説明

充電器及び制御方法

【課題】 通信により状態情報を送信することが可能なバッテリーパックを充電する充電装置において、バッテリーパックの異常を検出し、充電を停止する。
【解決手段】 バッテリーパック100は、二次電池であるバッテリーセル101を内臓し、通信部106から充電器200へ電池状態情報を送信する。充電器200の計算部305は、通信部304より得られた電池状態情報とマイコン301で得られた充電状態情報を比較し異常と判断された場合、電流制御素子204を制御し充電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を有するバッテリーパックとバッテリーパックを充電可能な充電器からなる充電システムおよび二次電池を有するバッテリーパックを充電可能な充電器に関するものである
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池を充電する方法としては、充電器側で充電電圧、充電電流、バッテリーパック内のサーミスタによる分圧電圧を測定し、充電を制御する方法がある。また、バッテリーパックと通信を行える充電システムにおいては、充電器は電池パックと通信を行い充電制御をするものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−201109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、バッテリーパックの情報が正しいものとして充電制御を行っていた為、バッテリーパックの不具合により間違った情報が送られてきた場合、送られてきた情報が正しいかどうかを判断することが出来なかった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたものであり、バッテリーパックから送られてきた情報が正しいかどうかを判断して、バッテリーパックから送られてきた情報が正しくない場合には充電を停止し、安全性を保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の充電器は、二次電池と、前記二次電池を充電しているときのバッテリーパックの状態を表す電池状態情報を出力する電池状態情報出力手段を有するバッテリーパックを充電可能な充電器において、前記電池状態情報出力手段から出力される前記電池状態情報を受信する受信手段と、前記二次電池を充電しているときの前記充電器の状態を表す充電状態情報を出力する充電状態情報出力手段と、前記電池状態情報と前記充電状態情報とを比較することによって、前記バッテリーパックが異常な状態にあるかどうかを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリーパックにて得られた電池情報と、充電装置で検出した充電状態情報を比較することによりバッテリーパックの不具合を検出し、充電を停止することにより安全性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態である充電装置200およびバッテリーパック100のブロック図である。
【図2】充電器200が装着されたバッテリーパック100を充電する際の動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1の実施形態である充電器200の測定値確認動作を説明するフローチャートである。
【図4】第2の実施形態である充電器200の測定値確認動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下にこの発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である充電装置の構成例を示す図である。充電器200は装着されたバッテリーパック100を充電することができる。
【0010】
バッテリーパック100はバッテリーセル101と、電池マイコン102(電池状態情報出力手段)と、温度検出部103と、電流検出部104と、電圧検出部105と、通信部106と、計算部107を備えている。バッテリーセル101はリチウムイオンセルや、ニッケル水素セルなどの二次電池である。電池マイコン102はバッテリーパック100内に配置され、電流検出部104と、電圧検出部105と、通信部106と、演算制御部107を備えている。
【0011】
温度検出部103はサーミスタなどの温度検出素子で構成されており、基準電圧を分圧された電圧値を測定することにより温度検出素子の抵抗値が分かり、温度検出素子の抵抗値からバッテリーパック100の温度を算出することができる。温度検出部103は電池マイコン102から供給される基準電圧によって温度検出素子の抵抗値を求める第1の測定方法と、充電制御IC203から供給される基準電圧によって温度検出素子の抵抗値を求める第2の測定方法とが可能となっている。第1の測定方法では電池マイコン102がバッテリーパック100の温度を算出することができ、第2の測定方法では充電器マイコン301がバッテリーパック100の温度を算出することができる。
【0012】
電流検出部104は電流検出抵抗の電圧からバッテリーセル101に流れる充放電電流を検出する。電圧検出部105はバッテリーセル101の電圧を検出する。演算制御部107は電流検出部104、電圧検出部105、通信部106を制御するとともに、電池マイコン102から供給される基準電圧によって温度検出素子の抵抗値を求めることでバッテリーパック100の温度を算出することができる。
【0013】
演算制御部107は電流検出部104によって検出される充電電流値、電圧検出部105によって検出される充電電圧値、算出したバッテリーパック100の温度やバッテリーセル101の充電容量などを電池状態情報として通信部106に出力する。演算制御部107は電流検出部104によって検出されるバッテリーセル101への充放電電流を積算することで、バッテリーセル101の充電容量を算出することができる。通信部106は演算制御部107から出力される電池状態情報を充電器200に送信する。
【0014】
充電器200はAC入力部201と、AC/DCコンバータ202と、充電制御IC203と、電流制御素子204と、電流検出素子205と、表示部206と、充電器マイコン301(充電状態情報出力手段)を備えている。充電器マイコン301は充電器内に配置され、電流検出部302と、電圧検出部303と、通信部304と、演算制御部305を備えている。AC入力部201は商用交流電源に接続され充電器200への電力を供給する。AC/DCコンバータ202は商用交流電源を整流し、充電に使いやすい直流電圧に変換する。
【0015】
充電制御IC203はバッテリーパック100への充電電流制御をする。電流制御素子204は充電電流を制限するトランジスタ、逆流を防止するダイオードなどの充電電流を制限する素子である。電流検出素子205は充電電流を検出するための抵抗器などがある。表示部206はLEDやLCDなどの表示素子で、充電器200の充電状態を使用者に知らせる。電流検出部302は電流検出素子205の値から充電電流値を検出する。電圧検出部303はバッテリーパック100の端子に供給される充電電圧値を検出するとともに、充電電圧が供給されていない場合には、装着されたバッテリーパック100の端子電圧を検出することができる。
【0016】
演算制御部305は装着されたバッテリーパック100の充電制御を行う。演算制御部305は電流検出部302、電圧検出部303、通信部304を制御するとともに、充電制御IC203から供給される基準電圧によって温度検出素子の抵抗値を求めることでバッテリーパック100の温度を算出することができる。演算制御部305は電流検出部302によって検出されるバッテリーパック100への充電電流を積算することで、バッテリーセル101の充電容量を算出することができる。
【0017】
ここで、電流検出部302によって検出される充電電流値、電圧検出部303によって検出される充電電圧値、算出したバッテリーパック100の温度やバッテリーセル101の充電容量などを充電状態情報とする。演算制御部305はこれらの充電状態情報と、電池マイコン102から送信された電池状態情報とを比較する。そして、その差分が予め設定した値を越える場合には装着されたバッテリーパック100が異常な状態にあると判断して、充電制御ICへ充電停止信号を送る。通信部304はバッテリーパック100内の通信部106と通信して、電池状態情報の受信をする。
【0018】
図2は、充電器200が装着されたバッテリーパック100を充電する際の動作を説明するフローチャートである。
【0019】
ステップS001にてバッテリーパック100が装着されたかどうかを判定し、バッテリーパック100の装着されたことを判定するとステップS002に進む。ステップS002は充電器マイコン301がバッテリーパック100の充電を開始する。ステップS003では、電圧検出部303がバッテリーパック100の端子電圧を検出し、バッテリーパック100の端子電圧が充電器マイコン301と電池マイコン102との通信が可能な電圧値であるかどうかを判定する。通信可能な電圧値であると判定される場合には、ステップS004に進む。
【0020】
ステップS004では充電器マイコン301と電池マイコン102との通信を開始する。具体的には電池マイコン102が演算制御部107から出力される電池状態情報を通信部106を介して送信され、充電器マイコン301が通信部304を介してこれを受信している。ステップS005では、装着されたバッテリーパック100への充電が完了したかどうかを判定する。充電完了は予め設定した充電完了条件を満たしているかどうかで判定し、この充電完了条件を満たしていれば、ステップS006に進み、充電器マイコン301が充電制御IC203を制御して、充電を停止する。また、充電完了条件を満たしていなければ、充電を継続する。
【0021】
図3は、図2に示した充電動作のステップS004〜ステップS005の間に30秒間隔(所定時間間隔)で繰り返し実行される測定値確認動作を説明するフローチャートである。測定値確認動作とは、充電器マイコン301の演算制御部305が充電状態情報と、電池マイコン102から送信された電池状態情報とを比較して、バッテリーパック100が異常な状態にあるかどうかを判断する動作である。
【0022】
ステップS101では、電池状態情報および充電状態情報に含まれる項目のうち、どの項目について比較をするかを決定する。比較項目が電圧値に決定された場合には、電圧検出部303によって検出される充電電圧値と、電圧検出部105によって検出される充電電圧値とを比較する。
【0023】
比較項目が電流値に決定された場合には、電流検出部302によって検出される充電電流値と、電流検出部104によって検出される充電電流値とを比較する。比較項目が温度に決定された場合には、温度検出部103が充電器マイコン301に制御されることで検出されるバッテリーパック100の温度と、温度検出部103が電池マイコン102に制御されることで検出されるバッテリーパック100の温度とを比較する。比較項目が充電容量に決定された場合には、充電器マイコン301が算出したバッテリーセル101の充電容量と、電池マイコン102が算出したバッテリーセル101の充電容量とを比較する。比較する情報は充電状態情報に含まれる充電電流値と、電池状態情報に含まれる充電電流値のように同じ種類の情報を比較する。
【0024】
ステップS102では、電池状態情報と充電状態情報を比較した時に異常かどうかを判断する判定値αを設定する。ステップS103では、充電器マイコン301が少なくもステップS101にて決定された充電状態情報の項目を検出もしくは算出する。ステップS104では、充電器マイコン301が電池マイコン102と通信することによって、バッテリーパック100の電池状態情報のうち少なくともステップS101で決定した項目を受信する。ステップS105では、ステップS103で検出した充電状態情報の項目とステップS104で受信したバッテリーパックの電池状態情報の項目とを比較して、その差分を計算する。
【0025】
ステップS106では、ステップS105で計算した差分が、ステップS102で設定した判定値α以内であるかどうかを判断する。判定値α以内であればステップS107へ進む。ステップS107ではバッテリーパック100が正常な状態であると判断してステップS108へ進む。ステップS108ではバッテリーパック100への充電動作を継続する。一方、ステップS106の判定の結果、判定値α以内にない場合はステップS109へ進む。ステップS109では、バッテリーパック100が異常な状態であると判断してステップS110へ進む。ステップS110では充電器マイコン301が充電制御IC203を制御して、バッテリーパック100への充電動作を停止制御する。
【0026】
図4は本発明の第2の実施形態である充電装置の測定値確認動作を説明するフローチャートである。なお、第2の実施形態の充電装置の構成および充電動作は図1および図2に示した第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0027】
図4において、ステップS101からステップS110は、図3について説明した第1の実施形態の測定値確認動作と同様である。これらは図3と同一符号をつけることでその説明を省略する。
【0028】
ステップS201では、ステップS103で検出もしくは算出した充電状態情報の項目に対して補正を行う。ステップS202では、ステップS104で受信した電池状態情報の項目に対して補正を行う。ステップS201およびステップS202で行われる補正は、比較項目を電圧値とした場合に、測定点間の電圧降下を補正することである。
【0029】
すなわち、電圧検出部303によって検出される充電電圧値と、電圧検出部105によって検出される充電電圧値ではそれぞれの測定点の間に電圧降下を発生させる要因がある。具体的には、電流制御素子204および電流検出素子205による電圧降下、充電器200の端子とバッテリーパック100の端子との接触抵抗やラインインピーダンスによる電圧降下などを充電器マイコン301および電池マイコン102が補正する。
【符号の説明】
【0030】
100 バッテリーパック
101 バッテリーセル
102 マイコン
103 温度検出部
104 電流検出部
105 電圧検出部
106 通信部
107 演算制御部
200 充電器
201 AC入力部
202 AC/DCコンバータ
203 充電制御IC
204 電流制御素子
205 電流検出素子
206 表示部
301 マイコン
302 電流検出部
303 電圧検出部
304 通信部
305 演算制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、前記二次電池を充電しているときのバッテリーパックの状態を表す電池状態情報を出力する電池状態情報出力手段を有するバッテリーパックを充電可能な充電器において、
前記電池状態情報出力手段から出力される前記電池状態情報を受信する受信手段と、
前記二次電池を充電しているときの前記充電器の状態を表す充電状態情報を出力する充電状態情報出力手段と、
前記電池状態情報と前記充電状態情報とを比較することによって、前記バッテリーパックが異常な状態にあるかどうかを判定する判定手段とを有することを特徴とする充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55881(P2013−55881A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−240313(P2012−240313)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2007−336845(P2007−336845)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】