部分2.1.1において、第2のマスト分岐アームが、船体部分1.2の右舷外壁の第2のマスト分岐アームの固定部分において、それぞれ外部リング4.1の部品に固定されている。このことによって、一方では、厚板の内部にスペースができ、他方では、フォーク形に分かれていることにより、マスト2にかかる曲げモーメントが、マストの分岐部分2.3で、舷側を介して、特に肋材を介して機械的に有利に船体に誘導される。
【0032】
マスト分岐アーム2.1、2.2は、平面的に又は個々に扇形に広げられた支柱として、肋材部分に配置された外部リング4.1に通じることができる。
【0033】
静的及び曲げ機構的に有利な方法においては、マスト2の分岐アーム2.1、2.2が、マスト分岐アームの分岐部分2.3の下で、まず常に凹形にボート外側へ曲げられて形成され、それぞれのマスト分岐アームの固定部分2.1.1、2.2.1の上で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されている。この負荷除去原理により、マスト分岐アーム2.1、2.2を介して船体1.1の中へ、又は二重リング転がり軸受ヒンジの、肋材として機能する外部リング4.1の部品の中へと力の流れが生じ、マスト2の負荷が取り入れられ、これによって、マストが破損する危険性を少なくすることができる。
【0034】
キール3は、第1の船体部分1.1の下に強固に配置されており、ヒンジ4の部分を越えて第2の船体部分1.2を下で捕捉している。第2の船体部分1.2には、追加的にもう1つの、好ましくはバラストを取り付けたキール5が固定されているが、このキールは、フィンとしても形成することができるであろう。これには、制御用舵板が取り付けられている。
【0035】
図2は、回転傾斜する船首と回転傾斜しない船尾を備える、風力がかかっている状態における、発明に基づくヨットの第1の実施例を示している。
【0036】
ヒンジ4を介して第1の船体部分1.1と第2の船体部分1.2との間で、船首船尾方向軸Lの周りを回転する運動は、ロック装置によって拘束することができるため、ロックが正常に作動した後には、全体として傾斜するヨットによって、本発明に基づくボート構造から影響を受けない従来の帆走もまた可能となる。
【0037】
図3は、差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船室を備えた発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の図を示している。このヨットは、傾斜する船首として形成されている図4による第1の船体部分1.1と、傾斜しない第2の船体部分1.2として形成されている図5による船尾とから組み立てられており、これらは、ジャーナル差込みベアリング9の部分において連結されている。
【0038】
図3aは、差込み式モジュール原理に従って、傾斜しないように支持されている船尾と、左舷側に配置されている第1の2つのマスト形状2.1.01及びこれと左右対称に右舷側に配置されている第2の2つのマスト形状2.1.02の合計4つに分岐し、船尾の方に弓形に曲がったマスト設備とを備える、発明に基づくヨットの、切断線A−Aを付けた第1の実施例の発展形態図である。
【0039】
マスト分岐アーム2.1、2.2は、それぞれ2つの個々のマスト形状2.1.01、2.1.02から構成されている。マスト分岐アームの固定部分2.1.1、2.2.1に距離をおいて別個に配置されたマスト形状の個々のマスト形状間の各距離は、マスト形状がマスト2上部のマスト分岐部分2.3において合流するまで、マストの先端方向へ円錐形に徐々に細くなっている。このマスト形状は、船尾方向へ凸形に曲がっている。マストの分岐部分2.3には、ヒンジ2.3.1が配置され、このヒンジの上端部で弓形マスト2.3.2がヒンジに連結されている。弓形マスト2.3.2の下端部は固定ベース15に配置され、この固定ベースは、クロスビームとして形成された、弓形マスト2.3.2の半径方向の長さに沿って凹形に曲げられた横木14上で横側に移動可能であるが、同時に拘束可能にガイドされている。横木14は、それぞれの横木ベアリングキャリア16によって、両方のマスト形状2.1.01、2.1.02の間に固定されている。横木ベアリングキャリア16は、マスト形状2.1.01、2.1.02に沿っても移動可能に、また拘束可能に形成することができる。固定ベース15には、同様にメインセイル6のセイルネック6.1が固定されている。メインセイル6のラフは、弓形マスト2.3.2の全範囲にわたって、弓形マスト2.3.2の溝の中に通っている。
【0040】
これによって有利であるのは、メインセイルネック6.1が移動可能で、制御可能となることであり、このセイルネックは、特に傾斜の際に、側面のプレッシャーポイントに対する帆のプレッシャーポイントの関係における状態が改善されることによって、ヨットの上手舵に極めてポジティブに影響を及ぼすことができる。傾斜の際には、例えばメインセイルの足(又はメインブーム)を、明らかにより良く船体の中心軸の上に垂直に運ぶことができる。
【0041】
それによって、横木14と移動可能な固定ベース15は、本発明に基づくヨットの新しいトリム方法をもたらすだけではなく、分岐されたマストサポートシステムの静的な安定化のために、ある種の骨組みの支柱としても働く。横木14を取り付けることにより、マスト形状2.1.01、2.1.02のために必要な断面積が少なくなり、それによって全体のマスト設備の重量が大きく減少する。
【0042】
マスト2は、その長さ全体にわたって、2つ又は静的に有利であるように4つのマスト形状部品からなり、構造上、それぞれのマスト形状部品にはメインセイル用の従来の支持方法及び該当するローブガイドが取り付けられている。しかし、マスト2は、上部マスト部分の分岐点まで、従来の意味における取付け可能な、単独の総形状としても形成することができる。
【0043】
マスト2の全体の形が船尾へ曲がっていることにより、全マストにプリテンションがかかり、このプリテンションによって、バックステイを省略することができるため、例えばいわゆる2分割された船体バリエーションを一時的に分離する操作などが容易になる。本発明によるマストシステムによって、フォアステイ及び側面のテンショニングシュラウドも必要ない。
【0044】
図4は、第1の実施例による、傾斜する船首として形成された第1の船体部分1.1の図である。第1の船体部分1.1は、第1の船体部分1.1に固定されている、二重リング転がり軸受4の第1の外部リング4.1及び第1の船体部分1.1の内部に形成されているジャーナルベアリングブッシュ9.2を有し、このジャーナルベアリングブッシュ9.2の中に、第2の船体部分1.2に配置されている差込みジャーナル9.1がかみ合う。さらに、船首側には、第1の船体部分1.1の、利用可能スペース10の前方スペース10.1を取り囲む本体前部を組み付けるために決められた凹部11が設けられている。
【0045】
図5は、第1の実施例に基づく、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分1.2であり、その部品に配置された、二重リング転がり軸受4の内部リング4.2を備える。第2の船体部分1.2の内部には、前方スペース10.1及び後方スペース10.2を有する利用可能スペース10が設けられており、この利用可能スペース10は、特に寝室及び/又は操縦室及び/又は調理室として個別に形成することができる。舵板の他に補助キール5が同様に配置されている。
【0046】
図5aは、前方で強固に取り付けられ、固定された、交換可能なモーターボートの船首部分18を備える第1の実施例において、傾斜しない船尾として形成された第2の船体部分1.2の結合図である。第2の船体部分1.2に取り付ける必要なモーター駆動は、図に示されていない。
【0047】
図6は、図3の切断線A−Aによる、第1の実施例の切断図である。取り付けられているマストシュー2.4には、マスト2が交換可能で、取り外し可能なように固定されている。
【0048】
図6aは、図3aの切断線A−Aで切断した場合の、4つに分岐して船尾方向に曲げられたマスト設備を備えた第1の実施例の発展形態における切断図である。
【0049】
図7は、第1の船体部分1.1の内部に傾斜しないように支持され、船室として形成されている第2の船体部分1.2を備える、発明に基づくヨットの第2の実施例の、せん断線B−Bを付けた図である。
【0050】
この場合、第2の船体部分1.2は、実質的に第1の船体部分1.1の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペース、特に寝室、操縦室又は調理室として形成されており、その際、寝室又は操縦室又は調理室は、二重リング転がり軸受4として形成されているヒンジと、ボールベアリングとして形成されているジャーナル差込みベアリング9とによって、第1の船体部分1.1の部品に、船首船尾方向軸Lの周りを旋回可能に支持されている。ここでは、差込みジャーナル9.1が、ジャーナルベアリングブッシュ9.2の中にかみ合い、利用可能スペースとして形成された第2の船体部分1.2の後部は、二重リング転がり軸受4の第2の内部リング4.2に固定され、これに対して、二重リング転がり軸受4の第1の外部リング4.1は、第1の船体部分1.1の部品に固定されている。このことによって、利用可能スペース10として形成された第2の船体部分1.2は、ヨットにかかる風力から完全に分離され、特に、第2の船体部分1.2の底側に追加の安定化バラスト7、例えばコンクリート製の安定化バラストプレートが配置され、及び/又はモーターで作動する調整装置がヒンジに配置されていることから、常に水平に調整されている。
【0051】
図8は、無風状態において、図7の切断線B−Bで切断した場合の、第2の実施例に基づくヨットの切断図である。第1の船体部分1.1に配置されているマスト2とキール3の結合体は、入口ドア13のある滞在スペースとして形成された第2の船体部分1.2に対して傾斜していない。
【0052】
図9は、風があたっている状態において、第2の実施例に基づき傾斜しないように支持された船室を備えるヨットの切断図である。第1の船体部分1.1に配置されているマスト2とキール3の結合体は、入口ドア13のある滞在スペースとして形成された、傾斜しない第2の船体部分1.2に対して傾斜角aで傾斜している。
【0053】
本発明によって、ヨットの船体部分、特に、操縦室、寝室又は調理室などの利用可能スペース又は滞在スペースをまったく傾斜しないように保持し、しかも同時に、スポーツとして従来のようにヨットを帆走させることが可能となる。さらに、このヨットは、艤装なしに簡単な方法で純粋なモーターボートに切り替えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 船体
1.1 第1の船体部分
1.2 第2の船体部分
2 マスト
2.1 第1のマスト分岐アーム
2.2 第2のマスト分岐アーム
2.1.1 第1のマスト分岐アームの固定部分
2.2.1 第2のマスト分岐アームの固定部分
2.1.01 第1の右舷マスト形状
2.1.02 第2の左舷マスト形状
2.3 マストの分岐部分
2.3.1 ヒンジ
2.3.2 弓形マスト
2.4 マストシュー
3 キール
4 ヒンジとしての二重リング転がり軸受
4.1 4の第1の外部リング
4.2 4の第2の内部リング
4.3 リング開口部
5 補助キール
6 帆
6.1 セイルネック
7 安定化バラスト
8 甲板上部構造
9 ジャーナル差込みベアリング
9.1 差込みジャーナル
9.2 ジャーナルベアリングブッシュ
10 利用可能スペース
10.1 船首側前方スペース
10.2 船尾側後方スペース
11 1.1の凹部
12 1.2の凹部
13 利用可能スペース10の入口ドア
14 横木
15 メインブーム17及びセイルネック6.1の固定ベース
16 横木ベアリングキャリア
17 メインブーム
18 モーターボート船首部分
L 船首船尾方向軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の船体部分(1.1)及び少なくとも1つの第2の船体部分(1.2)からなる、船首船尾方向軸(L)に縦に配列された船体(1)と、該船体(1)の構造水線の上部に配置されているマスト(2)及び前記船体(1)の前記構造水線の下部に配置されているキール(3)からなる少なくとも1つのマストとキールの結合体(2、3)と、を備え、前記マスト(2)と前記キール(3)とが摩擦結合によって互いに強固に固定され、前記マストとキールの結合体(2、3)がヒンジを介して、前記船体部分(1.1、1.2)の少なくとも1つに対して回転可能に連結されている帆船、特にヨットであって、
前記マスト(2)と前記キール(3)とが共に、前記第1の船体部分(1.1)にそれぞれ強固に連結された状態で配置されており、前記マストとキールの結合体(2、3)を支える前記第1の船体部分(1.1)が、ヒンジによって、前記マストとキールの結合体(2、3)を支えていない前記第2の船体部分(1.2)に、前記船首船尾方向軸(L)の周りを回転角度aで旋回可能に連結されていることを特徴とする帆船、特にヨット。
【請求項2】
前記第1の船体部分(1.1)が前方の船首として形成され、前記第2の船体部分(1.2)が後方の船尾として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の帆船、特にヨット。
【請求項3】
前記第1の船体部分(1.1)を前記第2の船体部分(1.2)と回転可能に連結する前記ヒンジが、適切にサイズを決められ、設計された二重リング転がり軸受(4)として、特に、軸方向及び/又は半径方向の力を受けるボールベアリング、シリンダー又はテーパローラベアリングとして形成されており、第1の外部リング(4.1)が、前記第1の船体部分(1.1)に、好ましくは肋材の部分に固定され、第2の内部リング(4.2)が、前記第2の船体部分(1.2)に固定されていることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項4】
前記第2の船体部分(1.2)が、差込み式モジュールとして形成され、前記第2の船体部分(1.2)は、前記船首船尾方向軸(L)にある外側部分に差込みジャーナル(9.1)を有し、前記ジャーナルが、前記船首船尾方向軸(L)にある、前記第1の船体部分(1.1)の内部に形成されたジャーナルベアリングブッシュ(9.2)の中にかみ合い、前記第2の船体部分(1.2)の内部にある利用可能スペース(10)は、特に寝室又は操縦室又は調理室として形成されており、船首側で、前記第1の船体部分(1.1)の該当する凹部(11)にかみ合い、前記利用可能スペース(10)の前方スペース(10.1)を取り囲む船体前部が、前記第2の内部リング(4.2)の部品に支持され、好ましくは該リングに船首側でフランジによって取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されており、船尾側に配置されている、前記利用可能スペース(10)の後方スペース(10.2)は、前記第2の内部リング(4.2)の部品に支持され、好ましくは該リングに船尾側でフランジによって取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成され、前記前方スペース(10.1)と前記後方スペール(10.2)との間が、前記内部リング(4.2)の内部にあるリング開口部(4.3)を介して通行可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項5】
前記利用可能スペース(10)が、前記第2の船体部分(1.2)の範囲内に、前記船首船尾方向軸(L)にある少なくとも2つのヒンジによって、前記第2の船体部分(1.2)の部品に回転しないように支持されており、船首側に配置されている前記前方スペース(10.1)は、船首側に取り付けられている前記第2の船体部分(1.2)の該当する凹部の中に配置され、船尾側に配置されている前記後方スペース(10.2)は、船尾側におかれている前記第2の船体部分(1.2)の該当する凹部の中に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の帆船、特にヨット。
【請求項6】
前記第2の船体部分(1.2)が、モーター駆動を有し、前記第2の船体部分(1.2)は、前記第1の船体部分(1.1)から分離可能であり、取付け可能なモーターボート船首部分(18)を組み合わせて、純粋なモーターボートに変更することができることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項7】
前記マスト(2)が、前記第1の船体部分(1.1)のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形に取り巻くために、前記マスト(2)が分岐しており、第1のマスト分岐アーム(2.1)は、前記第1の船体部分(1.1)の左舷外壁部分に固定され、第2のマスト分岐アーム(2.2)は、前記第1の船体部分(1.1)の右舷外壁部分に固定され、好ましくはそれぞれが肋材の部分又は肋材に固定されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項8】
前記マスト(2)の前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、マスト分岐部分(2.3)の下で、まず常に凹形にボート外側へ曲げられ、それぞれのマスト分岐アーム固定部分(2.1.1、2.2.1)の上で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項9】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、それぞれ少なくとも2つの個々のマスト形状(2.1.01、2.1.02)からなり、前記マスト分岐アームの固定部分(2.1.1、2.2.1)で距離をおいて別個に配置された前記マスト形状の各距離が、マスト先端方向へ徐々に細くなり、前記マスト形状が共に前記マスト先端に合流し、前記マスト形状からなる前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)は、マスト先端方向に円錐形に、船尾方向に凸形に曲げられた状態で延びていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット
【請求項10】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、それぞれ少なくとも2つの個々のマスト形状(2.1.01、2.1.02)からなり、前記マスト分岐アーム固定部分(2.1.1、2.2.1)で距離をおいて別個に配置された前記マスト形状(2.1.01、2.1.02)の各距離が、マスト先端方向へ徐々に細くなり、前記マスト形状(2.1.01、2.2.1)が共に前記マスト分岐部分(2.3)に合流し、前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)は、マスト先端方向に円錐形に、船尾方向に凸形に曲げられた状態で延びていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット
【請求項11】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)又は前記マスト形状(2.1.01、2.1.02)との間に、クロスビームとして、マスト先端方向に上方へ凹形に曲げられた横木が、好ましくは横木のベアリングキャリア(16)の上に配置されており、好ましくは固定可能な固定ベース(15)が、横木(14)に沿って自由に移動可能であるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項12】
マスト分岐部分(2.3)にヒンジ2.3.1.が配置され、該ヒンジの上端部に弓形マスト(2.3.2)が連結されており、該弓形マスト(2.3.2)の下端部が固定ベース(15)に配置され、該固定ベースは、クロスビームとして形成された、前記弓形マスト(2.3.2)の半径方向の長さに沿って凹形に曲げられた前記横木(14)上で横側に移動可能に通され、メインセイル(6)のセイルネック(6.1)が前記固定ベース(15)に固定されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項13】
メインセイル6のラフが、前記弓形マスト(2.3.2)の全範囲にわたって、該弓形マスト(2.3.2)の溝の中を通されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項14】
前記横木のベアリングキャリア(16)が、前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)又はマスト形状(2.1.01、2.1.02)に沿って移動可能及び固定可能に配置されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項15】
前記メインセイル(6)が、セイルフロントエッジ(ラフ)のもっとも下の部分で前記固定ベース(15)の中にはめ込まれていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項16】
前記第1の船体部分(1.1)に強固に連結された状態で配置されている前記キール(3)が、隣接する前記第2の船体部分(1.2)をも下で捕捉していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項17】
前記第2の船体部分(1.2)が、利用可能スペースとして、特に寝室又は操縦室又は調理室として形成されており、そのように形成された前記第2の船体部分(1.2)は、前記第1の船体部分(1.1)の範囲内で、前記船首船尾方向軸(L)の中にある部品に、2つのヒンジ、特に二重リング転がり軸受(4)として形成されている1つのヒンジと、ジャーナル差込みベアリング(9)として形成されている1つのヒンジとによって、自由に回転できるように支持されており、前記二重リング転がり軸受(4)の前記第1の外部リング(4.1)が、前記第1の船体部分(1.1)に連結され、前記二重リング転がり軸受(4)の前記第2の内部リング(4.2)が、前記第2の船体部分(1.2)に固定され、前記ジャーナル差込みベアリング(9)の差込みジャーナル(9.1)が、前記第2の船体部分(1.2)に形成され、ジャーナルベアリングブッシュ(9.2)が、前記第1の船体部分(1.1)に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の帆船、特にヨット。
【請求項18】
前記第2の船体部分(1.2)が、実質的に前記第1の船体部分(1.1)の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペースとして形成されていることを特徴とする、請求項17に記載の帆船、特にヨット。
【請求項19】
前記第2の船体部分(1.2)の底側に、好ましくは安定化バラストプレートとして形成された安定化バラスト(7)が配置され、及び/又はモーターで作動する調整装置がヒンジに設けられていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の帆船、特にヨット。
【請求項20】
前記第2の船体部分(1.2)に、少なくとも1つの独立した、好ましくは安定化バラストをもつ補助キール(5)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項21】
前記第1の船体部分(1.1)と前記第2の船体部分(1.2)との間、又は前記第2の船体部分(1.2)と前記利用可能スペース(10)との間で、傾斜が原因となって1つのヒンジを介して行われる回転運動が、いつでも取り外すことのできるロック装置によって防止可能であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項22】
前記第1の船体部分(1.1)と前記第2の船体部分(1.2)との間、又は前記第2の船体部分(1.2)と前記利用可能スペース(10)との間で、傾斜が原因となって1つのヒンジを介して行われる相対的回転運動が、前記第2の船体部分(1.2)及び/又は前記利用可能スペース(10)が全く傾斜しないように、常に完全に水平に調整された状態であるように、サーボモーターによって制御可能であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項1】
少なくとも1つの第1の船体部分(1.1)及び少なくとも1つの第2の船体部分(1.2)からなる、船首船尾方向軸(L)に縦に配列された船体(1)と、該船体(1)の構造水線の上部に配置されているマスト(2)及び前記船体(1)の前記構造水線の下部に配置されているキール(3)からなる少なくとも1つのマストとキールの結合体(2、3)と、を備え、前記マスト(2)と前記キール(3)とが摩擦結合によって互いに強固に固定され、前記マストとキールの結合体(2、3)がヒンジを介して、前記船体部分(1.1、1.2)の少なくとも1つに対して回転可能に連結されている帆船、特にヨットであって、
前記マスト(2)と前記キール(3)とが共に、前記第1の船体部分(1.1)にそれぞれ強固に連結された状態で配置されており、前記マストとキールの結合体(2、3)を支える前記第1の船体部分(1.1)が、ヒンジによって、前記マストとキールの結合体(2、3)を支えていない前記第2の船体部分(1.2)に、前記船首船尾方向軸(L)の周りを回転角度aで旋回可能に連結されていることを特徴とする帆船、特にヨット。
【請求項2】
前記第1の船体部分(1.1)が前方の船首として形成され、前記第2の船体部分(1.2)が後方の船尾として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の帆船、特にヨット。
【請求項3】
前記第1の船体部分(1.1)を前記第2の船体部分(1.2)と回転可能に連結する前記ヒンジが、適切にサイズを決められ、設計された二重リング転がり軸受(4)として、特に、軸方向及び/又は半径方向の力を受けるボールベアリング、シリンダー又はテーパローラベアリングとして形成されており、第1の外部リング(4.1)が、前記第1の船体部分(1.1)に、好ましくは肋材の部分に固定され、第2の内部リング(4.2)が、前記第2の船体部分(1.2)に固定されていることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項4】
前記第2の船体部分(1.2)が、差込み式モジュールとして形成され、前記第2の船体部分(1.2)は、前記船首船尾方向軸(L)にある外側部分に差込みジャーナル(9.1)を有し、前記ジャーナルが、前記船首船尾方向軸(L)にある、前記第1の船体部分(1.1)の内部に形成されたジャーナルベアリングブッシュ(9.2)の中にかみ合い、前記第2の船体部分(1.2)の内部にある利用可能スペース(10)は、特に寝室又は操縦室又は調理室として形成されており、船首側で、前記第1の船体部分(1.1)の該当する凹部(11)にかみ合い、前記利用可能スペース(10)の前方スペース(10.1)を取り囲む船体前部が、前記第2の内部リング(4.2)の部品に支持され、好ましくは該リングに船首側でフランジによって取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成されており、船尾側に配置されている、前記利用可能スペース(10)の後方スペース(10.2)は、前記第2の内部リング(4.2)の部品に支持され、好ましくは該リングに船尾側でフランジによって取り付けられたシリンダー形の回転体によって形成され、前記前方スペース(10.1)と前記後方スペール(10.2)との間が、前記内部リング(4.2)の内部にあるリング開口部(4.3)を介して通行可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項5】
前記利用可能スペース(10)が、前記第2の船体部分(1.2)の範囲内に、前記船首船尾方向軸(L)にある少なくとも2つのヒンジによって、前記第2の船体部分(1.2)の部品に回転しないように支持されており、船首側に配置されている前記前方スペース(10.1)は、船首側に取り付けられている前記第2の船体部分(1.2)の該当する凹部の中に配置され、船尾側に配置されている前記後方スペース(10.2)は、船尾側におかれている前記第2の船体部分(1.2)の該当する凹部の中に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の帆船、特にヨット。
【請求項6】
前記第2の船体部分(1.2)が、モーター駆動を有し、前記第2の船体部分(1.2)は、前記第1の船体部分(1.1)から分離可能であり、取付け可能なモーターボート船首部分(18)を組み合わせて、純粋なモーターボートに変更することができることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項7】
前記マスト(2)が、前記第1の船体部分(1.1)のボート甲板厚板の中心部分をフォーク形に取り巻くために、前記マスト(2)が分岐しており、第1のマスト分岐アーム(2.1)は、前記第1の船体部分(1.1)の左舷外壁部分に固定され、第2のマスト分岐アーム(2.2)は、前記第1の船体部分(1.1)の右舷外壁部分に固定され、好ましくはそれぞれが肋材の部分又は肋材に固定されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項8】
前記マスト(2)の前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、マスト分岐部分(2.3)の下で、まず常に凹形にボート外側へ曲げられ、それぞれのマスト分岐アーム固定部分(2.1.1、2.2.1)の上で常に凸形にボート内側へ曲げられて形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項9】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、それぞれ少なくとも2つの個々のマスト形状(2.1.01、2.1.02)からなり、前記マスト分岐アームの固定部分(2.1.1、2.2.1)で距離をおいて別個に配置された前記マスト形状の各距離が、マスト先端方向へ徐々に細くなり、前記マスト形状が共に前記マスト先端に合流し、前記マスト形状からなる前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)は、マスト先端方向に円錐形に、船尾方向に凸形に曲げられた状態で延びていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット
【請求項10】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)が、それぞれ少なくとも2つの個々のマスト形状(2.1.01、2.1.02)からなり、前記マスト分岐アーム固定部分(2.1.1、2.2.1)で距離をおいて別個に配置された前記マスト形状(2.1.01、2.1.02)の各距離が、マスト先端方向へ徐々に細くなり、前記マスト形状(2.1.01、2.2.1)が共に前記マスト分岐部分(2.3)に合流し、前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)は、マスト先端方向に円錐形に、船尾方向に凸形に曲げられた状態で延びていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット
【請求項11】
前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)又は前記マスト形状(2.1.01、2.1.02)との間に、クロスビームとして、マスト先端方向に上方へ凹形に曲げられた横木が、好ましくは横木のベアリングキャリア(16)の上に配置されており、好ましくは固定可能な固定ベース(15)が、横木(14)に沿って自由に移動可能であるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項12】
マスト分岐部分(2.3)にヒンジ2.3.1.が配置され、該ヒンジの上端部に弓形マスト(2.3.2)が連結されており、該弓形マスト(2.3.2)の下端部が固定ベース(15)に配置され、該固定ベースは、クロスビームとして形成された、前記弓形マスト(2.3.2)の半径方向の長さに沿って凹形に曲げられた前記横木(14)上で横側に移動可能に通され、メインセイル(6)のセイルネック(6.1)が前記固定ベース(15)に固定されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項13】
メインセイル6のラフが、前記弓形マスト(2.3.2)の全範囲にわたって、該弓形マスト(2.3.2)の溝の中を通されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項14】
前記横木のベアリングキャリア(16)が、前記マスト分岐アーム(2.1、2.2)又はマスト形状(2.1.01、2.1.02)に沿って移動可能及び固定可能に配置されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項15】
前記メインセイル(6)が、セイルフロントエッジ(ラフ)のもっとも下の部分で前記固定ベース(15)の中にはめ込まれていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項16】
前記第1の船体部分(1.1)に強固に連結された状態で配置されている前記キール(3)が、隣接する前記第2の船体部分(1.2)をも下で捕捉していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項17】
前記第2の船体部分(1.2)が、利用可能スペースとして、特に寝室又は操縦室又は調理室として形成されており、そのように形成された前記第2の船体部分(1.2)は、前記第1の船体部分(1.1)の範囲内で、前記船首船尾方向軸(L)の中にある部品に、2つのヒンジ、特に二重リング転がり軸受(4)として形成されている1つのヒンジと、ジャーナル差込みベアリング(9)として形成されている1つのヒンジとによって、自由に回転できるように支持されており、前記二重リング転がり軸受(4)の前記第1の外部リング(4.1)が、前記第1の船体部分(1.1)に連結され、前記二重リング転がり軸受(4)の前記第2の内部リング(4.2)が、前記第2の船体部分(1.2)に固定され、前記ジャーナル差込みベアリング(9)の差込みジャーナル(9.1)が、前記第2の船体部分(1.2)に形成され、ジャーナルベアリングブッシュ(9.2)が、前記第1の船体部分(1.1)に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の帆船、特にヨット。
【請求項18】
前記第2の船体部分(1.2)が、実質的に前記第1の船体部分(1.1)の外形寸法の範囲内で配置された利用可能スペースとして形成されていることを特徴とする、請求項17に記載の帆船、特にヨット。
【請求項19】
前記第2の船体部分(1.2)の底側に、好ましくは安定化バラストプレートとして形成された安定化バラスト(7)が配置され、及び/又はモーターで作動する調整装置がヒンジに設けられていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の帆船、特にヨット。
【請求項20】
前記第2の船体部分(1.2)に、少なくとも1つの独立した、好ましくは安定化バラストをもつ補助キール(5)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項21】
前記第1の船体部分(1.1)と前記第2の船体部分(1.2)との間、又は前記第2の船体部分(1.2)と前記利用可能スペース(10)との間で、傾斜が原因となって1つのヒンジを介して行われる回転運動が、いつでも取り外すことのできるロック装置によって防止可能であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【請求項22】
前記第1の船体部分(1.1)と前記第2の船体部分(1.2)との間、又は前記第2の船体部分(1.2)と前記利用可能スペース(10)との間で、傾斜が原因となって1つのヒンジを介して行われる相対的回転運動が、前記第2の船体部分(1.2)及び/又は前記利用可能スペース(10)が全く傾斜しないように、常に完全に水平に調整された状態であるように、サーボモーターによって制御可能であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の帆船、特にヨット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図6a】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図6a】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−535122(P2010−535122A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518492(P2010−518492)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001238
【国際公開番号】WO2009/015650
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510021812)
【氏名又は名称原語表記】BENZ,Gerhard
【住所又は居所原語表記】Mintropstrasse 14−16,40215 Dusseldorf,Germany
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001238
【国際公開番号】WO2009/015650
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510021812)
【氏名又は名称原語表記】BENZ,Gerhard
【住所又は居所原語表記】Mintropstrasse 14−16,40215 Dusseldorf,Germany
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