説明

光コネクタプラグ

【課題】不用意にあるいは悪戯等により解除レバーが押されてアダプタからプラグ本体が抜脱されるのを未然に防止でき、且つ作業者が勝手に光コネクタプラグを抜いては困るような仕様・用途に対応できる光コネクタプラグを提供する。
【解決手段】アダプタ31へのプラグ本体11の装着後には解除レバー18の後端部がアダプタ内に収納配置して外部からの手動操作が不能となるよう当該後端部を係止部34位置に対応させる。そして、アダプタからプラグ本体を抜去する時にはアダプタの内壁と解除レバーの後端部との間に係合解除用の抜去用キー工具51を差し込むことにより解除レバーをプラグ本体側へ押圧し、係止部に対するラッチ部19a,19bの係合を解除し、プラグ本体をアダプタから抜去できるようにする。また、プラグ本体には、抜去用キー工具を挿入してこの先端を解除レバーの押圧面18Aに案内するためのガイド用キー孔部41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールを備えた光コネクタプラグをアダプタに着脱可能に接続するための光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェルールを備えた光コネクタプラグをアダプタに着脱可能に接続する技術として、プラグ本体の先端外周面から基端側へ向けて斜めに突出させた解除レバーを備えたものがある。この解除レバーの略中間部には、接続する相手側アダプタの内壁に形成されている係止部に係合すべくラッチ片が突設されており、また解除レバー後端には、アダプタからのプラグ本体の抜去が容易な手動操作部が設けられている。
【0003】
そして、プラグ本体をアダプタに装着する時は、そのまま挿入して解除レバーを変形させラッチ片をアダプタ内壁の係止部に係合させる。これにより光コネクタプラグがアダプタから抜けなくなる。また、プラグ本体をアダプタから抜去する時は、手指でもって解除レバー後端の手動操作部を押し下げてラッチ片とアダプタ内壁の係止部との係合を解除した後にプラグ本体を手前に引き抜くようにしていた。
【0004】
具体的には特許文献1に示す光コネクタが公知である。
而して、この特許文献1に示す光コネクタは下記の構成および機能を備えている。
【0005】
コネクタ4aの上面側には、先端側から基端側へ斜め上側に延びる上下方向の弾性を有するレバー部12が一体的に形成されている。レバー部12の長さ方向の途中部には、アダプタ2の上壁部の2つの係止穴2bに係合される左右1対の係合突起13が形成されている。従って、アダプタ2の装着穴2aにコネクタ4aが挿入していくと、レバー部12が弾性変形し、コネクタ4aが所定状態に挿入されると、レバー部12が弾性的に上下へ復帰変形して、1対の係合突起13がアダプタ2の2つの係止穴2bに係合して、2芯コネクタユニット1の装着状態が保持される。
【0006】
前記操作レバー20aは、アダプタ2に装着された2芯コネクタユニット1を取り外す際にユーザーが操作するためのものである。図4、図5に示すように、操作レバー20a
は上下方向に弾性を有し、操作レバー20aはクリップ本体20の上面の途中部から先端側に向かって斜め上方に延びるように形成されている。クリップ5に1対のコネクタ4a、4bを装着した状態において、操作レバー20aの先端部はレバー部12の基端部の上面に重なり、この操作レバー20aの先端部をユーザーが下方へ押動操作すると、1対のレバー部12も下方へ押動され、アダプタ2の装着穴2bに係合している係合突起13の係合が解除され、2芯コネクタユニット1がアダプタ2から取り外し可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−189288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の光コネクタにおいては、解除レバー後端に手動操作部(クリップ)を設けていることにより、アダプタ装着時に不用意にあるいは悪戯等により当該手動操作部が押されてアダプタからプラグ本体が抜脱されてしまう虞れがある。
【0009】
また、高密度実装の光ファイバコネクタシステムでは、狭所においてアダプタおよびプラグ本体がかなり緻密に密集したコンポジットシステムとなっていることから、ある特定のプラグ本体の引き抜き時に、対象とするプラグ本体以外のものまでが手指や引き抜いたプラグ等で押されて抜脱されてしまう虞れがあり、コネクタシステムとしてのセキュリティ機能が十分に果たされていないとともに、アダプタ外部に手動操作部(クリップ)が突出する分高密度実装の障害となっているのが実状である。
【0010】
さらに、従来の光コネクタにおいては、作業者等が勝手に光コネクタプラグを抜いては困るような仕様・用途も存在する。例えば、パッチパネルやHUB、情報コンセント空きボードをロックして、個人情報の保護、不正アクセスやウイルスから大切なデータを保護する等のようなネットワークセキュリティシステムを必要とする場合、従来ではプラグ本体が相手側コネクタやアダプタに装着されていても上記した手動操作部(クリップ)が相手側コネクタやアダプタから常時露出した状態であるため、このような仕様・用途に十分に対応できないという問題点を有していた。
【0011】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、不用意にあるいは悪戯等により手動操作部が押されてアダプタからプラグ本体が抜脱されるのを未然に防止でき、また作業者等が勝手に光コネクタプラグを抜いては困るような仕様・用途にも十分に対応できるようにして、各部署の責任者以外の者にはラッチ片の解除(キー解除)ができないという諸々のプラグセキュリティシステムを構築することのできる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、光ファイバの先端近傍が挿入されたフェルールを内蔵したプラグ本体と、プラグ本体の先端外周面から基端側へ向けて斜め上方向に突出された解除レバーと、接続する相手側アダプタの内壁に形成されている係止部に係合するよう解除レバーに突設されたラッチ部とを備えた光コネクタであって、アダプタへのプラグ本体の装着後には解除レバーの後端部がアダプタ内に収納配置されて外部からの手動操作が不能となるよう当該後端部をアダプタ内壁の係止部位置に対応させて設けたものである。
【0013】
また、アダプタからプラグ本体を抜去する時にはアダプタの内壁と解除レバーの後端部との間に差し込むことにより解除レバー(ラッチ部)をプラグ本体側へ押圧させ、係止部に対するラッチ部の係合を解除可能とした係合解除用の抜去用キー工具を具備してなる。
【0014】
さらに、ラッチ部は、解除レバーの後端部両側から外方に向けて形成され、両ラッチ部に挟まれた後端部中央が略山型湾曲状の押圧面となって形成され、この押圧面に抜去用キー工具の先端に形成された傾斜部が圧接することで解除レバー(ラッチ部)をプラグ本体側へ変位可能に形成してなる。
【0015】
そして、プラグ本体には、抜去用キー工具を挿入させてこの先端を押圧面に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するように形成してなる。そしてまた、プラグ本体のガイド用キー孔部のキー孔内側に1個ないし複数個のガイド突条を設け、該各ガイド突条に対応する1本ないし複数本のキー溝を設けた抜去用工具を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アダプタへのプラグ本体の装着後には解除レバーの後端部がアダプタ内に収納配置されて外部からの手動操作が不能となるよう当該後端部を係止部位置に対応させてなるため、すなわち従来の解除レバーに延在している手動操作部(プラグ本体の装着後のアダプタから露出する部分)を無くしたことから、不用意にあるいは悪戯等により手動操作部(解除レバー)が押されてアダプタからプラグ本体が抜脱されるのを未然に防止でき、また作業者等が勝手に光コネクタプラグを抜いては困るような仕様・用途にも十分に対応できるようにして、会社や事業所等の各部署の責任者以外の者にはラッチ片の解除(キー解除)ができないという諸々の光コネクタプラグセキュリティシステムを構築することができる。
【0017】
また、アダプタからプラグ本体を抜去する時にはアダプタの内壁と解除レバーの後端部との間に係合解除用の抜去用キー工具を差し込むことにより解除レバーを内方(プラグ本体側)へ押圧させ、係止部に対するラッチ部の係合を解除可能に形成したので、アダプタからプラグ本体を抜去する必要が生じたときにのみ抜去用キー工具を差し込むだけでプラグ本体をアダプタから容易に抜去することができる。
【0018】
具体的には、ラッチ部は、解除レバーの後端部両側から外部上方に向けて形成され、両ラッチ部に挟まれた後端部中央が略山型湾曲状の押圧面となって形成され、この押圧面に抜去用キー工具の先端に形成された傾斜部が圧接することで解除レバー(ラッチ部)をプラグ本体側へ変位可能にしたので、抜去用キー工具を使っての解除レバーの内方変位が確実且つスムーズに行え、したがって、プラグ本体の抜去が確実容易に行える。
【0019】
さらに、プラグ本体には、抜去用キー工具を挿入させてこの先端を押圧面に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するよう形成したので、当該キー溝形状とは異なるキー孔形状を有するガイド用キー孔部の場合には抜去用キー工具の挿入が阻止される。
【0020】
これによって種々なキー孔形状を有するプラグ本体および前記キー孔形状に対応する種々なキー溝形状を有する抜去用キー工具を各々複数用意することで当該抜去用キー工具の所有者以外の者によるキー解除を防止することができる。
【0021】
例えば会社や事業所等において、各レベル(部署)の責任者以外の者によるキー解除ができないような光コネクタプラグセキュリティシステムを構築することができる。したがって、光コネクタの仕様・用途等を広範囲に拡げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すプラグ本体と抜去用キー工具の斜視図である。
【図2】同じくプラグ本体の側面図である。
【図3】同じくプラグ本体のガイド用キー孔部に抜去用キー工具を挿入する状態の側面図である。
【図4】(a)はアダプタとプラグ本体の嵌合状態を示す縦断側面図であり、(b)はアダプタ内壁の係止部を示す拡大断面図である。
【図5】同じくアダプタとプラグ本体の嵌合状態において、プラグ本体のガイド用キー孔部に抜去用キー工具を挿入する状態の縦断側面図である。
【図6】同じくアダプタとプラグ本体の嵌合状態において、プラグ本体のガイド用キー孔部に抜去用キー工具を挿入し解除レバーを押下させた状態(ラッチ部解除の状態)の縦断側面図である。
【図7】同じくプラグ本体に対する組立式によるガイド用キー孔部の一例を示すプラグ本体と抜去用キー工具の斜視図である。
【図8】同じく組立式によるガイド用キー孔部とクリップ枠体を示す斜視図である。
【図9】同じくプラグ本体に対する一体型のガイド用キー孔部の一例を示すプラグ本体と抜去用キー工具の斜視図である。
【図10】(a)乃至(c)は種々の異なるキー溝を備えた抜去用キー工具に対応したガイド用キー孔部にこれら抜去用キー工具を挿入した状態を示した斜視図である。
【図11】抜去用キー工具のキー溝形状と受側であるガイド用キー孔部のキー孔形状との挿入可否を示す説明図であり、A乃至Dによって抜去用キー工具のキー溝を分類し、1乃至4によってガイド用キー孔部のキー孔形状を分類している。
【図12】同じく抜去用キー工具のキー溝形状と受側であるガイド用キー孔部のキー孔形状との挿入可否を示す説明図であり、責任レベル(役職)と鍵形状とを対応させて操作できる範囲を示している。
【図13】抜去用キー工具をガイド用キー孔部に挿入した状態を示し、(a)は図11中のA−1による組み合わせの横断面図、(b)は図11中のB−2による組み合わせの横断面図、(c)は図11中のC−3による組み合わせの横断面図、(d)は図11中のD−4による組み合わせの横断面図である。
【図14】抜去用キー工具をガイド用キー孔部に挿入した状態を示し、(a)は図12中のA−1による組み合わせの縦断面図、(b)は図12中のB−2による組み合わせの縦断面図、(c)は図12中のC−3による組み合わせの縦断面図、(d)は図12中のD−4による組み合わせの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る光コネクタの実施の一形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明に係る光コネクタは、図1に示すように、光ファイバの先端近傍が挿入されたフェルール15を内蔵したプラグ本体11と、プラグ本体11の先端外周面から基端側(後方)へ向けて斜め上方向に突出された解除レバー18と、接続する相手側アダプタ31の嵌合部内壁両側に対向して形成されている係止部34(図4乃至図6参照)に係合するよう解除レバー18後端両側に突設された左右一対のラッチ部19a、19bとを備え、プラグ本体11には、後述する係合解除用の抜去用キー工具51を挿入させたとき当該キー工具51先端を解除レバー18の押圧面18Aに案内させるためのガイド用キー孔部41を備えている。
【0025】
アダプタ31は、図4乃至図6に示すように、上側壁、左右側壁、底壁、1つの仕切壁とが一体に形成されてなるハウジング31aにて形成され、このハウジング31aの両端には光コネクタプラグの嵌合部31bがそれぞれ水平方向に開口している。
【0026】
また、ハウジング中央部に配される左右一対の接合端壁の一方には、一方の円筒35が嵌合部端側に向かって突設してあると共に、他方の接合端壁には、他方の円筒36が嵌合部31b端側に向かって突設してあり、両円筒35、36が光学軸上で中心軸を一致させて接合端壁同士を係合固定することによってスリーブホルダー32が形成される。このとき、スリーブホルダー32内側に円筒状の割りスリーブ33が装着され保持されている。そして、アダプタ31の上側壁の両内側には、解除レバー18に突設されたラッチ部19a、19bが係合する係止部34として切欠き34a(図4(b)参照)が形成されている。
【0027】
光コネクタプラグは、例えばLC型のプラグ本体11によって構成されており、該プラグ本体11は、図4乃至図6に示すように、カップリングスリーブ12と、このカップリングスリーブ12内にフェルール用チューブ13およびフレーム14に装着されたフェルール15と、フレーム14の後端部外周に装着されるスプリング16と、このスプリング16を介してフレーム14の後端部に嵌合する本体フレーム17と、本体フレーム17後部に装着されたブーツ20とをそれぞれ具備する。
【0028】
また、カップリングスリーブ12の外周面には、アダプタ31との係合およびその解除を行うための解除レバー18がカップリングスリーブ12に一体的に設けられている。この解除レバー18は、カップリングスリーブ12の先端部から後端部に向かって徐々にカップリングスリーブ12外表面から離れるように上方へ傾斜して延設されている。
【0029】
前記解除レバー18は、アダプタ31へのプラグ本体11の装着後には、当該解除レバー18の後端部がアダプタ31内に収納配置されて外部からの手動操作が不能となるよう当該後端部をアダプタ31内壁両側の係止部34位置に対応させて設けてある。すなわち、従来の解除レバー18に延設された手動操作部(プラグ本体11の装着後のアダプタ31から露出する部分)を無くして手動による抜去操作不能にすることで、装着後には後述する抜去用キー工具51を使わなければアダプタ31からプラグ本体11が取り外せないようにしてある。
【0030】
因みに、解除レバー18の後端部とアダプタ31内壁両側の係止部34との対応状況は解除レバー18の後端に設けられたラッチ部19a、19bとアダプタ31内壁両側の係止部34とが、プラグ本体11の装着時に係合可能な位置関係にあればよい。
【0031】
前記ラッチ部19a、19bは、解除レバー18の後端部両側から外方に向けて形成されおり、アダプタ31へのプラグ本体11の装着時には解除レバー18がアダプタ31の上側壁によって押し下げられつつ挿入され、装着後には解除レバー18が弾性復帰して、アダプタ31の上側壁内側にある係止部34の切欠き34aにラッチ部19a、19bがそれぞれ係合するようになっている。
【0032】
また、解除レバー18の左右ラッチ部19a、19bに挟まれた後端部中央は略山型湾曲状(上凸円弧状)の押圧面18Aとなって形成されており、この押圧面18Aに抜去用キー工具51の先端下面に形成された傾斜部52が圧接することで解除レバー18(ラッチ部19a、19b)をプラグ本体11側へ変位させるものとなっている。すなわち、アダプタ31からプラグ本体11を抜去する時にはアダプタ31の上側内壁と解除レバー18の押圧面18Aとの間に係合解除用の抜去用キー工具51を差し込むことにより抜去用キー工具51先端の傾斜部52が解除レバー18後端部中央の押圧面18Aを内方(プラグ本体11側)へ押圧させ、係止部34の切欠き34aに対するラッチ部19a、19bの係合を解除可能にしている。
【0033】
したがって、解除レバー18の押圧面18Aは抜去用キー工具51を差し込んだとき、左右のラッチ部19a、19bに突き当らない横幅に形成されるとともに、左右のラッチ部19a、19bは押圧面18Aより上方へ若干突出して形成してある。
【0034】
さらに、プラグ本体11には、抜去用キー工具51を挿入させたとき当該キー工具51先端を解除レバー18の押圧面18Aに案内させるためのガイド用キー孔部41が当該プラグ本体11の本体フレーム17に一体となって設けられている。すなわち、本体フレーム17は、図1乃至図6に示すように、プラグ本体11のカップリングスリーブ12とブーツ20との間でフェルール用チューブ13を覆うようにして取り付けられており、本体フレーム17の一側面には後方のブーツ20側に向けて、中央に角孔状のキー孔42を備えたガイド用キー孔部41が一体的に延設されている。このときガイド用キー孔部41のキー孔42の長手方向延線上に、解除レバー18後端部中央の押圧面18Aが対向配置するようにしてある。
【0035】
一方、抜去用キー工具51は、取っ手53から角棒状のアーム部54が突設され、アーム部54先端の下面側には前記傾斜部52が形成されている。そして、図5に示すように、抜去用キー工具51のアーム部54がガイド用キー孔部41のキー孔42に挿入され、図6に示すように、取っ手53がガイド用キー孔部41の後側開口端縁に係止されるまで押し込まれた際には、アーム部54先端(傾斜部52)がアダプタ31の上側内壁と解除レバー18の押圧面18Aとの間に差し込まれつつ、解除レバー18自体は傾斜部52によって内方(プラグ本体11側)へ押圧させられ、これによって係止部34の切欠き34aに対するラッチ部19a、19bの係合が解除されるものとしている。
【0036】
このとき、抜去用キー工具51のアーム部54の外形状がガイド用キー孔部41のキー孔42の内形状と正確に合致しないときは、当該キー孔42にアーム部54が挿入できないことから、アダプタ31からプラグ本体11が取り外せないものとなっている。
【0037】
次に、以上のように構成された形態についての使用・動作の一例について説明する。
【0038】
図4に示すように、アダプタ31の一方の嵌合部31bにプラグ本体11が装着されると、解除レバー18がアダプタ31の上側壁によって押し下げられつつ挿入されてゆき、装着後には解除レバー18が弾性復帰して、アダプタ31の上側壁両内側にある係止部34の切欠き34aにラッチ部19a、19bが係合する。これと同時にアダプタ31のカップリングスリーブ12がスリーブホルダー32に外嵌合し、スリーブホルダー32内側の割りスリーブ33にプラグ本体11のフェルール15が内嵌合する。このとき、解除レバー18の後端部はアダプタ31内に収納配置されて手動による外部からの操作が不能な状態となる。
【0039】
アダプタ31からプラグ本体11を抜去する時には、図5および図6に示すように、抜去用キー工具51のアーム部54をガイド用キー孔部41のキー孔42に挿入し、取っ手53がガイド用キー孔部41の後側開口端縁に係止されるまで押し込む。このとき、アダプタ31の上側内壁と解除レバー18の押圧面18Aとの間に抜去用キー工具51先端部の傾斜部52が差し込まれ、傾斜部52は解除レバー18後端部中央の押圧面18Aを内方(プラグ本体11側)へ押圧させることで、係止部34の切欠き34aに対するラッチ部19a、19bの係合が解除され、その後、アダプタ31からプラグ本体11が手前へ抜去される。
【0040】
また、図7、図8は、本発明に係る光コネクタプラグの他例を示す。
本例では、プラグ本体11に対してガイド用キー孔部41が外付可能となる組立式となっている。すなわち、ガイド用キー孔部41は、プラグ本体11の本体フレーム17に一体的に形成されているのではなく、2つのプラグ本体11の各本体フレーム17を同時に把持することが可能な2つの把持溝45を中央隔壁46の両側に有するクリップ枠体43を備え、前記中央隔壁46の上端にガイド用キー孔部41が一体に設けられている。すなわち、このクリップ枠体43の把持溝45それぞれにプラグ本体11の本体フレーム17が把持される。尚、図7中の符号47は、クリップ枠体43が本体フレーム17前方へ向けてスライドして抜脱されないようにするためのストッパ部である。
【0041】
このガイド用キー孔部41のキー孔42の形状は、2つのプラグ本体11の各解除レバー18の押圧面18Aに対向して横幅の広い扁平角孔となっており、その内側上面中央にはガイド突条44が設けられていることで正面から見て略凹状の孔となっている。
【0042】
これに対応すべく抜去用キー工具51は、取っ手55から帯板状の挿入部56が突設され、この挿入部56の中央には前記ガイド突条44に係合するキー溝57が形成されている。そして、前記挿入部56の先端には、下面側が前記傾斜部52となった左右一対のアーム部58が延設されている。
【0043】
この抜去用キー工具51がガイド用キー孔部41に挿入されることで、2つのプラグ本体11の各解除レバー18の押圧面18Aが同時に内方(プラグ本体11側)へ押圧されて係止部34の切欠き34aに対するラッチ部19a、19bの係合が解除され、2つのプラグ本体11のアダプタ31からの抜去が可能となる。
【0044】
また、図9は、本発明に係る光コネクタプラグの更に他例を示す。
本例では、2つのプラグ本体11に対してガイド用キー孔部41が一体式となっている。すなわち、ガイド用キー孔部41は、2つのプラグ本体11の各本体フレーム17に代わって一体的に形成されている。
【0045】
具体的には、ガイド用キー孔部41は上下一対の枠体61a、61bによって形成され、枠体61aの下端には先端に不図示のフック部を備えた前後二つの脚部62a、62bを備え、枠体61bには脚部62a、62bそれぞれを係合するための前後二つの係合溝63a、63bが形成されている。これら上下一対の枠体61a、61bが互いに合致固定することで2つのプラグ本体11に一体化される。また、上側の枠体61aには上記したように正面から見て略凹状となったキー孔42が前後方向に貫通して設けられている。また、これに対応する抜去用キー工具51は、取っ手55の下側がブーツ20に当たらないよう円弧凹部55Aが形成されている。
【0046】
また、図10中の(a)乃至(c)は、2つのプラグ本体11に跨って取り付けられる一体型のガイド用キー孔部41の種々形状のキー孔42に対して、種々の異なるキー溝57を備えた抜去用キー工具51を挿入した状態を示している。
【0047】
すなわち、図10(a)では、キー孔42の1本のガイド突条44に係合する1本のキー溝57がキー工具51の挿入部56に形成され、図10(b)では、キー孔42の2本のガイド突条44に係合する2本のキー溝57がキー工具51の挿入部56に形成され、図10(c)では、キー孔42の3本のガイド突条44に係合する3本のキー溝57がキー工具51の挿入部56に形成されている。また、これに対応する取っ手55の下側がブーツ20に当たらないよう円弧凹部55Aが形成されている。
【0048】
図11および図12には、キー溝57の形状と、受側であるキー孔42の形状との挿入可否を○、×で示す。
【0049】
図13は、図11において抜去用キー工具51をガイド用キー孔部41に挿入した状態を示し、(a)は図11中のA−1による組み合わせ状態の横断面図、(b)は図11中のB−2による組み合わせ状態の横断面図、(c)は図11中のC−3による組み合わせ状態の横断面図、(d)は図11中のD−4による組み合わせ状態の横断面図である。
【0050】
また、図14も、図11において抜去用キー工具51をガイド用キー孔部41に挿入した状態を示し、(a)は図11中のA−1による組み合せ状態の縦断面図、(b)は図11中のB−2による組み合せ状態の縦断面図、(c)は図11中のC−3による組み合せ状態の縦断面図、(d)は図11中のD−4による組み合せ状態の縦断面図である。
【0051】
すなわち、キー溝57の形状として、例えば、図11の(A)は幅広のキー溝57が1本ある場合(図13および図14(a)参照)、(B)は細長な3本のキー溝57が等間隔に並置されている場合(図13および図14(b)参照)、(C)は片側に2本のキー溝57が並置されている場合(図13および図14(c)参照)、(D)は中央に1本の細長なキー溝57がある場合(図13および図14(d)参照)の4通りに対して、キー孔42の形状がこれらに対応すべく、図11中の(1)では幅広のガイド突条44が1本ある場合(図13および図14(a)参照)、(2)では細長な3本のガイド突条44が等間隔に並置されている場合(図13および図14(b)参照)、(3)では片側に2本のガイド突条44が並置されている場合(図13および図14(c)参照)、(4)では中央に1本の細長なガイド突条44がある場合(図13および図14(d)参照)の4つの形状となるようにガイド突条44の幅・個数・位置を適宜変えてある。
【0052】
このとき、キー溝57の形状が(A)の場合では、(1)、(2)、(3)、(4)全てのキー孔42の形状に挿入でき、(B)の場合では、(2)、(3)、(4)のキー孔42の形状に挿入でき、(C)の場合では、(3)、(4)のキー孔42の形状に挿入でき、(D)の場合では、(4)のキー孔42の形状のみに挿入できる。それ以外では、抜去用キー工具51のアーム部54はガイド用キー孔部41のキー孔42には差し込むことができない。
【0053】
こうして、ガイド用キー孔部41のキー孔42の形状を抜去用キー工具51のキー溝57の形状に対応させることにより、図12に示すように、各責任レベル(役職)に従って、抜去用キー工具51の操作できる範囲を決めることができ、これによって各レベル(部署)の責任者以外の者によるキー解除ができないような光コネクタプラグセキュリティシステムを構築することができる。
【符号の説明】
【0054】
11 プラグ本体
12 カップリングスリーブ
13 フェルール用チューブ
14 フレーム
15 フェルール
16 スプリング
17 本体フレーム
18 解除レバー
18A 押圧面
19a、19b ラッチ部
20 ブーツ
31 アダプタ
31a ハウジング
31b 嵌合部
32 スリーブホルダー
33 割りスリーブ
34 係止部
34a 切欠き
35 円筒
36 円筒
41 ガイド用キー孔部
42 キー孔
43 クリップ枠体
44 ガイド突条
45 把持溝
46 中央隔壁
47 ストッパ部
51 抜去用キー工具
52 傾斜部
53、55 取っ手
54 アーム部
56 挿入部
57 キー溝
58 アーム部
61a、61b 枠体
62a、62b 脚部
63a、63b 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの先端近傍が挿入されたフェルールを内蔵したプラグ本体と、プラグ本体の先端外周面から基端側へ向けて斜め上方向に突出された解除レバーと、接続する相手側アダプタの内壁に形成されている係止部に係合するよう解除レバーに突設されたラッチ部とを備えた光コネクタであって、アダプタへのプラグ本体の装着後には解除レバーの後端部がアダプタ内に収納配置されて外部からの手動操作が不能となるよう当該後端部をアダプタ内壁の係止部位置に対応させて設けたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
アダプタからプラグ本体を抜去する時には、アダプタの内壁と解除レバーの後端部との間に差し込むことにより解除レバー(ラッチ部)をプラグ本体側へ押圧させ、係止部に対するラッチ部の係合を解除可能とした係合解除用の抜去用キー工具を具備した請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
ラッチ部は、解除レバーの後端部両側から外方に向けて形成され、両ラッチ部に挟まれた後端部中央が略山型湾曲状の押圧面となって形成され、この押圧面に抜去用キー工具の先端に形成された傾斜部が圧接することで解除レバー(ラッチ部)をプラグ本体側へ変位可能に形成してなる請求項1または2記載の光コネクタ。
【請求項4】
プラグ本体には、抜去用キー工具を挿入させてこの先端を押圧面に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するように形成してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタ。
【請求項5】
プラグ本体のガイド用キー孔部のキー孔内側に1個ないし複数個のガイド突条を設け、該各ガイド突条に対応する1本ないし複数本のキー溝を設けた抜去用工具を備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−103415(P2012−103415A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250869(P2010−250869)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】