説明

充填装置

【課題】 棒状物品の長さや充填量に拘わらず、充填ホッパ内に棒状物品を互いに隣り合う状態で起立させ、この起立状態で容器等に充填できるようにする。
【解決手段】 複数の棒状物品を滑落させて出口より排出するシュート17より排出された棒状物品を上側開口部より受け入れる短筒状の本体部33、及びこの本体部33の下側開口部を開閉するためのゲート22を充填ホッパ21が有する。この充填ホッパ21内に供給されたそれぞれの棒状物品1が互いに隣合う状態で起立するように充填ホッパ21を駆動用モータ32が振動させる。シュート17は、滑落する棒状物品を滑落方向と平行させるためのものであって、滑落方向と平行する案内部材64が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒状物品を整列させて容器等に充填するためのものであり、例えば食品用の棒状菓子を所定重量ずつ整列させて容器に充填するための充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記従来の充填装置の一例を図15を参照して説明する(特開平8−271327号参照)。この充填装置は、従来公知の組合せ秤(図示せず)により計量されて排出された複数の棒状物品1を所定の容器(図示せず)に充填するためのものであり、この組合せ秤に設けられている集合シュート2の出口の下方に設けられ、集合シュート2から排出された棒状物品1の上部の側面と当接して棒状物品1を起立状態で保持する揺動ガイド筒3と、この揺動ガイド筒3を集合シュート2に設けられている枢軸4を中心にして揺動させて、棒状物品1を起立状態にして整列させる振動機構5と、揺動ガイド筒3の下方に設けられ、集合シュート2から排出された棒状物品1の下部の側面と当接して起立状態で保持する固定ガイド筒6と、固定ガイド筒6の下方に設けられ、棒状物品1を受け止め、水平方向に移動してこの受け止めた棒状物品1を下方に排出するゲート7、7と、を備えている。なお、振動機構5は、モータ8と、このモータ8の回転軸10に設けられている円板9と、一方の端部が回転軸10と間隔を隔てて円板9と連結しているリンク11と、このリンク11の他方の端部と連結し、揺動ガイド筒3と結合するアーム12と、から成っている。
【0003】
この充填装置によると、組合せ計量されて集合シュート2の出口から排出された複数の棒状物品1はゲート7、7上に落下して、起立した状態でその上部側面が揺動ガイド筒3に保持され、下部側面が固定ガイド筒6に保持される。そして、この状態で振動機構5が駆動して揺動ガイド筒3を枢軸4を中心にして揺動させることにより、図15に示すように、縦方向に重なった状態の棒状物品1a、bの上側の棒状物品1aをゲート7、7上に落下させることができる。このようにして、棒状物品1を互いに隣合う状態で起立させて整列させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の充填装置は、ゲート7、7上で縦方向に重なった状態の棒状物品1a、1bの下側の棒状物品1bを左右の方向に揺動させることによって上側の棒状物品1aをゲート7、7上に落下させようとするものであるが、下側の棒状物品1bを左右の方向に揺動させるだけでは下側の棒状物品1bの上端部に上側の棒状物品1aの下端部が当接した状態で、下側の棒状物品1bに上側の棒状物品1aが追従して揺動することがある。従って、縦方向に重なった状態の棒状物品1a、1bの上側の棒状物品1aをゲート7、7上に確実に落下させることができないという問題がある。これにより、例えば所定の重量又は本数の棒状物品1を所定の容器に充填する場合、その容器から棒状物品1を溢れさせることがあるし、互いに隣合うようにして起立させた状態で充填することができず、見栄えが悪くなることがある。
【0005】
そして、従来の充填装置では、例えば1回で充填される棒状物品1の本数が多い場合や、棒状物品1の長さが短い場合は、ゲート7、7上に落下して起立する複数の棒状物品1の合計の横幅が広くなるので、揺動ガイド筒3及び固定ガイド筒6の内径をその横幅の合計長さに応じて大きくする必要がある。しかし、揺動ガイド筒3の内径を或る一定以上に大きくすると、ゲート7、7上で傾斜して起立する棒状物品1の上部が揺動ガイド筒3の内側面にとどかないために揺動ガイド筒3に保持されず、固定ガイド筒6の内側面に当接して保持されるか、又はそのままゲート7、7上に横倒しとなることがある。この状態となると、揺動ガイド筒3を揺動させても、ゲート7、7上の棒状物品1を綺麗に起立させて整列させることができず、このように整列していない状態で容器等に充填することとなり、上記のように容器から棒状物品1を溢れさせることがある等の問題が発生する。
【0006】
本発明は、棒状物品の長さや充填量に拘わらず、充填ホッパ内に棒状物品を互いに隣合う状態で綺麗に起立させることができ、この整列させた状態で容器等に充填することができる充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る充填装置は、複数の棒状物品を滑落させて出口より排出するシュートと、このシュートより排出された棒状物品を上側開口部より受け入れる短筒状の本体部、及びこの本体部の下側開口部を開閉するためのゲートを有する充填ホッパと、この充填ホッパ内に供給されたそれぞれの棒状物品が互いに隣合う状態で起立するように上記充填ホッパを振動させる駆動部と、を備えている。上記シュートは、滑落する棒状物品を滑落方向と平行させるためのものであって、滑落方向と平行する案内部材が設けられている。
【0008】
第2の発明に係る充填装置は第1の発明において、前記案内部材は、前記シュートにおける滑落面に対して垂直に設けられ、前記シュートの入り口側における前記案内部材は前記滑落方向に進行するに従って前記滑落面に対する高さが高くなるように傾斜させてある
【0009】
本発明に係る充填装置によると、複数の棒状物品が充填ホッパに供給されると、これら棒状物品を収容している充填ホッパを振動させて、充填ホッパ内に供給されたそれぞれの棒状物品を互いに隣合う状態で起立させることができる。そして、ゲートを開放することにより、棒状物品を整列した状態で排出することができる。
【0010】
特に、複数の棒状物品を、シュート内を滑落させてその出口より排出して充填ホッパ内に供給することができる。そして、案内部材は、シュート内を滑落する棒状物品を滑落方向と平行する方向に向きを揃えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る充填装置によると、充填ホッパ内に供給されたそれぞれの棒状物品を互いに隣合う状態で起立させることができるので、棒状物品をこのように整列した状態で排出することができる。これにより、例えば所定の重量又は本数の棒状物品を所定の容器に充填する場合、その容器内から溢れさせることなく、見栄え良く互いに隣合うようにして起立させた状態で充填することができる。
【0012】
特に、案内部材は、シュート内を滑落する棒状物品を滑落方向と平行する方向に向きを揃えることができるので、棒状物品をこのように向きを揃えた状態で充填ホッパに供給することができる。これにより、充填ホッパ内の棒状物品の整列を極めて容易に短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る充填機構部であり充填ホッパが下降位置にある状態を示す側面図である。
【図2】同実施形態に係る充填機構部であり充填ホッパが上昇位置にあって揺動している状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す充填機構部の平面図である。
【図4】同実施形態に係る充填機構部に設けられている第2のゲートの平面図である。
【図5】同実施形態に係る充填装置、及びこの充填装置に棒状物品を供給する組合せ秤を示す概略正面図である。
【図6】同実施形態に係る12台の充填機構部の配置を示す平面図である。
【図7】同実施形態の充填ホッパに設けられている仕切り部材を示す斜視図である。
【図8】充填ホッパに設けられている仕切り部材を示す図であり、(a)は同実施形態の仕切り部材の平面図、(b)は同発明の他の実施形態の仕切り部材の平面図である。
【図9】同実施形態の充填ホッパに供給された棒状物品が仕切り部材に凭れかけた状態を示す断面図である。
【図10】同実施形態の第1のシュートを示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断側面図である。
【図11】同発明の他の実施形態の第1のシュートを示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断側面図である。
【図12】同実施形態の第2のシュートを示す縦断側面図である。
【図13】同実施形態の溜めホッパ示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図14】同実施形態に係る充填装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】従来の充填装置の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る充填装置の一実施形態を各図を参照して説明する。図5は、予め設定された重量の棒状物品(棒状菓子)1を計量して排出する組合せ秤13と、この組合せ秤13から排出された計量済み棒状物品1を受け入れて、各計量済み棒状物品1をカップ(包装用容器)15に順次充填するためのこの実施形態に係る充填装置14と、空のカップ15を充填装置14の下方の充填位置に順次搬送すると共に、計量済み棒状物品1が充填されたカップ15を取り出し位置に順次搬送するための取り出しコンベア16と、を示している。
【0015】
組合せ秤13は従来公知のものであり、複数の計量ホッパを有し、各計量ホッパに供給された棒状物品1の重量を計量し、組合せ演算部がそれら計量された各棒状物品1の重量を種々に組合わせて合計重量が所定の目標重量に等しいか若しくは近い組合せを選択する。そして、組合せ演算部により選択された組の合計重量が許容重量範囲内であるとき、その組の棒状物品1を対応する各計量ホッパから排出するものである。これら各計量ホッパから排出された計量済みの棒状物品1は、集合シュート2を通ってその出口より排出され、そして、第1のシュート17と第2のシュート18を滑落して溜めホッパ19で保持される。そして、この計量済み棒状物品1は、所定のタイミングで溜めホッパ19の第1のゲート20が開くことにより充填装置14に設けられている充填ホッパ21に供給される。
【0016】
この充填ホッパ21に供給された棒状物品1は、この充填ホッパ21が所定の排出位置に移動したときに、この充填ホッパ21の第2のゲート22が開くことにより取り出しコンベア16上の所定のカップ15に充填される。棒状物品1が充填されたカップ15は、取り出しコンベア16により搬送されてこの搬送中に蓋がシールされて所定の取り出し位置で取り出される。また、この取り出しコンベア16には、空のカップ15が順次供給されており、これらの空のカップ15に上記のようにして所定の重量の棒状物品1が充填されていく。なお、棒状物品1は、例えば直径が約5mm、長さが約60mmである。カップ15は、例えば上側開口部の直径が約68mm、下側開口部の直径が約52mm、高さが約74mmである。そして、各カップ15に充填される棒状物品1の本数は例えば27本程度である。
【0017】
充填装置14は、図5に概略的に示すように、合計12台の充填機構部(図5には2台の充填機構部23を示してある。)23を円板状の回転台(支持部)24の上面に設けてある。この回転台24は、その中心が支持軸25と結合して支持されており、この支持軸25は回動自在に軸受部を介して架台26に設けてある。そして、支持軸25は、歯車26、26を介してモータ28の回転軸と連結している。図6は、12台の充填機構部23が設けられている回転台24の平面図である。ただし、図6では、3台の充填機構部23を示し、残りの9台充填機構部23を省略してある。この12台の充填機構部23は、それぞれの充填ホッパ21を回転台24の支持軸25に向けた状態で、回転台24の上面に同一の円周上に沿って30°の等間隔で設けてある。そして、回転台24には、各充填ホッパ21の下方の位置に開口30を設けてある。この開口30は合計12個あり、充填ホッパ21内の棒状物品1がこの開口30を通過してカップ15内に充填される。
【0018】
また、図6に示すように、回転台24は、反時計方向に30°ずつの回転と停止を繰り返すようにモータ28により間欠的に回転駆動されている。そして、回転台24が停止しているときの所定の充填機構部23の位置が供給位置である。この供給位置に停止している充填ホッパ21の上方に溜めホッパ19が位置しており、充填機構部23がこの供給位置に停止したときに溜めホッパ19から棒状物品1が供給される。また、回転台24が停止しているときの別の所定の充填機構部23の位置が排出位置である。この排出位置に停止している充填ホッパ21の下方に空のカップ15が位置しており、充填機構部23がこの排出位置に停止したときに充填ホッパ21内の棒状物品1がカップ15に充填される。
【0019】
次に、充填機構部23を説明する。12台の各充填機構部23は、それぞれ同一のものであるので、1台の充填機構部23の説明をして他の充填機構部23の説明を省略する。充填機構部23は、充填ホッパ21を振動させることによってこの充填ホッパ21に供給された互いに絡み合う複数の棒状物品1を、互いに隣合う状態で起立させて整列させ、この整列させた状態でカップ15に充填するためのものである。図1〜図3は、充填機構部23を示す図であり、図1は充填ホッパ21が下降位置であって垂下位置にある状態を示す側面図、図2は充填ホッパ21が上昇位置であって外側に揺動している揺動位置にある状態を示す側面図、図3は図1に示す充填機構部23の平面図である。
【0020】
充填機構部23は、図1に示すように、充填ホッパ21と、振動機構部31と、振動用モータ(駆動部)32と、を備えている。充填ホッパ21は、棒状物品1を上側開口部より受け入れる短円筒形の第2の本体部33と、この第2の本体部33の下側開口部を開閉するための第2のゲート22と、第2の本体部33の下側開口部に設けられている仕切り部材34と、を備えている。仕切り部材34は、図7に示すように、長方形の背の高い1枚の第1の仕切り部材34aと、第1の仕切り部材34aよりも背の低い長方形の2枚の第2の仕切り部材34bと、から成っている。第1及び第2の仕切り部材34a、34bは、図8(a)の平面図に示すように、十字を形成するように鉛直方向に立てた状態で設けてある。なお、第2の本体部33は、直径が約70mm、高さが約150mmである。
【0021】
仕切り部材34を設けている理由は、充填ホッパ21内に供給される棒状物品1の長さ(約60mm)が充填ホッパ21の第2の本体部33の内径(約70mm)よりも短いので、仕切り部材が設けられていなければ棒状物品1が第2のゲート22上で横倒しの状態になるが、図9に示すように、仕切り部材34を設けることによって、棒状物品1を、その中心軸線が鉛直方向に対して45°以下の角度θを成す範囲内で起立させて保持することができるからである。従って、仕切り部材34の高さ、枚数、及び配置は、棒状物品1を鉛直方向に対して45°以下の角度を成す範囲内で起立させて保持することができるように定めてある。このように、棒状物品1の長さに応じた形状の仕切り部材34を設けることにより、比較的短い長さの棒状物品1でも、これら棒状物品1を充填ホッパ21内で互いに隣合う状態で起立するように整列させることができ、この整列させた状態でカップ15に充填することができる。
【0022】
そして、充填ホッパ21内に供給されて第1及び第2の仕切り部材34a、34bの上縁に当接した棒状物品1をその上縁から確実に落下させることができるように、図7に示すように、第1と第2の仕切り部材34a、34bの上縁の高さを相違させてある。これにより、充填ホッパ21内に収容されている棒状物品1を確実に排出することができる。
【0023】
また、第1及び第2の仕切り部材34a、34bの各上縁の高さは、図7に示すように、第2のゲート22上に起立する棒状物品1の重心G1 の位置よりも高く、棒状物品1の高さよりも低くしてある。これにより、仕切り部材34に凭れ掛かる棒状物品1が仕切り部材34を乗り越えて倒れないようにすることができる。そして、例えば図15に示すように、2本の棒状物品1a、1bが起立した状態で縦方向に重なった場合に、上側の棒状物品1aが仕切り部材34に凭れ掛からないようにしてこの上側の棒状物品1aを第2のゲート22上に落下させ易くすることができる。従って、棒状物品1をカップ15に充填したときに、そのカップ15内から溢れさせることなく、互いに隣合うようにして起立させた状態で確実に充填することができる。
【0024】
第2のゲート22は、図4の平面図に示すように、第2の左ゲート22aと、第2の右ゲート22bと、を備えている。第2の左右の各ゲート22a、22bは、支点軸35、35を中心にして水平面内で回動自在に支持されており、図4に示す閉位置で充填ホッパ21内の棒状物品1を保持し、二点鎖線で示す開位置で充填ホッパ21内の棒状物品1を排出することができる。支点軸35、35は、図1に示す振動機構部31の昇降部36の下面に設けられている取付板37に締め付け固定されている。図4に示す38は、ゲート駆動部である。このゲート駆動部38は、エアーシリンダであり、図5に示すように、架台26に1台設けてある。このゲート駆動部38は、それぞれの充填機構部23が図6に示す排出位置に移動したときに伸縮動作して、その排出位置にある充填機構部23の第2のゲート22を開閉させることができるものである。図4に示す39は、ゴム製のパッドである。40は、リンクである。このリンク40の各端部は第2の左右の各ゲート22a、22bと回動自在に連結しており、第2の右ゲート22bの回動を第2の左ゲート22aに伝達して、両方のゲートを同時に開閉させるためのものである。41は引っ張りコイルばねである。このばね41は、開位置にある第2の左右のゲート22a、22bを閉位置に戻すためのものである。42、42は、係止板である。この係止板42は、第2の左右のゲート22a、22bが開位置から閉位置に回動したときに、取付板37に設けられているゴム製のストッパ43と当接して第2の左右の各ゲートを閉位置で停止させるためのものである。
【0025】
振動機構部31は、図1及び図3に示すように、揺動機構部44と昇降機構部45とから成っている。揺動機構部44は、充填ホッパ21の第2の本体部33の側面に結合している揺動部46を備えている。この揺動部46は、上端部が水平に配置されている揺動軸47を介して揺動自在に軸支持部(枢支部)48により支持されている。この軸支持部48は、昇降部36の側面にネジ止めしてある。揺動部46の下端部は、充填ホッパ21の第2の本体部33の側面と間隔を隔てて配置されている板状の被係合縁部49として形成してある。この被係合縁部49は、U字形の一対の各係合部50の溝51内に係合しており、この溝51の幅の範囲内で揺動軸47を中心にして揺動自在となっている。図1に示すように、この充填ホッパ21の揺動可能な角度は、約7°である。この一対の係合部50は、昇降部36の側面にネジ止めしてある。
【0026】
昇降機構部45は、昇降部36を備えている。この昇降部36の左右の各側面、及び背面には鉛直方向に形成した案内溝52を合計3つ設けてある。各案内溝52には、この案内溝52の側面と当接して転がり、対応する各案内溝52に沿って相対的に昇降移動自在であるローラ(カムフォロア)53が係合している。各ローラ53は、ローラ軸により回動自在に支持されており、各ローラ軸は互いに平行する一対の各支持板54、及びこの一対の支持板54を連結する連結板55にネジ止めしてある。一対の支持板54は、取付部材56を介してブラケット57に設けてあり、このブラケット57に振動用モータ32を取り付けてある。この振動用モータ32の回転軸32aは、回転リンク58の一方の端部と結合しており、この回転リンク58の他方の端部に偏心軸59を設けてある。この偏心軸59は、振動用リンク60の上端部と回動自在に連結している。振動用リンク60の下端部には、従動軸61が回動自在に連結している。この従動軸61は、昇降部36の背面にネジで固定してある。
【0027】
上記のように構成された充填機構部23によると、振動用モータ32が駆動して回転軸32aが所定の方向に回転すると、回転リンク58が回転して、この回転リンク58の回転運動が偏心軸59、振動用リンク60、及び従動軸61等により昇降運動に変換されて、昇降部36を矢印62の方向に昇降振動させることができる。そして、昇降部36の下部に設けられている第2のゲート22もこの昇降部36に伴って昇降振動を行う。次に、昇降部36が昇降振動するときの充填ホッパ21の揺動について説明する。まず、図1に示すように、昇降部36が下降位置から上昇移動するときであって増速するときは、充填ホッパ21は、揺動軸47を中心にして反時計方向に揺動して被係合縁部49が図1に示す係合部50の溝51の右側面と当接した状態となって上昇する。つまり、充填ホッパ21の第2の本体部33の重心G2 と揺動軸47の軸心との水平方向の間隔がL1 であり、このように配置したことにより充填ホッパ21に対して揺動軸47を中心とする反時計方向のトルク(慣性力に基づくトルク)が働く。そして、昇降部36がそのまま上昇移動しながら減速するときは、充填ホッパ21の第2の本体部33は、揺動軸47を中心にして時計方向に揺動して被係合縁部49が図2に示す係合部50の溝51の左側面と当接した状態となり、この状態で上昇位置に至る。そして、昇降部36が上昇位置から下降移動するときであって増速するときは、充填ホッパ21の第2の本体部33は、図2に示す状態で下降する。そして、昇降部36がそのまま下降移動するときであって減速するときは、充填ホッパ21の第2の本体部33は、図1に示す状態に戻って下降して下降位置に至る。このように、充填ホッパ21の第2の本体部33は、昇降移動しながら上記のような揺動を繰り返す。
【0028】
そして、図1に示すように、揺動軸47を第2のゲート22から所定の間隔L2 を隔ててその上方に配置してあるので、充填ホッパ21を鉛直方向に振動させるだけで充填ホッパ21を矢印63の方向に揺動させて水平方向の範囲に亘って揺動させることができる。従って、1台の振動用モータ32によって、充填ホッパ21の第2の本体部33を鉛直方向と水平方向の両方向に振動させることができる。
【0029】
また、複数の棒状物品1を収容している状態で充填ホッパ21の上昇速度が減少する時、及び下降速度が増加する時に、これら棒状物品1の第2のゲート22に掛かる重量や他の棒状物品1に対して掛かる重量が比較的小さくなり、これにより、棒状物品1と第2のゲート22との摩擦力、及び棒状物品1どうしの接触部分の摩擦力が小さくなる。この時、例えば、上昇位置、下降位置、及びその近傍において、充填ホッパ21が図1及び図2に示す揺動位置に揺動して水平方向の速度が変更することにより、互いに絡み合う棒状物品1を、互いに隣合った状態で平行させて第2のゲート22上に起立させるようにすることができる。そして、このように棒状物品1を整列させた状態でカップ15に充填することができる。
【0030】
更に、振動用駆動部による充填ホッパ21の振動は、下降速度が充填ホッパ21に収容されている棒状物品1の自由落下速度よりも高速であり、充填ホッパ21を下降させると共に水平方向に揺動させるようにしてある。例えば図15に示すように、2本の棒状物品1a、1bが起立した状態で縦方向に重なった場合に、充填ホッパ21をこの充填ホッパ21に収容されている棒状物品1の自由落下速度よりも高速に下降させることにより、それぞれの棒状物品1a、1bを充填ホッパ21から浮き上がらせることができる。そして、充填ホッパ21を下降させると共に水平方向に揺動させることにより、充填ホッパ21を棒状物品1に衝突させて、縦方向に重なっている上側の棒状物品1aを第2のゲート22上に落下させることができる。これにより、充填ホッパ21内で縦方向に重なっている棒状物品1を互いに隣合った状態で平行させて第2のゲート22上に起立させるようにすることができる。
【0031】
そして、充填ホッパ21が振動により下降移動する状態で、充填ホッパ21に供給されて自由落下する棒状物品1が第2のゲート22に衝突するように充填ホッパ21を振動させている。つまり、図14のタイミングチャートに示すように、溜めホッパ19の第1のゲート20が開放して棒状物品1を充填ホッパ21に供給したときから所定の時間t1 が経過して、充填ホッパ21が下降移動する状態で棒状物品1が第2のゲート22に衝突するようにしている。これにより、棒状物品1が充填ホッパ21に供給されて自由落下により第2のゲート22に衝突するときの衝撃を小さくすることができるので、棒状物品1の第2のゲート22との衝突による跳ね上がりを防止することができ、その結果、棒状物品1が充填ホッパ21内で互いに絡み合わないようにすることができる。
【0032】
次に、図14を参照してこの充填装置14の充填サイクルを説明する。図14に示すように、回転台24の回転と停止が交互に行われ、充填機構部23が所定の供給位置に移動して停止すると、溜めホッパ19の第1のゲート20が開放して棒状物品1を充填ホッパ21内に供給する(供給段階)。そして、棒状物品1が供給された充填ホッパ21は、振動用モータ32により連続的に駆動されて振動する。この最初の連続的な振動は、図6に示す供給位置から150°回転したAの位置まで続けられる。そして、充填機構部23がAの位置から排出位置に移動するまでは、振動用モータ32が駆動と停止を約400ms(t2)毎に交互行い、充填機構部23が排出位置に移動して停止したときに充填ホッパ21の間欠的な振動を停止させる。充填機構部23が供給位置から排出位置に移動して停止するまでの充填ホッパ21の振動を第1の振動段階という。そして、充填機構部23が排出位置に停止した状態で第2のゲート22を開閉して充填ホッパ21内の棒状物品1をカップ15内に充填する(第1の排出段階)。そして、充填ホッパ21を約400ms間振動させて(第2の振動段階)、しかる後に再度、第2のゲート22を開閉する(第2の排出段階)。これで、1台の充填機構部23による1回の充填が終了し、上記と同様の動作を順次繰り返して各カップ15に棒状物品1の充填を行うことができる。ここでは1台の充填機構部23の充填サイクルを説明したが、他の11台の充填機構部23の充填サイクルも同等であるので詳細な説明を省略する。
【0033】
上記のような充填サイクルの充填方法によると、充填ホッパ21に供給された全ての棒状物品1を確実にカップ15に充填することができる。つまり、多数の棒状物品1が収容されている充填ホッパ21を振動させても、これら棒状物品1が充填ホッパ21内で移動しにくく、充填ホッパ21内に引っ掛かっている棒状物品1を振り落とすことができない場合があるが、充填ホッパ21内の殆どの棒状物品1を第1の排出の段階で排出して広い空間ができた状態で充填ホッパ21を再度振動させることにより(第2の振動段階)、充填ホッパ21内に引っ掛かって残っている棒状物品1を振り落として確実に排出することができる(第2の排出段階)。
【0034】
次に、図5に示す第1のシュート17を図10を参照して説明する。第1のシュート17は、短円筒形であり、上側開口縁17aが水平面と平行し、上側開口部が図5に示すように集合シュート2の下側開口部と接続している。下側開口縁17bは、水平面に対して約45°の角度で傾斜しており、下側開口部が図5に示すように第2のシュート18の上側開口部18aと接続している。また、この第1のシュート17は、その内側を滑落する棒状物品1を滑落方向と平行させるためのものであって、滑落方向と平行する案内部材64を設けてある。この案内部材64は、平板状体であり、この第1のシュート17の長さ方向と平行するようにして、第1のシュート17の滑落面17cに対して垂直に設けてある。案内部材64の滑落面17cに対する高さは、棒状物品1の直径よりも高くしてある。また、案内部材64の入口側の高さは、第1のシュート17の上側開口縁17aから下側開口縁17bに向かうに従って高くなるように傾斜させてある。これによって、集合シュート2の出口からこの第1のシュート17の上側開口部に供給される複数の棒状物品1をこの案内部材64の入口側の上縁64aにより滑落方向と平行するように揃えることができる。そして、このように整列した棒状物品1をこの状態で案内部材64により案内して後段の第2のシュート18に送り込むことができる。
【0035】
次に、図5に示す第2のシュート18を図12を参照して説明する。第2のシュート18は、棒状物品1の滑落方向と直交する断面形状が円形の漏斗状の形状であり、上側開口縁18aが水平面に対して約45°の角度で傾斜しており、上側開口部が第1のシュート17の下側開口部と接続している。下側開口縁18bは、水平面と平行し、下側開口部が図5に示すように溜めホッパ19の上側開口部と接続している。また、この第2のシュート18内を滑落する棒状物品1が衝突する屈曲部65の内面65aは、滑落方向66に対して約25°の角度α(αは45°以下の角度とすると良い。)で傾斜するように形成してある。この第2のシュート18によると、第1のシュート17内を整列した状態(棒状物品1が滑落方向と平行する状態)で滑落してきた棒状物品1が、その整列した状態で第2のシュート18内を滑落して各棒状物品1の先端部が図12に示すように屈曲部65のその滑落方向にある内面65aに衝突する。そして、屈曲部65の内面65aと滑落方向66との成す角度αが25°の比較的小さい角度であるので、棒状物品1は、その整列状態を乱さずにその内面65aに案内されて滑落して下方の溜めホッパ19に投入される。このようにして、棒状物品1を溜めホッパ19内に互いに隣合う状態で起立するように供給することができる。
【0036】
次に、図13を参照して溜めホッパ19を説明する。溜めホッパ19は、棒状物品1を上側開口部より受け入れる短円筒形の第1の本体部67と、この第1の本体部67の下側開口部を開閉するための第1のゲート20と、第1の本体部67の下側開口部に設けられている仕切り部材68と、を備えている。仕切り部材68は、図13に示すように、長方形の1枚の板状体である。仕切り部材68は、第1の本体部67の中心を通る位置に鉛直方向に立てた状態で設けてある。
【0037】
第1のゲート20は、第1の左ゲート20aと、第1の右ゲート20bと、を備えている。第1の左右の各ゲート20a、20bは、水平方向に設けられている支点軸69、69を中心にして回動自在に支持されており、図13に示す閉位置で溜めホッパ19内の棒状物品1を保持し、二点鎖線で示す開位置で溜めホッパ19内の棒状物品1を排出することができる。支点軸69、69は、第1の本体部67に設けてある。なお、第1のゲート20が第2のゲート22と同様に、互いにリンク(図示せず)により連結されており、ゲート駆動部(図示せず)により開閉駆動するようになっているが、リンク、及びゲート駆動部は、充填ホッパ21のものと同等であるので詳細な説明を省略する。第1の左右の各ゲート20a、20bは、閉じている状態で第1の左右の各ゲート20a、20bの上面が鉛直方向に対して45°以下の角度β(この実施形態では、角度βを約20°としている。)で傾斜するように形成してある。これにより、溜めホッパ19内に収容されている棒状物品1を、第1の左右の各ゲート20a、20bに沿って保持した状態で鉛直方向に対して約20°の角度で起立させることができる。
【0038】
仕切り部材68は、棒状物品1が溜めホッパ19内に供給されてその下端部が第1のゲート20の上面に当接する状態で、鉛直方向に対して45°以下の角度で起立させた状態で保持するように設けてある。つまり、充填ホッパ21に設けられている仕切り部材34と同様に、例えば棒状物品1の長さが溜めホッパ19の第1の本体部67の互いに向かい合う内側面の間隔よりも短い場合でも、棒状物品1が溜めホッパ19内で横倒しの状態とならないようにすることができる。
【0039】
また、この溜めホッパ19によると、第2のシュート18から排出された棒状物品1を、一旦、この溜めホッパ19に溜めておいて、所定のタイミングでこの溜めホッパ19内の棒状物品1を充填ホッパ21に供給することができるので、棒状物品1を充填ホッパ21に供給するための時間を比較的短くすることができる。
【0040】
更に、この充填装置14によると、図6に示すように、所定の供給位置に順次移動してきている充填機構部23の充填ホッパ21に、棒状物品1を順次供給することができ、その充填機構部23が所定の排出位置に移動したときに、その充填機構部23の充填ホッパ21内にある棒状物品1を順次排出させることができる。従って、各充填機構部23が供給位置から排出位置に移動するまでの時間を利用して充填ホッパ21を振動させて、その充填ホッパ21内の棒状物品1を整列させることができるので、充填機構部23の台数に応じた分だけ充填能力の向上を図ることができる。
【0041】
ただし、上記実施形態では、充填ホッパ21に設けられている仕切り部材34を、図8(a)の平面図に示すように、十字を形成するように鉛直方向に立てた状態で設けたが、これに代えて、充填ホッパ21の第2の本体部33の内径と棒状物品1の長さに応じて図8(b)の平面図に示すように、第2の本体部33の中心から3方向に放射状に伸延するように鉛直方向に立てた状態で設けてもよい。なお、この3枚の仕切り部材70は、それぞれの高さを相違させてある。
【0042】
そして、上記実施形態の第1のシュート17は、図10に示すように、滑落方向と平行する案内部材64を設けた構成としたが、これに代えて、図11に示すように段差部71を設けた構成としてもよい。図11に示す第1のシュート74は、棒状物品1が滑落する滑落面に、この滑落面に対して垂直な方向の高さがこの第1のシュート74の入口側滑落面72よりも出口側滑落面73が低くなっている段差部71が形成されているものである。この第1のシュート74によると、入口側滑落面72を滑落する棒状物品1が段差部71を通過したときに、出口側滑落面73から離れた状態となって落下することによって出口側滑落面73に衝突させることができ、この衝突の衝撃により、互いに絡み合った棒状物品1のその絡みをほぐすことができる。そして、絡みをほぐした状態でこの棒状物品1を溜めホッパ19に供給することができる。また、上記実施形態では、充填ホッパ21の第2のゲート22を2回開閉して棒状物品1を排出したが、これに代えて、第2のゲート22を1回開閉して棒状物品1を排出してもよい。更に、上記実施形態では、組合せ秤13により計量した棒状物品1を充填ホッパ21に供給したが、組合せ秤以外の計量装置により計量した棒状物品1を充填ホッパ21に供給してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 棒状物品
14 充填装置
15 カップ
17 第1のシュート
18 第2のシュート
19 溜めホッパ
21 充填ホッパ
23 充填機構部
31 振動機構部
32 振動用モータ
33 第2の本体部
34 仕切り部材
36 昇降部
44 揺動機構部
45 昇降機構部
52 案内溝
53 ローラ
67 第1の本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状物品を滑落させて出口より排出するシュートと、
このシュートより排出された棒状物品を上側開口部より受け入れる短筒状の本体部、及びこの本体部の下側開口部を開閉するためのゲートを有する充填ホッパと、
この充填ホッパ内に供給されたそれぞれの棒状物品が互いに隣合う状態で起立するように上記充填ホッパを振動させる駆動部と、
を備える充填装置において、上記シュートは、滑落する棒状物品を滑落方向と平行させるためのものであって、滑落方向と平行する案内部材が設けられている充填装置。
【請求項2】
請求項1記載の充填装置において、前記案内部材は、前記シュートにおける滑落面に対して垂直に設けられ、前記シュートの入り口側における前記案内部材は前記滑落方向に進行するに従って前記滑落面に対する高さが高くなるように傾斜させてある充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−76843(P2010−76843A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288703(P2009−288703)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【分割の表示】特願2000−76442(P2000−76442)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【出願人】(591115578)カルビー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】