光スイッチ
【課題】良好なクロストーク特性を有する光スイッチを提供すること。
【解決手段】3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、光入射層と光反射層と光入射層と光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、光入出力ポートのいずれかのポートから光入射層に入射した光を空間変調して光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、光入出力ポートと空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、を備え、光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つ。
【解決手段】3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、光入射層と光反射層と光入射層と光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、光入出力ポートのいずれかのポートから光入射層に入射した光を空間変調して光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、光入出力ポートと空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、を備え、光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて、波長多重光信号等の光信号の経路を切り替えるために、光スイッチが使用されている。このような光スイッチには、光信号の経路を切り替えるために、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いたものがある(特許文献1、2参照)。LCOSは、入射された光の位相を液晶によって変調し、回折させることができる空間光変調器である。したがって、LCOSを用いた光スイッチでは、或る経路から入射された光信号を、LCOSによって回折させて、特定の経路に出力することにより、光スイッチ動作を実現している。
【0003】
特許文献1、2に開示される光スイッチでは、光信号が入力される入力ポートと、光信号を出力する出力ポートとが、所定の方向に沿って等間隔で配列している。また、入力ポートはレンズの光軸上に配置されている。したがって、LCOSは、入射光の角度をこの配列方向に回折させるように構成されている。また、入力および出力ポートの数がそれぞれN、M(N、Mは1以上の整数)の光スイッチは、N×M光スイッチと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7092599号明細書
【特許文献2】米国特許第7397980号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが特許文献1、2に開示される構成の光スイッチの特性について精査したところ、所定の入力ポートから入力した光信号を所定の出力ポートに出力させるような光スイッチ動作をさせる場合に、意図しない他の出力ポートにも光信号の一部が出力されてしまう場合があるという問題を見出した。このように光スイッチに入力させた光信号の一部が意図しない出力ポートにも出力してしまうと、出力ポート間のクロストーク特性が劣化するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、良好なクロストーク特性を有する光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光スイッチは、外部から光が入力される、または外部に光を出力する3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、光入射層と、光反射層と、前記光入射層と前記光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、前記光入出力ポートのいずれかのポートから前記光入射層に入射した光を空間変調して前記光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、を備え、前記光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、前記集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、前記光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、前記第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートの座標x0がゼロ以外の値であり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が等間隔または不等間隔であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートの座標x0がゼロであり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が不等間隔であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートに出力する光が入力されるポートであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートから入力される光が出力するポートであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記空間光変調器はLCOSであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に設けられた光分散素子を備え、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記光入出力ポートは、3以上の波長合分波器を有し、前記各波長合分波器において同一波長を出力する各ポートが、前記配列方向に配列したポートを構成し、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記波長多重合分波器がアレイ型光導波路グレーティングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空間光変調器内での多重反射により発生した反射光が意図しない出力ポートに結合することが防止されるので、良好なクロストーク特性を有する光スイッチを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光スイッチの概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す空間光変調器の分解図である。
【図3】図3は、図1に示す光入出力器の具体的構成を示す図である。
【図4】図4は、図1に示す光スイッチの空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態2に係る光スイッチの概略構成図である。
【図6】図6は、図5に示す光スイッチの空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図7】図7は、従来例の光スイッチのクロストークの測定結果を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2の変形例に係る光スイッチの概略構成図である。
【図9】図9は、光ファイバポートが等間隔に配置されているとした場合の空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図10】図10は、実施の形態3に係る光スイッチの概略構成図である。
【図11】図11は、実施の形態4に係る光スイッチの概略構成図である。
【図12】図12は、実施の形態5に係る光スイッチの構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12に示す光スイッチの動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明に係る光スイッチの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光スイッチの概略構成図である。図1に示すように、この光スイッチ10は、空間光変調器1と、光入出力器2と、集光レンズ3とを備えている。なお、本光スイッチ10に入力または出力される光は特に限定されないが、たとえば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光である。
【0020】
光入出力器2は、外部から光が入力される、または外部に光を出力する光入出力ポート2aと、複数のコリメータレンズ2bとを備えている。光入出力ポート2aは、光ファイバポート2aa〜2aeが所定の配列方向(図中x軸方向)にアレイ状に配列したものである。また、コリメータレンズ2bは、各光ファイバポート2aa〜2aeに対応させて設けられている。コリメータレンズ2bは、光ファイバポートから出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させる機能を有する。なお、光ファイバから出射される光はガウシアンビームとして近似できる。光ファイバからの出射光はコリメータレンズで平行光にされると、伝搬に従いビーム径は徐々に小さくなり、ビームウェスト位置で最小となり、再び大きくなる。
【0021】
集光レンズ3は、光入出力器2と空間光変調器1との間に配置され、光入出力ポート2aと空間光変調器1と光学的に結合させるものである。符号Aは集光レンズ3の光軸を示している。なお、集光レンズ3は1枚のレンズで構成されていてもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。また、集光レンズ3の焦点距離をfとすると、空間光変調器1は集光レンズ3から距離fだけ離間して配置されている。すなわち、空間光変調器1は集光レンズ3の焦点の位置に配置されている。また、コリメータレンズ2bからビームウェスト位置までの距離をdとすると、集光レンズ3はコリメータレンズ2bから距離d+fだけ離間して配置すると、光ファイバ2aに再結合する際の結合損を小さくすることができる。
【0022】
この光スイッチ10では、光入出力ポート2aのうち、光軸Aに最も近い位置にある光ファイバポート2aaが、外部から光が入力される共通の光ファイバポート(Comポート)として設定されており、その他の4つの光ファイバポート2ab〜2aeが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ10は1×4の光スイッチとして機能する。なお、光ファイバポート2aaは光軸A上にはないものとする。
【0023】
つぎに、空間光変調器1について説明する。図2は、図1に示す空間光変調器1の分解図である。図2に示すように、この空間光変調器1は、LCOSであり、液晶駆動回路が形成されたシリコン基板1a上に、反射率がほぼ100%の反射層である画素電極群1bと、空間光変調層であると、配向膜1dと、ITO(Indium Tin Oxide)電極1eと、カバーガラス1fとが順次積層した構成を有している。なお、必要に応じて画素電極群1bと液晶層1cの間にも配向膜を設けてもよい。なお、以下では、配向膜1d、ITO電極1e、およびカバーガラス1fを光入射層1gとする。
【0024】
この空間光変調器1は、画素電極群1bとITO電極1eとの間に電圧を印加することによって、液晶層1cが所定の方向に屈折率のグラデーションを有するように制御できる。そして、この屈折率のグラデーションを調整することによって、光入射層1g側から入射した光が、画素電極群1bにより反射して液晶層1cを伝搬する際に、光を所定の回折角で回折させるように調整することができる。
【0025】
また、空間光変調器1は、光入出力ポート2aの光ファイバポート2aa〜2aeの配列方向と、液晶層1cの屈折率のグラデーションの方向とが一致するように配置されている。その結果、この空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、光ファイバポート2aaから入射した光を他の光ファイバポート2ab〜2aeのいずれかに向けて出力できるように、光の出射角度を制御することができる。
【0026】
つぎに、光入出力器2の具体的構成について説明する。図3は、図1に示す光入出力器2の具体的構成を示す図である。図3に示す構成では、光入出力器2は、光入出力ポート2aと、複数のコリメータレンズ2bと、光入出力ポート2aの各光ファイバポートを挿通固定する光ファイバ固定基材2cと、光ファイバ固定基材2cに取り付けられるとともに、コリメータレンズ2bを保持する透明なスペーサ部2dとを備えている。
【0027】
各光ファイバポートは、その光出射端面が、スペーサ部2dが取り付けられた光ファイバ固定基材2cの面と同一平面上になるように固定されている。また、スペーサ部2dの厚さは、コリメータレンズ2bの焦点距離に略相当する厚さになっている。その結果、この光入出力器2では、コリメータレンズ2bが、光ファイバポートから出力した光を平行光にすることができるとともに、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させることができる。
【0028】
(動作例1−1)
つぎに、この光スイッチ10の動作例1−1として、図1に示すように光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2abに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート2aaは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ2bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L1を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L1を空間変調して回折させ、回折させた光L2を光ファイバポート2abに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L2を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート2abに対応するコリメータレンズ2bは、光軸Aに対して平行にされた光L2を集光し、光ファイバポート2abに結合させる。光ファイバポート2abは結合された光を外部に出力する。
【0029】
このようにして、この光スイッチ10は、光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2abに切り換える。なお、同様にして、この光スイッチ10は、空間光変調器1の制御によって、Comポートである光ファイバポート2aaから入力された光の経路を他の光ファイバポート2ab〜2aeのいずれかに切り換えることができる。
【0030】
ここで、空間光変調器1が回折させた光L2を光ファイバポート2abに向けて出力する際に、空間光変調器1の内部反射のために多重反射が発生し、回折された光L2の一部が2次反射光として出射する。しかしながら、本実施の形態1に係る光スイッチ10では、集光レンズ3の光軸Aの位置をx軸の座標原点とし、紙面上向きを正の向きとした場合の光ファイバポート2aa、2ab、2acの座標をそれぞれx0、x1、x2とすると、下記式(1)が成り立つ。
x2≠2x1+x0 ・・・ (1)
式(1)が成り立つように光ファイバポート2aa、2ab、2acが配置されていることによって、2次反射光は光ファイバポート2acに到達しないので、意図せず光ファイバポート2acに出力することが防止される。その結果、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0031】
以下、具体的に説明する。図4は、図1に示す光スイッチ10の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。なお、図4において、集光レンズ3は記載を省略している。また、角度については、時計回りの方向を角度の正の方向とする。
【0032】
まず、図4において、光ファイバポート2aaから入力され、平行光にされたあとに集光レンズ3により集光された光L1が、空間光変調器1の液晶層1cに入射する。図中の一点鎖線は液晶層1cの表面の法線を示している。
【0033】
液晶層1cの表面において光L1にスネルの法則を適用すると、式(2)が成り立つ。
n1sinθ1=n2sinθ2 ・・・ (2)
なお、n1は入射側媒質の屈折率、θ1は液晶層1cに対する光L1の入射角、n2は液晶層1cの屈折率、θ2は光L1の屈折角を表す。
【0034】
ここで、通常集光レンズの焦点距離fは、光ファイバポート2aa〜2aeが配列される幅よりも十分に長いので、入射角、屈折角は十分小さい。したがって、式(2)は以下のように近似できる。
n1θ1≒n2θ2
θ1≒(n2/n1)θ2=aθ2
【0035】
以下では、θ2をφに置き換える。すると、図4に示すように、光L1の入射角はaφ、屈折角はφとなる。また、このとき、光ファイバポート2aaの座標x0は、x0=ftan(aφ)と表されるが、aφは十分小さいため、以下の式(3)で近似的に表すことができる。
x0=ftan(aφ)≒faφ ・・・ (3)
なお、図4に示すように、x0は負の値なので、φも負の値である。
【0036】
つぎに、画素電極群1b中の画素電極M1が光L1を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角θで回折させる。なお、このとき、画素電極M1は、実際にはその反射表面が液晶層1cの表面と略平行となるように配置されているものであるが、上記回折は、画素電極M1が、その反射表面の法線(図中破線で示している)が液晶層1cの表面の法線に対して角度(θ+φ)/2を成す様に傾斜して配置された状態で光L1を正反射するのと同じ状態であるので、図4では画素電極M1を傾斜させて示している。
【0037】
回折角がθの場合、回折された光L2の液晶層1cに対する出射角はaθとなる。この回折角θは、光L2が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に光ファイバポート2abに入力するように設定される。したがって、光ファイバポート2abの座標x1は、以下の式(4)で近似的に表すことができる。
x1=ftan(aθ)=faθ ・・・ (4)
【0038】
ここで、反射面M2は、光入射層1g内に存在する内部反射面を概念的に示している。実際には、複数の面を屈折するたびにスネルの法則を適用する必要があるが、説明を分かりやすくするためにここでは省略した。この反射面M2により、回折された光L2が空間光変調器1から出射する際に、その一部の光が反射され、2次反射光L3として画素電極M3に到達する。なお、通常液晶層1cは数μmと薄いので、画素電極M3は画素電極M1に隣接するものである。このように画素電極M3が画素電極M1に隣接しているため、画素電極M1と同様の液晶層1cの屈折率のグラデーションの効果を受ける。そのため、画素電極M3は、画素電極M1と同様に、その反射表面の法線(図中破線で示している)が液晶層1cの表面の法線に対して角度(θ+φ)/2を成す様に傾斜して配置された状態で2次反射光L3を正反射をするのと同じ状態である。したがって、2次反射光L3は、液晶層1cの表面の法線に対して回折角(2θ+φ)で回折される。その後、2次反射光L3は、出射角a(2θ+φ)で空間光変調器1から出射する。
【0039】
この2次反射光L3が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に到達する位置を位置P1とし、位置P1のx座標をx3とすると、x3は以下の式(5)で表される。
x3=fa(2θ+φ)=2x1+x0 ・・・ (5)
ここで、式(3)、(4)を用いて式変形を行なった。
【0040】
このように、空間光変調器1の内部における多重反射によって発生した2次反射光L3は、式(5)で表されるx座標の位置に到達する。
【0041】
ここで、上述したように、本実施の形態1に係る光スイッチ10においては、光ファイバポート2acの座標x2について、式(1)であるx2≠2x1+x0が成り立つように配置されている。したがって、2次反射光L3は、光ファイバポート2acには到達せず、そこから出力することが防止される。その結果、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0042】
なお、上記の説明では、光ファイバポート2aaの座標x0は負の値であるが、仮に座標x0が正の値になるように光ファイバポート2aaが配置されていたとしても、上記式(1)〜(5)は成り立つものである。したがって、仮に座標x0が正の値の場合も、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。ただし、本実施の形態1では、光ファイバポート2aaは集光レンズ3の光軸A上には配置されていないので、x0≠0である。
【0043】
(動作例1−2)
つぎに、この光スイッチ10の動作例1−2として、光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2adに切り換える場合を説明する。本実施の形態1に係る光スイッチ10では、上記のx座標における光ファイバポート2ad、2aeの座標をそれぞれx1´、x2´とすると、式(1)と同様の式であるx2´≠2x1´+x0が成り立つように配置している。この場合は、図4に示す場合とは逆に、液晶層1cによる回折方向がx軸の負の向きとなるが、動作例1−1と同じ原理によって、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図せず他の光ファイバポート2aeに出力することが防止されるので、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態1に係る光スイッチ10は、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図しない光ファイバポートに出力することが防止されるので、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0045】
なお、本実施の形態1では、光ファイバポート2aa〜2aeは等間隔に配置されていても良いし、不等間隔でもよい。
【0046】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る光スイッチは、光入出力ポートのうち光を入力するComポートが集光レンズの光軸上に配置されているものである。
【0047】
図5は、実施の形態2に係る光スイッチの概略構成図である。図5に示すように、この光スイッチ20は、空間光変調器1と、光入出力器4と、集光レンズ3とを備えている。
【0048】
光入出力器4は、光入出力ポート4aと、複数のコリメータレンズ4bとを備えている。光入出力ポート4aは、光ファイバポート4aa〜4agが所定の配列方向(図中x軸方向)にアレイ状に配列したものである。また、コリメータレンズ4bは、各光ファイバポート4aa〜4agに対応させて設けられている。コリメータレンズ4bは、光ファイバポートから出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させる機能を有する。光入出力器4の具体的構成は、図3に示すものと同様である。
【0049】
空間光変調器1および集光レンズ3は、実施の形態1のものと同一のものである。また、実施の形態1と同様に、空間光変調器1は集光レンズ3の焦点の位置に配置されている。また、空間光変調器1は、光入出力ポート2aの光ファイバポート4aa〜4agの配列方向と液晶層1cの屈折率のグラデーションの方向とが一致するように配置されている。
【0050】
この光スイッチ20では、光入出力ポート4aのうち、光軸A上に配置された光ファイバポート4aaが、外部から光が入力されるComポートとして設定されており、その他の6つの光ファイバポート4ab〜4agが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ20は1×6の光スイッチとして機能する。
【0051】
(動作例2)
つぎに、この光スイッチ20の動作例2として、図5に示すように光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート4aaは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ4bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L4を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L4を空間変調して回折させて、回折された光L5を光ファイバポート4abに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L5を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート4abに対応するコリメータレンズ4bは、光軸Aに対して平行にされた光L5を集光し、光ファイバポート4abに結合させる。光ファイバポート4abは結合された光を外部に出力する。
【0052】
このようにして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abに切り換える。なお、同様にして、この光スイッチ20は、Comポートである光ファイバポート4aaから入力された光の経路を他の光ファイバポート4ab〜4agのいずれかに切り換えることができる。
【0053】
ここで、空間光変調器1が回折された光L4を光ファイバポート4abに向けて出力する際に、空間光変調器1の内部反射のために多重反射が発生し、回折された光L4の一部が2次反射光L6として出力する。しかしながら、本実施の形態2に係る光スイッチ20では、集光レンズ3の光軸Aの位置をx軸の座標原点とし、紙面上向きを正の向きとした場合の光ファイバポート4ab、4acの座標をそれぞれx4、x5とし、2次反射光L6が到達する位置P2の座標をx6とすると、以下の式(6)が成り立つ。
x6=2x4 ・・・ (6)
【0054】
これに対して、光ファイバポート4ab、4acは、以下の式(7)が成り立つように配置されている。
x5≠2x4 ・・・ (7)
なお、式(7)は、式(1)においてx0=0としたことに相当し、光入力のComポートである光ファイバポート4aaが光軸A上に配置されていることに相当する。
【0055】
このように、式(7)が成り立つことによって、2次反射光L6が意図せず他の光ファイバポート4acに出力することが防止されるので、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0056】
以下、具体的に説明する。図6は、図5に示す光スイッチ20の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。なお、図6において、集光レンズ3は記載を省略している。
【0057】
図6において、図4と異なる点は、光ファイバポート4aaから入力された光L4が、空間光変調器1の液晶層1cに、入射角がゼロで入射する点である。光ファイバポート4aaは集光レンズ3の光軸A上に配置されているため、光L4は集光レンズ3を通過してもその進行方向が屈折されないため、このように入射角がゼロとなる。
【0058】
画素電極M1は光L4を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角θで回折させる。
【0059】
回折角がθの場合、回折された光L5の液晶層1cに対する出射角はaθとなる。この回折角θは、光L4が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に光ファイバポート4abに入力するように設定される。したがって、光ファイバポート4abの座標x4は、以下の式(8)で近似的に表すことができる。
x4=ftan(aθ)=faθ ・・・ (8)
【0060】
ここで、反射面M2により、回折された光L4が空間光変調器1から出射する際に、その一部の光が反射され、2次反射光L6として画素電極M1に隣接する画素電極M3に到達する。画素電極M3は、2次反射光L6を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角(2θ)で回折させる。その後、2次反射光L6は、出射角(2aθ)で空間光変調器1から出射する。
【0061】
したがって、この2次反射光L6が到達する位置P2のx座標x6は、
x6=fa(2θ)=2x4
となり、式(6)が導かれる。
【0062】
ここで、上述したように、本実施の形態2に係る光スイッチ20においては、光ファイバポート4acの座標x5について、式(7)が成り立つように配置している。したがって、2次反射光L6は、光ファイバポート4acには到達せず、そこから出力することが防止される。その結果、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0063】
また、同様に、光ファイバポート4adの座標をx7とすると、x7≠2x4、x7≠2x5が成り立つ。その結果、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abおよび光ファイバポート4acのいずれに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず光ファイバポート4adに出力することが防止される。さらに、光ファイバポート4ae、4af、4agのx座標をx4´、x5´、x7´とすると、x5≠2x4、x7≠2x4、x7≠2x5が成り立つ。その結果、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4aeおよび光ファイバポート4afのいずれに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず他の光ファイバポート4aeや光ファイバポート4afに出力することが防止される。したがって、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態2に係る光スイッチ20は、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図しない光ファイバポートに出力することが防止されるので、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0065】
なお、本実施の形態2では、光ファイバポート4aa〜4aeを等間隔に配置すると、上記の式(6)が成立する場合があるので、不等間隔にする必要がある。
【0066】
ここで、従来の光スイッチの例として、本実施の形態2に係る光スイッチ20と同様の構成であるが、光ファイバポートの座標については、x4=2.4mm、x5=4.8mm、x7=9.6mm、x4´=−2.4mm、x5´=−4.8mm、x7´=−9.6mmになるように、すなわち、光ファイバポートを等間隔に配列させて設定した光スイッチを作製した。そして、x0=0のComポートから波長約1552nmの光を入力し、空間光変調器を制御して座標x4の光ファイバポートに出力させるように設定した。さらに、座標x4の光ファイバポートと座標x5の光ファイバポートとのポート間のクロストークを測定した。
【0067】
図7は、従来例の光スイッチのクロストークの測定結果を示す図である。図7は、座標x4の光ファイバポートからの光出力を基準(0dB)とした、座標x5の光ファイバポートからの光出力を示すものである。図7では、基準に対して25dB低い反射光が座標x5の光ファイバポートから出力されてしまっている。ここで、たとえば光通信では要求される仕様が厳しいため、ディスプレイの用途では問題とならないような25dBという極めて小さいクロストークでも問題になる。
【0068】
これに対して、本実施の形態2に係る光スイッチ20と同様の構成にて、光ファイバポートの座標を、x4=2.4mm、x5=5mm、x7=11mm、x4´=−2.4mm、x5´=−5mm、x7´=−11mmとなるように設定すると、上記と同様の測定を行なった場合に、座標x5の光ファイバポートからはほとんど反射光が出力されなくなり、きわめて良好のクロストーク特性を実現することができる。
【0069】
(実施の形態2の変形例)
上記実施の形態2では、光スイッチ20は1×6の光スイッチとして機能するものである。以下では、この変形例として、光スイッチ20を6×1の光スイッチとして機能させる場合について説明する。
【0070】
図8は、実施の形態2の変形例に係る光スイッチの概略構成図である。図8に示す光スイッチ20の概略構成は図5に示すものと同様であるが、本変形例では、光入出力ポート4aのうち、6つの光ファイバポート4ab〜4agが、外部から光が入力される光ファイバポートとして設定されており、光軸A上に配置された光ファイバポート4aaが、外部に光を出力するComポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ20は6×1の光スイッチとして機能する。
【0071】
(動作例3)
つぎに、この光スイッチ20の動作例3として、光ファイバポート4abから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート4abは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ4bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L7を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L7を空間変調して回折させて、回折させた光L8を光ファイバポート4aaに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L8を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート4aaに対応するコリメータレンズ4bは、光軸Aに対して平行にされた光L8を集光し、光ファイバポート4aaに結合させる。光ファイバポート4aaは結合された光を外部に出力する。
【0072】
このようにして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4baから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える。また、同様にして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4ab〜4agのいずれかから入力された光の経路をComポートである光ファイバポート4aaに切り換えることができる。
【0073】
しかし、このように光スイッチ20が6×1の光スイッチとして動作例2のように動作している状態で、たとえば他の光ファイバポート4acから光L9が入力されたとする。この光L9は、通常ならば、集光レンズ3を介して空間光変調器1に到達し、回折されたとしても、この回折された光L10は光ファイバポート4aaに到達して出力されることはない。その理由は、本動作例2では、空間光変調器1の回折角は、光ファイバポート4abから入力された光を光ファイバポート4aaに出力するように設定されているからである。
【0074】
一方、光L9が入力された場合、空間光変調器1の内部反射によって光L9から2次反射光L11が発生し、出射する。しかしながら、この光スイッチ20では、光ファイバポート4ab、4acについて、上述した式(7)が成り立つように配置されている。その結果、2次反射光L11についても、図8に示すように位置P3に到達するので、光ファイバポート4aaに到達して出力されることはない。したがって、光ファイバポート4acから入力された光L9に起因する2次反射光L11が意図せず光ファイバポート4aaに出力することが防止される。また、同様にして、光ファイバポート4ab〜4afのいずれから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず光ファイバポート4aaに出力することが防止される。
【0075】
以上説明したように、本変形例に係る光スイッチ20は、6×1の光スイッチとして使用しても、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0076】
なお、仮に光ファイバポート4acが図8に示す位置P4に配置され、光ファイバポート4aa、4ab、4acが等間隔に配置されているとすると、光ファイバポート4ab、4acのx座標x4、x5の関係が、x5=2x4を満たすことになる。この場合、2次反射光が光ファイバポート4aaに入力し、光ファイバポート4ab、4acのポート間クロストークが低下することとなる。
【0077】
図9は、光ファイバポート4aa、4ab、4acが等間隔に配置されているとした場合の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。
【0078】
図9と図6とを比較すると、光ファイバポート4abから入力された光L7は、図6における光L4、L5と逆向きの経路を通過して、回折された光L8として出射され、その後光ファイバポート4aaに到達し、出力される。一方、仮に光ファイバポート4acが図8に示す位置P4に配置されていた場合に光ファイバポート4acから入力された光L9´は、図6における2次反射光L6と逆向きの経路を通過して、回折された光L10´として出射される。ここで、反射面M2によって、光L10´の2次反射光L11´が発生するが、この2次反射光L11´は、図6における光L4と逆向きの経路を通過して、回折された光L8と同じ方向に出射されてしまう。したがって、2次反射光L11´はポート間クロストーク特性を劣化させる原因となる。
【0079】
(実施の形態3)
上記実施の形態では、光入出力ポートが光ファイバから構成されているが、ガラス材料や半導体材料からなる光導波路で構成してもよい。以下では、本発明の実施の形態3として、光入出力ポートが石英系ガラスの平面光波回路(Planar Lightwave Circuit;PLC)から構成された光スイッチを説明する。
【0080】
図10は、実施の形態3に係る光スイッチの概略構成図である。図10に示すように、この光スイッチ30は、図2に示した光スイッチ20の構成において、光入出力器4を、光入出力器5に置き換えた構成を有する。
【0081】
光入出力器5は、石英系ガラスのPLCからなる光入出力ポート5aと、複数のコリメータレンズ5bと、光入出力ポート5aに取り付けられるとともに、コリメータレンズ5bを保持するスペーサ部5dと、光入出力ポート5aと外部の経路とを接続するための光ファイバアレイ5fを備えている。
【0082】
光入出力ポート5aには、光ファイバアレイ5fとこれらに対応するコリメータレンズ5bとを光学的に接続するように光導波路が入力または出力ポートとして形成されている。これらの光導波路ポートは、実施の形態1の光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に、図中x軸方向にアレイ状に配列しており、そのx座標も、光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に設定されている。
【0083】
この光スイッチ30の動作の一例を説明する。まず、光入出力ポート5aのComポートであり、集光レンズ3の光軸A上に配置された光導波路ポートには、光ファイバアレイ5fを構成する光ファイバ5faから光L12が入力される。つぎに、集光レンズ3が光L13を空間光変調器1に集光し、空間光変調器1は光L13を回折し、光L13として所定の光導波ポートに向けて出力する。このとき、2次反射光L14が発生するが、実施の形態2と同様に2次反射光L14は他の光導波路ポートには到達しない。したがって、この光スイッチ30が良好なクロストークを有するものとなる。
【0084】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4に係る光スイッチは、波長合分波器として、アレイ型光導波路グレーティング(Arrayed WaveGuide Grating;AWG)を有しており、波長選択光スイッチとして機能するものである。
【0085】
図11は、実施の形態4に係る光スイッチの概略構成図である。図11に示すように、この光スイッチ40は、図2に示した光スイッチ10の構成において、光入出力器2を、光入出力器6に置き換えた構成を有する。なお、空間光変調器については、6個の空間光変調器1を用いてもよいし、1個の空間光変調器1を6個の領域に分割してそれぞれの領域を独立に制御するように使用してもよい。
【0086】
光入出力器6は、石英径ガラスのAWG6aa〜6aeを積層して構成した光入出力ポート6aと、複数のコリメータレンズ6bと、光入出力ポート6aに取り付けられるとともに、コリメータレンズ6bを保持するスペーサ部6dと、光入出力ポート6aと外部の経路とを接続するための光ファイバアレイ6fを備えている。
【0087】
AWG6aa〜6aeは、入力ポートから入力された波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6の光を、各波長に対応した出力ポートから出力する機能を有する。ファイバアレイ6fは、AWG6aa〜6aeの各入力ポートに接続している。コリメータレンズ6bは、AWG6aa〜6aeの各出力ポートに対応して設けられている。また、AWG6aa〜6aeの出力ポートについては、同一波長の出力ポートが、図中x軸方向にアレイ状に配列しており、そのx座標は、図1の光スイッチ10の光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に設定されている。たとえば、図11では、x軸方向にアレイ状に配列した、各AWG6aa〜6aeの波長λ1の出力ポートを、破線で囲んで示している。また、図示しない他の光スイッチは、各波長の出力ポートに対応させて、図示した空間光変調器1と並べて配置されている。
【0088】
この光スイッチ40の動作の一例を説明する。まず、光入出力ポート6aのAWG6aaに接続された光ファイバ6faから、波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6の光を含む光L15が入力される。AWG6aaは、その中の波長λ2の光L16を、波長λ2に対応した出力ポートOP1から出力する。つぎに、集光レンズ3が光L16を波長λ2に対応する空間光変調器1に集光し、空間光変調器1は光L16を回折し、光L17としてAWG6ab〜6aeのうちの所定のAWGの波長λ2に対応する出力ポートに向けて出力する。
【0089】
このとき、空間光変調器1において2次反射光L18が発生するが、実施の形態1と同様に2次反射光L17は他の光導波路ポートには到達しない。したがって、この光スイッチ40は良好なクロストークを有するものとなる。なお、他の波長の光についても、その波長に対応した空間光変調器によって所定の経路に切り換えられることによって、この光スイッチ40は、良好なクロストークを有する波長選択光スイッチとして機能する。
【0090】
なお、本実施の形態4では、波長合分波器としてAWGを用いているが、ファイバ溶融型やフィルタ型などの波長選択性素子を適宜組み合わせて波長合分波器を構成してもよい。
【0091】
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5に係る光スイッチについて説明する。本実施の形態5に係る光スイッチは、入力した波長多重光信号から所定の波長の光信号を選択し、その光信号の波長ごとに経路を切り換えて出力する波長選択光スイッチである。
【0092】
図12は、本実施の形態5に係る光スイッチの構成を示すブロック図である。図12に示すように、この光スイッチ100は、外部の経路に接続した光入出力器2と、光入出力器2に対して順次配置された、アナモルフィックプリズムペア61と、回折格子62と、集光レンズ3と、λ/4波長板63と、図中に示すx軸とは直交する方向にアレイ状に配置された4つの空間光変調器1A〜1Dと、空間光変調器1A〜1Dを制御するためのモニタ素子68と、制御回路69とを備えている。
【0093】
なお、光入出力器2、集光レンズ3は実施の形態1のものと同一である。また、光入出力器2の各光ファイバポートは、集光レンズ3の位置をx軸の原点とした場合に、実施の形態1と同様のx座標に配置されている。空間光変調器1A〜1Dはいずれも実施の形態1の空間光変調器1と同一である。集光レンズ3と空間光変調器1A〜1Dとは、集光レンズ3の焦点距離fだけ離間している。
【0094】
なお、実際にはアナモルフィックプリズムペア61と回折格子62において光路は曲げられるので、各素子は角度を持って配置されるが、図12においては、簡略化のために直列に配置して示している。
【0095】
つぎに、光スイッチ100の動作について説明する。図13は、図12に示す光スイッチ100の動作を説明する説明図である。なお、図13は、光スイッチ100を図8中のx軸方向と垂直の方向から見た図である。はじめに、光入出力器2は、或る経路からComポートである光ファイバポート2aaに入力した波長多重光信号OS1を平行光としてアナモルフィックプリズムペア61に出力する。アナモルフィックプリズムペア61は、波長多重光信号OS1のビーム径を、回折格子62の格子の配列方向に広げて、波長多重光信号OS1が多くの格子に当たるように、波長選択の分解能を高めるようにしている。回折格子62は、入射した波長多重光信号OS1に含まれる所定の波長の光信号OS1aを所定の角度に出力する。集光レンズ3は、λ/4波長板63を通して、光信号OS1aを空間光変調器1Aに集光する。
【0096】
空間光変調器1Aは集光した光信号OS1aを回折し、光信号OS2として、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、光入出力器2の所望の光ファイバポート2abへ出力する。なお、λ/4波長板63は、光信号OS1aと光信号OS2との光の偏光状態が互いに直交するように、その偏光状態を変化させる。これによって、アナモルフィックプリズムペア61および回折格子62の偏波依存性を補償するようにしている。
【0097】
また、回折格子62は、波長多重光信号OS1に含まれる他の所定の波長の光信号OS1b、OS1c、OS1dをそれぞれ他の所定の角度に出力する。各光信号OS1b、OS1c、OS1dは、それぞれ空間光変調器1B、1C、1Dで回折され、光信号OS3、OS4、OS5として、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、それぞれ対応する光ファイバポート2ac、2ad、2aeへと出力する。
【0098】
空間光変調器1A〜1Dは、モニタ素子68が光信号OS2〜OS5の一部を分岐した光の波長および強度をモニタし、このモニタの結果をもとに空間光変調器1A〜1Dを独立に制御することによって、それぞれの光信号OS2〜OS5の回折角度が最適になるように制御される。光信号OS2〜OS5の分岐は、たとえば光入出力器2の一部に分岐カプラを設けたり、光スイッチ100内の適当な位置に分岐用のミラーを設けたりすることによって行うことができる。なお、モニタ素子68は、たとえばAWGと複数のフォトダイオードとから構成される。
【0099】
ここで、たとえば空間光変調器1Aが光信号OS1aを回折する際に、空間光変調器1Aの内部で発生した2次反射光が出射する。この2次反射光は、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、光入出力器2に到達する。しかしながら、実施の形態1の場合と同様の作用によって、この2次反射光は他の光ファイバポート2ac〜2aeのいずれにも到達することはない。また、他の光信号OS1b、OS1c、OS1dについても、これらに起因して空間光変調器1B〜1Dの内部で2次反射が発生し、出射しても、所定の光ファイバポート以外に到達することはない。したがって、この光スイッチ100は、ポート間のクロストークが良好なものとなる。
【0100】
なお、上記実施の形態では、光スイッチが1×4、1×6、6×1などであるが、本発明では光が入出力するポートの数は特に限定されず、N×M光スイッチであればよい。ただし、NおよびMのいずれか一方は2以上である必要があるので、ポートは3以上必要である。また、実施の形態4のように波長合分波器を用いる構成では、波長合分波器は3以上必要である。
【0101】
また、上記実施の形態では、空間光変調器の内部反射により発生した2次反射光が意図しないポートに出力されないようにしている。より高次の反射光については、2次反射光と比較してかなり強度が弱いが、意図しないポートに出力されない方がより好ましい。たとえば、光が入力される第1ポート、第1ポートから入力される光を出力する第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2とすると、第1ポートから第2ポートに経路を切り換える場合にk次反射光が第3ポートに出力しないようにするには、x2≠2kx1+x0が成り立てばよい。
【0102】
また、たとえば上記実施の形態1、2またはその変形例では、光入出力ポートのうち常に光が入力または出力されるComポートを集光レンズの光軸上、または光軸の近傍に配置されている。このようにすると、空間光変調器で光を回折させる際の回折角を小さくすることができるため、回折効率を高くすることができるので好ましい。なお、Comポートを集光レンズの光軸上に配置すると、光スイッチを組み立てる際のアライメントをしやすく、かつ空間光変調器における光の入射角または出射角をゼロとできるために空間光変調器の制御がより容易になるので、特に好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光入出力ポートのうち最も光軸から離れたポートをComポートとしてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、空間光変調層が液晶であるが、光を空間変調できる部材であれば特に限定されない。
【0104】
また、上記実施の形態では、空間光変調器は反射型のものであるが、透過型のものでもよい。この場合、反射層は反射率がほぼ100%のものではなく、或る程度の透光性を有するものである。このような透過型の空間光変調器でも、空間光変調層を挟んだ層間で内部多重反射がおこり得るので、本発明を適用することができる。
【0105】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、実施の形態5に係る光スイッチに、実施の形態2の光入出力器を適用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1、1A〜1D 空間光変調器
1a シリコン基板
1b 画素電極群
1c 液晶層
1d 配向膜
1e ITO電極
1f カバーガラス
1g 光入射層
2、4〜6 光入出力器
2a、4a〜6a 光入出力ポート
2aa〜2ae、4aa〜4ag 光ファイバポート
2b、4b〜6b コリメータレンズ
2c 光ファイバ固定基材
2d、5d、6d スペーサ部
3 集光レンズ
5f、6f 光ファイバアレイ
5fa、6fa 光ファイバ
6aa〜6ae AWG
10〜40、100 光スイッチ
61 アナモルフィックプリズムペア
62 回折格子
63 λ/4波長板
68 モニタ素子
69 制御回路
A 光軸
L1、L2、L4、L5、L7〜L13、L15〜L17 光
L3、L6、L11、L14、L18 2次反射光
M1、M3 画素電極
M2 反射面
OP1 出力ポート
OS1 波長多重光信号
OS1a〜OS1d、OS2〜OS5 光信号
P1〜P4 位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて、波長多重光信号等の光信号の経路を切り替えるために、光スイッチが使用されている。このような光スイッチには、光信号の経路を切り替えるために、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いたものがある(特許文献1、2参照)。LCOSは、入射された光の位相を液晶によって変調し、回折させることができる空間光変調器である。したがって、LCOSを用いた光スイッチでは、或る経路から入射された光信号を、LCOSによって回折させて、特定の経路に出力することにより、光スイッチ動作を実現している。
【0003】
特許文献1、2に開示される光スイッチでは、光信号が入力される入力ポートと、光信号を出力する出力ポートとが、所定の方向に沿って等間隔で配列している。また、入力ポートはレンズの光軸上に配置されている。したがって、LCOSは、入射光の角度をこの配列方向に回折させるように構成されている。また、入力および出力ポートの数がそれぞれN、M(N、Mは1以上の整数)の光スイッチは、N×M光スイッチと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7092599号明細書
【特許文献2】米国特許第7397980号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが特許文献1、2に開示される構成の光スイッチの特性について精査したところ、所定の入力ポートから入力した光信号を所定の出力ポートに出力させるような光スイッチ動作をさせる場合に、意図しない他の出力ポートにも光信号の一部が出力されてしまう場合があるという問題を見出した。このように光スイッチに入力させた光信号の一部が意図しない出力ポートにも出力してしまうと、出力ポート間のクロストーク特性が劣化するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、良好なクロストーク特性を有する光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光スイッチは、外部から光が入力される、または外部に光を出力する3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、光入射層と、光反射層と、前記光入射層と前記光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、前記光入出力ポートのいずれかのポートから前記光入射層に入射した光を空間変調して前記光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、を備え、前記光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、前記集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、前記光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、前記第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートの座標x0がゼロ以外の値であり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が等間隔または不等間隔であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートの座標x0がゼロであり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が不等間隔であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートに出力する光が入力されるポートであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートから入力される光が出力するポートであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記空間光変調器はLCOSであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に設けられた光分散素子を備え、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記光入出力ポートは、3以上の波長合分波器を有し、前記各波長合分波器において同一波長を出力する各ポートが、前記配列方向に配列したポートを構成し、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光スイッチは、上記の発明において、前記波長多重合分波器がアレイ型光導波路グレーティングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空間光変調器内での多重反射により発生した反射光が意図しない出力ポートに結合することが防止されるので、良好なクロストーク特性を有する光スイッチを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光スイッチの概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す空間光変調器の分解図である。
【図3】図3は、図1に示す光入出力器の具体的構成を示す図である。
【図4】図4は、図1に示す光スイッチの空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態2に係る光スイッチの概略構成図である。
【図6】図6は、図5に示す光スイッチの空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図7】図7は、従来例の光スイッチのクロストークの測定結果を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2の変形例に係る光スイッチの概略構成図である。
【図9】図9は、光ファイバポートが等間隔に配置されているとした場合の空間光変調器における光の挙動を説明する図である。
【図10】図10は、実施の形態3に係る光スイッチの概略構成図である。
【図11】図11は、実施の形態4に係る光スイッチの概略構成図である。
【図12】図12は、実施の形態5に係る光スイッチの構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、図12に示す光スイッチの動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明に係る光スイッチの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る光スイッチの概略構成図である。図1に示すように、この光スイッチ10は、空間光変調器1と、光入出力器2と、集光レンズ3とを備えている。なお、本光スイッチ10に入力または出力される光は特に限定されないが、たとえば波長1520〜1620nmの光通信用の信号光である。
【0020】
光入出力器2は、外部から光が入力される、または外部に光を出力する光入出力ポート2aと、複数のコリメータレンズ2bとを備えている。光入出力ポート2aは、光ファイバポート2aa〜2aeが所定の配列方向(図中x軸方向)にアレイ状に配列したものである。また、コリメータレンズ2bは、各光ファイバポート2aa〜2aeに対応させて設けられている。コリメータレンズ2bは、光ファイバポートから出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させる機能を有する。なお、光ファイバから出射される光はガウシアンビームとして近似できる。光ファイバからの出射光はコリメータレンズで平行光にされると、伝搬に従いビーム径は徐々に小さくなり、ビームウェスト位置で最小となり、再び大きくなる。
【0021】
集光レンズ3は、光入出力器2と空間光変調器1との間に配置され、光入出力ポート2aと空間光変調器1と光学的に結合させるものである。符号Aは集光レンズ3の光軸を示している。なお、集光レンズ3は1枚のレンズで構成されていてもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。また、集光レンズ3の焦点距離をfとすると、空間光変調器1は集光レンズ3から距離fだけ離間して配置されている。すなわち、空間光変調器1は集光レンズ3の焦点の位置に配置されている。また、コリメータレンズ2bからビームウェスト位置までの距離をdとすると、集光レンズ3はコリメータレンズ2bから距離d+fだけ離間して配置すると、光ファイバ2aに再結合する際の結合損を小さくすることができる。
【0022】
この光スイッチ10では、光入出力ポート2aのうち、光軸Aに最も近い位置にある光ファイバポート2aaが、外部から光が入力される共通の光ファイバポート(Comポート)として設定されており、その他の4つの光ファイバポート2ab〜2aeが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ10は1×4の光スイッチとして機能する。なお、光ファイバポート2aaは光軸A上にはないものとする。
【0023】
つぎに、空間光変調器1について説明する。図2は、図1に示す空間光変調器1の分解図である。図2に示すように、この空間光変調器1は、LCOSであり、液晶駆動回路が形成されたシリコン基板1a上に、反射率がほぼ100%の反射層である画素電極群1bと、空間光変調層であると、配向膜1dと、ITO(Indium Tin Oxide)電極1eと、カバーガラス1fとが順次積層した構成を有している。なお、必要に応じて画素電極群1bと液晶層1cの間にも配向膜を設けてもよい。なお、以下では、配向膜1d、ITO電極1e、およびカバーガラス1fを光入射層1gとする。
【0024】
この空間光変調器1は、画素電極群1bとITO電極1eとの間に電圧を印加することによって、液晶層1cが所定の方向に屈折率のグラデーションを有するように制御できる。そして、この屈折率のグラデーションを調整することによって、光入射層1g側から入射した光が、画素電極群1bにより反射して液晶層1cを伝搬する際に、光を所定の回折角で回折させるように調整することができる。
【0025】
また、空間光変調器1は、光入出力ポート2aの光ファイバポート2aa〜2aeの配列方向と、液晶層1cの屈折率のグラデーションの方向とが一致するように配置されている。その結果、この空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、光ファイバポート2aaから入射した光を他の光ファイバポート2ab〜2aeのいずれかに向けて出力できるように、光の出射角度を制御することができる。
【0026】
つぎに、光入出力器2の具体的構成について説明する。図3は、図1に示す光入出力器2の具体的構成を示す図である。図3に示す構成では、光入出力器2は、光入出力ポート2aと、複数のコリメータレンズ2bと、光入出力ポート2aの各光ファイバポートを挿通固定する光ファイバ固定基材2cと、光ファイバ固定基材2cに取り付けられるとともに、コリメータレンズ2bを保持する透明なスペーサ部2dとを備えている。
【0027】
各光ファイバポートは、その光出射端面が、スペーサ部2dが取り付けられた光ファイバ固定基材2cの面と同一平面上になるように固定されている。また、スペーサ部2dの厚さは、コリメータレンズ2bの焦点距離に略相当する厚さになっている。その結果、この光入出力器2では、コリメータレンズ2bが、光ファイバポートから出力した光を平行光にすることができるとともに、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させることができる。
【0028】
(動作例1−1)
つぎに、この光スイッチ10の動作例1−1として、図1に示すように光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2abに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート2aaは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ2bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L1を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L1を空間変調して回折させ、回折させた光L2を光ファイバポート2abに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L2を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート2abに対応するコリメータレンズ2bは、光軸Aに対して平行にされた光L2を集光し、光ファイバポート2abに結合させる。光ファイバポート2abは結合された光を外部に出力する。
【0029】
このようにして、この光スイッチ10は、光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2abに切り換える。なお、同様にして、この光スイッチ10は、空間光変調器1の制御によって、Comポートである光ファイバポート2aaから入力された光の経路を他の光ファイバポート2ab〜2aeのいずれかに切り換えることができる。
【0030】
ここで、空間光変調器1が回折させた光L2を光ファイバポート2abに向けて出力する際に、空間光変調器1の内部反射のために多重反射が発生し、回折された光L2の一部が2次反射光として出射する。しかしながら、本実施の形態1に係る光スイッチ10では、集光レンズ3の光軸Aの位置をx軸の座標原点とし、紙面上向きを正の向きとした場合の光ファイバポート2aa、2ab、2acの座標をそれぞれx0、x1、x2とすると、下記式(1)が成り立つ。
x2≠2x1+x0 ・・・ (1)
式(1)が成り立つように光ファイバポート2aa、2ab、2acが配置されていることによって、2次反射光は光ファイバポート2acに到達しないので、意図せず光ファイバポート2acに出力することが防止される。その結果、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0031】
以下、具体的に説明する。図4は、図1に示す光スイッチ10の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。なお、図4において、集光レンズ3は記載を省略している。また、角度については、時計回りの方向を角度の正の方向とする。
【0032】
まず、図4において、光ファイバポート2aaから入力され、平行光にされたあとに集光レンズ3により集光された光L1が、空間光変調器1の液晶層1cに入射する。図中の一点鎖線は液晶層1cの表面の法線を示している。
【0033】
液晶層1cの表面において光L1にスネルの法則を適用すると、式(2)が成り立つ。
n1sinθ1=n2sinθ2 ・・・ (2)
なお、n1は入射側媒質の屈折率、θ1は液晶層1cに対する光L1の入射角、n2は液晶層1cの屈折率、θ2は光L1の屈折角を表す。
【0034】
ここで、通常集光レンズの焦点距離fは、光ファイバポート2aa〜2aeが配列される幅よりも十分に長いので、入射角、屈折角は十分小さい。したがって、式(2)は以下のように近似できる。
n1θ1≒n2θ2
θ1≒(n2/n1)θ2=aθ2
【0035】
以下では、θ2をφに置き換える。すると、図4に示すように、光L1の入射角はaφ、屈折角はφとなる。また、このとき、光ファイバポート2aaの座標x0は、x0=ftan(aφ)と表されるが、aφは十分小さいため、以下の式(3)で近似的に表すことができる。
x0=ftan(aφ)≒faφ ・・・ (3)
なお、図4に示すように、x0は負の値なので、φも負の値である。
【0036】
つぎに、画素電極群1b中の画素電極M1が光L1を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角θで回折させる。なお、このとき、画素電極M1は、実際にはその反射表面が液晶層1cの表面と略平行となるように配置されているものであるが、上記回折は、画素電極M1が、その反射表面の法線(図中破線で示している)が液晶層1cの表面の法線に対して角度(θ+φ)/2を成す様に傾斜して配置された状態で光L1を正反射するのと同じ状態であるので、図4では画素電極M1を傾斜させて示している。
【0037】
回折角がθの場合、回折された光L2の液晶層1cに対する出射角はaθとなる。この回折角θは、光L2が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に光ファイバポート2abに入力するように設定される。したがって、光ファイバポート2abの座標x1は、以下の式(4)で近似的に表すことができる。
x1=ftan(aθ)=faθ ・・・ (4)
【0038】
ここで、反射面M2は、光入射層1g内に存在する内部反射面を概念的に示している。実際には、複数の面を屈折するたびにスネルの法則を適用する必要があるが、説明を分かりやすくするためにここでは省略した。この反射面M2により、回折された光L2が空間光変調器1から出射する際に、その一部の光が反射され、2次反射光L3として画素電極M3に到達する。なお、通常液晶層1cは数μmと薄いので、画素電極M3は画素電極M1に隣接するものである。このように画素電極M3が画素電極M1に隣接しているため、画素電極M1と同様の液晶層1cの屈折率のグラデーションの効果を受ける。そのため、画素電極M3は、画素電極M1と同様に、その反射表面の法線(図中破線で示している)が液晶層1cの表面の法線に対して角度(θ+φ)/2を成す様に傾斜して配置された状態で2次反射光L3を正反射をするのと同じ状態である。したがって、2次反射光L3は、液晶層1cの表面の法線に対して回折角(2θ+φ)で回折される。その後、2次反射光L3は、出射角a(2θ+φ)で空間光変調器1から出射する。
【0039】
この2次反射光L3が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に到達する位置を位置P1とし、位置P1のx座標をx3とすると、x3は以下の式(5)で表される。
x3=fa(2θ+φ)=2x1+x0 ・・・ (5)
ここで、式(3)、(4)を用いて式変形を行なった。
【0040】
このように、空間光変調器1の内部における多重反射によって発生した2次反射光L3は、式(5)で表されるx座標の位置に到達する。
【0041】
ここで、上述したように、本実施の形態1に係る光スイッチ10においては、光ファイバポート2acの座標x2について、式(1)であるx2≠2x1+x0が成り立つように配置されている。したがって、2次反射光L3は、光ファイバポート2acには到達せず、そこから出力することが防止される。その結果、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0042】
なお、上記の説明では、光ファイバポート2aaの座標x0は負の値であるが、仮に座標x0が正の値になるように光ファイバポート2aaが配置されていたとしても、上記式(1)〜(5)は成り立つものである。したがって、仮に座標x0が正の値の場合も、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。ただし、本実施の形態1では、光ファイバポート2aaは集光レンズ3の光軸A上には配置されていないので、x0≠0である。
【0043】
(動作例1−2)
つぎに、この光スイッチ10の動作例1−2として、光ファイバポート2aaから入力された光の経路を光ファイバポート2adに切り換える場合を説明する。本実施の形態1に係る光スイッチ10では、上記のx座標における光ファイバポート2ad、2aeの座標をそれぞれx1´、x2´とすると、式(1)と同様の式であるx2´≠2x1´+x0が成り立つように配置している。この場合は、図4に示す場合とは逆に、液晶層1cによる回折方向がx軸の負の向きとなるが、動作例1−1と同じ原理によって、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図せず他の光ファイバポート2aeに出力することが防止されるので、この光スイッチ10はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態1に係る光スイッチ10は、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図しない光ファイバポートに出力することが防止されるので、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0045】
なお、本実施の形態1では、光ファイバポート2aa〜2aeは等間隔に配置されていても良いし、不等間隔でもよい。
【0046】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る光スイッチは、光入出力ポートのうち光を入力するComポートが集光レンズの光軸上に配置されているものである。
【0047】
図5は、実施の形態2に係る光スイッチの概略構成図である。図5に示すように、この光スイッチ20は、空間光変調器1と、光入出力器4と、集光レンズ3とを備えている。
【0048】
光入出力器4は、光入出力ポート4aと、複数のコリメータレンズ4bとを備えている。光入出力ポート4aは、光ファイバポート4aa〜4agが所定の配列方向(図中x軸方向)にアレイ状に配列したものである。また、コリメータレンズ4bは、各光ファイバポート4aa〜4agに対応させて設けられている。コリメータレンズ4bは、光ファイバポートから出力した光を平行光にする、または、入力された平行光を光ファイバポートに集光して結合させる機能を有する。光入出力器4の具体的構成は、図3に示すものと同様である。
【0049】
空間光変調器1および集光レンズ3は、実施の形態1のものと同一のものである。また、実施の形態1と同様に、空間光変調器1は集光レンズ3の焦点の位置に配置されている。また、空間光変調器1は、光入出力ポート2aの光ファイバポート4aa〜4agの配列方向と液晶層1cの屈折率のグラデーションの方向とが一致するように配置されている。
【0050】
この光スイッチ20では、光入出力ポート4aのうち、光軸A上に配置された光ファイバポート4aaが、外部から光が入力されるComポートとして設定されており、その他の6つの光ファイバポート4ab〜4agが、外部に光を出力する光ファイバポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ20は1×6の光スイッチとして機能する。
【0051】
(動作例2)
つぎに、この光スイッチ20の動作例2として、図5に示すように光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート4aaは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ4bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L4を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L4を空間変調して回折させて、回折された光L5を光ファイバポート4abに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L5を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート4abに対応するコリメータレンズ4bは、光軸Aに対して平行にされた光L5を集光し、光ファイバポート4abに結合させる。光ファイバポート4abは結合された光を外部に出力する。
【0052】
このようにして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abに切り換える。なお、同様にして、この光スイッチ20は、Comポートである光ファイバポート4aaから入力された光の経路を他の光ファイバポート4ab〜4agのいずれかに切り換えることができる。
【0053】
ここで、空間光変調器1が回折された光L4を光ファイバポート4abに向けて出力する際に、空間光変調器1の内部反射のために多重反射が発生し、回折された光L4の一部が2次反射光L6として出力する。しかしながら、本実施の形態2に係る光スイッチ20では、集光レンズ3の光軸Aの位置をx軸の座標原点とし、紙面上向きを正の向きとした場合の光ファイバポート4ab、4acの座標をそれぞれx4、x5とし、2次反射光L6が到達する位置P2の座標をx6とすると、以下の式(6)が成り立つ。
x6=2x4 ・・・ (6)
【0054】
これに対して、光ファイバポート4ab、4acは、以下の式(7)が成り立つように配置されている。
x5≠2x4 ・・・ (7)
なお、式(7)は、式(1)においてx0=0としたことに相当し、光入力のComポートである光ファイバポート4aaが光軸A上に配置されていることに相当する。
【0055】
このように、式(7)が成り立つことによって、2次反射光L6が意図せず他の光ファイバポート4acに出力することが防止されるので、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0056】
以下、具体的に説明する。図6は、図5に示す光スイッチ20の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。なお、図6において、集光レンズ3は記載を省略している。
【0057】
図6において、図4と異なる点は、光ファイバポート4aaから入力された光L4が、空間光変調器1の液晶層1cに、入射角がゼロで入射する点である。光ファイバポート4aaは集光レンズ3の光軸A上に配置されているため、光L4は集光レンズ3を通過してもその進行方向が屈折されないため、このように入射角がゼロとなる。
【0058】
画素電極M1は光L4を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角θで回折させる。
【0059】
回折角がθの場合、回折された光L5の液晶層1cに対する出射角はaθとなる。この回折角θは、光L4が集光レンズ3で光軸Aに平行に進行する光とされた後に光ファイバポート4abに入力するように設定される。したがって、光ファイバポート4abの座標x4は、以下の式(8)で近似的に表すことができる。
x4=ftan(aθ)=faθ ・・・ (8)
【0060】
ここで、反射面M2により、回折された光L4が空間光変調器1から出射する際に、その一部の光が反射され、2次反射光L6として画素電極M1に隣接する画素電極M3に到達する。画素電極M3は、2次反射光L6を反射し、液晶層1cが、屈折率のグラデーションの効果によって液晶層1cの表面の法線に対して回折角(2θ)で回折させる。その後、2次反射光L6は、出射角(2aθ)で空間光変調器1から出射する。
【0061】
したがって、この2次反射光L6が到達する位置P2のx座標x6は、
x6=fa(2θ)=2x4
となり、式(6)が導かれる。
【0062】
ここで、上述したように、本実施の形態2に係る光スイッチ20においては、光ファイバポート4acの座標x5について、式(7)が成り立つように配置している。したがって、2次反射光L6は、光ファイバポート4acには到達せず、そこから出力することが防止される。その結果、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0063】
また、同様に、光ファイバポート4adの座標をx7とすると、x7≠2x4、x7≠2x5が成り立つ。その結果、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4abおよび光ファイバポート4acのいずれに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず光ファイバポート4adに出力することが防止される。さらに、光ファイバポート4ae、4af、4agのx座標をx4´、x5´、x7´とすると、x5≠2x4、x7≠2x4、x7≠2x5が成り立つ。その結果、光ファイバポート4aaから入力された光の経路を光ファイバポート4aeおよび光ファイバポート4afのいずれに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず他の光ファイバポート4aeや光ファイバポート4afに出力することが防止される。したがって、この光スイッチ20はクロストーク特性が良好なものとなる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態2に係る光スイッチ20は、空間光変調器1から出射する2次反射光が意図しない光ファイバポートに出力することが防止されるので、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0065】
なお、本実施の形態2では、光ファイバポート4aa〜4aeを等間隔に配置すると、上記の式(6)が成立する場合があるので、不等間隔にする必要がある。
【0066】
ここで、従来の光スイッチの例として、本実施の形態2に係る光スイッチ20と同様の構成であるが、光ファイバポートの座標については、x4=2.4mm、x5=4.8mm、x7=9.6mm、x4´=−2.4mm、x5´=−4.8mm、x7´=−9.6mmになるように、すなわち、光ファイバポートを等間隔に配列させて設定した光スイッチを作製した。そして、x0=0のComポートから波長約1552nmの光を入力し、空間光変調器を制御して座標x4の光ファイバポートに出力させるように設定した。さらに、座標x4の光ファイバポートと座標x5の光ファイバポートとのポート間のクロストークを測定した。
【0067】
図7は、従来例の光スイッチのクロストークの測定結果を示す図である。図7は、座標x4の光ファイバポートからの光出力を基準(0dB)とした、座標x5の光ファイバポートからの光出力を示すものである。図7では、基準に対して25dB低い反射光が座標x5の光ファイバポートから出力されてしまっている。ここで、たとえば光通信では要求される仕様が厳しいため、ディスプレイの用途では問題とならないような25dBという極めて小さいクロストークでも問題になる。
【0068】
これに対して、本実施の形態2に係る光スイッチ20と同様の構成にて、光ファイバポートの座標を、x4=2.4mm、x5=5mm、x7=11mm、x4´=−2.4mm、x5´=−5mm、x7´=−11mmとなるように設定すると、上記と同様の測定を行なった場合に、座標x5の光ファイバポートからはほとんど反射光が出力されなくなり、きわめて良好のクロストーク特性を実現することができる。
【0069】
(実施の形態2の変形例)
上記実施の形態2では、光スイッチ20は1×6の光スイッチとして機能するものである。以下では、この変形例として、光スイッチ20を6×1の光スイッチとして機能させる場合について説明する。
【0070】
図8は、実施の形態2の変形例に係る光スイッチの概略構成図である。図8に示す光スイッチ20の概略構成は図5に示すものと同様であるが、本変形例では、光入出力ポート4aのうち、6つの光ファイバポート4ab〜4agが、外部から光が入力される光ファイバポートとして設定されており、光軸A上に配置された光ファイバポート4aaが、外部に光を出力するComポートとして設定されている。すなわち、この光スイッチ20は6×1の光スイッチとして機能する。
【0071】
(動作例3)
つぎに、この光スイッチ20の動作例3として、光ファイバポート4abから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える場合を説明する。まず、光ファイバポート4abは、外部から光が入力され、対応するコリメータレンズ4bは、入力された光を平行光にする。集光レンズ3は、平行光にされた光L7を空間光変調器1に集光させる。空間光変調器1は、液晶層1cへの印加電圧を制御することによって、集光され入射された光L7を空間変調して回折させて、回折させた光L8を光ファイバポート4aaに向けて出力する。集光レンズ3は、回折された光L8を光軸Aに対して平行にする。光ファイバポート4aaに対応するコリメータレンズ4bは、光軸Aに対して平行にされた光L8を集光し、光ファイバポート4aaに結合させる。光ファイバポート4aaは結合された光を外部に出力する。
【0072】
このようにして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4baから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える。また、同様にして、この光スイッチ20は、光ファイバポート4ab〜4agのいずれかから入力された光の経路をComポートである光ファイバポート4aaに切り換えることができる。
【0073】
しかし、このように光スイッチ20が6×1の光スイッチとして動作例2のように動作している状態で、たとえば他の光ファイバポート4acから光L9が入力されたとする。この光L9は、通常ならば、集光レンズ3を介して空間光変調器1に到達し、回折されたとしても、この回折された光L10は光ファイバポート4aaに到達して出力されることはない。その理由は、本動作例2では、空間光変調器1の回折角は、光ファイバポート4abから入力された光を光ファイバポート4aaに出力するように設定されているからである。
【0074】
一方、光L9が入力された場合、空間光変調器1の内部反射によって光L9から2次反射光L11が発生し、出射する。しかしながら、この光スイッチ20では、光ファイバポート4ab、4acについて、上述した式(7)が成り立つように配置されている。その結果、2次反射光L11についても、図8に示すように位置P3に到達するので、光ファイバポート4aaに到達して出力されることはない。したがって、光ファイバポート4acから入力された光L9に起因する2次反射光L11が意図せず光ファイバポート4aaに出力することが防止される。また、同様にして、光ファイバポート4ab〜4afのいずれから入力された光の経路を光ファイバポート4aaに切り換える場合にも、空間光変調器1において発生した2次反射光が意図せず光ファイバポート4aaに出力することが防止される。
【0075】
以上説明したように、本変形例に係る光スイッチ20は、6×1の光スイッチとして使用しても、クロストーク特性が良好なものとなる。
【0076】
なお、仮に光ファイバポート4acが図8に示す位置P4に配置され、光ファイバポート4aa、4ab、4acが等間隔に配置されているとすると、光ファイバポート4ab、4acのx座標x4、x5の関係が、x5=2x4を満たすことになる。この場合、2次反射光が光ファイバポート4aaに入力し、光ファイバポート4ab、4acのポート間クロストークが低下することとなる。
【0077】
図9は、光ファイバポート4aa、4ab、4acが等間隔に配置されているとした場合の空間光変調器1における光の挙動を説明する図である。
【0078】
図9と図6とを比較すると、光ファイバポート4abから入力された光L7は、図6における光L4、L5と逆向きの経路を通過して、回折された光L8として出射され、その後光ファイバポート4aaに到達し、出力される。一方、仮に光ファイバポート4acが図8に示す位置P4に配置されていた場合に光ファイバポート4acから入力された光L9´は、図6における2次反射光L6と逆向きの経路を通過して、回折された光L10´として出射される。ここで、反射面M2によって、光L10´の2次反射光L11´が発生するが、この2次反射光L11´は、図6における光L4と逆向きの経路を通過して、回折された光L8と同じ方向に出射されてしまう。したがって、2次反射光L11´はポート間クロストーク特性を劣化させる原因となる。
【0079】
(実施の形態3)
上記実施の形態では、光入出力ポートが光ファイバから構成されているが、ガラス材料や半導体材料からなる光導波路で構成してもよい。以下では、本発明の実施の形態3として、光入出力ポートが石英系ガラスの平面光波回路(Planar Lightwave Circuit;PLC)から構成された光スイッチを説明する。
【0080】
図10は、実施の形態3に係る光スイッチの概略構成図である。図10に示すように、この光スイッチ30は、図2に示した光スイッチ20の構成において、光入出力器4を、光入出力器5に置き換えた構成を有する。
【0081】
光入出力器5は、石英系ガラスのPLCからなる光入出力ポート5aと、複数のコリメータレンズ5bと、光入出力ポート5aに取り付けられるとともに、コリメータレンズ5bを保持するスペーサ部5dと、光入出力ポート5aと外部の経路とを接続するための光ファイバアレイ5fを備えている。
【0082】
光入出力ポート5aには、光ファイバアレイ5fとこれらに対応するコリメータレンズ5bとを光学的に接続するように光導波路が入力または出力ポートとして形成されている。これらの光導波路ポートは、実施の形態1の光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に、図中x軸方向にアレイ状に配列しており、そのx座標も、光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に設定されている。
【0083】
この光スイッチ30の動作の一例を説明する。まず、光入出力ポート5aのComポートであり、集光レンズ3の光軸A上に配置された光導波路ポートには、光ファイバアレイ5fを構成する光ファイバ5faから光L12が入力される。つぎに、集光レンズ3が光L13を空間光変調器1に集光し、空間光変調器1は光L13を回折し、光L13として所定の光導波ポートに向けて出力する。このとき、2次反射光L14が発生するが、実施の形態2と同様に2次反射光L14は他の光導波路ポートには到達しない。したがって、この光スイッチ30が良好なクロストークを有するものとなる。
【0084】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4に係る光スイッチは、波長合分波器として、アレイ型光導波路グレーティング(Arrayed WaveGuide Grating;AWG)を有しており、波長選択光スイッチとして機能するものである。
【0085】
図11は、実施の形態4に係る光スイッチの概略構成図である。図11に示すように、この光スイッチ40は、図2に示した光スイッチ10の構成において、光入出力器2を、光入出力器6に置き換えた構成を有する。なお、空間光変調器については、6個の空間光変調器1を用いてもよいし、1個の空間光変調器1を6個の領域に分割してそれぞれの領域を独立に制御するように使用してもよい。
【0086】
光入出力器6は、石英径ガラスのAWG6aa〜6aeを積層して構成した光入出力ポート6aと、複数のコリメータレンズ6bと、光入出力ポート6aに取り付けられるとともに、コリメータレンズ6bを保持するスペーサ部6dと、光入出力ポート6aと外部の経路とを接続するための光ファイバアレイ6fを備えている。
【0087】
AWG6aa〜6aeは、入力ポートから入力された波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6の光を、各波長に対応した出力ポートから出力する機能を有する。ファイバアレイ6fは、AWG6aa〜6aeの各入力ポートに接続している。コリメータレンズ6bは、AWG6aa〜6aeの各出力ポートに対応して設けられている。また、AWG6aa〜6aeの出力ポートについては、同一波長の出力ポートが、図中x軸方向にアレイ状に配列しており、そのx座標は、図1の光スイッチ10の光ファイバポート2aa〜2ac、2ae〜2afと同様に設定されている。たとえば、図11では、x軸方向にアレイ状に配列した、各AWG6aa〜6aeの波長λ1の出力ポートを、破線で囲んで示している。また、図示しない他の光スイッチは、各波長の出力ポートに対応させて、図示した空間光変調器1と並べて配置されている。
【0088】
この光スイッチ40の動作の一例を説明する。まず、光入出力ポート6aのAWG6aaに接続された光ファイバ6faから、波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6の光を含む光L15が入力される。AWG6aaは、その中の波長λ2の光L16を、波長λ2に対応した出力ポートOP1から出力する。つぎに、集光レンズ3が光L16を波長λ2に対応する空間光変調器1に集光し、空間光変調器1は光L16を回折し、光L17としてAWG6ab〜6aeのうちの所定のAWGの波長λ2に対応する出力ポートに向けて出力する。
【0089】
このとき、空間光変調器1において2次反射光L18が発生するが、実施の形態1と同様に2次反射光L17は他の光導波路ポートには到達しない。したがって、この光スイッチ40は良好なクロストークを有するものとなる。なお、他の波長の光についても、その波長に対応した空間光変調器によって所定の経路に切り換えられることによって、この光スイッチ40は、良好なクロストークを有する波長選択光スイッチとして機能する。
【0090】
なお、本実施の形態4では、波長合分波器としてAWGを用いているが、ファイバ溶融型やフィルタ型などの波長選択性素子を適宜組み合わせて波長合分波器を構成してもよい。
【0091】
(実施の形態5)
つぎに、本発明の実施の形態5に係る光スイッチについて説明する。本実施の形態5に係る光スイッチは、入力した波長多重光信号から所定の波長の光信号を選択し、その光信号の波長ごとに経路を切り換えて出力する波長選択光スイッチである。
【0092】
図12は、本実施の形態5に係る光スイッチの構成を示すブロック図である。図12に示すように、この光スイッチ100は、外部の経路に接続した光入出力器2と、光入出力器2に対して順次配置された、アナモルフィックプリズムペア61と、回折格子62と、集光レンズ3と、λ/4波長板63と、図中に示すx軸とは直交する方向にアレイ状に配置された4つの空間光変調器1A〜1Dと、空間光変調器1A〜1Dを制御するためのモニタ素子68と、制御回路69とを備えている。
【0093】
なお、光入出力器2、集光レンズ3は実施の形態1のものと同一である。また、光入出力器2の各光ファイバポートは、集光レンズ3の位置をx軸の原点とした場合に、実施の形態1と同様のx座標に配置されている。空間光変調器1A〜1Dはいずれも実施の形態1の空間光変調器1と同一である。集光レンズ3と空間光変調器1A〜1Dとは、集光レンズ3の焦点距離fだけ離間している。
【0094】
なお、実際にはアナモルフィックプリズムペア61と回折格子62において光路は曲げられるので、各素子は角度を持って配置されるが、図12においては、簡略化のために直列に配置して示している。
【0095】
つぎに、光スイッチ100の動作について説明する。図13は、図12に示す光スイッチ100の動作を説明する説明図である。なお、図13は、光スイッチ100を図8中のx軸方向と垂直の方向から見た図である。はじめに、光入出力器2は、或る経路からComポートである光ファイバポート2aaに入力した波長多重光信号OS1を平行光としてアナモルフィックプリズムペア61に出力する。アナモルフィックプリズムペア61は、波長多重光信号OS1のビーム径を、回折格子62の格子の配列方向に広げて、波長多重光信号OS1が多くの格子に当たるように、波長選択の分解能を高めるようにしている。回折格子62は、入射した波長多重光信号OS1に含まれる所定の波長の光信号OS1aを所定の角度に出力する。集光レンズ3は、λ/4波長板63を通して、光信号OS1aを空間光変調器1Aに集光する。
【0096】
空間光変調器1Aは集光した光信号OS1aを回折し、光信号OS2として、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、光入出力器2の所望の光ファイバポート2abへ出力する。なお、λ/4波長板63は、光信号OS1aと光信号OS2との光の偏光状態が互いに直交するように、その偏光状態を変化させる。これによって、アナモルフィックプリズムペア61および回折格子62の偏波依存性を補償するようにしている。
【0097】
また、回折格子62は、波長多重光信号OS1に含まれる他の所定の波長の光信号OS1b、OS1c、OS1dをそれぞれ他の所定の角度に出力する。各光信号OS1b、OS1c、OS1dは、それぞれ空間光変調器1B、1C、1Dで回折され、光信号OS3、OS4、OS5として、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、それぞれ対応する光ファイバポート2ac、2ad、2aeへと出力する。
【0098】
空間光変調器1A〜1Dは、モニタ素子68が光信号OS2〜OS5の一部を分岐した光の波長および強度をモニタし、このモニタの結果をもとに空間光変調器1A〜1Dを独立に制御することによって、それぞれの光信号OS2〜OS5の回折角度が最適になるように制御される。光信号OS2〜OS5の分岐は、たとえば光入出力器2の一部に分岐カプラを設けたり、光スイッチ100内の適当な位置に分岐用のミラーを設けたりすることによって行うことができる。なお、モニタ素子68は、たとえばAWGと複数のフォトダイオードとから構成される。
【0099】
ここで、たとえば空間光変調器1Aが光信号OS1aを回折する際に、空間光変調器1Aの内部で発生した2次反射光が出射する。この2次反射光は、λ/4波長板63、集光レンズ3、回折格子62、アナモルフィックプリズムペア61を順次経由して、光入出力器2に到達する。しかしながら、実施の形態1の場合と同様の作用によって、この2次反射光は他の光ファイバポート2ac〜2aeのいずれにも到達することはない。また、他の光信号OS1b、OS1c、OS1dについても、これらに起因して空間光変調器1B〜1Dの内部で2次反射が発生し、出射しても、所定の光ファイバポート以外に到達することはない。したがって、この光スイッチ100は、ポート間のクロストークが良好なものとなる。
【0100】
なお、上記実施の形態では、光スイッチが1×4、1×6、6×1などであるが、本発明では光が入出力するポートの数は特に限定されず、N×M光スイッチであればよい。ただし、NおよびMのいずれか一方は2以上である必要があるので、ポートは3以上必要である。また、実施の形態4のように波長合分波器を用いる構成では、波長合分波器は3以上必要である。
【0101】
また、上記実施の形態では、空間光変調器の内部反射により発生した2次反射光が意図しないポートに出力されないようにしている。より高次の反射光については、2次反射光と比較してかなり強度が弱いが、意図しないポートに出力されない方がより好ましい。たとえば、光が入力される第1ポート、第1ポートから入力される光を出力する第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2とすると、第1ポートから第2ポートに経路を切り換える場合にk次反射光が第3ポートに出力しないようにするには、x2≠2kx1+x0が成り立てばよい。
【0102】
また、たとえば上記実施の形態1、2またはその変形例では、光入出力ポートのうち常に光が入力または出力されるComポートを集光レンズの光軸上、または光軸の近傍に配置されている。このようにすると、空間光変調器で光を回折させる際の回折角を小さくすることができるため、回折効率を高くすることができるので好ましい。なお、Comポートを集光レンズの光軸上に配置すると、光スイッチを組み立てる際のアライメントをしやすく、かつ空間光変調器における光の入射角または出射角をゼロとできるために空間光変調器の制御がより容易になるので、特に好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光入出力ポートのうち最も光軸から離れたポートをComポートとしてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、空間光変調層が液晶であるが、光を空間変調できる部材であれば特に限定されない。
【0104】
また、上記実施の形態では、空間光変調器は反射型のものであるが、透過型のものでもよい。この場合、反射層は反射率がほぼ100%のものではなく、或る程度の透光性を有するものである。このような透過型の空間光変調器でも、空間光変調層を挟んだ層間で内部多重反射がおこり得るので、本発明を適用することができる。
【0105】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態の各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。たとえば、実施の形態5に係る光スイッチに、実施の形態2の光入出力器を適用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1、1A〜1D 空間光変調器
1a シリコン基板
1b 画素電極群
1c 液晶層
1d 配向膜
1e ITO電極
1f カバーガラス
1g 光入射層
2、4〜6 光入出力器
2a、4a〜6a 光入出力ポート
2aa〜2ae、4aa〜4ag 光ファイバポート
2b、4b〜6b コリメータレンズ
2c 光ファイバ固定基材
2d、5d、6d スペーサ部
3 集光レンズ
5f、6f 光ファイバアレイ
5fa、6fa 光ファイバ
6aa〜6ae AWG
10〜40、100 光スイッチ
61 アナモルフィックプリズムペア
62 回折格子
63 λ/4波長板
68 モニタ素子
69 制御回路
A 光軸
L1、L2、L4、L5、L7〜L13、L15〜L17 光
L3、L6、L11、L14、L18 2次反射光
M1、M3 画素電極
M2 反射面
OP1 出力ポート
OS1 波長多重光信号
OS1a〜OS1d、OS2〜OS5 光信号
P1〜P4 位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から光が入力される、または外部に光を出力する3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、
光入射層と、光反射層と、前記光入射層と前記光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、前記光入出力ポートのいずれかのポートから前記光入射層に入射した光を空間変調して前記光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、
を備え、前記光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、前記集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、前記光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、前記第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つことを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記第1ポートの座標x0がゼロ以外の値であり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が等間隔または不等間隔であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記第1ポートの座標x0がゼロであり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートに出力する光が入力されるポートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートから入力される光が出力するポートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項6】
前記空間光変調器はLCOSであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項7】
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に設けられた光分散素子を備え、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項8】
前記光入出力ポートは、3以上の波長合分波器を有し、前記各波長合分波器において同一波長を出力する各ポートが、前記配列方向に配列したポートを構成し、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記波長多重合分波器がアレイ型光導波路グレーティングであることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチ。
【請求項1】
外部から光が入力される、または外部に光を出力する3以上のポートが所定の配列方向に沿って配列した光入出力ポートと、
光入射層と、光反射層と、前記光入射層と前記光反射層との間に設けられた空間光変調層とを有し、前記光入出力ポートのいずれかのポートから前記光入射層に入射した光を空間変調して前記光入出力ポートの他のいずれかのポートに向けて出力する空間光変調器と、
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に配置され、前記光入出力ポートと前記空間光変調器と光学的に結合させる集光レンズと、
を備え、前記光入出力ポートの配列方向に沿った座標軸をとり、前記集光レンズの光軸の位置を該座標軸の原点とした場合に、前記光入出力ポートにおいて光が入力されるまたは出力する第1ポート、前記第1ポートから入力または出力する光を出力または入力される第2ポートおよび第3ポートの座標をそれぞれx0、x1、およびx2(ただし、x1、x2>0)とすると、x2≠2x1+x0が成り立つことを特徴とする光スイッチ。
【請求項2】
前記第1ポートの座標x0がゼロ以外の値であり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が等間隔または不等間隔であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記第1ポートの座標x0がゼロであり、前記光入出力ポートにおいて隣接するポート間の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートに出力する光が入力されるポートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記第1ポートは、前記光入出力ポートの他のポートから入力される光が出力するポートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項6】
前記空間光変調器はLCOSであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項7】
前記光入出力ポートと前記空間光変調器との間に設けられた光分散素子を備え、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項8】
前記光入出力ポートは、3以上の波長合分波器を有し、前記各波長合分波器において同一波長を出力する各ポートが、前記配列方向に配列したポートを構成し、波長選択光スイッチとして機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光スイッチ。
【請求項9】
前記波長多重合分波器がアレイ型光導波路グレーティングであることを特徴とする請求項8に記載の光スイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−83404(P2012−83404A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227397(P2010−227397)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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