説明

光イメージング用造影剤の製造方法

【課題】疎水性溶媒に対して溶解度の低いスルホン酸基を有する親水性色素の溶解性を高め、スルホン酸基を有する親水性色素の含有量の高い光イメージング用造影剤を作製する方法を提供すること。
【解決手段】スルホン酸基を有する親水性色素と、疎水性溶媒と、正帯電部位を有する脂質と、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物を用意する工程と、前記組成物と水を混合する混合工程と、前記混合工程の後に、前記重合性モノマーあるいは前記プレポリマーを重合する工程と、を有することを特徴とする光イメージング用造影剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドシアニングリーン等の親水性色素を含有する組成物を用いた造影剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病気の診断等を行う目的で生体内部の情報を可視化する方法として、X線、核磁気共鳴、超音波等を使った生体イメージングが行われている。近年、特に非侵襲的に診断ができる方法として、近赤外光を使った蛍光法あるいは光音響トモグラフィーによるイメージング法が注目されている。
【0003】
蛍光法は蛍光色素に光を照射し、色素が発する蛍光を検出する方法で、各種イメージングに広く用いられている。光音響トモグラフィーは、光エネルギーを吸収した分子が放出する熱が起こす体積膨張により生じる音響波を検出する方法であり、同様にイメージングに用いられる。
【0004】
蛍光法や光音響トモグラフィーにおいて、観察対象部位の信号強度を増幅するために、色素を造影剤として用いることができる。この場合、色素を粒子、ミセル、ポリマーミセル、リポソーム等(総称して粒子等という)に集積することが望まれる。集積することにより、信号を局所的に増強することができるためである。
【0005】
インドシアニングリーン(Indocyanine Green、以下ICGと略す場合がある)は近赤外領域に最大吸収波長をもつ蛍光色素である。ICGは承認された医薬品であり、肝機能検査、循環機能検査、乳癌のセンチネルリンパ節の同定等の診断に用いられている。ICGをはじめとするスルホン酸基を有する親水性色素は体外に排出されやすいため、人体への投与における安全性が高い。そのため、ICG等のスルホン酸基を有する親水性色素は、上記の生体イメージングに安全に用いられることが期待されることから、スルホン酸基を有する親水性色素を含有する粒子等が造影剤として求められる。
【0006】
非特許文献1にはエマルション法によりICGを含有したポリビニルアルコール被覆粒子を製造することが記載されている。ここで、エマルション法とは、親水性溶媒と疎水性溶媒を混和して、液・液分散状態とすることで粒子を形成する方法をさす。この粒子は概ね次のように作製されている。すなわち、メタノール−ジクロロメタンの混合物にICG及び乳酸グリコール酸共重合体(poly(lactide-co-glycolide)、以下PLGAと略すことがある)を溶解したICG/PLGA溶液を、界面活性剤である部分鹸化ポリビニルアルコールの水溶液中に乳化分散させ、減圧によりメタノールとジクロロメタンの混合物を留去することにより、ICG含有粒子が得られている。ICGは光を吸収して蛍光を発することや、光を吸収して音響波を発することが知られているため、このICG含有粒子は蛍光イメージング用の造影剤や光音響イメージング用造影剤など、光イメージング用造影剤として用いることができるとされている。
【0007】
ICGはスルホン酸基を有する親水性色素であり、水や極性の高い溶媒であるメタノール等に溶解させることはできるが、極性が低く水とほとんど混合しない疎水性溶媒には難溶である。このため非特許文献1では、ICGを、極性の高いメタノールを極性の低い疎水性溶媒であるジクロロメタンに加えた、メタノールとジクロロメタンの混合物に溶解している。ここでは、メタノールとジクロロメタンの混合物にICGを溶解させたものをICG溶液と呼ぶ。
【0008】
しかし本発明者らは、ICG溶液と水を混合する時、ICGの多くが水中へ溶出することを見出した。そのため、ICG溶液と水とを混合する工程を含むような製法によって得られる粒子は、粒子内のICG含有量が低いと考えられる。したがって、ICGのようなスルホン酸基を有する親水性色素の含有量の高い粒子を作製する際は、水に対する溶解度の低い疎水性溶媒にスルホン酸基を有する親水性色素を溶解させる方法が好ましいのである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Colloids and Surfaces B: Biointerfaces 75 (2010) 260−267
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、水に対する溶解度の低い疎水性溶媒に対するスルホン酸基を有する親水性色素の溶解性を高め、スルホン酸基を有する親水性色素の含有量の高い光イメージング用造影剤を作製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光イメージング用造影剤の製造方法は、スルホン酸基を有する親水性色素と、疎水性溶媒と、正帯電部位を有する脂質と、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物を用意する工程と、前記組成物と水を混合する混合工程と、前記混合工程の後に、前記重合性モノマーあるいは前記プレポリマーを重合する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
スルホン酸基を有する親水性色素のみを溶解する場合に比べて、スルホン酸基を有する親水性色素に正帯電部位を有する脂質を添加したものを溶解する場合の方が、水に対する溶解度の低い疎水性溶媒に対する当該親水性色素の溶解度が高い。そのため、本発明に係る光イメージング用造影剤の製造方法によれば、スルホン酸基を有する親水性色素と正帯電部位を有する脂質とを疎水性溶媒に溶解させることにより、親水性溶媒を用いなくても当該親水性色素を高濃度で溶解させることができるので、スルホン酸基を有する親水性色素の含有量の高い光イメージング用造影剤の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図である。
【図2】リン脂質添加によるICGのクロロホルムへの溶解性の向上を示した図である。
【図3】リン脂質添加によるICGのジクロロメタンへの溶解性の向上を示した図である。
【図4】ジクロロメタン・メタノール混液へのICGの溶解性を比較した図である。
【図5】ジクロロメタン・メタノール混液に溶解したICG溶液からのICGの水への溶出性を比較した図。
【図6】ICGの濃度と光吸収量との関係を示すICG標準曲線図である。
【図7】リン脂質を添加したICGのクロロホルム溶液から水中へ溶出したICGの割合を比較した図である。
【図8】リン脂質を添加したICGのジクロロメタン溶液から水中へ溶出したICGの割合を比較した図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る光イメージング用造影剤の製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る光イメージング用造影剤の製造方法は、スルホン酸基を有する親水性色素と、疎水性溶媒と、正帯電部位を有する脂質と、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物を用意する工程と、前記組成物と水を混合する混合工程と、前記混合工程の後に、前記重合性モノマーあるいは前記プレポリマーを重合する工程と、を有する。
【0015】
本発明に係る光イメージング用造影剤の製造方法の一実施形態について図9を用いて説明する。
まず、スルホン酸基を有する親水性色素101と、疎水性溶媒102と、正帯電部位を有する脂質103と、重合性モノマーあるいはプレポリマー104とを有する組成物105を用意する。次に組成物105と、水106とを混合する。混合して得られた液体に超音波などを照射することにより、エマルションを得る。このとき得られたエマルションの分散質107は、上記の組成物105を有する。エマルションの分散に含まれる成分である、重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合することで、光イメージング用造影剤108を得ることができる。
【0016】
なお、重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合する前に、エマルションの分散質から、疎水性溶媒を除去することが好ましい。疎水性溶媒を除去する方法としては、減圧する方法などが挙げられる。
【0017】
スルホン酸基を有する親水性色素と疎水性溶媒との混合物に、正帯電部位を有する脂質が含まれていることにより、スルホン酸基を有する親水性色素の疎水性溶媒に対する溶解度が高くなる。その理由は次のように考えられている。すなわち、スルホン酸基を有する親水性色素のスルホン酸基と、正帯電部位を有する脂質の正帯電部位とが、電荷を打ち消しあい、塩を形成している状態であると考えられる。ここで、スルホン酸基を有する親水性色素の水溶性の性質はそのスルホン酸基によるものと考えられるので、この親水性色素のスルホン酸基に脂質の正帯電部位を会合させることで、疎水性の組成物が形成されると考えられる。そして、疎水性の組成物は疎水性溶媒に溶けやすいため、光イメージング用造影剤に、スルホン酸基を有する親水性色素を多く含有させることができると考えられる。また、メタノールのような極性の高い溶媒を用いていないため、疎水性溶媒から水へ、スルホン酸基を有する親水性色素が移行しにくいという効果も得られると考えられる。
【0018】
以下に述べるように、上記の組成物は、スルホン酸基を有する親水性色素と疎水性溶媒とリン脂質を有する組成物であり、そのリン脂質の脂肪酸鎖が飽和脂肪酸鎖であることが好ましい。すなわち、リン脂質の添加は、スルホン酸基を有する親水性色素の疎水性溶媒への溶解度を高める効果が大きい。また、添加されるリン脂質の脂肪酸鎖が飽和脂肪酸鎖であることにより、水と当該組成物とを混和してエマルション法により当該組成物の粒子を形成した際、粒子内から水中へのスルホン酸基を有する親水性色素の溶出量が抑制される。従って、飽和脂肪酸鎖を有するリン脂質を添加した組成物を用いれば、水中への、スルホン酸基を有する親水性色素の漏出の少ない粒子を作製することができ、蛍光法、及び光音響トモグラフィー等に有効に用いられる、スルホン酸基を有する親水性色素の濃度が高い造影剤を調製できる。
【0019】
なお、スルホン酸基を有する親水性色素にリン脂質を添加することにより、スルホン酸基を有する親水性色素の疎水性溶媒への溶解度が高められる理由は、上に述べたように一部のリン脂質の正帯電部位がスルホン酸基を有する親水性色素の親水基(ICGであればスルホン酸基)に会合し、スルホン酸基を有する親水性色素が疎水性溶媒に溶解しやすくなるためと考えられる。
【0020】
一方、リン脂質を添加した組成物を水と混和した時、水中へのスルホン酸基を有する親水性色素の溶出量が抑制されるメカニズム、特に、飽和脂肪酸鎖を有するリン脂質の添加が有効である理由は以下のように考えられる(図1を参照されたい)。リン脂質として飽和脂肪酸鎖を有する場合(図1右、本図では飽和脂肪酸鎖が100%)、リン脂質として不飽和脂肪酸鎖を有する場合(図1左、本図では不飽和脂肪酸鎖が100%)を比較する。それぞれのリン脂質と親水性色素と疎水性溶媒からなる組成物と水とを混和した時、いずれの組成物も疎水性溶媒1を有するため、水2と相分離する。そして、いずれの混合物もリン脂質を含有しているため、組成物と水との界面にリン脂質が配向して膜を形成する。この界面に配向したリン脂質膜は組成物中に含まれるスルホン酸基を有する親水性色素3が水相に移行するのを抑制するバリアとなる。ここで、不飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質5は、振動や回転運動をしたときに、隣接するリン脂質同士が隙間を形成しやすい。一方で、リン脂質として飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質4は、振動や回転運動をしたときに、隣接するリン脂質同士が隙間を形成しにくい。すなわち、隣り合ったリン脂質同士の距離が狭い状態を保つことができる。このような理由により、本実施形態に係る組成物においては、リン脂質として不飽和脂肪酸を主要にもつ組成物と比較して、スルホン酸基を有する親水性色素3が水相に移行するのが抑制される。
【0021】
<光イメージング用造影剤>
本発明は光イメージング用造影剤の製造方法に関するものである。光イメージングとは、光を照射することで、対象物をイメージング(画像化)することを意味する。本発明により製造される光イメージング用造影剤はスルホン酸基を有する親水性色素を含み、これに光が照射されることで、音響波や蛍光などを発する。そして、発せられた音響波を検出することで光音響イメージングをすることができ、発せられた蛍光を検出することで蛍光イメージングをすることができる。なお、光音響イメージングは、光音響トモグラフィー(断層撮影法)を含む概念である。
【0022】
本発明の方法により製造される光イメージング用造影剤は、さらに、例えば生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、以下PBSと略すことがある)などの分散媒を有していてもよい。また、本発明の方法により製造される光イメージング用造影剤は、必要に応じて薬理上許容できる添加物を有していても良い。
【0023】
本発明の方法により製造される光イメージング用造影剤は、スルホン酸基を有する色素を含む粒子を上記の分散媒に予め分散させておいてもよいし、キットにしておき、生体内に投与する前に上記粒子を分散媒に分散させて使用してもよい。このようにして、本発明により製造される光イメージング用造影剤は、光音響イメージング用造影剤や、蛍光イメージング用造影剤として利用することができる。
【0024】
本発明により製造される光イメージング用造影剤は、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果を利用することで、生体内に投与したときに、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多く集積させることができる。その結果、複合体を生体内に投与した後、生体に光を照射して、生体からの音響波や蛍光を検出するときに、腫瘍部位から発せられる音響波や蛍光の強度を正常部位から発せられる音響波や蛍光よりも大きくすることができる。従って、本実施形態に係る複合体は腫瘍部位を特異的に検出する光イメージング用造影剤として用いることができる。
【0025】
(スルホン酸基を有する親水性色素)
上記スルホン酸基を有する親水性色素は、生体内で利用するにあたり、色素は生体から排出されやすい親水性の物質であるため、安全性が高く好ましい。また、上記スルホン酸基を有する親水性色素としては、生体内における光の吸収、拡散の影響が少ない「生体の窓」と呼ばれる600ナノメートル以上1300ナノメートル以下の波長に吸収を持つものが好ましい。
【0026】
前記スルホン酸基を有する親水性色素としては、例えば、アジン系色素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、テトラサイクリン系色素、フラボン系色素、ポリエン系色素、BODIPY(登録商標)系色素、インジゴイド系色素を挙げることが出来る。
【0027】
前記シアニン系色素としては、例えば、インドシアニングリーン(ICG)、Alexa Fluor(登録商標)系色素(インビトロジェン社製)、Cy(登録商標)系色素(GE ヘルスケア バイオサイエンス社製)、IR−783 、IR−806、IR−820(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)、IRDye 800CW、IRDye 800RS(登録商標)(LI−COR社製)、ADS780WS、ADS795WS、ADS830WS、ADS832WS(American Dye Source社製)を挙げることが出来る。
【0028】
特に好ましいシアニン系色素は、ICGである。ICG(インドシアニングリーン)は下記の化学式1で示される構造を有する。ただし、下記構造中、対イオンはNaでなくともよく、例えばHあるいはK等であり得る。
【化1】

【0029】
なお、上記のIR−820は下記の化学式2で示される。
【化2】

【0030】
好適なICG濃度範囲は、0.6〜16mMの範囲である。
前記インジゴイド系色素としては、例えば、インジゴカルミンを挙げることが出来る。
これらの親水性色素は、単独で使用してもよく、任意に混合して使用してもよい。
また、本実施形態において、パテントブルーなどの親水性色素を用いることもできる。
【0031】
(正帯電部位を有する脂質)
正帯電部位を有する脂質とは、脂質のうちその構造の一部に、陽イオンの部分構造を有する脂質のことを言う。このような脂質の例としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルセリン等のグリセロ脂質、スフィンゴミエリン、スフィンゴリン脂質及びスフィンゴシン等のスフィンゴ脂質、ノイラミン酸等のアミノ糖部分を有するスフィンゴ糖脂質等の糖脂質、コレステリル−3β−カルボキシアミドエチレン−N−ヒドロキシエチルアミン及び3([N−N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール等の合成コレステロール類、ラウリルアミン、ステアリルアミン、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(略称DOTMA)及び2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロ酢酸(略称DOSPA)等の合成脂質、並びにエーテル型リン脂質及びカチオニック脂質等を挙げることができる。正帯電部位を有する脂質としては、他にも、1,2-di-o-acyl-sn-glycero-3-phosphocholine、1,2-diacyl-3-trimethylammonium propane chloride、o,o’-ditetradecanoyl-N-(α-trimethylammonioacetyl)diethanolamine chloride等を使用することができる。
また、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルセリンの例としては、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン及びジアシルホスファチジルセリンなどが挙げられる。
なお、正帯電部位を有する脂質は、一種類を用いてもよく、複数種類を用いてもよい。
【0032】
(リン脂質)
正帯電部位を有する脂質は、リン脂質であることが好ましい。
本明細書中、リン脂質とは2本の脂肪酸鎖がエステル結合したグリセロリン脂質を指す。リン脂質として、脂肪酸の炭素数は8〜22、好ましくは炭素数10〜20程度の脂肪酸を用いることができ、例えば、炭素数14、炭素数16、炭素数18などが好適である。
【0033】
具体例を挙げるならば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリンを好適に用いることができる。本実施形態におけるリン脂質として、例えば、1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、DSPE)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DPPE)、1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DMPE)、1,2-Dilauroyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DLPE)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、DOPE)、1,2-Dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DLoPE)、1,2-Dierucoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine(DEPE)、1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phospho-L-serine(ジステアロイルホスファチジルセリン、DSPS)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phospho-L-serine(DPPS)、1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phospho-L-serine(DMPS)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phospho-L-serine(DOPS)、1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(ジステアロイルホスファチジルコリン、DSPC)、1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DPPC)、1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DMPC)、1,2-Dilauroyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DLPC)、1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DOPC)、1,2-Dilinoleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(DLoPC)などが挙げられる。
【0034】
またリン脂質は1種類で用いることもできるし、混合して用いることもできる。リン脂質濃度の範囲は0.6〜50mMの範囲で好適に用いることができる。また、リン脂質の組成物中のモル濃度は、親水性色素の組成物中のモル濃度の少なくとも2分の1であることが好ましく、さらには親水性色素の組成物中のモル濃度の少なくとも2倍であることが好ましい。上記のリン脂質の中で、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルセリンのうち少なくともいずれか一種を含むことが好ましい。
【0035】
リン脂質は、前記の脂肪酸鎖が飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質を使用することで最も高い効果が得られる。しかし発明の本質として飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質が多いほど高い効果が得られるものであり、不飽和脂肪酸の混入により、効果が減弱することはあっても、効果がなくなるわけではない。
【0036】
(疎水性溶媒)
疎水性溶媒とは、水への溶解性がないか又は溶解性が小さい有機溶媒である。
このような有機溶媒の具体例として、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)が挙げられる。疎水性溶媒は一種類で用いても良いし、あるいは2種類以上の疎水性溶媒を適宜の割合で混合して用いることもできる。但し、疎水性溶媒はICG等およびリン脂質を溶解できれば、上記具体例に限定されるものではない。
【0037】
(重合性モノマーあるいはプレポリマー)
本実施形態において、重合性モノマーあるいはプレポリマーは上記の、スルホン酸基を有する親水性色素と疎水性溶媒と正帯電部位を有する脂質とを有する組成物に可溶なものであれば特に限定されない。ここで、プレポリマーとは、重合性モノマーの重合または縮合反応を適当な所で止めた中間生成物のことであり、ポリマーとなる前段階にある状態のものを指す。
重合性モノマーとして例えば、スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、乳酸、グリコール酸などを挙げることができる。
【0038】
(重合開始剤)
上記の重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合させる重合開始剤としては、従来から知られるものを使用できる。その具体例としては、アゾ系開始剤、パーオキサイド系開始剤、レドックス系開始剤、原子移動ラジカル開始剤、ニトロキサイド系開始剤等が挙げられる。特に、種類が豊富でモノマーの種類に合わせて適切なものを選ぶことができ、入手しやすく、安価であるアゾ系開始剤やパーオキサイド系開始剤を用いることが好ましい。
【0039】
(粒子化)
本発明の方法では、水と混和した際に水へのスルホン酸基を有する親水性色素の溶出量が少ない。従って、水に対してO/W型の液・液分散状態を形成する工程と、その後に有機溶剤相を固定する工程とによりスルホン酸基を有する親水性色素を含有する粒子を形成する場合、スルホン酸基を有する親水性色素の利用率を高くすることができる。そのような有機溶剤相の固定工程としては、従来公知のものを用いることができる。一例を示すならば、疎水性溶媒中にスルホン酸基を有する親水性色素を含む組成物に対してこれに可溶な重合性モノマーあるいはプレポリマー、重合開始剤等を添加し、得られた産物を水に添加し、液・液分散させた状態とした後、前記の重合性材料を重合することにより、有機溶剤相を固定し、粒子化することができる。ラジカル重合反応を進めるためには、低温用の熱重合開始剤や、酸化還元型ラジカル発生剤を好適に用いることができる。また別の例を示すならば、前記組成物にジカルボン酸塩化物を加えておき、これをジアミンの水溶液に液・液分散することにより、界面にてジカルボン酸とジアミンとからなる重縮合高分子膜を形成させて有機溶剤相を包含固定して粒子化することができる。このようにしてできた粒子は、蛍光法、及び光音響トモグラフィー等に有効に用いられる造影剤として用いることができる。
【0040】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキル硫酸塩、リン脂質、ポリオキシエチレンソルビタン系脂肪酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを挙げることが出来る。
前記ポリオキシエチレンソルビタン系脂肪酸エステルとしては、Tween20、Tween40、Tween60、Tween80を挙げることが出来る。
前記リン脂質としては、アミノ基、NHS基、マレイミド、メトキシ基のいずれかの官能基とPEG鎖を有するホスファチジル系リン脂質を挙げることができる。
ホスファチジル系リン脂質としては、3−(N−succinimidyloxyglutaryl) aminopropyl, polyethyleneglycol−carbamyl distearoylphosphatidyl−ethanolamine(DSPE−PEG−NHS)、N−(3−maleimide−1−oxopropyl) aminopropyl polyethyleneglycol−carbamyl distearoylphosphatidyl−ethanolamine(DSPE−PEG−MAL)、N−(aminopropyl polyethyleneglycol)−carbamyl distearoylphosphatidyl−ethanolamine(DSPE−PEG−NH2)、N−(Carbonyl−methoxypolyethyleneglycol 2000)−1,2−distearoyl− sn−glycero−3−phosphoethanolamine, sodium salt(SUNBRIGHT DSPE−020CN)、N−(Carbonyl−methoxypolyethyleneglycol 5000)−1,2−distearoyl− sn−glycero−3−phosphoethanolamine, sodium salt(SUNBRIGHT DSPE−050CN)を挙げることができる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、プルロニック(登録商標)F68、プルロニック(登録商標)F127を挙げることが出来る。
これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく、任意に混合して使用してもよい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例及び参考例について説明する。
以下に記した試薬は、インドシアニングリーン(ICG、日本公定書協会製)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、日本油脂製)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、日本油脂製)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE、日本油脂製)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS、日本油脂製)を用いた。なお、このうち、DSPC、DSPS及びDSPEは飽和脂肪酸であり、DOPEは不飽和脂肪酸である。
【0042】
<実施例1>
(リン脂質を添加したICGのクロロホルムへの溶解性)
ICG5.5mgにモル量として2倍量のリン脂質を添加した。リン脂質はDSPC、DOPE、DSPE、DSPSを用いた。これらICG・リン脂質混合物にそれぞれメタノール・クロロホルム1:2混液3mlを加え溶解した。また対照として、ICGのみをメタノール・クロロホルム1:2混液3mlに溶解したものも調製した。次いでこれらの溶液を40℃で減圧下で溶媒を留去した。蒸発乾固させたICG・リン脂質混合物をそれぞれクロロホルム2mlに溶解し、ポアーサイズ0.2μmのフィルターでろ過した。ろ液をそれぞれクロロホルムで1/100倍に希釈し、光路1cmの石英セルを使用し、波長550nm〜900nm間において1nmステップで吸光度を測定した。波長550nm〜900nm間の吸光度値の和を吸収曲線積分値として、結果を図2に示した。
ICGのみをクロロホルムに溶解したものに比較して、DSPC、DOPE、DSPE、DSPSを添加したICGはクロロホルムへの溶解性が50倍程度向上した。
この結果から、DSPC、DOPE、DSPE、DSPSのいずれかの正帯電部位を有する脂質と、ICGと、クロロホルムと、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物と水とを混合し、重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合して得られる光イメージング用造影剤は、ICGを多く含有していると考えられる。
【0043】
<実施例2>
(リン脂質を添加したICGのジクロロメタンへの溶解性)
ICG5.5mgにモル量として2倍量のリン脂質を添加した。リン脂質はDSPC、DOPEを用いた。これらICG・リン脂質混合物をそれぞれジクロロメタン2mlに溶解した。対照として、ICGをメタノールあるいはジクロロメタンにそれぞれ溶解したものも調製した。ICG溶液はすべてポアーサイズ0.2μmのフィルターでろ過した後、それぞれジクロロメタンで1/500倍に希釈し、実施例1と同様に吸収曲線積分値を求め、結果を図3に示した。
ICGのみをジクロロメタンに溶解したものに比較して、DSPC、DOPEを添加したICGはジクロロメタンへの溶解性が6倍程度向上し、ICGをメタノールに溶解したものとほぼ同程度まで溶解した。またICGのメタノール溶液(2.75mg/ml=3.5mM)とジクロロメタン溶液の吸収曲線積分値を比較することにより、リン脂質を添加しない場合、ジクロロメタンにはICGはおよそ0.6mM溶解していると推測された。この結果から、DSPC、DOPE、のいずれかの正帯電部位を有する脂質と、ICGと、ジクロロメタンと、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物と水とを混合し、重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合して得られる光イメージング用造影剤は、ICGを多く含有していると考えられる。また、DSPE、DSPSも正帯電部位を有する脂質であるため、同様に、ICGを多く含有する光イメージング用造影剤を得られると考えられる。
【0044】
<参考例1>
(ジクロロメタン・メタノール混液に溶解させたICGの水への溶出)
(ICG溶液の調製)
ICG11mgをジクロロメタン・メタノール1:2混液あるいはジクロロメタン・メタノール3:1混液4mlにそれぞれ溶解し、ポアーサイズ0.2μmのフィルターでろ過した。それぞれの得られたろ液をICG溶液(1)、(2)とした。
ICG11mgにDSPCをモル比1:2で添加し、メタノール・クロロホルム1:2混液3mlに溶解した。次いでこの溶液を40℃で減圧下で溶媒を留去した。蒸発乾固させたICG・DSPC混合物をジクロロメタン4mlに溶解し、ポアーサイズ0.2μmのフィルターでろ過した。得られたろ液をICG溶液(3)とした。
ICG溶液(1)〜(3)をそれぞれジクロロメタンで1/500倍に希釈し、実施例1と同様に吸収曲線積分値を求め、結果を図4に示した。
ICG溶液(1)〜(3)には、ほぼ同量のICG量が溶解することが分かった。
【0045】
(水へのICG溶出量測定)
水9mlに上記のICG溶液(1)〜(3)をそれぞれ1ml添加した。激しく転倒混和した後、水相5mlを遠心(5000G、室温、5分間)した。上層の水相を1mlとり、これを遠心(20000G、10℃、1時間)した。上清を水で1/50倍希釈し、実施例1と同様に吸収曲線積分値を求め、結果を図5に示した。
メタノールを含んだ溶媒に溶解したICG溶液(1)及び(2)と比較して、メタノールを含んでいないICG溶液(3)は水へのICG溶出が著しく少ないことが分かった。
【0046】
<参考例2>
(リン脂質を添加したICGのクロロホルム溶液から水へのICG溶出)
(ICG標準曲線)
ICG 27.5mgをメタノール15mlに溶解し、メタノールで1/150倍に希釈し、標準試薬原液を調製した。この標準試薬原液の1/2倍希釈系列を調製し、実施例1と同様に波長550nm〜950nm間の吸収曲線積分値を求めた。標準曲線は7水準(6111、3056、1528、764、382、191、95ng/ml)で作製し、図6に示した。
標準曲線は
Y=0.0272X+1.5834 (式1)
で表され、重相関係数は0.9999であった。
【0047】
(ICG・リン脂質のクロロホルム溶液の調製)
ICG5.5mgにリン脂質をモル比1:2で添加した。リン脂質はDSPC、DSPS、DSPE、DOPEを用いた。これらICG・リン脂質混合物をそれぞれクロロホルム2mlに溶解し、ポアーサイズ0.45μmのフィルターでろ過した後、それぞれメタノールで適当に希釈し、実施例1と同様に波長550nm〜950nm間の吸収曲線積分値を求めた。それぞれの吸収曲線積分値を上記式1より濃度換算し、ICG濃度を求めた。その結果を表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
(水へのICG溶出量測定)
上記で得られた、表1に対応するクロロホルム溶液それぞれ1mlを水9mlに添加し、参考例1と同様に水へのICG溶出濃度を求めた。水へのICG添加量に対して、水中に存在したICG量の割合を水中へのICG溶出割合%とし、図7に示した。
飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質である、DSPC、DSPS、DSPEを添加したICGクロロホルム溶液から水中へのICG溶出割合は、不飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質であるDOPE添加ICGクロロホルム溶液に比べて少なかった。
DOPE添加のものに比較して、DSPC添加のものでは約1/80、DSPS添加のものでは約1/13、DSPE添加のものでは約1/2と水中への溶出割合は少なかった。
【0050】
<参考例3>
(リン脂質を添加したICGのジクロロメタン溶液から水へのICG溶出)
(ICG・リン脂質のジクロロメタン溶液の調製)
ICG5.5mgにモル量として2倍量のリン脂質を添加した。リン脂質はDSPC、DSPS、DOPEを用いた。これらICG・リン脂質混合物をそれぞれジクロロメタン2mlに溶解し、ポアーサイズ0.45μmのフィルターでろ過し、参考例2と同様にICG濃度を求めた。その結果を表2に示した。
【0051】
【表2】

【0052】
(水へのICG溶出量測定)
上記で得られた、表2に対応するICGとリン脂質のジクロロメタン溶液それぞれ1mlを水9mlに添加し、参考例1と同様にしてICG濃度を求め、水中へのICG溶出割合%を算出し、図8に示した。
飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質である、DSPC、DSPSを添加したICGジクロロメタン溶液から水中へのICG溶出割合は、不飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質であるDOPE添加ICGクロロホルム溶液に比べて少なかった。
DOPE添加のものに比較して、DSPC添加のものでは約1/18、DSPS添加のものでは約1/1.6と水中への溶出割合は少なかった。
【0053】
<参考例4>
(リン脂質及びICGの組成比)
ICG55mgにそれぞれモル量として0.5、1、2倍量のDSPCを添加した。
これらICG・DSPC混合物にそれぞれクロロホルム3mlを添加した。40℃加温2分間、超音波照射を1分行ったが、完全には溶解しなかった。これら懸濁液をポアーサイズ0.45μmのフィルターでろ過し、不溶物を除去した。ろ液をそれぞれメタノールで1/3000倍に希釈し、参考例2と同様にICG濃度を求めた。その結果を表3に示した。
【0054】
【表3】

【0055】
ICGはDSPC濃度依存的に溶解することが分かった。ICGクロロホルム溶液にDSPCが47.2mM存在することにより、ICGが15.7mMの濃度で溶解した組成物を調製できることが分かった。
【0056】
<実施例3>
(DSPCを添加したIR−820のクロロホルムへの溶解性)
IR−820(5.5mg)にモル量として2倍量のDSPCを添加した。得られたIR−820とDSPCの混合物にメタノールとクロロホルムの混液(メタノール:クロロホルム=1:2)3mlを加え溶解したものを調製した。また比較対照としてIR−820のみをメタノールとクロロホルムの混液(メタノール:クロロホルム=1:2)3mlに溶解したものも調製した。
次いでこれらの調製した溶液を40℃、減圧下で溶媒を留去した。蒸発乾固させたIR−820とDSPCの混合物をクロロホルム2mlに溶解し、ポアーサイズ0.2μmのフィルターでろ過した。ろ液をクロロホルムで1/100から1/1000に希釈し、光路1cmの石英セルを使用し、波長550nm〜900nm間において1nmステップで吸光度を測定した。波長550nm〜900nm間の吸光度値の和を吸収曲線積分値として求めた。その結果、IR−820のみをクロロホルムに溶解したものに比較して、DSPCを添加したIR−820は、クロロホルムへの溶解性が約27倍向上した。
【0057】
この結果から、正帯電部位を有する脂質であるDSPCと、IR−820と、クロロホルムと、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物と水とを混合し、重合性モノマーあるいはプレポリマーを重合して得られる光イメージング用造影剤は、IR−820を多く含有していると考えられる。また、DOPE、DSPE、DSPSも正帯電部位を有する脂質であるため、同様に、IR−820を多く含有する光イメージング用造影剤を得られると考えられる。
【符号の説明】
【0058】
1 疎水性溶媒
2 水
3 スルホン酸基を有する親水性色素
4 飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質
5 不飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質
101 スルホン酸基を有する親水性色素101
102 疎水性溶媒
103 正帯電部位を有する脂質
104 重合性モノマーあるいはプレポリマー104
105 組成物
106 水
107 エマルションの分散質
108 光イメージング用造影剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸基を有する親水性色素と、疎水性溶媒と、正帯電部位を有する脂質と、重合性モノマーあるいはプレポリマーとを有する組成物を用意する工程と、
前記組成物と水を混合する混合工程と、
前記混合工程の後に、前記重合性モノマーあるいは前記プレポリマーを重合する工程と、
を有することを特徴とする光イメージング用造影剤の製造方法。
【請求項2】
前記スルホン酸基を有する親水性色素が、インドシアニングリーンであることを特徴とする請求項1に記載の光イメージング用造影剤の製造方法。
【請求項3】
前記脂質がリン脂質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リン脂質の該組成物中のモル濃度が、前記親水性色素の該組成物中のモル濃度の少なくとも2分の1である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リン脂質の該組成物中のモル濃度が、前記親水性色素の該組成物中のモル濃度の少なくとも2倍である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記リン脂質がジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルセリンのうち少なくともいずれか一種を含むことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の光イメージング用造影剤の製造方法。
【請求項7】
前記疎水性溶媒がクロロホルム、ジクロロメタンのうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光イメージング用造影剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−67085(P2012−67085A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177894(P2011−177894)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、文部科学省、「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成(高次生体イメージング先端テクノハブ)」に係わる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】