優れた生物学的利用能のベンゾキノン類
優れた溶解性及び生物学的利用能のベンゾキノン組成物を記載し、これは、少なくとも1種のベンゾキノンを少なくとも1種の溶解性-増強性の重合体と共に含む。1具体例では、ベンゾキノンは補酵素Q10である。生物学的に優れた生成物類を生産するために記載される方法は、乾式配合及び溶媒噴霧乾燥を備える。方法の1種の局面は、ベンゾキノン、溶解性-増強性の重合体及び溶媒を備える混合物を提供すること、及び不定形のベンゾキノンを形成するように溶媒を除去することの工程類を含む。本発明の組成物及び方法によって作成される生成物には、人間及び動物のための製薬類、栄養補助剤類、化粧料(cosmetic)、及び個人的な手当て生成物が包含される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)本出願は、米国特許出願連続番号第60/756,454号、2006年1月5日付け出願、及び第60/703,374号、2005年7月28日付け出願の利益を請求し、それらの内容を本明細書に参考として組込む。
【0002】
(発明の背景)本発明は、生物学的に優れたベンゾキノンの組成物及びそれらを生産するための方法に指向する。より一層詳しくは、本発明は生物学的に優れたベンゾキノンを、少なくとも1種の溶解性-増強性(solubility-enhancing)の重合体を利用して調製するための組成物及び方法に関する。一定の具体例に従い、ベンゾキノンは補酵素Q10(CoQ10)であり、ベンゾキノンの混合物は本発明の範囲内にある。1具体例では、混合物は、ベンゾキノンと溶解性-増強性の重合体とを乾式配合することによって調製される。別の具体例では、ベンゾキノンは重合体を含む溶媒において溶解させる。更に別の具体例では、重合体のための溶媒/非-溶媒の配合物(ブレンド)を採用する。生物学的に優れたベンゾキノン生成物を、組成物に適する任意の方法によって生成する。1具体例では、物理的に配合されたベンゾキノン(類)-重合体(類)の直接圧縮が用いられる。必要なとき、溶媒を組成物から除去することができ、生物学的に優れたベンゾキノン生成物が産生される(yield)。本発明の1種の更なる開発では、CoQ10-重合体-溶媒(又は溶媒/非-溶媒の配合物)を噴霧乾燥し、CoQ10を、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能を表わす形態において生成する。生物学的に優れたベンゾキノン組成物は噴霧乾燥以外の本技術において熟練する者によって認識されるような方法によって調製することができる。それらの方法には、制限を伴わないで、次のもの、即ち、溶融押出、噴霧凝結(spray congealing)及び凍結乾燥が含まれる。本発明の特定の具体例に従い、ベンゾキノンの十分な部分を不定形状態において提供する。一定の具体例に従い、ベンゾキノンは不定形状態にほとんど完全に転換される。本発明の1種の好適例では、ベンゾキノンは完全に不定形状態に転換される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
補酵素Q10(CoQ10、ユビキノン)は、脂質-溶解性のベンゾキノン、好気性の有機体によって又は合成化学処理(プロセス)を通してのいずれでも生産される生化学物質の族(ファミリ)である。多数のCoQ酵素が識別される一方(例は、CoQ6-Q10)、CoQ9及びCoQ10だけが人間において内因性である。研究は、CoQ10が強力な抗酸化性及び物体上の膜安定性効果を発揮し、代謝を調節するのに役立ち、及びアルツハイマー型、パーキンソン、及び心疾患、特に冠動脈疾患及びうっ血性心不全(congestive cardiac(heart) failure)(Langade(ランガデ)2005年)を患う対象体(患者)で重要であり得ることを提案する。結晶性のCoQ10は本質的に水-不溶性であり、それはその生物学的利用能を制限する。したがって、慣習的な剤形(dosage form)は結晶性のCoQ10を含み、低いCoQ10の水性の溶解性のために低い生物学的利用能しか提供しない。結果として、慣習的なCoQ10の用量(doses)は、治療上の効果を達成するために、CoQ10の過剰な量を含む。他の現在の商業上の調剤物(formulations)は、典型的に、ダイズ油及びグリセリンにおいて溶解するユビキノンを(軟質(ソフト)ゲルとして)、又は結晶性のCoQ10を含む乾燥粉体カプセルとして存在させる。代わりに、この化合物は、その生物学的利用能を高めるために、様々な乳化剤、脂質及び油と、若干の軟質ゲル生成物において再調剤(reformulated)される。しかし、軟質ゲルの技術はカプセル/錠剤(タブレット)の技術よりも多くの労働-及び費用-の集中する処理である。さらに、乳化されるCoQ10組成物は、非-乳化される活性原料と共に調剤するのに十分には適切でない。
【0004】
ベンゾキノン及び、とりわけCoQ10で、化合物の結晶性形態に比べ、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能を表わす固形組成物を生産することが望ましい。結晶性のCoQ10の十分な部分(実質部分)を不定形状態に転換することにより、水性の溶解性及び生物学的利用能が増加する。さらに、不定形の固体として提示されるベンゾキノンは、完成した生成物の製造を促進し、及び添加脂質又は油が実質含まれず、又は他の活性な原料を含んでよい剤形(物)を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)本発明はベンゾキノンを含有する組成物、及びベンゾキノン組成物、とりわけCoQ10組成物の、優れた溶解性及び生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)のものを生産するための方法を提供する。CoQ10及び溶解性-増強性の重合体の混合物が、結晶性のCoQ10に比べて高められる水性の溶解性を示すことが発見された。この増強を創造する組成物の例には、制限を伴わずに、次の、即ち、成分の固形分散物及び物理的な配合物が含まれる。意外にも、CoQ10及び重合体の単純な乾燥混合物は、多くの商業上の軟質ゲルのCoQ10生成物で、それは、脂質、油及び/又はトリグリセリドを採用するものに等しい溶解遊離の特徴を成し遂げる。より一層大きな範囲を伴い更により一層速い遊離は、本発明のいくつか(5又は6種くらい)の具体例において示すように、CoQ10-重合体の分散物と共に生成される。好ましいが、CoQ10の不定形(amorphous)の転換は優れた特性についての必要条件でない。
【0006】
ベンゾキノン及び少なくとも1種の溶解性-増強性の重合体の固形分散物を備え、そこで、ベンゾキノンが分散物において実質不定形であるものがまた提供される。1種の局面において、開示する本発明は、結晶性のCoQ10の不定形状態への転換を記載する。この転換を生成するための1種の方法は、溶媒噴霧乾燥を通じてである。この転換を果す他の技術は、制限を伴わずに、次の、即ち、フラッシュ溶媒蒸発、溶融-凝結(melt-congeal)噴霧、凍結乾燥、及び溶融-押出が含まれる。これらの方法は、単一の溶解性-増強性の重合体又は重合体の配合物を用いることができる。それに応じて、生成物が開発され、それは完全菜食主義者(vegan)/すべての天然物市場(all natural market)(例は、自然に発生する原料類/補助剤類を用い)及びより一層広い市場(例は、合成の原料類/補助剤類を用い)に働く。ベンゾキノンの不定形転換の程度は、双方の重合体の種類及び量及び処理条件に左右される。必要なとき、単一の有機溶媒、溶媒の配合物、又は溶媒/非-溶媒の配合物を用いることができる。
【0007】
1種の局面では、本発明は不定形のベンゾキノンを備える噴霧-乾燥粉体又は造粒化生成物に関する。加えて、一定の具体例に従って生成され得られる粉体は、典型的に、より一層低い残留溶媒含量、及び慣習的な方法によって生成されるそれらの対応物よりも高いタップ密度を所有し、それは粒子形態学及び寸法における変化による。
【0008】
本発明の1種の局面は、ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体を溶媒又は溶媒の配合物において含有する組成物から調製される不定形のベンゾキノンを包含する。この溶媒又は溶媒配合物には、重合体が可溶性である溶媒が包含される。用語“可溶性”は、重合体及び溶媒分子の間の引力が競合する分子間-及び分子内-引力よりも大きいことを意味する。簡単にするために、この溶媒を単に“溶媒”と称する。組成物はまた、溶媒配合物がその反対も正しい溶媒を含むことを記載し、即ち、重合体及び溶媒分子の間の力は重合体分子の間の分子間-及び分子内-引力よりも小さい。この第2の溶媒は“非-溶媒”と名付けられる。重合体は膨潤し得るが、非-溶媒において溶解しない。本発明の1具体例に従い、溶解性-増強性の重合体及び適する溶媒/非-溶媒の配合物を提供する。その上、溶媒は非-溶媒より低い沸点を所有する。なるべくなら、溶媒及び非-溶媒は混和性である。溶媒対非-溶媒の比率は、重合体が溶媒系(システム)において“溶解する”と考えることができるようなものである。
【0009】
独特な粒子特性は溶媒/非-溶媒の配合物を蒸発させることによって創造することができる。例えば、この蒸発は供給溶液又は造粒処理の噴霧乾燥の間に起こり得る。溶媒の配合物を含む微粒化した液滴は、蒸発により合計の溶媒組成物における変化を経験する。方法は、どのようにして、液滴が発生又は微粒化するのかに無関係と考えられる。初期に、重合体は、溶媒の十分な量のために溶解した状態にある。それが蒸発するので(溶媒は非-溶媒よりも低い温度で沸騰する)、液滴中の非-溶媒の濃度が増加する。結局は、溶媒組成物は重合体を溶液において維持するのに不十分である。その際、重合体は溶液で崩れる(collapses from)。この変化は重合体の配座(conformation)において、液滴の蒸発動力学を変え、最終的な粉体の特性に影響を及ぼす粒子の形態学を創造することができる。
【0010】
優れた溶解性及び生物学的利用能のベンゾキノン類が噴霧乾燥によって溶媒単独を含む溶液から形成され得るが、追加の利益が溶媒/非-溶媒の配合物系の使用に関連して存在する。この溶媒/非-溶媒の取組みはより一層低い残留溶媒含量及びより一層小さい粒径(粒度、particle size)の噴霧乾燥した粉体を生産することができる。この設計された粒子の形態学の更なる結論は、原体(バルク)の粉体密度における増加である。増加した粉体密度は多くの適用のための重要な属性(attribute、特質)である。重合体崩壊、-及び従って噴霧乾燥した粉体特性上の正味(net)の効果は-、溶媒対非-溶媒の初期の比率、重合体化学構造及び重合体分子量のような、重合体溶媒和因子(solvation factors)に左右される。残留溶媒含量の減少及び密度の増加に加えて、一次重合体(primary polymer)は溶媒/非-溶媒の系と対形成し、粒子の形態学だけでなく、ベンゾキノンのものに影響を与えず、及びそれによって、活性なものの負荷(active loading)、結晶請、溶解性、安定性及び遊離に影響を与える。
【0011】
付加的な重合体の存在は、それらと第1の重合体及び溶媒系との相互作用によって最終的な粒子の形態学に寄与し得る。これらの付加的な重合体はまた、活性なものの特別な遊離特性を創造するのに有益であり得る。例えば、粒子の形態学、及びそれにより、残留溶媒含量及び原体の粉体密度に影響を与えるために、一次重合体は、溶媒/非-溶媒の系と対を形成し得る。付加的な重合体の補助剤を追加の目的に働くように添加し得、即ち、更に活発な再結晶化を抑制し、更に活性な濃度を最大化し、及び更に溶解速度を高め/遅らせ(delay)/妨害する(retard)。これらの機能性を果すために、補助剤の溶解性を一次重合体について選ばれる溶媒配合物と適切に調和させることが必要である。
【0012】
(図面の簡潔な記載)は(図面の簡単な説明)の項に移す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳しい記述)用語“備える”はより一層制限的な用語“から本質的になる”及び“からなる”を包含する。
【0014】
本明細書に用いる割合(パーセント)、比率及び比のすべては他に特に規定されなければ重量による。
【0015】
本明細書に用いるように用語“固形分散物”は、少なくとも2種の成分を備える固形状態における系に言及し、そこでは、1種の成分が、一様に他の成分又は成分類の間に分散する。用語“固形分散物”は、小さな粒子を持つ系で、完全な結晶性、完全な不定形又は、その間のいずれでも含み、典型的に約1μm未満の直径の、別の相において分散される1種の相である。
【0016】
本明細書に用いるように用語“固溶体”は、固形分散物の種類に言及し、そこでは、1種の成分が別の成分の間に分子的に分散し、系がその中で化学的に及び物理的に均一及び同質であるようにされる。これらの系は、熱分析(例は、示差走査熱量計)、又は回折(例は、X-線回折)の技術によって証明されるように、任意の十分な量の活性原料をその結晶性又は微結晶性の状態で含まない。
【0017】
1種又はそれよりも多くのベンゾキノン(類)を1種又はそれよりも多い溶解性-増強性の重合体(類)と組み合わせる以外の組成物の状態上に配置される条件はない。用語“組み合わせる”には、制限されないが、次の、即ち、配合される、混じり合う(co-mingle)、溶解する、押出され、造粒され、溶融され、粉砕(ミル)され、混合され、篩過され、スラリにされ、噴霧され、撹拌され、及びこれらのそして他の方法の組合せが包含される。他の技術は本分野での熟練者によって識別し得る。さらに、本発明に従う組成物は、付加的な活性原料をベンゾキノン(類)に対し含み得る。活性な製薬上の原料には、制限されないが、次の、即ち、鎮痛薬、抗不整脈薬、抗菌薬、抗痙攣薬、抗アルツハイマ型薬剤、抗糖尿病薬、制吐薬、抗真菌薬、抗ヒスチミン薬、抗高脂血症薬、抗高リポ蛋白血症、抗高血圧薬(抗圧薬)、抗炎症薬剤、抗パーキンソン薬剤、抗肺高血圧薬、抗リウマチ薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、心血管治療剤、化学療法剤、中枢神経系の鎮静薬及び刺激薬(stimulants)、利尿薬、消化器系(胃腸)剤、ホルモン、呼吸器の薬剤、皮膚の薬剤、並びに挫瘡(アクネ)、前立腺肥大、過敏性腸症候群の処置のための活性物(actives)が包含される。栄養補助上の原料には、制限されないが、次の、即ち、草本(ハーブ)、イソフラボン、湿潤剤(モイスチャライザ)、気分調整材(mood regulators)、鉱物、油、タンパク質の補足剤(サプリメント)、皮膚の薬剤、紫外線遮断剤、及びビタミン類が包含される。
【0018】
以下の記載は主にCoQ10を含む噴霧-乾燥した組成物の調製に指向するが、本発明はCoQ10の噴霧-乾燥した組成物に限られない。本明細書に記載する方法はまた、他のベンゾキノンを、優れた溶解性及び生物学的利用能の不定形状態に転換することにおいて有用である。ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体の物理的混合物は、ベンゾキノンの溶解性及び生物学的利用能を高めるが、またそれは本発明の範囲内である。物理的混合物は、混転配合機(タンブルブレンダ)、高-せん断造粒、流動床造粒、薄膜被覆(フィルムコーティング)、又はそれらの任意の関連する技術のような、慣習的な技術に従って調製することができる。
【0019】
1具体例に従い、本発明は噴霧-乾燥した組成物を、CoQ10及び重合体を重合体のための単一の溶媒、溶媒配合物又は溶媒及び非-溶媒の配合物において含む混合物を提供すること、及び混合物を噴霧乾燥し、不定形CoQ10の組成物を形成することによって調製するための方法に関する。
【0020】
本発明の1種の局面は、重合体が、注意深く選定される溶媒又は溶媒の配合物と共に対形成することを包含する。この取組みは重合体が可溶性である溶媒を備える。重合体の溶解性の定義における指導(Guidance in defining)は膨張係数(α)によって提供され、即ち、
【数1】
式中、
は鎖端部(chain ends)間の中間-二乗(mean-square)距離であり、及び
は非摂動次元(unperturbed dimension)である。(等式§1は分枝する重合体について似たやり方において、重心についての旋回の平方-平均半径、
及び対応する非摂動次元、
を用いて書くことができる)。重合体の溶解性は、αが単一又はより一層大きいときに提供され、及びこの条件を満たす溶媒を“良溶媒”、又は単に“溶媒”と呼ぶ。溶媒は重合体分子を巻き戻し(アンコイル)(又は膨らませ)、それは重合体-溶媒の引力が重合体-重合体のものよりも大きいからである。光散乱法で、Viscotek(ビスコテック社)のTriple Detector Array(三重検出機配列)のようなものを、等式§1において表現される変数を定めるのに用いることができる。これらの概念は、教科書のPolymer Chemistry(重合体化学)、An Introduction(序)、Malcolm(マルコム)P. Stevens(スティーブンス)によるものに規定され、それを参考として本明細書に組込む。
【0021】
αが1(ユニティ)に等しいとき、特別な条件が存在し、そこでは重合体-溶媒及び重合体-重合体の力が釣り合う。この条件を可能にする溶媒はθ溶媒と呼ばれる。この発明の情況の中では、溶媒は“良溶媒”と考えられ、それはαが1にほぼ等しいか又はそれよりも大きいときである。温度がαに影響し、それは、良溶媒が非-溶媒中に単に温度を変えることによって転換され得るようなものと理解される。
【0022】
本発明の更に別の具体例では、溶媒配合物はまた、溶媒を含み、それについては、反対も正しく、即ち、重合体-重合体の力は重合体-溶媒の力を支配する。この場合、αは1未満であり、及び重合体が崩壊した状態において存在するので、溶媒は“非-溶媒”と称される。本発明の1具体例に従い、重合体を適する溶媒/非-溶媒の配合物において提供する。溶媒/非-溶媒の配合物は重合体のθ又は溶媒和の状態を維持し、それは重合体が溶媒系において“溶解する”と考えることができるようなものである。付加的に、溶媒は非-溶媒よりも低い沸点を所有する。(共沸混合物を形成する溶媒/非-溶媒の組はこの規準を満たさない)。
【0023】
本発明の別の局面に従い、重合体系を提供し、それは溶解性-増強性の重合体及び適する溶媒/非-溶媒の配合物を備える。適する重合体/溶媒/非-溶媒の組合せの特定の例には、制限を伴わず、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル/アセトン/ヘキサン、及びエチルセルロース/アセトン/水が包含される。独特な粒子の構築物(architectures)は、一次重合体の沈殿物によって、非-溶媒濃度が決定的な値を超えるときに創造される。この決定的な比率のRcは次のように規定することができる、即ち、
【数2】
それは、重合体の沈殿が起こる前の非-溶媒の最大分率(フラクション)である。所定の系のための比率Rcは、十分な増加を溶液濁度において生成する各成分の質量分率を識別することによって実験的に定めることができる。Rc値が重合体系のために識別することができる場合、次いで系は溶媒/非-溶媒の配合物を備える。1種の例は、約10%(w/w)のポリビニルピロリドン、18%(w/w)のジクロロメタン、及び72%(w/w)のアセトンを含む溶液であり、それについてRcは0.80に等しい。重合体系は典型的に溶媒/非-溶媒の配合物で用いられ、それは系のためのRc値で又はそれよりも低い。より一層複雑な重合体/溶媒の系を調剤するのが有利であり、粒子の形態学/寸法並びにベンゾキノンの結晶性、溶解性、生物学的利用能及び遊離特性を調節する。
【0024】
他の具体例に従う本発明は、方法を提供し、噴霧-乾燥した粉体の密度を増加する。典型的に、噴霧乾燥は若干の程度の内部空間(interior void)を伴う球-様の粒子を生成する。この空間は質量を伴わない粒子の嵩(バルク)を増加させ、及び低-密度の物質を創造する。非-溶媒を作動性溶液(working solution、希釈標準溶液)/分散物に対して添加することは、粒径及び形態学を変化させ、密度における増加を導き出す。粒子は、溶媒だけを用いて調製されるものに比べてより一層小さくて、しわが寄り、窪みがあり、及び/又は崩壊されてよい。溶媒/非-溶媒の取組みはまた、中間粒径を減少させ、粉体をより一層良好に詰められるようにする。加えて、粉体の流れ及び粉粉-粉体の混合特性が高められる。
【0025】
一定の局面に従う本発明は、噴霧-乾燥した粉体及び造粒した物質の二次的な乾燥のための必要性を減らし又は排除するために方法を提供する。これらの生成物は残留する溶媒を含むことが多く、及び乾燥機生成物(drier product)を生成するのが好適又は必要である。高残留溶媒含量は調剤又は処理の制限から招かれ得る。一般的な実践は噴霧乾燥される固体を溶解する溶媒を用いる必要があった。そうすることで、溶媒は表面硬化(case hardening)のために、噴霧乾燥した粉体又は造粒した玉(ビーズ)の内側に捕捉され得る。より一層低い-沸騰性溶媒(lower-boiling)とより一層高い-沸騰性の非-溶媒との意図的な対形成で、処理される物質についてのものは、より一層低い残留溶媒の生成物が、非-溶媒の処理重合体上の効果(群)のために産生され得る。
【0026】
本発明は更に、水性の溶解性を高め、及び活性な原料の遊離を、溶媒又は溶媒/非-溶媒の配合物を伴う重合体系の選定により修飾する方法を提供し得る。重合体系を、1種(又はそれよりも多く)の重合体(群)が、溶媒/非-溶媒と共に働き新しい粒子形態学を創造するように選ぶ。溶解性及び活性物の遊離特性、並びに粒子の形態学に影響を与えるのに必要なように、付加的な重合体(群)を添加し得る。優れた溶解性が、多数の因子によって達成され、次のものが含まれ(制限されないが)、即ち、優れた湿潤性(wettability)、不定形のベンゾキノン形態の創造、再結晶化に対する安定化、及び/又は共-溶媒和の効果(co-solvation effects)である。そうすることで、ベンゾキノンの超飽和化溶液(supersaturatured solution)が生成される。“修飾した遊離”は、活性物が遊離される時間枠(time frame)を変化させることに言及し、即ち、迅速な、遅れ、拡張(extended)である。これらの修飾した遊離は、機能的な重合体(群)と、適切な溶媒/非-溶媒の配合物と共に調和させることによって創造される。
【0027】
本発明に従う処理において用いるために適する溶媒及び非-溶媒は、任意の有機化合物(水を含む)ことができ、そこでは一次重合体は溶媒の場合において、溶解性であり、又は非-溶媒の場合においては、不溶性である。溶媒/非-溶媒の選定及び比率は、一次重合体の選定に左右される。それに応じて、溶媒又は非-溶媒としての有機化合物の識別は一次重合体に左右される。したがって、1種の系において溶媒は、別のものでは非-溶媒であってよい。特に有用な溶媒及び非-溶媒は、制限されないが、次のものを含み、即ち、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、ターシャル-ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1-2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1-2-ジメトキシエタン、N-N-ジメチルアセトアミド、N-N-ジメチルホルムアミド、1-4-ジオキサン、エタノール、2-エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、酢酸メチル、2-メトキシエタノール、3-メチル-1-ブタノール、メチルブチルケトン、メトルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1-2-2-トリクロロエタン、トルエン、水、及びキシレンである。溶媒の混合物、及び非-溶媒の混合物はまた、用いることができる。特定の具体例に従い、溶媒の配合物を、共沸性の組成(1種の共通の温度で沸騰する)で、溶媒又は非-溶媒、溶媒/非-溶媒の配合物でないのいずれでも備えることができる。
【0028】
本発明の混合物において用いるのに適する溶解性-増強性の重合体は、ベンゾキノンの溶解性を高める。本発明の特定の局面に従い、溶解性-増強性の重合体はまた、ベンゾキノンの結晶化を抑制し、及び従って重合体の存在は、少なくとも若干の結晶性ベンゾキノンを不定形状態に転換することを招く。それらの具体例に従い、そこでは、溶媒/非-溶媒の配合物を用い、少なくとも1種の重合体は溶媒において可溶性であるべきで、及び非-溶媒においては可溶性であってはならない。有用な重合体の特定の例には、次のものを含み、制限されないが、即ち、脂肪性ポリエステル(例は、ポリD-ラクチド)、糖質(炭水化物)(例は、ショ糖)、カルボキシアルキルセルロース(例は、カルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース(例は、エチルセルロース)、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロース(例は、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキル(hydroxyalkylalkyl)セルロース(例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの誘導体、ポリアミン(例は、キトサン)、ポリエチレングリコール(例は、PEG8000、PEG20000)、メタクリル酸重合体及び共重合体(例は、Rohm Pharma Gmbh(ローム・ファーマ社)の重合体のEudragit(R)(ユードラギット(商標))シリーズ)、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体(例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル)、ビニルラクタム(vinyllactam)のホモ-及び共重合体、多糖類(例は、アルギン酸)、ポリグリコール(例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル(例は、ポリ酢酸ビニル)、及び精製(refined、微細)/修飾(modified)のセラック(shellac)である。用語“ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体”は、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチル酢酸琥珀酸セルロースを備えることを意味する。混合物において存在する重合体の量は、混合物の重量によって、約1%から約95%まで、より一層特に、約5%から90%まで、及び一定の具体例に従って、重量で約25%から75%までの範囲に及び得る。重合体の配合物もまた用い得る。
【0029】
生物学的に優れた(bioenhanced)組成物は、噴霧-乾燥した混合物を備え得、活性原料としてCoQ10のような、ベンゾキノンを含む。約1%から約95%までの活性、より一層特に、約20%からの約80%までの活性を、活性の望ましい用量に従って含み得る。重合体に対するベンゾキノンの重量比率は、典型的に約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体から、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体まで、より一層特に、約70%のベンゾキノン:30%の合計重合体から約30%のベンゾキノン:70%の合計重合体まで、及一定の局面に従い、約60%のベンゾキノン:40%の合計重合体から約40%のベンゾキノン:60%の合計重合体までである。
【0030】
溶解性の増強性の重合体と組み合せるとき、本発明に従う噴霧乾燥した組成物は不定形状態においてCoQ10の部分を生成する。用語“不定形”は化合物の非-結晶性状態に言及する。言い換えると(In other word)、不定形の化合物は長期に及び(long-ranged)、規定される結晶性の構造に欠ける。本発明の一定の具体例に従い、少なくとも若干の、より一層特に、少なくとも約10%、少なくとも約25%、又は少なくとも約40%のベンゾキノンは、組成物において不定形の形態である。他の具体例では、化合物の少なくとも主要部分(大部分)は不定形である。本明細書に用いるように、用語“主要部分”の化合物は少なくとも約50%の化合物が組成物において、むしろ結晶性の形態よりは、不定形の形態にあることを意味する。より一層特に、化合物は組成物において、実質不定形であり得る。本明細書に用いるように、“実質不定形”は、化合物の結晶性の形態においての量が、約25%を超えない(即ち、化合物の約75%より多くが不定形の形態である)。本発明の特定の具体例に従い、化合物は組成物において、“ほとんど完全に不定形”であり、それは薬物の結晶性の形態における量が約10%を超えないことを意味する(即ち、化合物の約90%よりも多くが不定形の形態にある)。組成物はまた、化合物が組成物において、“完全に不定形”であると考えられるように提供され、それは、薬物の結晶性の形態がX-線回折又は熱分析のような慣習的な技術を用いて検出可能でないことを意味する。完全に不定形のような組成物への言及は薬物の結晶性形態の痕跡量(約1%未満)を含む組成物を除外しない。
【0031】
不定形物質は、示差走査熱量測定により測定される溶融吸熱(melting endotherm)のような若干の測定可能な特性を欠き、それは結晶性の形態を特徴付ける。結晶性のベンゾキノンの量は、粉体のX-線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、又は任意の他の標準的な定量分析によって測定され得る。組成において示される結晶性のベンゾキノンの量は、この技術の通常の技量の者に既知の任意の他の標準的な測定によって検出され得る。そのような特性の測定が機器の種類、感受性、操作、及び分析に依存していることは理解される。
【0032】
不定形の形態においてCoQ10を提供することにより、本発明の一定の局面に従い生成される噴霧乾燥した粉体は、基本的な結晶性形態を含む生成物(約48℃で溶融する)に比べて、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能のCoQ10を提供する。活性の優れた生物学的利用能はまた、活性についての減少される調剤寸法(dosage size)及び用量の量を導き出すことができる。本出願人はまたCoQ10遊離の比率が噴霧乾燥した処理のための溶媒溶液中に添加される重合体の妥当な選定を通して調節され得ることを定めた。
【0033】
噴霧乾燥した混合物又は生物学的に優れた組成物はまた、付加的な重合体物質を含み得、それは組成物の特性を修飾することができる。例えば、一定の重合体は、粒子の形態学/寸法、並びに溶解性及び生物学的利用能及び活性原料の遊離の特徴を調節するために含むことができる。付加的な重合体をまた、混合物において含め、更に活性の再結晶化を抑制し、更に活性物の濃度を最大化し、及び更に溶解比率を高め/遅らせ/妨害する。付加的な重合体は、この系中に組込まれ、特別に制限されない。
【0034】
噴霧乾燥される混合物は典型的に、混合物の合計重量に基づいて、合計の溶媒又は溶媒/非-溶媒の重量によって約40%から99.9%まで、より一層特に、合計の溶媒又は溶媒/非-溶媒の重量によって約80%から95%までを含む。溶媒/非-溶媒の配合物を用いるとき、決定的な比率のRcは、約0.01-0.99から、より一層特には、約0.1-0.9から、まだより一層特には、約0.3-0.8から変動することができる。
【0035】
溶媒、重合体及びCoQ10又は他のベンゾキノンに加え、噴霧乾燥すべき混合物はまた、他の原料を、混合物の性能、取り扱い又は処理を改善するために含むことができる。代わりに、これらの原料はまた、既に調製したベンゾキノン-重合体中に、制限されないが、混転配合及び造粒技術を含む方法によって、かき混ぜられ得る。典型的な原料には、制限されないが、表面活性剤、pH修飾剤、充填材、錯化性薬剤(complexing agent)、可溶化剤、顔料、滑剤、流動促進剤(glidant)、香料薬剤(flavor agent)、可塑剤、風味遮蔽性薬剤(taste masking agent)、等が包含され、それらは習慣的な目的のために及び典型的な量において用い得る。
【0036】
本発明の一定の局面に従い用いる噴霧乾燥する機器は、任意の種々の商業上入手可能な機器又は液体混合物から同様な粒子を生成し得る他の装置であることができる。特定の噴霧乾燥する装置の例には、Niro Inc.(ニロ社)によって製造される噴霧乾燥機(例は、SD-Micro(R)(SD-ミクロ)、PSD-1(R)、PSD-2(R)、等)、Buchi Labortechnik AG(ブッチ・ラボルテクニク社)によるMini Spray Dryer(R)(ミニ・スプレイ・ドライヤ)、Spray Drying Systems, Inc.(スプレイ・ドライイング・システムズ社)によって製造される噴霧乾燥機(例は、型(モデル)30、48、72)、及びSSP Pvt. Ltd(SSP Pvt.社)が含まれる。
【0037】
噴霧乾燥する処理及び噴霧乾燥する機材は、Perry's Chemical Engineers' Handbook(ペリーの化学工学のハンドブック)、第6版(R. H. Perry(ペリー)、D. W. Green(グリーン)、J. O. Maloney(マローニ)、 eds.(編))、McGraw-Hill Book Co.(マグロ-ヒル・ブック社)1984年、第20-54頁から20-57までにおいて一般に記述される。噴霧乾燥処理及び機材のより一層の詳細はMarshall(マーシャル)“Atomization and Spray Drying(微粒化及び噴霧乾燥),”、50 Chem. Eng. Prog. Monogr.(ケミ・エンジ・プログ・モノグラ) Series 2 (1954年)によって総論される。これらの参照文献の関連内容を参考として本明細書に組込む。
【0038】
用語“噴霧乾燥”は慣習的に用い、及び概して、液体混合物が小さな液滴にまで壊れること、及び混合物からの容器における溶媒の迅速な除去(噴霧乾燥機器)で、そこでは液滴から溶媒を蒸発させるための強力な駆動力がある。微粒化技術には、二流体(two-fluid)及び圧力ノズル、及び回転霧吹き(rotary atomizer)が含まれる。溶媒蒸発のための強力な駆動力が一般に溶媒の噴霧乾燥機器において分圧を、溶媒の蒸気圧よりも十分い低く、乾燥する液滴の温度で維持することによって提供される。これは、(1)圧力を噴霧乾燥機器において部分的な減圧で維持するか、(2)液体の液滴を温かい乾燥気体と混合するかのどちらかでも、又は(3)双方によって果され得る。
【0039】
概して、乾燥する気体の温度及び流速、及び噴霧乾燥機の設計を選び、重合体/活性物の溶液の液滴がそれらを機器の壁に到達させる時間までに足りる乾燥であり、それらが本質的に固形であるようにされ、及びそれらは微細な粉体を形成し、及び機器の壁に粘着しないようにされる。また、噴霧乾燥機は生成物が機器の壁上で集められ、及び次いで物質を手動で、空気圧で、機械的に除去すること、又は他の手段によって収集するように操作することができる。乾燥の好適な程度を達成するための実際の時間の長さは、液滴の寸法、調剤、及び噴霧乾燥機操作に左右される。固化に次いで、固形粉体は、噴霧乾燥室(チャンバ)において、5-60秒間留まらせ、更に固形粉体から溶媒を蒸発させる。固形分散物の最終的な溶媒含量は、それが乾燥機を出るので、低いべきであり、それはこれが生成物の安定性を改善するからである。概して、噴霧-乾燥した組成物の残留溶媒含量は、重量によって約10%未満で、及びなるべくなら重量によって約2%未満とすべきである。一定の具体例に従って、残留する溶媒含量は、International Conference on Harmonization(国際会議ハーモナイゼーション)(ICH)Guidelines(基準)に述べられる制限内である。本発明の一定の局面に従って典型的には要求されないが、非-溶媒の存在はより一層少ない残留溶媒含量の噴霧-乾燥した粉体を生成するので、本発明の一定の具体例に従い、噴霧-乾燥した組成物を、より一層低い残留溶媒への乾燥に、更により一層低い程度(レベル)のものにまで受けさせることは有用であり得る。更により一層低い溶媒程度までへの方法については、制限されないが、流動床乾燥、赤外線乾燥、混転乾燥、減圧乾燥、及びこれらの組合せ、及び他の処理が含まれる。特定の噴霧乾燥処理に関する付加的な詳細は、例においてより一層詳細に記載する。しかし、粉体を噴霧乾燥するための操作条件はこの技術においてよく知られており、及び熟練者によって容易に調整することができる。さらに、例は実験室-規模の噴霧乾燥機を用いて得られる結果を記載する。この技術の通常の技量のものは、変数を容易に理解し、それは、同様な結果を生産-規模で得るために修飾されなければならないものである。
【0040】
上記に指示されるように、本発明は噴霧乾燥によって生成される不定形のCoQ10に限られない。本出願人は、CoQ10と溶解性-増強性の重合体との物理的混合物がまたCoQ10の溶解性及び生物学的利用能を高めることができることを定めた。重合体及びCoQ10の物理的な混合物を調製するための方法は、特別に制限されない。本発明の1種の局面に従い、溶解性-増強性の重合体及びCoQ10の物理的な混合物は、混転配合、コ(共、同時)-ミリング、撹拌、造粒、又はこの技術における熟練者に既知の他の方法によって形成され得る。
【0041】
噴霧乾燥に加えて、本発明の組成物は、制限されないが、押出、球形化(spheronization)及び噴霧凝結を含む、他の処理によって調製され得る。
【0042】
押出は、湿気のある(damp)又は溶融される組成物に圧力を、それが孔(オリフィス)又は画成する開口を通して流れるまで適用するよく知られる方法である。押出可能な長さは、押出されるべき物質の物理的特徴、押出の方法、及び押出後の粒子の操縦(manipulation)の処理と共に変動する。スクリュ、篩、及びバスケット、ロール、及びラムの押出機のように、種々の種類の押出装置を採用することができる。
【0043】
溶融押出では、成分は、溶融され、及び溶媒を伴い又は伴わず、及び他の添加剤の封入(inclusion)を伴い又は伴わずに、連続的に処理で押出すことができる。そのような処理は、よく確立されており、及びこの技術において熟練した実践者によく知られている。
【0044】
球形化は物質を球形に転換する処理で、その形状は容量比率に対し最も低い表面積を有する。球形化は、典型的に、湿気のある押出された粒子から始まる。押出された粒子は、均一な長さに壊され、球形の形状にまで即座に(instantaneously)及び緩徐に変換する。加えて、粉末の(粉体化した)原材料は、液体又は混合機からの物質のいずれもの添加を要し、空気を補助にする球形化装置(spheronizer)において処理することができる。
【0045】
噴霧凝結は、物質の構造を変化させるのに一般に用いる方法であり、液体から自由に流れる粉体を得られ、及び約0.25mmから2.0mmまでの寸法に及ぶ丸剤(ペレット)を提供する。噴霧凝結は、目的の物質を溶融させ、分散させ、又は他の添加剤のホットメルトにおいて溶解することを包含する。溶融混合物は次いで、空気室中に噴霧され、そこでは、温度が調剤成分の融点よりも低く、球形の凝結丸剤が提供される。用いる冷却空気の温度は生成物の凝固点に左右される。粒子は凝結される溶融物から形成される固形結合(solid bonds)によって一緒に保持される。ほとんどの噴霧凝結処理における溶媒蒸発の不存在のため、粒子は概して非多孔性であり、及び強く、及び動揺(agitation)に際し無傷のままである。最終的な凝結生成物の特徴は、用いる添加剤の特性に一部左右される。供給速度及び入口/出口の温度は、微粒化された液体の液滴の凝結を確かにするために調整される。供給は適切な粘性を持つべきであり、均質性を確実にする。粉体への溶融供給物の転換は、単純であり、連続的な工程である。妥当な微粒化及び調節された冷却速度は、決定的であり、高い表面積、均一な及び均質な凝結丸剤を得る。これらの助変数(パラメータ)の調整はこの技術における熟練者によって容易に達成される。
【0046】
噴霧凝結方法は噴霧乾燥に似ており、例外として溶媒を用いない。代りに、活性な原料(群)を分散及び/又は溶融し、溶融-処理可能な(melt-processable)重合体(群)を備える基材(マトリクス)にする。噴霧凝結することは、均一な及び迅速な処理であり、及び生成物が任意の機材の表面と接触するようになる前に完了する。分解することなく溶融するほとんどの活性物及び添加剤はこの方法のために適する。
【0047】
冷たい入口空気で操作される慣習的な噴霧乾燥機は、噴霧凝結のために使用されている。いくつかの(5又は6種くらいの)溶融物塊の微粒化の方法は、圧力、又は空気圧を使ったもの(pneumatic)又は遠心力微粒化のようなものを用いることができる。噴霧凝結の技術において熟練する人々にとって、いくつかの、基材物質、粘性のような調剤の局面、及び温度、微粒化及び冷却の速度のような処理要因が、噴霧凝結した丸剤の品質(形態学、粒径分布、多形及び溶解の特徴)に影響を与えることがよく知られている。噴霧凝結される粒子は、錠剤の造粒物(granulation)形態、カプセル化(封入)の形態で用いてよく、又は液体の懸濁物の形態中に組込むことができる。
【0048】
本発明の一定の局面に従い調製される組成は、脂質又は油の十分な量の使用を要求しないで、優れた溶解性及び生物学的利用能を見せる不定形のベンゾキノンを提供する。実際、本発明の一定の局面は、不定形のベンゾキノンを含む組成物に関し、それは、脂質、トリグリセリド、又は油を実質含まない。
【0049】
本発明の具体例に従い生成されるベンゾキノンは、固溶体又は固形分散物のような固形状態の形態において存在する時でさえ、優れた溶解性及び生物学的利用能を見せる。ベンゾキノンはそのような組成物において、重量によって約5%を超え、より一層特に約10%を超え、及び若干の場合には、組成物の重量によって約25%、40%又は50%さえも超えるレベルで存在し、及び更に化合物の結晶性形態に比べて優れた溶解性及び生物学的利用能を表わす。
【0050】
本発明に従う組成物は、多種多様な経路によって運ぶことができ、次のものを制限されないで含み、即ち、頬、皮膚、静脈内、鼻、経口、肺、直腸、皮下、舌下、及び鞘(膣)である。概して、経口経路が好ましい。
【0051】
本発明に従う組成物は多数の形態において提示され得る。模範的な提示の形態は、粉体、顆粒、及び多重の粒子状物質(multiparticulates)である。これらの形態は、カプセルに直接添加し得、又は更に錠剤、カプセル、又は丸薬(pills)を生産するのに圧縮されるか、又は水又は他の液体の添加によって再構成し、糊状物(ペースト)、スラリ、軟膏、懸濁物又は溶液が形成される。種々の添加剤を、本発明に従う組成物と共に混合し、磨砕し、又は造粒し、上記の剤形のために適する物質を形成し得る。
【0052】
本発明に従う組成物は、種々の形態において調剤し得、その結果、それらは粒子の液体媒介物(liquid vehicle)において懸濁物として運ばれる。かかる懸濁物は、液体として、又は糊状物として製造の時に調剤され得、又は乾燥粉体として液体、典型的な水と一緒に、管理(投与)に先立ってであるが後の時間に添加されて調剤され得る。かかる粉体は、懸濁物中に構成され、小袋(sachets)又は構成のための経口粉体(oral powders for constitution)(OPC)として言及されることが多い。かかる剤形は調剤し、及び任意の既知の手法を介して再構成することができる。
【0053】
経口、固形-用量の噴霧乾燥粉体は、典型的に約0.5μm-500μmの中間の粒径を持ち、及び概して1%又はそれよりも多い合計固形物の濃度で、より一層特に約2%-50%から、及び更により一層特に約3%-30%の固形物の溶液から調製される。
【0054】
経口の、固形の用量の顆粒は、典型的に約50μm-5000μmの中間の粒径を持つ。顆粒を生成するための技術は、制限されないが、湿潤造粒及び種々の流動床造粒の方法が含まれる。
【0055】
本明細書に記載する優れた溶解性及び生物学的利用能のベンゾキノンを備える組成物は、慣習的な技術に従って調製され得る。本発明の1種の局面に従い、CoQ10及び崩壊剤を備える剤形を提供する。組成物において用いる崩壊剤は、好ましくはいわゆる超崩壊剤(superdisintegrant)の種類であり、この種の崩壊剤は、この技術において熟練する人々に良く知られている。これらの崩壊剤の例として、次のものに言及され、即ち、架橋結合ポリビニルピロリドン、特別にクロスポビドン(crospovidone)、修飾澱粉、特別に澱粉グリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、修飾セルロース、特別にクロスカルメロースナトリウム(架橋結合カルボキシメチルセルロースナトリウム)及びLHPC(低-置換ヒドロキシプロピルセルロース)である。崩壊剤又は超崩壊剤は、約2%から約90%まで、好ましくは約3%から60%までの組成物の量において存在し得る。
【0056】
これらの組成物及び本明細書に記載の方法によって生成されるベンゾキノン生成物は人間又は動物に対して投与され得る。本明細書に記載される組成物は食餌補足物として又は製薬上の組成物として管理され得る。ベンゾキノンの組成物は、そのような処置を必要とする人間又は動物への治療上有効な量において投与され得る。本明細書において用いるように、用語“治療上有効な量”は、薬学的な原料の量に言及され、それは、疾病の徴候を処置し、防止し、又は軽減するのに有効なものである。本発明に従う製薬上の組成物は、様々な、制限されないが、アルツハイマ、パーキンソン、うっ血性心不全及び冠動脈の疾病のような疾病を処置するのに用い得る。それはまた、栄養素(nutrient)、栄養上の補足物又は獣医学の薬品として用いることができる。
【0057】
本明細書に記載するベンゾキノンの生成物は、種々の食料又は飲料において提供され得る。適する食料の例には、栄養バー、ケーキ、飲物混合物(drink mixes)等のような、焼き商品(baked goods)及び非-焼き商品が包含される。飲料の例には、水、エネルギ飲物、スポーツ飲物、清涼飲料(ソフトドリンク)、茶等が包含される。
【0058】
本明細書に記載するベンゾキノン生成物はまた、半-液状(又は半-固形)の形態において提供され得る。例には、制限なしで、軟膏、クリーム、糊状物、及びセルブズ(salves)が包含される。これらの組成物は、局所的に、経口で、又は舌下で(sublingualis)投与され得る。
【0059】
本発明の一定の局面に従って調製される組成物は、好ましくは1種又はそれより多い次の特性を特定の範囲内で見せ、即ち、
【実施例】
【0060】
本発明をより一層詳細に次の非-制限的例によって説明する。
(例1)
【0061】
4種の噴霧乾燥した粉体をCoQ10及び2種の溶解性-増強性の重合体を含めて、各重合体について2のCoQ10:重合体の比で作成した。噴霧乾燥のための溶液を、10%の合計固形物で重合体を溶媒(ポリビニルピロリドン(PVP)についてのジクロロメタン、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-P)についてのアセトン)において溶解することによって調製し、及び次いで緩徐にCoQ10を溶液が生成されるまで添加した。粉体をSD-Micro(R)(Niro, Inc.)の、0.5mmのID、2-の流体ノズルを有する噴霧乾燥機を用いて作成した。変調示差走査熱量測定(MDSC)(Q1000(R)、TA Instruments(TAインスツルメンツ))(0.5℃/分、熱だけの条件)による分析は、75%の重合体を含む粉体が完全に又はほとんど完全に不定形であり、一方、50%の重合体を有する粉体が結晶性のCoQ10(表1)の若干の程度を含むことを示した(表1)。
【表1】
(例2)
【0062】
溶解特性を、例1、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物(1種の軟質ゲル及び1種の乾燥粉体カプセル)上で測定した。非-商業上の試料すべては、寸法1のゼラチンカプセル(Shinogi(シノギ) Qualicaps(クアリキャップス))中に手で充填した(hand-filled)。USP(米国薬局方)の機器II(paddles、櫂付)(VK 7010(R)、Varian, Inc.(バリアン社))を、37℃の浴温を用い、50rpm で最初に60分間、及び次いで200rpmで付加的な15分間用いた。媒体は、Cremophor(R)(クレモホア)EL(BASF Corp.(BASF社))、及び4%のAcconon(R)(アコモン)MC8(Abitec Corp.(アビテック社))を含んだ。分析を高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を、紫外線検出(SPD-10Aの検出機モジュールを有するSCL-10コントローラ、Shimadzu Scientific Instruments(島津サイエンティフィク・インスツルメンツ社))と共に用いて行った。
【0063】
噴霧乾燥したすべてのCoQ10の生成物は、純粋なユビキノンよりも大きな範囲でより一層速い溶解を達成した(図1A)。遊離の比率(速度)及び範囲は、重合体の種類及び量によって調節される。この溶解媒体において、ポリビニルピロリドンは、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースよりも高いユビキノンの遊離を提供した。ポリビニルピロリドンの含量を50%から75%にまで高めることは、CoQ10の結晶性を排除し(例1)、及び更に溶解の比率を高めた。噴霧乾燥した1部のCoQ10対3部のポリビニルピロリドンを含む試料は、商業上市販されるCoQ10生成物よりも高い遊離を与えた(図1B)。
(例3)
【0064】
溶解の挙動は、添加する表面活性剤を伴わない水において、例1、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物からの完全に不定形の噴霧乾燥した粒子について測定した。溶解試験方法は、溶解媒体がUSP水しか含んでいないこと以外、例2において記載するように同じままであった。
【0065】
完全に不定形の1部のCoQ10対3部のポリビニルピロリドン生成物は、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物に比べて大きな範囲の遊離を伴う最も速い遊離を成し遂げた(図2A及び2B)。10分後の遊離の比率は、不定形の噴霧乾燥した粉体を含むカプセルについて(18%遊離)、軟質ゲルカプセルの生成物(4%遊離)に比べて4.5-倍高かった。商業上の軟質ゲル生成物は、ダイズ油を含み、溶解において遅延(lag in)及びより一層低い最大遊離を示す一方、商業上の生成物は結晶性CoQ10を含み、ベンゾキノンの遊離を与えるのに失敗した。
(例4)
【0066】
例1において生成した試料を、2つの種類の崩壊剤、小-粒径のクロスポビドン(Polyplasdone(R)(ポリプラスドン)XL-10、ISP社)、及びほぼ同じ寸法のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(R) (アク-ディ-ソル)、FMC BioPolymer(バイオポリマ))と共に配合した。各場合において崩壊剤のレベルは40%であった。溶解の手法は例2と同じであった。崩壊剤を有する噴霧乾燥粉体は、商業上市販されるCoQ10の軟質ゲル生成物に比べて匹敵するか、又はより一層高いCoQ10遊離を達成した(図3)。
(例5)
【0067】
物理的な混合物を、結晶性CoQ10と可溶性重合体(PVP又はHPMC-P)とで調製した。粉体は、硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)中に、付加的な40%の崩壊剤を伴わないでか、又は伴って、手で充填した(小-粒子のクロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウム)。溶解特性は例2の方法を用いて測定した。
【0068】
崩壊剤を伴わない物理的な混合物すべては、結晶性形態に比べてCoQ10の遊離を高めた(図4.A)。優れたCoQ10の遊離は、15分後に結晶性の形態に比べて12-倍高く(1部のCoQ10:3部のPVP)から28-倍高く(1部のCoQ10:3部のHPMC-P)にまでに及んだ。崩壊剤を伴わない物理的な混合物すべては、溶解試験の60分後に結晶性形態よりも高いCoQ10遊離を提供した。
【0069】
崩壊剤を伴う物理的な混合物すべては、商業上のCoQ10生成物と比べてCoQ10の遊離が高められた(図4B)。
【0070】
CoQ10及び可溶性重合体の単純な物理的混合物が(添加される崩壊剤を伴うか又は伴わないで)、結晶性のCoQ10形態、及び商業上のCoQ10生成物で、それがダイズ油を含むけれども可溶性重合体を含まないものに匹敵する優れた溶解挙動を表示することは驚くべきことである。この技術において通常の技量のものが理解するように、溶解の結果による証拠として溶解性における増加は、対応する組成物における活性物の増加した生物学的利用能の指標である。
(例6)
【0071】
CoQ10をポリビニルピロリドン(Plasdone(R)K-29/32、ISP)と共に、比率で1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンにおいて、20%の合計固形物で、噴霧乾燥した。2種の噴霧乾燥した粉体を生成し、1種は100%のジクロロメタン(DCM)から、他は80%のDCM、20%のアセトンの配合物からであった。CoQ10は双方のDCM及びアセトンに溶解性であり、一方ポリビニルピロリドンはDCMにおいてだけ溶解性である。残りの噴霧乾燥の条件はすべて同じままであった。試料の分析には、例2において記載する溶解方法が包含された。試験結果を表2において提供する。
【0072】
双方の噴霧乾燥した粉体は、結晶性のCoQ10に比べて優れた溶解特性を見せた(図5)。溶媒系(システム)の変化は、溶解挙動に影響を与え、溶媒/非-溶媒の溶液からのその粉体において、著しく速い及びより一層高い遊離及び遊離の範囲を成し遂げた。50%のCoQ10の溶解(t50%)のために時間が260%短くされ、18分から5分までであり、100%の溶媒から溶媒/非-溶媒の配合物への切換えによることは意外である。同様に、80%のCoQ10の溶解(t80%)の時間が、100%の溶媒からの溶媒/非-溶媒の配合物への切換えによって68分から12分へ短くされた。
【0073】
溶媒溶液からの粒子は球形/球状体(globular)であった(図6A)が、より一層小さい、糸-状(thread-like)粒子が溶媒/非-溶媒の配合物から形成された(図6B)。溶媒から溶媒/非-溶媒への変化はまた、粒径分布を減少させ(図7)、減少した幅によって指示されるようであり、空気におけるレーザ散乱法(lasar scatting(scattering) method)(LA-910(R)、Horiba Instruments(ホリバ・インスツルメンツ社))によって測定されるようである(表2)。幅は71%減少し、2.4の(溶媒だけの方法)から0.7(溶媒/非-溶媒の方法)までであった。
【0074】
意外にも、溶媒系における変化はまた、CoQ10物理化学を変えた。双方の生成物が出発物質よりも少ない結晶性である一方、溶媒/非-溶媒の配合物から調製した試料はほとんど完全に不定形であるが、十分な結晶性がこれらの条件の下で100%のDCMからの噴霧乾燥された粉体において測定された(図8)。
【0075】
溶媒/非-溶媒の配合物の取り組みの他の利点は、水分バランス(MB45、Ohaus Corp.(オハウス社))によって測定されるように、より一層少ない残留溶媒含量しか含まず、及び水流濃度計(tap densitometer)(TD-1020、Distek Inc.(ディステク社))によって測定されるように、より一層高い密度を含む。
【表2】
*熱だけの条件をアルミニウム、密封なべ(hermetic pans)と共に用いるMDSCにより測定される。
+空気におけるレーザ散乱法により測定され、
【数3】
(例7)
【0076】
溶解特性は、例1の不定形噴霧乾燥粉体の2種について測定し、及び結晶性のCoQ10と比較した。最初のものは1部のCoQ10:3部のHPMC-Pを含み、及び第2のものは1部のCoQ10:3部のPVPを含んだ。CoQ10の試験した用量は30mgであり、及び物質は硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)中に付加的な15%のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(R)、FMC BioPolymer)と共に充填した。溶解試験条件は、溶解媒体がpH6.8のリン酸塩緩衝剤であった以外、例2のそれらと同じであった。フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解性はpH依存性で、約5よりも高いpHの胃腸流体において溶解する。ポリビニルピロリドンの溶解性はpH-無関係である。
【0077】
双方の不定形の噴霧乾燥分散物は、結晶性形態よりも高い、及び速い遊離を提供した(図9)。15分後の結晶性形態と比べて、PVPの調剤はCoQ10の遊離を88-重(倍)に高め、一方で、HPMC-Pの調剤はCoQ10の遊離を189-重に高めた。更に一層大きく高められた遊離は、試験の60分後に測定し、即ち、192-重(HPMC-Pの調剤対結晶性)、及び174-重(PVP調剤対結晶性)。
(例8)
【0078】
1部のCoQ10:3部のHPMC-Pを含む例1の不定形噴霧乾燥した粉体を、2種の調剤を用いて錠剤化した(tableted)。錠剤溶解特性は、pH6.8のリン酸塩緩衝剤において例7と同じ方法を用いて測定した。これらの錠剤の調剤は、希釈剤の選択を除いて別の方法で同一であり、即ち、第1のものは微結晶性セルロース(Avicel(R)(アビセル) PH102、FMC BioPolymer)を含み、一方第2のものは乳糖(ラクトース)一水化物(Fast-Flo(R)(ファスト-フロ) 316、Foremost Ingredients Group(フォレモウスト・イングレディエンツ・グループ))を含んだ(表3)。
【0079】
未被覆錠剤の調剤は双方ともCoQ10の高い遊離をpH6.8のリン酸塩緩衝剤において維持し、CoQ10遊離を結晶性のCoQ10と比べ約200-倍数にまで増加させた。
【表3】
(例9)
【0080】
例8の調剤8Aによって作成される錠剤を約32%のヒドロキシメチルセルロース(6cp)、約5%のグリセリン、及び約63%の水性セラックを備える被膜を用いて3%重量(乾燥重量に基づく)が獲得されるように被覆した。錠剤溶解をpH6.8において例7で記載するのと同じ方法を用いて測定した。
【0081】
被覆錠剤が、未被覆錠剤よりもまだ高く、及びより一層一定したCoQ10遊離を達成したことは意外である(図11)。
(例10)
【0082】
1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン(Plasdone(R)K-29/32 International Specialty Products(インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社))を含む例1の不定形噴霧乾燥粉体を、標準的な錠剤性(tabletting)賦形剤を用いて錠剤化した(表4)。錠剤は30mgのCoQ10を含んだ。溶解特性をpH6.8のリン酸塩緩衝剤において例7の方法を用いて測定した。
【0083】
溶解の15分後に、PVP-含有錠剤がCoQ10の遊離を結晶性CoQ10と比べて200-倍数にまで高めた。
【0084】
【表4】
(例11)
【0085】
本発明において開示するCoQ10組成物の単一投薬の薬物動態学は、結晶性CoQ10生成物と健康なヒト男性において絶食状態で比較された。例8の未被覆錠剤(錠剤8A)及び例10及び100mgの結晶性CoQ10を含む乾燥した粉体における商業上のCoQ10生成物、硬質ゼラチンカプセルを選ぶ。ヒトのボランティアは食料を与えられず8時間後の300mgで単一投薬される。血液試料を引き出し、及び有効な分析的方法を用い、投薬後の時間の関数としてCoQ10の血しょう濃度を測定する。
【0086】
本発明に従うCoQ10錠剤を、結晶性、商業上の生成物に関連するCoQ10のより一層高い血しょう濃度を達成することが期待される。
【0087】
組成物及び/又は本明細書に記載した製造の方法の工程又は工程の配列において、次の請求の範囲において規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱しないで、この技術における熟練した人々による変化を行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1A】例1(崩壊剤の添加を伴わない)の組成物についての溶解プロファイルを例2において記載するように示す。
【図1B】例1の完全に不定形の組成物(崩壊剤の添加なし)についての溶解プロファイルを2種の商業上のCoQ10生成物と比べて例2において記載するように示す。
【図2A】1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む噴霧乾燥した粒子(崩壊剤の添加なし)についてのUSP(米国薬局方)の水における溶解プロファイルを結晶性のCoQ10と比べて示す。
【図2B】1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む噴霧乾燥した粒子(崩壊剤の添加なし)についてのUSP水における溶解プロファイルを2種の商業上のCoQ10生成物と比べて示す。
【図3】例1の組成物(崩壊剤の添加なし)について、及び商業上のCoQ10生成物について溶解プロファイルを例4において記載するように示す。
【図4A】CoQ10の物理的な混合物(崩壊剤の添加なし)及び商業上のCoQ10生成物についての溶解プロファイルを、例5の実験的設計に従って示す。
【図4B】CoQ10の物理的な混合物(崩壊剤の添加なし)及び商業上のCoQ10生成物についての溶解プロファイルを例5の実験的設計に従って示す。
【図5】例6の組成物についてUSP水における溶解プロファイルを示す。
【図6A】例6の100%の溶媒から噴霧-乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン粒子の顕微鏡写真である。
【図6B】例6の溶媒/非-溶媒から噴霧-乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン粒子の顕微鏡写真である。
【図7】例6の溶媒及び溶媒/非-溶媒の取組みからのCoQ10の噴霧乾燥した分散物についての粒径分布を示す。
【図8】結晶性のCoQ10について及び例6の溶媒及び溶媒/非-溶媒の取組みからのCoQ10の噴霧乾燥した粒子についての熱流量(heat flow)対温度のプロットである。
【図9】1種の完全に不定形のもの及び例1のほとんど完全に不定形の1種の組成物について、例7において記載するようにpH6.8のリン酸塩緩衝剤においての溶解プロファイルを示す。
【図10】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む2種の錠剤調剤物についての例8において記載するようなpH6.8のリン酸塩緩衝剤における溶解プロファイルを示す。
【図11】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のフタル酸ヒドロキシメチルセルロースを含む未被覆及び被覆錠剤についての例9において記載するようにpH6.8のリン酸塩緩衝剤においての溶解プロファイルを示す。
【図12】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む未被覆錠剤についての例10において記載されるようなpH6.8のリン酸塩緩衝剤における溶解プロファイルを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)本出願は、米国特許出願連続番号第60/756,454号、2006年1月5日付け出願、及び第60/703,374号、2005年7月28日付け出願の利益を請求し、それらの内容を本明細書に参考として組込む。
【0002】
(発明の背景)本発明は、生物学的に優れたベンゾキノンの組成物及びそれらを生産するための方法に指向する。より一層詳しくは、本発明は生物学的に優れたベンゾキノンを、少なくとも1種の溶解性-増強性(solubility-enhancing)の重合体を利用して調製するための組成物及び方法に関する。一定の具体例に従い、ベンゾキノンは補酵素Q10(CoQ10)であり、ベンゾキノンの混合物は本発明の範囲内にある。1具体例では、混合物は、ベンゾキノンと溶解性-増強性の重合体とを乾式配合することによって調製される。別の具体例では、ベンゾキノンは重合体を含む溶媒において溶解させる。更に別の具体例では、重合体のための溶媒/非-溶媒の配合物(ブレンド)を採用する。生物学的に優れたベンゾキノン生成物を、組成物に適する任意の方法によって生成する。1具体例では、物理的に配合されたベンゾキノン(類)-重合体(類)の直接圧縮が用いられる。必要なとき、溶媒を組成物から除去することができ、生物学的に優れたベンゾキノン生成物が産生される(yield)。本発明の1種の更なる開発では、CoQ10-重合体-溶媒(又は溶媒/非-溶媒の配合物)を噴霧乾燥し、CoQ10を、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能を表わす形態において生成する。生物学的に優れたベンゾキノン組成物は噴霧乾燥以外の本技術において熟練する者によって認識されるような方法によって調製することができる。それらの方法には、制限を伴わないで、次のもの、即ち、溶融押出、噴霧凝結(spray congealing)及び凍結乾燥が含まれる。本発明の特定の具体例に従い、ベンゾキノンの十分な部分を不定形状態において提供する。一定の具体例に従い、ベンゾキノンは不定形状態にほとんど完全に転換される。本発明の1種の好適例では、ベンゾキノンは完全に不定形状態に転換される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
補酵素Q10(CoQ10、ユビキノン)は、脂質-溶解性のベンゾキノン、好気性の有機体によって又は合成化学処理(プロセス)を通してのいずれでも生産される生化学物質の族(ファミリ)である。多数のCoQ酵素が識別される一方(例は、CoQ6-Q10)、CoQ9及びCoQ10だけが人間において内因性である。研究は、CoQ10が強力な抗酸化性及び物体上の膜安定性効果を発揮し、代謝を調節するのに役立ち、及びアルツハイマー型、パーキンソン、及び心疾患、特に冠動脈疾患及びうっ血性心不全(congestive cardiac(heart) failure)(Langade(ランガデ)2005年)を患う対象体(患者)で重要であり得ることを提案する。結晶性のCoQ10は本質的に水-不溶性であり、それはその生物学的利用能を制限する。したがって、慣習的な剤形(dosage form)は結晶性のCoQ10を含み、低いCoQ10の水性の溶解性のために低い生物学的利用能しか提供しない。結果として、慣習的なCoQ10の用量(doses)は、治療上の効果を達成するために、CoQ10の過剰な量を含む。他の現在の商業上の調剤物(formulations)は、典型的に、ダイズ油及びグリセリンにおいて溶解するユビキノンを(軟質(ソフト)ゲルとして)、又は結晶性のCoQ10を含む乾燥粉体カプセルとして存在させる。代わりに、この化合物は、その生物学的利用能を高めるために、様々な乳化剤、脂質及び油と、若干の軟質ゲル生成物において再調剤(reformulated)される。しかし、軟質ゲルの技術はカプセル/錠剤(タブレット)の技術よりも多くの労働-及び費用-の集中する処理である。さらに、乳化されるCoQ10組成物は、非-乳化される活性原料と共に調剤するのに十分には適切でない。
【0004】
ベンゾキノン及び、とりわけCoQ10で、化合物の結晶性形態に比べ、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能を表わす固形組成物を生産することが望ましい。結晶性のCoQ10の十分な部分(実質部分)を不定形状態に転換することにより、水性の溶解性及び生物学的利用能が増加する。さらに、不定形の固体として提示されるベンゾキノンは、完成した生成物の製造を促進し、及び添加脂質又は油が実質含まれず、又は他の活性な原料を含んでよい剤形(物)を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)本発明はベンゾキノンを含有する組成物、及びベンゾキノン組成物、とりわけCoQ10組成物の、優れた溶解性及び生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)のものを生産するための方法を提供する。CoQ10及び溶解性-増強性の重合体の混合物が、結晶性のCoQ10に比べて高められる水性の溶解性を示すことが発見された。この増強を創造する組成物の例には、制限を伴わずに、次の、即ち、成分の固形分散物及び物理的な配合物が含まれる。意外にも、CoQ10及び重合体の単純な乾燥混合物は、多くの商業上の軟質ゲルのCoQ10生成物で、それは、脂質、油及び/又はトリグリセリドを採用するものに等しい溶解遊離の特徴を成し遂げる。より一層大きな範囲を伴い更により一層速い遊離は、本発明のいくつか(5又は6種くらい)の具体例において示すように、CoQ10-重合体の分散物と共に生成される。好ましいが、CoQ10の不定形(amorphous)の転換は優れた特性についての必要条件でない。
【0006】
ベンゾキノン及び少なくとも1種の溶解性-増強性の重合体の固形分散物を備え、そこで、ベンゾキノンが分散物において実質不定形であるものがまた提供される。1種の局面において、開示する本発明は、結晶性のCoQ10の不定形状態への転換を記載する。この転換を生成するための1種の方法は、溶媒噴霧乾燥を通じてである。この転換を果す他の技術は、制限を伴わずに、次の、即ち、フラッシュ溶媒蒸発、溶融-凝結(melt-congeal)噴霧、凍結乾燥、及び溶融-押出が含まれる。これらの方法は、単一の溶解性-増強性の重合体又は重合体の配合物を用いることができる。それに応じて、生成物が開発され、それは完全菜食主義者(vegan)/すべての天然物市場(all natural market)(例は、自然に発生する原料類/補助剤類を用い)及びより一層広い市場(例は、合成の原料類/補助剤類を用い)に働く。ベンゾキノンの不定形転換の程度は、双方の重合体の種類及び量及び処理条件に左右される。必要なとき、単一の有機溶媒、溶媒の配合物、又は溶媒/非-溶媒の配合物を用いることができる。
【0007】
1種の局面では、本発明は不定形のベンゾキノンを備える噴霧-乾燥粉体又は造粒化生成物に関する。加えて、一定の具体例に従って生成され得られる粉体は、典型的に、より一層低い残留溶媒含量、及び慣習的な方法によって生成されるそれらの対応物よりも高いタップ密度を所有し、それは粒子形態学及び寸法における変化による。
【0008】
本発明の1種の局面は、ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体を溶媒又は溶媒の配合物において含有する組成物から調製される不定形のベンゾキノンを包含する。この溶媒又は溶媒配合物には、重合体が可溶性である溶媒が包含される。用語“可溶性”は、重合体及び溶媒分子の間の引力が競合する分子間-及び分子内-引力よりも大きいことを意味する。簡単にするために、この溶媒を単に“溶媒”と称する。組成物はまた、溶媒配合物がその反対も正しい溶媒を含むことを記載し、即ち、重合体及び溶媒分子の間の力は重合体分子の間の分子間-及び分子内-引力よりも小さい。この第2の溶媒は“非-溶媒”と名付けられる。重合体は膨潤し得るが、非-溶媒において溶解しない。本発明の1具体例に従い、溶解性-増強性の重合体及び適する溶媒/非-溶媒の配合物を提供する。その上、溶媒は非-溶媒より低い沸点を所有する。なるべくなら、溶媒及び非-溶媒は混和性である。溶媒対非-溶媒の比率は、重合体が溶媒系(システム)において“溶解する”と考えることができるようなものである。
【0009】
独特な粒子特性は溶媒/非-溶媒の配合物を蒸発させることによって創造することができる。例えば、この蒸発は供給溶液又は造粒処理の噴霧乾燥の間に起こり得る。溶媒の配合物を含む微粒化した液滴は、蒸発により合計の溶媒組成物における変化を経験する。方法は、どのようにして、液滴が発生又は微粒化するのかに無関係と考えられる。初期に、重合体は、溶媒の十分な量のために溶解した状態にある。それが蒸発するので(溶媒は非-溶媒よりも低い温度で沸騰する)、液滴中の非-溶媒の濃度が増加する。結局は、溶媒組成物は重合体を溶液において維持するのに不十分である。その際、重合体は溶液で崩れる(collapses from)。この変化は重合体の配座(conformation)において、液滴の蒸発動力学を変え、最終的な粉体の特性に影響を及ぼす粒子の形態学を創造することができる。
【0010】
優れた溶解性及び生物学的利用能のベンゾキノン類が噴霧乾燥によって溶媒単独を含む溶液から形成され得るが、追加の利益が溶媒/非-溶媒の配合物系の使用に関連して存在する。この溶媒/非-溶媒の取組みはより一層低い残留溶媒含量及びより一層小さい粒径(粒度、particle size)の噴霧乾燥した粉体を生産することができる。この設計された粒子の形態学の更なる結論は、原体(バルク)の粉体密度における増加である。増加した粉体密度は多くの適用のための重要な属性(attribute、特質)である。重合体崩壊、-及び従って噴霧乾燥した粉体特性上の正味(net)の効果は-、溶媒対非-溶媒の初期の比率、重合体化学構造及び重合体分子量のような、重合体溶媒和因子(solvation factors)に左右される。残留溶媒含量の減少及び密度の増加に加えて、一次重合体(primary polymer)は溶媒/非-溶媒の系と対形成し、粒子の形態学だけでなく、ベンゾキノンのものに影響を与えず、及びそれによって、活性なものの負荷(active loading)、結晶請、溶解性、安定性及び遊離に影響を与える。
【0011】
付加的な重合体の存在は、それらと第1の重合体及び溶媒系との相互作用によって最終的な粒子の形態学に寄与し得る。これらの付加的な重合体はまた、活性なものの特別な遊離特性を創造するのに有益であり得る。例えば、粒子の形態学、及びそれにより、残留溶媒含量及び原体の粉体密度に影響を与えるために、一次重合体は、溶媒/非-溶媒の系と対を形成し得る。付加的な重合体の補助剤を追加の目的に働くように添加し得、即ち、更に活発な再結晶化を抑制し、更に活性な濃度を最大化し、及び更に溶解速度を高め/遅らせ(delay)/妨害する(retard)。これらの機能性を果すために、補助剤の溶解性を一次重合体について選ばれる溶媒配合物と適切に調和させることが必要である。
【0012】
(図面の簡潔な記載)は(図面の簡単な説明)の項に移す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳しい記述)用語“備える”はより一層制限的な用語“から本質的になる”及び“からなる”を包含する。
【0014】
本明細書に用いる割合(パーセント)、比率及び比のすべては他に特に規定されなければ重量による。
【0015】
本明細書に用いるように用語“固形分散物”は、少なくとも2種の成分を備える固形状態における系に言及し、そこでは、1種の成分が、一様に他の成分又は成分類の間に分散する。用語“固形分散物”は、小さな粒子を持つ系で、完全な結晶性、完全な不定形又は、その間のいずれでも含み、典型的に約1μm未満の直径の、別の相において分散される1種の相である。
【0016】
本明細書に用いるように用語“固溶体”は、固形分散物の種類に言及し、そこでは、1種の成分が別の成分の間に分子的に分散し、系がその中で化学的に及び物理的に均一及び同質であるようにされる。これらの系は、熱分析(例は、示差走査熱量計)、又は回折(例は、X-線回折)の技術によって証明されるように、任意の十分な量の活性原料をその結晶性又は微結晶性の状態で含まない。
【0017】
1種又はそれよりも多くのベンゾキノン(類)を1種又はそれよりも多い溶解性-増強性の重合体(類)と組み合わせる以外の組成物の状態上に配置される条件はない。用語“組み合わせる”には、制限されないが、次の、即ち、配合される、混じり合う(co-mingle)、溶解する、押出され、造粒され、溶融され、粉砕(ミル)され、混合され、篩過され、スラリにされ、噴霧され、撹拌され、及びこれらのそして他の方法の組合せが包含される。他の技術は本分野での熟練者によって識別し得る。さらに、本発明に従う組成物は、付加的な活性原料をベンゾキノン(類)に対し含み得る。活性な製薬上の原料には、制限されないが、次の、即ち、鎮痛薬、抗不整脈薬、抗菌薬、抗痙攣薬、抗アルツハイマ型薬剤、抗糖尿病薬、制吐薬、抗真菌薬、抗ヒスチミン薬、抗高脂血症薬、抗高リポ蛋白血症、抗高血圧薬(抗圧薬)、抗炎症薬剤、抗パーキンソン薬剤、抗肺高血圧薬、抗リウマチ薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、心血管治療剤、化学療法剤、中枢神経系の鎮静薬及び刺激薬(stimulants)、利尿薬、消化器系(胃腸)剤、ホルモン、呼吸器の薬剤、皮膚の薬剤、並びに挫瘡(アクネ)、前立腺肥大、過敏性腸症候群の処置のための活性物(actives)が包含される。栄養補助上の原料には、制限されないが、次の、即ち、草本(ハーブ)、イソフラボン、湿潤剤(モイスチャライザ)、気分調整材(mood regulators)、鉱物、油、タンパク質の補足剤(サプリメント)、皮膚の薬剤、紫外線遮断剤、及びビタミン類が包含される。
【0018】
以下の記載は主にCoQ10を含む噴霧-乾燥した組成物の調製に指向するが、本発明はCoQ10の噴霧-乾燥した組成物に限られない。本明細書に記載する方法はまた、他のベンゾキノンを、優れた溶解性及び生物学的利用能の不定形状態に転換することにおいて有用である。ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体の物理的混合物は、ベンゾキノンの溶解性及び生物学的利用能を高めるが、またそれは本発明の範囲内である。物理的混合物は、混転配合機(タンブルブレンダ)、高-せん断造粒、流動床造粒、薄膜被覆(フィルムコーティング)、又はそれらの任意の関連する技術のような、慣習的な技術に従って調製することができる。
【0019】
1具体例に従い、本発明は噴霧-乾燥した組成物を、CoQ10及び重合体を重合体のための単一の溶媒、溶媒配合物又は溶媒及び非-溶媒の配合物において含む混合物を提供すること、及び混合物を噴霧乾燥し、不定形CoQ10の組成物を形成することによって調製するための方法に関する。
【0020】
本発明の1種の局面は、重合体が、注意深く選定される溶媒又は溶媒の配合物と共に対形成することを包含する。この取組みは重合体が可溶性である溶媒を備える。重合体の溶解性の定義における指導(Guidance in defining)は膨張係数(α)によって提供され、即ち、
【数1】
式中、
は鎖端部(chain ends)間の中間-二乗(mean-square)距離であり、及び
は非摂動次元(unperturbed dimension)である。(等式§1は分枝する重合体について似たやり方において、重心についての旋回の平方-平均半径、
及び対応する非摂動次元、
を用いて書くことができる)。重合体の溶解性は、αが単一又はより一層大きいときに提供され、及びこの条件を満たす溶媒を“良溶媒”、又は単に“溶媒”と呼ぶ。溶媒は重合体分子を巻き戻し(アンコイル)(又は膨らませ)、それは重合体-溶媒の引力が重合体-重合体のものよりも大きいからである。光散乱法で、Viscotek(ビスコテック社)のTriple Detector Array(三重検出機配列)のようなものを、等式§1において表現される変数を定めるのに用いることができる。これらの概念は、教科書のPolymer Chemistry(重合体化学)、An Introduction(序)、Malcolm(マルコム)P. Stevens(スティーブンス)によるものに規定され、それを参考として本明細書に組込む。
【0021】
αが1(ユニティ)に等しいとき、特別な条件が存在し、そこでは重合体-溶媒及び重合体-重合体の力が釣り合う。この条件を可能にする溶媒はθ溶媒と呼ばれる。この発明の情況の中では、溶媒は“良溶媒”と考えられ、それはαが1にほぼ等しいか又はそれよりも大きいときである。温度がαに影響し、それは、良溶媒が非-溶媒中に単に温度を変えることによって転換され得るようなものと理解される。
【0022】
本発明の更に別の具体例では、溶媒配合物はまた、溶媒を含み、それについては、反対も正しく、即ち、重合体-重合体の力は重合体-溶媒の力を支配する。この場合、αは1未満であり、及び重合体が崩壊した状態において存在するので、溶媒は“非-溶媒”と称される。本発明の1具体例に従い、重合体を適する溶媒/非-溶媒の配合物において提供する。溶媒/非-溶媒の配合物は重合体のθ又は溶媒和の状態を維持し、それは重合体が溶媒系において“溶解する”と考えることができるようなものである。付加的に、溶媒は非-溶媒よりも低い沸点を所有する。(共沸混合物を形成する溶媒/非-溶媒の組はこの規準を満たさない)。
【0023】
本発明の別の局面に従い、重合体系を提供し、それは溶解性-増強性の重合体及び適する溶媒/非-溶媒の配合物を備える。適する重合体/溶媒/非-溶媒の組合せの特定の例には、制限を伴わず、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル/アセトン/ヘキサン、及びエチルセルロース/アセトン/水が包含される。独特な粒子の構築物(architectures)は、一次重合体の沈殿物によって、非-溶媒濃度が決定的な値を超えるときに創造される。この決定的な比率のRcは次のように規定することができる、即ち、
【数2】
それは、重合体の沈殿が起こる前の非-溶媒の最大分率(フラクション)である。所定の系のための比率Rcは、十分な増加を溶液濁度において生成する各成分の質量分率を識別することによって実験的に定めることができる。Rc値が重合体系のために識別することができる場合、次いで系は溶媒/非-溶媒の配合物を備える。1種の例は、約10%(w/w)のポリビニルピロリドン、18%(w/w)のジクロロメタン、及び72%(w/w)のアセトンを含む溶液であり、それについてRcは0.80に等しい。重合体系は典型的に溶媒/非-溶媒の配合物で用いられ、それは系のためのRc値で又はそれよりも低い。より一層複雑な重合体/溶媒の系を調剤するのが有利であり、粒子の形態学/寸法並びにベンゾキノンの結晶性、溶解性、生物学的利用能及び遊離特性を調節する。
【0024】
他の具体例に従う本発明は、方法を提供し、噴霧-乾燥した粉体の密度を増加する。典型的に、噴霧乾燥は若干の程度の内部空間(interior void)を伴う球-様の粒子を生成する。この空間は質量を伴わない粒子の嵩(バルク)を増加させ、及び低-密度の物質を創造する。非-溶媒を作動性溶液(working solution、希釈標準溶液)/分散物に対して添加することは、粒径及び形態学を変化させ、密度における増加を導き出す。粒子は、溶媒だけを用いて調製されるものに比べてより一層小さくて、しわが寄り、窪みがあり、及び/又は崩壊されてよい。溶媒/非-溶媒の取組みはまた、中間粒径を減少させ、粉体をより一層良好に詰められるようにする。加えて、粉体の流れ及び粉粉-粉体の混合特性が高められる。
【0025】
一定の局面に従う本発明は、噴霧-乾燥した粉体及び造粒した物質の二次的な乾燥のための必要性を減らし又は排除するために方法を提供する。これらの生成物は残留する溶媒を含むことが多く、及び乾燥機生成物(drier product)を生成するのが好適又は必要である。高残留溶媒含量は調剤又は処理の制限から招かれ得る。一般的な実践は噴霧乾燥される固体を溶解する溶媒を用いる必要があった。そうすることで、溶媒は表面硬化(case hardening)のために、噴霧乾燥した粉体又は造粒した玉(ビーズ)の内側に捕捉され得る。より一層低い-沸騰性溶媒(lower-boiling)とより一層高い-沸騰性の非-溶媒との意図的な対形成で、処理される物質についてのものは、より一層低い残留溶媒の生成物が、非-溶媒の処理重合体上の効果(群)のために産生され得る。
【0026】
本発明は更に、水性の溶解性を高め、及び活性な原料の遊離を、溶媒又は溶媒/非-溶媒の配合物を伴う重合体系の選定により修飾する方法を提供し得る。重合体系を、1種(又はそれよりも多く)の重合体(群)が、溶媒/非-溶媒と共に働き新しい粒子形態学を創造するように選ぶ。溶解性及び活性物の遊離特性、並びに粒子の形態学に影響を与えるのに必要なように、付加的な重合体(群)を添加し得る。優れた溶解性が、多数の因子によって達成され、次のものが含まれ(制限されないが)、即ち、優れた湿潤性(wettability)、不定形のベンゾキノン形態の創造、再結晶化に対する安定化、及び/又は共-溶媒和の効果(co-solvation effects)である。そうすることで、ベンゾキノンの超飽和化溶液(supersaturatured solution)が生成される。“修飾した遊離”は、活性物が遊離される時間枠(time frame)を変化させることに言及し、即ち、迅速な、遅れ、拡張(extended)である。これらの修飾した遊離は、機能的な重合体(群)と、適切な溶媒/非-溶媒の配合物と共に調和させることによって創造される。
【0027】
本発明に従う処理において用いるために適する溶媒及び非-溶媒は、任意の有機化合物(水を含む)ことができ、そこでは一次重合体は溶媒の場合において、溶解性であり、又は非-溶媒の場合においては、不溶性である。溶媒/非-溶媒の選定及び比率は、一次重合体の選定に左右される。それに応じて、溶媒又は非-溶媒としての有機化合物の識別は一次重合体に左右される。したがって、1種の系において溶媒は、別のものでは非-溶媒であってよい。特に有用な溶媒及び非-溶媒は、制限されないが、次のものを含み、即ち、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、ターシャル-ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1-2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1-2-ジメトキシエタン、N-N-ジメチルアセトアミド、N-N-ジメチルホルムアミド、1-4-ジオキサン、エタノール、2-エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、酢酸メチル、2-メトキシエタノール、3-メチル-1-ブタノール、メチルブチルケトン、メトルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1-2-2-トリクロロエタン、トルエン、水、及びキシレンである。溶媒の混合物、及び非-溶媒の混合物はまた、用いることができる。特定の具体例に従い、溶媒の配合物を、共沸性の組成(1種の共通の温度で沸騰する)で、溶媒又は非-溶媒、溶媒/非-溶媒の配合物でないのいずれでも備えることができる。
【0028】
本発明の混合物において用いるのに適する溶解性-増強性の重合体は、ベンゾキノンの溶解性を高める。本発明の特定の局面に従い、溶解性-増強性の重合体はまた、ベンゾキノンの結晶化を抑制し、及び従って重合体の存在は、少なくとも若干の結晶性ベンゾキノンを不定形状態に転換することを招く。それらの具体例に従い、そこでは、溶媒/非-溶媒の配合物を用い、少なくとも1種の重合体は溶媒において可溶性であるべきで、及び非-溶媒においては可溶性であってはならない。有用な重合体の特定の例には、次のものを含み、制限されないが、即ち、脂肪性ポリエステル(例は、ポリD-ラクチド)、糖質(炭水化物)(例は、ショ糖)、カルボキシアルキルセルロース(例は、カルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース(例は、エチルセルロース)、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロース(例は、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキル(hydroxyalkylalkyl)セルロース(例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの誘導体、ポリアミン(例は、キトサン)、ポリエチレングリコール(例は、PEG8000、PEG20000)、メタクリル酸重合体及び共重合体(例は、Rohm Pharma Gmbh(ローム・ファーマ社)の重合体のEudragit(R)(ユードラギット(商標))シリーズ)、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体(例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル)、ビニルラクタム(vinyllactam)のホモ-及び共重合体、多糖類(例は、アルギン酸)、ポリグリコール(例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル(例は、ポリ酢酸ビニル)、及び精製(refined、微細)/修飾(modified)のセラック(shellac)である。用語“ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体”は、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチル酢酸琥珀酸セルロースを備えることを意味する。混合物において存在する重合体の量は、混合物の重量によって、約1%から約95%まで、より一層特に、約5%から90%まで、及び一定の具体例に従って、重量で約25%から75%までの範囲に及び得る。重合体の配合物もまた用い得る。
【0029】
生物学的に優れた(bioenhanced)組成物は、噴霧-乾燥した混合物を備え得、活性原料としてCoQ10のような、ベンゾキノンを含む。約1%から約95%までの活性、より一層特に、約20%からの約80%までの活性を、活性の望ましい用量に従って含み得る。重合体に対するベンゾキノンの重量比率は、典型的に約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体から、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体まで、より一層特に、約70%のベンゾキノン:30%の合計重合体から約30%のベンゾキノン:70%の合計重合体まで、及一定の局面に従い、約60%のベンゾキノン:40%の合計重合体から約40%のベンゾキノン:60%の合計重合体までである。
【0030】
溶解性の増強性の重合体と組み合せるとき、本発明に従う噴霧乾燥した組成物は不定形状態においてCoQ10の部分を生成する。用語“不定形”は化合物の非-結晶性状態に言及する。言い換えると(In other word)、不定形の化合物は長期に及び(long-ranged)、規定される結晶性の構造に欠ける。本発明の一定の具体例に従い、少なくとも若干の、より一層特に、少なくとも約10%、少なくとも約25%、又は少なくとも約40%のベンゾキノンは、組成物において不定形の形態である。他の具体例では、化合物の少なくとも主要部分(大部分)は不定形である。本明細書に用いるように、用語“主要部分”の化合物は少なくとも約50%の化合物が組成物において、むしろ結晶性の形態よりは、不定形の形態にあることを意味する。より一層特に、化合物は組成物において、実質不定形であり得る。本明細書に用いるように、“実質不定形”は、化合物の結晶性の形態においての量が、約25%を超えない(即ち、化合物の約75%より多くが不定形の形態である)。本発明の特定の具体例に従い、化合物は組成物において、“ほとんど完全に不定形”であり、それは薬物の結晶性の形態における量が約10%を超えないことを意味する(即ち、化合物の約90%よりも多くが不定形の形態にある)。組成物はまた、化合物が組成物において、“完全に不定形”であると考えられるように提供され、それは、薬物の結晶性の形態がX-線回折又は熱分析のような慣習的な技術を用いて検出可能でないことを意味する。完全に不定形のような組成物への言及は薬物の結晶性形態の痕跡量(約1%未満)を含む組成物を除外しない。
【0031】
不定形物質は、示差走査熱量測定により測定される溶融吸熱(melting endotherm)のような若干の測定可能な特性を欠き、それは結晶性の形態を特徴付ける。結晶性のベンゾキノンの量は、粉体のX-線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、又は任意の他の標準的な定量分析によって測定され得る。組成において示される結晶性のベンゾキノンの量は、この技術の通常の技量の者に既知の任意の他の標準的な測定によって検出され得る。そのような特性の測定が機器の種類、感受性、操作、及び分析に依存していることは理解される。
【0032】
不定形の形態においてCoQ10を提供することにより、本発明の一定の局面に従い生成される噴霧乾燥した粉体は、基本的な結晶性形態を含む生成物(約48℃で溶融する)に比べて、優れた溶解性及び/又は生物学的利用能のCoQ10を提供する。活性の優れた生物学的利用能はまた、活性についての減少される調剤寸法(dosage size)及び用量の量を導き出すことができる。本出願人はまたCoQ10遊離の比率が噴霧乾燥した処理のための溶媒溶液中に添加される重合体の妥当な選定を通して調節され得ることを定めた。
【0033】
噴霧乾燥した混合物又は生物学的に優れた組成物はまた、付加的な重合体物質を含み得、それは組成物の特性を修飾することができる。例えば、一定の重合体は、粒子の形態学/寸法、並びに溶解性及び生物学的利用能及び活性原料の遊離の特徴を調節するために含むことができる。付加的な重合体をまた、混合物において含め、更に活性の再結晶化を抑制し、更に活性物の濃度を最大化し、及び更に溶解比率を高め/遅らせ/妨害する。付加的な重合体は、この系中に組込まれ、特別に制限されない。
【0034】
噴霧乾燥される混合物は典型的に、混合物の合計重量に基づいて、合計の溶媒又は溶媒/非-溶媒の重量によって約40%から99.9%まで、より一層特に、合計の溶媒又は溶媒/非-溶媒の重量によって約80%から95%までを含む。溶媒/非-溶媒の配合物を用いるとき、決定的な比率のRcは、約0.01-0.99から、より一層特には、約0.1-0.9から、まだより一層特には、約0.3-0.8から変動することができる。
【0035】
溶媒、重合体及びCoQ10又は他のベンゾキノンに加え、噴霧乾燥すべき混合物はまた、他の原料を、混合物の性能、取り扱い又は処理を改善するために含むことができる。代わりに、これらの原料はまた、既に調製したベンゾキノン-重合体中に、制限されないが、混転配合及び造粒技術を含む方法によって、かき混ぜられ得る。典型的な原料には、制限されないが、表面活性剤、pH修飾剤、充填材、錯化性薬剤(complexing agent)、可溶化剤、顔料、滑剤、流動促進剤(glidant)、香料薬剤(flavor agent)、可塑剤、風味遮蔽性薬剤(taste masking agent)、等が包含され、それらは習慣的な目的のために及び典型的な量において用い得る。
【0036】
本発明の一定の局面に従い用いる噴霧乾燥する機器は、任意の種々の商業上入手可能な機器又は液体混合物から同様な粒子を生成し得る他の装置であることができる。特定の噴霧乾燥する装置の例には、Niro Inc.(ニロ社)によって製造される噴霧乾燥機(例は、SD-Micro(R)(SD-ミクロ)、PSD-1(R)、PSD-2(R)、等)、Buchi Labortechnik AG(ブッチ・ラボルテクニク社)によるMini Spray Dryer(R)(ミニ・スプレイ・ドライヤ)、Spray Drying Systems, Inc.(スプレイ・ドライイング・システムズ社)によって製造される噴霧乾燥機(例は、型(モデル)30、48、72)、及びSSP Pvt. Ltd(SSP Pvt.社)が含まれる。
【0037】
噴霧乾燥する処理及び噴霧乾燥する機材は、Perry's Chemical Engineers' Handbook(ペリーの化学工学のハンドブック)、第6版(R. H. Perry(ペリー)、D. W. Green(グリーン)、J. O. Maloney(マローニ)、 eds.(編))、McGraw-Hill Book Co.(マグロ-ヒル・ブック社)1984年、第20-54頁から20-57までにおいて一般に記述される。噴霧乾燥処理及び機材のより一層の詳細はMarshall(マーシャル)“Atomization and Spray Drying(微粒化及び噴霧乾燥),”、50 Chem. Eng. Prog. Monogr.(ケミ・エンジ・プログ・モノグラ) Series 2 (1954年)によって総論される。これらの参照文献の関連内容を参考として本明細書に組込む。
【0038】
用語“噴霧乾燥”は慣習的に用い、及び概して、液体混合物が小さな液滴にまで壊れること、及び混合物からの容器における溶媒の迅速な除去(噴霧乾燥機器)で、そこでは液滴から溶媒を蒸発させるための強力な駆動力がある。微粒化技術には、二流体(two-fluid)及び圧力ノズル、及び回転霧吹き(rotary atomizer)が含まれる。溶媒蒸発のための強力な駆動力が一般に溶媒の噴霧乾燥機器において分圧を、溶媒の蒸気圧よりも十分い低く、乾燥する液滴の温度で維持することによって提供される。これは、(1)圧力を噴霧乾燥機器において部分的な減圧で維持するか、(2)液体の液滴を温かい乾燥気体と混合するかのどちらかでも、又は(3)双方によって果され得る。
【0039】
概して、乾燥する気体の温度及び流速、及び噴霧乾燥機の設計を選び、重合体/活性物の溶液の液滴がそれらを機器の壁に到達させる時間までに足りる乾燥であり、それらが本質的に固形であるようにされ、及びそれらは微細な粉体を形成し、及び機器の壁に粘着しないようにされる。また、噴霧乾燥機は生成物が機器の壁上で集められ、及び次いで物質を手動で、空気圧で、機械的に除去すること、又は他の手段によって収集するように操作することができる。乾燥の好適な程度を達成するための実際の時間の長さは、液滴の寸法、調剤、及び噴霧乾燥機操作に左右される。固化に次いで、固形粉体は、噴霧乾燥室(チャンバ)において、5-60秒間留まらせ、更に固形粉体から溶媒を蒸発させる。固形分散物の最終的な溶媒含量は、それが乾燥機を出るので、低いべきであり、それはこれが生成物の安定性を改善するからである。概して、噴霧-乾燥した組成物の残留溶媒含量は、重量によって約10%未満で、及びなるべくなら重量によって約2%未満とすべきである。一定の具体例に従って、残留する溶媒含量は、International Conference on Harmonization(国際会議ハーモナイゼーション)(ICH)Guidelines(基準)に述べられる制限内である。本発明の一定の局面に従って典型的には要求されないが、非-溶媒の存在はより一層少ない残留溶媒含量の噴霧-乾燥した粉体を生成するので、本発明の一定の具体例に従い、噴霧-乾燥した組成物を、より一層低い残留溶媒への乾燥に、更により一層低い程度(レベル)のものにまで受けさせることは有用であり得る。更により一層低い溶媒程度までへの方法については、制限されないが、流動床乾燥、赤外線乾燥、混転乾燥、減圧乾燥、及びこれらの組合せ、及び他の処理が含まれる。特定の噴霧乾燥処理に関する付加的な詳細は、例においてより一層詳細に記載する。しかし、粉体を噴霧乾燥するための操作条件はこの技術においてよく知られており、及び熟練者によって容易に調整することができる。さらに、例は実験室-規模の噴霧乾燥機を用いて得られる結果を記載する。この技術の通常の技量のものは、変数を容易に理解し、それは、同様な結果を生産-規模で得るために修飾されなければならないものである。
【0040】
上記に指示されるように、本発明は噴霧乾燥によって生成される不定形のCoQ10に限られない。本出願人は、CoQ10と溶解性-増強性の重合体との物理的混合物がまたCoQ10の溶解性及び生物学的利用能を高めることができることを定めた。重合体及びCoQ10の物理的な混合物を調製するための方法は、特別に制限されない。本発明の1種の局面に従い、溶解性-増強性の重合体及びCoQ10の物理的な混合物は、混転配合、コ(共、同時)-ミリング、撹拌、造粒、又はこの技術における熟練者に既知の他の方法によって形成され得る。
【0041】
噴霧乾燥に加えて、本発明の組成物は、制限されないが、押出、球形化(spheronization)及び噴霧凝結を含む、他の処理によって調製され得る。
【0042】
押出は、湿気のある(damp)又は溶融される組成物に圧力を、それが孔(オリフィス)又は画成する開口を通して流れるまで適用するよく知られる方法である。押出可能な長さは、押出されるべき物質の物理的特徴、押出の方法、及び押出後の粒子の操縦(manipulation)の処理と共に変動する。スクリュ、篩、及びバスケット、ロール、及びラムの押出機のように、種々の種類の押出装置を採用することができる。
【0043】
溶融押出では、成分は、溶融され、及び溶媒を伴い又は伴わず、及び他の添加剤の封入(inclusion)を伴い又は伴わずに、連続的に処理で押出すことができる。そのような処理は、よく確立されており、及びこの技術において熟練した実践者によく知られている。
【0044】
球形化は物質を球形に転換する処理で、その形状は容量比率に対し最も低い表面積を有する。球形化は、典型的に、湿気のある押出された粒子から始まる。押出された粒子は、均一な長さに壊され、球形の形状にまで即座に(instantaneously)及び緩徐に変換する。加えて、粉末の(粉体化した)原材料は、液体又は混合機からの物質のいずれもの添加を要し、空気を補助にする球形化装置(spheronizer)において処理することができる。
【0045】
噴霧凝結は、物質の構造を変化させるのに一般に用いる方法であり、液体から自由に流れる粉体を得られ、及び約0.25mmから2.0mmまでの寸法に及ぶ丸剤(ペレット)を提供する。噴霧凝結は、目的の物質を溶融させ、分散させ、又は他の添加剤のホットメルトにおいて溶解することを包含する。溶融混合物は次いで、空気室中に噴霧され、そこでは、温度が調剤成分の融点よりも低く、球形の凝結丸剤が提供される。用いる冷却空気の温度は生成物の凝固点に左右される。粒子は凝結される溶融物から形成される固形結合(solid bonds)によって一緒に保持される。ほとんどの噴霧凝結処理における溶媒蒸発の不存在のため、粒子は概して非多孔性であり、及び強く、及び動揺(agitation)に際し無傷のままである。最終的な凝結生成物の特徴は、用いる添加剤の特性に一部左右される。供給速度及び入口/出口の温度は、微粒化された液体の液滴の凝結を確かにするために調整される。供給は適切な粘性を持つべきであり、均質性を確実にする。粉体への溶融供給物の転換は、単純であり、連続的な工程である。妥当な微粒化及び調節された冷却速度は、決定的であり、高い表面積、均一な及び均質な凝結丸剤を得る。これらの助変数(パラメータ)の調整はこの技術における熟練者によって容易に達成される。
【0046】
噴霧凝結方法は噴霧乾燥に似ており、例外として溶媒を用いない。代りに、活性な原料(群)を分散及び/又は溶融し、溶融-処理可能な(melt-processable)重合体(群)を備える基材(マトリクス)にする。噴霧凝結することは、均一な及び迅速な処理であり、及び生成物が任意の機材の表面と接触するようになる前に完了する。分解することなく溶融するほとんどの活性物及び添加剤はこの方法のために適する。
【0047】
冷たい入口空気で操作される慣習的な噴霧乾燥機は、噴霧凝結のために使用されている。いくつかの(5又は6種くらいの)溶融物塊の微粒化の方法は、圧力、又は空気圧を使ったもの(pneumatic)又は遠心力微粒化のようなものを用いることができる。噴霧凝結の技術において熟練する人々にとって、いくつかの、基材物質、粘性のような調剤の局面、及び温度、微粒化及び冷却の速度のような処理要因が、噴霧凝結した丸剤の品質(形態学、粒径分布、多形及び溶解の特徴)に影響を与えることがよく知られている。噴霧凝結される粒子は、錠剤の造粒物(granulation)形態、カプセル化(封入)の形態で用いてよく、又は液体の懸濁物の形態中に組込むことができる。
【0048】
本発明の一定の局面に従い調製される組成は、脂質又は油の十分な量の使用を要求しないで、優れた溶解性及び生物学的利用能を見せる不定形のベンゾキノンを提供する。実際、本発明の一定の局面は、不定形のベンゾキノンを含む組成物に関し、それは、脂質、トリグリセリド、又は油を実質含まない。
【0049】
本発明の具体例に従い生成されるベンゾキノンは、固溶体又は固形分散物のような固形状態の形態において存在する時でさえ、優れた溶解性及び生物学的利用能を見せる。ベンゾキノンはそのような組成物において、重量によって約5%を超え、より一層特に約10%を超え、及び若干の場合には、組成物の重量によって約25%、40%又は50%さえも超えるレベルで存在し、及び更に化合物の結晶性形態に比べて優れた溶解性及び生物学的利用能を表わす。
【0050】
本発明に従う組成物は、多種多様な経路によって運ぶことができ、次のものを制限されないで含み、即ち、頬、皮膚、静脈内、鼻、経口、肺、直腸、皮下、舌下、及び鞘(膣)である。概して、経口経路が好ましい。
【0051】
本発明に従う組成物は多数の形態において提示され得る。模範的な提示の形態は、粉体、顆粒、及び多重の粒子状物質(multiparticulates)である。これらの形態は、カプセルに直接添加し得、又は更に錠剤、カプセル、又は丸薬(pills)を生産するのに圧縮されるか、又は水又は他の液体の添加によって再構成し、糊状物(ペースト)、スラリ、軟膏、懸濁物又は溶液が形成される。種々の添加剤を、本発明に従う組成物と共に混合し、磨砕し、又は造粒し、上記の剤形のために適する物質を形成し得る。
【0052】
本発明に従う組成物は、種々の形態において調剤し得、その結果、それらは粒子の液体媒介物(liquid vehicle)において懸濁物として運ばれる。かかる懸濁物は、液体として、又は糊状物として製造の時に調剤され得、又は乾燥粉体として液体、典型的な水と一緒に、管理(投与)に先立ってであるが後の時間に添加されて調剤され得る。かかる粉体は、懸濁物中に構成され、小袋(sachets)又は構成のための経口粉体(oral powders for constitution)(OPC)として言及されることが多い。かかる剤形は調剤し、及び任意の既知の手法を介して再構成することができる。
【0053】
経口、固形-用量の噴霧乾燥粉体は、典型的に約0.5μm-500μmの中間の粒径を持ち、及び概して1%又はそれよりも多い合計固形物の濃度で、より一層特に約2%-50%から、及び更により一層特に約3%-30%の固形物の溶液から調製される。
【0054】
経口の、固形の用量の顆粒は、典型的に約50μm-5000μmの中間の粒径を持つ。顆粒を生成するための技術は、制限されないが、湿潤造粒及び種々の流動床造粒の方法が含まれる。
【0055】
本明細書に記載する優れた溶解性及び生物学的利用能のベンゾキノンを備える組成物は、慣習的な技術に従って調製され得る。本発明の1種の局面に従い、CoQ10及び崩壊剤を備える剤形を提供する。組成物において用いる崩壊剤は、好ましくはいわゆる超崩壊剤(superdisintegrant)の種類であり、この種の崩壊剤は、この技術において熟練する人々に良く知られている。これらの崩壊剤の例として、次のものに言及され、即ち、架橋結合ポリビニルピロリドン、特別にクロスポビドン(crospovidone)、修飾澱粉、特別に澱粉グリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、修飾セルロース、特別にクロスカルメロースナトリウム(架橋結合カルボキシメチルセルロースナトリウム)及びLHPC(低-置換ヒドロキシプロピルセルロース)である。崩壊剤又は超崩壊剤は、約2%から約90%まで、好ましくは約3%から60%までの組成物の量において存在し得る。
【0056】
これらの組成物及び本明細書に記載の方法によって生成されるベンゾキノン生成物は人間又は動物に対して投与され得る。本明細書に記載される組成物は食餌補足物として又は製薬上の組成物として管理され得る。ベンゾキノンの組成物は、そのような処置を必要とする人間又は動物への治療上有効な量において投与され得る。本明細書において用いるように、用語“治療上有効な量”は、薬学的な原料の量に言及され、それは、疾病の徴候を処置し、防止し、又は軽減するのに有効なものである。本発明に従う製薬上の組成物は、様々な、制限されないが、アルツハイマ、パーキンソン、うっ血性心不全及び冠動脈の疾病のような疾病を処置するのに用い得る。それはまた、栄養素(nutrient)、栄養上の補足物又は獣医学の薬品として用いることができる。
【0057】
本明細書に記載するベンゾキノンの生成物は、種々の食料又は飲料において提供され得る。適する食料の例には、栄養バー、ケーキ、飲物混合物(drink mixes)等のような、焼き商品(baked goods)及び非-焼き商品が包含される。飲料の例には、水、エネルギ飲物、スポーツ飲物、清涼飲料(ソフトドリンク)、茶等が包含される。
【0058】
本明細書に記載するベンゾキノン生成物はまた、半-液状(又は半-固形)の形態において提供され得る。例には、制限なしで、軟膏、クリーム、糊状物、及びセルブズ(salves)が包含される。これらの組成物は、局所的に、経口で、又は舌下で(sublingualis)投与され得る。
【0059】
本発明の一定の局面に従って調製される組成物は、好ましくは1種又はそれより多い次の特性を特定の範囲内で見せ、即ち、
【実施例】
【0060】
本発明をより一層詳細に次の非-制限的例によって説明する。
(例1)
【0061】
4種の噴霧乾燥した粉体をCoQ10及び2種の溶解性-増強性の重合体を含めて、各重合体について2のCoQ10:重合体の比で作成した。噴霧乾燥のための溶液を、10%の合計固形物で重合体を溶媒(ポリビニルピロリドン(PVP)についてのジクロロメタン、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-P)についてのアセトン)において溶解することによって調製し、及び次いで緩徐にCoQ10を溶液が生成されるまで添加した。粉体をSD-Micro(R)(Niro, Inc.)の、0.5mmのID、2-の流体ノズルを有する噴霧乾燥機を用いて作成した。変調示差走査熱量測定(MDSC)(Q1000(R)、TA Instruments(TAインスツルメンツ))(0.5℃/分、熱だけの条件)による分析は、75%の重合体を含む粉体が完全に又はほとんど完全に不定形であり、一方、50%の重合体を有する粉体が結晶性のCoQ10(表1)の若干の程度を含むことを示した(表1)。
【表1】
(例2)
【0062】
溶解特性を、例1、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物(1種の軟質ゲル及び1種の乾燥粉体カプセル)上で測定した。非-商業上の試料すべては、寸法1のゼラチンカプセル(Shinogi(シノギ) Qualicaps(クアリキャップス))中に手で充填した(hand-filled)。USP(米国薬局方)の機器II(paddles、櫂付)(VK 7010(R)、Varian, Inc.(バリアン社))を、37℃の浴温を用い、50rpm で最初に60分間、及び次いで200rpmで付加的な15分間用いた。媒体は、Cremophor(R)(クレモホア)EL(BASF Corp.(BASF社))、及び4%のAcconon(R)(アコモン)MC8(Abitec Corp.(アビテック社))を含んだ。分析を高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を、紫外線検出(SPD-10Aの検出機モジュールを有するSCL-10コントローラ、Shimadzu Scientific Instruments(島津サイエンティフィク・インスツルメンツ社))と共に用いて行った。
【0063】
噴霧乾燥したすべてのCoQ10の生成物は、純粋なユビキノンよりも大きな範囲でより一層速い溶解を達成した(図1A)。遊離の比率(速度)及び範囲は、重合体の種類及び量によって調節される。この溶解媒体において、ポリビニルピロリドンは、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースよりも高いユビキノンの遊離を提供した。ポリビニルピロリドンの含量を50%から75%にまで高めることは、CoQ10の結晶性を排除し(例1)、及び更に溶解の比率を高めた。噴霧乾燥した1部のCoQ10対3部のポリビニルピロリドンを含む試料は、商業上市販されるCoQ10生成物よりも高い遊離を与えた(図1B)。
(例3)
【0064】
溶解の挙動は、添加する表面活性剤を伴わない水において、例1、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物からの完全に不定形の噴霧乾燥した粒子について測定した。溶解試験方法は、溶解媒体がUSP水しか含んでいないこと以外、例2において記載するように同じままであった。
【0065】
完全に不定形の1部のCoQ10対3部のポリビニルピロリドン生成物は、結晶性CoQ10及び2種の商業上のCoQ10生成物に比べて大きな範囲の遊離を伴う最も速い遊離を成し遂げた(図2A及び2B)。10分後の遊離の比率は、不定形の噴霧乾燥した粉体を含むカプセルについて(18%遊離)、軟質ゲルカプセルの生成物(4%遊離)に比べて4.5-倍高かった。商業上の軟質ゲル生成物は、ダイズ油を含み、溶解において遅延(lag in)及びより一層低い最大遊離を示す一方、商業上の生成物は結晶性CoQ10を含み、ベンゾキノンの遊離を与えるのに失敗した。
(例4)
【0066】
例1において生成した試料を、2つの種類の崩壊剤、小-粒径のクロスポビドン(Polyplasdone(R)(ポリプラスドン)XL-10、ISP社)、及びほぼ同じ寸法のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(R) (アク-ディ-ソル)、FMC BioPolymer(バイオポリマ))と共に配合した。各場合において崩壊剤のレベルは40%であった。溶解の手法は例2と同じであった。崩壊剤を有する噴霧乾燥粉体は、商業上市販されるCoQ10の軟質ゲル生成物に比べて匹敵するか、又はより一層高いCoQ10遊離を達成した(図3)。
(例5)
【0067】
物理的な混合物を、結晶性CoQ10と可溶性重合体(PVP又はHPMC-P)とで調製した。粉体は、硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)中に、付加的な40%の崩壊剤を伴わないでか、又は伴って、手で充填した(小-粒子のクロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウム)。溶解特性は例2の方法を用いて測定した。
【0068】
崩壊剤を伴わない物理的な混合物すべては、結晶性形態に比べてCoQ10の遊離を高めた(図4.A)。優れたCoQ10の遊離は、15分後に結晶性の形態に比べて12-倍高く(1部のCoQ10:3部のPVP)から28-倍高く(1部のCoQ10:3部のHPMC-P)にまでに及んだ。崩壊剤を伴わない物理的な混合物すべては、溶解試験の60分後に結晶性形態よりも高いCoQ10遊離を提供した。
【0069】
崩壊剤を伴う物理的な混合物すべては、商業上のCoQ10生成物と比べてCoQ10の遊離が高められた(図4B)。
【0070】
CoQ10及び可溶性重合体の単純な物理的混合物が(添加される崩壊剤を伴うか又は伴わないで)、結晶性のCoQ10形態、及び商業上のCoQ10生成物で、それがダイズ油を含むけれども可溶性重合体を含まないものに匹敵する優れた溶解挙動を表示することは驚くべきことである。この技術において通常の技量のものが理解するように、溶解の結果による証拠として溶解性における増加は、対応する組成物における活性物の増加した生物学的利用能の指標である。
(例6)
【0071】
CoQ10をポリビニルピロリドン(Plasdone(R)K-29/32、ISP)と共に、比率で1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンにおいて、20%の合計固形物で、噴霧乾燥した。2種の噴霧乾燥した粉体を生成し、1種は100%のジクロロメタン(DCM)から、他は80%のDCM、20%のアセトンの配合物からであった。CoQ10は双方のDCM及びアセトンに溶解性であり、一方ポリビニルピロリドンはDCMにおいてだけ溶解性である。残りの噴霧乾燥の条件はすべて同じままであった。試料の分析には、例2において記載する溶解方法が包含された。試験結果を表2において提供する。
【0072】
双方の噴霧乾燥した粉体は、結晶性のCoQ10に比べて優れた溶解特性を見せた(図5)。溶媒系(システム)の変化は、溶解挙動に影響を与え、溶媒/非-溶媒の溶液からのその粉体において、著しく速い及びより一層高い遊離及び遊離の範囲を成し遂げた。50%のCoQ10の溶解(t50%)のために時間が260%短くされ、18分から5分までであり、100%の溶媒から溶媒/非-溶媒の配合物への切換えによることは意外である。同様に、80%のCoQ10の溶解(t80%)の時間が、100%の溶媒からの溶媒/非-溶媒の配合物への切換えによって68分から12分へ短くされた。
【0073】
溶媒溶液からの粒子は球形/球状体(globular)であった(図6A)が、より一層小さい、糸-状(thread-like)粒子が溶媒/非-溶媒の配合物から形成された(図6B)。溶媒から溶媒/非-溶媒への変化はまた、粒径分布を減少させ(図7)、減少した幅によって指示されるようであり、空気におけるレーザ散乱法(lasar scatting(scattering) method)(LA-910(R)、Horiba Instruments(ホリバ・インスツルメンツ社))によって測定されるようである(表2)。幅は71%減少し、2.4の(溶媒だけの方法)から0.7(溶媒/非-溶媒の方法)までであった。
【0074】
意外にも、溶媒系における変化はまた、CoQ10物理化学を変えた。双方の生成物が出発物質よりも少ない結晶性である一方、溶媒/非-溶媒の配合物から調製した試料はほとんど完全に不定形であるが、十分な結晶性がこれらの条件の下で100%のDCMからの噴霧乾燥された粉体において測定された(図8)。
【0075】
溶媒/非-溶媒の配合物の取り組みの他の利点は、水分バランス(MB45、Ohaus Corp.(オハウス社))によって測定されるように、より一層少ない残留溶媒含量しか含まず、及び水流濃度計(tap densitometer)(TD-1020、Distek Inc.(ディステク社))によって測定されるように、より一層高い密度を含む。
【表2】
*熱だけの条件をアルミニウム、密封なべ(hermetic pans)と共に用いるMDSCにより測定される。
+空気におけるレーザ散乱法により測定され、
【数3】
(例7)
【0076】
溶解特性は、例1の不定形噴霧乾燥粉体の2種について測定し、及び結晶性のCoQ10と比較した。最初のものは1部のCoQ10:3部のHPMC-Pを含み、及び第2のものは1部のCoQ10:3部のPVPを含んだ。CoQ10の試験した用量は30mgであり、及び物質は硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)中に付加的な15%のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(R)、FMC BioPolymer)と共に充填した。溶解試験条件は、溶解媒体がpH6.8のリン酸塩緩衝剤であった以外、例2のそれらと同じであった。フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶解性はpH依存性で、約5よりも高いpHの胃腸流体において溶解する。ポリビニルピロリドンの溶解性はpH-無関係である。
【0077】
双方の不定形の噴霧乾燥分散物は、結晶性形態よりも高い、及び速い遊離を提供した(図9)。15分後の結晶性形態と比べて、PVPの調剤はCoQ10の遊離を88-重(倍)に高め、一方で、HPMC-Pの調剤はCoQ10の遊離を189-重に高めた。更に一層大きく高められた遊離は、試験の60分後に測定し、即ち、192-重(HPMC-Pの調剤対結晶性)、及び174-重(PVP調剤対結晶性)。
(例8)
【0078】
1部のCoQ10:3部のHPMC-Pを含む例1の不定形噴霧乾燥した粉体を、2種の調剤を用いて錠剤化した(tableted)。錠剤溶解特性は、pH6.8のリン酸塩緩衝剤において例7と同じ方法を用いて測定した。これらの錠剤の調剤は、希釈剤の選択を除いて別の方法で同一であり、即ち、第1のものは微結晶性セルロース(Avicel(R)(アビセル) PH102、FMC BioPolymer)を含み、一方第2のものは乳糖(ラクトース)一水化物(Fast-Flo(R)(ファスト-フロ) 316、Foremost Ingredients Group(フォレモウスト・イングレディエンツ・グループ))を含んだ(表3)。
【0079】
未被覆錠剤の調剤は双方ともCoQ10の高い遊離をpH6.8のリン酸塩緩衝剤において維持し、CoQ10遊離を結晶性のCoQ10と比べ約200-倍数にまで増加させた。
【表3】
(例9)
【0080】
例8の調剤8Aによって作成される錠剤を約32%のヒドロキシメチルセルロース(6cp)、約5%のグリセリン、及び約63%の水性セラックを備える被膜を用いて3%重量(乾燥重量に基づく)が獲得されるように被覆した。錠剤溶解をpH6.8において例7で記載するのと同じ方法を用いて測定した。
【0081】
被覆錠剤が、未被覆錠剤よりもまだ高く、及びより一層一定したCoQ10遊離を達成したことは意外である(図11)。
(例10)
【0082】
1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン(Plasdone(R)K-29/32 International Specialty Products(インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社))を含む例1の不定形噴霧乾燥粉体を、標準的な錠剤性(tabletting)賦形剤を用いて錠剤化した(表4)。錠剤は30mgのCoQ10を含んだ。溶解特性をpH6.8のリン酸塩緩衝剤において例7の方法を用いて測定した。
【0083】
溶解の15分後に、PVP-含有錠剤がCoQ10の遊離を結晶性CoQ10と比べて200-倍数にまで高めた。
【0084】
【表4】
(例11)
【0085】
本発明において開示するCoQ10組成物の単一投薬の薬物動態学は、結晶性CoQ10生成物と健康なヒト男性において絶食状態で比較された。例8の未被覆錠剤(錠剤8A)及び例10及び100mgの結晶性CoQ10を含む乾燥した粉体における商業上のCoQ10生成物、硬質ゼラチンカプセルを選ぶ。ヒトのボランティアは食料を与えられず8時間後の300mgで単一投薬される。血液試料を引き出し、及び有効な分析的方法を用い、投薬後の時間の関数としてCoQ10の血しょう濃度を測定する。
【0086】
本発明に従うCoQ10錠剤を、結晶性、商業上の生成物に関連するCoQ10のより一層高い血しょう濃度を達成することが期待される。
【0087】
組成物及び/又は本明細書に記載した製造の方法の工程又は工程の配列において、次の請求の範囲において規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱しないで、この技術における熟練した人々による変化を行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1A】例1(崩壊剤の添加を伴わない)の組成物についての溶解プロファイルを例2において記載するように示す。
【図1B】例1の完全に不定形の組成物(崩壊剤の添加なし)についての溶解プロファイルを2種の商業上のCoQ10生成物と比べて例2において記載するように示す。
【図2A】1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む噴霧乾燥した粒子(崩壊剤の添加なし)についてのUSP(米国薬局方)の水における溶解プロファイルを結晶性のCoQ10と比べて示す。
【図2B】1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む噴霧乾燥した粒子(崩壊剤の添加なし)についてのUSP水における溶解プロファイルを2種の商業上のCoQ10生成物と比べて示す。
【図3】例1の組成物(崩壊剤の添加なし)について、及び商業上のCoQ10生成物について溶解プロファイルを例4において記載するように示す。
【図4A】CoQ10の物理的な混合物(崩壊剤の添加なし)及び商業上のCoQ10生成物についての溶解プロファイルを、例5の実験的設計に従って示す。
【図4B】CoQ10の物理的な混合物(崩壊剤の添加なし)及び商業上のCoQ10生成物についての溶解プロファイルを例5の実験的設計に従って示す。
【図5】例6の組成物についてUSP水における溶解プロファイルを示す。
【図6A】例6の100%の溶媒から噴霧-乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン粒子の顕微鏡写真である。
【図6B】例6の溶媒/非-溶媒から噴霧-乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドン粒子の顕微鏡写真である。
【図7】例6の溶媒及び溶媒/非-溶媒の取組みからのCoQ10の噴霧乾燥した分散物についての粒径分布を示す。
【図8】結晶性のCoQ10について及び例6の溶媒及び溶媒/非-溶媒の取組みからのCoQ10の噴霧乾燥した粒子についての熱流量(heat flow)対温度のプロットである。
【図9】1種の完全に不定形のもの及び例1のほとんど完全に不定形の1種の組成物について、例7において記載するようにpH6.8のリン酸塩緩衝剤においての溶解プロファイルを示す。
【図10】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む2種の錠剤調剤物についての例8において記載するようなpH6.8のリン酸塩緩衝剤における溶解プロファイルを示す。
【図11】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のフタル酸ヒドロキシメチルセルロースを含む未被覆及び被覆錠剤についての例9において記載するようにpH6.8のリン酸塩緩衝剤においての溶解プロファイルを示す。
【図12】噴霧乾燥した1部のCoQ10:3部のポリビニルピロリドンを含む未被覆錠剤についての例10において記載されるようなpH6.8のリン酸塩緩衝剤における溶解プロファイルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体を備える組成物であって、前記ベンゾキノンが溶解性-増強性の重合体を伴わない対照(コントロール)組成物と比べて優れた生物学的利用能を表わす、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、ベンゾキノンの重合体(群)との物理的な混合物を備える、請求項1の組成物。
【請求項3】
ベンゾキノンにCo(補酵素)Q10が含まれる、請求項1の組成物。
【請求項4】
重合体が次の群、即ち、脂肪性ポリエステル、糖質、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体、ビニルラクタムのホモ-及び共重合体、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾のセラック、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項5】
重合体に、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組合せからなる群より選ばれるヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体が含まれる、請求項4の組成物。
【請求項6】
ベンゾキノン対合計重合体の比率が、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体から約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体までの間である、請求項1の組成物。
【請求項7】
重合体に、ポリビニルピロリドン又はポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニルが含まれる、請求項6の組成物。
【請求項8】
物理的な混合物に、成分の単純な配合又は造粒物が含まれる、請求項2の組成物。
【請求項9】
組成物が噴霧乾燥粒子を備え、粒子がベンゾキノン及び可溶性-増強性の重合体を含む、請求項1の組成物。
【請求項10】
組成物が、経口、固形-剤形の形態において提供される、請求項9に従う組成物。
【請求項11】
経口、固形-剤形に、錠剤、被覆錠剤、咀嚼錠(チュアブルタブレット)、カプセル又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項10に従う組成物。
【請求項12】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態にある、請求項9に従う組成物。
【請求項13】
さらに表面活性剤(群)、pH修飾因子(群)、充填材(群)、錯化性薬剤(群)、可溶化剤(群)、顔料(群)、滑剤(群)、流動促進剤(群)、香料薬剤
(群)、可塑剤(群)、風味遮蔽性薬剤(群)、遊離-修飾性重合体(群)、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる1種又はそれよりも多い原料を備える、請求項1の組成物。
【請求項14】
組成物が経口、固形-剤形の形態にある、請求項1に従う組成物。
【請求項15】
経口、固形-剤形が錠剤及びカプセルからなる群より選ばれる、請求項14に従う組成物。
【請求項16】
経口、固形-剤形に、被覆錠剤、咀嚼錠、又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項15に従う組成物。
【請求項17】
個人的な手当て(パーソナルケア)生成物又は化粧料の生成物であって、請求項1の組成物を備える(compromising、comprising)、生成物。
【請求項18】
食料又は飲料の生成物であって、請求項1の組成物を備える(compromising、comprising)、生成物。
【請求項19】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態にある、請求項1に従う組成物。
【請求項20】
組成物が不定形のベンゾキノンを備える、請求項1の組成物。
【請求項21】
組成物が溶融-処理可能である、請求項1の組成物。
【請求項22】
組成物が、経口、固形-剤形の形態において提供される、請求項21に従う組成物。
【請求項23】
経口、固形-剤形の形態に、錠剤、被覆錠剤、咀嚼錠、カプセル又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項22に従う組成物。
【請求項24】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態において提供される、請求項21に従う組成物。
【請求項25】
ベンゾキノンを備える組成物を調製する方法であって、
ベンゾキノンを溶解性-増強性の重合体と重合体のための溶媒において接触させ、それにより、優れた生物学的利用能のベンゾキノンを含有する混合物を形成する工程を備える、方法。
【請求項26】
さらに、ベンゾキノン-重合体の組成物を形成するように、溶媒を除去する工程を備える、請求項25の方法。
【請求項27】
ベンゾキノンにCoQ10が含まれる、請求項25の方法。
【請求項28】
ベンゾキノン対合計重合体の比率が、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体から約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体までの間である、請求項25の方法。
【請求項29】
さらに、1種又はそれよりも多い製薬上許容可能な原料を含む、請求項25の方法。
【請求項30】
重合体が、脂肪性ポリエステル、カルボキシアルキルセルロース、糖質、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体、ビニルラクタムのホモ-及び共重合体、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾セラック、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項25の方法。
【請求項31】
重合体が、ポリビニルピロリドン、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル及びHPMCASからなる群より選ばれる、請求項30の方法。
【請求項32】
重合体にポリビニルピロリドンが含まれる、請求項31の方法。
【請求項33】
重合体に、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMCASが含まれる、請求項31の方法。
【請求項34】
重合体に、架橋結合ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)が含まれる、請求項31の方法。
【請求項35】
混合物が、更に重合体のための非-溶媒を含む、請求項25の方法。
【請求項36】
溶媒及び非-溶媒が、約5%の溶媒:95%の非-溶媒から約95%の溶媒:5%の非-溶媒までの比率である、請求項35の方法。
【請求項37】
溶媒対非-溶媒の比率が、重合体が溶媒配合物において溶解するように選ばれる、請求項36の方法。
【請求項38】
優れた生物学的利用能のベンゾキノンが、より一層速い溶解、より一層大きな範囲の溶解、又はその双方を、重合体のための非-溶媒を伴わないベンゾキノン組成物に比べて表わす、請求項35の方法。
【請求項39】
優れた生物学的利用能のベンゾキノンが、50%のベンゾキノンの溶解のための時間においての減少を、重合体のための非-溶媒を伴わずに作成されるベンゾキノン組成物に比べて約100%又はそれよりも多く表わす、請求項38の方法。
【請求項40】
重合体の混合物における濃度が約1%から約90%までである、請求項25の方法。
【請求項41】
溶媒が、混合物を噴霧乾燥することによって、ベンゾキノンを備える粒子が形成されるように除去される、請求項26の方法。
【請求項42】
前記粒子が約2%未満の残留溶媒しか含んでいない、請求項41の方法。
【請求項43】
前記ベンゾキノンの前記混合物における主要部分が不定形である、請求項25の方法。
【請求項44】
ベンゾキノンが前記混合物においてほとんど完全に不定形である、請求項43の方法。
【請求項45】
粒子を備える組成物であって、請求項41に従って生成される組成物。
【請求項46】
溶媒/非-溶媒の方法から生成されるベンゾキノン生成物が、粒径分布の幅を、溶媒-だけの溶液から生成されるベンゾキノン生成物に比べて約50%又はそれよりも多く減らす、請求項35の方法。
【請求項47】
経口、固形-剤形物であって、請求項41に従って生成される粒子を備える剤形物。
【請求項48】
カプセル、錠剤、咀嚼錠、顆粒、玉(ビーズ)、ゼラチンカプセル、又は丸剤(ペレット)の形態である、請求項47の経口、固形-剤形物。
【請求項49】
さらに、少なくとも1種の他の活性原料を備える、請求項1に従う組成物。
【請求項50】
他の活性原料が栄養補助上の原料である、請求項49に従う組成物。
【請求項51】
他の活性原料が活性な製薬上の原料である、請求項47に従う組成物。
【請求項52】
ベンゾキノンを備える組成物であって、請求項25に従い生成される組成物。
【請求項53】
対象体にベンゾキノンを提供するための方法であって、前記対象体に対し、請求項47の経口、固形-剤形物で管理する工程を備える、方法。
【請求項54】
前記剤形物が栄養補助上の生成物を含む、請求項53の方法。
【請求項55】
前記剤形物が製薬上の生成物を含む、請求項53の方法。
【請求項56】
前記剤形物がうっ血性心不全を処置するために管理される、請求項53の方法。
【請求項57】
前記剤形物が冠動脈疾患を処置するために管理される、請求項53の方法。
【請求項58】
製薬上の組成物であって、ベンゾキノン及び少なくとも1種の製薬上許容可能な賦形剤を備え、ベンゾキノンが噴霧乾燥のベンゾキノンを不定形状態において備える、組成物。
【請求項59】
前記製薬上の組成物が脂質又は油を実質含まない、請求項58の組成物。
【請求項60】
ベンゾキノンの固形分散物、及び少なくとも1種の可溶性-増強性の重合体を備える組成物であって、前記分散物における前記ベンゾキノンが実質不定形である、組成物。
【請求項61】
前記ベンゾキノンが前記分散物においてほとんど完全に不定形である、請求項60の組成物。
【請求項62】
前記ベンゾキノンが前記分散物において完全に不定形である、請求項60の組成物。
【請求項63】
少なくとも約20%のベンゾキノンが水性媒体において試験されるとき15分において遊離される、請求項60の組成物。
【請求項64】
ベンゾキノンが噴霧乾燥された粒子の形態にある、請求項63の組成物。
【請求項65】
噴霧乾燥された粒子の粒径の幅が約1.5未満である、請求項64の組成物。
【請求項1】
ベンゾキノン及び溶解性-増強性の重合体を備える組成物であって、前記ベンゾキノンが溶解性-増強性の重合体を伴わない対照(コントロール)組成物と比べて優れた生物学的利用能を表わす、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、ベンゾキノンの重合体(群)との物理的な混合物を備える、請求項1の組成物。
【請求項3】
ベンゾキノンにCo(補酵素)Q10が含まれる、請求項1の組成物。
【請求項4】
重合体が次の群、即ち、脂肪性ポリエステル、糖質、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースの誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体、ビニルラクタムのホモ-及び共重合体、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾のセラック、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項5】
重合体に、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組合せからなる群より選ばれるヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体が含まれる、請求項4の組成物。
【請求項6】
ベンゾキノン対合計重合体の比率が、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体から約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体までの間である、請求項1の組成物。
【請求項7】
重合体に、ポリビニルピロリドン又はポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニルが含まれる、請求項6の組成物。
【請求項8】
物理的な混合物に、成分の単純な配合又は造粒物が含まれる、請求項2の組成物。
【請求項9】
組成物が噴霧乾燥粒子を備え、粒子がベンゾキノン及び可溶性-増強性の重合体を含む、請求項1の組成物。
【請求項10】
組成物が、経口、固形-剤形の形態において提供される、請求項9に従う組成物。
【請求項11】
経口、固形-剤形に、錠剤、被覆錠剤、咀嚼錠(チュアブルタブレット)、カプセル又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項10に従う組成物。
【請求項12】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態にある、請求項9に従う組成物。
【請求項13】
さらに表面活性剤(群)、pH修飾因子(群)、充填材(群)、錯化性薬剤(群)、可溶化剤(群)、顔料(群)、滑剤(群)、流動促進剤(群)、香料薬剤
(群)、可塑剤(群)、風味遮蔽性薬剤(群)、遊離-修飾性重合体(群)、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる1種又はそれよりも多い原料を備える、請求項1の組成物。
【請求項14】
組成物が経口、固形-剤形の形態にある、請求項1に従う組成物。
【請求項15】
経口、固形-剤形が錠剤及びカプセルからなる群より選ばれる、請求項14に従う組成物。
【請求項16】
経口、固形-剤形に、被覆錠剤、咀嚼錠、又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項15に従う組成物。
【請求項17】
個人的な手当て(パーソナルケア)生成物又は化粧料の生成物であって、請求項1の組成物を備える(compromising、comprising)、生成物。
【請求項18】
食料又は飲料の生成物であって、請求項1の組成物を備える(compromising、comprising)、生成物。
【請求項19】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態にある、請求項1に従う組成物。
【請求項20】
組成物が不定形のベンゾキノンを備える、請求項1の組成物。
【請求項21】
組成物が溶融-処理可能である、請求項1の組成物。
【請求項22】
組成物が、経口、固形-剤形の形態において提供される、請求項21に従う組成物。
【請求項23】
経口、固形-剤形の形態に、錠剤、被覆錠剤、咀嚼錠、カプセル又はゼラチンカプセルが含まれる、請求項22に従う組成物。
【請求項24】
組成物が、糊状物、溶液、スラリ、軟膏、又は分散物の形態において提供される、請求項21に従う組成物。
【請求項25】
ベンゾキノンを備える組成物を調製する方法であって、
ベンゾキノンを溶解性-増強性の重合体と重合体のための溶媒において接触させ、それにより、優れた生物学的利用能のベンゾキノンを含有する混合物を形成する工程を備える、方法。
【請求項26】
さらに、ベンゾキノン-重合体の組成物を形成するように、溶媒を除去する工程を備える、請求項25の方法。
【請求項27】
ベンゾキノンにCoQ10が含まれる、請求項25の方法。
【請求項28】
ベンゾキノン対合計重合体の比率が、約5%のベンゾキノン:95%の合計重合体から約95%のベンゾキノン:5%の合計重合体までの間である、請求項25の方法。
【請求項29】
さらに、1種又はそれよりも多い製薬上許容可能な原料を含む、請求項25の方法。
【請求項30】
重合体が、脂肪性ポリエステル、カルボキシアルキルセルロース、糖質、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンのホモ-及び共重合体、ビニルラクタムのホモ-及び共重合体、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾セラック、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項25の方法。
【請求項31】
重合体が、ポリビニルピロリドン、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル及びHPMCASからなる群より選ばれる、請求項30の方法。
【請求項32】
重合体にポリビニルピロリドンが含まれる、請求項31の方法。
【請求項33】
重合体に、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はHPMCASが含まれる、請求項31の方法。
【請求項34】
重合体に、架橋結合ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)が含まれる、請求項31の方法。
【請求項35】
混合物が、更に重合体のための非-溶媒を含む、請求項25の方法。
【請求項36】
溶媒及び非-溶媒が、約5%の溶媒:95%の非-溶媒から約95%の溶媒:5%の非-溶媒までの比率である、請求項35の方法。
【請求項37】
溶媒対非-溶媒の比率が、重合体が溶媒配合物において溶解するように選ばれる、請求項36の方法。
【請求項38】
優れた生物学的利用能のベンゾキノンが、より一層速い溶解、より一層大きな範囲の溶解、又はその双方を、重合体のための非-溶媒を伴わないベンゾキノン組成物に比べて表わす、請求項35の方法。
【請求項39】
優れた生物学的利用能のベンゾキノンが、50%のベンゾキノンの溶解のための時間においての減少を、重合体のための非-溶媒を伴わずに作成されるベンゾキノン組成物に比べて約100%又はそれよりも多く表わす、請求項38の方法。
【請求項40】
重合体の混合物における濃度が約1%から約90%までである、請求項25の方法。
【請求項41】
溶媒が、混合物を噴霧乾燥することによって、ベンゾキノンを備える粒子が形成されるように除去される、請求項26の方法。
【請求項42】
前記粒子が約2%未満の残留溶媒しか含んでいない、請求項41の方法。
【請求項43】
前記ベンゾキノンの前記混合物における主要部分が不定形である、請求項25の方法。
【請求項44】
ベンゾキノンが前記混合物においてほとんど完全に不定形である、請求項43の方法。
【請求項45】
粒子を備える組成物であって、請求項41に従って生成される組成物。
【請求項46】
溶媒/非-溶媒の方法から生成されるベンゾキノン生成物が、粒径分布の幅を、溶媒-だけの溶液から生成されるベンゾキノン生成物に比べて約50%又はそれよりも多く減らす、請求項35の方法。
【請求項47】
経口、固形-剤形物であって、請求項41に従って生成される粒子を備える剤形物。
【請求項48】
カプセル、錠剤、咀嚼錠、顆粒、玉(ビーズ)、ゼラチンカプセル、又は丸剤(ペレット)の形態である、請求項47の経口、固形-剤形物。
【請求項49】
さらに、少なくとも1種の他の活性原料を備える、請求項1に従う組成物。
【請求項50】
他の活性原料が栄養補助上の原料である、請求項49に従う組成物。
【請求項51】
他の活性原料が活性な製薬上の原料である、請求項47に従う組成物。
【請求項52】
ベンゾキノンを備える組成物であって、請求項25に従い生成される組成物。
【請求項53】
対象体にベンゾキノンを提供するための方法であって、前記対象体に対し、請求項47の経口、固形-剤形物で管理する工程を備える、方法。
【請求項54】
前記剤形物が栄養補助上の生成物を含む、請求項53の方法。
【請求項55】
前記剤形物が製薬上の生成物を含む、請求項53の方法。
【請求項56】
前記剤形物がうっ血性心不全を処置するために管理される、請求項53の方法。
【請求項57】
前記剤形物が冠動脈疾患を処置するために管理される、請求項53の方法。
【請求項58】
製薬上の組成物であって、ベンゾキノン及び少なくとも1種の製薬上許容可能な賦形剤を備え、ベンゾキノンが噴霧乾燥のベンゾキノンを不定形状態において備える、組成物。
【請求項59】
前記製薬上の組成物が脂質又は油を実質含まない、請求項58の組成物。
【請求項60】
ベンゾキノンの固形分散物、及び少なくとも1種の可溶性-増強性の重合体を備える組成物であって、前記分散物における前記ベンゾキノンが実質不定形である、組成物。
【請求項61】
前記ベンゾキノンが前記分散物においてほとんど完全に不定形である、請求項60の組成物。
【請求項62】
前記ベンゾキノンが前記分散物において完全に不定形である、請求項60の組成物。
【請求項63】
少なくとも約20%のベンゾキノンが水性媒体において試験されるとき15分において遊離される、請求項60の組成物。
【請求項64】
ベンゾキノンが噴霧乾燥された粒子の形態にある、請求項63の組成物。
【請求項65】
噴霧乾燥された粒子の粒径の幅が約1.5未満である、請求項64の組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−502968(P2009−502968A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524270(P2008−524270)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029821
【国際公開番号】WO2007/014392
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029821
【国際公開番号】WO2007/014392
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
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