先導ランナ及び幕開閉装置
【課題】 ガイドレールに沿って円滑に移動することができ、ガイドレールの湾曲部で索条の往路及び復路が接触することを防止することができる先導ランナ及び幕開閉装置を提供する。
【解決手段】 先導ランナ1の第1転動輪11,11がガイドレール3底部のレール本体31,33上を転動し、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ1が傾倒した場合、第1転動輪11,11の回転中心線と略直交する回転中心線を有する第2転動輪12がガイドレール3側部の本体支持部32,34に沿って転動する。また、索条5の復路5b及び往路5aが上下に離隔してある。
【解決手段】 先導ランナ1の第1転動輪11,11がガイドレール3底部のレール本体31,33上を転動し、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ1が傾倒した場合、第1転動輪11,11の回転中心線と略直交する回転中心線を有する第2転動輪12がガイドレール3側部の本体支持部32,34に沿って転動する。また、索条5の復路5b及び往路5aが上下に離隔してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールに案内されて幕体の開閉を先導する先導ランナ、及びガイドレールに沿って幕体を開閉する幕開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動開閉式の幕開閉装置は、カーテン、スクリーン等の幕体を、横方向に配されたカーテンレールのようなガイドレールに沿って自動的に開閉する(特許文献1参照)。
【0003】
図9は、特許文献1に開示されているような従来の幕開閉装置の構成を示す正面断面図である。
【0004】
図中80はガイドレール、90は先導ランナであり、ガイドレール80は横方向に配され、先導ランナ90はガイドレール80に支持されている。ガイドレール80は、横断面がL字状になるよう配されたレール本体81及び本体支持部82と、横断面が逆L字状になるよう配されたレール本体83及び本体支持部84とを、レール本体81,83を適長離隔して対向配置し、本体支持部82,84の上部が連結部85によって連結してある。
【0005】
先導ランナ90は、レール本体81,83間に挿嵌される。また、先導ランナ90は、先導ランナ90の上下方向中央部に、レール本体81,83上を横方向に転動する転動輪91,91を備える。また、レール本体81,83間から下方へ突き出す先導ランナ90の下部には、図示しない吊り下げ部が備えられている。更に、ガイドレール80内に配される先導ランナ90上部には、先導ランナ90上部を横方向に貫通する貫通孔92が形成してある。
【0006】
また、幕開閉装置は、ガイドレール80の一端及び他端に、電動のモータによって回転するウインチ及びプーリ(各不図示)を備え、更に、ウインチ及びプーリに張架され、ガイドレール80内にループ状に形成されるワイヤ、紐等の索条8を備える。ループ状である索条8は、ガイドレール80内で先導ランナ90の進行方向の左側と右側とに離隔配置された往路8a及び復路8bを有する。往路8aは、先導ランナ90の貫通孔92に挿通してあり、往路8aと先導ランナ90とは一体に移動する。
【0007】
以上のような幕開閉装置は、モータの回転に応じてウインチ、プーリ及び索条8が回転し、回転する索条8に牽引された先導ランナ90が、吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉をガイドレール80に案内されて先導することによって、幕体を横方向に開閉する。
【特許文献1】特開2004−141274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガイドレール80の全体又は一部が水平方向には湾曲するように配設されている場合、ガイドレール80内でガイドレール80の湾曲部を通過する索条8の往路8a及び復路8bの位置は、湾曲の内側へ偏倚し、本体支持部82,84の一方に接触する。このため、特にガイドレール80が直角状に湾曲している場合、ガイドレール80の湾曲部を先導ランナ90が移動するとき、先導ランナ90の上部が索条8に引っ張られるようにして、先導ランナ90が湾曲の内側に傾倒する。
【0009】
この結果、先導ランナ90の転動輪91の側面、先導ランナ90の上部等が、ガイドレール80に接触して、ガイドレール80と先導ランナ90との間に大きな摩擦抵抗が生じ、先導ランナ90の円滑な移動を阻害するという問題があった。
【0010】
また、ガイドレール80内でガイドレール80の湾曲部を通過する索条8の往路8a及び復路8bの位置が、湾曲の内側へ偏倚することによって、往路8a及び復路8bが1本に重なるように接触し、このため大きな摩擦抵抗が生じて、先導ランナ90の円滑な移動を更に阻害するという問題もあった。
【0011】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、レール本体上を転動する第1転動輪と、傾倒時に本体支持部に接触し、本体支持部に沿って転動する第2転動輪とを備えることにより、ガイドレールに沿って円滑に移動することができる先導ランナを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、2つの貫通孔が上下に離隔するようにしてあることにより、ガイドレールに沿って2個の先導ランナが互いに接離する方向へ移動可能とする場合、一方の先導ランナには上側の貫通孔に索条を挿通し、他方の先導ランナには下側の貫通孔に索条を挿通することができる先導ランナを提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、レール本体上を転動する第1転動輪と、傾倒時に本体支持部に接触し、接触した本体支持部に沿って転動する第2転動輪とを夫々備える2個の先導ランナの貫通孔が、上下に離隔配置してあることにより、ガイドレールに沿って先導ランナが円滑に移動することができる両開きの幕開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係る先導ランナは、横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールの前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪と、幕体を吊り下げる吊り下げ部とを備え、前記吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナにおいて、前記第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る先導ランナは、前記第1転動輪の回転中心線方向、及び上下に夫々離隔して、横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る幕開閉装置は、横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールと、前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪、該第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪、横方向に貫通する貫通孔、及び幕体を吊り下げる吊り下げ部を備え、該吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナ2個と、該先導ランナ2個夫々の前記貫通孔に挿通され、前記先導ランナ2個を接離方向へ移動させるループ状の索条とを備え、前記先導ランナ2個夫々の前記貫通孔が上下に離隔配置してあることを特徴とする。
【0017】
第1発明にあっては、幕開閉装置が備えるガイドレールに先導ランナが支持される。ガイドレールは横方向に配され、レール本体及びレール本体の幅方向端部に縦方向に連なりレール本体を支持する本体支持部を有する。
【0018】
先導ランナは第1転動輪及び第2転動輪と吊り下げ部とを備える。幕体が吊り下げ部に吊り下げられ、第1転動輪がレール本体上を横方向に転動することによって、先導ランナは、吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を、ガイドレールに案内されて先導する。また、第2転動輪は、第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線、例えば上下方向の回転中心線を有し、本体支持部に沿って横方向に転動可能である。
【0019】
このような第2転動輪は、例えば、先導ランナが、先導ランナの進行方向の左側(又は右側)に傾倒した状態では、左側(又は右側)に配されている本体支持部に接触し、本体支持部に沿って横方向に転動するが、先導ランナが直立した状態では、ガイドレールに接触しないようにしてある。つまり、第2転動輪は、先導ランナが傾倒した状態では先導ランナの円滑な移動を補助し、先導ランナが直立した状態では、先導ランナの円滑な移動を阻害しない。
【0020】
幕開閉装置は、ガイドレールに沿って張架されたループ状の索条を備え、索条には先導ランナの上部が係止される。
【0021】
ガイドレールの途中が水平方向に湾曲している場合、索条が湾曲の内側へ偏倚し、このため先導ランナの上部が湾曲の内側へ引っ張られる。しかしながら、第2転動輪が本体支持部に接触し、本体支持部に沿って転動するため、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することが防止される。この結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じず、先導ランナの円滑な移動が阻害されない。
【0022】
第2発明にあっては、第1転動輪の回転中心線方向に離隔して横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあり、この貫通孔の一方に索条が挿通される。
【0023】
例えば、両開きの幕開閉装置の場合、2個の先導ランナが、ループ状の索条の往路及び復路に一対一対応で係止される。
【0024】
貫通孔が夫々に1つしか形成されていない従来の2個の先導ランナは、互いの貫通孔の形成位置が上下方向に同じであるため、一方の先導ランナの貫通孔に往路を挿通し、他方の先導ランナの貫通孔に復路を挿通した場合、往路と復路との上下方向の位置が同じになり、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したとき、往路と復路とが接触する。また、ガードレールの湾曲部における往路と復路との接触を防止するためには、互いの貫通孔の形成位置が上下方向に異なる2個の先導ランナ、即ち複数種類の先導ランナが必要になる。
【0025】
一方、本発明の先導ランナを2個用いた場合、一方の先導ランナの上側の貫通孔に往路(又は復路)を挿通し、他方の先導ランナの下側の貫通孔に復路(又は往路)を挿通することによって、往路と復路とが上下方向に離隔され、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したときでも、往路と復路とが接触しない。つまり、幕開閉装置に、複数種類の先導ランナを備える必要がない。
【0026】
第3発明にあっては、両開きの幕開閉装置である。幕開閉装置は、横方向に配されたガイドレールと、横方向に貫通する貫通孔が形成してある第1発明の先導ランナ2個とを備える。2個の先導ランナはガイドレールに支持され、一方の先導ランナの貫通孔には往路が挿通され、他方の先導ランナの貫通孔には復路が挿通される。2個の先導ランナは、互いの貫通孔が上下に離隔配置してあるため、往路と復路とが上下に離隔配置される。
【0027】
ガイドレールの途中が水平方向に湾曲している場合、ガイドレールの湾曲部で、索条の往路及び復路夫々の位置が、湾曲の内側へ偏倚する。しかしながら、往路と復路とが上下に離隔配置されるため、湾曲の内側へ偏倚した索条の往路及び復路が1本に重なるように接触することが防止される。つまり、2個の先導ランナ夫々に形成してある貫通孔が、往路と復路との接触を防止する接触防止手段として機能する。
【0028】
以上の結果、索条に大きな摩擦抵抗が生じず、しかも、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナの円滑な移動が阻害されない。
【発明の効果】
【0029】
第1発明の先導ランナによれば、ガイドレールの湾曲部における先導ランナの傾倒時に、第2転動輪が本体支持部に接触し、接触している本体支持部に沿って転動するため、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することを防止することができる。この結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナは円滑に移動することができる。
【0030】
第2発明の先導ランナによれば、先導ランナを2個用いた場合、一方の先導ランナの上側の貫通孔に往路(又は復路)を挿通し、他方の先導ランナの下側の貫通孔に復路(又は往路)を挿通することによって、往路と復路とを上下方向に離隔することができ、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したときでも、往路と復路との接触を防止することができる。この場合、幕開閉装置に、複数種類の先導ランナを備える必要がない。この結果、先導ランナの量産によって先導ランナの製造コストを低減することができる。
【0031】
また、先導ランナが、貫通孔が形成されている部品と形成されていない部品との組み合わせで構成されている場合、2個の先導ランナの内、貫通孔が形成されていない部品の形状が夫々異なるときでも、貫通孔が形成されている部品は共通化することができる。このため、この部品の量産によって先導ランナの製造コストを低減することができる。
【0032】
第3発明の幕開閉装置によれば、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することを防止することができる。また、2個の先導ランナ夫々に形成してある貫通孔が、索条の往路及び復路の接触を防止する接触防止手段として機能する。以上の結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じず、しかも索条に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナは円滑に移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0034】
図1は、本発明に係る幕開閉装置6の構成を示す斜視図である。
【0035】
本実施の形態の幕開閉装置6は電動開閉式の幕開閉装置であり、ガイドレール3に沿って、2枚の幕体であるカーテン4,4を両開きに開閉する。幕開閉装置6は、ガイドレール3と、夫々ガイドレール3に支持され、ガイドレール3に案内されてカーテン4,4の開閉を先導する2個の先導ランナ1,2とを備える。また、幕開閉装置6は、ウインチ61、プーリ62、モータ63、及び複数の遊動ランナ64,64,…を備える。
【0036】
図2(a)は、図1におけるA−A線の拡大断面図、即ち先導ランナ1に関して幕開閉装置6の構成を示す正面断面図であり、図2(b)は、図1におけるB−B線の拡大断面図、即ち先導ランナ1と対をなす先導ランナ2に関して幕開閉装置6の構成を示す正面断面図である。また、図3(a)は、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ1が傾倒した状態を示す正面断面図であり、図3(b)は、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ2が傾倒した状態を示す正面断面図である。
【0037】
図4は、先導ランナ1の構成を示す斜視図、図5は、同じく側面図であり、図6は、先導ランナ2の構成を示す斜視図、図7は、同じく側面図である。
【0038】
図8は、幕開閉装置6が更に備える索条5の平面視の配置を示す模式図である。この索条5は、カーテン4,4を牽引するための引き紐である。
【0039】
ガイドレール3は、水平方向に配された角筒状をなしており、L字状に配された2面の窓の図示しない窓枠の上部に、レール支持具7を用いて固定されている。このために、ガイドレール3は、直角状に湾曲する湾曲部と、湾曲部の両端に夫々連設されている2個の直線部とを有する。
【0040】
ガイドレール3は、レール本体31、及びレール本体31の幅方向端部に縦方向に連なりレール本体31を支持する本体支持部32を備え、更に、レール本体31及び本体支持部32と略同様に構成されたレール本体33及び本体支持部34を備え、更にまた、本体支持部32,34の上端同士を連結する連結部35を備える。レール本体31,33、本体支持部32,34及び連結部35は一体成型された板状である。また、連結部35は、レール支持具7に固定されている。
【0041】
ガイドレール3は、レール本体31及び本体支持部32をL字(又は逆L字)に配し、しかもこれらを湾曲の外側に配し、レール本体33及び本体支持部34を逆L字(又はL字)に配し、しかもこれらを湾曲の内側に配している。また、ガイドレール3は、レール本体31,33間に空隙を設け、連結部35が本体支持部32,34間を連結支持して、レール本体31及び本体支持部32とレール本体33及び本体支持部34とを対向配置してある。このため、ガイドレール3の正面断面形状は、下向き開口の略コ字状である。更に、レール本体31,33の上面は略水平である。また、レール本体31,33間の空隙は、先導ランナ1,2及び遊動ランナ64,64,…が挿嵌されて、これらを案内する案内溝36である。
【0042】
ガイドレール3の一端側には、その回転軸が鉛直方向に配されたウインチ61と、ウインチ61を正回転、逆回転、及び停止させる電動のモータ63とが配置してある。また、ガイドレール3の他端側には、その回転軸が鉛直方向に配されたプーリ62が配置してある。モータ63は、図示しない配線によって電源に接続されて駆動用の電力を得るよう構成されている。
【0043】
索条5は、ガイドレール3に沿ってガイドレール3内に、ウインチ61とプーリ62とに渡してループ状に張架してある。ループ状である索条5は、往路5a及び復路5bを有する。図8においては、説明のため、往路5aを実線で、復路5bを破線で模式的に示してある。
【0044】
更に、索条5の途中には、先導ランナ1,2が係止してある。このため、モータ63に駆動されるウインチ61、及び索条5を介してウインチ61に従動するプーリ62が正回転又は逆回転した場合、ウインチ61及びプーリ62に張架してある索条5が正回転又は逆回転し、この結果、先導ランナ1が往路5aに、先導ランナ2が復路5bに牽引され、ガイドレール3に案内されて接離方向へ移動する。図4及び図6に夫々示す白抜矢符は、カーテン4,4を閉じる場合、即ち先導ランナ1,2が互いに接近する方向に移動する場合の先導ランナ1,2夫々の進行方向である。
【0045】
ガイドレール3の直線部においては、ウインチ61及びプーリ62によって、索条5は、往路5aが本体支持部34側、復路5bが本体支持部32側に離隔されている。一方、ガイドレール3の曲線部においては、索条5の位置は、本体支持部34側へ偏倚する。このため、ガイドレール3の湾曲部を先導ランナ1,2が移動するとき、先導ランナ1,2は、索条5によって本体支持部34側へ引っ張られて傾倒する。
【0046】
先導ランナ1は、ランナ本体101,102と、ランナ本体101,102を連結する細幅の連結板15とを備える。ランナ本体101,102は互いに略同様の構成及び作用を有し、ランナ本体101,102夫々の下部が連結板15の一端近傍と他端近傍とにネジどめされて、約70mm離隔して、側面視左右対称に対向配置されている。つまり、先導ランナ1は、側面視が、上向き開口のコ字状である。ここで、ランナ本体101は、先導ランナ1が図4中白抜矢符方向に移動している場合の先頭側に配され、ランナ本体102は後尾側に配されている。以下では、ランナ本体101に関して説明する。
【0047】
ランナ本体101は、ガイドレール3の案内溝36に挿嵌されて、ランナ本体101上部及び上下方向中央部がガイドレール3内に配され、連結板15にネジどめされたランナ本体101下部がガイドレール3外に配される。このため、連結板15はガイドレール3に当接しない。ランナ本体101の上下方向中央部には、第1転動輪11,11及び第2転動輪12が備えられ、上部には貫通孔141,142が形成されている。
【0048】
第1転動輪11,11は、短小な円筒状であり、ランナ本体101によって回転可能に支持される側面視前後方向に配された軸を有し、ガイドレール3のレール本体31,33上を横方向に転動する。先導ランナ1は、第1転動輪11,11がレール本体31,33上に転接することによってガイドレール3に支持される。
【0049】
第2転動輪12は、周面が滑らかな凸状に膨らんでいる短小な円筒状であって、ガイドレール3の本体支持部32,34間の距離より小さい最大外径を有し、更に、ランナ本体101によって回転可能に支持される上下方向に配された軸を有する。つまり、第1転動輪11,11及び第2転動輪12は、互いの回転中心線が略直交するように、ランナ本体101の上下方向中央部に配されている。
【0050】
ガイドレール3の直線部においては、図2(a)に示すように、先導ランナ1は傾倒しない。即ち先導ランナ1は直立する。この場合、ランナ本体101に関しては、第1転動輪11,11の周面がガイドレール3に接触し、これ以外はガイドレール3に当接しない。このとき、第2転動輪12の周面もガイドレール3に当接せず、このため第2転動輪12は転動しない。つまり、第2転動輪12は、先導ランナ1の円滑な移動を阻害しない。
【0051】
ガイドレール3の湾曲部においては、図3(a)に示すように、先導ランナ1は本体支持部34側へ傾倒する。この場合、ランナ本体101は、レール本体33上の第1転動輪11の周面がレール本体33に接触し、更に、第2転動輪12の周面が本体支持部34に接触し、これら以外はガイドレールに当接せず、レール本体31上の第1転動輪11はレール本体31から浮き上がる。このとき、第2転動輪12は本体支持部34に沿って横方向に転動する。つまり、第2転動輪12は、先導ランナ1の円滑な移動を補助する。
【0052】
貫通孔141,142は、互いに第1転動輪11,11の回転中心線方向に離隔して、ランナ本体101の上部に、横方向に貫通して形成されている。具体的には、貫通孔141が本体支持部34側、貫通孔142が本体支持部32側に配されている。また、貫通孔141,142は、貫通孔141が上側、貫通孔142が下側になるように、上下に離隔した位置に形成されている。更に、貫通孔141に往路5aが挿通されており、貫通孔142には索条5は挿通されていない。索条5は、貫通孔141に挿通する位置で、往路5aが上側に持ち上げられる。一方、復路5bは、ランナ本体101上部の貫通孔141が形成してある位置の下側を通過している。
【0053】
ただし、図8においては、説明のために、貫通孔141,142が上下方向に貫通しているように模式的に図示してある。
【0054】
以上のような第1転動輪11,11、第2転動輪12、及び貫通孔141,142は、ランナ本体102にも設けられている。
【0055】
往路5aには、索条5のたるみ又は収縮を吸収するために、その両端が往路5aに連結されたコイルスプリング51が介装してある。伸縮していない状態のコイルスプリング51の長さは、ランナ本体101,102の離隔距離よりも1割程度短い。往路5aは、ランナ本体101の貫通孔141のみならず、ランナ本体102の貫通孔141にも挿通してあり、ランナ本体101,102間にコイルスプリング51が配されている。索条5が回転した場合、往路5aの移動に伴って、コイルスプリング51が先導ランナ1の進行方向先頭側のランナ本体101又はランナ本体102(図4中はランナ本体101)に当接し、このため先導ランナ1が索条5に牽引される。即ち、コイルスプリング51は、先導ランナ1に索条5を係止する機能も有する。
【0056】
連結板15のランナ本体101ネジどめ位置近傍には、吊り下げ部13が形成してある。吊り下げ部13は、ランナ本体101を側面視前後方向に貫通する孔であり、カーテン4の先端に設けられている鉤状部材41が吊り下げ部13に係止されることによって、ランナ本体101はカーテン4,4の一方を吊り下げる。
【0057】
以上のような先導ランナ1は、第1転動輪11,11,…がレール本体31,33上を横方向に転動することによって、又は、第1転動輪11,11がレール本体33上を、第2転動輪12,12が本体支持部34に沿って、夫々横方向に転動することによって、吊り下げ部13に吊り下げられたカーテン4の開閉を、ガイドレール3に案内されて先導する。
【0058】
先導ランナ2は、ランナ本体201,202と、ランナ本体201,202を連結する細幅の連結板25とを備える。ランナ本体201,202は、ランナ本体201,202夫々の下部が連結板25の一端近傍と他端近傍とにネジどめされて、約70mm離隔して、側面視左右対称に対向配置されている。つまり、先導ランナ2は、側面視が、上向き開口のコ字状である。ここで、ランナ本体202は、先導ランナ2が図6中白抜矢符方向に移動している場合の先頭側に配され、ランナ本体201は後尾側に配されている。
【0059】
ランナ本体201は、ランナ本体102と略同一の構成及び作用を有し、ランナ本体202は、ランナ本体101と略同一の構成及び作用を有する。このため、ランナ本体201,202が夫々備える第1転動輪21,21、第2転動輪22、及び貫通孔241,242は、ランナ本体102,101が夫々備える第1転動輪11,11、第2転動輪12、及び貫通孔141,142と略同一の構成及び作用を有する。つまり、ランナ本体101,202は共通の部品であり、同様に、ランナ本体102,201も共通の部品である。
【0060】
ただし、貫通孔241,242は、貫通孔141,142とは異なり、貫通孔241が本体支持部32側、貫通孔242が本体支持部34側に配されている。また、貫通孔242に復路5bが挿通されており、貫通孔241には索条5は挿通されていない。索条5は、貫通孔242に挿通する位置で、復路5bが下側に押し下げられる。一方、往路5aは、ランナ本体201及びランナ本体202上部夫々の貫通孔242が形成してある位置の上側を通過している。
【0061】
ただし、図8においては、説明のために、貫通孔241,242が上下方向に貫通しており、往路5aが先導ランナ2の側方を通過しているように、模式的に図示してある。
【0062】
往路5aにコイルスプリング51が介装してあるように、復路5bにはコイルスプリング52が介装してある。コイルスプリング52の構成及び作用は、コイルスプリング51の構成及び作用と略同様である。
【0063】
連結板25のランナ本体202ネジどめ位置近傍には、図6中白抜矢符方向に突出するスプリング状の突出部が設けられており、突出部の先端に、環状の吊り下げ部23が形成してある。カーテン4の先端に設けられている鉤状部材41が吊り下げ部23に係止されることによって、先導ランナ2はカーテン4,4の他方を吊り下げる。
【0064】
更に、先導ランナ2は、連結板25によって回転可能に支持される側面視前後方向に配された軸を有する第3転動輪26を備える。第3転動輪26は、ガイドレール3のレール本体33下面に接触し、レール本体33に沿って横方向に転動する。
【0065】
以上のような先導ランナ2は、先導ランナ1と同様、吊り下げ部23に吊り下げられたカーテン4の開閉を、ガイドレール3に案内されて先導する。この場合、第1転動輪21,21,…がレール本体31,33上を、また、第3転動輪26がレール本体33に沿って、夫々横方向に転動する。又は、第1転動輪21,21がレール本体33上を、また、第3転動輪26がレール本体33に沿って、更に第2転動輪22,22が本体支持部34に沿って、夫々横方向に転動する。
【0066】
ところで、図1に示すように、先導ランナ1とガイドレール3のプーリ62側端部の間、及び先導ランナ2とガイドレール3のウインチ61側端部の間には、ガイドレール3に支持されて、ガイドレール3に摺動可能に設けられている遊動ランナ64,64,…がガイドレール3に配置してあり、遊動ランナ64,64,…には、カーテン4,4の上端に設けられた鉤状部材42,42,…が係止してある。遊動ランナ64,64,…は、カーテン4,4を吊り下げて、先導ランナ1,2の移動に追動してカーテン4,4の開閉を補佐する。
【0067】
以上のような幕開閉装置6は、カーテン4,4をガイドレール3に沿って電動で自動的に開閉する。また、ガイドレール3の湾曲部における先導ランナ1,2の傾倒時に、第2転動輪12,22,…が本体支持部34に沿って転動する。このため、先導ランナ1,2の傾倒時及び非傾倒時の両方において、先導ランナ1,2の第1転動輪11,21,…、第2転動輪12,22,…及び第3転動輪26夫々の周面以外がガイドレール3に接触することを防止することができる。
【0068】
また、先導ランナ1に形成してある貫通孔141,141と先導ランナ2に形成してある貫通孔242,242とが、索条5の往路5a及び復路5bを上下に離隔させてこれらの接触を防止する。このため、ガイドレール3の湾曲部において、往路5a及び復路5bが1本に重なるように接触して大きな摩擦抵抗が生じることを防止することができる。
【0069】
更に、ガイドレール3の直線部においては、往路5a及び復路5bとが本体支持部32側と本体支持部34側とに離隔されている。このため、往路5a及び復路5bの接触が防止される。
【0070】
仮に、湾曲部における往路5a及び復路5bの接触を防止するために、往路5a及び復路5bとを、上下方向ではなく本体支持部32側と本体支持部34側とに離隔させる場合、湾曲の外側に配される復路5bが湾曲の内側へ偏倚しようとして、先導ランナ2が更に本体支持部34側へ傾倒して、第2転動輪22,22が本体支持部34に強く押し付けられ、大きな摩擦抵抗が生じる。つまり、往路5a及び復路5bとを上下方向に離隔させることによって、先導ランナ2の傾倒を抑制して、先導ランナ2とガイドレール3との間に大きな摩擦抵抗が生じることを防止することができる。
【0071】
以上の結果、ガイドレール3と先導ランナ1,2との間、及び索条5に、大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナ1,2は円滑に移動することができる。
【0072】
また、先導ランナ1,2において、ランナ本体101とランナ本体202とを共通化することができ、同様に、ランナ本体102とランナ本体201とを共通化することができる。このため、幕開閉装置6の製造コストを低減することができる。
【0073】
更に、幕開閉装置6は、先導ランナ1,2の配置を容易に入れ替えることができる。この場合、ランナ本体101,202を、先導ランナ1,2が互いに接近する方向に移動する場合の先導ランナ1,2夫々の進行方向先頭側に配し、ウインチ61側に配された先導ランナ1の貫通孔142,142と、プーリ62側に配された先導ランナ2の貫通孔241,241とに往路5a及び復路5bを夫々挿通する。
【0074】
なお、本実施の形態においては電動開閉式で両開きの幕開閉装置6を例示したが、手動開閉式の幕開閉装置でも良く、片開きの幕開閉装置でも良い。また、幕開閉装置6が開閉する幕体は、カーテン4,4に限定されるものではなく、舞台の幕、スクリーン等でも良い。
【0075】
また、第1転動輪11,21の周面は、第2転動輪12,22の周面のように凸状に膨らんでいても良い。また、第2転動輪12,22の周面は凸状に膨らんでいなくても良い。
【0076】
更に、ガイドレール3の湾曲は直角状に限らず鈍角状、鋭角状でも良く、ガイドレール3の全体が弧状に湾曲しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る幕開閉装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線及びB−B線夫々の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る幕開閉装置が備えるガイドレールの湾曲部にて先導ランナが傾倒した状態を示す正面断面図である。
【図4】本発明に係る幕開閉装置が備える一方の先導ランナの構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る幕開閉装置が備える一方の先導ランナの構成を示す側面図である。
【図6】本発明に係る幕開閉装置が備える他方の先導ランナの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る幕開閉装置が備える他方の先導ランナの構成を示す側面図である。
【図8】本発明に係る幕開閉装置が備える索条の平面視の配置を示す模式図である。
【図9】従来の幕開閉装置の構成を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1,2 先導ランナ
11,21 第1転動輪
12,22 第2転動輪
13,23 吊り下げ部
141,142,241,242 貫通孔
3 ガイドレール
31,33 レール本体
32,34 本体支持部
4 カーテン(幕体)
5 索条
6 幕開閉装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールに案内されて幕体の開閉を先導する先導ランナ、及びガイドレールに沿って幕体を開閉する幕開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動開閉式の幕開閉装置は、カーテン、スクリーン等の幕体を、横方向に配されたカーテンレールのようなガイドレールに沿って自動的に開閉する(特許文献1参照)。
【0003】
図9は、特許文献1に開示されているような従来の幕開閉装置の構成を示す正面断面図である。
【0004】
図中80はガイドレール、90は先導ランナであり、ガイドレール80は横方向に配され、先導ランナ90はガイドレール80に支持されている。ガイドレール80は、横断面がL字状になるよう配されたレール本体81及び本体支持部82と、横断面が逆L字状になるよう配されたレール本体83及び本体支持部84とを、レール本体81,83を適長離隔して対向配置し、本体支持部82,84の上部が連結部85によって連結してある。
【0005】
先導ランナ90は、レール本体81,83間に挿嵌される。また、先導ランナ90は、先導ランナ90の上下方向中央部に、レール本体81,83上を横方向に転動する転動輪91,91を備える。また、レール本体81,83間から下方へ突き出す先導ランナ90の下部には、図示しない吊り下げ部が備えられている。更に、ガイドレール80内に配される先導ランナ90上部には、先導ランナ90上部を横方向に貫通する貫通孔92が形成してある。
【0006】
また、幕開閉装置は、ガイドレール80の一端及び他端に、電動のモータによって回転するウインチ及びプーリ(各不図示)を備え、更に、ウインチ及びプーリに張架され、ガイドレール80内にループ状に形成されるワイヤ、紐等の索条8を備える。ループ状である索条8は、ガイドレール80内で先導ランナ90の進行方向の左側と右側とに離隔配置された往路8a及び復路8bを有する。往路8aは、先導ランナ90の貫通孔92に挿通してあり、往路8aと先導ランナ90とは一体に移動する。
【0007】
以上のような幕開閉装置は、モータの回転に応じてウインチ、プーリ及び索条8が回転し、回転する索条8に牽引された先導ランナ90が、吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉をガイドレール80に案内されて先導することによって、幕体を横方向に開閉する。
【特許文献1】特開2004−141274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガイドレール80の全体又は一部が水平方向には湾曲するように配設されている場合、ガイドレール80内でガイドレール80の湾曲部を通過する索条8の往路8a及び復路8bの位置は、湾曲の内側へ偏倚し、本体支持部82,84の一方に接触する。このため、特にガイドレール80が直角状に湾曲している場合、ガイドレール80の湾曲部を先導ランナ90が移動するとき、先導ランナ90の上部が索条8に引っ張られるようにして、先導ランナ90が湾曲の内側に傾倒する。
【0009】
この結果、先導ランナ90の転動輪91の側面、先導ランナ90の上部等が、ガイドレール80に接触して、ガイドレール80と先導ランナ90との間に大きな摩擦抵抗が生じ、先導ランナ90の円滑な移動を阻害するという問題があった。
【0010】
また、ガイドレール80内でガイドレール80の湾曲部を通過する索条8の往路8a及び復路8bの位置が、湾曲の内側へ偏倚することによって、往路8a及び復路8bが1本に重なるように接触し、このため大きな摩擦抵抗が生じて、先導ランナ90の円滑な移動を更に阻害するという問題もあった。
【0011】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、レール本体上を転動する第1転動輪と、傾倒時に本体支持部に接触し、本体支持部に沿って転動する第2転動輪とを備えることにより、ガイドレールに沿って円滑に移動することができる先導ランナを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、2つの貫通孔が上下に離隔するようにしてあることにより、ガイドレールに沿って2個の先導ランナが互いに接離する方向へ移動可能とする場合、一方の先導ランナには上側の貫通孔に索条を挿通し、他方の先導ランナには下側の貫通孔に索条を挿通することができる先導ランナを提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、レール本体上を転動する第1転動輪と、傾倒時に本体支持部に接触し、接触した本体支持部に沿って転動する第2転動輪とを夫々備える2個の先導ランナの貫通孔が、上下に離隔配置してあることにより、ガイドレールに沿って先導ランナが円滑に移動することができる両開きの幕開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係る先導ランナは、横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールの前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪と、幕体を吊り下げる吊り下げ部とを備え、前記吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナにおいて、前記第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る先導ランナは、前記第1転動輪の回転中心線方向、及び上下に夫々離隔して、横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る幕開閉装置は、横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールと、前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪、該第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪、横方向に貫通する貫通孔、及び幕体を吊り下げる吊り下げ部を備え、該吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナ2個と、該先導ランナ2個夫々の前記貫通孔に挿通され、前記先導ランナ2個を接離方向へ移動させるループ状の索条とを備え、前記先導ランナ2個夫々の前記貫通孔が上下に離隔配置してあることを特徴とする。
【0017】
第1発明にあっては、幕開閉装置が備えるガイドレールに先導ランナが支持される。ガイドレールは横方向に配され、レール本体及びレール本体の幅方向端部に縦方向に連なりレール本体を支持する本体支持部を有する。
【0018】
先導ランナは第1転動輪及び第2転動輪と吊り下げ部とを備える。幕体が吊り下げ部に吊り下げられ、第1転動輪がレール本体上を横方向に転動することによって、先導ランナは、吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を、ガイドレールに案内されて先導する。また、第2転動輪は、第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線、例えば上下方向の回転中心線を有し、本体支持部に沿って横方向に転動可能である。
【0019】
このような第2転動輪は、例えば、先導ランナが、先導ランナの進行方向の左側(又は右側)に傾倒した状態では、左側(又は右側)に配されている本体支持部に接触し、本体支持部に沿って横方向に転動するが、先導ランナが直立した状態では、ガイドレールに接触しないようにしてある。つまり、第2転動輪は、先導ランナが傾倒した状態では先導ランナの円滑な移動を補助し、先導ランナが直立した状態では、先導ランナの円滑な移動を阻害しない。
【0020】
幕開閉装置は、ガイドレールに沿って張架されたループ状の索条を備え、索条には先導ランナの上部が係止される。
【0021】
ガイドレールの途中が水平方向に湾曲している場合、索条が湾曲の内側へ偏倚し、このため先導ランナの上部が湾曲の内側へ引っ張られる。しかしながら、第2転動輪が本体支持部に接触し、本体支持部に沿って転動するため、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することが防止される。この結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じず、先導ランナの円滑な移動が阻害されない。
【0022】
第2発明にあっては、第1転動輪の回転中心線方向に離隔して横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあり、この貫通孔の一方に索条が挿通される。
【0023】
例えば、両開きの幕開閉装置の場合、2個の先導ランナが、ループ状の索条の往路及び復路に一対一対応で係止される。
【0024】
貫通孔が夫々に1つしか形成されていない従来の2個の先導ランナは、互いの貫通孔の形成位置が上下方向に同じであるため、一方の先導ランナの貫通孔に往路を挿通し、他方の先導ランナの貫通孔に復路を挿通した場合、往路と復路との上下方向の位置が同じになり、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したとき、往路と復路とが接触する。また、ガードレールの湾曲部における往路と復路との接触を防止するためには、互いの貫通孔の形成位置が上下方向に異なる2個の先導ランナ、即ち複数種類の先導ランナが必要になる。
【0025】
一方、本発明の先導ランナを2個用いた場合、一方の先導ランナの上側の貫通孔に往路(又は復路)を挿通し、他方の先導ランナの下側の貫通孔に復路(又は往路)を挿通することによって、往路と復路とが上下方向に離隔され、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したときでも、往路と復路とが接触しない。つまり、幕開閉装置に、複数種類の先導ランナを備える必要がない。
【0026】
第3発明にあっては、両開きの幕開閉装置である。幕開閉装置は、横方向に配されたガイドレールと、横方向に貫通する貫通孔が形成してある第1発明の先導ランナ2個とを備える。2個の先導ランナはガイドレールに支持され、一方の先導ランナの貫通孔には往路が挿通され、他方の先導ランナの貫通孔には復路が挿通される。2個の先導ランナは、互いの貫通孔が上下に離隔配置してあるため、往路と復路とが上下に離隔配置される。
【0027】
ガイドレールの途中が水平方向に湾曲している場合、ガイドレールの湾曲部で、索条の往路及び復路夫々の位置が、湾曲の内側へ偏倚する。しかしながら、往路と復路とが上下に離隔配置されるため、湾曲の内側へ偏倚した索条の往路及び復路が1本に重なるように接触することが防止される。つまり、2個の先導ランナ夫々に形成してある貫通孔が、往路と復路との接触を防止する接触防止手段として機能する。
【0028】
以上の結果、索条に大きな摩擦抵抗が生じず、しかも、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナの円滑な移動が阻害されない。
【発明の効果】
【0029】
第1発明の先導ランナによれば、ガイドレールの湾曲部における先導ランナの傾倒時に、第2転動輪が本体支持部に接触し、接触している本体支持部に沿って転動するため、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することを防止することができる。この結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナは円滑に移動することができる。
【0030】
第2発明の先導ランナによれば、先導ランナを2個用いた場合、一方の先導ランナの上側の貫通孔に往路(又は復路)を挿通し、他方の先導ランナの下側の貫通孔に復路(又は往路)を挿通することによって、往路と復路とを上下方向に離隔することができ、このためガードレールの湾曲部で往路と復路とが内側に偏倚したときでも、往路と復路との接触を防止することができる。この場合、幕開閉装置に、複数種類の先導ランナを備える必要がない。この結果、先導ランナの量産によって先導ランナの製造コストを低減することができる。
【0031】
また、先導ランナが、貫通孔が形成されている部品と形成されていない部品との組み合わせで構成されている場合、2個の先導ランナの内、貫通孔が形成されていない部品の形状が夫々異なるときでも、貫通孔が形成されている部品は共通化することができる。このため、この部品の量産によって先導ランナの製造コストを低減することができる。
【0032】
第3発明の幕開閉装置によれば、先導ランナの第1転動輪及び第2転動輪夫々の周面以外がガイドレールに接触することを防止することができる。また、2個の先導ランナ夫々に形成してある貫通孔が、索条の往路及び復路の接触を防止する接触防止手段として機能する。以上の結果、ガイドレールと先導ランナとの間に大きな摩擦抵抗が生じず、しかも索条に大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナは円滑に移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0034】
図1は、本発明に係る幕開閉装置6の構成を示す斜視図である。
【0035】
本実施の形態の幕開閉装置6は電動開閉式の幕開閉装置であり、ガイドレール3に沿って、2枚の幕体であるカーテン4,4を両開きに開閉する。幕開閉装置6は、ガイドレール3と、夫々ガイドレール3に支持され、ガイドレール3に案内されてカーテン4,4の開閉を先導する2個の先導ランナ1,2とを備える。また、幕開閉装置6は、ウインチ61、プーリ62、モータ63、及び複数の遊動ランナ64,64,…を備える。
【0036】
図2(a)は、図1におけるA−A線の拡大断面図、即ち先導ランナ1に関して幕開閉装置6の構成を示す正面断面図であり、図2(b)は、図1におけるB−B線の拡大断面図、即ち先導ランナ1と対をなす先導ランナ2に関して幕開閉装置6の構成を示す正面断面図である。また、図3(a)は、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ1が傾倒した状態を示す正面断面図であり、図3(b)は、ガイドレール3の湾曲部にて先導ランナ2が傾倒した状態を示す正面断面図である。
【0037】
図4は、先導ランナ1の構成を示す斜視図、図5は、同じく側面図であり、図6は、先導ランナ2の構成を示す斜視図、図7は、同じく側面図である。
【0038】
図8は、幕開閉装置6が更に備える索条5の平面視の配置を示す模式図である。この索条5は、カーテン4,4を牽引するための引き紐である。
【0039】
ガイドレール3は、水平方向に配された角筒状をなしており、L字状に配された2面の窓の図示しない窓枠の上部に、レール支持具7を用いて固定されている。このために、ガイドレール3は、直角状に湾曲する湾曲部と、湾曲部の両端に夫々連設されている2個の直線部とを有する。
【0040】
ガイドレール3は、レール本体31、及びレール本体31の幅方向端部に縦方向に連なりレール本体31を支持する本体支持部32を備え、更に、レール本体31及び本体支持部32と略同様に構成されたレール本体33及び本体支持部34を備え、更にまた、本体支持部32,34の上端同士を連結する連結部35を備える。レール本体31,33、本体支持部32,34及び連結部35は一体成型された板状である。また、連結部35は、レール支持具7に固定されている。
【0041】
ガイドレール3は、レール本体31及び本体支持部32をL字(又は逆L字)に配し、しかもこれらを湾曲の外側に配し、レール本体33及び本体支持部34を逆L字(又はL字)に配し、しかもこれらを湾曲の内側に配している。また、ガイドレール3は、レール本体31,33間に空隙を設け、連結部35が本体支持部32,34間を連結支持して、レール本体31及び本体支持部32とレール本体33及び本体支持部34とを対向配置してある。このため、ガイドレール3の正面断面形状は、下向き開口の略コ字状である。更に、レール本体31,33の上面は略水平である。また、レール本体31,33間の空隙は、先導ランナ1,2及び遊動ランナ64,64,…が挿嵌されて、これらを案内する案内溝36である。
【0042】
ガイドレール3の一端側には、その回転軸が鉛直方向に配されたウインチ61と、ウインチ61を正回転、逆回転、及び停止させる電動のモータ63とが配置してある。また、ガイドレール3の他端側には、その回転軸が鉛直方向に配されたプーリ62が配置してある。モータ63は、図示しない配線によって電源に接続されて駆動用の電力を得るよう構成されている。
【0043】
索条5は、ガイドレール3に沿ってガイドレール3内に、ウインチ61とプーリ62とに渡してループ状に張架してある。ループ状である索条5は、往路5a及び復路5bを有する。図8においては、説明のため、往路5aを実線で、復路5bを破線で模式的に示してある。
【0044】
更に、索条5の途中には、先導ランナ1,2が係止してある。このため、モータ63に駆動されるウインチ61、及び索条5を介してウインチ61に従動するプーリ62が正回転又は逆回転した場合、ウインチ61及びプーリ62に張架してある索条5が正回転又は逆回転し、この結果、先導ランナ1が往路5aに、先導ランナ2が復路5bに牽引され、ガイドレール3に案内されて接離方向へ移動する。図4及び図6に夫々示す白抜矢符は、カーテン4,4を閉じる場合、即ち先導ランナ1,2が互いに接近する方向に移動する場合の先導ランナ1,2夫々の進行方向である。
【0045】
ガイドレール3の直線部においては、ウインチ61及びプーリ62によって、索条5は、往路5aが本体支持部34側、復路5bが本体支持部32側に離隔されている。一方、ガイドレール3の曲線部においては、索条5の位置は、本体支持部34側へ偏倚する。このため、ガイドレール3の湾曲部を先導ランナ1,2が移動するとき、先導ランナ1,2は、索条5によって本体支持部34側へ引っ張られて傾倒する。
【0046】
先導ランナ1は、ランナ本体101,102と、ランナ本体101,102を連結する細幅の連結板15とを備える。ランナ本体101,102は互いに略同様の構成及び作用を有し、ランナ本体101,102夫々の下部が連結板15の一端近傍と他端近傍とにネジどめされて、約70mm離隔して、側面視左右対称に対向配置されている。つまり、先導ランナ1は、側面視が、上向き開口のコ字状である。ここで、ランナ本体101は、先導ランナ1が図4中白抜矢符方向に移動している場合の先頭側に配され、ランナ本体102は後尾側に配されている。以下では、ランナ本体101に関して説明する。
【0047】
ランナ本体101は、ガイドレール3の案内溝36に挿嵌されて、ランナ本体101上部及び上下方向中央部がガイドレール3内に配され、連結板15にネジどめされたランナ本体101下部がガイドレール3外に配される。このため、連結板15はガイドレール3に当接しない。ランナ本体101の上下方向中央部には、第1転動輪11,11及び第2転動輪12が備えられ、上部には貫通孔141,142が形成されている。
【0048】
第1転動輪11,11は、短小な円筒状であり、ランナ本体101によって回転可能に支持される側面視前後方向に配された軸を有し、ガイドレール3のレール本体31,33上を横方向に転動する。先導ランナ1は、第1転動輪11,11がレール本体31,33上に転接することによってガイドレール3に支持される。
【0049】
第2転動輪12は、周面が滑らかな凸状に膨らんでいる短小な円筒状であって、ガイドレール3の本体支持部32,34間の距離より小さい最大外径を有し、更に、ランナ本体101によって回転可能に支持される上下方向に配された軸を有する。つまり、第1転動輪11,11及び第2転動輪12は、互いの回転中心線が略直交するように、ランナ本体101の上下方向中央部に配されている。
【0050】
ガイドレール3の直線部においては、図2(a)に示すように、先導ランナ1は傾倒しない。即ち先導ランナ1は直立する。この場合、ランナ本体101に関しては、第1転動輪11,11の周面がガイドレール3に接触し、これ以外はガイドレール3に当接しない。このとき、第2転動輪12の周面もガイドレール3に当接せず、このため第2転動輪12は転動しない。つまり、第2転動輪12は、先導ランナ1の円滑な移動を阻害しない。
【0051】
ガイドレール3の湾曲部においては、図3(a)に示すように、先導ランナ1は本体支持部34側へ傾倒する。この場合、ランナ本体101は、レール本体33上の第1転動輪11の周面がレール本体33に接触し、更に、第2転動輪12の周面が本体支持部34に接触し、これら以外はガイドレールに当接せず、レール本体31上の第1転動輪11はレール本体31から浮き上がる。このとき、第2転動輪12は本体支持部34に沿って横方向に転動する。つまり、第2転動輪12は、先導ランナ1の円滑な移動を補助する。
【0052】
貫通孔141,142は、互いに第1転動輪11,11の回転中心線方向に離隔して、ランナ本体101の上部に、横方向に貫通して形成されている。具体的には、貫通孔141が本体支持部34側、貫通孔142が本体支持部32側に配されている。また、貫通孔141,142は、貫通孔141が上側、貫通孔142が下側になるように、上下に離隔した位置に形成されている。更に、貫通孔141に往路5aが挿通されており、貫通孔142には索条5は挿通されていない。索条5は、貫通孔141に挿通する位置で、往路5aが上側に持ち上げられる。一方、復路5bは、ランナ本体101上部の貫通孔141が形成してある位置の下側を通過している。
【0053】
ただし、図8においては、説明のために、貫通孔141,142が上下方向に貫通しているように模式的に図示してある。
【0054】
以上のような第1転動輪11,11、第2転動輪12、及び貫通孔141,142は、ランナ本体102にも設けられている。
【0055】
往路5aには、索条5のたるみ又は収縮を吸収するために、その両端が往路5aに連結されたコイルスプリング51が介装してある。伸縮していない状態のコイルスプリング51の長さは、ランナ本体101,102の離隔距離よりも1割程度短い。往路5aは、ランナ本体101の貫通孔141のみならず、ランナ本体102の貫通孔141にも挿通してあり、ランナ本体101,102間にコイルスプリング51が配されている。索条5が回転した場合、往路5aの移動に伴って、コイルスプリング51が先導ランナ1の進行方向先頭側のランナ本体101又はランナ本体102(図4中はランナ本体101)に当接し、このため先導ランナ1が索条5に牽引される。即ち、コイルスプリング51は、先導ランナ1に索条5を係止する機能も有する。
【0056】
連結板15のランナ本体101ネジどめ位置近傍には、吊り下げ部13が形成してある。吊り下げ部13は、ランナ本体101を側面視前後方向に貫通する孔であり、カーテン4の先端に設けられている鉤状部材41が吊り下げ部13に係止されることによって、ランナ本体101はカーテン4,4の一方を吊り下げる。
【0057】
以上のような先導ランナ1は、第1転動輪11,11,…がレール本体31,33上を横方向に転動することによって、又は、第1転動輪11,11がレール本体33上を、第2転動輪12,12が本体支持部34に沿って、夫々横方向に転動することによって、吊り下げ部13に吊り下げられたカーテン4の開閉を、ガイドレール3に案内されて先導する。
【0058】
先導ランナ2は、ランナ本体201,202と、ランナ本体201,202を連結する細幅の連結板25とを備える。ランナ本体201,202は、ランナ本体201,202夫々の下部が連結板25の一端近傍と他端近傍とにネジどめされて、約70mm離隔して、側面視左右対称に対向配置されている。つまり、先導ランナ2は、側面視が、上向き開口のコ字状である。ここで、ランナ本体202は、先導ランナ2が図6中白抜矢符方向に移動している場合の先頭側に配され、ランナ本体201は後尾側に配されている。
【0059】
ランナ本体201は、ランナ本体102と略同一の構成及び作用を有し、ランナ本体202は、ランナ本体101と略同一の構成及び作用を有する。このため、ランナ本体201,202が夫々備える第1転動輪21,21、第2転動輪22、及び貫通孔241,242は、ランナ本体102,101が夫々備える第1転動輪11,11、第2転動輪12、及び貫通孔141,142と略同一の構成及び作用を有する。つまり、ランナ本体101,202は共通の部品であり、同様に、ランナ本体102,201も共通の部品である。
【0060】
ただし、貫通孔241,242は、貫通孔141,142とは異なり、貫通孔241が本体支持部32側、貫通孔242が本体支持部34側に配されている。また、貫通孔242に復路5bが挿通されており、貫通孔241には索条5は挿通されていない。索条5は、貫通孔242に挿通する位置で、復路5bが下側に押し下げられる。一方、往路5aは、ランナ本体201及びランナ本体202上部夫々の貫通孔242が形成してある位置の上側を通過している。
【0061】
ただし、図8においては、説明のために、貫通孔241,242が上下方向に貫通しており、往路5aが先導ランナ2の側方を通過しているように、模式的に図示してある。
【0062】
往路5aにコイルスプリング51が介装してあるように、復路5bにはコイルスプリング52が介装してある。コイルスプリング52の構成及び作用は、コイルスプリング51の構成及び作用と略同様である。
【0063】
連結板25のランナ本体202ネジどめ位置近傍には、図6中白抜矢符方向に突出するスプリング状の突出部が設けられており、突出部の先端に、環状の吊り下げ部23が形成してある。カーテン4の先端に設けられている鉤状部材41が吊り下げ部23に係止されることによって、先導ランナ2はカーテン4,4の他方を吊り下げる。
【0064】
更に、先導ランナ2は、連結板25によって回転可能に支持される側面視前後方向に配された軸を有する第3転動輪26を備える。第3転動輪26は、ガイドレール3のレール本体33下面に接触し、レール本体33に沿って横方向に転動する。
【0065】
以上のような先導ランナ2は、先導ランナ1と同様、吊り下げ部23に吊り下げられたカーテン4の開閉を、ガイドレール3に案内されて先導する。この場合、第1転動輪21,21,…がレール本体31,33上を、また、第3転動輪26がレール本体33に沿って、夫々横方向に転動する。又は、第1転動輪21,21がレール本体33上を、また、第3転動輪26がレール本体33に沿って、更に第2転動輪22,22が本体支持部34に沿って、夫々横方向に転動する。
【0066】
ところで、図1に示すように、先導ランナ1とガイドレール3のプーリ62側端部の間、及び先導ランナ2とガイドレール3のウインチ61側端部の間には、ガイドレール3に支持されて、ガイドレール3に摺動可能に設けられている遊動ランナ64,64,…がガイドレール3に配置してあり、遊動ランナ64,64,…には、カーテン4,4の上端に設けられた鉤状部材42,42,…が係止してある。遊動ランナ64,64,…は、カーテン4,4を吊り下げて、先導ランナ1,2の移動に追動してカーテン4,4の開閉を補佐する。
【0067】
以上のような幕開閉装置6は、カーテン4,4をガイドレール3に沿って電動で自動的に開閉する。また、ガイドレール3の湾曲部における先導ランナ1,2の傾倒時に、第2転動輪12,22,…が本体支持部34に沿って転動する。このため、先導ランナ1,2の傾倒時及び非傾倒時の両方において、先導ランナ1,2の第1転動輪11,21,…、第2転動輪12,22,…及び第3転動輪26夫々の周面以外がガイドレール3に接触することを防止することができる。
【0068】
また、先導ランナ1に形成してある貫通孔141,141と先導ランナ2に形成してある貫通孔242,242とが、索条5の往路5a及び復路5bを上下に離隔させてこれらの接触を防止する。このため、ガイドレール3の湾曲部において、往路5a及び復路5bが1本に重なるように接触して大きな摩擦抵抗が生じることを防止することができる。
【0069】
更に、ガイドレール3の直線部においては、往路5a及び復路5bとが本体支持部32側と本体支持部34側とに離隔されている。このため、往路5a及び復路5bの接触が防止される。
【0070】
仮に、湾曲部における往路5a及び復路5bの接触を防止するために、往路5a及び復路5bとを、上下方向ではなく本体支持部32側と本体支持部34側とに離隔させる場合、湾曲の外側に配される復路5bが湾曲の内側へ偏倚しようとして、先導ランナ2が更に本体支持部34側へ傾倒して、第2転動輪22,22が本体支持部34に強く押し付けられ、大きな摩擦抵抗が生じる。つまり、往路5a及び復路5bとを上下方向に離隔させることによって、先導ランナ2の傾倒を抑制して、先導ランナ2とガイドレール3との間に大きな摩擦抵抗が生じることを防止することができる。
【0071】
以上の結果、ガイドレール3と先導ランナ1,2との間、及び索条5に、大きな摩擦抵抗が生じないため、先導ランナ1,2は円滑に移動することができる。
【0072】
また、先導ランナ1,2において、ランナ本体101とランナ本体202とを共通化することができ、同様に、ランナ本体102とランナ本体201とを共通化することができる。このため、幕開閉装置6の製造コストを低減することができる。
【0073】
更に、幕開閉装置6は、先導ランナ1,2の配置を容易に入れ替えることができる。この場合、ランナ本体101,202を、先導ランナ1,2が互いに接近する方向に移動する場合の先導ランナ1,2夫々の進行方向先頭側に配し、ウインチ61側に配された先導ランナ1の貫通孔142,142と、プーリ62側に配された先導ランナ2の貫通孔241,241とに往路5a及び復路5bを夫々挿通する。
【0074】
なお、本実施の形態においては電動開閉式で両開きの幕開閉装置6を例示したが、手動開閉式の幕開閉装置でも良く、片開きの幕開閉装置でも良い。また、幕開閉装置6が開閉する幕体は、カーテン4,4に限定されるものではなく、舞台の幕、スクリーン等でも良い。
【0075】
また、第1転動輪11,21の周面は、第2転動輪12,22の周面のように凸状に膨らんでいても良い。また、第2転動輪12,22の周面は凸状に膨らんでいなくても良い。
【0076】
更に、ガイドレール3の湾曲は直角状に限らず鈍角状、鋭角状でも良く、ガイドレール3の全体が弧状に湾曲しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る幕開閉装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線及びB−B線夫々の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る幕開閉装置が備えるガイドレールの湾曲部にて先導ランナが傾倒した状態を示す正面断面図である。
【図4】本発明に係る幕開閉装置が備える一方の先導ランナの構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る幕開閉装置が備える一方の先導ランナの構成を示す側面図である。
【図6】本発明に係る幕開閉装置が備える他方の先導ランナの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る幕開閉装置が備える他方の先導ランナの構成を示す側面図である。
【図8】本発明に係る幕開閉装置が備える索条の平面視の配置を示す模式図である。
【図9】従来の幕開閉装置の構成を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1,2 先導ランナ
11,21 第1転動輪
12,22 第2転動輪
13,23 吊り下げ部
141,142,241,242 貫通孔
3 ガイドレール
31,33 レール本体
32,34 本体支持部
4 カーテン(幕体)
5 索条
6 幕開閉装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールの前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪と、
幕体を吊り下げる吊り下げ部と
を備え、前記吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナにおいて、
前記第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪を備えることを特徴とする先導ランナ。
【請求項2】
前記第1転動輪の回転中心線方向、及び上下に夫々離隔して、横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあることを特徴とする請求項1に記載の先導ランナ。
【請求項3】
横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールと、
前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪、該第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪、横方向に貫通する貫通孔、及び幕体を吊り下げる吊り下げ部を備え、該吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナ2個と、
該先導ランナ2個夫々の前記貫通孔に挿通され、前記先導ランナ2個を接離方向へ移動させるループ状の索条と
を備え、
前記先導ランナ2個夫々の前記貫通孔が上下に離隔配置してあることを特徴とする幕開閉装置。
【請求項1】
横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールの前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪と、
幕体を吊り下げる吊り下げ部と
を備え、前記吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナにおいて、
前記第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪を備えることを特徴とする先導ランナ。
【請求項2】
前記第1転動輪の回転中心線方向、及び上下に夫々離隔して、横方向に貫通する2つの貫通孔が形成してあることを特徴とする請求項1に記載の先導ランナ。
【請求項3】
横方向に配され、レール本体及び該レール本体の幅方向端部に縦方向に連なり前記レール本体を支持する本体支持部を有するガイドレールと、
前記レール本体の上を横方向に転動する第1転動輪、該第1転動輪の回転中心線と交差する回転中心線を有し、前記本体支持部に沿って横方向に転動可能とする第2転動輪、横方向に貫通する貫通孔、及び幕体を吊り下げる吊り下げ部を備え、該吊り下げ部に吊り下げられた幕体の開閉を先導する先導ランナ2個と、
該先導ランナ2個夫々の前記貫通孔に挿通され、前記先導ランナ2個を接離方向へ移動させるループ状の索条と
を備え、
前記先導ランナ2個夫々の前記貫通孔が上下に離隔配置してあることを特徴とする幕開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−217970(P2006−217970A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31963(P2005−31963)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(596168867)ナビオ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(596168867)ナビオ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]