説明

充電装置、システム、および充電装置を制御するための方法

【課題】電力貯蔵装置を有する電気車両とともに用いるための充電装置が、電流を配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することを選択的に可能にする。
【解決手段】充電装置104は、電流を配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置106に供給することを選択的に可能にする電流制御装置、および電流制御装置に結合されたプロセッサを含んでいる。プロセッサは、配電装置から受け取ることおよび充電装置から供給することの少なくとも一方に利用可能な第1の電流量を決定することと、電流制御装置を制御して、第2の電流量を配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方を可能にすることを、第2の電流量が、利用可能であると決定された第1の電流量を超えない場合に行なうことと、を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は一般的に、充電装置に関し、より詳細には、充電装置、システム、および充電装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両および/またはハイブリッド電気車両が人気を博しており、そのためこれに付随して、このような車両への電気エネルギーの供給を管理する必要が生じ、増している。加えて、このような車両の利用が増加することによって、安全で効率的な充電装置またはステーションを設ける必要が生じている。
【0003】
少なくとも一部の既知の充電ステーションには、電気車両に取り外し可能に結合され得る電源ケーブルまたは他の導体が備わっている。充電ステーションは、電力を電気事業配電ネットワークまたは別の電力源から受け取り、電力を電気車両に電源ケーブルを通して供給する。
【0004】
少なくとも一部の電気事業配電ネットワークでは、複数の充電装置が電力を共通の配電コンポーネント(たとえば変圧器)から受け取る。しかし、各充電装置が同時に動作して充電電流を電気車両に供給すると、配電コンポーネントに供給される電流が、コンポーネントの定格電流制限を超える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第20090139781号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況では、配電コンポーネントが損傷を受ける場合があり、および/または回路遮断器または別の保護装置が作動して、配電コンポーネントに結合されたすべての充電装置への電力を無効にする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態においては、電力貯蔵装置を有する電気車両とともに用いるための充電装置であって、電流を配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することを選択的に可能にするように構成された電流制御装置を含む充電装置が提供される。充電装置はまた、電流制御装置に結合されたプロセッサを含んでいる。プロセッサは、配電装置から受け取ることおよび充電装置に供給することの少なくとも一方に利用可能な第1の電流量を決定することと、電流制御装置を制御して、第2の電流量を配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方を可能にすることを、第2の電流量が、利用可能であると決定された第1の電流量を超えない場合に行なうことと、を実行するように構成されている。
【0008】
別の実施形態においては、複数の電気車両への電流の供給用のシステムであって、電流を配電装置から受け取りおよび受け取った電流の少なくとも一部を第1の電力貯蔵装置へ供給するように構成された第1の充電装置と、配電装置から電流を受け取りおよび受け取った電流の少なくとも一部を第2の電力貯蔵装置へ供給するように構成された第2の充電装置と、を含むシステムが提供される。第1の充電装置は、電流を配電装置から受け取ることおよび第1の電力貯蔵装置へ供給することを選択的に可能にするように構成された電流制御装置を含んでいる。第1の充電装置はまた、電流制御装置に結合されたプロセッサを含んでいる。プロセッサは、配電装置から受け取ることおよび第1の電力貯蔵装置へ供給することの少なくとも一方に利用可能な第1の電流量を決定することと、電流制御装置を制御して、第2の電流量を配電装置から受け取ることおよび第1の電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方を可能にすることを、第2の電流量が、利用可能であると決定された第1の電流量を超えない場合に行なうことと、を実行するように構成されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、電気車両とともに用いるための充電装置を制御するための方法であって、充電装置が受け取るべきおよび電気車両の電力貯蔵装置に供給すべきの少なくとも一方の所望の電流量を決定することを含む方法が提供される。充電装置が配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方に利用可能な電流量を決定するとともに、充電装置の電流制御装置を制御して、所望の電流量を受け取ることおよび供給することの少なくとも一方を可能にすることを、所望の電流量が、利用可能であると決定された電流量を超えない場合に行なう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電気車両を充電するための典型的なシステムのブロック図である。
【図2】図1に示すシステムとともに用いても良い典型的な充電装置のブロック図である。
【図3】図1に示すシステムとともに用いても良い複数の電気車両を充電するための典型的な充電システムのブロック図である。
【図4】図2に示す充電装置とともに用いても良い充電装置を制御するための典型的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態においては、用語「電気車両」は一般的に、1または複数の電動モータを含む車両を指す。電気車両が用いるエネルギーは、種々の供給源(たとえば、限定することなく、車載の充電池および/または車載の燃料電池)に由来しても良い。一実施形態においては、電気車両はハイブリッド電気車両である。ハイブリッド電気車両は、たとえばブレーキングによって発生したエネルギーを取り込んで貯蔵する。加えて、ハイブリッド電気車両は、アイドリング時には電源(たとえば、電池)に貯蔵されたエネルギーを用いて動作を続け、燃料を節約する。ハイブリッド電気車両の中には、電源受け口(たとえば、電源コンセント)にプラグ接続することによって電池を再充電することができるものがある。したがって、用語「電気車両」は、本明細書で用いる場合、ハイブリッド電気車両または任意の他の車両であって、電気エネルギーをたとえば電力網を介して供給し得るものを指しても良い。
【0012】
図1に、電気車両102への充電または電力供給用の典型的なシステム100を例示する。典型的な実施形態においては、システム100は、電気車両102に結合された充電装置104を含んでいる。典型的な実施形態においては、電気車両102は、少なくとも1つの電力貯蔵装置106(たとえば、電池および/または任意の他の貯蔵装置)を含み、これはモータ108に結合されている。典型的な実施形態においては、電気車両102は、電力貯蔵装置106に結合された車両コントローラ110を含んでいる。
【0013】
典型的な実施形態においては、充電装置104は、電力貯蔵装置106および車両コントローラ110に、少なくとも1つの電力線管112によって取り外し可能に結合されている。あるいは、充電装置104を電力貯蔵装置106および/もしくは車両コントローラ110に任意の他の導管によって結合しても良く、ならびに/または充電装置104を車両コントローラ110に、無線データ・リンク(図示せず)によって、および/もしくは誘導結合によって結合して、電力線管112を用いないようにしても良い。典型的な実施形態においては、電力線管112は、電気車両102内の電力貯蔵装置106および/または任意の他の構成部品に電力を供給するための少なくとも1つの導体(図示せず)と、電気車両102内の車両コントローラ110および/または任意の他の構成部品にデータを送信しそこからデータを受信するための少なくとも1つの導体(図示せず)と、を含んでいる。あるいは、電力線管112には、電力および/もしくはデータを送信および/もしくは受信する単一の導体、またはシステム100が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の数の導体が含まれていても良い。典型的な実施形態においては、充電装置104は電力源114に結合されている。電力源114はたとえば、電気事業会社の電力網、発電機、電池、および/または任意の他の装置またはシステムであって、電力を充電装置104に供給するものである。
【0014】
典型的な実施形態においては、充電装置104は、少なくとも1つのサーバ116にネットワークを通して結合されている。ネットワークはたとえば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、および/または任意の他のネットワークまたはデータ接続部であって、充電装置104が本明細書で説明したように機能することを可能にするものである。サーバ116は、典型的な実施形態においては、充電装置104との通信を、たとえば信号を充電装置104に送信することによって行なって、支払いおよび/もしくは電力貯蔵装置106への電力供給を許可し、顧客情報にアクセスし、ならびに/またはシステム100が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の機能を行なう。
【0015】
典型的な実施形態においては、サーバ116および車両コントローラ110はそれぞれ、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのメモリ装置を含んでいても良い。プロセッサはそれぞれ、任意の好適なプログラマブル回路を含んでいる。プログラマブル回路としては、1または複数のシステムおよびマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、および任意の他の回路であって、本明細書で説明する機能の実行を可能にするものを挙げても良い。前述の例は単に典型であり、したがって、用語「プロセッサ」の定義および/または意味を限定することは決して意図されていない。メモリ装置はそれぞれ、コンピュータ読取可能媒体を含んでいる。コンピュータ読取可能媒体は、たとえば、限定することなく、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、ディスケット、フラッシュ・ドライブ、コンパクト・ディスク、デジタル・ビデオ・ディスク、および/または任意の好適なメモリ装置であって、プロセッサが命令および/またはデータを記憶し、取り込み、および/または実行することを可能にするものである。
【0016】
動作中に、典型的な実施形態においては、ユーザは、電力貯蔵装置106を充電装置104に、電力線管112を用いて結合する。ユーザは、充電装置104のユーザ・インターフェース(図1に示さず)にアクセスして、情報たとえば支払い情報を入力しても良く、および/または電力貯蔵装置106への電源供給を開始しても良い。充電装置104は、サーバ116と通信して、たとえば、ユーザを認証し、支払情報を処理し、および/または電源供給を承認または許可するように構成されている。充電装置104が、サーバ116から、電力貯蔵装置106への電力供給に対する承認または許可を示す信号を受け取ると、充電装置104は電力を電力源114から受け取り、電力を電力貯蔵装置106に電力線管112を通して供給する。充電装置104は、車両コントローラ110との無線通信を、電力線管112を通して、および/または任意の他の導管を通して行なって、電力貯蔵装置106への電力の供給を制御および/またはモニタする。たとえば、車両コントローラ110から充電装置104に送信される信号は、電力貯蔵装置106の充電レベルならびに/または充電装置104が供給すべき所望の電力量および/もしくはレートを示すものであっても良い。充電装置104から車両コントローラ110に送信される信号は、電力貯蔵装置106に供給されている電力量および/またはレートを示すものであっても良い。それに加えてまたはその代わりに、充電装置104および/または車両コントローラ110は、システム100が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の信号またはメッセージを送信および/または受信しても良い。電力貯蔵装置106が所望のレベルまで充電されたら、充電装置104は電力貯蔵装置106への電力供給を中止し、ユーザは電力線管112を電力貯蔵装置106から外す。
【0017】
図2は、システム100(図1に示す)とともに用いても良い典型的な充電装置104のブロック図である。典型的な実施形態においては、充電装置104はコントローラ200を含み、コントローラ200はプロセッサ202およびメモリ装置204を含んでいる。本明細書においてより十分に説明するように、コントローラ200は、ネットワーク・インターフェース206と、ディスプレイ208と、ユーザ・インターフェース210と、メーター212と、電流制御装置214とに結合されている。
【0018】
プロセッサ202は、任意の好適なプログラマブル回路を含んでいる。プログラマブル回路としては、1または複数のシステムおよびマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、および任意の他の回路であって、本明細書で説明した機能の実行を可能にするものを挙げても良い。前述の例は単に典型であり、したがって、用語「プロセッサ」の定義および/または意味を限定することは決して意図されていない。メモリ装置204には、コンピュータ読取可能媒体が含まれている。コンピュータ読取可能媒体はたとえば、限定することなく、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、ディスケット、フラッシュ・ドライブ、コンパクト・ディスク、デジタル・ビデオ・ディスク、および/または任意の好適な装置であって、プロセッサ202が命令および/またはデータを記憶し、取り込み、および/または実行することを可能にするものである。
【0019】
ネットワーク・インターフェース206は、典型的な実施形態においては、コントローラ200と遠隔装置またはシステムとの間でデータを送受信する。典型的な実施形態においては、ネットワーク・インターフェース206は、少なくとも1つの他の充電装置104に通信可能に結合されていて、充電装置104が互いとの間でデータを送受信するようになっている。典型的な実施形態においては、ネットワーク・インターフェース206は、少なくとも1つの他の充電装置104のネットワーク・インターフェース206に、任意の好適なデータ線管を用いて結合されている。データ線管はたとえば、イーサネット(商標)・ケーブル、推奨規格(RS)485準拠のケーブル、および/または任意の他のデータ線管であって、充電装置104が本明細書で説明したように機能することを可能にするものである。あるいは、ネットワーク・インターフェース206は、少なくとも1つの他の充電装置104のネットワーク・インターフェース206との無線通信を、任意の好適な無線プロトコルを用いて行なう。
【0020】
典型的な実施形態においては、ディスプレイ208には、真空蛍光ディスプレイ(VFD)および/または1または複数の発光ダイオード(LED)が含まれる。それに加えてまたはその代わりに、ディスプレイ208には、限定することなく、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、プラズマ・ディスプレイ、および/または任意の好適な視覚的出力装置であって、グラフィック・データおよび/またはテキストをユーザに表示することができるものが含まれていても良い。典型的な実施形態においては、電力貯蔵装置106(図1に示す)の充電状態、支払情報、ユーザ認証情報、および/または任意の他の情報を、ディスプレイ208上でユーザに表示しても良い。
【0021】
ユーザ・インターフェース装置210には、限定することなく、次のものが含まれる。キーボード、キーパッド、タッチ・センサー式スクリーン、スクロール・ホイール、ポインティング・デバイス、バーコード読み取り機、磁気カード読み取り機、無線周波数識別(RFID)カード読み取り機、非接触型クレジット・カード読み取り機、近距離無線通信(NFC)装置読み取り機、音声認識ソフトウェアを用いたオーディオ入力デバイス、および/または任意の好適な装置であって、ユーザによる充電装置104へのデータの入力および/または充電装置104からのデータの取り込みを可能にするものである。典型的な実施形態においては、ユーザは、ユーザ・インターフェース210を動作させて、電力貯蔵装置106への電力の供給を開始および/または終了させても良い。一実施形態においては、ユーザは、ユーザ認証情報および/または支払情報を、ユーザ・インターフェース210を用いて入力しても良い。
【0022】
典型的な実施形態においては、電流制御装置214は電力線管112およびメーター212に結合されている。典型的な実施形態においては、電流制御装置214は接触器214であり、コントローラ200に結合されてこれによって制御される。典型的な実施形態においては、コントローラ200は、接触器214を動作させるかまたは開いて、電力線管112を通って流れる電流を中断し、電力貯蔵装置106が電力源114(図1に示す)から電気的に分離されるようにする。コントローラ200は、接触器214を閉じて、電流が電力線管112を通って流れることができるようにして、電力貯蔵装置106が電力源114に電気的に接続されるようにする。
【0023】
典型的な実施形態においては、メーター212は、電力線管112およびコントローラ200に結合されており、電力源114から電力貯蔵装置106に供給される電流、電圧、電力、および/またはエネルギーの測定および/または計算用である。メーター212は、測定された電流、電圧、電力および/またはエネルギーを表わすデータをコントローラ200へ送信する。代替的な実施形態においては、コントローラ200にはメーター212および/またはメーター212の機能が含まれている。
【0024】
典型的な実施形態においては、電流保護装置216が、メーター212および電力源114に結合されている。電流保護装置216は、充電装置104を電力源114から電気的に絶縁または分離することを、電力源114から受け取った電流が所定の閾値または電流制限を超えた場合に行なう。典型的な実施形態においては、電流保護装置216は回路遮断器である。あるいは、電流保護装置216は、ヒューズ、リレー、および/または任意の他の装置であって、電流保護装置216が本明細書で説明したように機能することを可能にするものであっても良い。
【0025】
動作中に、電気車両102の電力貯蔵装置106は、充電装置104に、電力線管112を用いて結合されている。一実施形態においては、ユーザは、サーバ116および/または別のシステムまたは装置から許可を得て、充電装置104が電力貯蔵装置106を充電する(すなわち、電流を供給する)ことを可能にする。本明細書においてより十分に説明するように、充電装置104は、電力貯蔵装置106に供給すべき電流の量を決定し、および/または電力貯蔵装置106に電流を供給するための十分な容量(たとえば、伝送または分配容量)が存在するか否かを判定する。
【0026】
図3は、複数の電気車両102の充電を、たとえば各電気車両102の電力貯蔵装置106(両方とも図2に示す)の充電によって行なうために用いても良い典型的な充電システム300のブロック図である。典型的な実施形態においては、充電システム300は、複数の充電装置104、たとえば第1の充電装置302、第2の充電装置304、第3の充電装置306、および第4の充電装置308を含んでいる。図3に例示するのは4つの充電装置104であるが、充電システム300は、必要に応じて任意の数の充電装置104を含んでいても良い。
【0027】
典型的な実施形態においては、充電装置104は、共通の配電装置310に、対応する電力線管312を通して結合されている。典型的な実施形態においては、配電装置310は変圧器310であり、電力源114から受け取った配電電圧を調整して、充電装置104とともに用いるのに適した電圧にする。あるいは、配電装置310は、充電システム300が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の装置であっても良い。典型的な実施形態においては、配電装置310は、要求された電流量の各充電装置104への分配を、分配された電流が電流分配限界に達するまで行なう。たとえば、配電装置310は、所定の電流量を分配するようにデザインまたは「定格化」されていても良い。したがって、電流分配限界を、所定の電流量に設定しても良いしまたは所定の量を下回る電流レベルに設定しても良い。本明細書においてより十分に説明するように、各充電装置104は、配電装置310から引き出し(または受け取り)および/または電力貯蔵装置106に供給する電流量の決定を、電流分配限界に基づいて、ならびに他の充電装置104から引き出される電流量および/または他の充電装置104に結合された電力貯蔵装置106に供給される電流量に基づいて行なう。たとえば、電力源114から受け取る電流量が、充電装置104に結合された電力貯蔵装置106に供給される電流量とは異なることが、充電装置104内の電流消費量および/または充電装置104に結合された1つもしくは複数の負荷(電力貯蔵装置106以外)による電流消費量の結果、生じる場合がある。あるいは、充電装置104が複数の配電装置310に結合されていて、各充電装置104は、1つまたは複数の配電装置310から引き出すべきおよび/または電力貯蔵装置106に供給すべき電流量の決定を、配電装置310の電流分配限界に基づいて、ならびに他の充電装置104が引き出しおよび/または供給する電流量に基づいて行なう。
【0028】
充電装置104は、典型的な実施形態においては、データ・バス314を経由してデータ通信状態で互いに結合されている。より具体的には、充電装置104は、データ・バス314に、対応するネットワーク・インターフェース206(図2に示す)を経由して結合されている。典型的な実施形態においては、データ・バス314には少なくとも1つのデータ線管(図示せず)が含まれている、たとえばイーサネット(商標)・ケーブル、推奨規格(RS)485準拠のケーブル、および/または任意の他のデータ線管であって、データ・バス314が本明細書で説明したように機能することを可能にするものである。あるいは、充電装置104は、無線ネットワークによってデータ通信状態で互いに結合されている。典型的な実施形態においては、充電装置104および/またはデータ・バス314は、ピア・トゥ・ピア・ネットワーク316を形成している。ピア・トゥ・ピアのネットワーク316は、各充電装置104が、マスタ・コントローラを必要とせずに、ネットワーク316に結合された他の充電装置104とデータ交換することを可能にするものである。あるいは、充電装置104および/またはデータ・バス314は、充電システム300が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他のネットワークを形成しても良い。
【0029】
本明細書においてより十分に説明するように、典型的な実施形態においては、各充電装置104は、少なくとも1つの要求を他の各充電装置104に送信して、他の各充電装置104の電流使用量および/または予想される電流使用量に関するデータを受け取る。本明細書で用いる場合、用語「電流使用量」は充電装置104が電力源114からおよび/もしくは配電装置から受け取り、ならびに/または充電装置104が電力貯蔵装置106に供給する電流量310を指す。あるいは、各充電装置は、電流使用量データを別の供給源から受け取っても良い。たとえば遠隔コンピュータ(図示せず)から、ネットワーク316に結合された充電装置104の下位集合から、および/または充電システム300が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の供給源からである。
【0030】
図4は、充電装置たとえば充電装置104(図1に示す)を制御するための典型的な方法400のフロー図である。典型的な実施形態においては、方法400は、メモリ装置204内に記憶された複数の命令内で具体化され、少なくとも部分的にプロセッサ202(両方とも図2に示す)によって実行される。
【0031】
典型的な実施形態においては、電力貯蔵装置106と車両コントローラ110とを充電装置104に結合することは、電力線管112(すべて図1に示す)によって、および/または任意の他の導管またはデータ接続部によって行なわれる。最初に、充電装置104が受け取るべきおよび/または電力貯蔵装置106に供給すべき所望の電流量を決定する402。一実施形態においては、車両コントローラ110は、電力貯蔵装置106に供給すべき所望の電流量を表わす少なくとも1つの信号を送信する。別の実施形態においては、プロセッサ202は、充電装置104の定格電流制限に等しい所望の電流量を決定する402。本明細書においてより十分に説明するように、プロセッサ202は信号を受け取って、所望の電流量および/または任意の他の電流量を電力貯蔵装置106に供給しても良いか否かを判定する。
【0032】
充電装置104は、ネットワーク316(図3に示す)内の各充電装置104が受け取りおよび/または供給する電流を決定する404。典型的な実施形態においては、各充電装置104は、隣の最も近い下流側の充電装置104よりも順次に大きく、隣の最も近い上流側の充電装置104よりも順次に小さい番号または別の識別子を用いてプログラムされている。したがって、典型的な実施形態においては、充電装置104のインデックス付けおよび/または番号付けが、1からネットワーク316内の充電装置104の総数まで(すなわち、ネットワーク316が4つの充電装置104を含む場合には1から4まで)行なわれている。あるいは、充電装置104のインデックス付け、番号付け、および/または順序付けが、方法400が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の順序で行なわれる。
【0033】
典型的な実施形態においては、各充電装置104は、配電装置310(図3に示す)の電流分配限界とネットワーク316内の充電装置104(または最も高く番号付けされた充電装置104)の数とを用いてプログラムされる。したがって、典型的な実施形態においては、充電装置104は、各充電装置104が受け取りおよび/または供給する電流を決定すること404を、各充電装置が受け取りおよび/または供給する電流量を表わすデータを、インデックス1から、最も高くインデックス付けされた充電装置104まで(または任意の他の順序で)順次に要求することによって行なう。このような要求を、各インデックス付けされたかまたは参照された充電装置104にネットワーク316を用いて送信する。なお、現時点の充電装置104は、受け取りおよび/または(もしあれば)供給する自身の電流の決定404については、要求を自分自身に送信するのではなくメーター212を参照しおよび/またはメモリ装置204(両方とも図2に示す)に記憶されたデータを参照することによって行なう。一実施形態においては、ネットワーク316内の充電装置104が要求に対して応答を所定のタイムアウト時間内に行なわない場合、無応答な充電装置104については、ほぼゼロ・アンペアの電流を受け取りおよび/または供給していると想定される。あるいは、任意の他の初期設定電流値を、無応答な充電装置104からデータを受け取る代わりに用いても良い。
【0034】
典型的な実施形態においては、充電装置104は、配電装置310が供給する総電流量の決定406を、各充電装置104が受け取りおよび/または供給する電流量を累積または加算することによって行なう。充電装置104は、配電装置310を通しての分配または配電装置310による分配に利用可能な総電流量の決定408を、受け取りおよび/または供給される全電流を電流分配限界から差し引くことによって行なう。
【0035】
充電装置104は、総利用可能電流が、充電装置104が受け取るべきおよび/または供給すべき所望の電流量以上であるか否かを判定する410。総利用可能電流が所望の電流量以上である場合、配電装置310には十分な分配量および/または送信容量があると判定され、充電装置104は、所望の電流量を受け取りおよび/または電力貯蔵装置106に供給する412。より具体的には、プロセッサ202は、電流制御装置214(図2に示す)を制御および/または作動させて、所望の電流量(または所望の電流量の少なくとも一部)が、電力源114から配電装置310および充電装置104を通って電力貯蔵装置106に流れることを可能にする。典型的な実施形態においては、充電装置104が電力貯蔵装置106に所望の電流量を供給すること412を始めた後、充電装置104は、所望の電流量の供給412を、電力貯蔵装置106が所望のレベルまで充電されるまでか、またはそうでなければ、充電装置104が電力貯蔵装置106の充電を終了するように命令されるまで続ける。
【0036】
しかし、総利用可能電流が所望の電流量以上ではない(すなわち、所望の電流量が総利用可能電流よりも大きい)場合、充電装置104は、総利用可能電流が最小充電レベル以上であるか否かを判定する414。典型的な実施形態においては、最小電流充電レベルは、電力貯蔵装置106が充電装置104から受け取るようにデザインされている所定の最小電流レベル、および/または充電装置104が配電装置310から受け取るようにデザインされている所定の最小電流レベルである。一実施形態においては、最小電流充電レベルは約6アンペアである。あるいは、最小電流充電レベルは、方法400が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の値であっても良い。
【0037】
典型的な実施形態においては、総利用可能電流が最小電流充電レベル以上ではない(すなわち、最小電流充電レベルよりも小さい)場合、充電装置104は電力貯蔵装置106の充電ができない416。より具体的には、プロセッサ202は電流制御装置214を開き、および/または電流制御装置214が閉じないようにして、電流を充電装置104が受け取ることおよび/または電力貯蔵装置106に供給することが起きないようにする416。充電装置104は、所定の時間(以下、「再試行時間」と言う)が経過するのを待つ418。一実施形態においては、再試行時間は約15分間である。あるいは、再試行時間は、方法400が本明細書で説明したように機能することを可能にする任意の他の時間であっても良い。再試行時間が経過した後、充電装置104は、ネットワーク316内の各充電装置104が受け取りおよび/または供給する電流を決定すること404に戻る。こうして、典型的な実施形態においては、充電装置104(具体的には、プロセッサ202)は、再試行時間が経過した後に利用可能な電流量を再び決定する。
【0038】
総利用可能電流が、最小電流充電レベル以上である(しかし所望の電流量未満である)と判定された場合414、充電装置104は、電流を受け取ることおよび/または電流を電力貯蔵装置106に供給することを420、電流充電レベルを下げて(所望の電流量と比べて)行なう。典型的な実施形態においては、下げた電流充電レベルを総利用可能電流に等しくして、充電装置104が総利用可能電流量を受け取りおよび/または総利用可能電流量を電力貯蔵装置106に供給するようにする。あるいは、下げた電流充電レベルを、最小電流充電レベル以上で総利用可能電流以下である任意の他の電流量にする。下げた電流レベルを受け取りおよび/または電力貯蔵装置106に供給する420間、充電装置104は所定の再試行時間が経過するのを待つ422。再試行時間が経過した後、充電装置104は、ネットワーク316内の各充電装置104が受け取りおよび/または供給する電流を決定すること404(または再び決定すること)に戻る。
【0039】
本明細書で説明したように、堅固かつ効果的な充電装置が提供される。充電装置には、プロセッサとして、電流制御装置を選択的に作動させて電流を電気車両の電力貯蔵装置に供給するように構成されたプロセッサが含まれている。充電装置は、ピア・トゥ・ピア・ネットワーク内の少なくとも1つの他の充電装置に結合されており、ネットワーク内の各充電装置は、共通の配電装置から電流を受け取るように構成されている。充電装置は、受け取るべきおよび/または電力貯蔵装置に供給すべき所望の電流量を決定するとともに、ネットワーク内の各充電装置が受け取りおよび/または供給する電流量を決定する。充電装置が受け取ることおよび/または配電装置が電力貯蔵装置に供給することに利用できる総電流量の決定は、各充電装置が受け取りおよび/または供給する電流を加算して、その結果を配電装置の電流分配限界から差し引くことによって行なう。充電装置は、所望の電流量、下げた電流量、または無電流を受け取ることおよび/または電力貯蔵装置に供給することを、所望の電流量と総利用可能電流とを比べることに基づいて行なっても良い。したがって、ネットワーク内の各充電装置は、配電装置の電流分配能力が、所望の電流量を各充電装置に供給するのに十分であるか否かを判定する。こうして、充電装置は、配電装置の電流分配限界を超えることはない。
【0040】
本明細書で説明した装置および方法の技術的効果には、次のうちの少なくとも1つが含まれる。(a)所望の電流量を充電装置が受け取ることおよび電気車両の電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方を決定すること、(b)充電装置が配電装置から受け取ることおよび電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方に利用可能な電流量を決定すること、および(c)充電装置の電流制御装置を制御して、所望の電流量を受け取ることおよび供給することの少なくとも一方を可能にすることを、所望の電流量が、利用可能な電流量を超えない場合に行なうこと、である。
【0041】
以上、充電装置、システム、および充電装置の制御方法の典型的な実施形態について、詳細に説明している。充電装置、システム、および方法は、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、むしろ、充電装置および/もしくはシステムの構成部品ならびに/または方法のステップは、本明細書で説明した他の構成部品および/またはステップから独立かつ別個に用いても良い。たとえば、充電装置は、他の電力システムおよび方法と組み合わせて用いても良く、本明細書で説明したような電気車両のみとともに実施することに限定されない。むしろ、典型的な実施形態は、他の多くの電力システム応用例と関連して実施および使用することができる。
【0042】
本発明の種々の実施形態の特定の特徴を、一部の図面上では示して他では示していない場合があるが、これは単に便宜上である。本発明の原理に従って、図面の任意の特徴部を、他の任意の図面の任意の特徴部と組み合わせて参照および/または請求しても良い。
【0043】
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定されており、当業者に想起される他の例を含んでいても良い。このような他の例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有する場合か、または請求項の文字通りの言葉使いとの違いが非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力貯蔵装置(106)を含む電気車両(102)とともに用いるための充電装置(104)であって、
前記充電装置は、
電流を配電装置(310)から受け取ることおよび前記電力貯蔵装置に供給することを選択的に可能にするように構成された電流制御装置(214)と、
前記電流制御装置に結合されたプロセッサ(202)とを含み、
前記プロセッサ(202)は、
前記配電装置から受け取ることおよび前記充電装置から供給することの少なくとも一方に利用可能な第1の電流量を決定することと、
前記電流制御装置を制御して、第2の電流量を受け取ることおよび供給することの少なくとも一方を可能にすることを、前記第2の電流量が、利用可能であると決定された前記第1の電流量を超えない場合に行なうことと、を実行するように構成される充電装置(104)。
【請求項2】
前記充電装置は、複数の充電装置のうちの1つであるとともに、前記複数の充電装置のうちの少なくとも1つの他の充電装置に結合するように構成されたネットワーク・インターフェース(206)を含んでおり、前記プロセッサ(202)はさらに、前記少なくとも1つの他の充電装置が受け取りおよび供給することの少なくとも一方の電流量に基づいて、利用可能な前記第1の電流量を決定するように構成されている請求項1に記載の充電装置(104)。
【請求項3】
前記充電装置は、前記少なくとも1つの他の充電装置とデータ通信状態で結合されて、ピア・トゥ・ピア・ネットワーク(316)を形成する請求項2に記載の充電装置(104)。
【請求項4】
前記プロセッサ(202)はさらに、利用可能な前記第1の電流量の決定を、前記少なくとも1つの他の充電装置が受け取る前記電流および供給する前記電流の少なくとも一方を、前記配電装置(310)の電流分配限界から差し引くことによって行なうように構成されている請求項2に記載の充電装置(104)。
【請求項5】
前記プロセッサ(202)はさらに、前記複数の充電装置のそれぞれが受け取りおよび供給することの少なくとも一方の電流量を決定するように構成されている請求項4に記載の充電装置(104)。
【請求項6】
前記プロセッサ(202)はさらに、利用可能な前記第1の電流量の決定を、前記複数の充電装置のそれぞれが受け取りおよび供給することの少なくとも一方の前記電流を前記電流分配限界から差し引くことによって行なうように構成されている請求項5に記載の充電装置(104)。
【請求項7】
前記プロセッサ(202)はさらに、前記電流制御装置(214)を作動させて、第3の電流量を受け取ることおよび供給することの少なくとも一方を可能にすることを、前記第2の電流量が、利用可能であると決定された前記第1の電流量を超え、および前記第3の電流量が、利用可能であると決定された前記第1の電流量を超えない場合に行なうように構成されている請求項1に記載の充電装置(104)。
【請求項8】
前記プロセッサ(202)はさらに、電流が前記電力貯蔵装置(106)に供給されないようにすることを、利用可能であると決定された前記第1の電流量が最小電流充電閾値よりも小さい場合に行なうように構成されている請求項1に記載の充電装置(104)。
【請求項9】
前記プロセッサ(202)はさらに、利用可能な前記第1の電流量の決定を、所定の時間が経過した後に行なうように構成されている請求項8に記載の充電装置(104)。
【請求項10】
複数の電気車両(102)への電流供給用のシステム(100)であって、
前記システムは、
電流を配電装置(310)から受け取り、前記受け取った電流の少なくとも一部を第1の電力貯蔵装置(106)へ供給するように構成された第1の充電装置(302)と、
電流を前記配電装置から受け取り、前記受け取った電流の少なくとも一部を第2の電力貯蔵装置へ供給するように構成された第2の充電装置(304)と、を含み、
前記第1の充電装置は、
電流を前記配電装置から受け取ることおよび前記第1の電力貯蔵装置に供給することを選択的に可能にするように構成された電流制御装置(214)と、
前記電流制御装置に結合されたプロセッサ(202)と、を含み、
前記プロセッサ(202)は、
前記配電装置から受け取ることおよび前記第1の電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方に利用可能な第1の電流量を決定することと、
前記電流制御装置を制御して、第2の電流量を前記配電装置から受け取ることおよび前記第1の電力貯蔵装置に供給することの少なくとも一方を可能にすることを、前記第2の電流量が、利用可能であると決定された前記第1の電流量を超えない場合に行なうことと、を実行するように構成されているシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70602(P2013−70602A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−202157(P2012−202157)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】