説明

充填タンクの洗浄方法

【課題】固形物を含む充填物製造後の洗浄でも固形物の残渣による衛生上のリスクがなく、CIP所要時間を短縮することができ、かつ、洗浄ライン構成要素の低減化した安価な洗浄ラインを有する充填装置や、かかる充填装置を用いた充填タンクの洗浄方法を提供すること。
【解決手段】略円筒形の胴部を有する充填タンク10と、該充填タンクに充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管20と、充填タンクの上部に接続されている呼吸配管30と、充填タンクの下部に接続されている、充填ピストン41及び充填ノズル42を備えた充填配管40とを有する充填装置を洗浄する。前記充填液供給配管と充填タンクとが充填タンク胴接線方向に接続されているので、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、充填タンクの上部に達した洗浄液で呼吸配管を洗浄し、洗浄液の充填ノズルからの排出で充填配管を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳やジュース等の液体を容器へ充填するための充填タンクの洗浄方法や、該充填タンクの洗浄方法に用いられるタンク内部にスプレーボール等が配設されていない充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来スプレーボール、スプレーノズル、噴射装置等のタンク内洗浄配管を用いて充填タンク内部を洗浄する充填タンクの洗浄方法や充填装置の洗浄装置は知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、タンク内洗浄配管として、拡散板(バッフルプレート)を備えた洗浄装置も知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。これら充填タンク内部にスプレーボール等のタンク内洗浄手段を有する充填タンクを洗浄する場合、充填液に繊維等の固形分を有するミックス液を用いるとき、スプレーボールやバッフルプレートに固形分が残渣として残ることから衛生上のリスクがあった。
【0003】
また、洗浄液供給配管とタンクとが、供給した洗浄液がタンク内周面の旋回流となるように、タンク胴接線方向に接続されている洗浄装置も知られている(例えば、特許文献6〜8参照)。さらに、容器搬送経路の上方に配置されている充填ノズルと、ピストンを内蔵しかつピストンの往復動によって充填液を充填ノズルに送り込む定量シリンダと、前記ピストンを任意のストローク量および/または任意のストローク速度で往復動させる独立した駆動装置とを備えている充填装置も知られている(例えば、特許文献9参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平2002−160798号公報
【特許文献2】特開平2002−119936号公報
【特許文献3】特公昭47−38228号公報
【特許文献4】特開平6−141900号公報
【特許文献5】特開平11−19608号公報
【特許文献6】特開平7−275818号公報
【特許文献7】特開平8−192009号公報
【特許文献8】特開平9−290801号公報
【特許文献9】特開平10−194390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の充填タンクにおいては、洗浄系統が3系統(給液ライン/タンク・ノズルライン/呼吸配管ライン)必要で、CIP(Cleaning in Place)所要時間短縮の妨げとなっていた。以下、タンク内洗浄手段としてバッフルプレートを備えた、従来の充填タンクの洗浄方法について図6〜図9に基づいて説明する。図6(a)は従来の充填装置における充填タンクの平面図、図6(b)は従来の充填装置の配管系統図、図7は従来の充填装置における給液ラインの洗浄工程を示す配管系統図、図8は従来の充填装置おけるタンク・ノズルラインの洗浄工程を示す配管系統図、図9は従来の充填装置における呼吸配管の洗浄工程を示す配管系統図である。
【0006】
従来の充填装置には、図6(b)に示すように、略円筒形の胴部を有する充填タンク10と、該充填タンク10に充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管20と、充填タンク10の上部に開閉バルブV3とV4を介して接続されている呼吸配管30と、充填タンク10の下部に接続されている、充填ピストン41及び充填ノズル42を備えた充填配管40と、充填液供給配管20の途中から開閉バルブV2を介して開閉バルブV3とV4の間の配管に接続されている洗浄配管50が備えられており、前記充填タンク10のタンク内洗浄配管50の下端にはタンク内洗浄手段としてバッフルプレート13が設けられており、また前記充填タンク10の胴部には、図6(a)に示すように、中心方向に充填液の供給口12が設けられている。呼吸配管30は、充填タンク10内の充填液の瞬間的な増減によるタンク内の圧力変化をなくすために設けられており、呼吸配管30の他端は、無菌チャンバー4内(清浄雰囲気内)に開口している。
【0007】
従来の充填装置における給液ラインの洗浄工程は、図7に示すように、まず開閉バルブV1を開状態、開閉バルブV2とV3とV4を閉状態とし、かつ、充填タンク10内の洗浄液が充填ノズル42から排出し得るように、充填配管40を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV1と供給口12を介して充填タンク10内に導入する。充填タンク10内に導入された洗浄液は、連通状態の充填配管40を通って充填ノズル42から排出され、給液ラインの洗浄が終了する。
【0008】
次に、従来の充填装置おけるタンク・ノズルラインの洗浄工程は、図8に示すように、まず開閉バルブV2とV3を開状態、開閉バルブV1とV4を閉状態とし、かつ、充填タンク10内の洗浄液が充填ノズル42から排出し得るように、充填配管40を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV2とV3及びタンク内洗浄配管50を介して充填タンク10内に導入する。充填タンク10内に導入された洗浄液は、タンク内洗浄配管50の下端のバッフルプレート13に衝突し、拡散された洗浄液が充填タンク10内面を洗浄した後、連通状態の充填配管40を通って充填ノズル42から排出され、タンク・ノズルラインの洗浄が終了する。
【0009】
最後の従来の充填装置における呼吸配管ラインの洗浄工程は、図9に示すように、まず開閉バルブV2とV4を開状態、開閉バルブV1とV3を閉状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV2とV4を介して呼吸配管30に導入する。呼吸配管30に導入された洗浄液は、呼吸配管30を洗浄した後、無菌チャンバー4内(清浄雰囲気内)に開口している呼吸配管30の他端から排出され、呼吸配管ラインの洗浄が終了する。
【0010】
以上のように、従来の充填タンクにおける3系統(給液ライン/タンク・ノズルライン/呼吸配管ライン)の洗浄系統は、CIP所要時間短縮の妨げとなる大きな問題があった。本発明の課題は、固形物を含む充填物製造後の洗浄でも固形物の残渣による衛生上のリスクがなく、CIP所要時間を短縮することができ、かつ、洗浄ライン構成要素の低減化した安価な洗浄ラインを有する充填装置や、かかる充填装置を用いた充填タンクの洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、CIP所要時間短縮の妨げとなっていた従来の充填タンクにおける3系統(給液ライン/タンク・ノズルライン/呼吸配管ライン)の洗浄系統における問題を解決するため鋭意検討し、充填タンク内洗浄用のスプレーボールやバッフルプレートを廃し、充填タンクへの給液配管を接線方向にすることにより、給液によるタンク内旋回流を発生させることにより、タンクの内壁面を洗浄することができること、充填タンクの陰陽圧の発生を防止するタンク呼吸配管を洗浄するために、給液側からの専用洗浄ラインを設けず、充填タンクの満水ブローによって呼吸配管を洗浄することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、(1)略円筒形の胴部を有する充填タンクと、該充填タンクに充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管と、充填タンクの上部に接続されている呼吸配管と、充填タンクの下部に接続されている、充填ピストン及び充填ノズルを備えた充填配管とを有する充填装置であって、前記充填液供給配管は洗浄液供給配管ともなり、また、前記呼吸配管は洗浄液排出配管ともなり、前記充填液供給配管と充填タンクとが、供給した洗浄液が充填タンク内周面の旋回流となるように、充填タンク胴接線方向に接続されていることを特徴とする充填装置に関する。
【0013】
また本発明は、(2)前記(1)記載の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄ステップを備えたことを特徴とする充填タンクの洗浄方法に関する。
【0014】
さらに本発明は、(3)前記(1)記載の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン洗浄ステップと、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得ないように、充填配管を不通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄するタンク・呼吸配管ライン洗浄ステップとを、備えたことを特徴とする充填タンクの洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
充填タンク内洗浄用のスプレーボールやバッフルプレートを備えていない本発明の充填装置における充填タンクの洗浄方法によると、固形物を含む充填物製造後の洗浄でも固形物の残渣による衛生上のリスクがなく、CIP所要時間を短縮することができ、かつ、洗浄ライン構成要素の低減化した安価な洗浄ラインとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の充填装置としては、略円筒形の胴部を有する充填タンクと、該充填タンクに充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管と、充填タンクの上部に接続されている呼吸配管と、充填タンクの下部に接続されている、充填ピストン及び充填ノズルを備えた充填配管とを有する充填装置であって、前記充填液供給配管は洗浄液供給配管ともなり、また、前記呼吸配管は洗浄液排出配管ともなり、前記充填液供給配管と充填タンクとが、供給した洗浄液が充填タンク内周面の旋回流となるように、充填タンク胴接線方向に接続されている充填装置であれば特に制限されるものではなく、本発明の充填装置は、充填タンク内洗浄用のスプレーボールやバッフルプレートなどの充填タンク内に配置されるタンク内洗浄手段を有していない点も特徴の一つである。また、充填液供給配管と充填タンクとを、供給した洗浄液が充填タンク内周面の旋回流となるように、充填タンク胴接線方向に接続するには、タンクの側周円の接線と略平行な方向から洗浄液を導入できるようにタンク供給口を設け、充填タンク内に洗浄液の旋回流を生じさせ、この旋回流により充填タンク内周面を洗浄することができるように充填液供給配管と充填タンクとを接続しておけばよい。
【0017】
上記充填ピストン及び充填ノズルを備えた充填配管としては、前記特許文献9に記載された充填配管を好適に例示することができる。充填ノズルは、垂直筒状ノズル本体と、充填液の自重による流下を防止するようにノズル本体の下端開口に設けられている金網と、ノズル本体の高さの中程に備えられている流出用逆止弁と、ノズル本体の上端に垂直下向きに取付けられかつ洗浄時等に逆止弁の弁棒と当接し逆止弁を開放するように押動するピストンロッドを有する弁開放用流体圧シリンダとを備えている。また、充填ピストン(定量シリンダ)は、ノズル本体に接続管によって接続されている右端閉鎖水平筒状シリンダ本体と、シリンダ本体に内蔵されているピストンとを備え、シリンダ本体の上端には垂直状入口管が接続されており、入口管内には流入用逆止弁が備えられ、入口管の上端には弁開放用流体圧シリンダが垂直下向きに取付けられており、先端部にダイヤフラムを有する流体圧シリンダのピストンロッドは洗浄時等に逆止弁の弁棒と当接し逆止弁を開放するように押動し、入口管の高さの中程には供給管の出口端が接続され、供給管の入口端は、充填液タンクに接続されており、シリンダ本体とピストンの間には間隙が設けられ、この間隙は左右一対のダイヤフラムによって閉鎖されており、ピストンの頂壁には水平ピストンロッドの右端が連結され、ピストンロッドには左端開口軸孔が形成され、ピストンロッドにはガイド筒が摺動ブッシュを介してはめ被せられている。作動機構は、シリンダ本体の左端にブラケットを介して左向きに装備されているサーボモータと、サーボモータの出力軸の回転を直線往復動に変換してピストンロッドに伝達するボール・ねじとを備えている。ボール・ねじは、サーボモータの出力軸にベルトを介して連結されかつガイド筒にベアリングを介して支持されているねじ棒と、ピストンロッドの軸孔開口縁部に固定されているナットとよりなる。
【0018】
呼吸配管は、充填タンク内の充填液の瞬間的な増減によるタンク内の圧力変化をなくすために設けられており、呼吸配管の他端は、無菌チャンバー内(清浄雰囲気内)に開口させておくことが好ましい。この呼吸配管に開閉バルブV4を設けることもできるが、設けなくてもよい。また、充填タンクには、充填タンク内の充填液の圧力(液面高さ)を測定するための圧力センサを付設することが好ましく、また、圧力センサによる圧力の測定値に応じて、充填タンク内の充填液量が常に一定になるように、開閉バルブV1の開度を制御することができる制御装置を付設することが好ましい。
【0019】
また、本発明の充填タンクの洗浄方法としては、(1)本発明の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填配管から排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄ステップを備えた方法(以下、「タイプI洗浄方法」ということがある)や、(2)本発明の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン洗浄ステップと、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得ないように、充填配管を不通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄するタンク・呼吸配管ライン洗浄ステップとを備えた方法(以下、「タイプII洗浄方法」ということがある)であれば特に制限されるものではなく、タイプII洗浄方法における給液・ノズルライン洗浄ステップとタンク・呼吸配管ライン洗浄ステップは、どちらを先に行ってもよい。
【0020】
上記充填液としては、固形分を含んだ、あるいは、固形分を含まないジュース等の液体飲料などの液状物を挙げることができるが、固形分を含んだ液状物の場合に、本発明の効果を特に顕著に奏することができる。
【0021】
以下、図2〜5により本発明の充填装置や充填タンクの洗浄方法をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。図2(a)は本発明の充填装置における充填タンクの平面図、図2(b)は、本発明の充填装置の配管系統図、図3は、本発明の充填装置における給液・ノズルラインの洗浄工程を示す配管系統図、図4は、本発明の充填装置おけるタンク・呼吸配管ラインの洗浄工程を示す配管系統図、図5は、本発明の充填装置における給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄工程を示す配管系統図を示し、図1は、本発明の充填装置が搭載される充填包装機の全体図を示す。
【0022】
本発明の充填装置が搭載される高速液体充填包装機(2パック/ピッチで2回充填)は、図1に示すように、容器供給装置1と、口栓装着装置2と、殺菌装置3と、容器底部成形装置5と、搬送コンベア6と、充填装置7と、容器頂部成形装置8とを備えており、殺菌装置3から容器頂部成形装置8にかけての容器搬送経路は無菌チャンバー4と呼ばれるクリーンルームに覆われ、常に無菌エアーが供給されることで陽圧に保たれた無菌空間を形成している。充填包装機の運転開始前には、この無菌チャンバー4内を殺菌剤で殺菌する。
【0023】
本発明の充填装置には、図2(b)に示すように、略円筒形の胴部を有する充填タンク10と、該充填タンク10に充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管20と、充填タンク10の上部に開閉バルブV4を介して接続されている呼吸配管30と、充填タンク10の下部に接続されている、4台の充填ピストン41(41a〜d)及び4本の充填ノズル42(42a〜d)を備えた充填配管40とが備えられているが、図6(b)に示す従来の充填装置に備えられている充填液供給配管20の途中から開閉バルブV2を介して開閉バルブV3とV4の間の配管に接続されている洗浄配管50や、充填タンク10のタンク内洗浄配管や、その下端のバッフルプレート13は備えられていない。また前記充填タンク10の胴部には、図2(a)に示すように、供給した洗浄液が充填タンク内周面の旋回流となるように、充填タンク胴接線方向に供給口12が設けられている。呼吸配管30は、充填タンク内の充填液の瞬間的な増減によるタンク内の圧力変化をなくすために設けられており、呼吸配管30の他端は、無菌チャンバー4内(清浄雰囲気内)に開口している。また、充填タンク10には、圧力センサ11が付設されており、充填タンク内の充填液の圧力(液面高さ)を測定できるようになっている。この圧力の測定値に応じて、図示しない制御装置が、充填タンク内の充填液量が常に一定になるように、開閉バルブV1の開度を制御する。
【0024】
次に、本発明の充填装置における給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄工程を有するタイプI洗浄方法について、図5により説明する。まず開閉バルブV1とV4を開状態とし、かつ、充填タンク10内の洗浄液が充填ノズル42から排出し得るように、充填配管40を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV1と供給口12を介して充填タンク胴接線方向から充填タンク10内に導入する。充填タンク胴接線方向からの充填タンク10内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンク10の上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管30を洗浄し、下降旋回流により充填タンク10の下部に達した洗浄液が充填ピストン41を介して充填ノズル42から排出されることにより充填配管40を洗浄することにより、給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄が終了する。
【0025】
また、タイプII洗浄方法について、図3により本発明の充填装置における給液・ノズルラインの洗浄工程を、図4により本発明の充填装置おけるタンク・呼吸配管ラインの洗浄工程を説明する。まず開閉バルブV1を開状態、開閉バルブV4を閉状態とし、かつ、充填タンク10内の洗浄液が充填ノズル42から排出し得るように、充填配管40を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV1と供給口12を介して充填タンク胴接線方向から充填タンク10内に導入する。充填タンク胴接線方向からの充填タンク10内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、下降旋回流により充填タンク10の下部に達した洗浄液が充填ピストン41を介して充填ノズル42から排出されることにより充填配管40を洗浄することにより、給液・ノズルラインの洗浄が終了する。給液・ノズルラインの洗浄が終了した後、開閉バルブV1とV4を開状態としたままで、充填タンク内の洗浄液が充填ノズル42から排出しないように、充填配管40を不通状態として、洗浄液を充填液供給配管20に供給し、充填液供給配管20から洗浄液を、開閉バルブV1と供給口12を介して充填タンク胴接線方向から充填タンク10内に導入する。充填タンク胴接線方向からの充填タンク10内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンク10の上部に達した洗浄液が呼吸配管30から排出されることにより呼吸配管30を洗浄することにより、タンク・呼吸配管ラインの洗浄が終了する。
【0026】
給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの洗浄に用いられた洗浄液は、従来公知の洗浄液回収手段によって回収される。例えば、洗浄液が充填ノズル42や呼吸配管30から無菌チャンバー4内へ流入させられた場合は、無菌チャンバー4底部の回収配管(図示省略)を通じて回収しても良いし、洗浄液の回収配管を直接充填ノズル42や呼吸配管30に接続するようにしても良い。
【0027】
開閉バルブV4は必ずしも必要ではないが、開閉バルブV4を設けることで、例えば、給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインを一斉洗浄する場合には、給液・ノズルラインやタンク・呼吸配管ラインが必要とする洗浄液量が、確実に各々の配管へ分配されるように調整することができ、また、給液・ノズルラインの洗浄工程をタンク・呼吸配管ラインの洗浄工程から独立して行う場合には、給液・ノズルラインの洗浄時に、誤って呼吸配管30へ洗浄液が流れてしまうことがなく、確実に給液・ノズルラインの洗浄を行うことができる。
【0028】
本実施例のように、洗浄すべき充填配管40が多数経路(本実施例では4経路)存在する場合には、各々の充填配管40の洗浄に必要な洗浄液流量を確保するために、洗浄液の送液ポンプ(図示省略)を大出力のものとしても良いが、充填配管40を順次、または交互に連通状態に切り替えるようにして、順次、または交互に充填配管40を洗浄するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の充填装置が搭載される充填包装機の全体図を示す。
【図2】(a)は本発明の充填装置における充填タンクの平面図、(b)は、本発明の充填装置の配管系統図を示す。
【図3】本発明の充填装置における給液・ノズルラインの洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【図4】本発明の充填装置おけるタンク・呼吸配管ラインの洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【図5】本発明の充填装置における給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【図6】(a)は従来の充填装置における充填タンクの平面図、(b)は、従来の充填装置の配管系統図を示す。
【図7】従来の充填装置における給液ラインの洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【図8】従来の充填装置おけるタンク・ノズルラインの洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【図9】従来の充填装置における呼吸配管の洗浄工程を示す配管系統図を示す。
【符号の説明】
【0030】
1 容器供給装置
2 口栓装着装置
3 容器殺菌装置
4 無菌チャンバー
5 容器底部成形装置
6 搬送コンベア
7 充填装置
8 容器頂部成形装置
10 充填タンク
11 圧力センサ
12 供給口
13 拡散板(バッフルプレート)
20 充填液供給配管
30 呼吸配管
40 充填配管
41 充填ピストン
42 充填ノズル
50 洗浄配管
V1 開閉バルブ
V2 開閉バルブ
V3 開閉バルブ
V4 開閉バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の胴部を有する充填タンクと、該充填タンクに充填液を供給する、開閉バルブV1を備えた充填液供給配管と、充填タンクの上部に接続されている呼吸配管と、充填タンクの下部に接続されている、充填ピストン及び充填ノズルを備えた充填配管とを有する充填装置であって、前記充填液供給配管は洗浄液供給配管ともなり、また、前記呼吸配管は洗浄液排出配管ともなり、前記充填液供給配管と充填タンクとが、供給した洗浄液が充填タンク内周面の旋回流となるように、充填タンク胴接線方向に接続されていることを特徴とする充填装置。
【請求項2】
請求項1記載の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン及びタンク・呼吸配管ラインの一斉洗浄ステップを備えたことを特徴とする充填タンクの洗浄方法。
【請求項3】
請求項1記載の充填装置における充填タンクの洗浄方法であって、
充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得るように、充填配管を連通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、下降旋回流により充填タンクの下部に達した洗浄液が充填ピストンを介して充填ノズルから排出されることにより充填配管を洗浄する給液・ノズルライン洗浄ステップと、
充填液供給配管の開閉バルブV1を開状態とし、かつ、充填タンク内の洗浄液が充填ノズルから排出し得ないように、充填配管を不通状態として、洗浄液を充填液供給配管に供給し、充填タンク内への給液により発生する旋回流でタンク内を洗浄し、上昇旋回流により充填タンクの上部に達した洗浄液が呼吸配管から排出されることにより呼吸配管を洗浄するタンク・呼吸配管ライン洗浄ステップとを、
備えたことを特徴とする充填タンクの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−155945(P2008−155945A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345976(P2006−345976)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】