説明

充電制御回路、電子機器、商品情報処理装置および電子機器の制御方法

【課題】急速充電でも通常の充電でもバッテリに充電行なえるようにした装置を提供する。
【解決手段】二次電池に接続し、一定時間に前記二次電池に充電できる容量を変更可能な充電回路と、前記充電回路による一定時間に前記二次電池に充電できる容量を変更するための情報を受け取る入力部とを有する充電制御回路とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充電制御回路、電子機器、商品情報処理装置および電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器として例えばPOS端末においては、通常は商用電源で駆動し、停電時のバックアップ用としてバッテリを内蔵したものが知られている。また、一般の電子機器において、バッテリを用いて駆動するものが知られている。例えばノートパソコンでは、商用電源で駆動されるとともにバッテリに充電し、電源が確保できない場所や停電が発生したときにバッテリで駆動が可能となっている。商用電源とバッテリのいずれでも駆動が可能な電子機器は、商用電源が正常なときには電子機器を商用電源で駆動するとともに、この電子機器の使用中にバッテリに充電するものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−248175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリは急速充電を行なうとバッテリそのものの温度が上昇し充電の効率が悪くなるとともに、急速充電はバッテリの寿命を損なう恐れがあることが知られている。また、POS端末の動作中に充電を行なう場合は、POS端末1に用いられる電力と充電に用いられる電力とが必要となるので、容量の大きな電源が必要となるため、充電はできるだけ小さい電流値で行ないたい。
【0005】
一方、頻繁に停電が発生するような状況のときには、あるいはいつ停電が発生するかわからないような地域では、できるだけ早くバッテリへの充電が終わることが望ましい。
【0006】
そこで、急速充電でも通常の充電でもバッテリに充電行なえるようにした装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施例では、一定時間に二次電池に充電できる容量を変更可能な充電回路と、前記充電回路による一定時間に前記二次電池に充電できる容量を切り替える切替部とを有する充電制御回路とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】POS端末の電気ブロック図。
【図2】充電についての回路例を示す図。
【図3】POS端末が実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1ないし図3を用いて、この実施の形態を説明する。
【0010】
図1は電子機器としてのPOS(Point of Sales)端末1の電気ブロック図、図2は充電についての回路例を示す図、図3はこのPOS端末1が実行する処理を示すフローチャートである。
【0011】
POS端末1は、機器本体となる制御部1a内にCPU(Central Processing Unit)2に、バスラインを介して、ROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、キーボード5、表示部6、プリンタ7、ハードディスクドライブ装置(図ではHDD:Hard Disk Driveと示す)8、通信部9、充電制御部10が接続されて構成されている。また、充電制御部10には充電回路11を介してリチウムイオン電池からなる充電可能なバッテリ12が接続されている。制御部1aは、商用電源を所定の直流電圧に変換する公知の電源回路13に接続されて駆動するとともに、商用電源が無い場所あるいは停電時にはバッテリ12で駆動する。バッテリ12は、この実施の形態では2500mAhのバッテリパック2つをセットにしたもので、電源回路13から充電回路11を介して充電される。充電回路11には、バッテリ12を急速充電したいときに人が操作することで急速充電が可能となる急速充電キー14が設けられている。電源回路13は、商用電源に接続し、制御部1aを駆動する電圧Vccとバッテリへ充電するための電圧V_batteryを出力する。
【0012】
キーボード5と表示部6とは一体的に形成されたタッチパネルとなっていて、表示部6に表示されたボタンを押すとキー入力される。プリンタ7は、レシートプリンタであり、客が買い求めた商品についてレシートを印字して出力する。ハードディスクドライブ装置8は、汎用OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェアなどが保存されている。通信部9は、LAN回線などを通じてサーバに接続され、客が購入しようとする商品の金額や値段等の商品情報をPOS端末1からサーバに問い合わせ、その情報をサーバから受信する。制御部1a、充電回路11、バッテリ12、電源回路13は、POS端末1の筐体内に一体に設けられている。
【0013】
充電回路11は、電源回路13からの電力供給でバッテリに充電するための回路である。図2に示すように、充電制御部10の制御によって、充電回路11からバッテリに供給される充電電流が切り替えられる。詳細な説明は省略するが、充電回路11は、2つ以上の抵抗などの回路素子の組み合わせを変更することによって、急速充電と普通充電を切り分ける。
【0014】
次にこのPOS端末1が行なう処理を説明する。まず、このPOS端末1で休止モードが設定されたか否かが判断される(Act1)。休止モードが設定されれば、充電制御回路10の制御によって充電回路11で急速充電ができるよう急速充電モードとして、休止状態に入る。Act1で休止モードでなければ、急速充電キー14がオンされているか否かを判断する。急速充電キー14がオンされていなければ、急速充電モードを解除する(Act4)。また、急速充電キー14がオンされていたら急速充電モードを設定する(Act5)。
【0015】
次に、キーボード5等から商品情報に関する入力が行なわれると(Act6)、商品決済処理を行なう(Act7)。ここで商品決済とは、客が購入する商品の売り上げをサーバなどに記録するとともに、客に対する金銭授受に関してPOS端末1に記録することで、登録処理と呼ばれることもある。商品決済処理が終了して、金銭の授受が確定したことを示すキーが押されるとレシート印字であると判断され(Act8)、商品情報や買い上げ金額が印字されたレシートがプリンタ7で印字される(Act9)。
【0016】
このようなPOS端末1において商用電源が正常な場合は、この商用電源から電源回路13が電力供給を受けて動作する。また、この商用電源からの電力で充電回路11はでバッテリ12に充電する。このバッテリ12への充電時は、急速充電と通常充電とが行なえるようになっている。ここで、急速充電とは、例えば1時間でバッテリ12を半分の容量あるいは満充電できる0.5Cから1.0C程度で充電するものであり、通常充電は例えば1時間でバッテリの1/10程度の容量に充電できる0.1C以下で充電する場合を指すが、用いられるバッテリや充電回路、POS端末1の特性に応じて適宜変更可能である。
【0017】
商用電源が使えない場所あるいは停電時には、このPOS端末1はバッテリ12から電力供給を受けて動作する。プリンタ7でレシート用紙に印字しながら使用する場合には、この実施の形態の5000mAhのリチウムイオンバッテリ12で約1時間半から2時間程の時間使用可能である。
【0018】
POS端末1は、タッチパネルとなっている表示部6のキーボード5のキー入力によって多くの動作が行なわれる。まず、タッチパネルの入力により休止モードにされれば、制御部1aによる各種の処理が停止し、ハードディスクドライブ装置8の回転も停止する。このため、制御部1aでほとんど電力消費がなくなり、電源に余裕が生じるので、充電に用いる電流を多くすることができる。休止モードでなければ、充電回路11の人が操作可能な急速充電キー14がオンされているかを検出し、オンされていれば急速充電モードにする。また、この急速充電キー14がオンされていなければ急速充電モードを解除して、商品情報の入力や金銭授受などの商品決済処理を行い、決済が終わったならばレシートにプリンタ7で印字する。休止モードとは、表示部6が消え、キーボード5の入力が行なえない状態であるので、この休止モードから復帰するためには電源ボタンを押す。
【0019】
この実施の形態で用いられる5000mAhのバッテリ12を例えば0.5Cで充電するときは、論理的には2.5アンペアの充電電流となる。POS端末1が処理を行なっているときにも大きな電力消費があるため、充電に必要な電力と合せるとかなり容量の大きい電源が必要となる。一方、この実施の形態のように、POS端末1が通常の動作を行なうときにはバッテリ12に例えば0.1C程度の通常充電を行い、POS端末1が休止のときすなわちPOS端末1が使われることが無いことが明確なときに急速充電を行なうようにしたので、POS端末1の動作とバッテリ12の急速充電を行なうためには電源容量が比較的小さな電源を用いることができる。また、バッテリ12の通常充電と急速充電を使い分けられるので、例えば商用電源が比較的安定していてバッテリ12を急速充電する必要がないようなときには急速充電を行なわないようにしたので、バッテリ12の寿命を長くすることができる。
【0020】
充電制御部10は、充電回路11に急速充電を行なうか否かの設定ができる。充電回路11は、内部に急速充電を行なう場合と通常充電を行なう場合とを切り替える電気的なスイッチを有して、このスイッチを切り替えることでバッテリ12の通電電流量を調整可能である。前述したマニュアル操作可能な急速充電キー14でも、このスイッチが切り替えられる。例えば1日に数回の停電があることが事前にわかっているようなときには、1回目の停電時に消費したバッテリ12の電力容量を、次の停電が始まる前に蓄積するときには、急速充電キー14を用いて急速充電することもできる。
【0021】
この実施の形態では、電子機器としてPOS端末を例にして説明したが、例えばいわゆるノートパソコンのように、商用電源とバッテリとの両方で駆動できるものに適用可能である。また、電子機器のような制御部を持たずに、バッテリに充電するための充電装置であっても実施可能である。すなわち、バッテリに充電するための回路として、急速充電と普通充電が行なえるようにして、急速充電と普通充電とを切り替えるための情報を受け付ける入力部がある充電装置とすれば良い。充電装置として形成する場合には、電子機器の例えばUSB(Universal Serial Bus)ポートと接続して電子機器に制御されるようにされてもよい。
【0022】
また、POS端末1が例えば5分とか10分程度の時間操作されないときには、POS端末1をスリープモードとして表示器を暗くするとともに、ハードディスク装置8の駆動をとめて、制御部1aでの電力消費を減らし、バッテリ12を急速充電するようにしてもよい。
【0023】
この実施の形態では、休止モードとしたときに急速充電を行なうようにしたが、休止モードにするときが例えば夜間などで10時間程度使わないことがわかっているのであれば、休止モードにしたときに急速充電キー14がオンとなっていても急速充電せずに普通充電するようにしてもよい。
【0024】
この実施の形態では、例えば休止モードになったときという簡易な制御で、かつ、急速充電スイッチ15の切替という簡易な回路でバッテリ12に急速充電するかを設定できる。
【0025】
このように、上記の実施の形態例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1・・POS端末
1a・・制御部
10・・充電制御部
11・・充電回路
12・・バッテリ(二次電池)
13・・電源回路
14・・急速充電キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に接続し、一定時間に前記二次電池に充電できる容量を変更可能な充電回路と、
前記充電回路による一定時間に前記二次電池に充電できる容量を変更するための情報を受け取る入力部と
を有する充電制御回路。
【請求項2】
商用電源で駆動可能であるとともに二次電池で駆動可能な機器本体と、
商用電源によって前記二次電池に対して一定時間に充電できる容量を変更可能な充電回路と、
前記充電回路による一定時間に前記二次電池に充電する容量を変更する制御部と
を有する電子機器。
【請求項3】
商用電源で駆動可能であるとともに二次電池で駆動可能な端末本体と、
商用電源によって前記二次電池に対して所定時間に充電できる容量を変更可能な充電回路と、
前記端末本体が操作されないときに、前記充電回路による一定時間に前記二次電池に充電する容量を変更する制御部とを有する商品情報処理装置。
【請求項4】
前記機器本体が操作されない状態とは、前記機器本体がこの機器本体の操作によって休止状態となったときである
請求項3記載の商品情報処理装置。
【請求項5】
前記機器本体が操作されない状態とは、前記機器本体が所定時間操作されないことを検出したときである請求項3記載の商品情報処理装置。
【請求項6】
二次電池に対して普通充電および急速充電で充電可能な充電回路を設け、
前記充電回路による普通充電または急速充電を切り替える充電制御部を設け、
制御部によって前記充電制御部を制御して普通充電または急速充電のいずれかで前記二次電池に充電するようにした
電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−55773(P2013−55773A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191784(P2011−191784)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】