説明

充電方式、電子機器、及び充電方法

【課題】 二次電池の電圧値が規定値未満となると充電する充電回路に対して実際の二次電池の電圧以上の電圧値を充電回路に通知することにより、従来の充電回路を利用して安価な時間帯の商用電源を利用して経済的に二次電池を充電すること。
【解決手段】 二次電池12と、二次電池電圧値が規定電圧値未満となると二次電池12に充電を行う充電回路13と、二次電池12の電圧を計測して計測した電圧を数値化し計測電圧値として出力する計測回路14と、現時刻を出力するRTC15を有し、現時刻が設定時間帯内であれば計測電圧値を二次電池電圧値として充電回路13に出力し、現時刻が設定時間帯外で固定値モードであれば計測電圧値以上の固定電圧値を二次電池電圧値として充電回路13に出力し、現時刻が設定時間帯外で固定値モードでなければ計測電圧値に加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として充電回路13に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電方式、電子機器、及び充電方法に関し、特に、充電を時間帯と関連付けて制御するようにした充電方式、電子機器、及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型のコンピュータや携帯情報機器や携帯電話のような電子機器は、移動先でも使用可能なように二次電池を内蔵しているものが多くある。二次電池は事務所や自宅等において商用電源に接続している間に充電され、事務者や自宅から利用者が外出した際に電子機器を動作させるための電源となる。
【0003】
電子機器を事務所や自宅で使用する場合、利用者は電子機器を商用電源に接続した状態で使用することが多く、充電は必要に応じて随時実行される。特開2003−167652号公報には、商用電源の料金が高い設定時間帯(13時〜16時)で二次電池の残存容量が規定値(10%)以上の時は商用電源の供給を切断して二次電池を電源として情報処理装置に供給することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−167652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2003−167652号公報の発明は、設定時間帯以外の時商用電源を接続状態とすることにより二次電池への充電を実行しているので、夜間の安価な電力料金を利用して充電することができる。しかしながら、特開2003−167652号公報の発明では設定時間帯に二次電池の電源を利用して情報処理装置に電源を供給するため、設定時間帯に利用者が情報処理装置を高負荷で使用した場合設定時間の終了間際には二次電池の残存容量がわずかしか残らないか又はなくなってしまうという問題がある。
【0006】
すなわち、情報処理装置が可搬型の装置で設定時間帯又は直後に外出して使用する場合には二次電池の残存容量は充電不足でないことが望ましい。ところが、特開2003−167652号公報の発明では設定時間帯の後には残存容量が少なくなってしまうため、情報処理装置を商用電源のない状況で使用する目的で使おうとすると不都合が生じる。
【0007】
また、二次電池は一般に放電と充電の繰り返しにより性能が劣化する特性を持つ。特開2003−167652号公報の発明では、毎日設定時間帯に情報処理装置が使われると毎日充放電が繰り返され二次電池の劣化が加速されてしまう。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題を解決する充電方式、電子機器、及び充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の充電方式は、二次電池と、二次電池電圧値が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を数値化し計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の充電方式は、本発明の第1の充電方式において、前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の充電方式は、本発明の第1の充電方式において、前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の充電方式は、二次電池と、二次電池電圧値が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の充電方式は、本発明の第3又は第4の充電方式において、前記加算用電圧値は予め複数記憶しておき、利用者の操作に従って選択できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の電子機器は、二次電池を含む電子機器であって、
前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の電子機器は、本発明の第1の電子機器において、前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の電子機器は、本発明の第1の電子機器において、前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の電子機器は、二次電池を含む電子機器であって、
前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックとを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、
現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、
現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【0018】
本発明の第5の電子機器は、本発明の第3又は第4の電子機器において、前記加算用電圧値は予め複数記憶しておき、利用者の操作に従って選択できるようにしたことを特徴とする。
【0019】
本発明の第6の電子機器は、本発明の第4の電子機器において、入力される直流又は前記二次電池の直流を受電して動作する情報処理部を有し、
前記制御モードと前記加算用電圧値とを前記情報処理部から書き換えることを特徴とする。
【0020】
本発明の第1の充電方法は、二次電池と、前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有する電子機器における二次電池の充電方法であって、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の充電方法は、本発明の第1の充電方法において、前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値とすることを特徴とする。
【0022】
本発明の第3の充電方法は、本発明の第1の充電方法において、前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値とすることを特徴とする。
【0023】
本発明の第4の充電方法は、二次電池と、前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックとを有する電子機器における二次電池の充電方法であって、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明は、二次電池の電圧値が規定値未満となると自動的に充電する機能を備えた充電回路に対して実際の二次電池の電圧以上の電圧値を充電回路に通知するようにしたので、従来の充電回路を利用して設定時間帯外の安価な商用電源を利用して経済的に二次電池を充電することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の構成を示したブロック図である。図1を参照すると、充電機能を搭載する電子機器10は、商用電源21からアダプタ23付のケーブル22により交流電源を受電する。
【0026】
ケーブル22は、一端を商用電源21と接続し、他端をコネクタ24で電子機器10と接続し、一端と他端との間にアダプタ23を備えている。アダプタ23は商用電源21(交流)を二次電池12の電圧と同じ電圧の直流に変換し、直流をコネクタ24へ出力する。コネクタ24は電子機器10のコネクタ20と着脱可能になっているので、利用者は電子機器10からケーブル22を外して持ち運ぶことができる。
【0027】
電子機器10は、パーソナルコンピュータや携帯情報機器や情報処理機能を有する携帯電話のような電子機器であり、商用電源21と切り離されたり商用電源21が停止した場合でも二次電池12に切り換えて動作可能という特性を持つ。利用者はこの特性により、場所を選ばず、どこへでも持ち歩いて電子機器10を使用することができる。
【0028】
電子機器10は、商用電源21又は二次電池12から電源の供給を受けて動作する情報処理部11と、充電可能で直流を出力する二次電池12と、商用電源21の供給を受けて二次電池12を充電する充電回路13と、二次電池12の電圧を計測する計測回路14と、現時刻を出力するリアルタイムクロックのRTC15と、記憶部16と制御部17とスイッチ18とスイッチ19を含む。
【0029】
情情報処理部11は図示しないがプロセッサと記憶手段を有しプログラムを実行する。情報処理部11はアダプタ23又は二次電池12から直流を受電し、図示しないが内蔵する電源回路で必要とする1種類以上の定電圧の直流に変換して内部に電力を分配し、分配された電力を使用して動作する。例えばプロセッサの動作に必要な電圧や、半導体メモリで構成される記憶手段を動作させるために必要な電圧や、磁気記憶装置を動作させるために必要な電圧等がそれぞれ電源回路から分配される。
【0030】
二次電池12は、充電することにより繰り返し使用できる電池であり、例えば、鉛蓄電池やニッカド蓄電池やリチウムイオン蓄電池などで構成される。各蓄電池の起電力は蓄電池の種類で決まるが、直列に接続し組み合わせることにより情報処理部11で必要とする電圧を供給する。また、二次電池12は、放電することにより残存容量が減少し、それとともに出力電圧も減少する特性を持つものとする。すなわち、二次電池12は出力電圧を測定することにより残存容量を推定できるものとする。
【0031】
以降、アダプタ23と二次電池12が出力する直流の電圧値は12ボルトとして説明するが、この電圧値は限定されるものではなく、情報処理部11の電源回路の特性に応じて決定すればよい。つまり、情報処理部11の電源回路は12ボルトの直流を受電して内部で必要な各種の定電圧の直流を生成して分配する。なお、情報処理部11の電源回路は受電電圧が12ボルト未満となっても規定値以上の電圧であれば必要な定電圧を生成できるようになっており、二次電池12の出力が低下しても対応できるようになっている。
【0032】
充電回路13は、制御部17から出力される二次電池電圧値(制御用電圧値ともいう)が予め決められた充電開始電圧値未満になると充電を実行し、充電開始電圧値以上になると停止するように動作する。また、充電回路13は必要に応じて過充電を防止するための回路を含み、二次電池12の劣化等で二次電池電圧値が充電開始電圧値未満であっても過充電の危険性があれば充電を停止する。
【0033】
充電開始電圧値は二次電池12の特性に応じて決定されるもので、従来から知られており、本発明では特に限定しないが、以降の説明では仮に11.5ボルトとする。なお、充電開始電圧値は確保すべき二次電池12の残存容量すなわち電子機器10を商用電源21無しで使用できる時間を決めることになる。例えば残存容量を90%確保するためには、残存容量が90%の時の二次電池12の電圧値を充電開始電圧値として設定すればよい。
【0034】
計測回路14は、二次電池12の電圧を計測し、計測した電圧を数値化して計測電圧値として制御部17へ出力する。RTC15は現時刻を生成して出力するリアルタイムクロックである。RTC15は情報処理部11と共用できるように構成してもよい。
【0035】
制御部17は、図示しないがプロセッサを内蔵し記憶部16に格納されたプログラムを実行することにより、後述の動作の説明で記載する動作を実行する。制御部17は計測回路14、RTC15、記憶部16、及び充電回路13と接続し、情報の読み出しや情報の出力を行う。
【0036】
記憶部16は不揮発性の記憶手段であり、制御部17で実行されるプログラムに加えて開始時刻と終了時刻により設定時間帯を指定する時間帯情報と、制御部17が制御用電圧を生成する際に参照する固定電圧値を保持する。さらに後述の第2の実施の形態において参照される情報として、記憶部16は固定値モードか加算モードかを択一で指定する制御モード情報と、加算モードの際に計測電圧値に加算される加算用電圧値を保持する。
【0037】
図2は記憶部16に保持される情報の一例を示した図である。図2を参照すると、記憶部16は、開始時刻の“7:00”と終了時刻の“23:00”で指定される時間帯情報と、固定電圧値として“12ボルト”を、加算用電圧値として“1ボルト”を、制御モード情報として“固定値モード”を保持している。
【0038】
固定電圧値は充電開始電圧値以上の値(ここでは12ボルト)に設定され、設定時間帯において二次電池電圧値として充電回路13に出力され充電を停止するように働く。加算用電圧値は、後述する第2の実施の形態で使用され、設定時間帯において計測電圧値に加算される電圧値であり、加算された電圧値が二次電池電圧値として充電回路13へ出力される。
【0039】
スイッチ18は、二次電池12と情報処理部11とスイッチ19に接続し、商用電源21が供給されているとき切断されるように制御され、商用電源21が停止したとき接続するように制御される。スイッチ19は、アダプタ23と情報処理部11とスイッチ18に接続し、スイッチ18とは逆に商用電源21が供給されているとき接続されるように制御され、商用電源21が停止したとき切断されるように制御される。
【0040】
図示しないが、電子機器10はアダプタ23の出力電圧を計測する回路を持ち、アダプタ23の出力電圧を監視し、出力電圧値が所定の電圧値未満になると商用電源21から切り離されたか或いは停電と判断し、スイッチ18を接続しスイッチ19を切断して情報処理部11に二次電池12の電力を供給する。電子機器10は、出力電圧値が所定の電圧値以上であれば商用電源21が正常に供給されていると判断し、スイッチ18を切断状態としスイッチ19を接続状態として、商用電源21の電力を情報処理部11に供給し、二次電池12の残存容量を保持する。
【0041】
次に本発明の第1の実施の形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明の第1の実施の形態の動作を示したフローチャートである。二次電池12の電圧と現時刻は時間とともに変化するので、図3に示した動作を制御部17は一定間隔(例えば1分間隔や10分間隔)で実行し、状況の変化に対応するよう動作する。
【0042】
なお、以降の説明では図2の設定値を例として説明する。すなわち、時間帯情報は図2に示すように昼間の電力消費が集中し電力料金が高い時間帯(7:00〜23:00)とし、固定電圧値は12ボルトとする。
【0043】
図3を参照すると、制御部17はRTC15から現時刻を読み出し、記憶部16に保持される時間帯情報と比較し(S61)、現時刻が設定時間帯内か否かを判定する(S62)。具体的には制御部17は現時刻と開始時刻及び終了時刻とをそれぞれ比較し(S61)、現時刻が開始時刻より大きく、現時刻が終了時刻より小さければ設定時間帯内にあると判定し、そうでなければ設定時間帯外と判定する(S62)。図2では時間帯情報は1つの場合を示しているが、時間帯情報を2つ以上設定してもよい。
【0044】
現時刻が設定時間帯内になければ(S62/No)、制御部17は計測回路14が出力する計測電圧値を二次電池電圧値として充電回路13へ出力する(S63)。充電回路13は二次電池電圧値を受け取ると予め設定された充電開始電圧値と比較し、二次電池電圧値が充電開始電圧値未満であれば充電を実行し、二次電池電圧値が充電開始電圧値以上であれば充電を停止する。
【0045】
従って、充電回路13は設定時間帯以外では二次電池12の電圧が低下して11.5ボルト未満となっていれば11.5ボルトとなるまで充電が実行される。従って、利用者は、電子機器10を持ち運んで二次電池12による電源で使用しても、充電不足により期待したよりも短時間で使用できなくなってしまうということが回避できる。
【0046】
一方現時刻が設定時間帯内にあれば(S62/Yes)、制御部17は計測電圧値に関係なく記憶部16に保持される固定電圧値の12ボルトを二次電池電圧値として充電回路13に出力する(S64)。充電回路13は固定電圧値を二次電池電圧値として受け取ると充電開始電圧値以上であるので充電は実行しない。
【0047】
本発明の第1の実施の形態は、電力料金が高い時間帯(設定時間帯内)には二次電池12の充電を実行せず、電力料金が低い時間帯(設定時間帯外)に二次電池12の充電を実行するので、安価に二次電池12の充電ができる。さらに、第1の実施の形態は、設定時間帯でも商用電源21を停止しないので、設定時間帯内でも商用電源21が有効であれば二次電池12は放電されず、残存容量も確保しておくことができる。また、パーソナルコンピュータのように設定時間帯でも商用電源21に接続して使用する状況が多ければ、放電回数が減少し、放電による二次電池12の劣化を回避することができる。
【0048】
また、本発明の第1の実施の形態は、充電回路13に入力する電圧値を制御部17で置き換えることにより、充電を抑止するように構成しているので、従来の充電回路と二次電池と計測回路の構成をそのまま充電回路13と二次電池12と計測回路14として利用して本発明を適用することができる。すなわち、従来の電子機器に対して制御部17とRTC15と記憶部16を追加するだけで本発明を適用できるので、本発明を適用した電子機器の開発が容易になる。
【0049】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態の構成は第1の実施の形態の構成である図1と同じなので説明は省略する。ただし、第2の実施の形態では、時間帯情報と固定電圧値に加えて、加算用電圧値と、制御モード情報を記憶部16に保持して使用する。時間帯情報と固定電圧値と加算用電圧値は図2の値を例にして説明する。
【0050】
第2の実施の形態は二次電池電圧値の生成方法として2種類設けており、記憶部16に保持する制御モード情報により切り分けて制御する。1つは固定値モードといい、制御部17は設定時間帯において固定電圧値を二次電池電圧値とする。もう1つは加算モードといい、制御部17は設定時間帯において計測電圧値に加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧とする。
【0051】
図4は第2の実施の形態の動作を示したフローチャートである。図4では第1の実施の形態のフローチャートである図3と同じ動作をするステップには同じ符号を付けている。図4を参照すると、まず、制御部17は第1の実施の形態と同様に、RTC15から現時刻を読み出し、記憶部16に保持される時間帯情報と比較し(S61)、現時刻が設定時間帯内か否かを判定する(S62)。
【0052】
現時刻が設定時間帯内になければ(S62/No)、制御部17は計測回路14が出力する計測電圧値を二次電池電圧値として充電回路13へ出力する(S63)。第1の実施の形態と同様に、充電回路13は二次電池電圧値を受け取ると予め設定された充電開始電圧値と比較し、二次電池電圧値が充電開始電圧値未満であれば充電を実行し、二次電池電圧値が充電開始電圧値以上であれば充電を停止する。
【0053】
現時刻が設定時間帯内にあれば(S62/Yes)、制御部17は記憶部16から制御モード情報を読み出し固定値モードか加算モードかを判定する(S75)。固定値モードあれば(S75/Yes)、制御部17は計測電圧値に関係なく記憶部16に保持される固定電圧値(=12ボルト)を二次電池電圧値として充電回路13に出力する(S64)。充電回路13は第1の実施の形態と同様に、固定電圧値(=12ボルト)を二次電池電圧値として受け取ると充電開始電圧値以上であるので充電は実行しない。
【0054】
固定値モードでなければすなわち加算モードであれば(S75/No)、制御部17は記憶部16から加算用電圧値の“1ボルト”を読み出して、計測回路14が出力した計測電圧値に加算し、加算した結果の電圧値を二次電池電圧値として充電回路13に出力する(S76)。
【0055】
充電回路13は二次電池電圧値を受け取ると予め設定された充電開始電圧値と比較し、二次電池電圧値が充電開始電圧値未満であれば充電を実行し、二次電池電圧値が充電開始電圧値以上であれば充電を停止する。すなわち、計測電圧値が充電開始電圧値の“11.5ボルト”から加算電圧値の“1ボルト”を減じた“10.5ボルト”以上であれば充電回路13は充電を実行しないが、計測電圧値が“10.5ボルト”未満であれば充電回路13は充電を実行する。
【0056】
第1の実施の形態において、設定時間帯又はその前に、停電が発生したり、利用者が商用電源21を外して電子機器10を使用したりすることで二次電池12を消費しても、設定時間帯では二次電池12は充電されない。しかし、設定時間帯かその後に外出して商用電源21のない環境で電子機器10を使用する予定がある場合、電子機器10は設定時間帯でも充電を行い必要な二次電池12の残存容量を確保する必要がある。
【0057】
第2の実施の形態では、外出時に必要とする二次電池12の残存容量に対応する電圧値と充電開始電圧値との差分の電圧値を加算用電圧値として設定し、制御モードを加算モードに設定しておくことにより設定時間帯での充電を可能とする。従って、利用者はこのような設定をすることにより設定時間帯中又は設定時間帯後にも所定の残存容量が確保されるので、設定時間帯中又は設定時間帯後に外出しても電子機器10を所定時間以上は使用することができる。
【0058】
次に、制御モードと加算用電圧値の設定手順について説明する。情報処理部11は図示しないが、プロセッサと記憶手段を有しており、記憶手段に保持されるプログラムをプロセッサで実行する。また、情報処理部11は図示しないが、制御モードと加算用電圧値を設定操作するためのスイッチか、又はキーボードのような入力手段及び表示手段を有する。
【0059】
情報処理部11が入力手段と表示手段を有する場合、所定の操作がされると情報処理部11は制御モード操作のためのモード設定画面を表示手段に表示し、利用者の操作に従って制御モードの変更と加算用電圧値の情報を取得し、設定要求を制御部17へ送る。制御部17は設定要求に従って記憶部16の加算用電圧値を書き換え、制御モードを加算モードと書き換える。
【0060】
図を参照して具体的な動作を説明する。図5はモード設定画面の一例を示した図である。図5を参照すると、設定時間帯を決めるための入力と、制御モードを決めるための入力と、加算モード時の残存容量を決めるための入力ができるようにモード設定画面が構成されている。図5で、“時間帯では充電しない”は固定値モードに相当し、“時間帯でも充電する”は加算値モードに相当する。
【0061】
図5は設定時間帯として安価な夜間電力料金となる時間帯を除いた“7:00〜23:00”を入力する場合を示しており、“時間帯でも充電する”すなわち加算モードが選択され、残存容量として“50%”が選択されている様子を示している。この状態で実行ボタンを操作すると、情報処理部11はモード設定画面で選択された情報を読み込んで制御部17へ設定要求を送る。なお、各残存容量(90%/70%/50%)に対応した加算用電圧値は予め情報処理部11の記憶手段に格納されており、情報処理部11は選択された残存容量“50%”を対応する加算用電圧値(例えば1ボルトとする)に置き換えて制御部17へ送る。
【0062】
制御部17は、上記の設定要求を受けると、記憶部16の時間帯情報の開始時刻と終了時刻を“7:00”と“23:00”に書き換え、記憶部16の制御モード情報を“加算モード”に書き換え、記憶部16の加算用電圧値を“1ボルト”に書き換える。
【0063】
モード設定画面で“時間帯では充電しない”を選択して実行ボタンを操作すると、情報処理部11は制御部17へ設定要求を送る。制御部17はこの設定要求を受けると記憶部16の制御モード情報を“固定値モード”に書き換える。
【0064】
本発明の第1の実施の形態において、情報処理部11が入力手段と表示手段を有する場合、上記と同様に動作して設定時間帯の設定変更もできる。ただし、本発明の第1の実施の形態においては、図5の制御モードの設定と加算用電圧値の選択入力機能は動作できないので、表示しないように制御される。
【0065】
一方、情報処理部11が固定値モードと加算モードとを切り換えるスイッチのみを有する場合について説明する。利用者がスイッチで加算モードへ切り換える操作をすると、情報処理部11は操作内容を検出して加算モードへの切り換えと加算用電圧値の設定要求を制御部17へ送る。加算用電圧値は予め情報処理部11の記憶手段に格納しておき、情報処理部11は格納されている加算用電圧値を設定要求に付して制御部17に送る。制御部17は設定要求に従って記憶部16の加算用電圧値を書き換え、制御モード情報を加算モードに書き換える。
【0066】
逆に利用者がスイッチで固定値モードへ切り換える操作をすると、情報処理部11は操作内容を検出して固定値モードへ切り換える設定要求を制御部17へ送る。制御部17は設定要求に従って記憶部16の制御モードを固定値モードに書き換える。
【0067】
このように第2の実施の形態では第1の実施の形態の効果に加えて、設定時間帯でも加算モードにすることにより二次電池12を充電するように構成したので、利用者は電子機器10の使い方に応じて制御モードを切り換えて希望する残存容量を確保することができる。すなわち、設定時間帯又はその後に外出して商用電源21のない環境で電子機器10を使用する場合でも充電不足にならず電子機器10を利用することができる。
【0068】
以上の説明では、制御部17は加算モードのときには計測電圧値に加算用電圧値を加算して加算した電圧値を充電回路13へ出力するように構成しているが、加算以外の関数演算によって充電回路へ出力する電圧値を計測電圧値より大きな値にするように構成することもできる。
【0069】
例えば、残存容量が50%と指定されたとき、上述のように計測電圧値が10.5ボルト未満のとき充電されればよいので、11.5を10.5で割った商(=1.095・・)を加算用電圧値の代わりに登録し、加算モードのときには計測電圧値に上記の商を乗算した値を2次電池電圧値として出力するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1及び第2の実施の形態の記憶部16に保持される情報を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の動作を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態の動作を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態のモード設定画面を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
10 電子機器
11 情報処理部
12 二次電池
13 充電回路
14 計測回路
15 RTC
16 記憶部
17 制御部
18、19 スイッチ
20、24 コネクタ
21 商用電源
22 ケーブル
23 アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、二次電池電圧値が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を数値化し計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする充電方式。
【請求項2】
前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値とすることを特徴とする請求項1の充電方式。
【請求項3】
前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値とすることを特徴とする請求項1の充電方式。
【請求項4】
二次電池と、二次電池電圧値が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする充電方式。
【請求項5】
前記加算用電圧値は予め複数記憶しておき、利用者の操作に従って選択できるようにしたことを特徴とする請求項3又は4の充電方式。
【請求項6】
二次電池を含む電子機器であって、
前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値であることを特徴とする請求項6の電子機器。
【請求項8】
前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値であることを特徴とする請求項6の電子機器。
【請求項9】
二次電池を含む電子機器であって、
前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックとを有し、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、
現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、
現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記加算用電圧値は予め複数記憶しておき、利用者の操作に従って選択できるようにしたことを特徴とする請求項8又は9の電子機器。
【請求項11】
入力される直流又は前記二次電池の直流を受電して動作する情報処理部を有し、
前記制御モードと前記加算用電圧値とを前記情報処理部から書き換えることを特徴とする請求項9の電子機器。
【請求項12】
二次電池と、前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックを有する電子機器における充電方法であって、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であれば前記計測電圧値以上の制御用電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする充電方法。
【請求項13】
前記制御用電圧値は、前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値とすることを特徴とする請求項12の充電方法。
【請求項14】
前記制御用電圧値は、前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値とすることを特徴とする請求項12の充電方法。
【請求項15】
二次電池と、前記二次電池の電圧が規定電圧値未満となると二次電池に充電を行う充電回路と、前記二次電池の電圧を計測して計測した電圧を計測電圧値として出力する計測回路と、現時刻を出力するリアルタイムクロックとを有する電子機器における充電方法であって、
前記リアルタイムクロックから現時刻を読み出して、現時刻が予め設定された時間帯外であれば前記計測電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内で且つ制御モードが固定値モードであれば前記規定電圧値以上の値に予め設定された電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力し、現時刻が前記時間帯内であり且つ制御モードが固定値モードでなければ前記計測電圧値に予め設定した加算用電圧値を加算した電圧値を二次電池電圧値として前記充電回路に出力することを特徴とする充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−236856(P2008−236856A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70482(P2007−70482)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】