説明

光コネクタ

【課題】責任者が鍵を外す操作を行うことで初めて光コネクタプラグを抜くことができ、各部署の責任者以外の者には光コネクタプラグを抜くことができないようにして、諸々のプラグセキュリティシステムを構築可能にした光コネクタを提供する。
【解決手段】プラグフレーム12に対しツマミ18の軸方向への移動を阻止するためのロックプレート21を備える。ロックプレート21は、ストップリング14に外嵌する把持アーム部21aと、該把持アーム部21aから軸方向に沿って延設した弾性プレート部21bと、該弾性プレート部21bの先端から軸方向に対して直角外向きに突設した係合部22とを備え、該係合部22は、ツマミ18の内壁に備えた係止部31dに係止して、プラグフレーム12に対しツマミ18の軸方向への移動を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールを備えた光コネクタプラグをアダプタに脱着可能に接続する光コネクタ、特に作業者等が勝手に抜いては困る用途に対応可能とした光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェルールを備えた光コネクタプラグをアダプタに着脱可能に接続するSCアダプタは、スライドロック構造によるプッシュオン形締結構造を採用しており、光コネクタプラグをアダプタに押し込む/引き抜くだけで結合/離脱ができる。当該光コネクタプラグをアダプタに押し込むとアダプタ内のスリーブに形成されたツメが光コネクタプラグのツマミによって押し広げられ、更に押込むことでツメがプラグフレームの突起にロックし結合する。また、ツマミを持って光コネクタプラグをアダプタから引き抜こうとすると、ツマミがプラグフレームに対してスライドしながらアダプタのツメを押し広げてロックを解除させ、更に引き抜くことでによって離脱ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光コネクタにおいては、ツマミ自体を所定ストローク後退させることは誰もが自由に行えるものとなっているため、作業者が勝手に光コネクタプラグを抜いては困る用途に対応できないものとなっている。
【0005】
例えば、パッチパネルやHUB、情報コンセント空きボードをロックして、個人情報の保護、不正アクセスやウイルスから大切なデータを保護する等のようなネットワークセキュリティシステムを必要とする場合、従来では光コネクタプラグが相手側コネクタやアダプタに装着されていてもツマミ自体は誰もが自由に移動操作できるため、作業者が勝手に光コネクタプラグを抜いてしまう虞がある。
【0006】
しかも、最近はIT技術の普及に伴い家庭内に光接続システムが装備されていることが多く、子供等が間違ってあるいは悪戯で光コネクタプラグを抜いてしまう虞がある。
【0007】
このように、従来の光コネクタにおいては、十分なネットワークセキュリティシステムが活かされていないのが実状である。
【0008】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、作業者が勝手に光コネクタプラグを抜いては困る用途に対応すべく、責任者が鍵を外す操作を行うことで初めて光コネクタプラグを抜くことができるようにし、各部署の責任者以外の者には光コネクタプラグを抜くことができないようにして、諸々のプラグセキュリティシステムを構築可能にした光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、光ファイバの先端近傍が挿入されたフェルールを内蔵したプラグフレームと、フェルールの後端部側が挿入され、プラグフレームの後端部内側にスプリングを介して嵌挿されるストップリングと、プラグフレームを先端側から挿入して収納配置させるツマミとを有し、ツマミとプラグフレームが別々に動いて、アダプタのロックを解除可能とする光コネクタタプラグであって、プラグフレームに対しツマミの軸方向への移動を阻止するためのロックプレートを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、ロックプレートは、ストップリングに外嵌される把持アーム部と、該把持アーム部から軸方向に沿って延設された弾性プレート部と、該弾性プレート部の先端から軸方向に対して直角外向きに突設された係合部とを備え、該係合部は、ツマミの内壁に設けた係止部に係止されて、ツマミに対しプラグフレームの軸方向への抜去移動を阻止するよう形成されている。
【0011】
アダプタから光コネクタプラグを抜去する時にはツマミの内壁とロックプレートの係合部との間に差し込むことにより当該係合部をストップリング側へ押圧させ、ツマミの係止部に対する係合部の係合を解除可能とした係合解除用の抜去用キー工具を具備してなる。
【0012】
そして、ツマミには、抜去用キー工具を挿入させてこの先端をロックプレートの押圧面部に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するように形成してなる。
【0013】
そしてまた、ガイド用キー孔部のキー孔内側に1個ないし複数個のガイド突条を設け、該各ガイド突条に対応する1本ないし複数本のキー溝を設けた抜去用工具を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者等が勝手に光コネクタプラグを抜いては困る用途に対応でき、責任者がキーの解除操作を行うことで初めて光コネクタプラグを抜くことができる。
【0015】
しかも、各部署の責任者以外の者には光コネクタプラグを抜くことができないことから、諸々のプラグセキュリティシステムを構築可能にする。
【0016】
すなわち、プラグフレームに対しツマミの軸方向への移動を阻止するためのロックプレートを設けているため、作業者等が勝手に光コネクタプラグを抜いては困るような仕様・用途にも十分に対応でき、会社や事業所等の各部署の責任者以外の者には光コネクタプラグの抜去(キー解除)ができないという諸々の光コネクタプラグセキュリティシステムを構築することができる。
【0017】
また、ロックプレートは、ストップリングに外嵌される把持アーム部と、該把持アーム部から軸方向に沿って延設された弾性プレート部と、該弾性プレート部の先端から軸方向に対して直角外向きに突設された係合部とを備え、該係合部は、ツマミの内壁に設けた係止部に係止されて、ツマミに対しプラグフレームの軸方向への抜去移動を阻止しているので、不必要な光コネクタプラグの抜去を確実に阻止することができる。
【0018】
また、アダプタから光コネクタプラグを抜去する時にはツマミの内壁とロックプレートの係合部との間に差し込むことにより当該係合部をストップリング側へ押圧させ、ツマミの係止部に対する係合部の係合を解除可能とした係合解除用の抜去用キー工具を具備してなるので、アダプタから光コネクタプラグを抜去する必要が生じたときにのみ抜去用キー工具を差し込むだけで光コネクタプラグをアダプタから容易に抜去することができる。
【0019】
そして、ツマミには、抜去用キー工具を挿入させてこの先端を押圧面に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するように形成してなるので、当該キー溝形状とは異なるキー孔形状を有するガイド用キー孔部の場合には抜去用キー工具の挿入が阻止される。
【0020】
これによって種々なキー孔形状を有する光コネクタプラグおよび前記キー孔形状に対応する種々なキー溝形状を有する抜去用キー工具を各々複数用意することで当該抜去用キー工具の所有者以外の者によるキー解除を防止することができる。
【0021】
そしてまた、ガイド用キー孔部のキー孔内側に1個ないし複数個のガイド突条を設け、該各ガイド突条に対応する1本ないし複数本のキー溝を設けた抜去用工具を備えているので、例えば会社や事業所等において、各レベル(部署)の責任者以外の者によるキー解除ができないような光コネクタプラグセキュリティシステムを構築することができる。
したがって、光コネクタの仕様・用途等を広範囲に拡げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す光コネクタの分解斜視図である。
【図2】光コネクタの組立後の状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図3】ツマミ取付前の光コネクタプラグの斜視図である。
【図4】ロックプレートの全体構成を下側から見た斜視図である。
【図5】同じくロックプレートの一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図6】アダプタと光コネクタが嵌合した状態を示し、(a)は部分平断面図、(b)は部分側断面図である。
【図7】ツマミのキー孔に抜去用キー工具を挿入した状態を示し、(a)は部分平断面図、(b)は部分側断面図である。
【図8】抜去用キー工具を押し込み、ツマミのロックが解除された状態を示し、(a)は部分平断面図、(b)は部分側断面図である。
【図9】ツマミを後退させて、アダプタのロックが解除された状態を示し、(a)は部分平断面図、(b)は部分側断面図である。
【図10】アダプタから光コネクタを抜いた状態を示し、(a)は部分平断面図、(b)は部分側断面図である。
【図11】ツマミと抜去用キー工具の斜視図である。
【図12】ロックプレートによるロック部分の詳細を示すもので、(a)はロック状態の拡大された部分断面図、(b)はキー孔部に抜去用キー工具を挿入して係合部が内方変形した状態の拡大断面図である。
【図13】同じく抜去用キー工具のキー溝形状と受側であるガイド用キー孔部のキー孔形状との挿入可否を示す説明図であり、責任レベル(役職)と鍵形状とを対応させて操作できる範囲を示している。
【図14】抜去用キー工具をガイド用キー孔部に挿入した状態を示し、(a)は図13中の総責任者のキー工具による組み合わせ状態を示す縦断面図、(b)は図13中の責任レベル1のキー工具による組み合わせ状態を示す縦断面図、(c)は図13中の責任レベル2のキー工具による組み合わせ状態を示す縦断面図、(d)は図13中の責任レベル3のキー工具による組み合わせ状態を示す縦断面図である。
【図15】ロックプレートによるツマミのロック状態の詳細を示し、(a)は光コネクタの背面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図16】ツマミの突起位置を基準としてガイド用キー孔部の位置を変えた場合の例を示し、(a)はガイド用キー孔部をツマミの突起側平面に設けた場合の斜視図、(b)はガイド用キー孔部を突起位置に対してツマミ左側面側に設けた場合の斜視図、(c)はガイド用キー孔部を突起位置に対してツマミ右側面側に設けた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る光コネクタの実施の一形態を詳細に説明する。
本発明に係る光コネクタは、SCコネクタの特徴であるツマミとプラグフレームが別々に動いて、アダプタのロックを解除するスライダロック機構となっている(図10参照)。
【0024】
すなわち、本光コネクタPは、図1乃至図3に示すように、光ファイバの先端近傍が挿入されたフランジ11a付きのフェルール11を内蔵したプラグフレーム12と、フェルール11の後端部側が挿入され、プラグフレーム12の後端部内側にスプリング13を介して嵌挿されるストップリング14と、ストップリング14の後端側に嵌合されるケブラ固定用のカシメリング15と、カシメリング15の後端側に装着される外皮固定用のリング16と、カシメリング15とリング16を覆う状態でストップリング14の後端側に嵌合されるブーツ17と、プラグフレーム12を先端側から挿入して収納配置させる角筒状のツマミ18とを有して成る。
【0025】
また、前記スライドロック機構は、従来公知のプッシュオン形締結構造を採用しており、光コネクタプラグPを後述するアダプタ31に押し込むまたは引き抜くだけで結合または離脱ができるものとなっている。
【0026】
すなわち、光コネクタプラグPをアダプタ31に押し込むとアダプタ31内の後述する係止アーム37のロック部38が光コネクタプラグPのツマミ18によって押し広げられ、更に押し込むことでロック部38がプラグフレーム12の後述する係合部39に係合しロック(結合)される。また、ツマミ18は、これがアダプタ31から引き抜かれる際には、ツマミ18がプラグフレーム12に対して後退スライドしながらアダプタ31の係止アーム37のロック部38を押し広げてロック解除させ、更に引き抜くことで光コネクタプラグPがアダプタ31から離脱できるものとなっている。つまり、ロック部38の両端が、ツマミ18の左右対称位置に形成されている係合用開口部46の上下一対の傾斜面部45(図1、図2(b)、図11参照)に乗り上げることでロック解除される、これによって光コネクタPがアダプタ31から引き抜かれるものとなっている。
【0027】
そして、ストップリング14の略中央部において前後一対の環状のフランジによって挟まれている凹溝状の周壁を後述するロックプレート21の装着部14aとしているとともに、後側のフランジは、ストップリング14の後端側にカシメリング15と共に嵌合されるブーツ17の係止部となっている。このロックプレート21は、ツマミ18にプラグフレーム12が嵌挿された際に、当該プラグフレーム12のツマミ18の軸方向への移動を阻止させる機構となっている。すなわち、ロックプレート21の付設によってツマミ18を軸方向に後退できなくすることでアダプタ31のロック解除を不能にするように構成されている。
【0028】
具体的には、ロックプレート21は、図4および図5に示すように、ストップリング14の装着部14aに外嵌状となって把持させるために、中央の溝26を介して拡径方向に撓曲可能とした略Cリング状の把持アーム部21aと、該把持アーム部21aの基部側面から軸方向に沿って一体延設された弾性プレート部21bと、該弾性プレート部21bの先端から軸方向に対して直角外向きに突設された段差状の係合部22と、該係合部22に連なる中央の突起部21cとを備えている。また、前記係合部22位置と反対側における弾性プレート部21bの面は断面円弧状に窪ませ、肉薄とすることで弾性を付与してある。さらに、ストップリング14の装着部14aに把持アーム部21aを嵌め込み、弾性プレート部21bをストップリング14側に撓曲変形させる際に、弾性プレート部21b自体がブーツ17の外壁に接触して変形の妨げとならないようにしてある。
【0029】
また、前記突起部21cは、垂直面状の係止面部22aと、テーパ面状の押圧面部23と、狭幅な天面部24とを有し、側面から見て略直角台形状に形成されている。さらに、前記突起部21cの左右両側は切欠部25a、25bが形成されて前記係合部22につながっている。
【0030】
一方、ツマミ18の一側(下面側)には、抜去用キー工具51を挿入させるためのガイド用キー孔部41が設けられている。そして、図6(b)および図12(a)および図15(a)、図5(b)、図15(c)に示すように、ツマミ18にプラグフレーム12が嵌挿された際には、ロックプレート21の係合部22は、その両側において当該ツマミ18のガイド用キー孔部41の内部両側に形成された係止部31d、31dに係合されて、ツマミ18がプラグフレーム12の軸方向へ後退移動するのを阻止するようになっている。
【0031】
すなわち、ツマミ18のガイド用キー孔部41の内部の上部壁面は矩形切欠部31eとなって凹設されており、さらにその奥側中央には矩形切欠部31eよりも狭幅な矩形凹状のガイド凹部31fを備え、この矩形切欠部31eとガイド凹部31fとの間の両側には既述の係止部31d、31dとなっている。そして、ツマミ18にプラグフレーム12が嵌挿された際には、係合部22の両側がツマミ18の両係止部31d、31dに係合されて、ツマミ18がプラグフレーム12の軸方向へ後退移動するのを阻止し、またガイド用キー孔部41に挿入された抜去用キー工具51によって係止部22両側が係止部31d、31dから上下方向へ押圧、離脱した際には、ツマミ18がプラグフレーム12の軸方向へ後退移動できるようになっている。
【0032】
つまり、図7(b)に示すように、ツマミ18のガイド用キー孔部41に抜去用キー工具51が差し込まれた際には、当該キー工具51先端をロックプレート21の突起部21cの押圧面部23側に案内させると共に、図8(b)、図12(b)に示すように、当該押圧面部23に抜去用キー工具51の先端に形成された傾斜部52が圧接した際には、弾性プレート部21bが撓曲することで係合部22はストップリング14側へ変位され、ツマミ18の係止部31d、31dから係合部22の両側が上方へ外れてツマミ18に対するロックが解除されるようになっている。
【0033】
こうして、光コネクタPを抜く場合は抜去用キー工具51を差し込むことにより、ロックプレート21の突起部21cを押し退け係合部22のロック部分を解除することで、ツマミ18が後退可能となり、ツマミ18を引き抜くことで通常のSCコネクタと同じようにアダプタ31からの抜去が可能となる。
【0034】
アダプタ31は、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)に示すように、上側壁、左右側壁、底壁、1つの仕切壁とが一体に形成されてなるハウジング31aにて形成され、このハウジング31aの両端には光コネクタPの嵌合部31bがそれぞれ水平方向に開口している。
【0035】
また、アダプタ31のハウジング31a中央部に配される左右一対の接合端壁の一方には、一方の円筒35が嵌合部端側に向かって突設してあると共に、他方の接合端壁には、他方の円筒36が嵌合部31b端側に向かって突設してあり、両円筒35、36が光学軸上で中心軸を一致させて接合端壁同士を係合固定することによってスリーブホルダー32が形成される。このとき、スリーブホルダー32内側に円筒状の割りスリーブ33が装着され保持されている。
【0036】
さらに、アダプタ31のハウジング31a内部には、両円筒35、36を中心に挟んで両側に延長した1対の係止アーム37を備えている。これら一対の係止アーム37はその基部に配されたベース部を介して中心の両円筒35、36と共に一体的に成形されている。各係止アーム37の先端部には、両円筒35、36の方へ向けて内側に突出する鈎状のロック部38が形成され、挿入されるプラグフレーム12の左右側面に形成されている係合部39に各係止アーム37のロック部38が係合されるものとなっている。
【0037】
尚、図1、図2、図6(b)、図7(b)、図8(b)、図9(b)に示すように、ツマミ18の他側(上面側)には突起18aが形成され、アダプタ31のハウジング31aの溝部31cに係合することにより光コネクタPのガイドおよびその挿入方向が規制されるようになっている。
【0038】
以上の構成による光コネクタPは、アダプタ31への装着後には後述する抜去用キー工具51を使わなければアダプタ31から当該光コネクタPが取り外せないようにしてある。すなわち、抜去用キー工具51は、図11に示すように、取っ手53から平板状のアーム部54が突設され、アーム部54先端の下面側には傾斜部52が形成されていると共に、アーム部54の片面(図では上面)には扁平凹面状のキー溝57が形成されている(後述する総責任者用のキー工具51参照)。そして、抜去用キー工具51のアーム部54のキー溝57がガイド用キー孔部41に形成されているガイド突条44に合致してガイド用キー孔部41に挿入される。
【0039】
このとき、図10(b)に示すように、取っ手53がガイド用キー孔部41の後側開口端縁に係止されるまで押し込まれた際には、アーム部54先端(傾斜部52)がツマミ18の一側内壁と突起部21cの押圧面部23との間に差し込まれつつ、当該突起部21c自体は傾斜部52によって内方(ストップリング14側)へ押圧変形させられ、これによってツマミ18の係止部31d、31dに対するロックプレート21の係合部22両側の係合が解除されるものとしている。
【0040】
そして、抜去用キー工具51のアーム部54の外形状がガイド用キー孔部41の内形状(ガイド突条44の位置や数)と正確に合致しないときは、当該ガイド用キー孔部41にアーム部54が挿入できないことから、アダプタ31から光コネクタプラグ11が取り外せないものとなっている。
【0041】
また、本実施の形態では、ガイド用キー孔部41をツマミ18の突起18a側とは反対の面(下面側)に設けてあるが、ツマミ18の突起18aを基準としてガイド用キー孔部の位置を適宜変えても良い。例えば、図16(a)はガイド用キー孔部41をツマミ18の突起18a側平面に設けた場合であり、図16(b)はガイド用キー孔部41を突起18a位置に対してツマミ18の左側面側に設けた場合であり、(c)はガイド用キー孔部41を突起18a位置に対してツマミ18の右側面側に設けた場合である。
【0042】
次に、以上のように構成された形態についての使用・動作の一例について説明する。
先ず、ツマミ18を手指で持ち、アダプタ31の一方の嵌合部31bに光コネクタプラグPを装着する。このとき、図1、図2、図6(b)に示すように、ツマミ18の突起18aがアダプタ31のハウジング31aの溝部31cに係合すると同時に、プラグフレーム12の左右側面の係合部39にアダプタ31のロック部38が係合する。
すなわち、光コネクタプラグPをアダプタ31に押し込むとアダプタ31内の係止アーム37のロック部38が光コネクタプラグPのツマミ18によって押し広げられ、更に押し込むことでロック部38がプラグフレーム12の係合部39に係合しロック(結合)される。
【0043】
また、このロック状態において、ロックプレート21の係合部22はその両側においてツマミ18のガイド用キー孔部41の矩形切欠部31e上部に間隔を置いて設けられた左右一対の係止部31d、31dに係合されており、ツマミ18に対しプラグフレーム12が軸方向へ後退移動するのを阻止した状態となっている(図12(a)、図15(c)参照)。
【0044】
アダプタ31から光コネクタプラグPを抜去する時には、図7(b)、図8(b)、図12(b)に示すように、抜去用キー工具51のアーム部54をガイド用キー孔部41に挿入し、取っ手53がガイド用キー孔部41の後側開口端縁に係止されるまで押し込む。このとき、アーム部54先端(傾斜部52)がツマミ18の一側内壁と突起部21cの押圧面部23との間に差し込まれつつ、突起部21c自体は傾斜部52によって内方(ストップリング14側)へ押圧させられ、これによってツマミ18の係止部31dに対するロックプレート21の係合部22の係合が上下方向に解除される。
【0045】
而して、ツマミ18は、図9(a)に示すように、プラグフレーム12に対して後退スライドしながらアダプタ31の係止アーム37のロック部38を押し広げてロック解除させ、更に引き抜くことで光コネクタプラグPがアダプタ31から離脱され、アダプタ31から光コネクタPが手前へ抜去される。
【0046】
また、ガイド用キー孔部41に対して、種々の異なるキー溝57を備えた抜去用キー工具51を形成することで、責任レベルに従いキー操作できる範囲を決めることが可能である。
【0047】
すなわち、図13に示すように、例えば総責任者の所有する抜去用キー工具51は、取っ手53から平板状のアーム部54が突設され、アーム部54の片面中央には幅広な扁平凹面状のキー溝57が形成されている。このような総責任者が所有する抜去用キー工具51は、ガイド用キー孔部41に形成されているガイド突条44がこのキー溝57の溝幅に対応して中央に1本ある場合、細長な3本のガイド突条44がこのキー溝57の溝幅に対応して等間隔に並置されている場合、片側に2本のガイド突条44がこのキー溝57の溝幅に架かるよう並置されている場合、中央に1本の細長なガイド突条44がある場合等の全てに対応できてキー操作が可能となる。
【0048】
また、責任レベル1の場合は、アーム部54の片面中央に細長凹面状の3つのキー溝57が形成されている。このようなレベル1の責任者が所有する抜去用キー工具51は、ガイド用キー孔部41に形成されているガイド突条44がこれら3つのキー溝57のうちの中央の溝幅に対応して中央に1本ある場合、片側に2本のガイド突条44が2つのキー溝57の溝幅に架かるよう並置されている場合、細長な3本のガイド突条44がこれら3つのキー溝57の各溝幅に対応して等間隔に並置されている場合等に対応できてキー操作が可能となる。
【0049】
また、責任レベル2の場合は、アーム部54の片面中央に2つのキー溝57が形成され、キー溝57を介しての片側のアーム部54だけが幅広となっている。このようなレベル2の責任者が所有する抜去用キー工具51は、ガイド用キー孔部41に形成されているガイド突条44がこれら2つのキー溝57のうちの中央の溝幅に対応して中央に1本ある場合、片側に2本のガイド突条44が2つのキー溝57の各溝幅に架かるよう並置されている場合等に対応できてキー操作が可能となる。
【0050】
また、責任レベル3の場合は、アーム部54の片面中央に1つの幅狭なキー溝57が形成されている。このようなレベル3の責任者が所有する抜去用キー工具51は、ガイド用キー孔部41に形成されているガイド突条44がこの1本のキー溝57の溝幅に対応して中央に1本ある場合等のみ対応できてキー操作が可能となる。
【0051】
図14は、図13に対応するよう抜去用キー工具51をガイド用キー孔部41に挿入した状態の断面図を示し、(a)は総責任者が所有する抜去用キー工具51を幅広なガイド突条44を有するガイド用キー孔部41に挿入した状態の縦断面図、(b)はレベル1の責任者が所有する抜去用キー工具51を3つのガイド突条44を有するガイド用キー孔部41に挿入した状態の縦断面図、(c)はレベル2の責任者が所有する抜去用キー工具51を2つのガイド突条44を有するガイド用キー孔部41に挿入した状態の縦断面図、(d)はレベル3の責任者が所有する抜去用キー工具51を1つのガイド突条44を有するガイド用キー孔部41に挿入した状態の縦断面図である。
【0052】
こうして、ガイド用キー孔部41の形状・配置・個数を、抜去用キー工具51のキー溝57の形状・配置・個数に対応させることにより、各責任レベル(役職)に従って、抜去用キー工具51の操作できる範囲を決めることができ、これによって各レベル(部署)の責任者以外の者によるキー解除ができないような光コネクタセキュリティシステムを構築することができる。
【符号の説明】
【0053】
P 光コネクタ
11 フェルール
12 プラグフレーム
13 スプリング
14 ストップリング
14a 装着部
15 カシメリング
16 リング
17 ブーツ
18 ツマミ
18a 突起
21 ロックプレート
21a 把持アーム部
21b 弾性プレート部
21c 突起部
22 係合部
22a 係止面部
23 押圧面部
24 天面部
25a、25b 切欠部
26 溝
31 アダプタ
31a ハウジング
31b 嵌合部
31c 溝部
31d 係止部
31e 矩形切欠部
31f ガイド凹部
32 スリーブホルダー
33 割りスリーブ
35、36 円筒
37 係止アーム
38 ロック部
39 係合部
41 ガイド用キー孔部
44 ガイド突条
45 傾斜面部
46 係合用開口部
51 抜去用キー工具
52 傾斜部
53 取っ手
54 アーム部
57 キー溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの先端近傍が挿入されたフェルールを内蔵したプラグフレームと、フェルールの後端部側が挿入され、プラグフレームの後端部内側にスプリングを介して嵌挿されるストップリングと、プラグフレームを先端側から挿入して収納配置させるツマミとを有し、ツマミとプラグフレームが別々に動いて、アダプタのロックを解除可能とする光コネクタタプラグであって、プラグフレームに対しツマミの軸方向への移動を阻止するためのロックプレートを設けたことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
ロックプレートは、ストップリングに外嵌される把持アーム部と、該把持アーム部から軸方向に沿って延設された弾性プレート部と、該弾性プレート部の先端から軸方向に対して直角外向きに突設された係合部とを備え、該係合部は、ツマミの内壁に設けた係止部に係止されて、ツマミに対しプラグフレームの軸方向への抜去移動を阻止するよう形成されている請求項1記載の光コネクタ。
【請求項3】
アダプタから光コネクタプラグを抜去する時にはツマミの内壁とロックプレートの係合部との間に差し込むことにより当該係合部をストップリング側へ押圧させ、ツマミの係止部に対する係合部の係合を解除可能とした係合解除用の抜去用キー工具を具備してなる請求項2記載の光コネクタ。
【請求項4】
ツマミには、抜去用キー工具を挿入させてこの先端をロックプレートの押圧面部に案内させるためのガイド用キー孔部を備え、このガイド用キー孔部のキー孔形状を抜去用キー工具のキー溝形状に対応するように形成してなる請求項3記載の光コネクタ。
【請求項5】
ガイド用キー孔部のキー孔内側に1個ないし複数個のガイド突条を設け、該各ガイド突条に対応する1本ないし複数本のキー溝を設けた抜去用工具を備えている請求項4記載の光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−141392(P2012−141392A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292954(P2010−292954)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(391005581)三和電気工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】