説明

充放電制御回路及びバッテリ装置

【課題】入力端子から充電禁止信号が入力され充電制御トランジスタがオフした後でも、外部端子EB+、EB−間に負荷が接続されると放電電流を流してしまう。また、充放電制御回路22が電力を消費するという課題があった。
【解決手段】 二次電池の充放電を制御する充放電制御回路であって、充放電制御回路に流れる電流を制御するスイッチ回路と、スイッチ回路の動作を制御する制御回路と、外部から充放電制御回路の動作を制御する信号が入力される入力端子と、を備える構成とする。こうして、外部から入力端子に信号が入力されると放電電流を遮断し、充放電制御回路の消費電流を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の電圧や異常を検知する充放電制御回路及びバッテリ装置に関し、特に、外部端子からの信号入力時に充放電制御回路をパワーダウンさせる充放電制御回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に、従来の充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図を示す。従来の充放電制御回路及びバッテリ装置は、二次電池1〜4(例えばリチウムイオン二次電池のセル)と、FET等で構成された充電制御トランジスタ14及び放電制御トランジスタ16と、充放電制御回路22と、マイコン21と、外部端子EB+及びEB−と、を備えている。
【0003】
二次電池1〜4は、二次電池1の正極が放電制御トランジスタ16に接続され、二次電池4の負極が外部端子EB−に接続されている。放電制御トランジスタ16と充電制御トランジスタ14は直列に接続されており、充電制御トランジスタ14は外部端子EB+に接続されている。
【0004】
充電制御トランジスタ14は、充電器20から二次電池1〜4への充電を制御するためのスイッチ素子である。放電制御トランジスタ16は、二次電池1〜4から負荷19への放電を制御するためのスイッチ素子である。充放電制御回路22は、二次電池1〜4への充電を禁止するとき充電制御トランジスタ14をOFFし、二次電池1〜4からの放電を禁止するとき放電制御トランジスタ16をOFFする。
【0005】
ここで、充放電制御回路22は、CTL端子13に充電禁止信号が入力されると、充電制御トランジスタ14をOFFし、放電制御トランジスタ16をオンする。そして、CTL端子13に充電禁止信号が入力されていても、VMP端子12が過電流検出電圧になった場合、CTL端子13の充電禁止信号をキャンセルする。
【0006】
以上により、外部端子EB+と外部端子EB−の間に負荷19が接続されている場合に、CTL端子13から充電禁止信号が入力されても、充電制御トランジスタ14と放電制御トランジスタ16の両方がOFFにはならないため、負荷19に電圧を供給できないようなロックモードを防止できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−320324号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の技術では、バッテリ装置の出荷時に二次電池の電力消費を防ぐためCTL端子13から充電禁止信号を入力すると、外部端子EB+と外部端子EB−の間に負荷が接続された時、寄生ダイオード15を介して放電電流を流し、二次電池の電力を消費してしまうという課題があった。また、充放電制御回路22も電力を消費するという課題があった。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するために考案されたものであり、バッテリ装置の出荷時に、二次電池の電力消費を防ぎ、充放電制御回路22の消費電流を低減させる充放電制御回路及びバッテリ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の課題を解決するために、本発明の充放電制御回路は以下のような構成とした。
二次電池の充放電を制御する充放電制御回路であって、充放電制御回路に流れる電流を制御するスイッチ回路と、スイッチ回路の動作を制御する制御回路と、外部から充放電制御回路の動作を制御する信号が入力される入力端子と、を備える構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の充放電制御回路によれば、入力端子から信号が入力後、放電制御トランジスタをOFFさせ外部負荷への放電電流を遮断し、充放電制御回路をパワーダウンさせ消費電流を低減させるので、バッテリ装置の出荷時に二次電池の電力消費を防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第一の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図である。
【図2】第二の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図である。
【図3】従来の充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、第一の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図である。
第一の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置は、二次電池101と、抵抗102及び104と、容量103と、充電器106や負荷105が接続される外部端子157及び158と、Nch放電FET107と、Nch充電FET108と、充放電制御回路121と、を備えている。充放電制御回路121は、充放電監視回路111と、制御回路113と、外部信号検出回路115と、スイッチ回路112及び114と、端子151、152、153、154、156、159と、を備えている。
【0014】
二次電池101は、正極が抵抗102の一方の端子及び外部端子157に接続され、負極が容量103の一方の端子と充放電制御回路121の端子152とNch放電FET107のソースに接続される。抵抗102の他方の端子は、容量103の他方の端子及び充放電制御回路121の端子151に接続される。充放電制御回路121の端子151は、スイッチ回路112と制御回路113とスイッチ回路114に接続される。充放電制御回路121の端子152は、充放電監視回路111と制御回路113と外部信号検出回路115に接続される。スイッチ回路112の他方の端子は充放電監視回路111に接続され、スイッチ回路114の他方の端子は外部信号検出回路115に接続される。充放電監視回路111は制御回路113及び端子156に接続され、外部信号検出回路115は制御回路113及び端子159に接続される。制御回路113は、端子153および端子154に接続され、スイッチ回路112及び114に制御信号を出力する。Nch放電FET107は、ドレインはNch充電FET108のドレインに接続され、ゲートは端子153に接続される。Nch充電FET108は、ソースは外部端子158に接続され、ゲートは端子154に接続される。抵抗104は、一方の端子は端子156に接続され、他方の端子は外部端子158に接続される。
【0015】
次に第一の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置の動作について説明する。
二次電池101が接続されると、制御回路113は信号を出力し、スイッチ回路112とスイッチ回路114をオンさせて充放電監視回路111及び外部信号検出回路115を動作させる。外部端子157、158間に充電器106が接続され二次電池101が過充電状態になると、充放電監視回路111は過充電を検出して制御回路113に過充電禁止信号を出力する。制御回路113は過充電禁止信号を受けて端子154にLoを出力してNch充電FET108をオフさせて保護をかける。外部端子157、158間に負荷105が接続され二次電池101が過放電状態になると、充放電監視回路111は過放電を検出して制御回路113に過放電禁止信号を出力する。制御回路113は過放電禁止信号を受けて端子153にLoを出力してNch放電FET107をオフさせて保護をかける。外部端子157、158が短絡され二次電池101が過電流状態になると、充放電監視回路111は端子156の電圧が上昇した事を検出して制御回路113に過電流禁止信号を出力する。制御回路113は過電流禁止信号を受けて端子154にLoを出力してNch充電FET108をオフさせて保護をかける。
【0016】
端子159に信号が入力されると外部信号検出回路115が信号を検出し、制御回路113に外部信号検出信号を出力する。制御回路113は外部信号検出信号を受けて端子153にLo、端子154にHi、スイッチ回路112、114をオフさせる信号を出力する。こうして、Nch放電FET107をオフ、Nch充電FET108をオンさせ、充放電監視回路111、外部信号検出回路115の動作を止めるパワーダウン状態にし、低消費電力化を行うことができる。パワーダウン状態を解除するには外部端子157、158間に充電器106を接続する必要がある。このため、バッテリ装置を出荷する時、端子159から信号を入力することで二次電池101の保存期間を長くすることができる。
【0017】
なお、スイッチ回路112及び114は、充放電監視回路111及び外部信号検出回路115の動作を止めるものであるため、他の方法でそれらの動作をとめても良い。
【0018】
以上に説明したように、第一の実施形態の過電流保護回路を備えた充放電制御回路及びバッテリ装置によれば、端子159に信号を入力することによってNch放電FET107をオフ、Nch充電FET108をオン、充放電制御回路121をパワーダウン状態にし、低消費電力化を行うことができる。そして、バッテリ装置を出荷する時、端子159から信号を入力することで二次電池101の保存期間を長くすることができる。
【0019】
図2は、第二の実施形態の過電流保護回路を備えた充放電制御回路及びバッテリ装置の回路図である。図1との違いはNch放電FET107をPch放電FET207へ、Nch充電FET108をPch放電FET208に変更した点である。
【0020】
接続に関して説明する。Pch放電FET207は、ソースは二次電池101の正極に接続され、ドレインはPch充電FET208のドレインに接続され、ゲートは端子153に接続される。Pch充電FET208は、ソースは外部端子157に接続され、ゲートは端子154に接続される。他の接続は第一の実施形態と同様である。
【0021】
次に第二の実施形態の充放電制御回路及びバッテリ装置の動作について説明する。
二次電池101が接続されると、制御回路113は信号を出力し、スイッチ回路112とスイッチ回路114をオンさせて充放電監視回路111及び外部信号検出回路115を動作させる。外部端子157、158間に充電器106が接続され二次電池101が過充電状態になると、充放電監視回路111は過充電を検出して制御回路113に過充電禁止信号を出力する。制御回路113は過充電禁止信号を受けて端子154にHiを出力してPch充電FET208をオフさせて保護をかける。外部端子157、158間に負荷105が接続され二次電池101が過放電状態になると、充放電監視回路111は過放電を検出して制御回路113に過放電禁止信号を出力する。制御回路113は過放電禁止信号を受けて端子153にHiを出力してPch放電FET207をオフさせて保護をかける。外部端子157、158が短絡され二次電池101が過電流状態になると、充放電監視回路111は端子156の電圧が上昇した事を検出して制御回路113に過電流禁止信号を出力する。制御回路113は過電流禁止信号を受けて端子154にHiを出力してPch充電FET208をオフさせて保護をかける。
【0022】
端子159に信号が入力されると外部信号検出回路115が信号を検出し、制御回路113に外部信号検出信号を出力する。制御回路113は外部信号検出信号を受けて端子153にHi、端子154にLo、スイッチ回路112、114をオフさせる信号を出力する。こうして、Pch放電FET207をオフ、Pch充電FET208をオンさせ、充放電監視回路111、外部信号検出回路115の動作を止めるパワーダウン状態にし、低消費電力化を行うことができる。パワーダウン状態を解除するには外部端子157、158間に充電器106を接続する必要がある。このため、バッテリ装置を出荷する時端子159から信号を入力することで二次電池101の保存期間を長くすることができる。
【0023】
なお、スイッチ回路112、114は、充放電監視回路111、外部信号検出回路115の動作を止めるものであるため、他の方法でそれらの動作をとめても良い。
【0024】
以上に説明したように、第二の実施形態の過電流保護回路を備えた充放電制御回路及びバッテリ装置によれば、端子159に信号を入力することによってPch放電FET207をオフ、Pch充電FET208をオン、充放電制御回路221をパワーダウン状態にし、低消費電力化を行うことができる。そして、バッテリ装置を出荷する時、端子159から信号を入力することで二次電池101の保存期間を長くすることができる。
【符号の説明】
【0025】
101 二次電池
105 負荷
106 充電器
111 充放電監視回路
113 制御回路
115 外部信号検出回路
157、158 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充放電を制御する充放電制御回路であって、
充放電制御回路に流れる電流を制御するスイッチ回路と、
前記スイッチ回路の動作を制御する制御回路と、
外部から前記充放電制御回路の動作を制御する信号が入力される入力端子と、
を備えることを特徴とする充放電制御回路。
【請求項2】
前記充放電制御回路は、前記入力端子が外部信号検出回路に接続され、
前記外部信号検出回路の出力は前記制御回路に接続され、
前記外部信号検出回路の電源は第一のスイッチ回路を介して前記二次電池の正極に接続され、
充放電監視回路の電源は第二のスイッチ回路を介して前記二次電池の正極に接続され、
前記入力端子に信号が入力されると前記制御回路から前記第一および第二のスイッチ回路をオフさせる信号が出力されることを特徴とする請求項1に記載の充放電制御回路。
【請求項3】
充放電が可能な前記二次電池と、
前記二次電池の充放電経路に設けられた充放電制御スイッチと、
前記二次電池の電圧を監視し、前記充放電制御スイッチを開閉することによって前記二次電池の充放電を制御する請求項1または2に記載の充放電制御回路と、を備えたバッテリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−257407(P2012−257407A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129398(P2011−129398)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】