説明

充填包装装置

【課題】 不適切な条件による充填包装を簡単に防止することができる充填包装装置を提供する。
【解決手段】 包装フィルムFを熱シールすることによって包装袋Pを連続して形成する包装手段1と、包装手段1による包装タイミングに応じて発せられる充填開始信号に基づいて包装袋P内に流動性の内容物Wを定量ずつ間欠的に供給する充填手段2と、包装手段1の包装条件と充填手段2の充填条件を設定するための設定手段3と、充填手段2による充填処理中に、次なる充填開始信号が有るか否かを判定する制御手段と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋内に粉体や液体等の流動性の内容物を定量ずつ間欠的に供給する充填手段と、前記充填手段によって前記内容物を充填しながら包装フィルムを熱シールすることによって前記包装袋を連続して形成する包装手段と、を備えた充填包装装置に関するものである。例えば、連続移送される包装フィルムを縦シール及び横シールして包装袋を形成するとともに、前記包装袋内に内容物を充填する充填包装装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋内に粉体や液体等の流動性の内容物を定量ずつ間欠的に供給する充填手段と、前記充填手段によって前記内容物を充填しながら包装フィルムを熱シールすることによって前記包装袋を連続して形成する包装手段と、を備えた充填包装装置は、提案されており、例えば、特許文献1,2に記載のように、ポンプ(ピストン)を制御することによって、内容物の供給量を制御することが開示されている。
【特許文献1】特開平4−189703号公報
【特許文献2】特開2000−159202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、包装手段の包装条件に基づいて包装袋を一袋包装するための一定時間内に、充填手段によるポンプ制御によって一定量を充填するための適切な設定は、作業者の経験に基づいていたため簡単な作業ではなかった。また、計算によってある程度の設定を行うことができるが、特に、多品種の包装袋を生産する場合には、その都度計算が必要であり、調整作業が面倒であり問題となっていた。
【0004】
また、計算上で実現可能であっても内容物の粘性など諸条件が影響して、実際のポンプ動作が予め設定した動作と異なる場合がある。この場合には、内容物の量が不十分な包装袋、あるいは、空の包装袋が生産されてしまうため、きちんと充填処理がなされたのか内容物の量を確認しながら、何度も試運転して調整するような面倒な調整作業が必要であり問題となっていた。また、試運転によって、内容物や包装フィルムが無駄になってしまい問題であった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述した問題点に着目してなされたものであって、不適切な条件による充填包装を簡単に防止することができる充填包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充填包装装置は、請求項1に記載のように、包装フィルムを熱シールすることによって包装袋を連続して形成する包装手段と、前記包装手段による包装タイミングに応じて発せられる充填開始信号に基づいて前記包装袋内に流動性の内容物を定量ずつ間欠的に供給する充填手段と、前記包装手段の包装条件と前記充填手段の充填条件を設定するための設定手段と、前記充填手段による充填処理中に、次なる充填開始信号が有るか否かを判定する制御手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載したように、請求項1に記載の充填包装装置において、前記制御手段は、前記充填手段による充填処理中に、次なる充填開始信号が有ると判定した場合、前記包装手段および前記充填手段を停止し、前記設定手段を用いて前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載したように、請求項1に記載の充填包装装置において、前記設定手段は、各種設定値に基づいて充填処理時間を算出し、この充填処理時間が前記包装袋一袋当たりの生産時間よりも大きい場合に、前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、包装袋内に流動性の内容物を定量ずつ間欠的に供給する充填手段と、前記充填手段によって前記内容物を充填しながら包装フィルムを熱シールすることによって前記包装袋を連続して形成する包装手段と、前記包装手段の包装条件に対応して前記充填手段の充填条件を設定するための入力部と表示部とを設けてなる設定手段と、を備えた充填包装装置に関し、不適切な条件による充填包装を簡単に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を味噌、化粧クリーム、シャンプー、リンス、ドレッシング、ソース、わさび、油などの各種液体や粘性液体の内容物を充填包装する充填包装装置に適用したものを例に挙げ、実施の形態として添付図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、四方シールを行う縦型の充填包装装置の全体概要を示すもので、充填包装装置Aは、包装手段1と、充填手段2と、設定手段3と、図示しない制御手段と、から主に構成されている。
【0012】
包装手段1は、ロール状の巻回された包装フィルムFを移送するとともに、充填手段2による内容物Wの充填を行いながら、熱シールすることによって連続的に内容物Wを密閉包装するものである。この場合、包装手段1は、フィルム案内ロール11と、フィルム折返しガイド12と、縦シール機構13と、横シール機構14と、カッター機構15と、を設けている。
【0013】
フィルム案内ロール11は、図示しない機台に設けられる保持ロール11aに対して着脱交換可能に装着されたロール状の包装フィルムFからフィルム折返しガイド12へ導くものである。なお、包装フィルムFは、ナイロンと低密度ポリエチレンとからなる積層体のように熱シール(熱溶着)可能なものが適用できる。また、包装フィルムFは、予めロール状に巻回されてなり、この場合、縦シール機構13によって引き出されることで、帯状の包装フィルムFを送り出すことができる。
【0014】
フィルム折返しガイド12は、フィルム案内ロール11によって案内された包装フィルムFの長手方向に沿って二つ折りに製袋し、この状態で縦シール機構13へ包装フィルムFを移送する。
【0015】
縦シール機構13は、サーボモータからなる駆動手段13aと、対向して一対設けられるとともに駆動手段13aによって回転駆動される縦シールロール部13bと、各縦シールロール部13bの外周に沿って設けられる縦シール体13cと、各縦シールロール部13bの内部に設けられる図示しない電気ヒータと、を備えている。縦シール機構13は、フィルム折返しガイド12によって二つ折りした包装フィルムFの開口部側及び折返し側を縦シール体3cが挟み込むようにして繰り出しながら縦方向に熱シールして縦シール部Fvを形成し、筒状の製袋された包装フィルムFを得る。
【0016】
横シール機構14は、サーボモータからなる駆動手段14aと、対向して一対設けられるとともに駆動手段14aによって回転駆動される横シールロール部14bと、各横シールロール部14bに設けられる横シール体14cと、各横シールロール部14bの内部に設けられる図示しない電気ヒータと、を備えている。
【0017】
また、横シール機構14は、縦シール機構13によって得られた前記製袋フィルムを横方向に熱シールすることによって、包装袋Pの底部となる横シール部Fhが形成され、一方が開口する筒状の包装フィルムとなる。また、横シール機構14は、充填手段2により内容物Wが充填されつつ更に縦シール機構13によって包装フィルムFが送られた後、横シールロール部14bの横シール体14cによって前記包装フィルムの袋口側を熱シールして横シール部Fhを形成し、内容物Wを封止する。したがって、上下方向に連なった包装袋連続体が形成されることになる。
【0018】
カッター機構15と、図示しない固定刃体と回転刃体を備え、縦シール機構13及び横シール機構14にて縦シール部Fv,横シール部Fhが形成された製袋フィルムの横シール部Fhの中間箇所を切断することにより、個々の包装袋Pを得るものである。なお、カッター機構15は、サーボモータからなる駆動手段15aによって前記回転刃体を回転駆動される。
【0019】
充填手段2は、縦,横シール機構13,14の熱シールによって一方が開口する筒状の包装フィルムF内に、内容物Wを所定量ずつ間欠的に吐出できる。充填手段2は、図2に示すように、ホッパー部21と、弁室22と、ノズル部23と、吸引・圧送部24と、を設けている。
【0020】
ホッパー部21は、弁室22の上部に弁室22に連通するように設けられ、ある程度の量の内容物Wを貯留しつつ供給可能にするためのものである。また、ホッパー部21は、内部に図示しない攪拌手段を設けることによって内容物Wを攪拌しながら貯留することができる。
【0021】
弁室22は、空気圧制御またはサーボモータ等の適宜手段を駆動源として正逆回動可能なロータ体22aを設けており、このロータ体22aの動作によって、内容物Wの移動方向を切換えて規制するものである。ロータ体22aは、その回動位置によって、例えば、図2に示すように、ノズル部23側への連通部を塞ぐとともにホッパー部21と吸引・圧送部24とを弁室22を介して連通状態(以下、吸引可能位置と記す)、または、図3に示すように、ホッパー部21側への連通部を塞ぐとともに吸引・圧送部24とノズル部23とを弁室22を介して連通状態(以下、圧送可能位置と記す)となるように切換えることができる。
【0022】
ノズル部23は、弁室22に連通するとともに、ロータ体22aが圧送可能位置にある時に、吸引・圧送部24によって圧送された内容物Wを、縦シール機構13と横シール機構14との間に移送される包装フィルムF内まで導き充填できるように管状に形成される。
【0023】
吸引・圧送部24は、弁室22に連通するシリンダ24aとサーボモータ等の駆動手段によってこのシリンダ24a内を移動するピストン24bとを設けている。
【0024】
吸引・圧送部24は、ロータ体22aの回動位置が、吸引可能位置にある時に、ピストン24bが吸引動作することによって、シリンダ24a内に内容物Wを吸引することができる。
【0025】
また、吸引・圧送部24は、ロータ体22aの回動位置が、圧送可能位置にある時に、シリンダ24a内の予め設定された所定量の内容物Wをノズル部23側へ圧送することができる。なお、粘性の小さい内容物Wを充填する際には、ピストン24bによる圧送動作が終了した後にノズル部23から内容物Wが滴り落ちることを防止するために、圧送動作後に少し吸引動作する、所謂サックバック処理を行うこともできる。
【0026】
また、充填包装装置は、包装手段1や充填手段2の各駆動手段や設定手段3に接続される制御手段を備えている。制御手段は、マイクロコンピュータを適用でき、設定手段3による包装条件や充填条件に従って、各駆動手段を駆動制御することができる。例えば、図4に示すように、横シール機構13への横シール開始信号(包装タイミング)に基づいて充填開始信号を出力し、この充填開始信号出力後に、ロータ体22aの回転位置(吸引可能位置と圧送可能位置の切換え動作)を駆動制御し、圧送可能位置になったことを確認して、ピストン24bによって内容物Wを圧送するように制御する。また、内容物Wの圧送が完了すると、ロータ体22aの回転位置を駆動制御し、吸引可能位置になったことを確認して、ピストン24bによってホッパー部21の内容物Wを吸引するように駆動制御する。
【0027】
設定手段3は、表示画面を有し作業者の指先操作によって設定入力可能なタッチパネルを適用でき、充填包装装置における包装手段1や充填手段2の各種設定を行うことができる。設定手段3は、表示内容を切換えることによって、多様な表示や設定入力を行うことができ、例えば、図5に示すように、タッチパネルに表示される充填条件設定画面において、別途設定される包装条件と同じ値を示す生産速度の設定値3aや、充填条件に関する充填量や充填速度、吸引速度など各種設定値3bを数値にて設定することができる。なお、設定手段3は、図示しない制御手段を有する回路基板や配線と接続されている。
【0028】
また、設定手段3は、この充填条件設定画面では、各種設定値を入力し設定を完了する毎に、その設定値に基づいて適切に生産できる範囲内であるか否かを算出している。この場合、1個当たりの包装袋Pの生産時間t1と、充填処理に関する各種設定値から予測できる充填処理時間(ロータ体22aの圧送可能位置への回動開始から、ピストン24bによる内容物Wの吸引動作完了までの時間)t2とを比較し、1個当たりの包装袋Pの生産時間t1よりも充填処理時間t2が大きい場合には、適切な充填包装ができないとして、設定値の変更を促す表示を行う。なお、サックバック処理を行う場合には、この処理時間も充填処理時間に加えて計算することによって適切な充填処理時間を算出することができる。したがって、充填包装装置を試運転する前に、ある程度予測して、不適切な設定による充填包装を防止できる。
【0029】
また、制御手段は、例えば図6に示すように、各駆動手段を制御して充填包装する際に、充填開始信号などの各種制御信号を監視している。この場合、制御手段は、充填開始信号が発せられたか否かを判定し(ステップS1)、充填開始信号が発せられた場合には、充填処理中ではないか否かを判定する(ステップS2)。この場合、充填処理中でないか否かを判定する際、ピストン24bの駆動手段の駆動信号を検出することによって、ピストン24bによって吸引動作が完了しているか否かを確認することで判定している。
【0030】
制御手段は、ステップS1,S2において、充填処理中に、充填開始信号が発せられたと判定した場合には、包装手段や充填手段の各駆動手段を停止するように制御し(ステップS3)、設定手段3の表示画面上に包装条件あるいは充填条件の設定変更を促す表示を行う(ステップS4)。作業者は、充填量不足などの不良の包装袋Pを取り出し、設定値を適宜変更してから、より適切な設定値による充填包装にて再開することができる。
【0031】
なお、ステップ1、2において、充填処理中に充填開始信号が発せられたと判定した場合には、通常通りに次なる充填処理を行うべくロータ体22aやピストン24bを駆動制御して包装フィルムF内に所定量の内容物Wを充填し、また充填する準備を整えることができる(ステップS5)。
【0032】
例えば、粘性が高い内容物Wを充填包装する際には、ロータ体22aの回転やピストン24bによる圧送や吸引動作に負荷が加わるなどして、予測する充填処理時間よりも長くなってしまう場合がある。この場合であっても、ステップS1からステップS5までの処理を繰り返すことによって、自動的に充填包装を停止し不良の包装袋を最低限にして取り除くことができるとともに、設定手段3の表示によって適切な設定値による充填包装を作業者に促すことができる。
【0033】
かかる充填包装装置は、包装フィルムFを熱シールすることによって包装袋Pを連続して形成する包装手段1と、包装手段1による包装タイミングに応じて発せられる充填開始信号に基づいて包装袋P内に流動性の内容物Wを定量ずつ間欠的に供給する充填手段2と、包装手段1の包装条件と充填手段2の充填条件を設定するための設定手段3と、充填手段2による充填処理中に、次なる充填開始信号が有るか否かを判定する制御手段と、を備えてなる。したがって、不適切な条件による充填包装を判定することができるため、作業者にとって、煩わしい試運転や充填量の測定作業などを軽減することができ、簡単に不良包装袋の生産を防止することができる。
【0034】
また、前記制御手段は、充填手段2による充填処理中に、次なる充填開始信号が有ると判定した場合、包装手段1および充填手段2を停止し、設定手段3を用いて前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行うことによって、不良品による包装フィルムや内容物の消費を最小限に抑えるとともに、簡単に不良品を取り除くことができる。また、設定値の変更を促すことで、不適切な条件による充填包装を簡単に防止することができる。
【0035】
また、設定手段3は、各種設定値に基づいて充填処理時間t2を算出し、この充填処理時間が包装袋P一袋当たりの生産時間t1よりも大きい場合に、前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行う。したがって、試運転する前に不適切な条件と判定し、また設定値の変更を促すことができるため、不適切な条件による充填包装を簡単に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態の充填包装装置を平面にて示す図。
【図2】同上実施の形態の充填手段の要部を断面にて示す図。
【図3】同上実施の形態の充填手段の要部を断面にて示す図。
【図4】同上実施の形態の充填処理例をタイムチャートにて示す図。
【図5】同上実施の形態の設定手段の表示画面例を示す図。
【図6】同上実施の形態の制御手段の処理をフローにて示す図。
【符号の説明】
【0037】
1 包装手段
2 充填手段
3 設定手段
A 充填包装装置
P 包装袋
W 内容物
t1 一袋当たりの生産時間
t2 充填処理時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムを熱シールすることによって包装袋を連続して形成する包装手段と、
前記包装手段による包装タイミングに応じて発せられる充填開始信号に基づいて前記包装袋内に流動性の内容物を定量ずつ間欠的に供給する充填手段と、
前記包装手段の包装条件と前記充填手段の充填条件を設定するための設定手段と、
前記充填手段による充填処理中に、次なる充填開始信号が有るか否かを判定する制御手段と、
を備えてなることを特徴とする充填包装装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記充填手段による充填処理中に、次なる充填開始信号が有ると判定した場合、前記包装手段および前記充填手段を停止し、前記設定手段を用いて前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の充填包装装置。
【請求項3】
前記設定手段は、各種設定値に基づいて充填処理時間を算出し、この充填処理時間が前記包装袋一袋当たりの生産時間よりも大きい場合に、前記包装条件あるいは前記充填条件の変更を促す表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−238117(P2007−238117A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61173(P2006−61173)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000206233)大成ラミック株式会社 (56)
【Fターム(参考)】