説明

充放電制御回路

【課題】周辺環境から得られる複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換することができ、蓄電部に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合に、複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行う充放電制御回路を実現する。
【解決手段】充放電制御回路100が、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電部20aと、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電部20bと、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電部20cを備えることで、二次電池30への蓄電量が低下した場合に何れかのエネルギーを変換した電気エネルギーを充電することができるので、充放電制御回路100は周辺環境のエネルギーを効率よく利用してそのエネルギーを変換した電気エネルギーを蓄電し、蓄電した電気エネルギー(電力)を使うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電時には充電容量を所定容量に制御し、放電時には放電容量を所定容量に制御して、例えばリチウム電池等を長寿命とすることのできる二次電池の充放電制御回路が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−17336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、二次電池充電のための電源として、複数のエネルギー源(例えば、家庭用電源や太陽光エネルギー等)を使い分けることはできず、所定のエネルギー源が断たれてしまうと、電池の長寿命化を図ったとはいえ、その使用可能時間が限られてしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、周辺環境から得られる複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換することができ、蓄電部に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合に、複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行うことができる充放電制御回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の充放電制御回路は、
周辺環境から得られるエネルギーを電気エネルギーに変換して充電するとともに、当該電気エネルギーを利用するにあたり放電する充放電制御回路において、
前記充放電制御回路は、複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、
前記複数種のエネルギーのそれぞれの大きさが、前記複数種のエネルギーのそれぞれに対応した各閾値以上であるかどうかまたは前記各閾値よりも大きいかどうかを検知するセンサ部と、
前記複数種のエネルギーのそれぞれを電気エネルギーに変換する電気エネルギー変換部と、
前記電気エネルギー変換部により変換された前記電気エネルギーを蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合、前記センサ部の検知結果に基づいて、前記複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行う制御部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周辺環境から得られる複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換することができ、蓄電部に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合に、複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る充放電制御回路を示す説明図である。
【図2】充放電制御回路のコントロール部の監視対象に関する説明図であり、二次電池充放電特性(a)、充電電流特性(b)、二次電池出力電圧Va特性(c)、負荷部出力電圧Vb特性(d)、基本クロック(e)を示すグラフである。
【図3】充放電制御回路における充電処理に関するフローチャートである。
【図4】充放電制御回路における放電処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明に係る充放電制御回路を示す説明図である。
充放電制御回路100は、周辺環境から得られる複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換して充電するとともに、その電気エネルギーを利用するにあたり放電する回路であり、電気エネルギーの蓄電と消費を制御するものである。
【0011】
充放電制御回路100は、図1に示すように、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのそれぞれを検知するセンサ部である環境センサ10と、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのそれぞれを電気エネルギーに変換する電気エネルギー変換部20と、電気エネルギー変換部20により変換された電気エネルギーを蓄電する蓄電部である二次電池30と、二次電池30に蓄電された電気エネルギーを消費する負荷部40と、当該回路における充電や放電に関する報知を行う報知部60と、上記各部を制御する制御部であるコントロール部50等を備えて構成されている。
【0012】
環境センサ10は、充放電制御回路100の周辺環境から得られる複数種のエネルギーである、光エネルギー、熱エネルギーおよび運動エネルギーのそれぞれを検知する各種センサを有している。具体的には、上述した複数種のエネルギーのうち、光エネルギーを検知するための光センサ10aと、熱エネルギーを検知するための温度センサ10bと、運動エネルギー(振動エネルギー)を検知するための振動センサ10cを有している。環境センサ10は、運動エネルギーを検知するため、振動センサ10cの代わりに圧電素子10cを有していても良い。
また、環境センサ10は、上述した複数種のエネルギーのそれぞれの大きさが、それら複数種のエネルギーのそれぞれに対応した各閾値以上であるかどうかを検知する。即ち、光センサ10aは、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうち、当該光センサ10aによって検知された光エネルギーの大きさが当該光センサ10aに設定された所定の閾値以上であるかどうかを検知する。同様に、温度センサ10bは、検知された熱エネルギーの大きさが当該温度センサ10bに設定された所定の閾値以上であるかどうかを検知し、振動センサ10cは、検知された運動エネルギーの大きさが当該振動センサ10cに設定された所定の閾値以上であるかどうかを検知する。ここで、環境センサ10は、上述した複数種のエネルギーのそれぞれの大きさが、それら複数種のエネルギーのそれぞれに対応した各閾値以上であるかどうかを検知するものとしたが、各閾値よりも大きいかどうかを検知する。
そして、環境センサ10は、当該環境センサ10によって検知された各エネルギーの大きさが、各エネルギーに対応した各閾値以上である場合には、各エネルギーの大きさが閾値以上であることを示すオン信号を検知結果として出力し、各エネルギーに対応した各閾値未満である場合には、閾値未満であることを示すオフ信号を検知結果として出力する。環境センサ10のそれぞれ、即ち、光センサ10a、温度センサ10bおよび振動センサ10cのそれぞれによる検知結果は、センサ信号検出部10dを介してコントロール部50に出力される。
【0013】
電気エネルギー変換部20は、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのそれぞれを電気エネルギーに変換する(発電する)機能を有する。
電気エネルギー変換部20は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電部20aと、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電部20bと、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電部20cとを有する。ここで、上述した光センサ10aの閾値は、光発電部20aが光エネルギーを利用して発電することが可能である当該光エネルギーの大きさの最小値となるように設定されている。同様に、温度センサ10bの閾値は、熱発電部20bが熱エネルギーを利用して発電することが可能である当該熱エネルギーの大きさの最小値となるように、また、振動センサ10cの閾値は、振動発電部20cが運動エネルギーを利用して発電することが可能である当該運動エネルギーの大きさの最小値となるように設定されている。
光発電部20aとしては太陽電池など、熱発電部20bとしてはゼーベック効果を利用した熱電変換素子など、振動発電部20cとしてはエレクトレット発電器や圧電素子などを用いることができる。
光エネルギーが光発電部20aによって変換された電気エネルギーと、熱エネルギーが熱発電部20bによって変換された電気エネルギーと、運動エネルギーが振動発電部20cによって変換された電気エネルギーとは、二次電池充電回路23を通じて、二次電池30に充電(蓄電)される。
【0014】
二次電池30は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、電気エネルギー変換部20によって変換された電気エネルギーを充電するとともに、負荷部40による電力の消費に応じて放電する。
この二次電池30の近傍あるいは二次電池30に接触する位置に、サーミスタ(図示省略)が設けられている。サーミスタは電池周辺の温度や電池の温度を検出し、検出データをコントロール部50に出力している。
【0015】
負荷部40は、二次電池30に蓄電された電気エネルギーを利用して稼動する回路構成を有しており、この負荷部40が稼動・駆動するためには電力の消費が伴う。
充放電制御回路100が、例えば腕時計や携帯電話機といった携帯型の電子機器に適用されている場合、この負荷部40は、腕時計や携帯電話機の駆動回路に相当する。
【0016】
報知部60は、充放電制御回路100における充電や放電に関する警告や、その警告に対して必要な操作指示などの報知を行う機能を有している。
報知部60は、例えば、ブザー、LED発光器、液晶ディスプレイなどであって、警告や報知に応じた鳴動、発光(点滅)、表示などを行うようになっている。
この報知部60は、報知回路60aを介してコントロール部50に接続されている。
【0017】
コントロール部50は、例えば、CPU、メモリ、演算ユニット、入出力インターフェイス等を有する制御系である。充放電制御回路100の各部の制御は、コントロール部50のメモリに格納されている所定のプログラムを実行させることにより行われる。
このコントロール部50は、環境センサ10からの検出結果に基づいて、電気エネルギー変換部20が、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうちいずれかのエネルギーを電気エネルギーに変換することができるかどうかを判断する。
また、コントロール部50は、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量を監視する。例えば、コントロール部50は、図2に示すような、二次電池30の二次電池充放電特性(図2(a)参照)や、二次電池30の内部抵抗をRとし、二次電池30の入力電圧をVo、二次電池30の出力電圧(充電電圧)をVaとしたときの充電電流Iα=Io−a=(Vo−Va)/Rの値に関する充電電流特性(図2(b)参照)などを監視し、各種判断を行う。
【0018】
そして、コントロール部50は、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量(充電電圧(出力電圧Va))が第1の閾値(例えば、Vref)以下になったと判断した場合、報知部60を動作させて、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうち、電気エネルギー変換部20が電気エネルギーに変換することができるいずれかのエネルギーによる蓄電を促す報知を、環境センサ10からの検出結果に基づいて行う。
例えば、コントロール部50が、二次電池30の出力電圧Vaまたは負荷部40の出力電圧Vbが、第1閾値電圧であるVref以下になったと判断した場合、コントロール部50は、報知部60を動作させて、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうち、電気エネルギー変換部20が電気エネルギーに変換することができるいずれかのエネルギーによる蓄電を促す報知を、環境センサ10からの検出結果に基づいて、行う。
【0019】
具体的には、コントロール部50は、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうち、電気エネルギー変換部20が電気エネルギーに変換することができるエネルギーを、環境センサ10からの検出結果に基づいて判別し、光発電部20a、熱発電部20bおよび振動発電部20cのうち、当該発電することができるエネルギーに対応する電気エネルギー変換部により変換された電気エネルギーを蓄電するように促す報知を行う。
例えば、光エネルギーおよび熱エネルギーが、各エネルギーに対応した各閾値未満であった場合、環境センサ10からの検出結果として、光センサ10aおよび温度センサ10bからはオフ信号が出力される。さらにこのとき、充放電制御回路100が振動しておらず、運動エネルギーも閾値未満であった場合には、振動センサ10cからも、検出結果としてオフ信号が出力される。この場合、コントロール部50は、警報音とともに報知部60としての液晶ディスプレイに「腕時計を振って下さい」との表示を行い、運動エネルギーによる蓄電を促す。なお、「腕時計を振る」ことを指示する鳴動や発光点滅であってもよい。また、警報音は、他の警報音と明確に区別できるようなリズムや音程にしておくことが望ましく、「腕時計を振って下さい」と音声で伝えるようにしてもよい。
ここで、コントロール部50は、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下になったと判断した場合、報知部60を動作させて、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうち、電気エネルギー変換部20が電気エネルギーに変換することができるいずれかのエネルギーによる蓄電を促す報知を、環境センサ10からの検出結果に基づいて行うものとしたが、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値未満になったと判断した場合に、上述の動作を行うようにしてもよい。
【0020】
また、コントロール部50は、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量(充電電圧(出力電圧Va))が第2の閾値(例えば、Vcut)以下になったと判断した場合、負荷部40に供給する電気エネルギーを遮断する処理を実行する。
例えば、コントロール部50が、二次電池30の出力電圧Vaまたは負荷部40の出力電圧Vbが、第2閾値電圧であるVcut以下になったと判断した場合、コントロール部50はSW2回路50cを切断して、二次電池30からの放電を遮断し、二次電池30から負荷部40に供給する電気エネルギーを遮断する。
【0021】
また、コントロール部50は、周辺環境から得られるエネルギーであって、電気エネルギー変換部20が電気エネルギーに変換することができるエネルギーのうち、最も効率のよく電気エネルギーに変換できるエネルギーを、環境センサ10からの検出結果に基づいて判別し、光発電部20a、熱発電部20bおよび振動発電部20cのうち、当該発電することができるエネルギーに対応する電気エネルギー変換部により変換された電気エネルギーを蓄電するように切り替える処理を実行してもよい。
例えば、光エネルギー、熱エネルギーおよび運動エネルギーのいずれもが、各エネルギーに対応した各閾値未満であった場合、環境センサ10からの検出結果として、光センサ10a、温度センサ10bおよび振動センサ10cの全てからオフ信号が出力される。この場合、コントロール部50は、運動エネルギーが、最も効率のよく電気エネルギーに変換できるエネルギーであると判別して、振動発電部20cと二次電池充電回路23を接続するように、切替スイッチ(切替SW0)50aを切り替えて、振動発電部20cにより変換された電気エネルギーを二次電池充電回路23へ送ることができる状態とする。これと同時に、コントロール部50は、警報音とともに報知部60としての液晶ディスプレイに「腕時計を振って下さい」との表示を行い、運動エネルギーによる蓄電を促す。二次電池充電回路23に送られた出力電圧は昇圧回路にてVoまで昇圧され、SW1回路50bを介して二次電池30へ入力される。このSW1回路50bはコントロール部50にて制御されている。
ここで、コントロール部50は、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第2の閾値以下になったと判断した場合、負荷部40に供給する電気エネルギーを遮断するといった、上述の処理を実行するものとしたが、二次電池30に蓄電されている電気エネルギーの蓄電量が第2の閾値未満になったと判断した場合に、上述の各動作を行うようにしてもよい。
【0022】
また、コントロール部50は、二次電池30の温度変化を監視し、二次電池30の温度が所定値以上になったと判断した場合、二次電池30への電気エネルギーの蓄電を停止する処理を実行する。
例えば、コントロール部50が、二次電池30の温度が所定値の50℃以上になったと判断した場合、コントロール部50はSW1回路50bを切断して、電気エネルギー変換部20からの電気エネルギーの供給を遮断し、二次電池30への電気エネルギーの蓄電を停止させる。
【0023】
ここで、充放電制御回路100における充電処理と放電処理について説明する。
【0024】
まず、充放電制御回路100における充電処理について、図3に示すフローチャートに基づき説明する。
【0025】
充放電制御回路100の動作が開始すると、まず、発電フラグの値を0とする(ステップS101)。ここで、発電フラグとは、周辺環境から得られる複数種のエネルギーのうちいずれかのエネルギーを電気エネルギーに変換することができる場合に1、発電することができない場合に0の各値をとる変数である。
ステップS102において、光センサ10aは、検知した光エネルギーの大きさに応じて、オン信号またはオフ信号のいずれか一方を出力する(ステップS102)。光センサ10aがオン信号を送信した場合(ステップS102;on(Yes))、オン信号を受信したコントロール部50は発電フラグを1にする。続くステップS103において、光発電部20aによって光エネルギーの電気エネルギーへの変換が開始され(ステップS103)、ステップS104へ進む。一方、光センサ10aがオフ信号を送信した場合(ステップS102;off(No))、ステップS104へ進む。
ステップS104において、温度センサ10bは、検知した熱エネルギーの大きさに応じて、オン信号またはオフ信号のいずれか一方を出力する(ステップS104)。温度センサ10bがオン信号を送信した場合(ステップS104;on(Yes))、オン信号を受信したコントロール部50は発電フラグを1にする。続くステップS105において、熱発電部20bによって熱エネルギーの電気エネルギーへの変換が開始され(ステップS105)、ステップS106へ進む。一方、温度センサ10bがオフ信号を送信した場合(ステップS104;off(No))、ステップS106へ進む。
ステップS106において、振動センサ10cは、検知した運動エネルギーの大きさに応じて、オン信号またはオフ信号のいずれか一方を出力する(ステップS106)。振動センサ10cがオン信号を送信した場合(ステップS106;on(Yes))、オン信号を受信したコントロール部50は発電フラグを1にする。続くステップS107において、振動発電部20cによって運動エネルギーの電気エネルギーへの変換が開始され(ステップS107)、ステップS109へ進む。一方、振動センサ10cがオフ信号を送信した場合(ステップS106;off(No))、ステップS108へ進む。
ステップS108において、発電フラグの値が0である場合(ステップS108;0)、ステップS102に戻り、コントロール部50が光センサ10aによる出力信号の判定を行う。一方、発電フラグの値が1である場合(ステップS108;1)、光発電部20a、熱発電部20bおよび振動発電部20cのいずれか1つ以上を利用して、発電を行っている状態であるので、ステップS109へと進む。
ステップS109において、光発電部20a、熱発電部20bおよび振動発電部20cによって、周辺環境から得られるエネルギーのうち1以上のエネルギーが変換されてなる電気エネルギーは二次電池充電回路23に送給され、二次電池充電回路23によって昇圧される(ステップS109)。
【0026】
なお、上記したステップS102からステップS109に関し、図3のフローチャートでは、周辺環境から得られる複数種のエネルギーの全てを、電気エネルギーに変換するようになっている。
このように周辺環境から得られる複数種のエネルギーの全てを、電気エネルギーに変換してもよいが、光発電部20a、熱発電部20bおよび振動発電部20cを動作させる優先順位をつけて、何れか1つのエネルギー別電気エネルギー変換部による電気エネルギー変換を行うようにしてもよい。その場合、例えば、光エネルギーが有効である場合、光発電部20aによる電気エネルギー変換が行われた場合には、熱発電部20bおよび振動発電部20cによる発電を行わないようにしてもよい。
【0027】
次いで、コントロール部50は、二次電池充電回路23によって昇圧された二次電池入力電圧Voが、充電可能電圧Vよりも大きいか否か判断する(ステップS110)。
コントロール部50が、二次電池入力電圧Voは充電可能電圧V以下(Vo≦V)であると判断すると(ステップS110;No)、ステップS102に戻る。
一方、コントロール部50が、二次電池入力電圧Voは充電可能電圧Vよりも大きい(Vo>V)と判断すると(ステップS110;Yes)、ステップS111へ進む。
【0028】
ステップS111において、コントロール部50は、二次電池充電回路23によって昇圧された二次電池入力電圧Voが、二次電池出力電圧(充電電圧)Vaよりも大きいか否か判断する(ステップS111)。
コントロール部50が、二次電池入力電圧Voは二次電池出力電圧(充電電圧)Va以下(Vo≦Va)であると判断すると(ステップS111;No)、ステップS102に戻る。
一方、コントロール部50が、二次電池入力電圧Voは二次電池出力電圧(充電電圧)Vaよりも大きい(Vo>Va)と判断すると(ステップS111;Yes)、ステップS112へ進む。
【0029】
ステップS112において、コントロール部50はSW1回路50bを接続(オン)に切り替え(ステップS112)、二次電池充電回路23にて昇圧された電気エネルギーを蓄電するように二次電池30へ送り、充電を実行する(ステップS113)。
【0030】
次いで、コントロール部50は、充電電流Iα=0であるか否か判断する(ステップS114)。
コントロール部50が、充電電流Iαは0でないと判断すると(ステップS114;No)、ステップS102に戻る。
一方、コントロール部50が、充電電流Iα=0であると判断すると(ステップS114;Yes)、ステップS115へ進む。なお、ステップS114において、コントロール部50が、二次電池30の温度が所定値の50℃以上になったと判断した場合にもステップS115へ進むようにする。
そして、ステップS115において、コントロール部50は、SW1回路50bを切断(オフ)に切り替えて(ステップS115)、電気エネルギーの二次電池30への送給を止めて、充電処理を終了する。
【0031】
次に、充放電制御回路100における放電処理について、図4に示すフローチャートに基づき説明する。
【0032】
充放電制御回路100において、負荷部40の使用に伴い放電が実行されると、コントロール部50はSW2回路50cを接続(オン)に切り替え(ステップS201)、二次電池30から負荷部40に電力(電気エネルギー)を供給する放電を行い、負荷部40を動作させる(ステップS202)。
【0033】
次いで、コントロール部50は、負荷部40に供給される負荷部出力電圧Vbが二次電池出力電圧(充電電圧)Va以下であるか否か判断する(ステップS203)。
コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは二次電池出力電圧(充電電圧)Va以下(Vb≦Va)であると判断すると(ステップS203;Yes)、ステップS202に戻る。
一方、コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは二次電池出力電圧(充電電圧)Vaよりも大きい(Vb>Va)と判断すると(ステップS203;No)、ステップS204へ進む。
【0034】
ステップS204において、コントロール部50は、負荷部出力電圧Vbが第1閾値電圧Vrefより大きいか否か判断する(ステップS204)。
コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは第1閾値電圧Vrefより大きい(Vb>Vref)と判断すると(ステップS204;Yes)、まだ負荷部40は動作可能であると、ステップS202に戻る。
一方、コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは第1閾値電圧Vref以下(Va<Vb≦Vref)であると判断すると(ステップS204;No)、ステップS205へ進む。
【0035】
ステップS205において、コントロール部50は報知部60を作動させて、二次電池30の出力電圧(充電電圧)Vaまたは負荷部40の出力電圧Vbが低下し、第1閾値電圧Vref以下になったことを警告報知する(ステップS205)。
【0036】
次いで、コントロール部50は、警告報知に応じて、二次電池30の出力電圧(充電電圧)Vaを上げるための対処がなされて報知解除になったか否か判断する(ステップS206)。
コントロール部50が、報知解除がなされて二次電池30の出力電圧(充電電圧)Vaを上げるための対処が行われたと判断すると(ステップS206;Yes)、ステップS101(図3参照)へ移行して、二次電池入力電圧Voが二次電池出力電圧(充電電圧)Vaよりも大きくなるように(Vo>Va)、充電処理を開始する。
【0037】
一方、コントロール部50が、二次電池30の出力電圧(充電電圧)Vaを上げるための対処が行われていないと判断すると(ステップS206;No)、コントロール部50は、負荷部出力電圧Vbが第2閾値電圧Vcutより大きいか否か判断する(ステップS207)。
コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは第2閾値電圧Vcutより大きい(Vb>Vcut)と判断すると(ステップS207;Yes)、ステップS206に戻る。
一方、コントロール部50が、負荷部出力電圧Vbは第2閾値電圧Vcut以下(Va<Vb≦Vcut)であると判断すると(ステップS207;No)、ステップS208へ進む。
そして、ステップS208において、コントロール部50は、SW2回路50cを切断(オフ)に切り替えて(ステップS208)、強制的に負荷部40への電力(電気エネルギー)の供給を止めて、放電処理を終了する。
【0038】
以上のように、充放電制御回路100は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電部20aと、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱発電部20bと、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電部20cを備えているので、二次電池30への蓄電量が低下した場合に、周辺環境から得られるエネルギーのうち何れかのエネルギーを利用して電気エネルギーに変換して充電を行うことができる。
つまり、充放電制御回路100は、周辺環境から得られるエネルギーを効率よく利用することができ、周辺環境から得られるエネルギーを変換した電気エネルギーを蓄電し、その蓄電した電気エネルギー(電力)を使うことができる優れた機能を有している。
特に、充放電制御回路100は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電部20cを有しているので、光エネルギーや熱エネルギーを利用できない環境であっても、ユーザーが充放電制御回路100を備えた機器を能動的に振動させることで、振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、ユーザーによる使用・携帯が行われている状況であれば、常に充電可能であるというメリットがある。
【0039】
また、充放電制御回路100において、二次電池30の出力電圧Vaまたは負荷部40の出力電圧Vbが、第1閾値電圧Vref以下になったと判断された場合、光センサ10a、温度センサ10bおよび振動センサ10cのいずれかが検知した周辺環境から得られるエネルギーのうち利用可能なエネルギーによる蓄電を促す報知が行われるので、ユーザーはそのときの周辺環境に応じた最適な充電処理を行うことができる。
また、充放電制御回路100において、二次電池30の出力電圧Vaまたは負荷部40の出力電圧Vbが、第2閾値電圧Vcut以下になったと判断された場合、強制的に二次電池30からの放電を遮断することができるので、二次電池30に掛かる負荷を低減することができる。
【0040】
なお、以上の実施の形態においては、充放電制御回路100における電気エネルギー変換部20に、光発電部20a、熱発電部20b、振動発電部20cを備える構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のエネルギー(例えば、風力)を利用する電気エネルギー変換部や、家庭用電源からの充電を可能にするアダプターなどを備えるようにしてもよい。
また、周辺環境から得られるエネルギーの組み合わせとしては、運動エネルギーと、該運動エネルギー以外の他のエネルギーとを少なくとも利用するものであればよい。例えば、運動エネルギーと、光エネルギーおよび熱エネルギーのうちいずれか一つのエネルギーとを利用するものであってもよい。
【0041】
また、以上の実施の形態においては、充放電制御回路100における負荷部40として腕時計や携帯電話機といった携帯型の電子機器を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の携帯型の電子機器であってもよい。携帯型の電子機器は、電源に関するインフラが整っていない場所にまで持ち歩いて利用される可能性が高く、また、携帯型であるがゆえに、据え置き型に比べると、当該電子機器に振動を付与して、振動発電部20cによって、運動エネルギーを電気エネルギーに変換しやすいと考えられる。このため、携帯型の電子機器においては、上記の実施の形態に示した充放電制御回路が、特に有効に機能すると考えられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、据え置き型の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0042】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0043】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
[請求項1]
周辺環境から得られるエネルギーを電気エネルギーに変換して充電するとともに、当該電気エネルギーを利用するにあたり放電する充放電制御回路において、
前記充放電制御回路は、複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、
前記複数種のエネルギーのそれぞれの大きさが、前記複数種のエネルギーのそれぞれに対応した各閾値以上であるかどうかまたは前記各閾値よりも大きいかどうかを検知するセンサ部と、
前記複数種のエネルギーのそれぞれを電気エネルギーに変換する電気エネルギー変換部と、
前記電気エネルギー変換部により変換された前記電気エネルギーを蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合、前記センサ部の検知結果に基づいて、前記複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行う制御部と、を備えることを特徴とする充放電制御回路。
[請求項2]
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第2の閾値以下になったと判断した場合、前記電気エネルギーを消費する箇所へ前記蓄電部から供給する電気エネルギーを遮断することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御回路。
[請求項3]
前記制御部は、前記蓄電部の温度変化を監視し、前記蓄電部の温度が所定値以上になったと判断した場合、前記蓄電部への前記電気エネルギーの蓄電を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の充放電制御回路。
[請求項4]
前記充放電制御回路は、前記複数種のエネルギーとして、運動エネルギーと、該運動エネルギー以外の他のエネルギーとを、利用するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の充放電制御回路。
[請求項5]
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下になったと判断した場合であって、且つ、前記他のエネルギーの大きさが当該他のエネルギーに対応した閾値未満であることが前記センサ部によって検知された場合に、前記充放電制御回路に対して運動エネルギーによる蓄電を促す報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の充放電制御回路。
[請求項6]
前記他のエネルギーは、光エネルギーおよび熱エネルギーのうち少なくとも一つのエネルギーを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の充放電制御回路。
[請求項7]
前記蓄電部に蓄電された前記電気エネルギーを消費する負荷部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の充放電制御回路。
【符号の説明】
【0044】
10 環境センサ(センサ部)
20 電気エネルギー変換部
20a 光発電部
20b 熱発電部
20c 振動発電部
23 二次電池充電回路
30 二次電池(蓄電部)
40 負荷部
50 コントロール部(制御部)
50a 切替SW0
50b SW1回路
50c SW2回路
60 報知部
100 充放電制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺環境から得られるエネルギーを電気エネルギーに変換して充電するとともに、当該電気エネルギーを利用するにあたり放電する充放電制御回路において、
前記充放電制御回路は、複数種のエネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、
前記複数種のエネルギーのそれぞれの大きさが、前記複数種のエネルギーのそれぞれに対応した各閾値以上であるかどうかまたは前記各閾値よりも大きいかどうかを検知するセンサ部と、
前記複数種のエネルギーのそれぞれを電気エネルギーに変換する電気エネルギー変換部と、
前記電気エネルギー変換部により変換された前記電気エネルギーを蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下または前記第1の閾値未満になったと判断した場合、前記センサ部の検知結果に基づいて、前記複数種のエネルギーのいずれかによる蓄電を促す報知を行う制御部と、を備えることを特徴とする充放電制御回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第2の閾値以下になったと判断した場合、前記電気エネルギーを消費する箇所へ前記蓄電部から供給する電気エネルギーを遮断することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電部の温度変化を監視し、前記蓄電部の温度が所定値以上になったと判断した場合、前記蓄電部への前記電気エネルギーの蓄電を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の充放電制御回路。
【請求項4】
前記充放電制御回路は、前記複数種のエネルギーとして、運動エネルギーと、該運動エネルギー以外の他のエネルギーとを、利用するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の充放電制御回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記蓄電部に蓄電されている前記電気エネルギーの蓄電量が第1の閾値以下になったと判断した場合であって、且つ、前記他のエネルギーの大きさが当該他のエネルギーに対応した閾値未満であることが前記センサ部によって検知された場合に、前記充放電制御回路に対して運動エネルギーによる蓄電を促す報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の充放電制御回路。
【請求項6】
前記他のエネルギーは、光エネルギーおよび熱エネルギーのうち少なくとも一つのエネルギーを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の充放電制御回路。
【請求項7】
前記蓄電部に蓄電された前記電気エネルギーを消費する負荷部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の充放電制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−210076(P2012−210076A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74042(P2011−74042)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】