光コネクタ及びその作製方法
【課題】本発明の課題は、光ファイバの空孔を封止した低損失かつ低反射で接続可能な光コネクタを、高速簡易に作製することにある。
【解決手段】本発明は、複数の空孔を有する光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、光ファイバ21の端部から空孔22に充填された紫外線硬化樹脂液を硬化させ、硬化した紫外線硬化樹脂が充填されている位置において光ファイバ21を鏡面切断し、切断された光ファイバ21が光コネクタフェルール24に挿入され、光ファイバ21の端面を光コネクタフェルール24の端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定することを特徴とする。
【解決手段】本発明は、複数の空孔を有する光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、光ファイバ21の端部から空孔22に充填された紫外線硬化樹脂液を硬化させ、硬化した紫外線硬化樹脂が充填されている位置において光ファイバ21を鏡面切断し、切断された光ファイバ21が光コネクタフェルール24に挿入され、光ファイバ21の端面を光コネクタフェルール24の端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタ及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信システムを構築するために、光コネクタが用いられている。一般に、光コネクタを用いて接続する際には、低損失かつ低反射な特性を確保することが要求される。特に、低反射な接続を可能とするため、フレネル反射を抑制する必要がある。このフレネル反射は、接続する光ファイバ間に空気層ができることで生じる現象である。これを抑制する手段として、光ファイバ間にコアと同等の屈折率の液状またはゲル状の屈折率整合剤を塗布する方法が用いられている。
【0003】
図11は従来の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。図11に示すように、まず、光ファイバの外周に施された被覆を専用の被覆ストリッパによって除去し、アルコールを含ませた布などで光ファイバの表面に付着した被覆屑を清掃する(工程S1)。これにより、端部の被覆が除去された状態となる。その後、光ファイバを、光ファイバカッタを用いて精密に鏡面切断する(工程S2)。その後、上記光ファイバを光コネクタフェルールの光ファイバ孔に挿入し、光コネクタ端面と光ファイバ端面が同一平面上に揃うように位置合わせし、コネクタフェルール上部の開口部に接着剤を滴下し、光ファイバと光コネクタフェルールを接着固定する(工程S3)。その後、光コネクタ端面研磨装置により光コネクタフェルールの端面を研磨して光コネクタ完成となる(工程S4)。しかし、光コネクタの研磨作業は時間がかかり作業性が悪くなるという問題が生じる。
【0004】
この方法を用いた光コネクタの一例としてMTコネクタがある。MTコネクタは、図12に示すような複数本の光ファイバ11を平面状に並べて一括被覆12を施した光ファイバテープ13に対して工場および現場にて取り付け、一括接続するために開発されたものである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
一方、近年光ファイバの伝送特性を向上させるため、図13に示すような光ファイバのコア部14外周のクラッド部15に、複数の空孔16を設けた光ファイバ(空孔付き光ファイバ)17が提案されている。例えば特許文献1では、光ファイバのコアの周囲に複数個の空孔を設けることで、等価的にコアとクラッドの屈折率差を高め、コアへの伝搬光の閉じ込め効果を強くすることで曲げによる光損失増加を低減できる。また、前記光ファイバは、従来のシングルモード光ファイバのコア径とほぼ同じコア径を有しているため、従来のシングルモード光ファイバと低損失で接続できるという特徴を持っている。
【0006】
しかし、このような光ファイバを用いてMTコネクタによって接続する場合、コネクタ端面よりコアの屈折率と同等の屈折率を有する屈折率整合剤が空孔内に浸入することで接続損失が大幅に増大するという問題がある(例えば、非特許文献2参照。)。このような問題を回避するためには、コネクタ端面において空孔を封止する必要がある。例えば、非特許文献3では、光ファイバ端部において、レーザ照射によって空孔を封止する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3854627号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】柴田幸司、保苅和男、三川泉 著、「MTコネクタの高速組立技術の検討」、2003年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集、電子情報通信学会、B-10-12、2003
【非特許文献2】小山良、齊藤浩太郎、阿部宜輝、星島徹也 著、「空孔アシストファイバ用メカニカルスプライスにおける損失要因」、2008年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集、電子情報通信学会、B-13-16、2008
【非特許文献3】宮澤巨樹、長沢真二 著、「レーザ光照射によるホーリーファイバ空孔封止の検討」、2008 年電子情報通信学会総合大会講演論文集、電子情報通信学会、B-13-5、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、現場にてMTコネクタを作製する際には、高速、かつ簡易に作製することが要求される。このため、非特許文献1では、[1]光ファイバを予め高精度に鏡面切断し、[2]その光ファイバをコネクタフェルールのファイバ孔に挿入し、[3]光ファイバ端面と光コネクタの端面を同一平面上に揃えて正確に位置決めをし、接着剤により固定する方法がとられている。この方法は、従来MTコネクタ作製において時間がかかっていた研磨工程をなくし、コネクタの作製時間を短縮したことが1つの特徴である。しかし、非特許文献3に示されている空孔封止技術では、空孔を封止した光ファイバの端面が溶融するため、精密な平面状の端面が得られず、コネクタ端面を研磨する必要となる。このため、現場でコネクタを作製する際、上記空孔封止方法を用いると、光コネクタ端面研磨装置が必要となる上、光コネクタの研磨作業時間がかかり作業性が悪くなるという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明はコア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填する充填工程と、前記充填工程で充填された充填剤を硬化させる硬化工程と、前記硬化工程の後に、充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断する切断工程と、前記切断工程で切断された光ファイバが光コネクタフェルールに挿入され、光ファイバの端面を光コネクタフェルールの端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定する固定工程とよりなることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、充填工程として、光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を毛細管現象を利用して充填することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、前記光ファイバの空孔半径をr[μm]、前記充填剤の硬化時間をt3[s]、作製する光コネクタの数をNとする場合、0<t3<300Nを満たし、かつ、前記充填剤の硬化前の粘度が(300N−t3)×r/6830[Pa・s]未満の充填剤を用いることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、充填剤として、紫外線硬化樹脂液を用いることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタであって、コア部の外周のクラッド部に複数の空孔を有する光ファイバと、前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填して硬化させた充填剤と、前記充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断した光ファイバが挿入され、端面に光ファイバの端面を同一平面に揃えて光ファイバが接着剤で固定された光ファイバフェルールとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、光ファイバの空孔を封止した低損失かつ低反射で接続可能な光コネクタを、高速簡易に作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図2】本発明の実施形態に用いる光ファイバテープを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る充填工程を示す構成説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る充填剤が充填された光ファイバを示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複数の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係る充填工程における時間−浸入長特性を示す特性図である。
【図8】本発明の実施形態に係る切断工程を示す構成説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る硬化工程における樹脂液の粘度−硬化時間特性を示す特性図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る光コネクタの接続損失−ファイバ数特性を示す特性図、(b)は本発明の実施形態に係る光コネクタの反射減衰量−ファイバ数を示す特性図である。
【図11】従来の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図12】従来の光ファイバテープを示す斜視図である。
【図13】従来の空孔付き光ファイバを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の実施形態では、MTコネクタを例としてコネクタ組立方法を説明する。本発明の実施形態においては、これまでの組立方法をできるだけ用い、かつ、工具および装置等をできるだけ増やさないをこととした。このため、図1は、これまでの方法に工程S12(樹脂液充填)およびS13(樹脂硬化)を加えることとした。なお、充填する充填剤に、硬化時間が短い紫外線硬化樹脂液を用いることで時間の短縮化を図ることができる。
【0018】
図1に示すように、具体的には、まず、光ファイバの外周に施された被覆を専用の被覆ストリッパによって除去し、アルコールを含ませた布などで光ファイバの表面に付着した被覆屑を清掃する(工程S11)。これにより、図2に示すような、光ファイバ21の端部の被覆20が除去された状態となる。
【0019】
その後、光ファイバ21の端部を図3に示すように、紫外線硬化樹脂液23に接触させ、樹脂液23を毛細管現象によって光ファイバ21の空孔内に充填させる(工程S12)。これによって、図4に示すように、光ファイバ21の空孔24内に樹脂液23が充填される。
【0020】
その後、光ファイバ21を取り出し、光ファイバ21表面に付着した余分な樹脂液23を清掃し、紫外線を照射することで、空孔22内に充填された樹脂液23を硬化させる(工程S13)。さらに、空孔22を封止した光ファイバ21を、充填剤が充填されている位置において、光ファイバカッタを用いて精密に鏡面切断する(工程S14)。
【0021】
その後、図5に示すように、上記光ファイバ21を光コネクタフェルール24の光ファイバ挿入孔25に挿入し、光コネクタフェルール24の端面と光ファイバ21の端面が同一平面上に揃うように位置合わせし、光コネクタフェルール24上部の開口部26に接着剤を滴下し、光ファイバ21と光コネクタフェルール24を固定し光コネクタ完成となる(工程S15)。27は挿入された光ファイバテープである。尚、工程S15の位置合わせは、現在広く用いられている光コネクタ端面にダミーフェルールなどを突き当てる構造の工具を用いればよい。
【0022】
以上説明した作製方法は、光ファイバを鏡面切断した端面を用いることを特徴としており、時間のかかる光コネクタ端面の研磨工程が不要なため、作製時間の短縮を図ることができるとともに、研磨装置を持ち込む必要がなく、簡易な作製が可能である。
【0023】
また、通常、現場にてMTコネクタを作製する際には、複数個のコネクタを作製する。本発明の実施形態の作製方法によって複数個の光コネクタを作製する際には、前記工程S12,S13において待ち時間を利用して、図6に示すように、1個目の光コネクタの作製が工程S12の時に、2個目以降の光コネクタの作製工程S11を並列で行うことで、より一層のコネクタの作製時間の短縮を図ることができる。
【0024】
上記方法のように並列で光コネクタを作製する場合、工程S12,S13にかかる作業時間をそれぞれt2[s]、t3[s]とすると、空孔封止にかかる時間は、光コネクタの作製個数によらず、t2+t3となる。ここで、工程S12にかかる時間t2は、樹脂液の粘度や光ファイバの空孔径に依存する。また、光ファイバを切断する面において空孔が封止されているためには、樹脂液を所定の位置まで充填する必要がある。このため、樹脂液を充填する際の空孔への樹脂の浸入長と侵入時間との関係を把握する必要がある。そこで、樹脂液が毛細管現象によって光ファイバの空孔内へ浸入する時間と長さの関係について測定した。
【0025】
図7は、樹脂液の浸入長と浸入時間について測定した結果である。なお、空孔半径1.5、2.0、4.3、6.5[μm]の光ファイバを用いた。この結果から、光ファイバの空孔半径をr[μm]、樹脂液の粘度をη[Pa・s]、とした場合、樹脂が充填される時間、すなわち工程S12の作業時間t2[s]は、式(1)で近似的に表わすことができる。
【数1】
【0026】
さて、一般的な光ファイバカッタでは、光ファイバの表面に微小な傷をつけた後に、光ファイバに曲げ応力を加えることで、光ファイバの表面に生じた傷をきっかけに、亀裂を進展させて切断している。その構造は、図8に示すように、光ファイバ21に傷をつける刃31と、光ファイバ21に曲げ応力を加えるための応力板32及び光ファイバ21の把持部材33から構成される。
光ファイバ21を切断する際には、[1]刃31を光ファイバ21の表面に接触させることで光ファイバ21の表面に傷をつけ、[2]把持部材33によって光ファイバ21を把持した後に、[3]光ファイバ21に傷をつけた反対側から応力板32を光ファイバ21へ押し付けることで、光ファイバ21表面の傷をきっかけに、亀裂が進展し、光ファイバ21を切断することができる。
【0027】
このとき、光ファイバ21は、少なくとも把持部33によって把持されている必要がある。したがって、光ファイバ21を最も短く切断するには、図中に示した、Lminの長さであり、この長さは一般的に10[mm]程度である。したがって、光ファイバ21の切断面において、樹脂が充填されているためには、空孔に樹脂を充填する長さLを少なくとも10[mm]以上とすればよい。すなわち、空孔封止にかかる時間Tは、式(1)より、
【数2】
となる。
【0028】
さて、本発明の実施形態では、無研磨で光コネクタを作製することで、光コネクタ作製時間の短縮化を図っている。このため研磨工程を伴う光コネクタ作製方法よりも短い時間で光コネクタを作製できるべきである。したがって、研磨工程にかかっていた時間よりも短い時間で、空孔封止を行う必要がある。
【0029】
従来の研磨工程にかかる時間は、コネクタ1個当たり5分(300[s])であった(非特許文献1)。したがって、N個のコネクタを作製する際に、研磨工程にかかっていた時間よりも短い時間で、空孔封止の工程を行うためには、式(2)のTが300N[s]より小さくなるように、樹脂のt3[s]と樹脂の粘度を設定すればよい。すなわち、式(2)に、T<300Nを代入し、式を変形すると、樹脂の粘度を
【数3】
とし、かつ、工程S13の作業時間は、少なくとも正の時間であり、樹脂を充填する時間が限りなく短くなっても、300N以下である必要があるため、0<t3<300Nの範囲とすることで、従来の研磨工程を伴う光コネクタ作製方法よりも短い時間で光コネクタを作製することが可能である。
【0030】
図9は、空孔半径rが2[μm]の光ファイバを用い、光コネクタをそれぞれ、1、5、10個作製する際に必要な粘度とt3の範囲の一例であり、光ファイバの空孔径と光コネクタの作製個数に応じて、樹脂の粘度と工程S13の作業時間をハッチングの範囲内に設定することで、研磨による作製方法よりも短い時間でコネクタを作製することができる
【0031】
さらに、上記本発明の実施形態に基づいて、4心MTコネクタを作製した。作製に際して、使用した空孔付き光ファイバの空孔半径rは2[μm]で、樹脂液の粘度ηは、0.122[Pa・s]、硬化時間180[s](図11中の○印)である。5個のMTコネクタを並列作業により一括で作製したところ、1個当たりの組立時間は、約4.5分であり、短時間でMTコネクタが組み立てられることを確認した。
【0032】
さらに、作製したMTコネクタの接続特性を図10(a),(b)に示す。図10(a)は光コネクタの接続損失−ファイバ数特性を示す特性図であり、(b)は光コネクタの反射減衰量−ファイバ数を示す特性図である。これより、従来のシングルモード光ファイバを用いたMTコネクタと、ほぼ同等の特性を得られることを確認した。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0034】
11…光ファイバ、12…被覆、13……光ファイバテープ、14…コア部、15…クラッド部、16…空孔、17…光ファイバ、20…被覆、21…光ファイバ、22…空孔、23…紫外線硬化樹脂液、24…光コネクタフェルール、25…光ファイバ挿入孔、26…開口部、27…光ファイバテープ、31…刃、32…応力板、33…光ファイバ把持部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタ及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信システムを構築するために、光コネクタが用いられている。一般に、光コネクタを用いて接続する際には、低損失かつ低反射な特性を確保することが要求される。特に、低反射な接続を可能とするため、フレネル反射を抑制する必要がある。このフレネル反射は、接続する光ファイバ間に空気層ができることで生じる現象である。これを抑制する手段として、光ファイバ間にコアと同等の屈折率の液状またはゲル状の屈折率整合剤を塗布する方法が用いられている。
【0003】
図11は従来の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。図11に示すように、まず、光ファイバの外周に施された被覆を専用の被覆ストリッパによって除去し、アルコールを含ませた布などで光ファイバの表面に付着した被覆屑を清掃する(工程S1)。これにより、端部の被覆が除去された状態となる。その後、光ファイバを、光ファイバカッタを用いて精密に鏡面切断する(工程S2)。その後、上記光ファイバを光コネクタフェルールの光ファイバ孔に挿入し、光コネクタ端面と光ファイバ端面が同一平面上に揃うように位置合わせし、コネクタフェルール上部の開口部に接着剤を滴下し、光ファイバと光コネクタフェルールを接着固定する(工程S3)。その後、光コネクタ端面研磨装置により光コネクタフェルールの端面を研磨して光コネクタ完成となる(工程S4)。しかし、光コネクタの研磨作業は時間がかかり作業性が悪くなるという問題が生じる。
【0004】
この方法を用いた光コネクタの一例としてMTコネクタがある。MTコネクタは、図12に示すような複数本の光ファイバ11を平面状に並べて一括被覆12を施した光ファイバテープ13に対して工場および現場にて取り付け、一括接続するために開発されたものである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
一方、近年光ファイバの伝送特性を向上させるため、図13に示すような光ファイバのコア部14外周のクラッド部15に、複数の空孔16を設けた光ファイバ(空孔付き光ファイバ)17が提案されている。例えば特許文献1では、光ファイバのコアの周囲に複数個の空孔を設けることで、等価的にコアとクラッドの屈折率差を高め、コアへの伝搬光の閉じ込め効果を強くすることで曲げによる光損失増加を低減できる。また、前記光ファイバは、従来のシングルモード光ファイバのコア径とほぼ同じコア径を有しているため、従来のシングルモード光ファイバと低損失で接続できるという特徴を持っている。
【0006】
しかし、このような光ファイバを用いてMTコネクタによって接続する場合、コネクタ端面よりコアの屈折率と同等の屈折率を有する屈折率整合剤が空孔内に浸入することで接続損失が大幅に増大するという問題がある(例えば、非特許文献2参照。)。このような問題を回避するためには、コネクタ端面において空孔を封止する必要がある。例えば、非特許文献3では、光ファイバ端部において、レーザ照射によって空孔を封止する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3854627号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】柴田幸司、保苅和男、三川泉 著、「MTコネクタの高速組立技術の検討」、2003年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集、電子情報通信学会、B-10-12、2003
【非特許文献2】小山良、齊藤浩太郎、阿部宜輝、星島徹也 著、「空孔アシストファイバ用メカニカルスプライスにおける損失要因」、2008年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集、電子情報通信学会、B-13-16、2008
【非特許文献3】宮澤巨樹、長沢真二 著、「レーザ光照射によるホーリーファイバ空孔封止の検討」、2008 年電子情報通信学会総合大会講演論文集、電子情報通信学会、B-13-5、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、現場にてMTコネクタを作製する際には、高速、かつ簡易に作製することが要求される。このため、非特許文献1では、[1]光ファイバを予め高精度に鏡面切断し、[2]その光ファイバをコネクタフェルールのファイバ孔に挿入し、[3]光ファイバ端面と光コネクタの端面を同一平面上に揃えて正確に位置決めをし、接着剤により固定する方法がとられている。この方法は、従来MTコネクタ作製において時間がかかっていた研磨工程をなくし、コネクタの作製時間を短縮したことが1つの特徴である。しかし、非特許文献3に示されている空孔封止技術では、空孔を封止した光ファイバの端面が溶融するため、精密な平面状の端面が得られず、コネクタ端面を研磨する必要となる。このため、現場でコネクタを作製する際、上記空孔封止方法を用いると、光コネクタ端面研磨装置が必要となる上、光コネクタの研磨作業時間がかかり作業性が悪くなるという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明はコア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填する充填工程と、前記充填工程で充填された充填剤を硬化させる硬化工程と、前記硬化工程の後に、充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断する切断工程と、前記切断工程で切断された光ファイバが光コネクタフェルールに挿入され、光ファイバの端面を光コネクタフェルールの端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定する固定工程とよりなることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、充填工程として、光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を毛細管現象を利用して充填することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、前記光ファイバの空孔半径をr[μm]、前記充填剤の硬化時間をt3[s]、作製する光コネクタの数をNとする場合、0<t3<300Nを満たし、かつ、前記充填剤の硬化前の粘度が(300N−t3)×r/6830[Pa・s]未満の充填剤を用いることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記光コネクタの作製方法において、充填剤として、紫外線硬化樹脂液を用いることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタであって、コア部の外周のクラッド部に複数の空孔を有する光ファイバと、前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填して硬化させた充填剤と、前記充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断した光ファイバが挿入され、端面に光ファイバの端面を同一平面に揃えて光ファイバが接着剤で固定された光ファイバフェルールとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、光ファイバの空孔を封止した低損失かつ低反射で接続可能な光コネクタを、高速簡易に作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図2】本発明の実施形態に用いる光ファイバテープを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る充填工程を示す構成説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る充填剤が充填された光ファイバを示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複数の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係る充填工程における時間−浸入長特性を示す特性図である。
【図8】本発明の実施形態に係る切断工程を示す構成説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る硬化工程における樹脂液の粘度−硬化時間特性を示す特性図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る光コネクタの接続損失−ファイバ数特性を示す特性図、(b)は本発明の実施形態に係る光コネクタの反射減衰量−ファイバ数を示す特性図である。
【図11】従来の光コネクタの作製方法を示す作製工程図である。
【図12】従来の光ファイバテープを示す斜視図である。
【図13】従来の空孔付き光ファイバを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の実施形態では、MTコネクタを例としてコネクタ組立方法を説明する。本発明の実施形態においては、これまでの組立方法をできるだけ用い、かつ、工具および装置等をできるだけ増やさないをこととした。このため、図1は、これまでの方法に工程S12(樹脂液充填)およびS13(樹脂硬化)を加えることとした。なお、充填する充填剤に、硬化時間が短い紫外線硬化樹脂液を用いることで時間の短縮化を図ることができる。
【0018】
図1に示すように、具体的には、まず、光ファイバの外周に施された被覆を専用の被覆ストリッパによって除去し、アルコールを含ませた布などで光ファイバの表面に付着した被覆屑を清掃する(工程S11)。これにより、図2に示すような、光ファイバ21の端部の被覆20が除去された状態となる。
【0019】
その後、光ファイバ21の端部を図3に示すように、紫外線硬化樹脂液23に接触させ、樹脂液23を毛細管現象によって光ファイバ21の空孔内に充填させる(工程S12)。これによって、図4に示すように、光ファイバ21の空孔24内に樹脂液23が充填される。
【0020】
その後、光ファイバ21を取り出し、光ファイバ21表面に付着した余分な樹脂液23を清掃し、紫外線を照射することで、空孔22内に充填された樹脂液23を硬化させる(工程S13)。さらに、空孔22を封止した光ファイバ21を、充填剤が充填されている位置において、光ファイバカッタを用いて精密に鏡面切断する(工程S14)。
【0021】
その後、図5に示すように、上記光ファイバ21を光コネクタフェルール24の光ファイバ挿入孔25に挿入し、光コネクタフェルール24の端面と光ファイバ21の端面が同一平面上に揃うように位置合わせし、光コネクタフェルール24上部の開口部26に接着剤を滴下し、光ファイバ21と光コネクタフェルール24を固定し光コネクタ完成となる(工程S15)。27は挿入された光ファイバテープである。尚、工程S15の位置合わせは、現在広く用いられている光コネクタ端面にダミーフェルールなどを突き当てる構造の工具を用いればよい。
【0022】
以上説明した作製方法は、光ファイバを鏡面切断した端面を用いることを特徴としており、時間のかかる光コネクタ端面の研磨工程が不要なため、作製時間の短縮を図ることができるとともに、研磨装置を持ち込む必要がなく、簡易な作製が可能である。
【0023】
また、通常、現場にてMTコネクタを作製する際には、複数個のコネクタを作製する。本発明の実施形態の作製方法によって複数個の光コネクタを作製する際には、前記工程S12,S13において待ち時間を利用して、図6に示すように、1個目の光コネクタの作製が工程S12の時に、2個目以降の光コネクタの作製工程S11を並列で行うことで、より一層のコネクタの作製時間の短縮を図ることができる。
【0024】
上記方法のように並列で光コネクタを作製する場合、工程S12,S13にかかる作業時間をそれぞれt2[s]、t3[s]とすると、空孔封止にかかる時間は、光コネクタの作製個数によらず、t2+t3となる。ここで、工程S12にかかる時間t2は、樹脂液の粘度や光ファイバの空孔径に依存する。また、光ファイバを切断する面において空孔が封止されているためには、樹脂液を所定の位置まで充填する必要がある。このため、樹脂液を充填する際の空孔への樹脂の浸入長と侵入時間との関係を把握する必要がある。そこで、樹脂液が毛細管現象によって光ファイバの空孔内へ浸入する時間と長さの関係について測定した。
【0025】
図7は、樹脂液の浸入長と浸入時間について測定した結果である。なお、空孔半径1.5、2.0、4.3、6.5[μm]の光ファイバを用いた。この結果から、光ファイバの空孔半径をr[μm]、樹脂液の粘度をη[Pa・s]、とした場合、樹脂が充填される時間、すなわち工程S12の作業時間t2[s]は、式(1)で近似的に表わすことができる。
【数1】
【0026】
さて、一般的な光ファイバカッタでは、光ファイバの表面に微小な傷をつけた後に、光ファイバに曲げ応力を加えることで、光ファイバの表面に生じた傷をきっかけに、亀裂を進展させて切断している。その構造は、図8に示すように、光ファイバ21に傷をつける刃31と、光ファイバ21に曲げ応力を加えるための応力板32及び光ファイバ21の把持部材33から構成される。
光ファイバ21を切断する際には、[1]刃31を光ファイバ21の表面に接触させることで光ファイバ21の表面に傷をつけ、[2]把持部材33によって光ファイバ21を把持した後に、[3]光ファイバ21に傷をつけた反対側から応力板32を光ファイバ21へ押し付けることで、光ファイバ21表面の傷をきっかけに、亀裂が進展し、光ファイバ21を切断することができる。
【0027】
このとき、光ファイバ21は、少なくとも把持部33によって把持されている必要がある。したがって、光ファイバ21を最も短く切断するには、図中に示した、Lminの長さであり、この長さは一般的に10[mm]程度である。したがって、光ファイバ21の切断面において、樹脂が充填されているためには、空孔に樹脂を充填する長さLを少なくとも10[mm]以上とすればよい。すなわち、空孔封止にかかる時間Tは、式(1)より、
【数2】
となる。
【0028】
さて、本発明の実施形態では、無研磨で光コネクタを作製することで、光コネクタ作製時間の短縮化を図っている。このため研磨工程を伴う光コネクタ作製方法よりも短い時間で光コネクタを作製できるべきである。したがって、研磨工程にかかっていた時間よりも短い時間で、空孔封止を行う必要がある。
【0029】
従来の研磨工程にかかる時間は、コネクタ1個当たり5分(300[s])であった(非特許文献1)。したがって、N個のコネクタを作製する際に、研磨工程にかかっていた時間よりも短い時間で、空孔封止の工程を行うためには、式(2)のTが300N[s]より小さくなるように、樹脂のt3[s]と樹脂の粘度を設定すればよい。すなわち、式(2)に、T<300Nを代入し、式を変形すると、樹脂の粘度を
【数3】
とし、かつ、工程S13の作業時間は、少なくとも正の時間であり、樹脂を充填する時間が限りなく短くなっても、300N以下である必要があるため、0<t3<300Nの範囲とすることで、従来の研磨工程を伴う光コネクタ作製方法よりも短い時間で光コネクタを作製することが可能である。
【0030】
図9は、空孔半径rが2[μm]の光ファイバを用い、光コネクタをそれぞれ、1、5、10個作製する際に必要な粘度とt3の範囲の一例であり、光ファイバの空孔径と光コネクタの作製個数に応じて、樹脂の粘度と工程S13の作業時間をハッチングの範囲内に設定することで、研磨による作製方法よりも短い時間でコネクタを作製することができる
【0031】
さらに、上記本発明の実施形態に基づいて、4心MTコネクタを作製した。作製に際して、使用した空孔付き光ファイバの空孔半径rは2[μm]で、樹脂液の粘度ηは、0.122[Pa・s]、硬化時間180[s](図11中の○印)である。5個のMTコネクタを並列作業により一括で作製したところ、1個当たりの組立時間は、約4.5分であり、短時間でMTコネクタが組み立てられることを確認した。
【0032】
さらに、作製したMTコネクタの接続特性を図10(a),(b)に示す。図10(a)は光コネクタの接続損失−ファイバ数特性を示す特性図であり、(b)は光コネクタの反射減衰量−ファイバ数を示す特性図である。これより、従来のシングルモード光ファイバを用いたMTコネクタと、ほぼ同等の特性を得られることを確認した。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0034】
11…光ファイバ、12…被覆、13……光ファイバテープ、14…コア部、15…クラッド部、16…空孔、17…光ファイバ、20…被覆、21…光ファイバ、22…空孔、23…紫外線硬化樹脂液、24…光コネクタフェルール、25…光ファイバ挿入孔、26…開口部、27…光ファイバテープ、31…刃、32…応力板、33…光ファイバ把持部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、
前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填する充填工程と、
前記充填工程で充填された充填剤を硬化させる硬化工程と、
前記硬化工程の後に、充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された光ファイバが光コネクタフェルールに挿入され、光ファイバの端面を光コネクタフェルールの端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定する固定工程とよりなることを特徴とした光コネクタの作製方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタの作製方法において、
充填工程として、光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を毛細管現象を利用して充填することを特徴とする光コネクタの作製方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光コネクタの作製方法において、
前記光ファイバの空孔半径をr[μm]、前記充填剤の硬化時間をt3[s]、作製する光コネクタの数をNとする場合、
0<t3<300Nを満たし、
かつ、前記充填剤の硬化前の粘度が(300N−t3)×r/6830[Pa・s]未満の充填剤を用いることを特徴とした光コネクタの作製方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の光コネクタの作製方法において、
充填剤として、紫外線硬化樹脂液を用いることを特徴とする光コネクタの作製方法。
【請求項5】
コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタであって、
コア部の外周のクラッド部に複数の空孔を有する光ファイバと、
前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填して硬化させた充填剤と、
前記充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断した光ファイバが挿入され、端面に光ファイバの端面を同一平面に揃えて光ファイバが接着剤で固定された光ファイバフェルールと
を具備することを特徴とする光コネクタ。
【請求項1】
コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタの作製方法であって、
前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填する充填工程と、
前記充填工程で充填された充填剤を硬化させる硬化工程と、
前記硬化工程の後に、充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された光ファイバが光コネクタフェルールに挿入され、光ファイバの端面を光コネクタフェルールの端面と同一平面に揃えて接着剤を用いて固定する固定工程とよりなることを特徴とした光コネクタの作製方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタの作製方法において、
充填工程として、光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を毛細管現象を利用して充填することを特徴とする光コネクタの作製方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光コネクタの作製方法において、
前記光ファイバの空孔半径をr[μm]、前記充填剤の硬化時間をt3[s]、作製する光コネクタの数をNとする場合、
0<t3<300Nを満たし、
かつ、前記充填剤の硬化前の粘度が(300N−t3)×r/6830[Pa・s]未満の充填剤を用いることを特徴とした光コネクタの作製方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の光コネクタの作製方法において、
充填剤として、紫外線硬化樹脂液を用いることを特徴とする光コネクタの作製方法。
【請求項5】
コア部と前記コア部の外周を囲むクラッドから構成され、前記クラッド部に複数の空孔を有する光ファイバを用い、前記光ファイバ間に屈折率整合剤を挟んで接続する光コネクタであって、
コア部の外周のクラッド部に複数の空孔を有する光ファイバと、
前記光ファイバの端部から空孔に液体状の充填剤を充填して硬化させた充填剤と、
前記充填剤が充填されている位置において光ファイバを鏡面切断した光ファイバが挿入され、端面に光ファイバの端面を同一平面に揃えて光ファイバが接着剤で固定された光ファイバフェルールと
を具備することを特徴とする光コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−170107(P2011−170107A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33954(P2010−33954)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]