光コネクタ
【課題】取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることが可能な光コネクタを提供する。
【解決手段】光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタMであり、前記光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10と、前記内側ハウジング10を覆う外側ハウジング20とを有し、前記内側ハウジング10には、前記光ファイバケーブル40の端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部11が形成され、前記外側ハウジング20には、前記ケーブル端末収容部11の開放側を塞ぐ覆壁部23が設けられている。
【解決手段】光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタMであり、前記光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10と、前記内側ハウジング10を覆う外側ハウジング20とを有し、前記内側ハウジング10には、前記光ファイバケーブル40の端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部11が形成され、前記外側ハウジング20には、前記ケーブル端末収容部11の開放側を塞ぐ覆壁部23が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタが知られている。
一般に、光ファイバケーブルの端末部においては、光ファイバを覆う保護被覆が切断され、剥き出しにされた光ファイバにフェルールが装着される。このフェルールの前端面を相手側に突き当てることで、光ファイバケーブルは、相手側と光学的に接続される。
【0003】
光コネクタは、このような光ファイバケーブルの端末部に容易に装着できるように、複数に分割されたものが多い。例えば、特許文献1に記載の光コネクタは、前後に分割されており、光ファイバケーブルの保護被覆の端末部と、フェルールを前方に付勢するための付勢ばねとが後側のハウジングに収容され、フェルールは前側のハウジングに収容される。光ファイバケーブルの端末部は、後側ハウジングに後方から挿入され、後側ハウジングの前方に突出された光ファイバに、付勢ばねが挿通されて、付勢ばねは前方から後側ハウジングに収容される。次いで、光ファイバにフェルールが装着されて、フェルールは前側ハウジングに収容される。その後、前後のハウジングは一体に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−211030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような光コネクタでは、光ファイバケーブルの端末部を保持するハウジングが、前側ハウジングと後側ハウジングとに分割され、その分割部位が外部に露出しているため、衝撃等に対する強度不足が懸念される。かといって、前側ハウジングと後側ハウジングとを一体にしてしまうと、光コネクタの取り付け作業が難しくなるという問題があり、対策が望まれていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることが可能な光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタであり、前記光ファイバケーブルの端末部を保持する内側ハウジングと、前記内側ハウジングを覆う外側ハウジングとを有し、前記内側ハウジングには、前記光ファイバケーブルの端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部が形成され、前記外側ハウジングには、前記ケーブル端末収容部の開放側を塞ぐ覆壁部が設けられているものである。
【0008】
このような構成によれば、光ファイバケーブルの端末部を、内側ハウジングに容易に保持させることができる。また、内側ハウジングは外側ハウジングに覆われて保護されるので、衝撃等に対する強度が高くなる。すなわち、本発明の構成によれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0009】
また、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとには、互いに係止することで前記内側ハウジングの前記覆壁部から離れる側への浮き上がりを規制する浮き上がり規制部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、ケーブル端末収容部が、覆壁部によって確実に塞がれた状態に保持される。
【0010】
また、前記外側ハウジングのうち前記内側ハウジングを覆う周壁には、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとを組み付け状態に保持するロック部材が装着される装着部が開口され、前記ロック部材は、前記装着部に取り付けられると、前記外側ハウジングの内側に突出して前記内側ハウジングに係止し、前記装着部から取り外されると、前記内側ハウジングとの係止が外れるものとしてもよい。このような構成によれば、ロック部材の取り付けおよび取り外しにより、内側ハウジングと外側ハウジングとのロック、及びロック解除を行うことができる。
【0011】
また、前記内側ハウジングは、規格が異なる複数種の前記光ファイバケーブルに対応するものが複数種備えられ、いずれの前記内側ハウジングも、共通の前記外側ハウジングに組み付け可能とされているものとしてもよい。このような構成によれば、内側ハウジングと外側ハウジングとの両方を複数種ずつ必要とする場合に比べて、製造コストの増加および部品点数の増加を抑えつつ、複数種の光ファイバケーブルに対応することができる。
【0012】
また、前記外側ハウジングには、相手側のコネクタに係止するロックアームが設けられ、前記ロックアームは、前記外側ハウジングの周壁のうち前記覆壁部と対向する側の対向壁部に形成された開口部内に設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、外側ハウジングを薄型化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることが可能な光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1における雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態を表す断面図
【図2】雄コネクタを表す斜視図
【図3】雄コネクタを表す正面図
【図4】雄コネクタを表す背面図
【図5】雄コネクタを表す側面図
【図6】雄コネクタを表す底面図
【図7】雄コネクタを表す断面図
【図8】内側ハウジングを表す斜視図
【図9】内側ハウジングを表す正面図
【図10】内側ハウジングを表す底面図
【図11】内側ハウジングを表す断面図
【図12】外側ハウジングを表す斜視図
【図13】外側ハウジングを表す背面図
【図14】雌コネクタを表す斜視図
【図15】雌コネクタを表す正面図
【図16】雌コネクタを表す背面図
【図17】雌コネクタを表す断面図
【図18】実施形態2における雄コネクタの第二内側ハウジングを表す斜視図
【図19】第二内側ハウジングを表す底面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図17を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における雄コネクタMおよび雌コネクタFは、光ファイバ41に保護被覆42を被せてなる光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタであり、互いに嵌合可能とされている。雄コネクタM及び雌コネクタFは、光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10と、内側ハウジング10を覆う外側ハウジング20とを有している。以下、各構成部材において、相手側コネクタとの嵌合面側を前方、その反対側を後方とし、また、図1における上側を上方、下側を下方として説明する。
【0016】
光ファイバケーブル40は、その端末部において保護被覆42が切断されて光ファイバ41が露出されている。保護被覆42の端部には、金属製のかしめリング43がかしめ付けられ、光ファイバ41の先端部には、フェルール44が取り付けられている。フェルール44には、径方向外側に突出するフランジ45が設けられている。
【0017】
まず、雄コネクタMについて説明する。
雄コネクタMの内側ハウジング10は、合成樹脂製であって、1本の光ファイバ41を有する単心光ファイバケーブル40を、2本保持可能とされている(図10参照)。内側ハウジング10には、光ファイバケーブル40を1本ずつ収容可能なケーブル端末収容部11が一対、幅方向に並んで設けられている。一対のケーブル端末収容部11は、仕切壁12により仕切られている。各ケーブル端末収容部11は、光ファイバケーブル40の端末部を下側から収容できるように、下面側(一面側)に開放されている。また、ケーブル端末収容部11は、上面側が蓋壁部13により覆われている(図11参照)。
【0018】
各ケーブル端末収容部11は、保護被覆42の端末部が収容される被覆収容部11Aと、露出された光ファイバ41が収容される光ファイバ収容部11Bとを有している。被覆収容部11Aと光ファイバ収容部11Bとは、前後方向に連なって設けられている。被覆収容部11Aには、かしめリング43が嵌合する被覆端嵌合部14が設けられ、被覆端嵌合部14にかしめリング43が嵌合することで、光ファイバケーブル40の端末部の前後方向の位置決めがなされる(図10参照)。
【0019】
ケーブル端末収容部11を覆う蓋壁部13は、被覆収容部11Aに対応する部分が、光ファイバ収容部11Bに対応する部分よりも、一段上側に張り出すように形成され、被覆収容部11Aが光ファイバ収容部11Bに比して深くされている。
【0020】
ケーブル端末収容部11の前方には、フェルール44を前方に付勢するコイルばね(付勢部材)46を収容する付勢部材収容部15が設けられている(図8参照)。付勢部材収容部15は、コイルばね46の径方向の両側に係止する係止壁16を有し、一対の係止壁16の間に、コイルばね46が挿入されて保持される。一対の係止壁16の間は、上下方向に開放されている。
【0021】
付勢部材収容部15は、幅方向に並んで一対が設けられ、各付勢部材収容部15は、各ケーブル端末収容部11の前方に連なっており、光ファイバ41は、被覆収容部11Aから付勢部材収容部15まで直線状に延びて配される。これにより、光ファイバ41が内側ハウジング10内で大きく屈曲することが防がれ、光ファイバ41の曲げによる放射損失を低減することができる。
【0022】
付勢部材収容部15の後側には、雌コネクタFとの嵌合時に、コイルばね46の後端部に後方から当接してコイルばね46を前方へ付勢する受け部17が設けられている(図1参照)。受け部17は、コイルばね46に沿う略U字状をなし、その中央部分が、ケーブル端末収容部11から付勢部材収容部15へ光ファイバ41を挿通させる挿通孔17Aとされている。挿通孔17Aは下側に開放され、下側から光ファイバ41を通すことが可能とされている。
【0023】
コイルばね46は、雌コネクタFとの嵌合前の自然状態では、その先端部が付勢部材収容部15から前方に突出して配される(図8および図9参照)。コイルばね46の先端部には、光ファイバ41に装着されたフェルール44の後端部(フランジ45よりも後側の部分)が嵌合し、これによりフェルール44が内側ハウジング10に保持される。
【0024】
内側ハウジング10には、後述する外側ハウジング20の溝25に係止することで、内側ハウジング10の浮き上がり(下側覆壁部23から離れる側への変位)を規制するリブ(浮き上がり規制部)18が設けられている(図8および図9参照)。リブ18は、内側ハウジング10の上側の両角部に設けられて、上方および側方に突出している。リブ18は、蓋壁部13のうち被覆収容部11Aに対応する部分の両側縁に沿って、前後方向に長く延びている。
【0025】
雄コネクタMの外側ハウジング20は、合成樹脂製であって、内側ハウジング10よりも前後方向に長く、内側ハウジング10よりも一回り大きくされ、内側ハウジング10を内部に収容可能とされている。
【0026】
外側ハウジング20には、後方から内側ハウジング10が嵌合可能なハウジング嵌合部21が設けられている(図2および図12参照)。ハウジング嵌合部21は、内側ハウジング10を取り囲む周壁に囲まれてなり、この周壁は、内側ハウジング10の上面に沿う上側覆壁部22と、内側ハウジング10の下面に沿う下側覆壁部23と、内側ハウジング10の両側面に沿う側壁部24と、を有している。
【0027】
下側覆壁部23は、図6および図7に示すように、内側ハウジング10の下面の全体、すなわち付勢部材収容部15およびケーブル端末収容部11の下側(開放側)を覆うものである。上側覆壁部22は、内側ハウジング10の上面のうち主に開放部分を覆うものであり、付勢部材収容部15の上側から蓋壁部13のうち光ファイバ収容部11Bに対応する部分を覆う。側壁部24は、内側ハウジング10の側面全体を覆って、さらに上方に立ち上がっている。
【0028】
外側ハウジング20には、内側ハウジング10のリブ18と係止して、内側ハウジング10の浮き上がりを規制する溝(浮き上がり規制部)25が設けられている。溝25は、側壁部24の内面に形成されている。溝25は、外側ハウジング20の後方に開放され、後方からリブ18が差し入れられるようになっている。各溝25は、図4に示すように、リブ18の内側に被さる形状をなし、溝25とリブ18との係止により、内側ハウジング10の幅方向の変位が規制され、リブ18と溝25との係止状態が確実に保持される。リブ18と溝25とが係止することにより、例えば光ファイバケーブル40が上方に持ち上げられた場合の内側ハウジング10の持ち上がりが規制される。なお、側壁部24のうち溝25が形成された部分は、外側に膨出している(図2参照)。
【0029】
外側ハウジング20の前端部(ハウジング嵌合部21の前方)には、図3および図7に示すように、光ファイバケーブル40の端末部に保持されたフェルール44の前端部(フランジ45よりも前側の部分)が、個別に収容される筒状孔部26が形成されている。筒状孔部26は、フェルール44よりも一回り大きい略円形断面をなして前後方向に貫通し、筒状孔部26とフェルール44との間には、後述する雌コネクタFの筒状突部65が嵌合可能とされている。
筒状孔部26の後側には、フェルール44のフランジ45に対して前方から係止し、フェルール44の前方への抜け出しを防ぐストッパ部27が設けられている。
【0030】
外側ハウジング20は、ハウジング嵌合部21のさらに側を覆う外側覆壁部(対向壁部)28を有しており、外側覆壁部28には、雌コネクタFに係止するロックアーム29が設けられている。ロックアーム29は、外側覆壁部28に開口部31を形成することで設けられ、開口部31を塞ぐようにして外側ハウジング20の前端部から後方に延びている。ロックアーム29は、外側覆壁部28の一部を構成するものであり、その両側には、側壁部24が立ち上がっている。ロックアーム29の上面には、ロック部32が突設され、このロック部32が、雌コネクタFのロック部66と係止することで、雄コネクタMと雌コネクタFとが嵌合状態にロックされる(図1参照)。ロックアーム29の後端部には、ロックを解除する際に押圧操作される操作部33が設けられ、操作部33の上方には、不用意なロック解除操作を防ぐべく、操作規制部34が幅方向に掛け渡されている(図2参照)。
【0031】
雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ(ロック部材)35が備えられている(図7参照)。リテーナ35は、雄コネクタMに取り付けられると内側ハウジング10に係止し、雄コネクタMから取り外されると、内側ハウジング10との係止が外れるものである。
【0032】
リテーナ35が装着される装着部36は、外側ハウジング20の下側覆壁部23に開口され、外側ハウジング20の幅方向に細長い形状をなしている(図6参照)。装着部36には、取り付けられたリテーナ35に係止して、リテーナ35の離脱を防ぐ離脱規制部37が設けられている。
【0033】
内側ハウジング10には、リテーナ35が嵌合して係止する係止凹部19が設けられている(図7参照)。係止凹部19は、内側ハウジング10のうち外側ハウジング20の装着部36に対応する位置に形成されている。係止凹部19は、図10に示すように、内側ハウジング10のうちケーブル端末収容部11を仕切る仕切壁12に凹み形成されている。係止凹部19は、隣り合う光ファイバ収容部11Bの間に形成され、下側および両側に開放された溝状をなしている。
【0034】
次に、雄コネクタMの組み付け手順の一例を説明する。
まず、内側ハウジング10に、光ファイバケーブル40の端末部を仮保持させる。
コイルばね46及びフェルール44を装着する前の段階で、光ファイバケーブル40の端末部を、ケーブル端末収容部11に横(開放側)から差し入れて収容する。次いで、コイルばね46を、光ファイバ41の先端から挿通し、付勢部材収容部15に前方から差し入れて収容する。その後、光ファイバ41の先端にフェルール44を装着し、フェルール44の後端部をコイルばね46の先端に嵌合させる。これにより、光ファイバケーブル40の端末部が、内側ハウジング10に仮保持された状態になる。
【0035】
次に、内側ハウジング10を外側ハウジング20に組み付ける。内側ハウジング10を、外側ハウジング20の後方から前方に向かってスライドさせ、ハウジング嵌合部21に嵌合させる。このとき、内側ハウジング10のリブ18が、外側ハウジング20の溝25に挿入され、リブ18と溝25との係止により、内側ハウジング10のスライド動作が案内される。そして、外側ハウジング20の上側覆壁部22の後端が、内側ハウジング10の蓋壁部13の段差の位置に達し、内側ハウジング10が正規の組み付け位置に至ると、それ以上のスライド動作が規制される。このとき、光ファイバケーブル40の端末部は、外側ハウジング20の上側覆壁部22、下側覆壁部23、および内側ハウジング10の蓋壁部13により、完全に四方を取り囲まれた状態になる。
【0036】
次いで、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを、正規の組み付け状態にロックする。外側ハウジング20の装着部36にリテーナ35を嵌め込むと、リテーナ35は、外側ハウジング20の内側に突出して内側ハウジング10の係止凹部19に嵌合する。これにより、内側ハウジング10の前後方向の移動が規制され、内側ハウジング10と外側ハウジング20とが一体に保持される。このとき、内側ハウジング10が所定の位置からずれている(半挿入状態である)場合には、リテーナ35が内側ハウジング10に突き当たることで、リテーナ35の取り付け動作が阻まれる。これにより、内側ハウジング10の半挿入を検知することができ、外側ハウジング20に対して内側ハウジング10を正しく組み付け直すことができる。そして、内側ハウジング10と外側ハウジング20とをロックすることで、雄コネクタMの組み付けが完了する。なお、外側ハウジング20から内側ハウジング10を離脱させる場合には、装着部36からリテーナ35を取り外すことで、内側ハウジング10の後方への移動が許容される。
【0037】
次に、雌コネクタFについて説明する。
雌コネクタFは、図14に示すように、雄コネクタMが嵌合されるフード部67を備えるものであり、それ以外の部分は雄コネクタMとほぼ同様の構成を有している。
雌コネクタFの内側ハウジング50は、雄コネクタMの内側ハウジング10と同様、光ファイバケーブル40を1本ずつ収容可能なケーブル端末収容部51が、内側ハウジング50の幅方向に並んで一対設けられている。各ケーブル端末収容部51は、図17に示すように、光ファイバケーブル40の端末部を上側から収容できるように、上面側(一面側)に開放されるとともに、下面側が蓋壁部52により覆われている。
【0038】
各ケーブル端末収容部51は、雄コネクタMの内側ハウジング10と同様、保護被覆42の端末部が収容される被覆収容部51Aと、露出した光ファイバ41が収容される光ファイバ収容部51Bとを有し、被覆収容部51Aと光ファイバ収容部51Bとは、前後方向に連なって設けられている。光ファイバ収容部51Bには、フェルール44の後端部が収容され、これによりフェルール44が内側ハウジング50に保持される。ケーブル端末収容部51の前端には、フェルール44のフランジ45に対して後側から係止して、フェルール44の後方への移動を規制する移動規制部53が形成されている。
【0039】
雌コネクタFの外側ハウジング60は、雄コネクタMの外側ハウジング20と同様、合成樹脂製であって、内側ハウジング50よりも前後方向に長く、内側ハウジング50よりも一回り大きくされ、内側ハウジング50を内部に収容可能とされている。
【0040】
外側ハウジング60には、雄コネクタMの外側ハウジング20と同様、後方から内側ハウジング50が嵌合可能なハウジング嵌合部61が設けられている。ハウジング嵌合部61は、内側ハウジング50の周囲を取り囲む周壁に囲まれてなり、周壁は、図16に示すように、内側ハウジング50の上面に沿う上側覆壁部62と、内側ハウジング50の下面に沿う下側覆壁部63と、内側ハウジング50の両側面に沿う側壁部64と、を有している。上側覆壁部62は、内側ハウジング50の上面の全体を覆うとともに、内側ハウジング50の上面に係止(当接)して、内側ハウジング50の浮き上がりを規制する浮き上がり規制部として機能する。
【0041】
外側ハウジング60のうちハウジング嵌合部61の前方には、光ファイバケーブル40の端末部に保持されたフェルール44の前端部(フランジ45よりも前側の部分)が、個別に収容される筒状突部65が形成されている。筒状突部65は、フェルール44と同等の径寸法を有する略円形断面の貫通孔を有している。筒状突部65は、雌コネクタF側のフェルール44よりも前方に突出し、雄コネクタMとも嵌合時には、その先端部が、雄コネクタMの筒状孔部26に嵌合する。
【0042】
筒状突部65の内側には、雌コネクタF側のフェルール44の外周に装着された、円筒状をなす金属製のスリーブ47が収容されている。雄コネクタMと雌コネクタFとの嵌合時には、雄コネクタM側のフェルール44がスリーブ47内に挿入され、フェルール44の端面同士が突き当たる。このスリーブ47により、雄コネクタM側の光ファイバ41と雌コネクタF側の光ファイバ41とが、芯ずれすることなく確実に接続される。
【0043】
また、ハウジング嵌合部61の前方には、略方形をなして前方に開口するフード部67が設けられている。フード部67は、雄コネクタMとの嵌合時には、雄コネクタMの略前半部分の全体を取り囲む。フード部67の前端には、雄コネクタMのロックアーム29と係止するロック部66が、内向きに突設されている。
【0044】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の雄コネクタMおよび雌コネクタFは、光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタであり、光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10,50と、内側ハウジング10,50を覆う外側ハウジング20,60とを有し、内側ハウジング10,50には、光ファイバケーブル40の端末部を、その延び方向とは交差する方向に挿入できるように一面側に開放されたケーブル端末収容部11,51が形成され、外側ハウジング20,60には、ケーブル端末収容部11の開放側を塞ぐ下側覆壁部23、上側覆壁部62が設けられている。
【0045】
これにより、光ファイバケーブル40の端末部を、内側ハウジング10,50に容易に保持させることができる。また、内側ハウジング10,50は外側ハウジング20,60に覆われて保護されるので、衝撃等に対する強度が高くなる。すなわち、本実施形態の雄コネクタMおよび雌コネクタFによれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0046】
また、雄コネクタMの内側ハウジング10と外側ハウジング20とには、互いに係止することで内側ハウジング10の浮き上がりを規制するリブ18および溝25が設けられている。これにより、ケーブル端末収容部11が下側覆壁部23によって、確実に塞がれた状態に保持される。
【0047】
また、雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ35が備えられ、外側ハウジング20の下側覆壁部23に、リテーナ35が装着される装着部36が開口され、リテーナ35は、装着部36に取り付けられると、外側ハウジング20の内側に突出して内側ハウジング10に係止し、装着部36から取り外されると、内側ハウジング10との係止が外れるものである。したがって、リテーナ35の取り付けおよび取り外しにより、内側ハウジング10と外側ハウジング20とのロック、及びロック解除を行うことができるから、内側ハウジング10と外側ハウジング20との組み付け作業および離脱作業を比較的容易に行うことができる。
【0048】
また、雄コネクタMの外側ハウジング20には、雌コネクタFに係止するロックアーム29が設けられ、ロックアーム29は、外側ハウジング20の周壁のうち下側覆壁部23と対向する側の外側覆壁部28に形成された開口部31内に設けられている。これにより、例えばロックアームを、外側覆壁部の外側に設ける場合に比べて、外側ハウジング20を薄型化することができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係る光コネクタを図18および図19によって説明する。
本実施形態の光コネクタは、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とが備えられている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る雄コネクタMは、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する2種の内側ハウジングを備えている。この内側ハウジングのうち一方は、実施形態1の内側ハウジング10と同様に、1本の光ファイバ41を有する単心光ファイバケーブル40用のもの(第一内側ハウジング10と称する)であり、他方は、2本の光ファイバ41を有する2心光ファイバケーブル71用のもの(第二内側ハウジング70と称する)である。第一内側ハウジング10は、実施形態1の雄コネクタMの内側ハウジング10と同様の構成を有している。
【0051】
第二内側ハウジング70は合成樹脂製であって、2心光ファイバケーブル71を2本保持可能とされている。第二内側ハウジング70には、2心光ファイバケーブル71を収容可能なケーブル端末収容部11が、第二内側ハウジング70の幅方向の中央に設けられている。ケーブル端末収容部11は、第一内側ハウジング10と同様に、2心光ファイバケーブル71の端末部を下側から収容できるように、下面側(一面側)に開放されるとともに、上面側が蓋壁部13により覆われている。また、ケーブル端末収容部11は、第一内側ハウジング10と同様に、被覆収容部11Aと光ファイバ収容部11Bとを有し、これらは前後方向に連なって設けられ、ケーブル端末収容部11を覆う蓋壁部13は、被覆収容部11Aに対応する部分が、光ファイバ収容部11Bに対応する部分よりも、一段上側に張り出すように形成されている。
【0052】
そして、第二内側ハウジング70には、第一内側ハウジング10と同様、フェルール44を前方に付勢するコイルばね46を収容する付勢部材収容部15が、ケーブル端末収容部11の前方に設けられている。
【0053】
付勢部材収容部15は、第一内側ハウジング10と同様、幅方向に並んで一対が設けられ、ケーブル端末収容部11は、一対の付勢部材収容部15のほぼ真ん中に位置している。これにより、ケーブル端末収容部11に収容された2心光ファイバケーブル71の光ファイバ41は、ほぼ直線状に延びて各付勢部材収容部15に配される。ここで、例えば、第一内側ハウジング10のケーブル端末収容部11に、2心光ファイバケーブル71を収容する場合には、2本の光ファイバ41のうち一本を、幅方向の一方から他方に向かって大きく屈曲させることになる。しかし、2心光ファイバケーブル71用の第二内側ハウジング70であれば、2本の光ファイバ41の両方を大きく屈曲することなく収めることができるので、光ファイバ41の曲げによる放射損失を低減することができる。
【0054】
そして、第二内側ハウジング70は、第一内側ハウジング10とはケーブル端末収容部11の態様が異なるのみで、外形がほぼ同じであり、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70は、いずれも共通の外側ハウジング20に組み付け可能とされている。
【0055】
以上のように本実施形態においては、雄コネクタMは、光ファイバケーブル40または71の端末部を保持する第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70と、第一内側ハウジング10または第二内側ハウジング70を覆う外側ハウジング20とを有し、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70には、光ファイバケーブル40,71の端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように下面側に開放されたケーブル端末収容部11が形成され、外側ハウジング20は、ケーブル端末収容部11の開放側を覆う下側覆壁部23を有しているから、実施形態1と同様、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0056】
加えて、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とが備えられ、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70のいずれもが共通の外側ハウジング20に組み付け可能とされている。これにより、内側ハウジングと外側ハウジングとの両方を2種ずつ必要とする場合に比べて、製造コストの増加および部品点数の増加を抑えつつ、2種の光ファイバケーブル40,71に対応することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)実施形態1では、内側ハウジング10には、リテーナ35が嵌合して係止する係止凹部19が設けられているが、これに限らず、リテーナと内側ハウジングとの係止構造はどのような態様としてもよく、例えば、内側ハウジングの前後方向の寸法を小さくしてその後端が外側ハウジングの後端よりも前方に位置するようにし、リテーナを、内側ハウジングの後端に係止させてもよい。
(2)実施形態1では、雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ35が備えられているが、これに限らず、例えば、内側ハウジングと外側ハウジングとのいずれか一方の側面に係止爪を突設し、他方の側面には、係止爪が係止する被係止部を形成し、係止爪が被係止部に係止することで、内側ハウジングと外側ハウジングとを組み付け状態に保持するものとしてもよい。これにより、リテーナ等の部品を別途要することなく、内側ハウジングと外側ハウジングとを組み付け状態に保持することができるから、部品点数の増加を防ぐことができる。また、被係止部を、後側に開放された前後方向に細長い切欠部とすることで、金型を前後方向にスライドして形成することができる。
【0059】
(3)実施形態2では、雄コネクタMが、第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とを有する場合について説明したが、雌コネクタについても同様に、規格が異なる2種の光ファイバケーブルに対応する第一内側ハウジングと第二内側ハウジングとを備えるものとし、これらが共通の外側ハウジングに収容されるものとすることができる。
(4)実施形態2では、単心光ファイバケーブル40用の第一内側ハウジング10と、2心光ファイバケーブル71用の第二内側ハウジング70との2種が備えられているが、これに限らず、これらとは規格が異なる別の光ファーバケーブル用の内側ハウジングを備えるものとしてもよく、また、3種以上の内側ハウジングを備えるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
M…雄コネクタ(光コネクタ)
F…雌コネクタ(光コネクタ)
10,50,70…内側ハウジング
11,51…ケーブル端末収容部
18…リブ(浮き上がり規制部)
20,60…外側ハウジング
23…下側覆壁部(覆壁部)
25…溝(浮き上がり規制部)
28…外側覆壁部(対向壁部)
29…ロックアーム
31…開口部
35…リテーナ(ロック部材)
36…装着部
40,71…光ファイバケーブル
63…上側覆壁部(覆壁部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタが知られている。
一般に、光ファイバケーブルの端末部においては、光ファイバを覆う保護被覆が切断され、剥き出しにされた光ファイバにフェルールが装着される。このフェルールの前端面を相手側に突き当てることで、光ファイバケーブルは、相手側と光学的に接続される。
【0003】
光コネクタは、このような光ファイバケーブルの端末部に容易に装着できるように、複数に分割されたものが多い。例えば、特許文献1に記載の光コネクタは、前後に分割されており、光ファイバケーブルの保護被覆の端末部と、フェルールを前方に付勢するための付勢ばねとが後側のハウジングに収容され、フェルールは前側のハウジングに収容される。光ファイバケーブルの端末部は、後側ハウジングに後方から挿入され、後側ハウジングの前方に突出された光ファイバに、付勢ばねが挿通されて、付勢ばねは前方から後側ハウジングに収容される。次いで、光ファイバにフェルールが装着されて、フェルールは前側ハウジングに収容される。その後、前後のハウジングは一体に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−211030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような光コネクタでは、光ファイバケーブルの端末部を保持するハウジングが、前側ハウジングと後側ハウジングとに分割され、その分割部位が外部に露出しているため、衝撃等に対する強度不足が懸念される。かといって、前側ハウジングと後側ハウジングとを一体にしてしまうと、光コネクタの取り付け作業が難しくなるという問題があり、対策が望まれていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることが可能な光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタであり、前記光ファイバケーブルの端末部を保持する内側ハウジングと、前記内側ハウジングを覆う外側ハウジングとを有し、前記内側ハウジングには、前記光ファイバケーブルの端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部が形成され、前記外側ハウジングには、前記ケーブル端末収容部の開放側を塞ぐ覆壁部が設けられているものである。
【0008】
このような構成によれば、光ファイバケーブルの端末部を、内側ハウジングに容易に保持させることができる。また、内側ハウジングは外側ハウジングに覆われて保護されるので、衝撃等に対する強度が高くなる。すなわち、本発明の構成によれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0009】
また、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとには、互いに係止することで前記内側ハウジングの前記覆壁部から離れる側への浮き上がりを規制する浮き上がり規制部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、ケーブル端末収容部が、覆壁部によって確実に塞がれた状態に保持される。
【0010】
また、前記外側ハウジングのうち前記内側ハウジングを覆う周壁には、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとを組み付け状態に保持するロック部材が装着される装着部が開口され、前記ロック部材は、前記装着部に取り付けられると、前記外側ハウジングの内側に突出して前記内側ハウジングに係止し、前記装着部から取り外されると、前記内側ハウジングとの係止が外れるものとしてもよい。このような構成によれば、ロック部材の取り付けおよび取り外しにより、内側ハウジングと外側ハウジングとのロック、及びロック解除を行うことができる。
【0011】
また、前記内側ハウジングは、規格が異なる複数種の前記光ファイバケーブルに対応するものが複数種備えられ、いずれの前記内側ハウジングも、共通の前記外側ハウジングに組み付け可能とされているものとしてもよい。このような構成によれば、内側ハウジングと外側ハウジングとの両方を複数種ずつ必要とする場合に比べて、製造コストの増加および部品点数の増加を抑えつつ、複数種の光ファイバケーブルに対応することができる。
【0012】
また、前記外側ハウジングには、相手側のコネクタに係止するロックアームが設けられ、前記ロックアームは、前記外側ハウジングの周壁のうち前記覆壁部と対向する側の対向壁部に形成された開口部内に設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、外側ハウジングを薄型化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることが可能な光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1における雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態を表す断面図
【図2】雄コネクタを表す斜視図
【図3】雄コネクタを表す正面図
【図4】雄コネクタを表す背面図
【図5】雄コネクタを表す側面図
【図6】雄コネクタを表す底面図
【図7】雄コネクタを表す断面図
【図8】内側ハウジングを表す斜視図
【図9】内側ハウジングを表す正面図
【図10】内側ハウジングを表す底面図
【図11】内側ハウジングを表す断面図
【図12】外側ハウジングを表す斜視図
【図13】外側ハウジングを表す背面図
【図14】雌コネクタを表す斜視図
【図15】雌コネクタを表す正面図
【図16】雌コネクタを表す背面図
【図17】雌コネクタを表す断面図
【図18】実施形態2における雄コネクタの第二内側ハウジングを表す斜視図
【図19】第二内側ハウジングを表す底面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図17を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における雄コネクタMおよび雌コネクタFは、光ファイバ41に保護被覆42を被せてなる光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタであり、互いに嵌合可能とされている。雄コネクタM及び雌コネクタFは、光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10と、内側ハウジング10を覆う外側ハウジング20とを有している。以下、各構成部材において、相手側コネクタとの嵌合面側を前方、その反対側を後方とし、また、図1における上側を上方、下側を下方として説明する。
【0016】
光ファイバケーブル40は、その端末部において保護被覆42が切断されて光ファイバ41が露出されている。保護被覆42の端部には、金属製のかしめリング43がかしめ付けられ、光ファイバ41の先端部には、フェルール44が取り付けられている。フェルール44には、径方向外側に突出するフランジ45が設けられている。
【0017】
まず、雄コネクタMについて説明する。
雄コネクタMの内側ハウジング10は、合成樹脂製であって、1本の光ファイバ41を有する単心光ファイバケーブル40を、2本保持可能とされている(図10参照)。内側ハウジング10には、光ファイバケーブル40を1本ずつ収容可能なケーブル端末収容部11が一対、幅方向に並んで設けられている。一対のケーブル端末収容部11は、仕切壁12により仕切られている。各ケーブル端末収容部11は、光ファイバケーブル40の端末部を下側から収容できるように、下面側(一面側)に開放されている。また、ケーブル端末収容部11は、上面側が蓋壁部13により覆われている(図11参照)。
【0018】
各ケーブル端末収容部11は、保護被覆42の端末部が収容される被覆収容部11Aと、露出された光ファイバ41が収容される光ファイバ収容部11Bとを有している。被覆収容部11Aと光ファイバ収容部11Bとは、前後方向に連なって設けられている。被覆収容部11Aには、かしめリング43が嵌合する被覆端嵌合部14が設けられ、被覆端嵌合部14にかしめリング43が嵌合することで、光ファイバケーブル40の端末部の前後方向の位置決めがなされる(図10参照)。
【0019】
ケーブル端末収容部11を覆う蓋壁部13は、被覆収容部11Aに対応する部分が、光ファイバ収容部11Bに対応する部分よりも、一段上側に張り出すように形成され、被覆収容部11Aが光ファイバ収容部11Bに比して深くされている。
【0020】
ケーブル端末収容部11の前方には、フェルール44を前方に付勢するコイルばね(付勢部材)46を収容する付勢部材収容部15が設けられている(図8参照)。付勢部材収容部15は、コイルばね46の径方向の両側に係止する係止壁16を有し、一対の係止壁16の間に、コイルばね46が挿入されて保持される。一対の係止壁16の間は、上下方向に開放されている。
【0021】
付勢部材収容部15は、幅方向に並んで一対が設けられ、各付勢部材収容部15は、各ケーブル端末収容部11の前方に連なっており、光ファイバ41は、被覆収容部11Aから付勢部材収容部15まで直線状に延びて配される。これにより、光ファイバ41が内側ハウジング10内で大きく屈曲することが防がれ、光ファイバ41の曲げによる放射損失を低減することができる。
【0022】
付勢部材収容部15の後側には、雌コネクタFとの嵌合時に、コイルばね46の後端部に後方から当接してコイルばね46を前方へ付勢する受け部17が設けられている(図1参照)。受け部17は、コイルばね46に沿う略U字状をなし、その中央部分が、ケーブル端末収容部11から付勢部材収容部15へ光ファイバ41を挿通させる挿通孔17Aとされている。挿通孔17Aは下側に開放され、下側から光ファイバ41を通すことが可能とされている。
【0023】
コイルばね46は、雌コネクタFとの嵌合前の自然状態では、その先端部が付勢部材収容部15から前方に突出して配される(図8および図9参照)。コイルばね46の先端部には、光ファイバ41に装着されたフェルール44の後端部(フランジ45よりも後側の部分)が嵌合し、これによりフェルール44が内側ハウジング10に保持される。
【0024】
内側ハウジング10には、後述する外側ハウジング20の溝25に係止することで、内側ハウジング10の浮き上がり(下側覆壁部23から離れる側への変位)を規制するリブ(浮き上がり規制部)18が設けられている(図8および図9参照)。リブ18は、内側ハウジング10の上側の両角部に設けられて、上方および側方に突出している。リブ18は、蓋壁部13のうち被覆収容部11Aに対応する部分の両側縁に沿って、前後方向に長く延びている。
【0025】
雄コネクタMの外側ハウジング20は、合成樹脂製であって、内側ハウジング10よりも前後方向に長く、内側ハウジング10よりも一回り大きくされ、内側ハウジング10を内部に収容可能とされている。
【0026】
外側ハウジング20には、後方から内側ハウジング10が嵌合可能なハウジング嵌合部21が設けられている(図2および図12参照)。ハウジング嵌合部21は、内側ハウジング10を取り囲む周壁に囲まれてなり、この周壁は、内側ハウジング10の上面に沿う上側覆壁部22と、内側ハウジング10の下面に沿う下側覆壁部23と、内側ハウジング10の両側面に沿う側壁部24と、を有している。
【0027】
下側覆壁部23は、図6および図7に示すように、内側ハウジング10の下面の全体、すなわち付勢部材収容部15およびケーブル端末収容部11の下側(開放側)を覆うものである。上側覆壁部22は、内側ハウジング10の上面のうち主に開放部分を覆うものであり、付勢部材収容部15の上側から蓋壁部13のうち光ファイバ収容部11Bに対応する部分を覆う。側壁部24は、内側ハウジング10の側面全体を覆って、さらに上方に立ち上がっている。
【0028】
外側ハウジング20には、内側ハウジング10のリブ18と係止して、内側ハウジング10の浮き上がりを規制する溝(浮き上がり規制部)25が設けられている。溝25は、側壁部24の内面に形成されている。溝25は、外側ハウジング20の後方に開放され、後方からリブ18が差し入れられるようになっている。各溝25は、図4に示すように、リブ18の内側に被さる形状をなし、溝25とリブ18との係止により、内側ハウジング10の幅方向の変位が規制され、リブ18と溝25との係止状態が確実に保持される。リブ18と溝25とが係止することにより、例えば光ファイバケーブル40が上方に持ち上げられた場合の内側ハウジング10の持ち上がりが規制される。なお、側壁部24のうち溝25が形成された部分は、外側に膨出している(図2参照)。
【0029】
外側ハウジング20の前端部(ハウジング嵌合部21の前方)には、図3および図7に示すように、光ファイバケーブル40の端末部に保持されたフェルール44の前端部(フランジ45よりも前側の部分)が、個別に収容される筒状孔部26が形成されている。筒状孔部26は、フェルール44よりも一回り大きい略円形断面をなして前後方向に貫通し、筒状孔部26とフェルール44との間には、後述する雌コネクタFの筒状突部65が嵌合可能とされている。
筒状孔部26の後側には、フェルール44のフランジ45に対して前方から係止し、フェルール44の前方への抜け出しを防ぐストッパ部27が設けられている。
【0030】
外側ハウジング20は、ハウジング嵌合部21のさらに側を覆う外側覆壁部(対向壁部)28を有しており、外側覆壁部28には、雌コネクタFに係止するロックアーム29が設けられている。ロックアーム29は、外側覆壁部28に開口部31を形成することで設けられ、開口部31を塞ぐようにして外側ハウジング20の前端部から後方に延びている。ロックアーム29は、外側覆壁部28の一部を構成するものであり、その両側には、側壁部24が立ち上がっている。ロックアーム29の上面には、ロック部32が突設され、このロック部32が、雌コネクタFのロック部66と係止することで、雄コネクタMと雌コネクタFとが嵌合状態にロックされる(図1参照)。ロックアーム29の後端部には、ロックを解除する際に押圧操作される操作部33が設けられ、操作部33の上方には、不用意なロック解除操作を防ぐべく、操作規制部34が幅方向に掛け渡されている(図2参照)。
【0031】
雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ(ロック部材)35が備えられている(図7参照)。リテーナ35は、雄コネクタMに取り付けられると内側ハウジング10に係止し、雄コネクタMから取り外されると、内側ハウジング10との係止が外れるものである。
【0032】
リテーナ35が装着される装着部36は、外側ハウジング20の下側覆壁部23に開口され、外側ハウジング20の幅方向に細長い形状をなしている(図6参照)。装着部36には、取り付けられたリテーナ35に係止して、リテーナ35の離脱を防ぐ離脱規制部37が設けられている。
【0033】
内側ハウジング10には、リテーナ35が嵌合して係止する係止凹部19が設けられている(図7参照)。係止凹部19は、内側ハウジング10のうち外側ハウジング20の装着部36に対応する位置に形成されている。係止凹部19は、図10に示すように、内側ハウジング10のうちケーブル端末収容部11を仕切る仕切壁12に凹み形成されている。係止凹部19は、隣り合う光ファイバ収容部11Bの間に形成され、下側および両側に開放された溝状をなしている。
【0034】
次に、雄コネクタMの組み付け手順の一例を説明する。
まず、内側ハウジング10に、光ファイバケーブル40の端末部を仮保持させる。
コイルばね46及びフェルール44を装着する前の段階で、光ファイバケーブル40の端末部を、ケーブル端末収容部11に横(開放側)から差し入れて収容する。次いで、コイルばね46を、光ファイバ41の先端から挿通し、付勢部材収容部15に前方から差し入れて収容する。その後、光ファイバ41の先端にフェルール44を装着し、フェルール44の後端部をコイルばね46の先端に嵌合させる。これにより、光ファイバケーブル40の端末部が、内側ハウジング10に仮保持された状態になる。
【0035】
次に、内側ハウジング10を外側ハウジング20に組み付ける。内側ハウジング10を、外側ハウジング20の後方から前方に向かってスライドさせ、ハウジング嵌合部21に嵌合させる。このとき、内側ハウジング10のリブ18が、外側ハウジング20の溝25に挿入され、リブ18と溝25との係止により、内側ハウジング10のスライド動作が案内される。そして、外側ハウジング20の上側覆壁部22の後端が、内側ハウジング10の蓋壁部13の段差の位置に達し、内側ハウジング10が正規の組み付け位置に至ると、それ以上のスライド動作が規制される。このとき、光ファイバケーブル40の端末部は、外側ハウジング20の上側覆壁部22、下側覆壁部23、および内側ハウジング10の蓋壁部13により、完全に四方を取り囲まれた状態になる。
【0036】
次いで、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを、正規の組み付け状態にロックする。外側ハウジング20の装着部36にリテーナ35を嵌め込むと、リテーナ35は、外側ハウジング20の内側に突出して内側ハウジング10の係止凹部19に嵌合する。これにより、内側ハウジング10の前後方向の移動が規制され、内側ハウジング10と外側ハウジング20とが一体に保持される。このとき、内側ハウジング10が所定の位置からずれている(半挿入状態である)場合には、リテーナ35が内側ハウジング10に突き当たることで、リテーナ35の取り付け動作が阻まれる。これにより、内側ハウジング10の半挿入を検知することができ、外側ハウジング20に対して内側ハウジング10を正しく組み付け直すことができる。そして、内側ハウジング10と外側ハウジング20とをロックすることで、雄コネクタMの組み付けが完了する。なお、外側ハウジング20から内側ハウジング10を離脱させる場合には、装着部36からリテーナ35を取り外すことで、内側ハウジング10の後方への移動が許容される。
【0037】
次に、雌コネクタFについて説明する。
雌コネクタFは、図14に示すように、雄コネクタMが嵌合されるフード部67を備えるものであり、それ以外の部分は雄コネクタMとほぼ同様の構成を有している。
雌コネクタFの内側ハウジング50は、雄コネクタMの内側ハウジング10と同様、光ファイバケーブル40を1本ずつ収容可能なケーブル端末収容部51が、内側ハウジング50の幅方向に並んで一対設けられている。各ケーブル端末収容部51は、図17に示すように、光ファイバケーブル40の端末部を上側から収容できるように、上面側(一面側)に開放されるとともに、下面側が蓋壁部52により覆われている。
【0038】
各ケーブル端末収容部51は、雄コネクタMの内側ハウジング10と同様、保護被覆42の端末部が収容される被覆収容部51Aと、露出した光ファイバ41が収容される光ファイバ収容部51Bとを有し、被覆収容部51Aと光ファイバ収容部51Bとは、前後方向に連なって設けられている。光ファイバ収容部51Bには、フェルール44の後端部が収容され、これによりフェルール44が内側ハウジング50に保持される。ケーブル端末収容部51の前端には、フェルール44のフランジ45に対して後側から係止して、フェルール44の後方への移動を規制する移動規制部53が形成されている。
【0039】
雌コネクタFの外側ハウジング60は、雄コネクタMの外側ハウジング20と同様、合成樹脂製であって、内側ハウジング50よりも前後方向に長く、内側ハウジング50よりも一回り大きくされ、内側ハウジング50を内部に収容可能とされている。
【0040】
外側ハウジング60には、雄コネクタMの外側ハウジング20と同様、後方から内側ハウジング50が嵌合可能なハウジング嵌合部61が設けられている。ハウジング嵌合部61は、内側ハウジング50の周囲を取り囲む周壁に囲まれてなり、周壁は、図16に示すように、内側ハウジング50の上面に沿う上側覆壁部62と、内側ハウジング50の下面に沿う下側覆壁部63と、内側ハウジング50の両側面に沿う側壁部64と、を有している。上側覆壁部62は、内側ハウジング50の上面の全体を覆うとともに、内側ハウジング50の上面に係止(当接)して、内側ハウジング50の浮き上がりを規制する浮き上がり規制部として機能する。
【0041】
外側ハウジング60のうちハウジング嵌合部61の前方には、光ファイバケーブル40の端末部に保持されたフェルール44の前端部(フランジ45よりも前側の部分)が、個別に収容される筒状突部65が形成されている。筒状突部65は、フェルール44と同等の径寸法を有する略円形断面の貫通孔を有している。筒状突部65は、雌コネクタF側のフェルール44よりも前方に突出し、雄コネクタMとも嵌合時には、その先端部が、雄コネクタMの筒状孔部26に嵌合する。
【0042】
筒状突部65の内側には、雌コネクタF側のフェルール44の外周に装着された、円筒状をなす金属製のスリーブ47が収容されている。雄コネクタMと雌コネクタFとの嵌合時には、雄コネクタM側のフェルール44がスリーブ47内に挿入され、フェルール44の端面同士が突き当たる。このスリーブ47により、雄コネクタM側の光ファイバ41と雌コネクタF側の光ファイバ41とが、芯ずれすることなく確実に接続される。
【0043】
また、ハウジング嵌合部61の前方には、略方形をなして前方に開口するフード部67が設けられている。フード部67は、雄コネクタMとの嵌合時には、雄コネクタMの略前半部分の全体を取り囲む。フード部67の前端には、雄コネクタMのロックアーム29と係止するロック部66が、内向きに突設されている。
【0044】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の雄コネクタMおよび雌コネクタFは、光ファイバケーブル40の端末部に取り付けられる光コネクタであり、光ファイバケーブル40の端末部を保持する内側ハウジング10,50と、内側ハウジング10,50を覆う外側ハウジング20,60とを有し、内側ハウジング10,50には、光ファイバケーブル40の端末部を、その延び方向とは交差する方向に挿入できるように一面側に開放されたケーブル端末収容部11,51が形成され、外側ハウジング20,60には、ケーブル端末収容部11の開放側を塞ぐ下側覆壁部23、上側覆壁部62が設けられている。
【0045】
これにより、光ファイバケーブル40の端末部を、内側ハウジング10,50に容易に保持させることができる。また、内側ハウジング10,50は外側ハウジング20,60に覆われて保護されるので、衝撃等に対する強度が高くなる。すなわち、本実施形態の雄コネクタMおよび雌コネクタFによれば、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0046】
また、雄コネクタMの内側ハウジング10と外側ハウジング20とには、互いに係止することで内側ハウジング10の浮き上がりを規制するリブ18および溝25が設けられている。これにより、ケーブル端末収容部11が下側覆壁部23によって、確実に塞がれた状態に保持される。
【0047】
また、雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ35が備えられ、外側ハウジング20の下側覆壁部23に、リテーナ35が装着される装着部36が開口され、リテーナ35は、装着部36に取り付けられると、外側ハウジング20の内側に突出して内側ハウジング10に係止し、装着部36から取り外されると、内側ハウジング10との係止が外れるものである。したがって、リテーナ35の取り付けおよび取り外しにより、内側ハウジング10と外側ハウジング20とのロック、及びロック解除を行うことができるから、内側ハウジング10と外側ハウジング20との組み付け作業および離脱作業を比較的容易に行うことができる。
【0048】
また、雄コネクタMの外側ハウジング20には、雌コネクタFに係止するロックアーム29が設けられ、ロックアーム29は、外側ハウジング20の周壁のうち下側覆壁部23と対向する側の外側覆壁部28に形成された開口部31内に設けられている。これにより、例えばロックアームを、外側覆壁部の外側に設ける場合に比べて、外側ハウジング20を薄型化することができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係る光コネクタを図18および図19によって説明する。
本実施形態の光コネクタは、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とが備えられている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係る雄コネクタMは、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する2種の内側ハウジングを備えている。この内側ハウジングのうち一方は、実施形態1の内側ハウジング10と同様に、1本の光ファイバ41を有する単心光ファイバケーブル40用のもの(第一内側ハウジング10と称する)であり、他方は、2本の光ファイバ41を有する2心光ファイバケーブル71用のもの(第二内側ハウジング70と称する)である。第一内側ハウジング10は、実施形態1の雄コネクタMの内側ハウジング10と同様の構成を有している。
【0051】
第二内側ハウジング70は合成樹脂製であって、2心光ファイバケーブル71を2本保持可能とされている。第二内側ハウジング70には、2心光ファイバケーブル71を収容可能なケーブル端末収容部11が、第二内側ハウジング70の幅方向の中央に設けられている。ケーブル端末収容部11は、第一内側ハウジング10と同様に、2心光ファイバケーブル71の端末部を下側から収容できるように、下面側(一面側)に開放されるとともに、上面側が蓋壁部13により覆われている。また、ケーブル端末収容部11は、第一内側ハウジング10と同様に、被覆収容部11Aと光ファイバ収容部11Bとを有し、これらは前後方向に連なって設けられ、ケーブル端末収容部11を覆う蓋壁部13は、被覆収容部11Aに対応する部分が、光ファイバ収容部11Bに対応する部分よりも、一段上側に張り出すように形成されている。
【0052】
そして、第二内側ハウジング70には、第一内側ハウジング10と同様、フェルール44を前方に付勢するコイルばね46を収容する付勢部材収容部15が、ケーブル端末収容部11の前方に設けられている。
【0053】
付勢部材収容部15は、第一内側ハウジング10と同様、幅方向に並んで一対が設けられ、ケーブル端末収容部11は、一対の付勢部材収容部15のほぼ真ん中に位置している。これにより、ケーブル端末収容部11に収容された2心光ファイバケーブル71の光ファイバ41は、ほぼ直線状に延びて各付勢部材収容部15に配される。ここで、例えば、第一内側ハウジング10のケーブル端末収容部11に、2心光ファイバケーブル71を収容する場合には、2本の光ファイバ41のうち一本を、幅方向の一方から他方に向かって大きく屈曲させることになる。しかし、2心光ファイバケーブル71用の第二内側ハウジング70であれば、2本の光ファイバ41の両方を大きく屈曲することなく収めることができるので、光ファイバ41の曲げによる放射損失を低減することができる。
【0054】
そして、第二内側ハウジング70は、第一内側ハウジング10とはケーブル端末収容部11の態様が異なるのみで、外形がほぼ同じであり、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70は、いずれも共通の外側ハウジング20に組み付け可能とされている。
【0055】
以上のように本実施形態においては、雄コネクタMは、光ファイバケーブル40または71の端末部を保持する第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70と、第一内側ハウジング10または第二内側ハウジング70を覆う外側ハウジング20とを有し、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70には、光ファイバケーブル40,71の端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように下面側に開放されたケーブル端末収容部11が形成され、外側ハウジング20は、ケーブル端末収容部11の開放側を覆う下側覆壁部23を有しているから、実施形態1と同様、取り付け作業が容易で、かつ衝撃等に対する強度を高めることができる。
【0056】
加えて、規格が異なる2種の光ファイバケーブル40,71に対応する第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とが備えられ、第一内側ハウジング10および第二内側ハウジング70のいずれもが共通の外側ハウジング20に組み付け可能とされている。これにより、内側ハウジングと外側ハウジングとの両方を2種ずつ必要とする場合に比べて、製造コストの増加および部品点数の増加を抑えつつ、2種の光ファイバケーブル40,71に対応することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)実施形態1では、内側ハウジング10には、リテーナ35が嵌合して係止する係止凹部19が設けられているが、これに限らず、リテーナと内側ハウジングとの係止構造はどのような態様としてもよく、例えば、内側ハウジングの前後方向の寸法を小さくしてその後端が外側ハウジングの後端よりも前方に位置するようにし、リテーナを、内側ハウジングの後端に係止させてもよい。
(2)実施形態1では、雄コネクタMには、内側ハウジング10と外側ハウジング20とを組み付け状態に保持するリテーナ35が備えられているが、これに限らず、例えば、内側ハウジングと外側ハウジングとのいずれか一方の側面に係止爪を突設し、他方の側面には、係止爪が係止する被係止部を形成し、係止爪が被係止部に係止することで、内側ハウジングと外側ハウジングとを組み付け状態に保持するものとしてもよい。これにより、リテーナ等の部品を別途要することなく、内側ハウジングと外側ハウジングとを組み付け状態に保持することができるから、部品点数の増加を防ぐことができる。また、被係止部を、後側に開放された前後方向に細長い切欠部とすることで、金型を前後方向にスライドして形成することができる。
【0059】
(3)実施形態2では、雄コネクタMが、第一内側ハウジング10と第二内側ハウジング70とを有する場合について説明したが、雌コネクタについても同様に、規格が異なる2種の光ファイバケーブルに対応する第一内側ハウジングと第二内側ハウジングとを備えるものとし、これらが共通の外側ハウジングに収容されるものとすることができる。
(4)実施形態2では、単心光ファイバケーブル40用の第一内側ハウジング10と、2心光ファイバケーブル71用の第二内側ハウジング70との2種が備えられているが、これに限らず、これらとは規格が異なる別の光ファーバケーブル用の内側ハウジングを備えるものとしてもよく、また、3種以上の内側ハウジングを備えるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
M…雄コネクタ(光コネクタ)
F…雌コネクタ(光コネクタ)
10,50,70…内側ハウジング
11,51…ケーブル端末収容部
18…リブ(浮き上がり規制部)
20,60…外側ハウジング
23…下側覆壁部(覆壁部)
25…溝(浮き上がり規制部)
28…外側覆壁部(対向壁部)
29…ロックアーム
31…開口部
35…リテーナ(ロック部材)
36…装着部
40,71…光ファイバケーブル
63…上側覆壁部(覆壁部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタであり、
前記光ファイバケーブルの端末部を保持する内側ハウジングと、前記内側ハウジングを覆う外側ハウジングとを有し、
前記内側ハウジングには、前記光ファイバケーブルの端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部が形成され、
前記外側ハウジングには、前記ケーブル端末収容部の開放側を塞ぐ覆壁部が設けられている光コネクタ。
【請求項2】
前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとには、互いに係止することで前記内側ハウジングの前記覆壁部から離れる側への浮き上がりを規制する浮き上がり規制部が設けられている請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記外側ハウジングのうち前記内側ハウジングを覆う周壁には、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとを組み付け状態に保持するロック部材が装着される装着部が開口され、
前記ロック部材は、前記装着部に取り付けられると、前記外側ハウジングの内側に突出して前記内側ハウジングに係止し、前記装着部から取り外されると、前記内側ハウジングとの係止が外れるものである請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記内側ハウジングは、規格が異なる複数種の前記光ファイバケーブルに対応するものが複数種備えられ、いずれの前記内側ハウジングも、共通の前記外側ハウジングに組み付け可能とされている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記外側ハウジングには、相手側のコネクタに係止するロックアームが設けられ、
前記ロックアームは、前記外側ハウジングの周壁のうち前記覆壁部と対向する側の対向壁部に形成された開口部内に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項1】
光ファイバケーブルの端末部に取り付けられる光コネクタであり、
前記光ファイバケーブルの端末部を保持する内側ハウジングと、前記内側ハウジングを覆う外側ハウジングとを有し、
前記内側ハウジングには、前記光ファイバケーブルの端末部を、その延び方向とは交差する方向に収容可能なように一面側に開放されたケーブル端末収容部が形成され、
前記外側ハウジングには、前記ケーブル端末収容部の開放側を塞ぐ覆壁部が設けられている光コネクタ。
【請求項2】
前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとには、互いに係止することで前記内側ハウジングの前記覆壁部から離れる側への浮き上がりを規制する浮き上がり規制部が設けられている請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記外側ハウジングのうち前記内側ハウジングを覆う周壁には、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとを組み付け状態に保持するロック部材が装着される装着部が開口され、
前記ロック部材は、前記装着部に取り付けられると、前記外側ハウジングの内側に突出して前記内側ハウジングに係止し、前記装着部から取り外されると、前記内側ハウジングとの係止が外れるものである請求項1または請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記内側ハウジングは、規格が異なる複数種の前記光ファイバケーブルに対応するものが複数種備えられ、いずれの前記内側ハウジングも、共通の前記外側ハウジングに組み付け可能とされている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記外側ハウジングには、相手側のコネクタに係止するロックアームが設けられ、
前記ロックアームは、前記外側ハウジングの周壁のうち前記覆壁部と対向する側の対向壁部に形成された開口部内に設けられている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−64959(P2013−64959A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204794(P2011−204794)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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