説明

充電器

【課題】 携帯端末を載置する際に、電気的な接触が安定していると共に、端子の摩耗寿命を延ばすことができる充電器を提供する。
【解決手段】 充電器側の充電端子5は、支承端子15により弾性的に支持されて窓部17から内方に突出している。充電器に携帯型バーコードリーダが載置されると、回転接触端子16が携帯型バーコードリーダの受電端子4に押圧される。このとき、回転接触端子16が回転して受電端子4に対する接触位置が変化するので、充電端子5による受電端子4に対する接触状態を良好とすることができる。また、回転接触端子16が支承端子15を構成するバネ部15bの弾性力により受電端子4に圧接するので、十分なたわみ量を有したバネ部15bにより回転接触端子16を受電端子4に確実に接触させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体外面に受電端子を有した携帯端末が載置された状態で上記受電端子に接触することにより充電する充電端子を備えた充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機が充電器に載置された状態では、充電器の充電端子が携帯電話機の受電端子に導通することにより、携帯電話機に内蔵された電池パックに充電するようにしている。この充電端子は、携帯電話機が充電器に載置された状態で携帯電話機の受電端子に押されて没入することにより、受電端子に付勢された点接触状態で通電するようになっている。
【0003】
このような充電端子を用いた充電では、充電端子の先端が酸化して接触不良を生じることがあることから、充電端子として円形状の接触端子により通電するものが提案されている。このような構成として、特許文献1のものでは、円型接触子を弾性状の接触部により導電対象面に対してほぼ垂直方向に圧接することにより通電するようにしている。
【特許文献1】特開2001−244034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、円型接触子を弾性状の接触部により圧接させているため、接触による導電面とバネ圧による圧接面とが同じ面となり、摩耗による劣化が早い。また、十分なたわみ量をもったバネ特性が得られないために接触対象面の位置が変化した場合に追従しきれない(接触しない)と共に、端子相互の角度が傾いた場合に良好な接触状態が得られない等の問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、携帯端末を載置する際に、電気的な接触が安定していると共に、端子の摩耗寿命を延ばすことができる充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、充電器に携帯端末を載置すると、回転接触端子が受電端子に接触する。このとき、回転接触端子は、支承端子により受電端子に圧接しているので、その圧接状態で回転する。これにより、接触による導電面とバネによる圧力面とが同じ面である構成に比較して、回転接触端子による受電端子に対する接触部位が変化し、摩耗による早期劣化、接触不良などを防止できる。
【0007】
請求項2の発明によれば、回転接触端子は、所定の直径を有する転がり接点部で受電端子に接触すると共に、複数の受部がバネ部で支持されることにより受電端子に対してほぼ垂直方向に圧接するので、回転接触端子が受電端子に対して傾いた場合であっても、両者の接触状態を良好に維持することができる。
請求項3の発明によれば、回転接触端子の転がり接点部は、受電端子に対して広い部位で接触するので、両者の接触状態を良好とすることができる。
【0008】
請求項4の発明によれば、回転接触端子の転がり接点部は、中央部となる程径大に形成されているので、回転接触端子が受電端子に対して傾いた場合であっても、両者の接触状態が変わらず、両者の接触状態を良好に維持することができる。
請求項5の発明によれば、回転接触端子は球形状であり、いずれの方向にも回転可能に支承端子の受部で支持されているので、受電端子がいずれの方向に傾いた場合であっても、両者の接触状態が変わらず、両者の接触状態を良好に維持することができる。
【0009】
請求項6の発明によれば、複数のバネ部は独立して受電端子にほぼ垂直方向に圧接するので、受電端子に対する回転接触端子の圧接方向が傾くにしても、両者の接触状態を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施例)
以下、本発明を携帯型バーコードリーダに適用した第1実施例について図1ないし図5を参照して説明する。
図2は携帯型バーコードリーダの正面図である。この図2において、充電器1には携帯型バーコードリーダ(携帯端末に相当)2が載置されており、携帯型バーコードリーダ2が載置された状態で商用交流電源3(図1参照)から携帯型バーコードリーダ2に充電するようになっている。つまり、充電器1及び携帯型バーコードリーダ2には受電端子4、充電端子5(図1参照)がそれぞれ設けられおり、充電器1に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態では、それらの受電端子4及び充電端子5同士が導通接触することにより充電が行われるようになっている。
【0011】
また、充電器1及び携帯型バーコードリーダ2には光通信機能が設けられており、充電器1に携帯型バーコードリーダ2が載置された状態で当該携帯型バーコードリーダ2に記憶された読取情報が光通信により充電器1側に送信可能となっている。
図1は充電器1及び携帯型バーコードリーダ2の構成を概略的に示す機能ブロック図である。この図1において、充電器1は、電源回路6、充電回路7、充電検出回路8、通信制御回路9から構成されている。一方、携帯型バーコードリーダ2は、制御部10、警音部11、通信回路12、電源用の二次電池13から構成されている。
【0012】
充電器1において、充電回路7は、電源回路6からの給電状態で充電端子5、受電端子4を通じて充電器1に載置された携帯型バーコードリーダ2の二次電池13に充電する。
充電検出回路8は、充電回路7による充電状態を監視しており、その充電状態を通信制御回路9を通じて携帯型バーコードリーダ2の通信回路12に送信する。
通信制御回路9はパソコン14と接続されており、携帯型バーコードリーダ2が読取ったコード情報をパソコン14に送信するようになっている。
【0013】
携帯型バーコードリーダ2において、二次電池13は図示しない電源スイッチがオンに切換えられた状態で携帯型バーコードリーダ2の内部回路に給電すると共に、電源スイッチのオンオフ状態にかかわらず充電器1の充電回路7により充電されるようになっている。
制御部10は、通信回路12を通じて充電器1から通知された充電状態に基いて充電開始したかを判断し、充電開始しなかったときは充電不良であると判断して警音部11を駆動するようになっている。
【0014】
次に、充電器1の充電端子5の構造について説明する。
図3は充電端子5の分解斜視図である。この図3において、充電端子5は、支承端子15の先端に回転接触端子16を回転可能に支持するように構成されている。支承端子15は、弾性を有する例えば真鍮板を金型形成してなり、支柱部15aの先端に所定距離離間した二股状のバネ部15bを連結し、そのバネ部15bの先端に所定径の湾曲形状を形成する共に、その反対側に同一の湾曲形状の部材を接合して所定径の環状の受部15cを形成して構成されている。この支承端子15は、充電回路7と接続されており、充電回路7からの充電電流を受けるようになっている。
【0015】
回転接触端子16は、所定の直径を有する円筒状の転がり接点部16aと、この転がり接点部16aの中心軸に設けられた当該転がり接点部16aよりも直径が小さな回転支承部16bとから構成されている。この転がり接点部16aの表面は、接触状態が安定する金メッキが施されている。また、回転支承部16bは、摩擦抵抗が比較的小さい砲金などの銅合金から形成されている。
【0016】
上記構成の回転接触端子16の回転支承部16bは支承端子15の先端に形成された受部15cに挿入されており、その挿入状態で、図4に示すように回転接触端子16の転がり接点部16aが支承端子15の二股状のバネ部15b間に位置している。また、回転接触端子16が支承端子15に支持された形態では、図5(a)に示すように回転接触端子16が充電器1に形成された窓部17から内方に突出している。
【0017】
さて、使用者が携帯型バーコードリーダ2による読取操作を終了して、充電器1を充電器1に載置すると、携帯型バーコードリーダ2の回転接触端子16が充電器1の受電端子4に接触するので、充電器1に設けられた充電回路7から携帯型バーコードリーダ2の二次電池13に充電開始される。
このように携帯型バーコードリーダ2を充電器1に載置した場合、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4が充電器1の窓部17を通過するので、充電器1の窓部17から内方に突出していた充電端子5の回転接触端子16が携帯型バーコードリーダ2の受電端子4により押されて図5(b)に示す位置に移動する。
【0018】
このとき、回転接触端子16が受電端子4に押圧した状態で受電端子4が移動するので、受電端子4の移動に伴って回転接触端子16が回転し、受電端子4の接触位置が変化するようになる。
また、図5(b)に示すように回転接触端子16が移動した状態では、回転接触端子16が支承端子15を構成するバネ部15bの弾性力により受電端子4に圧接するので、十分なたわみ量を有したバネ部15bにより回転接触端子16を受電端子4に確実に接触させることができる。尚、本発明で言う圧接とは、圧力を付勢した状態で部材同士が接するという意味であり、接合を意味するものではない。
【0019】
このような実施例によれば、充電端子5を構成する回転接触端子16として、径大な転がり接点部16aを径小な回転支承部16bを介して支承端子15で支持することにより、携帯型バーコードリーダ2を充電器1に載置する際に回転接触端子16が携帯型バーコードリーダ2の受電端子4に圧接状態で回転するようにしたので、接触による導電面とバネ圧による圧力面とが同じ面である従来例のものと違って、回転接触端子16による受電端子4に対する接触部位が変化し、摩耗による早期劣化を防止することができる。
【0020】
また、回転接触端子16を、バネ部15bを有した支承端子15で支承することにより十分なたわみ量を有したもったバネ特性を得られるようにしたので、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4の傾きが変化した場合であっても、その変化に追従することができ、携帯型バーコードリーダ2を安定して充電することができる。
【0021】
(第2実施例)
次に本発明の第2実施例について図6及び図7を参照して説明する。この第2実施例は、第1実施例で示した充電端子の回転接触端子の形状を工夫したものである。
充電端子を示す図6において、充電端子21を構成する回転接触端子22は、中心となる程径大となる膨出形状に形成されており、支承端子23を構成するバネ部23aの先端に設けられた受部23bで回転可能に支持されている。
このような構成の受電端子21を有した充電器1に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4に対して回転接触端子22の最も径大な中央部が接触するので、図6に示すように回転接触端子22を受電端子4に確実に接触させることができる。
【0022】
また、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4が傾いた場合は、図7に示すように回転接触端子22の中央部から外れた部位が受電端子4に対してほぼ垂直方向に圧接するので、受電端子4に傾きが発生した場合であっても、回転接触端子22による受電端子4に対する良好な接触状態を維持することができる。
【0023】
(第3実施例)
次に本発明の第3実施例について図8及び図9を参照して説明する。この第3実施例は、回転接触端子を球形状としたことに特徴を有する。
充電端子を示す図8において、充電端子31を構成する回転接触端子32は球形状をなしており、その球形状の中心に対して対称となる2箇所で支承端子33を構成するバネ部33aの先端に設けられた受部33bにより回転可能に支持されている。即ち、図9に示すように支承端子33の先端に形成された受部33bの内面は凹面をなしており、その凹面により回転接触端子32の対向する2箇所の凸面を摺動自在に支持している。
【0024】
このような構成の充電端子31を有した充電器1に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、回転接触端子32が携帯型バーコードリーダ2の受電端子4に接触して回転するので、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4への接触部位を変化させることができる。
また、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4が傾いた場合であっても、第2実施例と同様に、受電端子4に対して回転接触端子32をほぼ垂直に接触することができ、安定した接触を得ることができる。
【0025】
さらに、回転接触端子32が球形状であることから、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4のどのような傾きに対しても追従することができると共に、回転接触端子32の球面全体を接触面として使用することができ、回転接触端子32の早期摩耗を一層防止することができる。
【0026】
(第4実施例)
次に本発明の第4実施例について図10に基づいて説明する。この第4実施例は、回転接触端子の両端を独立して支持したことを特徴とする。
受電端子の支承端子を示す図10において、充電端子41を構成する支承端子42は、2個の独立したバネ部42aの先端に受部42bを有してなり、その受部42bに回転接触端子16の両側を独立に回転可能に支持するようになっている。
このような構成の接触端子を有した充電器1に携帯型バーコードリーダ2を載置すると、回転接触端子16が携帯型バーコードリーダ2の受電端子4によって押され、回転接触端子16を支持している支承端子42が撓むようになる。この場合、支承端子42は、回転接触端子16の両側を独立に支持しているので、携帯型バーコードリーダ2の受電端子4との相互の角度変動に確実に対応することができる。
【0027】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
複数の回転接触端子16を支承端子15で支持するように構成してもよい。
回転接触端子16が回転する際に、横方向にスライドすることにより受電端子4に対する接触位置を変化させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例を示す携帯型バーコードリーダの電気的構成を示す図
【図2】充電器に載置された携帯型バーコードリーダを示す正面図
【図3】充電端子の斜視図
【図4】充電端子の側面図
【図5】(a)充電端子の側面図、(b)受電端子への接触状態を示す充電端子の側面図
【図6】本発明の第2実施例における充電端子を示す平面図
【図7】受電端子が傾いた状態で示す図6相当図
【図8】本発明の第3実施例における充電端子を示す斜視図
【図9】充電端子の正面図
【図10】本発明の第4実施例における充電端子の支承端子を示す斜視図
【符号の説明】
【0029】
図面中、1は充電器、2は携帯型バーコードリーダ(携帯端末)、4は受電端子、5は充電端子、15は支承端子、15bはバネ部、15cは受部、16は回転接触端子、16aは転がり接点部、16bは回転支承部、21は受電端子、22は回転接触端子、23は支承端子、23aはバネ部、23bは受部、31は受電端子、32は回転接触端子、33は支承端子、33aはバネ部、33bは受部、41は充電端子、42は支承端子、42aはバネ部、42bは受部である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体外面に受電端子を有した携帯端末が載置された状態で上記受電端子に接触することにより充電する充電端子を備えた充電器であって、
前記充電端子は、
前記受電端子への接触状態で当該受電端子に電気的に導通する回転接触端子と、
この回転接触端子を電気的に導通した状態で回転可能に支承し、前記回転接触端子が前記受電端子に接触した状態で当該回転接触端子を前記受電端子に弾性的に圧接させる導電性の支承端子とから構成され、
前記回転接触端子は、前記携帯端末が載置される際に前記受電端子に対して圧接状態で回転することを特徴とする充電器。
【請求項2】
前記回転接触端子は、前記受電端子に接触する所定の直径を有する転がり接点部と、この転がり接点部よりも直径の小さな回転支承部とを備え、
前記支承端子は、前記回転支承部を回転可能に支承する複数の受部と、これらの受部を前記受電端子に対してほぼ垂直方向に圧接可能に支持するバネ部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の充電器。
【請求項3】
前記回転接触端子の前記転がり接点部はほぼ円筒形状であり、
前記支承端子の受部は、前記回転接触端子を円筒形状の中心軸を中心として回転可能に支持することを特徴とする請求項2記載の充電器。
【請求項4】
前記回転接触端子の前記転がり接点部は、中央部となる程径大に形成されていることを特徴とする請求項3記載の充電器。
【請求項5】
前記回転接触端子は、球形状に形成され、
前記支承端子の受部は、前記回転接触端子を球形状の中心に対して対称となる少なくとも2箇所を回転可能に支持することを特徴とする請求項1記載の充電器。
【請求項6】
前記支承端子は、前記複数の受部に1対1で対応した複数のバネ部を有し、
それらの複数のバネ部は、それぞれが独立に前記受部を前記携帯端末の受電端子に対してほぼ垂直方向に圧接することを特徴とする請求項2ないし5の何れかに記載の充電器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−49123(P2006−49123A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229321(P2004−229321)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】