説明

充填バルブ

【課題】充填中の液体の流れを整流するとともに、充填終了時の液だれを防止する。
【解決手段】メイン筒体24の上部に小径の導入部24a、その下方に大径の流通部24bを形成し、流通部24bの下端を閉塞部材26で閉塞する。閉塞部材26を貫通してエアシリンダ30のピストンロッド32を流通部24b内に挿入し、その先端に弁体34を取り付ける。弁体34は導入部24aと流通部24bとの間の段部24d(弁座)に着座し、また、離座することにより前記流路(導入部24aと流通部24b)を連通遮断する。メイン筒体24の下部側壁に充填ノズル10を接続している。弁体34の上部にオリフィス部材42を取り付けて導入部24a内にオリフィス44を設ける。流路内の液体の流れ方向に弁体34を移動させて液バルブ20を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアシリンダ等の駆動手段によって弁体を作動させてバルブを開閉し、貯液タンクに貯留した液体を充填ノズルを介して容器内に充填する充填バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された充填装置は、充填ノズルがそれぞれ上方の弾性体チューブおよび給液ホースを介して充填液タンクに接続され、弾性体チューブに設けられた液バルブを開閉することにより、前記充填液タンクから送られた充填液を容器内に充填するようになっている。
【0003】
また、特許文献2に記載された液状物充填ノズルは、下端に開口部を備える充填筒と、この充填筒内を昇降する弁ロッドと、弁ロッドの先端に連結された弁本体とを有し、弁本体が前記開口部から下方へ突出すると、充填筒内の液状物が開口部から流下するようになっており、前記弁ロッドの先端部外周に、充填筒の内壁との間に所定の間隙を画定する中子を設け、この中子の外周に充填筒の内壁面との隙間を縦方向に仕切る仕切爪を備えた構成を有している。前記充填筒には、上部の側壁に液状物導入部が接続され、充填液が充填筒内に導入される。
【特許文献1】特許第2921450号公報(第2−3頁、図4)
【特許文献2】特開平9−58615号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の構成では、充填バルブとは別の位置に設置した貯液タンクから、ホースを介してノズルへ充填液を送るようにしているので、装置全体としての設置面積が大きくなるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載された発明の構成では、充填筒の側方から液が導入され、充填筒内を落下するので、液が旋回しながら流下し充填筒の開口部から拡がるように放出されるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動手段により弁体を進退動させて液バルブを開閉し、充填ノズルを介して容器内に液体を充填する充填バルブにおいて、液体が導入される導入部、この導入部よりも大径で導入部と逆の端部が閉塞部材によって閉塞された流通部およびこの流通部の側部に設けられて充填ノズルが接続される排出口を有する流路が形成された管状体と、前記閉塞部材を貫通して流通部内に挿入した作動ロッドを進退動させる前記駆動手段と、前記作動ロッドの先端に取り付けられ、導入部と流通部との間を連通遮断する前記弁体と、前記導入部内の弁体よりも上流側に設けられたオリフィスとを備え、前記弁体を液体の流れる方向に移動させて前記液バルブを開放することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の充填バルブは、充填装置全体の設置面積を小さくすることができ、しかも、流路内に設けたオリフィスによって充填する液体の流量を絞ることにより、流路内を旋回する液体の勢いを低減することができ、充分に整流した状態で容器内に液体を充填することができる。また、弁体を液体の流れる方向と逆の方向に移動させてバルブを閉じるので、充填ノズル内の液体に吸引する力を作用させることができ、充填終了後の液だれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
液体が導入される導入部とこの導入部よりも大径の流通部とこの流通部の導入部と逆の端部を閉塞部材によって閉鎖した流路を有する管状体の、前記閉塞部材を貫通させて駆動手段の作動ロッドを流通部内に挿入し、この作動ロッドの先端に取り付けた弁体によって前記導入部と流通部との間を開閉するように構成し、さらに、前記導入部内の弁体よりも上流側にオリフィスを設け、弁体を液体の流れる方向に移動させて流路を開放することにより、前記管状体の側部に形成した排出口に接続した充填ノズルから容器内に液体を充填し、充填終了時には、前記液体の流れ方向と逆方向に弁体を移動させてバルブを閉鎖するようにしたので、液だれを防止するという目的を達成することができる。
【実施例1】
【0009】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る充填バルブ2を備えた充填装置の側面図、図2は前記充填バルブ2の縦断面図である。この充填装置は、基台4上に支柱6を介して固定された貯液タンク8と、この貯液タンク8の下面に取り付けられた充填バルブ2と、この充填バルブ2による充填位置A(充填ノズル10の下方の位置)に容器12を搬入するスターホイール14等を備えており、液体が充填される容器12は、ガイド16に案内されつつ容器搬送コンベヤ18によって搬送され、基台4上に設置されたスターホイール14に保持されて回転搬送され、前記充填位置Aに供給される。容器12が充填位置Aに停止すると、充填バルブ2の内部に設けられた液バルブ20を開放して貯液タンク8内の液体を充填ノズル10から容器12内に充填する。液体が充填された容器4は、ガイド13に案内されて図1の手前方向に排出される。
【0010】
前記貯液タンク8の底面8aには貫通孔8bが形成され、この貫通孔8b内に前記充填バルブ2の上端部が取り付けられている。充填バルブ2は、前記貫通孔8b内に一端が挿入され、内部に充填液の上部流路22aが形成された上部筒体22と、この上部筒体22の下面に結合され、内部に前記流路22aに連通する流路(後に説明する導入部24aと流通部24b)が形成されたメイン筒体24と、このメイン筒体24の下端部に結合されて前記流通部24bの下端部を閉塞する閉塞部材26とを備えている。前記上部筒体22の内部に形成された上部流路22aに連通するメイン筒体24の内部の流路は、前記上部流路22aから液体が流入する小径の導入部24aと、その下方に導入部24aへの液体の流入方向と同一方向に連続する大径の流通部24bとを備えており、その流通部24bの導入部24aと逆の端部となる下端が前記閉塞部材26によって閉塞されている。この閉塞部材26は、その上端に形成されたテーパー部26aが流通部24b内に挿入されており、その部分の流路面積が狭くなっている。
【0011】
メイン筒体24の、前記閉塞部材26のテーパー部26aが挿入されて流路面積が狭くなっている部分の側壁に排出口24cが形成されており、この排出口24cに前記充填ノズル10が接続されている。この充填ノズル10の下端の吐出口10aにスクリーンメッシュ28が装着されている。
【0012】
前記閉塞部材26の下面に、液バルブ20の駆動手段としてのエアシリンダ30が固定されている。このエアシリンダ30のピストンロッド32は、閉塞部材26の内部を貫通してメイン筒体24の上部まで延びており、その先端32aに、前記充填液の流路24a、24bを連通遮断する液バルブ20の弁体34が固定されている(図2および図3参照)。この弁体34の上部に大径部34aが形成されており、この大径部34aの上面側にOリング36が嵌着されている。前記メイン筒体24内の流路は、前述のように上端に小径の導入部24aが、そして、その下方に大径の流通部24bが形成されており、これら導入部24aと流通部24bとの間の段部24dに、前記液バルブ20の弁座が形成されている。前記エアシリンダ30の作動によりピストンロッド32が伸張すると、弁体34のOリング36が前記弁座(段部24d)に圧着されて液バルブ20が閉じ、ピストンロッド32が収縮すると弁体34が前記弁座24dから離れて液バルブ20が開放する。
【0013】
前記弁体34の下部側にテーパー状の小径部34bが形成されており(図3では図示を省略しているので図2を参照)、この小径部34bと、前記閉塞部材26の上端のテーパー部26aの外面との間に、ピストンロッド32の外面をシールするシリコンチューブ38が装着されている。そして、このシリコンチューブ38の内側の、ピストンロッド32の外周面にばね40が装着されている。このばね40は、シリコンチューブ38が中折れすることを防止するものであり、付勢力は作用させていない。
【0014】
前述のようにエアシリンダ30のピストンロッド32の上端には弁体34が固定されており、さらにこの弁体34の上端にオリフィス部材42が取り付けられている。このオリフィス部材42は、メイン筒体24の上端に形成された流路の導入部24aの内径よりも僅かに小さい外径を有する円形のプレートの、三方の面42aを切り欠いた形状をしている。この切り欠かれた面42aと導入通路24aの内面との間の隙間がオリフィス44を構成している。この実施例では、オリフィス部材42は弁体34と一体になっており、エアシリンダ30の駆動による弁体34の進退動とともに前記導入部24a内を進退動する。
【0015】
以上の構成に係る充填バルブ2の作動について説明する。充填開始前は、図2に示すように、エアシリンダ30によってピストンロッド32を伸張させた状態で、弁体34に装着されているOリング36を上方の弁座24dに押しつけて液バルブ20を閉じている。この状態で、容器搬送コンベヤ18によって搬送されてきた容器12がスターホイール14に受け渡され、このスターホイール14の回転によって充填ノズル2の下方の充填位置Aに送られると、エアシリンダ30が作動してピストンロッド32を下降させ、弁体34のOリング36を弁座24dから離座させて液バルブ20を開放する。
【0016】
この充填バルブ2は貯液タンク8の底面8aに直接取り付けてあり、貯液タンク8の底面8aに形成された液出口から上部筒体22内の上部流路22a、メイン筒体24内の導入部24a、オリフィス部材42の切り欠き42aと導入部24a内面との間のオリフィス44および開放した液バルブ20を通って、メイン筒体24の導入部24aよりも下部側の流通部24bに流入し、メイン筒体24下部の側壁に形成された排出口24cに接続されている充填ノズル10を通って容器12内に充填される。この実施例では、流路22a、24a、24b内の液体の流れ方向(上方から下方)と同一方向に弁体34が移動して液バルブ20を開放する。
【0017】
充填終了時には、エアシリンダ30によって下降していた弁体34を上昇させ、弁体34の外周に装着されているOリング36を、小径の導入部24aと大径の流通部24bとの間の段部24d(弁座)に着座させて液バルブ20を閉じる。この実施例のように貯液タンク8の底面8aに直づけした充填バルブ2の場合には、オリフィスが無い構成では、貯液タンク8内の充填液の圧力が流路に直接作用しているが、この実施例のように小径の導入部24a内にオリフィス44を設けたことにより、充填ノズル10側に作用する圧力を抑えることができ、液バルブ20閉鎖後の液だれを防止することができる。しかも、この実施例では、液バルブ20の弁体34を充填ノズル10側への液体の流れ方向と逆方向に移動させて液バルブ20を閉鎖するようにしているので、充填ノズル10内の液体を吸引する状態になり、充填ノズル10内に残留した液体の落下(液だれ)を防止することができる。なお、この実施例では、オリフィス部材42が小径の導入部24a内でストロークするように構成されているが、さらに下降して、大径の流通部24b内まで移動するようにしてもよい。この場合にも、液バルブ20の閉鎖時には、オリフィス部材42が小径の導入部24a内に戻って、オリフィス44により流路を絞った状態にしてから弁体34を弁座24dに着座させるので、前記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0018】
この実施例の充填バルブ2の構成では、流路(特に小径の導入部24a)内に流量の上限を規制するオリフィス44を設けたので、液バルブ20の最終ストロークにおける開度のばらつきに影響を受けることなくバルブ全開位置での流量を設定することができる。しかも、オリフィス44を構成するオリフィス部材42を液バルブ20の弁体34と一体として設けているので、部品点数を少なくすることができ、また、弁体34とともに取り外すことができるので充填バルブ2内の洗浄性が向上し、しかも、コストダウンを図ることもできる。さらに、オリフィス44によって流量を絞ることによって流れ落ちる液体の勢いを低減することができ充分に整流した状態で容器12に充填することができる。また、この充填バルブ2は、貯液タンク8の底面8aに直づけしているので、従来の構成(特許文献1参照)のように貯液タンクを別置きしてホースを介して液を供給するようにした場合に比較して、装置全体の設置面積を大幅に小さくすることができる。なお、この実施例ではオリフィス44を弁体34と一体として進退動する構成としたが、流路内に固定オリフィスとして配置するようにしてもよい。
【実施例2】
【0019】
図4は第2の実施例に係る充填バルブ102を示す図であり、充填バルブ102の内部の構造は前記実施例と同一であるが、貯液タンク8への取付構造が異なっている。前記実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、相違する部分につてだけ説明する。前記実施例では縦方向に配置されている充填バルブ2が、この実施例では、横向きに配置されている。貯液タンク8の底面8aには、液出口となる貫通孔が形成されており、この貫通孔に給液管150が接続されている。この給液管150の他端が、前記充填バルブ102内の流路に接続されている。また、前記実施例では、充填ノズル10が縦方向に配置された充填バルブ2の側壁に接続されているので、充填ノズル10がL字状に折り曲げられて容器12の口部に対向するようになっていたが、この実施例の充填ノズル110は、充填バルブ102の筒体の側壁に取り付けられて鉛直方向に延びている。この実施例の充填バルブ102も、前記第1実施例の充填バルブ2と同様に作動し同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る充填バルブを備えた充填装置の側面図である。(実施例1)
【図2】前記充填バルブの縦断面図である。
【図3】弁体の要部を拡大して示す斜視図である。
【図4】第2の実施例に係る充填バルブを備えた充填装置の側面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0021】
2 充填バルブ
10 充填ノズル
20 液バルブ
24 管状体(メイン筒体)
24a 導入部
24b 流通部
24c 排出口
26 閉塞部分(閉塞部材)
30 駆動手段(エアシリンダ)
32 作動ロッド(ピストンロッド)
34 弁体
44 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段により弁体を進退動させて液バルブを開閉し、充填ノズルを介して容器内に液体を充填する充填バルブにおいて、
液体が導入される導入部、この導入部よりも大径で導入部と逆の端部が閉塞部材によって閉塞された流通部およびこの流通部の側部に設けられて充填ノズルが接続される排出口を有する流路が形成された管状体と、前記閉塞部材を貫通して流通部内に挿入した作動ロッドを進退動させる前記駆動手段と、前記作動ロッドの先端に取り付けられ、導入部と流通部との間を連通遮断する前記弁体と、前記導入部内の弁体よりも上流側に設けられたオリフィスとを備え、
前記弁体を液体の流れる方向に移動させて前記液バルブを開放することを特徴とする充填バルブ。
【請求項2】
前記オリフィスが前記弁体に一体として設けられていることを特徴とする請求項1に記載の充填バルブ。
【請求項3】
前記流路の導入部が、貯液タンクの下面側に形成された液出口に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−1643(P2007−1643A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186214(P2005−186214)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】