説明

元素分析装置および元素分析方法

【課題】レーザ誘起ブレイクダウン分光法による元素分析の分析精度を高める。
【解決手段】試料6に含有される元素の濃度を分析する元素分析装置は、試料6に照射されるとプラズマ7を発生させるパルスレーザー光3を生成するレーザー発振器1と、プラズマ7から発生する蛍光8のうち試料6の表面から所定の長さ離れた計測領域から放出される蛍光8を通過させ、計測領域以外から放出される蛍光8を遮るスリット9と、パルスレーザー光3が試料6に照射されてから所定の時間が経過した後の所定の計測期間にスリット9を通過した蛍光8の波長ごとの強度を測定する分光器11と、を備える。計測領域および計測期間は、パルスレーザー光3が試料6に照射されて発生するプラズマ7から放出される蛍光の波長ごとの強度の試料6の表面からの距離に対する変化およびパルスレーザー光3の照射後の経過時間に対する変化に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に含有される元素の濃度を分析する元素分析装置および元素分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中に含まれる各種元素を検出し定量する元素分析は、多分野で用いられている。たとえば鉄鋼生産ラインでは、含有する不純物元素の管理に元素分析は無くてはならない技術である。
【0003】
鉄鋼成分の分析では、まず銑鉄をサンプリングし、分析装置に合わせた形に試料を切り出す。その後、スパーク分光分析装置で含有する炭素(C)や硫黄(S)などの軽元素から重金属元素までをオフラインで分析している。このような元素分析では、サンプリングや試料の加工、その後のオフライン分析などに長時間が必要である。
【0004】
一方、鉄鋼生産や鉄鋼取り扱いの現場では、その場で短時間で構成元素の成分が分析可能な手法が求められている。
【0005】
この手法の一つとして、レーザー光を用いた新しい技術であるレーザ誘起ブレイクダウン分光法(Laser-induced Breakdown Spectroscopy;LIBS法)が開発されている。このLIBS法では、パルスレーザー光を測定試料に直接照射してプラズマを発生させる。このプラズマから発生するプラズマ光を分光し、原子固有の波長の発光を検出することによって、試料中の元素種、量が検出できる。このため、試料の前処理が不要で、迅速・簡便な元素分析が可能である(たとえば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2000−310596号公報
【特許文献2】特開2004−205266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザ誘起ブレイクダウン分光法は、元素から発せられる蛍光を測定対象としている。この方法は簡便ではあるが、分析対象試料の密度や色や表面粗さなどの物理的・化学的な性状により、レーザー光ブレイクダウンにより生成されるプラズマ温度が影響されやすい。このため、生成される蛍光中に含まれる元素の発光の空間および時間特性が影響されやすく、検出感度や再現性に問題がある。
【0007】
そこで本発明は、レーザ誘起ブレイクダウン分光法による元素分析の分析精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、試料に含有される元素の濃度を分析する元素分析装置において、前記試料に照射されるとプラズマを発生させるパルスレーザー光を生成するレーザー発振手段と、前記プラズマから発生する蛍光のうち前記試料の表面から所定の長さ離れた計測領域から放出される蛍光を通過させ、前記計測領域以外から放出される蛍光を遮る遮光手段と、前記パルスレーザー光が前記試料に照射されてから所定の時間が経過した後の所定の計測期間に前記遮光手段を通過した前記蛍光の波長ごとの強度を測定する分光測定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、試料に含有される元素の濃度を分析する元素分析方法において、パルスレーザー光が前記試料に照射されて発生するプラズマから放出される蛍光の波長ごとの強度の前記試料の表面からの距離に対する変化に基づいて、前記プラズマ中の領域であってその領域から放出される前記蛍光を測定すると所定の分析精度が得られる領域を計測領域とする計測領域決定工程と、パルスレーザー光が前記試料に照射されて発生するプラズマから放出される蛍光の波長ごとの強度の前記パルスレーザー光の照射後の経過時間に対する変化に基づいて、前記パルスレーザー光の照射後の期間であってその期間に放出される前記蛍光を測定すると所定の分析精度が得られる期間を計測期間とする計測期間決定工程と、計測領域決定工程および計測期間決定工程の後に、前記試料にパルスレーザー光を照射して前記試料からプラズマを発生させるレーザー照射工程と、前記レーザー照射工程の後の前記計測期間に、前記計測領域から放出される蛍光の波長ごとの強度を測定する計測工程と、分析対象の元素に対応する波長の前記蛍光の強度に基づいて前記元素の濃度を求める分析工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レーザ誘起ブレイクダウン分光法による元素分析の分析精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る元素分析装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る元素分析装置の第1の実施の形態におけるブロック図を一部の縦断面とともに示す図である。
【0013】
本実施の形態の元素分析装置は、固体の試料6に含まれる成分元素を分析する装置である。この元素分析装置は、レーザー発振器1、レーザー電源2、タイミングコントローラ12、分光器11、増幅器41および計測制御用コンピュータ15を有している。レーザー発振器1は、たとえばYAGレーザー発振器である。レーザー発振器1はレーザー電源2に接続されている。レーザー電源2、増幅器41および計測制御用コンピュータ15は、タイミングコントローラ12に接続されている。分光器11は増幅器41に接続されていて、増幅器41は計測制御用コンピュータ15に接続されている。
【0014】
また、元素分析装置は、レーザー光反射ミラー4およびレーザー光集光レンズ5を有している。レーザー光反射ミラー4およびレーザー光集光レンズ5は、レーザー発振器1から射出されるパルスレーザー光3が試料6の表面に集光するように配置されている。
【0015】
元素分析装置は、さらに、スリット9および蛍光集光レンズ10を有している。スリット9は、試料6にパルスレーザー光3が照射されることにより発生したプラズマ7から発生する蛍光8のうち、試料6の表面から所定の距離の所定の大きさの領域で発生した蛍光のみがスリット9を介して蛍光集光レンズ10に到達するように配置されている。ここで、蛍光集光レンズ10に到達する蛍光8が発生しているプラズマ7の内部の領域を計測領域91と呼ぶ。また、計測領域91と試料6の表面との距離を計測高さと呼ぶ。蛍光集光レンズ10は、スリット9を通過した蛍光8が分光器11の受光部で集光するように配置されている。
【0016】
タイミングコントローラ12は、パルスレーザー光3を発振するタイミング信号13を生成する。このタイミング信号13は、タイミングコントローラ12からレーザー電源2に伝達される。タイミング信号13を受信したレーザー電源2は、レーザー発振器1に電力を供給し、たとえばパルスエネルギーが10mJ程度で、パルス幅5ns程度のパルスレーザー光3を発生させる。このようなパルスレーザー光3の出力は、パルス的に2MW程度となる。
【0017】
レーザー光反射ミラー4およびレーザー光集光レンズ5を介して試料6にパルスレーザー光3が集光照射されると、いわゆるブレイクダウンが生じ、試料6の表面の一部がプラズマ化する。このようにしてプラズマ7が発生すると、このプラズマ7はパルスレーザー光3の照射終了とともに再結合が始まり、数μsないし数十μsの間は照射試料の構成元素が励起状態の原子となる。この励起状態の原子は、下準位に遷移するときに原子数に比例した蛍光8を放出する。
【0018】
この蛍光8のうち、プラズマ7の計測領域91で発生したもののみがスリット9を通って蛍光集光レンズ10に到達し、分光器11に入射する。分光器11に入射した蛍光8は、スペクトル分離され電気信号に変換された後、増幅器41で増幅されて計測制御用コンピュータ15に伝達される。
【0019】
また、増幅器41および計測制御用コンピュータ15には、タイミングコントローラ12からタイミング信号13から所定の時間遅れた蛍光測定用のゲート信号14が伝達される。このゲート信号14によって増幅器41および計測制御用コンピュータ15は、レーザー照射後の特定の時間帯に生成された蛍光8のみが計測される。この蛍光8を計測する特定の時間帯を計測期間と呼ぶこととする。
【0020】
プラズマ7から発生する蛍光8の発光強度は、元素ごとにプラズマ7中の位置によって異なる。また、蛍光8の発光強度の時間変化も元素ごとに異なる。
【0021】
図2は、鋼にレーザー光を照射して発生した蛍光の元素スペクトルの例を示すグラフである。この元素スペクトルは、鋼の表面から1mmごとにプラズマの領域を分割し、それぞれの領域で発生する蛍光を独立して測定したものである。図中の計測高さはこのプラズマの領域を示していて、たとえば計測高さが0mmとは鉄鋼の表面から1mmの間の領域、計測高さが4mmとは鉄鋼の表面からの距離が4mmから5mmの間の領域を示す。
【0022】
193nmの蛍光強度のピークは鉄鋼に含まれる炭素(C)からの発光によるものである。200〜205nmの蛍光強度の複数のピークは鉄鋼に含まれる鉄(Fe)からの発光によるものである。
【0023】
図3は、鋼にレーザー光を照射して発生した炭素からの蛍光強度および鉄からの蛍光強度の計測高さによる変化の例を示すグラフである。
【0024】
図2および図3から、プラズマから発生する蛍光の強度は、試料表面からの距離によって異なることがわかる。また、炭素のピークは、計測高さが0mmから8mmの範囲で現れるのに対して、鉄のピークは、計測高さが6mm以上では現れないことがわかる。また、計測高さが4mm以上の領域では、バックグラウンドのレベルは計測高さが高いほど小さくなる傾向があることがわかる。
【0025】
鉄鋼中の炭素濃度は、鉄と炭素の成分比から求めることができる。このため、炭素からの蛍光強度および鉄からの蛍光強度がともに大きいと、鉄鋼中の炭素濃度の分析精度が高い。また、バックグラウンドのレベルは小さいほうが好ましい。図3のような蛍光強度分布の場合には、試料表面から2ないし5mm程度の領域でプラズマから発生する蛍光のスペクトルを計測して、鉄と炭素の成分比を求めることにより、鉄鋼中の炭素濃度を精度よく分析できる。
【0026】
そこで、本実施の形態の元素分析装置を用いる際には、分析対象の試料に応じて、予め分析精度が高い計測領域を設定しておく。
【0027】
つまり、パルスレーザー光3が試料6に照射されて発生するプラズマ7から放出される蛍光8の波長ごとの強度の計測高さに対する変化に基づいて、所定の分析精度が得られる計測領域を設定する。たとえば分析したい成分元素を含有する模擬試料にレーザー光を照射してプラズマを発生させ、それぞれの成分元素に対応する蛍光の強度の計測高さに対する変化を計測する。この蛍光強度の計測高さに対する変化に基づいて、計測領域を設定することができる。
【0028】
図4は、試料にレーザー光を照射して発生したプラズマから放出される蛍光の強度の時間変化の例を示すグラフである。
【0029】
プラズマから放出される蛍光の強度は、レーザー光の照射後、時間の経過に伴って一旦上昇した後に小さくなっていく。この蛍光強度の時間変化は、蛍光を発する元素によって異なる。たとえば図4に示した例では、バックグラウンド(ノイズ)成分の蛍光強度が最も早く最大値をとる。このため、バックグラウンド成分の蛍光強度が小さく、かつ、元素Aおよび元素Bなどの測定対象の元素の蛍光強度が高い期間にプラズマから発生する蛍光を測定することにより、測定対象の濃度を精度よく分析できる。
【0030】
そこで、本実施の形態の元素分析装置を用いる際には、分析対象の試料に応じて、予め分析精度が高い計測期間を設定しておく。
【0031】
つまり、パルスレーザー光3が試料6に照射されて発生するプラズマ7から放出される蛍光8の波長ごとの強度のパルスレーザー光3の照射後の経過時間に対する変化に基づいて、所定の分析精度が得られる計測期間を設定する。たとえば分析したい成分元素を含有する模擬試料にレーザー光を照射してプラズマを発生させ、それぞれの成分元素に対応する蛍光の強度の時間変化を計測する。この蛍光強度の時間変化に基づいて、計測期間を設定することができる。
【0032】
このようにして設定した計測領域および計測期間において、プラズマ7から放出される蛍光8を測定する。この計測領域および計測期間における蛍光8の強度のうち、分析対象の元素に対する波長の強度を用いて、分析対象の元素の濃度を求めることができる。計測制御用コンピュータ15に、分析対象の元素の濃度を算出させてもよい。
【0033】
このように、パルスレーザー光3の照射後の特定の時間帯での、プラズマ7中の特定の位置における蛍光8を計測することにより、測定対象の元素から放出される蛍光を高感度、かつ、高S/N(信号対雑音比)で計測することができる。これにより、レーザ誘起ブレイクダウン分光法による元素分析の精度が向上する。
【0034】
また、レーザー光反射ミラー4を用いることにより、パルスレーザー光3の進路を変化させることができるため、試料6に対するレーザー発振器1の配置の自由度が高まる。レーザー光集光レンズ5を用いることにより、パルスレーザー光3のエネルギー密度が高まるため、プラズマ7の発生効率が向上する。蛍光集光レンズ10を用いることにより分光器11に入射する蛍光8の強度を高めることができるため、蛍光8の計測精度が向上し、最終的な分析精度が高まる。
【0035】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明に係る元素分析装置の第2の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0036】
本実施の形態の元素分析装置は、第1の実施の形態の元素分析装置の計測手段に蛍光反射ミラー16を追加したものである。試料6にパルスレーザー光3を照射して発生したプラズマ7から放出される蛍光8のうち、所定の計測領域からの蛍光8のみがスリット9を透過し、蛍光反射ミラー16によって進行方向が変えられ、蛍光集光レンズ10で集光されて分光器11に入射する。
【0037】
たとえば比較的大きな平板状の試料6の中央付近で元素分析を行う場合などに、蛍光集光レンズ10および分光器11の大きさによっては、これらが試料6と干渉することがある。このような場合には、試料6の表面と平行な方向に蛍光8が分光器11に入射するように蛍光集光レンズ10および分光器11を配置できないことがある。本実施の形態では、蛍光反射ミラー16を配設することにより、分光器11に入射する蛍光8の進行方向を変化させることができるため、蛍光集光レンズ10および分光器11の配置の自由度が高まる。
【0038】
[第3の実施の形態]
図6は、本発明に係る元素分析装置の第3の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図7におけるVI−VI矢視縦断面図である。図7は、図6におけるVII−VII矢視横断面図である。
【0039】
本実施の形態の元素分析装置は、第2の実施の形態の元素分析装置に凹面ミラー17を追加したものである。凹面ミラー17は、プラズマ7を挟んでスリット9の反対側に反射面がプラズマ7に向かうように配置される。
【0040】
このように凹面ミラー17を配設することにより、プラズマ7から放出される蛍光8のうちスリット9の反対側に向かう蛍光8も集光することができ、より多くの蛍光8が分光器11に入射することになる。このため、蛍光8の集光効率が向上し、蛍光検出感度が向上する。これにより元素分析装置の分析精度が向上する。
【0041】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明に係る元素分析装置の第4の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0042】
本実施の形態の元素分析装置は、第3の実施の形態の元素分析装置の蛍光反射ミラー16および蛍光集光レンズ10を凹面ミラー18に代えたものである。この凹面ミラー18は、スリット9を通過した蛍光8の進行方向を分光器11に向かうように変化させるとともに、分光器11の受光部で集光させるように配置されている。
【0043】
紫外領域の波長の蛍光8は、レンズの透過率が低い。このため、分光器11に入射する蛍光8をレンズで集光すると、検出効率が低下する場合がある。しかし本実施の形態の元素分析装置では、蛍光8を集光するためにレンズを用いていないため、検出効率の低下を抑制することができる。
【0044】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明に係る元素分析装置の第5の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0045】
本実施の形態の元素分析装置は、第2の実施の形態の元素分析装置におけるパルスレーザー光および蛍光の経路の一部に光ファイバーを用いたものである。
【0046】
レーザー発振器1(図1参照)から射出されたパルスレーザー光3は、レーザー光伝送用光ファイバー19を介して試料6の表面に向かう照射窓42から放出され、レーザー光集光レンズ5で試料6の表面に集光する。プラズマ7から放出される蛍光8は、スリット9を通過し、蛍光反射ミラー16で進路を変えられ、蛍光集光レンズ10で集光された後に、受光窓43に入射する。受光窓43に入射した蛍光8は、蛍光伝送用光ファイバー20を介して分光器11の受光部に到達する。
【0047】
このようにパルスレーザー光3および蛍光8の進路の一部に光ファイバーを用いることにより、レーザー発振器1や分光器11などの機器の配置の制約を小さくすることができる。
【0048】
[第6の実施の形態]
図10は、本発明に係る元素分析装置の第6の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0049】
本実施の形態の元素分析装置は、第5の実施の形態の元素分析装置の一部を蛍光集光ユニット21にまとめたものである。
【0050】
蛍光集光ユニット21は、筒状の集光ユニット容器44およびその内部に収められた蛍光反射ミラー16および蛍光集光レンズ10を有している。また、集光ユニット容器44の一方の端面には受光窓43が取り付けられている。集光ユニット容器44の側面にはスリット22が設けられている。
【0051】
スリット22は、集光ユニット容器44の軸方向に移動可能に形成されている。蛍光反射ミラー16は、スリット22の移動に合わせて移動するようにしてもよい。
【0052】
測定を行う際には、集光ユニット容器44の受光窓43と反対側の端面が試料6のパルスレーザー光3が照射される面に接するように蛍光集光ユニット21を配置する。このように配置することにより、スリット22の開口部の試料6の表面からの高さを容易に計測領域に合わせることができる。このため、分析に要する時間を短くすることができる。
【0053】
[第7の実施の形態]
図11は、本発明に係る元素分析装置の第7の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0054】
本実施の形態の元素分析装置は、第6の実施の形態の元素分析装置の一部をレーザー照射ユニット23にまとめたものである。
【0055】
レーザー照射ユニット23は、一方の端面が開放された筒状の照射ユニット容器45を有している。照射ユニット容器45の開放されていない端面には照射窓42が取り付けられている。照射窓42から放出されるパルスレーザー光3が照射ユニット容器45の開放している端面位置に集光するように、照射ユニット容器45の軸方向の中間部分にレーザー光集光レンズ5が取り付けられている。
【0056】
また、レーザー照射ユニット23は、バッファガス導入管24およびバッファガス排出管25を有している。バッファガス導入管24は、照射ユニット容器45の開放している端面付近から照射ユニット容器45の外部に延びている。バッファガス排出管25は、照射ユニット容器45の開放していない端面付近から照射ユニット容器45の外部に延びている。
【0057】
さらに、レーザー照射ユニット23の側面には、蛍光8が透過する透過窓26が設けられている。
【0058】
この元素分析装置を用いて試料6の元素分析を行う場合には、まず、照射ユニット容器45の開放している端面を試料6に接するようにレーザー照射ユニット23を配置する。これにより、照射ユニット容器45は、試料6の表面とともに閉空間を形成する。
【0059】
この閉空間にはバッファガス導入管24を介して雰囲気ガスが導入され、この雰囲気ガスはバッファガス排出管25を介して排出される。このようにして、この閉空間の内部は雰囲気ガスで置換される。雰囲気ガスとしては、ArやHeなどを用いる。
【0060】
また、スリット22が透過窓26と向かい合うように、蛍光集光ユニット21を配置する。なお、レーザー照射ユニット23と蛍光集光ユニット21を一体として形成してもよい。
【0061】
このような元素分析装置では、パルスレーザー光3が常に試料6の表面に集光するため、照射窓42やレーザー光集光レンズ5の位置決めを行う必要がない。このため、分析に要する時間を短縮することができる。
【0062】
また、測定対象とする試料6によっては、プラズマ7が発生する雰囲気のガス条件が元素の検出感度に大きな影響を与える場合がある。本実施の形態の元素分析装置では、雰囲気ガスを置換することにより、一定の雰囲気の下でプラズマ7を発生させて蛍光8の測定を行うことができるため、元素の検出感度を一定とし、測定精度を高めることができる。
【0063】
さらに、パルスレーザー光3が試料6に照射される位置の近傍にバッファガス導入管24が位置しているため、パルスレーザー光3を照射することによって生じる微粉末がパルスレーザー光3の照射領域に滞留することを抑制することができる。このため、連続的にパルスレーザー光3を照射する場合であっても、このような微粉末の影響を小さくすることができる。
【0064】
[第8の実施の形態]
図12は、本発明に係る元素分析装置の第8の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【0065】
本実施の形態の元素分析装置は、第7の実施の形態の元素分析装置の蛍光集光ユニット21に給排気管27を追加したものである。給排気管27は、集光ユニット容器44の内部から外部に延びている。
【0066】
プラズマ7から発生する蛍光8の波長が200nm以下の紫外領域の場合には、空気による吸収が大きい。そこで、本実施の形態の元素分析装置では、蛍光集光ユニット21の内部のガスを給排気管27を介して排気した後、蛍光8の透過率が高いガスを給排気管27を介して供給する。蛍光8の透過率が高いガスとしては、Nが代表的である。また、蛍光8の透過率が高いガスとして、Heを用いることもできる。
【0067】
このような元素分析装置では、蛍光集光ユニット21の内部での蛍光8の吸収が小さくなり、蛍光検出効率を高めることができる。
【0068】
[第9の実施の形態]
図13は、本発明に係る元素分析装置の第9の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図14におけるXIII−XIII矢視縦断面図である。図14は、図13におけるXIV−XIV矢視横断面図である。
【0069】
本実施の形態の元素分析装置は、第8の実施の形態の元素分析装置のレーザー照射ユニット23に、スパッタ蒸気付着防止フィルム28およびこのスパッタ蒸気付着防止フィルム28を巻いた2つのロール29を追加したものである。
【0070】
スパッタ蒸気付着防止フィルム28は、レーザー光集光レンズ5と照射ユニット容器45の開放していない端面との間に配置されている。また、スパッタ蒸気付着防止フィルム28と照射ユニット容器45の開放していない端面との間は、少なくとも計測高さ以上離れている。このスパッタ蒸気付着防止フィルム28は、一方のロール29から送り出されて、他方のロール29に送り入れられるようになっている。スパッタ蒸気付着防止フィルム28としては、薄いポリエチレンフィルムなど、パルスレーザー光3の吸収が小さい材質を用いる。
【0071】
パルスレーザー光3を試料6に照射すると、試料6の一部がスパッタ蒸発して飛散する。このため、パルスレーザー光3を継続して照射すると、レーザー光集光レンズ5の試料6の表面と向かい合う面に試料6が蒸着する場合がある。このようにレーザー光集光レンズ5に試料6などが付着すると、パルスレーザー光3の減衰が無視できなくなることがある。
【0072】
そこで、本実施の形態の元素分析装置では、レーザー光集光レンズ5の試料6の表面と向かい合う面を覆うように、スパッタ蒸気付着防止フィルム28を配置し、パルスレーザー光3を所定の時間継続して照射した後に、新しいものと置き換える。
【0073】
これにより、レーザー光集光レンズ5は、クリーンな状態を保つことができる。また、スパッタ蒸気が付着したスパッタ蒸気付着防止フィルム28は、新しいものと容易に交換できる。このようにして、パルスレーザー光3の経路へのスパッタ蒸気の付着物が残留することを抑制し、試料6に照射されるパルスレーザー光3の減衰を小さくすることができる。
【0074】
[第10の実施の形態]
図15は、本発明に係る元素分析装置の第10の実施の形態におけるブロック図の一部とともに示すプラズマ発生部近傍の縦断面である。
【0075】
本実施の形態の元素分析装置は、第8の実施の形態の元素分析装置のレーザー発振器を二重化したものである。
【0076】
この元素分析装置は、2つのレーザー発振器51,52を有している。それぞれのレーザー発振器51,52にはそれぞれレーザー電源53,54が接続されている。レーザー電源53,54には、タイミングコントローラ12(図1参照)が接続されていて、それぞれ独立したタイミング信号55,56が伝達される。
【0077】
第1のレーザー発振器51から射出される第1のパルスレーザー光81は、ハーフミラー61を透過して入射窓63に入射する。第2のレーザー発振器52から射出される第2のパルスレーザー光82は、ミラー62で反射して進行方向を変えられた後に、ハーフミラー61で反射して第1のパルスレーザー光81の進行方向と同じ方向に進行し、入射窓63に入射する。
【0078】
入射窓63に入射した第1および第2のパルスレーザー光81,82は、光ファイバー19中を進行し、レーザー照射ユニット23の照射窓42から放出されて試料6に向かって進行する。
【0079】
波長によってレンズの屈折率は異なるため、レンズの焦点距離は波長によって異なる。本実施の形態の元素分析装置では、第1のパルスレーザー光81が試料6の表面に集光するように、レーザー光集光レンズ5を配置している。また、第2のパルスレーザー光82は、レーザー光集光レンズ5によって試料6の表面とレーザー光集光レンズ5との間に集光する波長の光である。
【0080】
第1のパルスレーザー光81は、波長が1064nmのNd:YAGレーザーの基本波とし、第2のパルスレーザー光82は、波長が532nmの2倍波とする。この場合、たとえば石英ガラスを用いた焦点距離が約50mmのレーザー光集光レンズ5の場合には、第2のパルスレーザー光82の焦点位置は、第1のパルスレーザー光81に比べて約1.5mmレーザー光集光レンズ5寄りとなる。また、第2のパルスレーザー光82を、波長355nmのNd:YAGレーザーの3倍波とすると、第2のパルスレーザー光82の焦点位置は、第1のパルスレーザー光81に比べて約3mmレーザー光集光レンズ5寄りとなる。
【0081】
タイミングコントローラ12は、第1のパルスレーザー光81から所定の時間遅れて第2のパルスレーザー光82が照射されるように、タイミング信号55,56をレーザー電源53,54に伝達する。この所定の時間遅れは、数から数十μ秒である。このようにレーザー光をダブルパルスとすることにより、検出感度が向上する。また、2番目に照射するレーザー光をプラズマ7中に集光することにより、さらに検出感度が向上する。
【0082】
[第11の実施の形態]
図16は、本発明に係る元素分析装置の第11の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図17におけるXVI−XVI矢視縦断面図である。図17は、図16におけるXVII−XVII矢視横断面図である。
【0083】
本実施の形態の元素分析装置は、第9の実施の形態の元素分析装置の蛍光集光ユニットの代わりに4つの反射プリズム集光ユニット71を設け、レーザー照射ユニット23の内部に5枚の穴あき円板31を取り付けたものである。
【0084】
穴あき円板31は、中心部にプラズマ7よりも大きな内径の穴が形成された円板である。穴あき円板31の外径は、照射ユニット容器45の内径と同じである。5枚の穴あき円板31は、照射ユニット容器45の開放している端面とスパッタ蒸気付着防止フィルム28との間にたとえば1mm間隔で配設されている。穴あき円板31は、蛍光8の反射が小さいものが好ましい。
【0085】
反射プリズム集光ユニット71は、反射プリズム32、集光レンズ33および受光窓43を一体化したものである。4つの反射プリズム集光ユニット71は、5枚の穴あき円板31の間に形成された4箇所の間隙のそれぞれに反射プリズム32が位置するように配置されている。反射プリズム32には、2枚の穴あき円板31の間以外からは蛍光8が入射しないようになっている。集光レンズ33は、反射プリズム集光ユニット71によって反射された蛍光8が受光窓43に集光するように配置されている。
【0086】
また、それぞれの受光窓43に対して独立した分光器11(図1参照)および増幅器41(図1参照)が設けられていて、それぞれの受光窓43に入射する蛍光8の波長および強度を独立して計測できるようになっている。
【0087】
このような元素分析装置を用いると、4つの異なる計測高さにおいてプラズマ7から発生した蛍光8を同時に測定することができる。このため、複数の元素の濃度を同時に計測することができ、計測に要する時間を短縮することができる。また、計測高さ方向に垂直な方向に広がる2枚の穴あき円板31によって特定の計測高さで発生した蛍光8を切り出すため、測定精度が向上する。
【0088】
反射プリズム集光ユニット71の数は4つに限定されるものではなく、分析対象の元素の数や装置の大きさに合わせて適宜増減してもよい。
【0089】
[他の実施の形態]
第1ないし第11の実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、ここではレーザー発振器1としてYAGレーザー発振器を用いているが、レーザーブレイクダウンが可能なパルスレーザーであればエキシマレーザやCOレーザーなどを用いることができる。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る元素分析装置の第1の実施の形態におけるブロック図を一部の縦断面とともに示す図である。
【図2】鋼にレーザー光を照射して発生した蛍光の元素スペクトルの例を示すグラフである。
【図3】鋼にレーザー光を照射して発生した炭素からの蛍光強度および鉄からの蛍光強度の計測高さによる変化の例を示すグラフである。
【図4】試料にレーザー光を照射して発生したプラズマから放出される蛍光の強度の時間変化の例を示すグラフである。
【図5】本発明に係る元素分析装置の第2の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図6】本発明に係る元素分析装置の第3の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図7におけるVI−VI矢視縦断面図である。
【図7】図6におけるVII−VII矢視横断面図である。
【図8】本発明に係る元素分析装置の第4の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図9】本発明に係る元素分析装置の第5の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図10】本発明に係る元素分析装置の第6の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図11】本発明に係る元素分析装置の第7の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図12】本発明に係る元素分析装置の第8の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍の縦断面図である。
【図13】本発明に係る元素分析装置の第9の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図14におけるXIII−XIII矢視縦断面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV矢視横断面図である。
【図15】本発明に係る元素分析装置の第10の実施の形態におけるブロック図の一部とともに示すプラズマ発生部近傍の縦断面である。
【図16】本発明に係る元素分析装置の第11の実施の形態におけるプラズマ発生部近傍を示す、図17におけるXVI−XVI矢視縦断面図である。
【図17】図16におけるXVII−XVII矢視横断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1…レーザー発振器、2…レーザー電源、3…パルスレーザー光、4…レーザー光反射ミラー、5…レーザー光集光レンズ、6…試料、7…プラズマ、8…蛍光、9…スリット、10…蛍光集光レンズ、11…分光器、12…タイミングコントローラ、13…タイミング信号、14…ゲート信号、15…計測制御用コンピュータ、16…蛍光反射ミラー、17…凹面ミラー、18…凹面ミラー、19…レーザー光伝送用光ファイバー、20…蛍光伝送用光ファイバー、21…蛍光集光ユニット、22…スリット、23…レーザー照射ユニット、24…バッファガス導入管、25…バッファガス排出管、26…透過窓、27…給排気管、28…スパッタ蒸気付着防止フィルム、29…ロール、31…穴あき円板、32…反射プリズム、33…集光レンズ、41…増幅器、42…照射窓、43…受光窓、44…集光ユニット容器、45…照射ユニット容器、51,52…レーザー発振器、53,54…レーザー電源、55,56…タイミング信号、61…ハーフミラー、62…ミラー、63…入射窓、71…反射プリズム集光ユニット、81,82…パルスレーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に含有される元素の濃度を分析する元素分析装置において、
前記試料に照射されるとプラズマを発生させるパルスレーザー光を生成するレーザー発振手段と、
前記プラズマから発生する蛍光のうち前記試料の表面から所定の長さ離れた計測領域から放出される蛍光を通過させ、前記計測領域以外から放出される蛍光を遮る遮光手段と、
前記パルスレーザー光が前記試料に照射されてから所定の時間が経過した後の所定の計測期間に前記遮光手段を通過した前記蛍光の波長ごとの強度を測定する分光測定手段と、
を有することを特徴とする元素分析装置。
【請求項2】
前記分光測定手段によって測定された前記蛍光の強度のうち、分析対象の元素に対応する波長の強度に基づいて、前記試料に含有される元素の濃度を算出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の元素分析装置。
【請求項3】
前記遮光手段と前記分光測定手段との間の前記蛍光の進行方向を変化させる蛍光進路変更手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の元素分析装置。
【請求項4】
前記遮光手段を通過した前記蛍光を集光させる第1の凹面ミラーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項5】
前記プラズマに対して前記遮光手段の反対側に配置され、前記計測領域から放出される前記蛍光を前記遮光手段に向かって反射して集光させる第2の凹面ミラーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項6】
前記パルスレーザー光の経路の少なくとも一部に配設されたレーザー光用光ファイバーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項7】
前記蛍光の経路の少なくとも一部に配設された蛍光用光ファイバーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項8】
前記試料の表面に接触可能な端部を備え、その端部からの距離が変化する方向に前記穴部が移動可能に前記遮光手段が取り付けられた剛体を有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項9】
前記パルスレーザー光が照射される領域を含む前記試料の表面とともに閉空間を形成する照射ユニット容器と、
前記照射ユニット容器の内部の気体を置換する第1の給排気手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項10】
前記蛍光の経路の少なくとも一部を占めるように配置された集光ユニット容器と、
前記集光ユニット容器の内部の気体を置換する第2の給排気手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項11】
前記パルスレーザー光を前記試料の表面で集光させるレーザー集光手段と、
前記レーザー集光手段と前記パルスレーザー光が照射される前記試料の表面との間に配設されたスパッタ蒸気付着防止フィルムと、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項12】
前記レーザー発振手段は、2つの異なる波長のパルスレーザー光を生成するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項13】
前記遮光手段は、前記試料の表面からの距離が異なる位置に広がる3枚以上の板を備え、前記分光測定手段は、隣り合う2枚の前記板に対応して設けられた複数のユニットを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の元素分析装置。
【請求項14】
試料に含有される元素の濃度を分析する元素分析方法において、
パルスレーザー光が前記試料に照射されて発生するプラズマから放出される蛍光の波長ごとの強度の前記試料の表面からの距離に対する変化に基づいて、前記プラズマ中の領域であってその領域から放出される前記蛍光を測定すると所定の分析精度が得られる領域を計測領域とする計測領域決定工程と、
パルスレーザー光が前記試料に照射されて発生するプラズマから放出される蛍光の波長ごとの強度の前記パルスレーザー光の照射後の経過時間に対する変化に基づいて、前記パルスレーザー光の照射後の期間であってその期間に放出される前記蛍光を測定すると所定の分析精度が得られる期間を計測期間とする計測期間決定工程と、
計測領域決定工程および計測期間決定工程の後に、前記試料にパルスレーザー光を照射して前記試料からプラズマを発生させるレーザー照射工程と、
前記レーザー照射工程の後の前記計測期間に、前記計測領域から放出される蛍光の波長ごとの強度を測定する計測工程と、
分析対象の元素に対応する波長の前記蛍光の強度に基づいて前記元素の濃度を求める分析工程と、
を有することを特徴とする元素分析方法。
【請求項15】
前記レーザー照射工程の後で、前記プラズマが消滅する前に、前記プラズマにレーザー光を照射する工程を有することを特徴とする請求項14に記載の元素分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−256585(P2008−256585A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100267(P2007−100267)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】